効果的なOJTとは?意味や目的、ポイント、Z世代の学習環境の作り方など解説!
よく耳にする「OJT」という言葉、皆さんは詳しく知っていますか?
人材育成の現場でよく下記のようなことを耳にしました。
- 自社はOJTで人材育成しているから研修など無くても大丈夫
- 新人研修が終わった後は、現場でのOJTに任せている
- OJTでしっかりと人を育てている
しかし、よくよく話をお伺いしてみると、
- OJTという名の現場任せの育成の仕組みになっている
- OJTをやっていると言いながらも「OJT計画書」が存在しない名ばかりOJTの状況
- 人事部がOJT研修という名前の研修をやっているだけ
- 単に新人を対象にマンツーマンで育てること
という、OJTが機能していないことが少なくありません。
OJTという言葉は何となく聞いたことがあり、現場で仕事を教えることだというざっくりとしたイメージで使われていることが多く、OJT機能不全に陥ってしまっているのです。
日本の労働人口が減っていくことやデジタル化が進む昨今の環境変化のなかで、OJTがきちんと機能する組織づくりを行っていくことが大切です。
時代に合わせ動画やデジタルツールを活用し、OJTのデジタル化を図っていくことが今後の競争優位性の維持の重要な要素になっていきます。
株式会社LDcubeでは、新時代のOJT環境づくりの支援を行う中で、新たな時代のOJTを機能させるポイントなどが分かってきました。
また、人事・人材開発の責任者の方々を対象としたOJTについてのアンケート調査なども行い、OJTの実態を調べてきました。
本記事では、OJTの意味や目的、効果、そして時代に合わせ、組織の競争優位性を維持していくための、OJTについて詳しく解説します。
これからの時代に合わせたOJTのあり方や新時代に合わせてバージョンアップすることで享受できるメリットについても紹介します。
▼OJTがうまくいっている企業事例については下記にまとめました。合わせてご覧ください。
⇒OJT成功の企業事例10選|うまくいく会社の共通ポイントを解説
▼似た観点で、これからの時代の現場教育については下記で解説しています。合わせてご覧ください。⇒社長方針の実現!新たな現場教育で人材育成の効率と効果を高める方法とは?
▼OJTのばらつき軽減策についてまとめました。合わせてご覧ください。
▼OJTトレーナー育成についてまとめました。こちらもご覧ください。
目次[非表示]
- 1.OJTの意味や目的とは
- 1.1.「計画的な努力の過程」
- 1.2.「重点的に指導・育成する」
- 1.3.「効果的な経験の場をつくる」
- 2.OJTとOff-JTの違い
- 3.OJTで教える側のメリット
- 3.1.教える内容やスキルの再確認・向上
- 3.2.リーダーシップやコミュニケーション能力の向上
- 3.3.組織の活力向上
- 3.4.後継者育成
- 4.OJTで教えられる側のメリット
- 5.OJTのデメリットとは?
- 6.OJTを導入する際のメリデメ
- 7.OJTを行う上での基本姿勢
- 8.OJTを行う場合の流れ
- 8.1.ステップ① 計画・目標設定
- 8.2.ステップ② OJT指導者(OJTリーダー)研修の実施
- 8.3.ステップ③ OJTの実施
- 8.4.ステップ④ フィードバック
- 8.5.ステップ⑤ 評価と改善
- 9.OJTの留意点~Z世代の学び方~
- 10.OJTの新たな学習環境を整える
- 10.1.デジタルコンテンツを活用した学習
- 10.2.プラットフォームを活用した運用
- 10.3.データを活用したPDCA
- 11.新たなOJT環境のメリット
- 12.デジタルコンテンツを活用したOJTにはUMU!
- 13.まとめ
OJTの意味や目的とは
OJTは「On the Job Training」の略で、直訳すると「仕事を通じての教育・訓練」です。
上司や先輩社員(仕事の専門家)が部下や後輩社員に対して、仕事(JOB)を通じて必要な知識・技能・態度などを重点的に指導・育成する、計画的な努力の過程です。
この定義の中でOJTを成功させるポイントは3つあります。
(OJTのポイント)
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「計画的な努力の過程」
OJTは計画的な努力の過程であるため、行き当たりばったりではなく、計画的に進める必要があります。
計画的に進めるためにはOJT計画シートやOJT計画書など、計画を具体的に形にしたものが必要です。
人材育成をOJT中心で行っていると考えている組織において、OJT計画書などがなく、行き当たりばったりになってしまっているケースも少なくありません。
まずはきちんとOJTの計画があるかどうかを確認してみましょう。
株式会社LDcubeでは2023年10月に「ポスト・コロナのOJTの実態」についてのアンケート調査(有効回答数235件)を行いました。
その中で、「貴社では、OJT計画書を組織で統一して作成・運用していますか? 最も当てはまるものをお選びください。」として、OJT計画書について聞いています。
29%の組織においては「OJT計画書は使っていない」、27%の組織においては「特に指定していない」と答えています。
OJTに必要な計画性が欠けてしまっていることが懸念されます。
「重点的に指導・育成する」
教えることについて期間を区切りながら重点的に指導していくことがポイントです。
なぜなら、OJTで教えていくことが多岐にわたり、一度に全てを教えることが不可能だからです。教えることを体系的に整理し、ステップバイステップで教えていくことがポイントです。
例えば、「4月は○○について」のように期間とテーマを設定して上司や先輩社員が部下や後輩社員に対してトレーニングします。
そして、部下や後輩がある程度できるようになったら、「5月は□□について」という新しいテーマを設定し、上司や先輩社員がステップ・バイ・ステップで指導していきます。
「効果的な経験の場をつくる」
仕事上でどのような経験をさせると効果的かということも検討し、実際に経験させてみることも重要です。
なぜなら、OJTで仕事を教えるということは、上司や先輩社員が言って聞かせるだけではなく、実際にやらせてみて、できるようになることが重要だからです。
例えば、先輩社員が自分のお客さまとの商談に、まだお客さまと会話したことがない新入社員に同席してもらい、実際に新入社員とお客さまが会話する機会をつくるなどです。
▼OJTトレーナーについては下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒OJTトレーナーの3つの役割とよりよい人材育成の循環を生むコツとは?
OJTとOff-JTの違い
OJTとOff-JTの主な違いは、トレーニングが行われる場所と、学びのスタイルです。
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Off-JTとは「Off the Job Training」の略で、一般的に職場から離れた環境で行われる研修のことを意味します。
新入社員研修や管理職研修などの階層別研修や、営業パーソン研修、特定の技術研修のような目的別・職種別研修などがあります。
形式から見ると、講義形式のセミナーや、さまざまな実技を行いながら学ぶワークショップなどがあります。
また、対象者を選抜してビジネスリーダーを育成するビジネススクールもあります。
OJTは職場で行われ、実際の仕事を通じてスキルやノウハウを教えますが、Off-JTは会議室や研修所などに受講者を集め、理論的な知識や新たなスキルを学ぶためのトレーニングを提供します。
企業はOJTとOff-JTを組み合わせ、社員のスキルと能力を最大限に高めるのが理想的です。
▼OJTとオンボーディングの違いについては下記で解説しています。合わせてご覧ください。
⇒オンボーディングとOJTの違いとは?異なる目的や取り組みを理解しよう!
OJTで教える側のメリット
OJT担当や教える側は一見、やることが増え、負荷がかかるばかりで人事評価で優遇されるわけでもないため、デメリットばかりと思われがちですが、教える側にとってさまざまなメリットがあります。主なメリットを4つご紹介します。
(OJTで教える側のメリット)
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具体的な4つのメリットの解説に入る前に、そもそもOJT担当や教える側の社員について調査しましたので、調査結果を紹介します。
株式会社LDcubeでは2023年10月に「ポスト・コロナのOJTの実態」についてのアンケート調査(有効回答数235件)を行いました。
その中で、「貴社において、主にOJT担当を任せるのは何年目の社員ですか? 最も当てはまるものをお選びください」として、OJT担当者の入社年次を聞いています。
1番多いのが「3~5年目」次いで「2~3年目」でした。
約6割の組織では入社2~5年目の社員がOJT担当者として指導にあたっていることがうかがえます。
それではOJT担当や教える側の社員(主に、2~5年目の社員)のめりっとについてみていきましょう。
教える内容やスキルの再確認・向上
OJTはOJT担当や教える側が教える内容について再確認したり、知識を向上したりするきっかけになります。
なぜなら、OJTでは、経験者が未経験者に対して自分の知識や経験を伝える役割を担うため、教える内容について正しい内容かどうかを確認するためです。
例えば、先輩社員が後輩社員に教えるために、自分のやり方だけでなく、改めてマニュアルなどで正確な情報や仕事の進め方を確認します。
その確認行為を通じて、自分の知識やスキルを振り返ります。
また、後輩社員に教えることで、仕事に対する理解も深まり、教えるスキルを高めることにもつながります。
リーダーシップやコミュニケーション能力の向上
OJTはOJT担当や教える側の社員のリーダーシップやコミュニケーション能力の向上に繋がります。
なぜなら、後輩に仕事を教え、できるようにさせるには、自分で仕事を遂行する能力と違い、リーダーシップやコミュニケーション能力が求められるからです。
例えば、自分でやるのではなく、やる内容を伝えてやらせたり、やり方を見て必要に応じて軌道修正させたり、自分でやるのとは違う能力が必要です。
自分の後輩を育成する経験は、自身のリーダーシップ力やコミュニケーション力を向上させてくれます。
組織の活力向上
新入社員が職場に加入し新しい風を吹き込んでくることで職場が活気づきます。
なぜなら、OJTを通じて新人が早期に業務に慣れ、結果的にチームの業績向上につながり始めると、先輩社員もうかうかしていられなくなり、刺激を受け、仕事に取り組むようになるからで。
また、新入社員の新鮮な視点が、今まで当たり前だと思っていた仕事の進め方の改善点などに気付かせてくれることもあります。
新入社員が成果結果に貢献する仕事をすることで、先輩社員への突き上げ効果も働き、職場の活力が向上します。
後継者育成
OJTはベテラン社員や経営幹部が後継者を育成するにも有効です。
なぜなら、 OJTは新入社員を指導するときにだけ有効な手法ではないからです。
自分が抱えている業務内容やノウハウを他のメンバーに伝え、後継者を育成することで、自身の退職や異動、昇進などで業務が途切れることなく引き継がれていくことができます。
OJTは教える側のスキルアップやリーダーシップの向上、組織の活力向上、後継者育成といった面でも非常に効果的な手法であると言えます。
上記のようなメリットについて知り、効果的に生かすことで、OJTの教える側の社員のモチベーションアップやキャリアアップにつながることがあります。
▼ 幹部のOJTについてはこちらをご覧ください。
⇒OJTでの経営幹部育成とは?~次世代は現役世代にしか育てられない!?~
▼OJT教える側の役割については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒OJTで教える社員の役割とは?デジタル時代に必要なポイントを解説!
OJTで教えられる側のメリット
OJTは、教えられる側、特に新入社員や若手社員など新たな仕事を任された人たちにも大きなメリットがあります。その主なメリットを5つご紹介します。
実践的なスキルの習得 OJTでは、教えられる側が実際の職場で実践を通じて学ぶことから、テキストや学校教育では得られない実務の経験や、専門的な知識、具体的なスキルを学ぶことができます。 フィードバックによる成長 仕事の実践を通じて学ぶことにより、仕事の経験者から直接的なフィードバックやアドバイスを得られるため、自分の啓発点や課題を把握し、それを改善していくことで成長につながります。 速やかな業務適応 実際の業務を通じて学ぶことで、現場での具体的な業務を遂行する能力を身に付けられます。 また、一般的な研修に参加するよりも、早く業務に適応できるようになります。 職場文化の理解 職場に身を置くことを通じて、組織や職場の文化、チームの風土・コミュニケーション方法などを自然と学ぶことができます。 「この職場ではこのようなやり取りをしていけば良い」という職場での生き方(How to Live)についても学ぶことができます。 信頼関係の構築(社会関係資本の蓄積※1) 教えてくれる人(上司や先輩)と一緒に業務を行うことでコミュニケーションを深め、社内での信頼関係を構築することができます。 同じ職場で仕事を一緒に行った経験は社内での人脈形成につながります。 時間がたち、上司や先輩、もしくは自分が人事異動などで職場が変わったとしても、同じ職場で仕事をした人は気軽に相談できる相手となり、その後心強い存在となります。 そのような関係性づくりは組織内の社会関係資本形成に役立ちます。 以上のように、OJTは新入社員や若手社員など、新たな業務に挑戦する人々にとって、実務スキルや職場適応能力を身に付けるための有効的な手法です。 |
※1 社会関係資本(Social Capital)とは
人々の社会の中でのかかわり、つまり個人的な人間関係や職業上の人間関係の中で生まれ、蓄積されていく資源のことで、好業績や信頼関係を長期にわたって持続させる鍵になるもの。
OJTのデメリットとは?
OJTは教える側にも教えられる側にも多くのメリットがありますが、その一方でデメリットも存在します。デメリットについて紹介します。
指導者(OJTリーダーなど)のスキルに依存 OJTを行うOJTリーダーなどの指導者が複数名いる場合は、指導者のスキルや知識、意識によって教育の質が異なり、新人や若手社員の育成度合いも異なります。 指導者の指導能力が不十分な場合、教えられる側のスキル習得にマイナスな影響を及ぼす可能性があります。 不適切な伝統や風習の継承 OJTでは教えられる側が仕事の経験者から直接学ぶため、知識やスキルだけでなく、組織独特の良くない習慣や非生産的なやり方、誤った作業方法を学んでしまうリスクがあります。 指導者(OJTリーダーなど)への負担増 新入社員や若手社員が一人前になるまでには時間がかかります。 指導者は自分の担当する業務を行いながら指導するため、指導者の業務時間が一定程度取られます。 そのため、一時的に業務効率が下がる可能性があります。また、最近では指導者の業務が忙しすぎてOJTに手が回らず、新入社員を放置してしまうケースもあります。 個々人で差がついてしまう OJTを通じてのスキル習得は、教えられる側・学ぶ側の理解状況や学習速度に左右されます。 個々人によって持っている事前知識やスキルが異なります。 また、配属された職場により経験できることにも違いがあるため、全員が同じ期間で、同じ程度のスキルを身に付けられるとは限りません。 |
これらのデメリットを解消するには、これまでは人事が主導してOJT指導者研修などを行い、指導者の底上げを図るなどの施策が取られてきました。
指導者の教育スキル向上、教材の整備、明確な評価基準の設定などを行いながら、OJTとOff-JTを組み合わせ補完してくことが必要です。
OJTの導入や運用にあたってはこれらの点も考慮して計画を立てましょう。
(補足)調査結果からの課題「ばらつきが生じる」
株式会社LDcubeでは2023年10月に「ポスト・コロナのOJTの実態」についてのアンケート調査(有効回答数235件)を行いました。
その中で、「OJTを進める上で生じやすい課題として、以下(選択肢)のようなものがあります。
貴社にも当てはまる課題があれば、すべてお選びください。」として、OJTの課題について聞いています。
78%の組織において課題を感じている点は「配属された拠点や職場によって、育成状況にばらつきが生じる」と答えています。
(2023年10月株式会社LDcube実施「ポスト・コロナのOJT実態」についてのアンケート調査データより)
▼OJTのデメリット解消法についてはこちらでわかりやすく解説しています。
⇒OJTの最大のデメリットとは?解決策と合わせて詳しく解説!
OJTを導入する際のメリデメ
OJTにおいて教える側と教えられる側にとってのメリットとデメリットを整理し、企業にとってのメリットとデメリットは以下のようにまとめました。
メリット① 早期戦力化 メリット② 実践的な知識やスキルの共有 OJTでは、教えられる側が現場で実際に起きる問題や課題を解決する方法を身に付けることが可能です。 具体的な業務の流れを理解した上で、求められるスキルや知識の習得ができます。この実践的な学びは、教室での講義だけでは得られない価値を提供します。 メリット③ 職場の信頼関係の醸成 |
続いて、デメリットについて説明します。
デメリット① OJT指導者の業務効率低下 デメリット② 指導者の質に依存 |
OJTを取り入れるには上記のメリットとデメリットが存在します。
これらを踏まえ、OJTの計画立案、適切な指導者(OJTリーダーなど)の選定、適宜のフォローアップなど、デメリットの影響を抑え、メリットを享受できるような施策が必要です。
▼OJTの適切なやり方については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒【即戦力を育てる】OJTの正しいやり方とは?7ステップを徹底解説!
OJTを行う上での基本姿勢
OJTを行う上で、押さえておきたいのが下記3つの基本姿勢です。
率先垂範(Set Example)
OJTで仕事を教える際には、まず自ら率先してその仕事を具体的にやって見せるということが重要です。
当然指導者ができないことは教えることができませんので、指導者は具体的に仕事ができるメンバーを人選する必要があります。
仕事の割り当て(Job Assignment)
見本を見せるだけでなく、実際の仕事を割り当て、仕事をさせてみることが重要です。
仕事をする能力は仕事をさせないと身に付きません。
個人的接触(Personal Contact)
仕事そのものだけでなく、仕事に取り組んでいる社員の状態もしっかりと把握しながら関わっていくことが重要です。
その人の属性(性格・欲求・動機など)は、対面関係の中で把握できます。個人的接触を通じてどのような状態で仕事をしているのかを把握します。
やる気が下がっている場合などは、その人がやる気を感じるような言葉をかけたり、一律的ではなく個別に関わったりしていくことがポイントです。
昨今ではOJTを進める上でも、心理的安全性というテーマの関心が高くなっています。
OJTの指導者とOJTを受ける側の間の心理的安全性が確保されていることが、OJTを機能させる上でも重要です。
▼心理的安全性についてはこちらの記事をご覧ください。
⇒"心理的安全性"がビジネスに必要な理由?エドモンドソン博士の視点を解説
OJTを行う場合の流れ
OJTを行う流れは組織や職種、目的によって異なりますが、主な流れと5つのステップを紹介します。
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ステップ① 計画・目標設定
誰に、どの能力を、いつまでに、どのレベルまで、どのような方法で学んでもらうのかという計画や目標を設定します。
具体的な目標設定を行うことで、教えられる側が何を学ぶべきなのか、なぜそのスキルが必要なのかを理解することができます。
また、どのような内容を学ぶべきか、どのように学んでいくかの大枠の計画を立て、それをOJT計画書やOJTシートなどに整理し、いつでも確認できるようにします。
ステップ② OJT指導者(OJTリーダー)研修の実施
OJTを始める前に、OJT指導者やOJTリーダーは期待される役割や責任について学ぶ研修に参加します。
役割や責任のみならず、どのような事を教えていくのか整理したり、どのように教えていくのかという教えるスキルなどを学んだりします。
ここでOJT指導者としての心構えなどをしっかりと持つことが重要です。OJT指導者研修は外部講師で実施することもあれば社内講師で実施することもあります。
(補足)調査結果から、OJTリーダー研修は45%の組織で未実施
株式会社LDcubeでは2023年10月に「ポスト・コロナのOJTの実態」についてのアンケート調査(有効回答数235件)を行いました。
その中で、「貴社では、OJT担当者研修は実施していますか? 最も当てはまるものをお選びください」として、OJTトレーナー研修の実施状況について聞いています。
37%の組織においては「社内講師で実施している」と答えています。
「外部講師で実施している」と回答した組織は9%でした。
そして、「実施していない」という回答が45%と最も多い回答となりました。社内外の講師問わずOJTリーダー研修は実施することをおすすめします。
▼OJTトレーナー研修については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒人材育成をパワーアップさせる効果的なOJTトレーナー研修とは!
ステップ③ OJTの実施
教えられる側が具体的な業務を通じて学びます。
ここで指導者は、OJTの基本姿勢にのっとり、事前に計画したOJT計画に従って教えていきます。
指導者は必要な指示やアドバイスを行いながら、教えられる側が新しいスキルや概念を理解し適用できるよう支援します。
ステップ④ フィードバック
教えられる側の業務遂行に対し、定期的かつ継続的にフィードバックを提供します。
これにより教えられる側は自身の仕事が適切に進んでいるのか、誤ったやり方をしていないかなど、自身の進捗や状況を把握することができます。
また、改善すべき点なども明確にすることができ、成長につなげていくことができます。
ステップ⑤ 評価と改善
最後に、OJTの成果とその効果を評価します。
当初の計画を基に振り返り、教えられる側が計画通りにスキルを習得できているか、そして学んだスキルを実際の業務に適用できているか、理解できているかを確認・評価します。
また、振り返りをもとに、OJTプログラム自体の改善点や改良案を検討することもあります。
▼OJTの進め方については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒OJT効果を最大化する進め方とは? 後輩育成のポイントを紹介
OJTの留意点~Z世代の学び方~
Z世代(1996年以降に生まれた人たち。諸説あり)はデジタルネイティブ世代とも言われています。
デジタルテクノロジーと共に育ち、物心ついたころからデジタルデバイスと共に生活してきています。
Z世代は常に情報が飛び交うデジタル社会で育ってきたため、学び方に特徴があります。
学習にもデジタルデバイスを活用 デジタル端末を使用することに抵抗感がなく、学習にもこれらのデバイスを活用していることも多いです。
さまざまなメディアでの学習 仲間とのつながり |
これらの特徴を理解し、Z世代が学びやすい学習環境を提供することは、この世代にとって最も効果的な学びの形を作り出すために重要です。
▼Z世代の新入社員を即戦力化するポイントについては下記で解説しています。
⇒成果を出す新入社員の育て方とは?即戦力化の前提・ポイントを解説!
▼Z世代の新入社員のフォローアップについては下記で解説しています。
⇒新入社員フォローアップ研修のあるべき姿とは?Z世代の定着・戦力化に向けて徹底解説!
OJTの新たな学習環境を整える
これからの組織に新規参入してくる新入社員がデジタルネイティブ世代であることなどを踏まえると、これまでのOJTの効果的なやり方はうまく生かしつつ、時代に合わせてアップデートしていく必要があります。ポイントは下記3点です。
(OJTの新たな学習環境を整える)
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デジタルコンテンツを活用した学習
これからの時代のOJTにはeラーニングや動画を中心としたデジタルコンテンツが欠かせません。
多くの組織ではOJTを通じて教えるという行為が各現場で消費されてしまっており、デジタルコンテンツとしてストックされていませんでした。
デジタルコンテンツを活用した学習環境を整えることでOJTの実施において、教える側、教えられる側、企業にとってOJTの効率化を図ることができ、生産性向上のメリットが大きくなります。
デジタルテクノロジーを使った動画、理解度クイズや、AIロープレなどがこれからのOJTに役立ちます。
(補足)調査結果:動画の活用はまだまだこれから
株式会社LDcubeでは2023年10月に「ポスト・コロナのOJTの実態」についてのアンケート調査(有効回答数235件)を行いました。
その中で、「貴社のOJTでは、教育用として動画を活用していますか?」として、OJTでの動画活用状況について聞いています。
OJTに動画を活用している組織は32%であり、68%の組織で動画が活用されていないことが分かりました。
▼AIを活用したロープレなどについて解説しています。合わせてご覧ください。
⇒AIを活用した効果的なロープレとは? ポイントや営業研修の新たなステージを紹介
プラットフォームを活用した運用
動画などを活用した学習には、学習に特化したプラットフォームの活用が効果的です。
なぜなら、そうすることで、コンテンツをキーワードで検索して学ぶことなどが可能になるからです。
単にデジタルコンテンツを用意するだけでは効果的な学習になりません。学習にはインプットだけでなく、アウトプットも必要です。
デジタルコンテンツを効果的に組み合わせたり、理解度クイズをセットしたりするなど、学習教材として整えていくで、学ぶ側はいつでも、どこでも、何度でも、必要なコンテンツを学習することができます。
その様な環境が整うことで、学習者の日常的な学習行動のデータがプラットフォーム上に蓄積されていきます。
また、プラットフォームの活用でソーシャルラーニングを実現し、仲間とつながりながら学習を進めることも可能になります。
さらにプラットフォームの活用でよりアウトプットを意識した学習が可能となります。
(補足)調査結果:プラットフォームの活用もまだまだこれから
株式会社LDcubeでは2023年10月に「ポスト・コロナのOJTの実態」についてのアンケート調査(有効回答数235件)を行いました。
その中で、「OJTでは、動画などのコンテンツを個々人に合わせて配信できるようなプラットフォームや、AIを用いた個別トレーニングを提供できるようなプラットフォームを活用し、効果性を高めていますか?」として、OJTでのラーニングプラットフォーム用状況について聞いています。
OJTにラーニングプラットフォームを活用している組織は18%であり、82%の組織ではまだ活用されていないことが分かりました。
動画の活用と合わせ、OJTの生産性、効果性を高めていく伸びしろが感じられます。
データを活用したPDCA
これからの時代のOJTには、データを活用したPDCAサイクルを回していくことが重要です。
なぜなら、デジタルコンテンツを用意し、それをプラットフォーム上で運用することで、学習者のさまざまな学習行動がデータとしてストックされ、そのデータを活用できるようになるからです。
その学習行動のデータを分析してPDCAを回していくことで、より効果的なOJTにおける学習環境づくりにつながります。
▼OJTに動画活用が効果的です。下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒若手のOJTには動画教材の活用が効果あり!事例も含めて理由を解説!
新たなOJT環境のメリット
デジタルコンテンツを用意し、プラットフォーム上で運用し、データを用いてPDCAを回していく新たなOJT環境にはメリットがあります。
メリット① 指導内容のバラツキの軽減 メリット② 指導者の負担軽減と生産性向上 |
▼コンテンツ作成については下記で解説しています。合わせてご覧ください。
⇒研修用動画コンテンツの作り方!効果的に作成するポイントやコツ・手順などを解説!
デジタルコンテンツを活用したOJTにはUMU!
デジタルコンテンツを活用したOJT研修やOJTの学習環境の整備には学習に特化したラーニングプラットフォーム「UMU(ユーム)」の活用が効果的です。
UMUはデジタルテクノロジーと学習の科学を効果的に掛け合わせ、効果的な学習を実現するためのプラットフォームです。
動画を中心とした学習コンテンツをはじめ、理解度クイズなどを効果的に組み合わせることによって、最適な学習環境を構築できます。
コンテンツのタイトルやタグ付けなどを活用することにより、キーワードで検索できる環境を整えることができます。
まとめ
効果的なOJTとは?新時代の人が育つ学習環境の作り方を解説について紹介してきました。
- OJTの意味や目的とは
- OJTとOff-JTの違い
- OJTで教える側のメリット
- OJTで教えられる側のメリット
- OJTのデメリットとは?
- OJTを導入する際のメリデメ
- OJTを行う上での基本姿勢
- OJTを行う場合の流れ
- OJTの留意点~Z世代の学び方~
- OJTの新たな学習環境を整える
- 新たなOJT環境のメリット
- デジタルコンテンツを活用したOJT研修やOJTの学習環境の整備
株式会社LDcubeでは従来のOJTを行う上で必要なOJT指導者向けの研修の提供や、時代に合わせたデジタルコンテンツを活用した学習環境づくりまで、幅広くOJTの支援を行うサービスを展開しています。
また、OJTに限らず人材育成について幅広くご支援しております。
OJTを機能させるためのトレーナー研修やマネジメント研修、離職防止に向けエンゲージメントを高めるためのエンゲージメント研修や社員の成長につなげるための学習体制づくりなどさまざまな事例があります。
無料でのプログラム体験会や簡単なデモ体験なども行っています。お気軽にご相談ください。
▼関連資料はこちらからダウンロードできます。
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