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改めて知りたいOJT研修とは?目的や進め方をプロが解説

「OJT研修は、他の研修と何が違うの?」
「そもそもOJT研修はどういうものなのか」

新入社員が入ってくる時期になると、会社や人事部では、新人を一人前にするための、さまざまな研修の計画を立て始めるのではないでしょうか。

研修には、セミナーやグループ学習などのOFF-JT研修のほか、最近ではeラーニング学習なども用いられることが多くなりました。

中でも、多くの会社が採用しているのが、「OJT研修」でしょう。

OJT研修とは、先輩社員(トレーナー)について、実際に職場で働きながら行う新人研修です。

【OJT研修とは】

OJT研修①

OJT研修は、実際に必要な知識やスキルを習得しながら、業務の実践ができるため、新入社員の即戦力化が期待できます。

とはいえ、先輩社員に新入社員を付ければいい、というような、安易な「マンツーマン指導」では、研修が失敗に終わる可能性が高くなるでしょう。

たとえば、トレーナーによってスキルや指導方法が異なるため、新入社員の習得度がバラバラになってしまいます。

また、トレーナーとの相性が悪いと、会社自体が嫌になって、早期退職に追い込む事態にもなりかねません。

OJT研修を成功させるには、OJTの特性を社員全員が理解し、会社一丸となって取り組むことが大切です。

そこで、この記事では、次のことを解説します。

この記事でわかること

  • OJT研修とは何かを徹底解説
  • OJT研修を行うメリット・デメリットを完全解説
  • OJT研修を行うための7つのステップを紹介
  • OJT研修を成功させる4つのポイントを詳しく解説

この記事を読めば、OJT研修について正しく理解する事ができます。

OJT研修を行うメリットや成功させるポイントなどが分かり、最高の状態でOJT研修を行うことができるでしょう。

新入社員が即戦力化するため、組織的な底上げとなり、会社の発展にも繋がります。
ぜひ、参考にしてください。

▼ OJTの全体像については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

  効果的なOJTとは?意味と目的、新時代の学習環境の作り方を解説 OJTは、企業内で具体的な仕事を通じて、社員を育成する社員教育法の1つです。本記事では、その意味や目的、効果、そしてOJTの活用方法について詳しく解説します。そして、これからの時代に合わせたOJTのあり方や新時代に合わせてバージョンアップすることで享受できるメリットについても紹介します。 株式会社LDcube

▼ OJTのばらつき軽減策についてまとめました。施策検討にお役立てください。

OJTばらつき軽減策

▼ OJTトレーナー研修についてまとめました。こちらも施策検討にお役立てください。

OJTトレーナー

目次[非表示]

  1. 1.OJT研修とは「職場での実務を通じて新入社員の知識やスキルを取得させる教育法」
  2. 2.新入社員にOJT研修を行う目的
    1. 2.1.新入社員の即戦力化を図る
    2. 2.2.新入社員の心理的安全性を確保し離職リスクを下げる
  3. 3.OJT研修を行うメリット
    1. 3.1.【新入社員】いち早く実践的なスキルや知識を身につけることができる
    2. 3.2.【トレーナー】自身の能力開発・向上につながる
    3. 3.3.【会社全体】社内コミュニケーションの活性化+外部講師へのコスト削減を同時にできる
  4. 4.OJT研修を行うデメリット
    1. 4.1.【新入社員】トレーナーの能力で成長に差が出る
    2. 4.2.【トレーナー】OJT研修の手間や時間がかかる
    3. 4.3.【会社全体】売上など会社の成長以外に時間を割くこととなる
  5. 5.OJT研修に向いていない企業・職種
  6. 6.OJT研修を行う7つのステップ
  7. 7.OJT研修を成功させる4つのポイント
    1. 7.1.社内統一のマニュアルを作成する
    2. 7.2.組織が一体となってOJTを促進する
    3. 7.3.「意図的」「計画的」「継続的」の3つの原則を意識して行う
    4. 7.4.PDCAサイクルを意識しておこなう
  8. 8.これからの時代のOJT研修にはeラーニングや動画を中心としたデジタルコンテンツが欠かせない!
  9. 9.まとめ

OJT研修とは「職場での実務を通じて新入社員の知識やスキルを取得させる教育法」

OJT研修①

OJTは、職場で実際に働きながら業務への理解を深め、仕事に必要な知識やスキルを習得させる、新人教育の代表的な手法です。

「OJT」も「OJT研修」も呼び方が違うだけで、元は同じ「On The Job Training」の略称です。
職場での実務を通じて行う、職業指導手法のひとつに変わりはありません。

セミナーなどのOFF‐JT研修と比較して、OJT研修には次のような特徴があります。

【OJT研修とOFF‐JTの比較】


OJT研修
OFF-JT研修
人数

基本的に2人
(トレーナー + 新入社員)

大人数or少人数のグループ
(講師 + 新入社員)

進め方

トレーナーが寄り添いながら進める

講師が主体となって進める

特徴
  • 基本的に配属される部署で実施される
  • トレーナーが業務のやり方を教え、新入社員は隣で見て、一緒にこなす
  • その場に応じて疑問や質問に答える
  • フィードバックを通して、業務への理解を深める
  • 基本的に、セミナー会場などで実施される
  • 講師が一方的に指導する場合が多い
  • 育成の効果を均一化しやすい
  • 専門知識や考え方などを順序だてて学べる

たとえば、営業職なら、トレーナーの業務の見学や、営業同行をしながら、営業に必要な知識やスキルを学んでいきます。

プログラマーのOJT研修なら、トレーナー(先輩プログラマー)が行うWebシステムの実装やコードの作成などを、実際に見学しながら習得していくことになるでしょう。

OFF‐JT研修とは

大きな会議室で、大人数で行われる研修を、OFF‐JT(Off-The-Job Training)といいます。

OFF‐JTは、体系的な知識や、広範囲でのノウハウの習得に向いています。

大人数に対して、一度に研修できるため、習得する知識やスキルを均一化しやすいのが特徴。OJTと併用することで、会社全体の研修効果アップが期待できるでしょう。

ただし、受講者が受け身になりやすいことや、講師への費用がかかる点に注意が必要です。

OJT以外の研修を適度に入れることは、適度な「息抜き」にもなるのでおすすめです。


新入社員にOJT研修を行う目的

OJT研修③

新入社員にOJT研修を行う目的とは何でしょうか。

OJT研修を行う目的は次の2つです。

OJT研修④

具体的に解説していきましょう。

新入社員の即戦力化を図る

新入社員にOJT研修を行うのは、即戦力化を図るためです。

OJT研修を行うことで、職場文化の理解と実践的なスキルの習得を、同時並行できるからです。

たとえば、OJT研修は、実際の職場で行われるため、チームの動きを体験し、いち早く業務に馴染こことができるでしょう。

また、実際に業務に携わっているトレーナーに直接教わることで、ちょっとしたコツやポイントなど、より実践的なアドバイスを受けることができます。

フィードバックもすぐに受けられるので、速やかに業務に取り組むことができるでしょう。

反対に、一般的な研修(OFF‐JT)は、大人数で行われます。
講義やグループワークを通じて知識を得ることが多いため、一方的な研修になりかねません。

知識としては理解しても、実践力が身につかないため、即戦力化には向かない研修といえるでしょう。

▼ 新入社員の即戦力化については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

  成果を出す新入社員の育て方とは?即戦力化の前提・ポイントを解説! 企業の発展のためには、新入社員を即戦力として育成することが必須です。本コラムでは、新人育成のための前提や具体的な教育手法やポイント、事例まで含めた概要を紹介します。特にZ世代と呼ばれる20代前半以下の、現代の新人向けの研修のあり方などについて深い洞察を提供します。 株式会社LDcube


新入社員の心理的安全性を確保し離職リスクを下げる

OJT研修は、新入社員の心理的安全性を確保し、離職リスクを下げることができます。

研修中は、職場の先輩(トレーナー)と、一緒に業務に取り組むので、慣れない仕事でも、心理的な不安が軽減されるためです。

コミュニケーションを取りながら進めるので、信頼関係も生まれ、会社に愛着が湧きやすいともいえるでしょう。

逆に、新入社員が業務に不安や戸惑いを感じていても、誰にも相談できないという環境は、心理的安全性を感じられず、離職リスクを引き起こします。

実際に、2023年株式会社いよぎん地域経済研究センターによる「若手社員の主な退職理由」の調査では、「業務内容のミスマッチ」や「人間関係がうまくいかない」という回答が上位になっています。

OJT研修⑤

参考:株式会社いよぎん地域経済研究センター「若者が働きたい会社になる~ 県内企業における若手社員の定着について ~

OJT研修は、業務上の相談を気軽にできるような人間関係を築きやすい、という点においても、効果的といえるでしょう。

▼ 若手社員の離職防止については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

  若手社員の離職防止をするには?効果的な取り組みや定着を支援するツールも紹介! 若手社員の離職が頻繁に発生すると、未来を担う人材の育成が進まず、将来的に企業が成長できない可能性があります。若手社員の離職を防止するためには、理由の把握と改善のための施策が必要です。退職理由、離職を防止するための取り組みなどについて解説します。 株式会社LDcube


OJT研修を行うメリット

OJT研修⑥

OJT研修は、職場文化の理解と実践的なスキルの習得を、同時並行できる研修方法であることをお伝えしました。
実践的で、即戦力となる人材を育てやすい研修と言えるでしょう。

では、OJT研修のメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

【新入社員・トレーナー・会社全体のOJT研修を行うメリット】

新入社員

いち早く実践的なスキルや知識を身につけることができる

トレーナー

自身の能力開発・向上につながる

会社全体

社内コミュニケーションの活性化+外部講師へのコスト削減を同時にできる

新入社員、トレーナー、会社全体に分けて、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

【新入社員】いち早く実践的なスキルや知識を身につけることができる

新入社員がOJT研修を行うメリットは、次のとおりです。

OJT研修⑦

新入社員にとって、最大のメリットは、いち早く実践的なスキルや知識を身につけることができるということでしょう。

OJT研修は、トレーナーからのマンツーマン指導なので、直接フィードバックを受けることや、疑問点や不安な点をすぐに相談することができるためです。

先輩からのちょっとしたコツやアドバイスを得て、実際の業務に活かすことができるのです。

また、会社の文化や雰囲気に早くから馴染むことができることも、新入社員に取って大きなメリットといえるでしょう。

【トレーナー】自身の能力開発・向上につながる

トレーナーがOJT研修を行うメリットは、次のとおりです。

OJT研修⑧

トレーナーは、OJT研修での指導を通じ、自分自身の能力開発や向上につながることができます。

新入社員に業務の指導をしつつ、自分のスキルや知識の振り返りができるため、ブラッシュアップができるためです。

指導力やリーダーシップも鍛えられるので、コミュニケーション能力の向上も期待できるでしょう。

また、指導を通じ、自分の業務の後継者を育てることも可能です。

新入社員に実践的な業務を伝えつつ、自分も成長できるので一石二鳥といえるでしょう。

【会社全体】社内コミュニケーションの活性化+外部講師へのコスト削減を同時にできる

会社全体にとって、OJT研修を行うメリットは、次のとおりです。

OJT研修⑨

会社全体のメリットは、社内コミュニケーションの活性化に加え、外部講師へのコスト削減も可能になることです。

新入社員はトレーナーとの関係性が強くなるため、現場にも馴染みやすくなります。

不安や疑問をいつでも解消できるため、早期の離脱や離職を防ぐことにも繋がるでしょう。

また、トレーナーが直接、業務や社会人としての知識を指導するため、外部講師の費用や研修会場費などがかかりません。
研修コストの削減にも貢献します。

OJT研修を行うデメリット

OJT研修⑩

OJTは、メリットが多い研修方法ですが、もちろんデメリットもあります。

研修を成功させるには、これらのデメリットに留意しながら、進める必要があるのです。

【新入社員・トレーナー・会社全体のOJT研修を行うデメリット】

新入社員

トレーナーの能力で成長に差が出る

トレーナー

OJT研修の手間や時間がかかる

会社全体

売上など会社の成長以外に時間を割くこととなる

新入社員、トレーナー、会社全体に分けて、それぞれのデメリットをくわしく解説していきましょう。

▼OJT最大のデメリットについては下記で詳しく解説しています。

  OJTにおける最大のデメリットとは?解決策と合わせて解説! 社員に現場のスキルを直接伝えるためのOJTは、効果性が認識されていますが、最大の課題は「ばらつき」です。ばらつきを放置すると失敗しかねません。それを克服するための手法としてOJTのデジタル化がありますので、ポイントなど紹介します。それによりばらつきを軽減し、効果と効率を向上させます。 株式会社LDcube


【新入社員】トレーナーの能力で成長に差が出る

新入社員がOJT研修を行うデメリットは、次のとおりです。

OJT研修⑪

新入社員にとって、一番大きなデメリットは、トレーナーの能力やスキルで、成長に差が出てしまうことでしょう。

トレーナーによっては、厳しい指導となったり、反対に放置状態になったりするなど、お互いの相性も大きく影響するためです。

また、マンツーマン指導なので、息をつく時間がなく、ストレスを抱えてしまうケースもあります。

さらに、部署内での勝手なルールなど、不適切な伝統や風習の継承も行われることがあるので、注意が必要でしょう。

【トレーナー】OJT研修の手間や時間がかかる

トレーナーがOJT研修を行うデメリットは、次のとおりです。

OJT研修⑫

トレーナーのデメリットは、OJT研修の手間や時間がかか、業務が膨大になるということです。

OJT研修時は、通常行っている業務に加えて、トレーナー研修や、計画書作成、実際の指導など、やるべき業務が増えます。

時間的な負担も大きく、時には業務に支障が出ることもあるでしょう。

研修への責任感や、付きっきりのマンツーマン指導で、精神的なストレスを抱えるケースもあります。

職場や周囲からのトレーナーへのサポートは、必須といえます。

【会社全体】売上など会社の成長以外に時間を割くこととなる

会社全体のOJT研修を行うデメリットは、次のとおりです。

OJT研修⑬

会社全体のデメリットは、売上などの会社の成長以外に時間を割くことになる点です。

OJT研修のための準備に時間がかかるだけではなく、トレーナーの業務自体を一時的に止める恐れもあります。

また、OJTは、業務を中心とした研修であるため、会社としての体系的な研修は、OFF‐JT研修を別途用意しなければなりません。

さらに、トレーナーとの相性によっては、早期離職などのリスクがあるため、トレーナー任命は、細心の注意が必要です。

※OJTトレーナーの役割などをさらに詳しく知りたい方は「OJTトレーナーの3つの役割とよりよい人材育成の循環を生むコツとは?」の記事を参考にしてください。

▼ OJTの放置状態は避ける必要があります。下記で詳しく解説しています。

  OJT放置のリスクと対処法!新人の退職を防ぎ効果的に育成するコツ! 新入社員教育のOJTがうまく機能しないと企業の業績に影響が出ることをご存じですか?本記事では、新入社員のOJTが放置されがちな理由と、そのリスク、そしてその改善策について詳しく解説します。最適な新入社員教育システムの構築に役立ちます! 株式会社LDcube


OJT研修に向いていない企業・職種

OJT研修⑭

OJT研修は、営業職をはじめ、事務職やサービス業など、ほとんどの業務で取り入れることができる研修方法です。

しかし、やはりOJTに向いていない企業や業種があります。
これらの企業が無理にOJTを行なっても、現場が混乱し、失敗に終わることにもなりかねません。

【OJT研修に向いていない企業・業種】

  • 現場が忙しすぎて、指導する時間や余裕がない企業
  • 指導を任せることができる人(トレーナー)がいない企業
  • 業務の手順などが体系化されていない企業・業種
  • 必要な専門知識が膨大な業種

たとえば、現場が忙し過ぎる、また、指導できる人がいない場合、新入社員が現場で放置されるケースもあります。

また、業務の手順などが体系化されていない場合、人による指導のバラツキが大きくなり、失敗する可能性も高くなるでしょう。

結果的に、業務の効率が悪くなり、会社全体の生産性が落ちる危険性もあります。

OJT研修は、膨大な専門知識が必要な業種にも向いていない

膨大な知識が必要な専門職の場合、OJTで基礎から指導していると、トレーナーの負担が非常に大きくなります。 
【膨大な専門知識が必要な職種の一例】

  • 会計、法律などの士業
  • 医療関係
  • デザイナー
  • IT関連(プログラマーなど)
  • その他、専門性が高い職種

これらの業種は、新入社員に十分な知識が付いてから、実践的なOJTを実施するようにしましょう。


OJT研修を行う7つのステップ

OJT研修⑮

ここまでお読みになって、OJT研修についての理解が深まったのではないでしょうか。

では、実際にどのように行うべきか、簡単に見ていきましょう。

OJT研修は、次のようなステップで行います。

【OJT研修の7ステップ】

OJTやり方のステップ

まずは、実際にOJT研修を開始する前に、目標の設定やトレーナー研修、計画書の作成などの準備を、キチンと行うことが重要です。

特に、《STEP3》のトレーナー研修は、OJT研修のバラツキを抑えるためにも重要です。

OJT研修の目的を共有することはもちろん、コーチングや指導方法などを、外部の講師を迎えて行うと良いでしょう。

《STEP5》のOJT研修を実践する際は、実践型の人材育成手法である、4段階指導法を用います。

4段階職業指導法

OJTやり方

業務を実践するだけではなく、振り返りや評価などもしっかり行いましょう。

これらのステップを行うことで、即戦力となる人材を育てることが可能になります。

※OJT研修のやり方について具体的に詳しく知りたい方は、「【即戦力を育てる】OJTの正しいやり方とは?7ステップを徹底解説!」をご覧ください。

▼OJTトレーナーに対する研修も重要です。

  OJTをパワーアップさせる!効果的なOJTトレーナー研修とは? OJTとは、新入社員や中途入社社員に、実際の現場で仕事のやり方やスキルを教えるという育成・指導方法です。本記事では、OJTを効果的に運用するためのトレーナー研修について、役割から、研修の内容、成功につなげる鍵となるポイントについて紹介します。 株式会社LDcube


OJT研修を成功させる4つのポイント

OJT研修18

これまでの解説で、OJT研修について、ご理解いただけたのではないでしょうか。

ここで、実際にOJT研修を成功させるためのポイントを4つ見ていきましょう。

OJT研修⑲

これらのポイントを、それぞれ解説していきます。

社内統一のマニュアルを作成する

OJT研修を成功させるには、社内統一のマニュアルを作成しましょう。

「OJTの目的」や「トレーナーの役割」など、統一の基準・決まりがないと、OJT研修の成果がバラバラになるためです。

たとえば、期間などの決まりがないと、研修期間がズルズル長引く可能性があります。
トレーナーへの負担が膨大になり、通常業務にも支障が出てしまいます。

また、トレーナーによっては、独自の指導法や業務のやり方で、新入社員が混乱するケースもあるでしょう。

そのため、基本的に次の事項を入れた統一マニュアルを作成します。

【例:トレーナー用マニュアルの基本事項】

  • OJTの目的
  • トレーナーの役割の定義
  • トレーナー研修について
  • OJT研修の大まかな流れ(部署ごとに作成)
  • OJT研修ゴールの目安(部署ごとの合格ライン)
  • OJT研修の期間の設定
  • OJT研修終了後の行動

※実際の事項は、会社や業務に合わせて変更してください。

可能であれば、部署ごとや業務ごとにマニュアルを作成し、業務内容について細かく記載しておくことをおすすめします。

業務マニュアルがあれば、新入社員が分からないことを文書で確認できるため、トレーナーの負担も軽減されるでしょう。

▼ OJTのマニュアルについては下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

  デジタル時代のOJTマニュアルとは?社員教育のポイントを紹介! 新入社員教育の効率化と効果向上のためにOJTが活用されており、鍵となるのがマニュアルです。OJTマニュアルの重要性、作り方、運用手順について詳しく解説します。新時代に適応したデジタルツールを活用した作成・運用方法についても紹介します。 株式会社LDcube


組織が一体となってOJTを促進する

OJT研修は、トレーナーに任せきりにせず、組織が一体となって促進しましょう。

というのも、トレーナーは、通常業務を行いながら、新入社員の指導を行います。業務の負担が大きくなるだけではなく、精神的にもストレスがかかってしまいます。

そのため、次のようなサポート体制を取ることをおすすめします。

【OJTを促進するためのサポートの一例】

  • OJT研修の前に、トレーナー研修を行う

  • トレーナーの相談に応える部署(担当)を作る

  • 定期的にトレーナー同士やOJT管理者を交えて、情報共有を行う

  • 部署内に、OJT研修のサポーター(サブトレーナー)を配置する

  • 一時的に、トレーナーの業務の配分を削減する

特に、担当トレーナー以外にもサポーターやサブトレーナーを配置しておくと、負担の軽減だけではなく、研修の軌道修正にもなるのでおすすめです。

「意図的」「計画的」「継続的」の3つの原則を意識して行う

OJT研修を成功させるには、「意図的」「計画的」「継続的」の3つの原則を意識して行いましょう。

OJT研修20

  • 意図的
    まずは、トレーナーと新入社員がOJTの目的や意図を、充分に理解していることが大切です。目指すべき将来像を明確にすることで、ブレずに研修を続けることが可能になります。また、トレーナーによるバラツキのないOJT研修が可能になります。 
  • 計画的
    OJT研修には、ロードマップとなる計画書が必須です。いつまでにどのレベルまで到達するのかの目安や、何をどのタイミングで行うのかなどのスケジュールがあると、振り返りの基準になります。成長の度合いも把握しやすくなるでしょう。
  • 継続的
    研修終了後も、継続的にスキルや技術の習得ができるような環境づくりが大切です。OJT研修だけが、育成の期間ではありません。スキルや技術は、何度も繰り返して習得するものです。熟練者とのOJT研修を実施したり、先輩社員から学べる場を設けたりするなど、社内のサポート体制を整えましょう。


PDCAサイクルを意識しておこなう

OJTを実際に行うときには、PCDAサイクルを意識して行いましょう。

PCDAサイクル(Plan-Do-Check-Action cycle)は、Plan(計画)からスタートし、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取った、業務改善を行うための手法です。

継続的に事業やプロジェクトを成長させていくために利用されますが、OJTにも効果的です。

OJT研修 サイクル

  • Plan(計画)
    まずは習得するべき目的を明確にし、業務や新入社員の能力に沿った計画を立てましょう。
  • Do(実行)
    計画書に沿って、OJT研修を実行します。業務の理解を深め、実際にやらせてみることが大切です。
  • Check(評価)
    トレーナーは、新入社員が行なった業務に対して評価をし、フィードバックを行います。また、トレーナーも業務の区切りや、1週間毎など、定期的に他のトレーナーやOJTを統括している責任者からのフィードバックを受けるようにしましょう。
  • Action(改善)
    Check(評価)をしたあと、失敗した点や未達成と思われる業務に対して、改善点を明確にしていきます。この時、トレーナーの意見だけではなく、新入社員自身にも、何をするべきなのかを考えてもらうようにすることがポイントです。

Action(改善)を踏まえて、Plan(計画)を作り直し、Do(実行)するというサイクルを回すことで、スキルや技術がしっかりと定着するでしょう。

これからの時代のOJT研修にはeラーニングや動画を中心としたデジタルコンテンツが欠かせない!

OJT UMU資料

これかのOJT研修には、現場での実践研修に加え、eラーニングや動画を中心としたデジタルコンテンツと併用が欠かせません。

現在の新入社員は、生まれたときからインターネットが存在し、動画で情報を得ることが当たり前になっているからです。

たとえば、学校や塾での学習でも動画が活用されており、分からないことがあれば、すぐにネットで検索。気になる知識は、YouTubeなどの動画サービスやSNSで得るという「習慣」が付いています。

ところが、いざ会社に入ると、先輩の姿を見て学ばなければなりません。
先輩社員との相性が悪い場合や、コミュニケーションが取りづらい環境である場合、新入社員の即戦力化は望めないといいえるでしょう。

そこで、おすすめなのが、OJT研修の結果が出やすいように最適化された、AI活用学習プラットフォーム「UMU」の併用です。

特にZ世代の対象者は、デジタルツールの親和性が高いため、最適な学習環境を提供できるでしょう。

AI活用学習プラットフォーム「UMU」なら、短時間で研修の成果が得られる学習プログラムの作成が可能。

実際の現場指導を、何度でも繰り返しオンライン上で再現することが可能で、​​あらゆる研修に応用できます。

「段階評価セッション」や「課題評価セッション」を追加すれば、研修の習得具合を簡単に把握することができるでしょう。

新人研修に利用した企業の中には、新人の営業成績が10倍になった例もあり、各業界のリーディングカンパニー様も続々と導入されています。

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まとめ

これまでの解説で、成功するOJT研修について、ご理解いただけたのではないでしょうか。

では、最後にこの記事の内容をまとめてみましょう。
 
◯ OJT研修とは
OJT研修は「職場での実務を通じて新入社員の知識やスキルを取得させる教育法」を指します。
セミナーなどのOFF‐JT研修と比較して、OJT研修には次のような特徴があります。

【OJT研修とOFF‐JTの比較】


OJT研修
OFF-JT研修
人数
基本的に2人 (トレーナー + 新入社員)
大人数or少人数のグループ (講師 + 新入社員)
進め方
トレーナーが寄り添いながら進める
講師が主体となって進める
特徴
  • 基本的に配属される部署で実施される
  • トレーナーが業務のやり方を教え、新入社員は隣で見て、一緒にこなす
  • その場に応じて疑問や質問に答える
  • フィードバックを通して、業務への理解を深める
  • 基本的に、セミナー会場などで実施される
  • 講師が一方的に指導する場合が多い
  • 育成の効果を均一化しやすい
  • 専門知識や考え方などを順序だてて学べる

◯ 新入社員にOJT研修を行う目的

  • 新入社員の即戦力化を図る
  • 新入社員の心理的安全性を確保し、離職リスクを下げる

◯ OJT研修を行うメリット【新入社員・トレーナー・会社全体】

新入社員
いち早く実践的なスキルや知識を身につけることができる
トレーナー
自身の能力開発・向上につながる
会社全体
社内コミュニケーションの活性化+外部講師へのコスト削減を同時にできる

◯ OJT研修を行うデメリット【新入社員・トレーナー・会社全体】

新入社員
トレーナーの能力で成長に差が出る
トレーナー
OJT研修の手間や時間がかかる
会社全体
売上など会社の成長以外に時間を割くこととなる

◯ OJT研修に向いていない企業・業種

  • 現場が忙しすぎて、指導する時間や余裕がない企業
  • 指導を任せることができる人(トレーナー)がいない企業
  • 業務の手順などが体系化されていない企業・業種
  • 必要な専門知識が膨大な業種

この記事を参考にして、あなたの会社のOJT研修が成功し、即戦力となる人材が多く誕生しますことを願っています。

株式会社LDcubeはこれまでの組織活性化や人材育成で培ったノウハウを生かしながら、新たな時代の人材育成方法の模索を支援しています。

また、OJTのデジタル化に向けたプラットフォームの提供やコンテンツ作り、運用のサポートなど、OJTトレーナー研修の実施など、さまざまなサービスを展開しています。

無料のデモ体験会や具体的な使い方のご案内、導入事例の紹介なども行っています。お気軽にご相談ください。

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