OJT計画とは?テンプレートや効果的なプランの立て方・注意点
「OJT計画の立て方がわからず、頭を悩ませている」という方は、多いのではないでしょうか。
近年、人材育成の重要性が叫ばれるなか、効果的なOJT(On-the-Job Training:職場内訓練)の実施が、企業の発展に不可欠となっています。
OJTを体系的に行うためには、綿密な計画を立てることが重要ですが、その作成方法に悩む企業は少なくありません。
本記事では、OJT計画の基本から、効果的な作成方法、注意点までを詳しく解説します。
ご一読いただくと、自社に最適なOJT計画を立案し、社員の成長を加速させるノウハウが身に付きます。さっそく見ていきましょう。
▼OJTの全体像や詳細のテーマについては以下にまとめています。併せてご覧ください。(関連記事)
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▼OJTについてのお役立ち資料は下記よりダウンロードできます。
目次[非表示]
- 1.OJT計画の基礎知識について
- 1.1.OJT計画とは何か
- 1.2.OJT計画を立てるべき理由
- 1.3.OJT計画書のテンプレート例
- 2.OJT計画の効果的な作り方
- 2.1.ステップ1:中長期の成長目標を明確にする
- 2.2.ステップ2:短期の成長目標に落とし込む
- 2.3.ステップ3:教育内容と期間を具体的に設定する
- 2.4.ステップ4:育成方法とフィードバック方法を決める
- 2.5.ステップ5:評価基準と評価方法を明確にする
- 2.6.ステップ6:計画の見直しと修正を継続的に行う
- 3.OJT計画作成時の3つのポイント
- 4.OJTを計画的に進めるにはデジタル化
- 5.まとめ
OJT計画の基礎知識について
OJT計画は、新入社員や業務未経験者の育成を、効率的かつ効果的に行うために不可欠なツールです。まずは、OJT計画の基本的な知識を確認しておきましょう。
OJT計画とは何か
OJT計画とは、新入社員などの育成目標を達成するための、具体的なOJTカリキュラムとスケジュールのことです。
OJT計画で扱う領域は、端的にいえば “OFF-JT(=集合研修、座学での学習)以外の実習トレーニングすべて” となります。
出典:厚生労働省「有期実習型訓練を活用してみませんか」を加工
OJTの対象となる社員に必要なスキルや知識を洗い出し、職場内でのトレーニングを通じて、「いつまでに・何を・どのように習得するのか」を明確にします。
このOJT計画は、育成担当者とOJT対象者の双方にとって、指針となるものです。
計画に沿った実践によって、効率的かつ着実な人材育成が可能となります。
OJT計画を立てるべき理由
OJT計画を立てることには、以下のようなメリットがあります。
【OJT計画を立てるべき理由】
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逆に、OJT計画を立てずに場当たり的に教育を行うと、対象者のスキル習得に遅れが生じたり、指導内容にムラが出たりするおそれがあります。
社員の早期戦力化が望めないだけでなく、早期離職を招くケースもありますので、注意が必要です。
OJT計画書のテンプレート例
OJT計画書のテンプレートとしては、以下のような項目を盛り込むとよいでしょう。
【OJT計画書のテンプレート項目例】
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以上の項目を網羅したテンプレートを用意しておくと、OJT計画の策定がスムーズになります。自社の状況に合わせて、項目の追加・修正を行ってください。
以下はテンプレートの例です。
【中長期の計画書の例】
【短期の計画書の例】
出典:OJTの正しいやり方とは?【即戦力を育てる】7ステップを徹底解説!
ほかにも検索すると、さまざまなテンプレートがヒットします。
⇒ Googleで[OJT計画書 テンプレート]と画像検索した結果ページ
上記リンクからテンプレート画像を確認できます。参考にしてみてください。
OJT計画の効果的な作り方
続いて、効果的なOJT計画の作成プロセスを、具体的なステップに分けて解説します。
ここでは、以下の6つのステップに分けて見ていきましょう。
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ステップ1:中長期の成長目標を明確にする
1つ目のステップは「中長期の成長目標を明確にする」です。
まずは、育成対象者の中長期的な成長目標を設定します。
いつまでに、どのようなスキルや知識を身に付けてほしいのか、ゴールイメージを明確にしましょう。
本人の適性や、配属先の部署の特性を考慮しながら、達成可能な目標を立てることが重要です。
【中長期の成長目標設定の際の注意点】
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長期目標がブレないよう、しっかりと言語化し、文書に落とし込んでおきましょう。
設定した目標は、OJT実施中に常に意識できるよう、OJT日誌の裏表紙などに掲示する工夫も有効です。
ステップ2:短期の成長目標に落とし込む
2つ目のステップは「短期の成長目標に落とし込む」です。
中長期の目標ができたら、次はそれを短期の目標に分解していきます。
中長期の目標を達成するために、まずは何から取り組むべきかを明らかにするプロセスです。
短期の目標は、3か月先、半年先など、比較的近い未来の姿を思い描きながら設定しましょう。
【短期目標への落とし込み方】
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短期目標は、中長期目標よりも具体性を高め、より行動レベルに近づけて設定します。
小さなトレーニングの積み重ねを通じて、大きな目標を達成できるよう、着実に一歩ずつ進められる目標を心がけましょう。
ステップ3:教育内容と期間を具体的に設定する
3つ目のステップは「教育内容と期間を具体的に設定する」です。
短期目標が定まったら、目標を達成するための教育内容と期間を具体化します。過去の知見なども参考にしつつ、対象者の成長度合いに応じた教育プログラムを設計しましょう。
【教育内容設定のポイント】
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教育内容と期間は、フィックスト(固定)とフレキシブル(柔軟)のバランスを取るのがポイントです。
大枠のスケジュールは固定しつつ、対象者の成長スピードに合わせて、臨機応変に内容を調整できる余地を残しておきましょう。
ステップ4:育成方法とフィードバック方法を決める
4つ目のステップは「育成方法とフィードバック方法を決める」です。
教育を効果的に進めるには、適切な指導方法の選択と、きめ細やかなフィードバックが欠かせません。対象者の特性を見極めつつ、育成方法を柔軟に使い分けていく必要があります。
【育成方法の例】
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育成担当者は、対象者との信頼関係を築きながら、適切な指導とフィードバックを心がけましょう。対象者の主体性を引き出し、モチベーションを高める関わり方が求められます。
なお、育成担当者(OJTトレーナー)の育成が不十分な企業においては、OJTトレーナー育成計画の策定も必要です。
トレーナー育成については、以下の資料で詳説しています。あわせてご覧ください。
ステップ5:評価基準と評価方法を明確にする
5つ目のステップは「評価基準と評価方法を明確にする」です。
育成の成果を測定するには、評価基準の設定と、適切な評価方法の選択が不可欠です。対象者の成長度合いを多面的に評価できるよう、評価の仕組みを工夫しましょう。
【評価基準の設定方法】
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評価の実施タイミングは、マイルストーン到達時など節目に設定しましょう。
評価結果は、上司と対象者の面談の場で丁寧にフィードバックし、対象者のさらなる成長をサポートするとよいでしょう。
ステップ6:計画の見直しと修正を継続的に行う
6つ目のステップは「計画の見直しと修正を継続的に行う」です。
作成したOJT計画は、実行しながら随時、見直しを図りましょう。
OJT計画のゴールは、計画の完遂ではなく、「育成対象者が必要な知識やスキルを習得すること」です。
教育を進める過程で、対象者の成長度合いの過不足や、計画の誤算が見えてくることがあります。それらを無視せず、柔軟に計画を修正しながら育成を進めることが大切です。
【計画見直しの視点】
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計画の見直しは、育成担当者だけでなく、関係者を交えて行うと効果的です。多様な視点から計画を振り返り、より効果的な育成プロセスを設計していきましょう。
OJT計画作成時の3つのポイント
最後に、OJT計画の作成および実行時に気をつけたいポイントをお伝えします。以下の点を意識しながら進めていきましょう。
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所持スキルからストレス耐性まで対象者の特性に合わせる
1つ目のポイントは「所持スキルからストレス耐性まで対象者の特性に合わせる」です。
OJT計画の策定の理想的なあり方は、対象者一人一人の特性や学習スタイルを見極め、その人に合わせた育成プランを設計することです。
画一的なカリキュラムを全員に適用するのではなく、個人の強み・弱みを分析して対応する柔軟性が、成果につながります。
【対象者の特性分析の着眼点】
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このような対象者理解の鍵は、日常の観察と定期的な面談を通じた情報収集にあります。
表面的な印象にとらわれることなく、対象者の個性に寄り添う姿勢こそが、OJTの成功を左右する大きな要因です。
対象者が混乱しないようにチームの連携を密にする
2つ目のポイントは「対象者が混乱しないようにチームの連携を密にする」です。
OJTを組織的に展開していくには、育成する側の連携プレーが不可欠です。
対象者の視点から見たときに、
「教育担当者と上司とで、言うことが違う」
「教わったとおりに業務を行ったら、他部署から叱責を受けた」
など、育成側の連携不足による弊害が起きる状況は、避けなければなりません。
対象者を混乱させず一貫性のある指導を行えるよう、OJTの目的達成を下支えするチームビルディングを図りましょう。
【連携強化のためのアクションプラン】
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一人一人が持ち味を発揮しながら、同じベクトルに向かって協力し合える体制があれば、OJTを受ける新入社員や若手社員も、チームの一員として早くなじめるでしょう。
計画と照らし合わせて効果を検証する
3つ目のポイントは「計画と照らし合わせて効果を検証する」です。
OJTの効果を組織全体で最大化するには、個々のOJT計画の進捗管理だけでなく、OJTの全体的な成果を検証し、PDCAサイクルを回していくことが重要です。
組織目標に対して、どの程度の成果が出ているのかを多角的に評価し、次なるOJTの改善につなげていく必要があります。
OJTの組織的な効果検証を進めるためのポイントは以下のとおりです。
【OJTの組織的な効果検証のポイント】
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組織の人材力強化には、個人の成長だけでなく、組織全体でOJTに取り組む意識や風土づくりが欠かせません。効果検証を通じて、組織のOJTの強みと課題を認識し、より効果的なOJTの仕組みを作り上げていきましょう。
人材育成の効果測定については、以下の記事もあわせてご覧ください。
⇒人材育成の効果測定とは?重要な観点や評価項目を網羅的に解説
OJTを計画的に進めるにはデジタル化
OJTを計画的に進めるためには、デジタル化が重要です。
OJTのデジタル化とは、OJTで教える内容について動画コンテンツやファイルデータ、理解度クイズなどをデジタル化し、プラットフォーム上で引用することにより、学習行動の履歴を管理しなgら、OJTのやり方そのものを変革し、効果を高めていくことを指します。
デジタル化は「ばらつき」を軽減し、生産性を向上させる有効な手段です。教える内容を統一したデジタルコンテンツとして整備することで、誰が教えるかに依存せず、質の高い教育を提供できます。これにより、トレーナーの業務負荷も軽減され、効率的な教育を実現できます。
さらに、デジタルコンテンツを活用して、いつでもどこでも学べる環境を整備することで、受講者は自己学習を通じてスキルを向上させることができます。
学習行動やトレーナーの指導行動のデータ解析を通じて、人材育成の再現性も向上させることが可能です。
これらの取り組みを通じて、OJTを計画的に進めるオンボーディングプログラムが実現され、新入社員や若手社員が早期に戦力として活躍し、企業全体の成長が促進されます。
▼OJTのデジタル化については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒OJTにおける最大のデメリットとは?解決策と合わせて解説!
まとめ
本記事では「OJT計画」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
OJT計画の効果的な作り方を6つのステップに分けて解説しました。
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OJT計画を作成する際に注意すべき3つのポイントは以下のとおりです。
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OJT計画は社員育成に欠かせない、重要なツールです。本記事でご紹介した知見を実践の場で活用し、教育のブラッシュアップを図っていただければ幸いです。
株式会社LDcubeはこれまでの組織活性化や人材育成で培ったノウハウを生かしながら、新たな時代の人材育成方法の模索を支援しています。
また、OJTのデジタル化など課題解決に向けたプラットフォームの提供やコンテンツ作り、運用のサポートなど、OJTトレーナー研修の実施など、さまざまなサービスを展開しています。
無料のデモ体験会や具体的な使い方のご案内、導入事例の紹介なども行っています。お気軽にご相談ください。
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