
コンテンツ作成はどうする? 研修の機会を活用した、動画をはじめとした学習用コンテンツの作り方を解説! 研修の機会を活用するポイントやメリットも紹介
コロナ禍をきっかけに企業内でも研修をオンライン化することが増えました。同時にオンライン学習用のコンテンツをどのようにして作成したらよいか?という悩みも出てきています。本記事ではコストをかけずに、既にある研修の機会などを活用し、教育しながら動画コンテンツの作成などを進めていくポイントを解説し、得られるメリットも紹介します。
目次[非表示]
- 1.社内学習用コンテンツ作成上の課題
- 1.1.コンテンツの種類
- 2.人材育成に主眼をおいたコンテンツ作成の3つの進め方
- 2.1.主管部門主導方式
- 2.1.1.今ある機会を活用する
- 2.1.2.オンライン会議システムで実施し、録画する
- 2.2.プロジェクト展開方式
- 2.3.研修活用方式
- 3.研修の機会を活用する
- 3.1.新入社員研修内でのセッション
- 3.2.OJTリーダー研修でのセッション
- 3.3.営業研修でのセッション
- 4.自然とコンテンツが生まれるサイクルをつくる
- 5.まとめ
社内学習用コンテンツ作成上の課題
社内研修のオンライン化に伴い、オンラインで学習するシーンが増えました。eラーニング、動画学習、オンライン会議システムを活用したオンライン研修などそのスタイルはさまざまです。
その中で課題として挙がってくるのが、いつ、誰が、どのようなコンテンツを作るのかという点です。人手や時間などリソースが限られている中、コンテンツの作成まで手が回らず、オンライン化を始めたもののなかなか進まないという悩みが増えています。
コンテンツの種類
オンライン学習用のコンテンツはいくつかの種類があります。代表的なものは、動画、PDFなどのテキストや資料、理解度クイズ、アンケートなどです。資料や理解度クイズ、アンケートなどは紙ベースで活用していたデータなどがあればそれを多少加工することで手間をかけずにそのまま使うことができます。
動画については、これまで動画コンテンツを作成してきていないという場合には、改めて作成していく必要があります。その際のポイントは凝ったものを作ろうとしないことです。制作会社に依頼して編集などしてもらうことで、きれいな動画を制作することはできますが、あくまで社内視聴用のコンテンツと割り切れば、きれいでカッコいいコンテンツでなくても十分学習という目的を達成することができます。まずは動画コンテンツ作りのハードルを低めに設定することが重要です。
動画コンテンツ作成の具体的な方法やポイントは下記記事をご覧ください。
人材育成に主眼をおいたコンテンツ作成の3つの進め方
コンテンツ作成における課題である、誰が作成するのかという点について、3つの進め方について紹介します。
主管部門主導方式
まずは人材育成の主管分が主導してコンテンツ作成を行う方式です。人事部や人材開発部、営業教育部、研修部などです。組織により具体的な機能や役割はまちまちですが、主に研修の企画や運用を行っている部門です。これまで企画や運用が中心である場合、コンテンツ作成のノウハウやコンテンツ作成を行うリソースが不足するケースが多いです。主管部門が主導でコンテンツ作成を行う場合、現場の業務ついての情報が不足したり、現場の業務について理解している現場の人たちというリソースが使えなかったりという課題があります。
その場合、コンテンツ作成のおすすめの方法は下記2点です。
今ある機会を活用する
人材育成主管部門の場合、研修やセミナーの企画や運用を行っているケースが多いので、研修やセミナーの機会があります。その場合には、オンライン、オフラインといういずれの実施スタイルの場合でも録画しておいて、それを素材として活用するという点がポイントです。
さまざまなテーマについて講師の方が講義しているシーンを録画しておけば、それを学習コンテンツとして活用することができます。実技のやり方を教えているシーンも録画しておけば、マニュアルのようなコンテンツとして活用が可能です。
このように今ある機会を活用し、録画することでコンテンツ化を図るというものです。
オンライン会議システムで実施し、録画する
これから社内で勉強会などの予定がある場合、実施をオンライン形式として、その実施状況を録画することでそのままコンテンツ化を進めることができます。場所を選ばす実施することができ、録画しておいてアーカイブ動画として活用する、動画をテーマごとに区切ってマイクロラーニング化して活用することもあります。
ZoomやTeamsなどのツールを使えば手軽に録画が可能ですし、動画を小分けにするだけであれば編集の手間もあまりかかりません。
プロジェクト展開方式
各部門で必要なコンテンツが異なる場合や各現場の状況に合わせたコンテンツ作成を進めたい場合にはプロジェクト展開方式がとられるケースが多いです。
各部門から1~2名のプロジェクトメンバーを選出してもらい、各部門の状況やニーズを把握しているプロジェクトメンバーが各部門のコンテンツを作成していきます。
【プロジェクトの流れ】
- 経営企画部門や人材開発部門が事務局となって、人材育成のデジタル化を進めるために各部門からプロジェクトメンバーを募ってコンテンツの作成を進めていくことを会議体で起案し、プロジェクトを発足させます。
- 各部門の部門長へプロジェクトメンバーの選出の依頼をする。プロジェクトメンバーは各部門2名程度で進めるケースが多いです。1名はさまざまな状況を把握しており、判断ができる管理職クラス、もう1名は実際にコンテンツ作成において手を動かす若手・中堅クラスのメンバーという構成です。
- プロジェクトメンバーを集めてキックオフをします。今回の狙いや期待について伝えるとともに、今後の進め方やスケジュール感などを共有し、協力を要請します。
その上で、各部門で「一人前」と言われるようになるまでにどのようなことを学習する必要があるかという観点から、知識やスキルを棚卸しします。棚卸しした内容を踏まえて、コンテンツ作成計画を立案します。 - コンテンツ作成に際しては、現場で作業シーンを録画したり、ベテラン社員へインタビューしてその様子を録画したりしながら映像として残していきます。今はスマホ一つあれば録画もできるためスマホで行われるケースが多いです。
内勤部門の方々はシステムの使い方や各種ツールの操作方法の手順についてPCを操作しながら説明している画面を録画するなどしてコンテンツ化していきます。 - 作成されたコンテンツを整理し、学習しやすいようにコース化を図りながら、プラットフォーム上に整理をして学習環境を整えます。
研修活用方式
教育主管部門が主導したいものの現場のノウハウやリソースが活用しにくいという場合に用いられるのが、研修活用方式です。これは今ある研修の機会を活用する2.1.1の方式に似ていますが、少し違います。
これはコンテンツ作成することを目的の一つとした研修会を企画し、その研修の受講者に研修における課題の一環としてコンテンツの作成をしてもらうというものです。
教育主管部門であれば研修を企画し、運用することができます。研修の機会を企画し、研修受講者の能力開発を図りながら、研修中の課題としてコンテンツ作成をしてもらうことで、研修が終わるとコンテンツも出来上がるという一石二鳥の進め方です。次の章で詳しく紹介します。
研修の機会を活用する
研修の機会を活用し、受講者に学習してもらいながら同時にコンテンツ作成も行っていく方法をご案内します。
新入社員研修内でのセッション
新入社員研修内で行っていく際には、下記のようなセッションを取り入れるケースが多いです。
【理解度クイズ作成ワーク】
新入社員研修の中盤や終盤で、それまで学習してきたことを整理して理解度クイズを作成するというワークを取り入れます。これは行うこと自体がこれまでの復習になり、学んだことを再確認することにつながり、効果が高いです。
グループを分けてグループごとに分野を割り振って、担当する分野について再確認しながら理解度クイズを作成します。仮に新入社員30名で、5名×6Gでの新入社員研修の場合、
- 会社概要について
- SDGへの取り組みについて
- 人事制度・福利厚生制度について
- 自社の情報システムについて
- A事業について
- B事業について
など分野を分けてそれぞれクイズを作成します。各グループ10問ずつとした場合、60問のクイズが出来上がります。このクイズをこのワーク以降新入社員に出題することで新入社員として押さえておきたい基本について学び合うことができ、学習効果を高めることができます。
そしてこのコンテンツは翌年以降、初めから学習コンテンツとして活用することも可能となります。事務局サイドで理解度クイズを考えるという労力を削減することができます。
OJTリーダー研修でのセッション
OJTリーダー研修の機会を活用する際には、OJTリーダーにOJTとは何か、OJTのやり方などを案内するだけでなく、自身の経験なども振り返り、OJTすべき内容についても整理してもらいます。
新人がどのような内容をどのような順序で学習していくこと効果的かという観点から洗い出しでまとめていきます。
そして、整理した内容を基にして、グループで役割分担をしてコンテンツを作成してもらいます。
研修自体はシリーズ研修で企画します。なぜなら研修会場の中には現場がなく、コンテンツ作成を進めるためには現場に戻り、作業シーンや仕事を行っているシーンを撮影したり、上司や先輩にインタビューしてみたりということが必要だからです。計画作成と進捗管理を研修の機会を用いて進めていきます。OJTリーダーとして、自分が新入社員だった時にこんなコンテンツがあったらよかったなという観点から作成することができるため現場でも活用されやすいコンテンツとなります。
また、作成しているのがOJTリーダーであることから、現場でのOJTのシーンでも活用されやすくなります。どのようなコンテンツが存在するかをOJTリーダーが把握しているため、新人にOJTする際に「まずは○○についての動画を見てやり方のイメージをつかんでみて」と教えることができます。
また、これによりOJTのばらつきも軽減することができます。以前は配属された職場の先輩により言うことが違うということがよくおきていましたが、動画コンテンツなどで教えることをそろえておくことで、どこの職場に配属されても同じことを同じ水準で教えることが可能となり、ばらつきを抑え、底上げにつなげることが可能です。
また、教えることが動画コンテンツ化されていることで結果としてOJTリーダーの負担を軽減することにもつながります。
OJTリーダー研修方式は一石二鳥どころか一石三鳥にも四鳥にもなるので、おすすめです。
営業研修でのセッション
営業研修の機会を活用する場合には、現場での実践的なトークなどのポケットノウハウを動画コンテンツ化していくことで営業現場の底上げやOJTの底上げにつなげていくことができます。ラーニングプラットフォームを活用し、AIによるセールストークのコーチングを受けて学びながら同時にコンテンツ化していくことが可能です。
営業研修については下記記事で詳しく解説しています。
このように研修の機会を活用し、受講者に学びながらコンテンツ作りもしてもらうという、受講者というリソースも利用してコンテンツ作成を行っていくのがコツです。
自然とコンテンツが生まれるサイクルをつくる
ある程度のコンテンツが用意され、動画などを活用した学習スタイルが定着してくると自然とコンテンツが増えていくサイクルが生まれます。それは学習者含めて、オンラインでの動画を使った学習の有用性に気付き、ちょっとしたことでも動画を撮影していくということや会議のシーンでも重要なことは動画としてストックしておくという行動が生まれるためです。
管理間接部門から現場の人に伝えたい事柄なども会議や勉強会を通じて伝えるということよりも動画にして配信することで簡単に伝えることが可能になり、またプラットフォーム上で配信することで、誰が見ていて、誰が見ていないのかも確認ができます。
社内で伝えたことはオンラインコンテンツ化して伝えていくこと効果的かつ効率的というように仕向けていくことでコンテンツを増やしていくことにつながります。
まとめ
コンテンツ作成はどうする?研修の機会を活用した、動画をはじめとした学習用コンテンツの作り方とは?について紹介してきました。
オンライン学習環境を整えることで効果的かつ効率的な学習が実現できます。しかしながらコンテンツの作成についてはリソース確保の側面などから悩みも多い部分です。さまざまな工夫をしながら、今ある機会や受講者というリソースも利用することなどは参考になるのではないでしょうか。
株式会社LDcubeではこれまで多くの集合研修で得られた経験やノウハウを踏まえ、UMUを活用した新時代の学習環境づくりのご支援をしています。研修の機会を活用したオンラインコンテンツの作成支援や、オンラインコンテンツの作成サポートなども行っています。お気軽にお問い合わせください。
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