OJTの正しいやり方とは?即戦力を育てる7ステップを徹底解説!
「OJTの正しいやり方を知りたい!」
「我が社のOJTのやり方は合っているのだろうか」
4月が近づくたびに、新入社員や人事異動のための「研修」の準備に追われる企業や組織の担当の方も多いのではないでしょうか。
「研修」というと、会議室などで行われる合同研修や、最近では、ネットを介したeラーニング研修など、さまざまな形があります。
中でも、OJT(On the Job Training)は、ほとんどの企業が導入している研修です。
しかし、「正しいOJTのやり方が、分からない」という方も多いのではないでしょうか。
効果的なOJTのやり方は、次のような流れで進めます。
OJTは、このように正しく進めることで、非常に高い効果が出る研修方法です。新人社員の即戦力化も可能となるでしょう。
しかし、多くの会社が、先輩が仕事のやり方を、単にマンツーマンで教える「形だけのOJT」となっているようです。
指導内容がトレーナーに任せきりになって、習得状況がバラバラだったり、トレーナーの負担だけが増えたりと、問題を抱える企業も少なくありません。
この状況を放置しておくと、社員の不満が溜まり、社内の雰囲気が悪くなって、最悪、早期退職につながることも起こりうります。
まずは正しいOJTのやり方を理解したうえで、成功させるポイントを押さえましょう。
そこでこの記事では、次のことをお伝えします。
この記事で分かること |
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この記事を読めば、あなたの会社でも実践できる、正しいOJTのやり方を理解することができます。
新入社員を最速で育て上げ、即戦力となる社員に成長させることも可能になるでしょう。
ぜひ、参考にしてください。
▼ OJTの全体像については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒OJTとは?意味や目的、メリット、Z世代への適応まで全解説!
▼OJTがうまくいっている企業事例については下記にまとめました。合わせてご覧ください。
⇒OJT成功の企業事例10選|うまくいく会社の共通ポイントを解説
▼ OJTのばらつき軽減策についてまとめました。施策検討にお役立てください。
▼ OJTトレーナー研修についてまとめました。こちらも施策検討にお役立てください。
目次[非表示]
- 1.OJTのやり方①OJTの目標を設定する
- 2.OJTのやり方②育成対象者の現状を把握する
- 3.OJTのやり方③トレーナーを任命しトレーナーを研修する
- 4.OJTのやり方④計画書・時間割を作成する
- 4.1.OJT計画書を作成する
- 4.2.時間割を作成する
- 5.OJTのやり方⑤OJTを実践する
- 5.1.「Show」やってみせる
- 5.2.「Tell」説明・解説する
- 5.3.「Do」やらせてみる
- 5.4.「Check」評価・指導をする
- 6.OJTのやり方⑥振り返りをする
- 7.OJTのやり方⑦評価と改善を行う
- 8.OJTを成功させるための2つのポイント
- 9.Z世代が学びやすいOJT環境をつくるには「UMU(ユーム)」
- 10.まとめ
OJTのやり方①OJTの目標を設定する
OJTを始めるには、まずはOJTの目標を設定しましょう。
目標があることで、研修の計画が立てやすく、習得の程度を測る目安となるからです。
また、社内や部署内で共通の目標を設定することで、OJTの取り組みがブレずに、社内で均一になることが期待できます。
必ず育成対象者やトレーナーにも、共有しておくようにしましょう。
なお、具体的な日程や、習得の内容については、「4-1.OJT計画書を作成する」で決定します。あくまで成長の目安として、目標を作ります。
たとえば、営業職の目標の例を見てみましょう。
【例:営業職の目標】
短期目標 |
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〜3ヶ月 |
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〜6ヶ月 |
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中期目標 |
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長期目標 |
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業種や業務の内容によって、内容などは異なりますので、自分の会社に合わせて作成してください。
OJTのやり方②育成対象者の現状を把握する
より良いOJTを行うには、対象となる社員の現状を把握しておくことが大切でしょう。
計画書の作成や、担当トレーナーを決める際の重要な情報とするためです。
必要なスキルや知識は、業種や配属される部署によっても異なります。また、トレーナーとの相性もあります。
そのため、現段階での育成対象者の適正や、個性(性格)などを具体的に調査し、ギャップや無理が生じないようにしておきましょう。
【例:育成対象者の現状把握シート】
育成対象者の現状 |
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スキル・資格 |
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適正検査結果 人事評価 |
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OJTのやり方③トレーナーを任命しトレーナーを研修する
次に、トレーナーを任命し、トレーナー研修を実施します。
トレーナーを決めても、適正などを考えず、研修なしにそのまま実施すると、単なる「マンツーマン指導」に終わってしまう可能性もあるでしょう。
そのため、次のようなポイントを押さえておくと、OJTの効果が高くなります。
それぞれ解説していきましょう。
入社2~5年目くらいの社員をトレーナーに任命する
OJTを実際に行うトレーナーは、育成担当者が配属される部署の、入社2~5年目くらいの社員が良いでしょう。
入社2〜5年目の社員が理想なのは、育成対象者と同世代なので、比較的コミュニケーションが取りやすいからです。先輩後輩の関係で、相談もしやすいでしょう。
反対に、年齢が離れすぎている社員や、上司である場合、育成対象者が萎縮する可能性が高くなります。
気軽に質問や失敗ができなくなると、成長しづらい環境になりかねません。
また、OJTは、トレーナー自身が成長する機会でもあります。
OJTの体験から、問題解決や後輩への指導のスキルが身にき、今後のキャリアアップの原動力にもなるでしょう。
OJTトレーナー研修を実施する
実際にOJTを行う前に、トレーナーに対しても研修を行いましょう。OJTを行うには最初が肝心です。我流のOJTにならずいに、ポイントを押さえたOJTができるよう研修を通じてしっかりトレーニングしましょう。
研修責任者や他のトレーナーと連携し、スキルの習得や情報共有することで、習得のバラツキやトラブなどを回避することができます。
その他にも、トレーナー研修を実施するのは、次のような理由があります。
【トレーナー研修を実施する理由】
研修内容 |
研修方法 |
OJTの理解 |
座学 |
OJTの目標 |
座学 |
OJTの進め方 |
座学 |
コミュニケーション指導 |
・専門家による指導 |
指導の実践テクニック |
・専門家による指導 |
計画書の作成 |
演習 |
さらに、外部の講師などを招いて、コーチングなどの講習をすると、OJTの精度が向上します。
▼ OJTトレーナー研修については下記資料もご覧ください。
OJTのやり方④計画書・時間割を作成する
OJTを効果的に進めるには、「OJT計画書」が必要です。
OJTで習得するべき内容は多岐にわたりますので、一度に全てを教えることは不可能です。
そのため、短期や長期で期限を区切た計画書を作成し、育成対象者の成長の過程や、達成具合を確認する必要があるでしょう。
また、計画書を具体的に進めるため、いつ何を学ぶのかなどを考慮して、「時間割」も作成しておきます。
OJT計画書を作成する
OJT計画書を作成します。
ここでは、例として、営業部の短期目標を元に、OJT計画書を作成してみました。
【例:OJT計画書(短期)】
期間 |
本配属後の3ヶ月間 《5月1日〜7月31日》 |
育成対象者 |
田中 和樹さん |
トレーナー |
営業2課 斎藤 拓海さん |
育成対象者の現状 |
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OJT到達目標 |
基礎業務を身につけ、3ヶ月後に独り立ちする。 |
1ヶ月目 |
《教育目標》 我が社の社員としての自覚を持つ。
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2ヶ月目 |
《教育目標》 トレーナーのサポートを受けながら営業業務を一通り行う。
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3ヶ月目 |
《教育目標》 トレーナーのサポートを受けながら新規開拓を成功させる。
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時間割を作成する
計画書ができたら、次は時間割を作成します。
効果的に計画が進むように、1日の時間を、どのように使うか明確にする必要があるためです。
もし、計画通りに進まなかった場合、どこに無理があるのか、改善する目安にもなります。
計画書に沿って、次の例のように大まかに設定すると良いでしょう。
【例:1ヶ月目の時間割】
午前中 |
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13:00〜15:00 |
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15:00〜17:00 |
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17:00〜 |
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業務ではイレギュラーな自体も発生しやすいもの。学校のように、1時間ごとに区切るような綿密なものである必要はありません。
▼OJT計画については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒OJT計画とは?テンプレート例や効果的なプランの立て方・注意点
OJTのやり方⑤OJTを実践する
OJTは基本的にマンツーマン指導での実施となります。
職種や業務によって多少異なる点はありますが、実際の指導には「4段階職業指導法」という方法を用いることが基本です。
これは、「Show(やってみせる)」「Tell(説明・解説する)」「Do(やらせてみる)」「Check(評価・指導をする)」というプロセスで、即戦力を育成する、実践型の人材育成手法です。
4段階職業指導法
頭では理解していても、実際の業務がうまくいくわけではありません。この4つを育成対象者が慣れるまでくりかえすことが大切でしょう。
それぞれの段階のポイントを解説していきましょう。
「Show」やってみせる
まずは、トレーナーが、実際の業務をやってみせることからはじめます。
トレーナーの業務を実際に見ることで、育成対象者は、自分の仕事を具体的にイメージすることができるためです。
解説や説明を先にすると、育成対象者はイメージができず、混乱してしまう可能があるでしょう。
専門的な業務だけではなく、電話の対応や、コピーの取り方など些細なことでも、まずは「お手本」を見せるようにしましょう。
「Tell」説明・解説する
トレーナーが業務を行っているところを見せたあと、育成対象者に業務の内容や、やり方を丁寧に解説します。
なぜこのやり方をするのか、どのタイミングで行うのかなど、業務の目的などもしっかりと説明します。
分からないまま次の段階へ進むことがないよう、質問なども積極的に受けましょう。
「Do」やらせてみる
次に、実際にその業務をやってもらいましょう。
やってもらうことで、本当に理解ができているのか、間違って理解していないかなどを確認します。
この時、必ずトレーナーは側にいてサポートをします。業務によっては、危険がないように充分な配慮も必要です。
「Check」評価・指導をする
育成対象者が行った業務をチェックし、簡単な評価や指導を行います。
【チェックするべきこと】
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失敗してしまった点は、具体的に、何が悪かったのか、どうすればよかったのかを丁寧にフィードバックし、気づきを促しましょう。
また、失敗した箇所を指摘するだけではなく、できたところは積極的に評価することを意識しておきましょう。できなかったことの指摘だけでは、成長を実感しにくくモチベーションも低下してしまいます。
できなかった業務に関しては、再度「Show」からはじめると、習得が早く、スキルが定着し、成果につながりやすくなります。
チャレンジを促そう! |
全体を通して、失敗をしないように先回りするのではなく、できるだけチャレンジをするように促しましょう。 育成対象者は、新人にしか許されない失敗を重ねて、特別な経験や実体験を得ることができます。 この学びが、今後の仕事に大いに活かされ、社員の一員として飛躍することにも繋がるはずです。 |
OJTのやり方⑥振り返りをする
定期的なOJTの振り返りは、OJTをどう進めるかなどの指針となるため、一定の区切りで行うことが大切です。
業務単位や、週・月単位などを決めて行えば、客観的な進行具合をチェックし、改善に活かすことができるでしょう。
この場合、OJTの当事者同士だけではなく、OJTリーダーや他のトレーナー、OJT管理者なども交えて、コミュニケーションを取りながら進めます。そうすることで、課題や解決策が見つかりやすくなります。
振り返りの中で、特に確認するべき事項は次の3つです。
それぞれ解説しましょう。
ポイント1:計画書通りに進んでいるか
まずは、計画書通りにOJTが進んでいるかをチェックします。
これにより、育成対象者は自分自身の進捗や状況を、客観的に把握することができます。
単純に「できる・できない」を判断するのではなく、何を改善すればよいのかを管理職や別の指導者等の第三者を交えて話し合うとよいでしょう。
計画書を元に、チェックシートなどを作成しておくと、分かりやすくなります。
計画的に進めているつもりでも思ったように進まないこともあります。OJTがうまく進んでいない場合、その原因をしっかりとつきとめ、対策を講じましょう。場合によっては、計画書を見直す必要もあります。
ただし、業務や育成対象者の状況によって、スキルの習得速度は異なります。
ポイント2:コミュニケーションは取れているか
OJTは、基本的にマンツーマンで行われるため、いかにコミュニケーションを取れるかが非常に大切です。
コミュニケーションが取れない関係性だと、萎縮して気軽に質問ができない可能性があります。指導が上手く伝わらず、OJTが失敗することにもなりかねません。
トレーナーは、育成対象者と年齢が近い、入社2〜5年目の社員が理想です(参照:OJTのやり方《STEP3》トレーナーを任命しトレーナーを研修する)。
とはいえ、年齢が近くても、やはり相性の良し悪しはあるものです。コミュニケーションが取れていないと判断した場合は、早い段階でトレーナーを変更しましょう。
ポイント3:メンタルサポートを行えているか
メンタルサポートのチェックも必ず実施します。
OJTは基本的に育成対象者とトレーナー2人で行うので、育成対象者はストレスを抱えこみやすい状態です。
慣れない業務や、トレーナーとの関係で疲弊し、精神的なサポートが必要になっているかもしれません。
当事者以外のスタッフや、OJT管理者などがメンタルサポートとして、ケアやフォローを行うことが大切です。
OJTのやり方⑦評価と改善を行う
OJT終了後、トレーナーやOJT管理者などで話し合い、計画書をもとに評価と改善を行います。
他のOJTの進行具合なども確認し、OJTの改善に活かしましょう。
計画書通りに終了した場合は、評価などを育成対象者に伝えるようにします。
問題点や課題、または良かった点なども合わせて伝え、次のフェーズに移るとよいでしょう。
もし、計画通りに終了しなかった場合は、何が足りなかったのか、話し合うことが必要です。
再度、違うトレーナーでOJTを行うなど、育成対象者に合わせて改善を行いましょう。
OJTを成功させるための2つのポイント
ここまで、OJTのやり方についての解説をお読みになり、かなり理解が深まったのではないでしょうか。
しかし、OJTは万能ではありません。ちょっとしたことで、上手く進まず、失敗する可能性もあります。
OJTを成功させるためのポイントは、次の通りです。
解説していきましょう。
OFF-JTも併用して、スキルの均一化や体系的な学びを取り入れる
OJTは、基本的にはマンツーマンですが、OFF-JT(セミナーや合同研修)なども併用しましょう。スキルの均一化や体系的な学びを取り入れるためです。
たとえば、OFF-JTは、業務や会社に関することを体系的に習得することで、一般的な広い知識や、基本的な学びを得ることができます。
複数の研修者と一緒であるため、情報の交換や、自身の習得具合の客観視もできます。スキルのばらつきを防ぐことも可能でしょう。
いつもと違った環境で、じっくりと理解・学習することができるため、OJTと組み合わせることで、より効果的な研修が実践できるでしょう。
トレーナー側へのフォローも忘れない
会社や部署として、OJTトレーナーへのフォロー体制は、万全にしておきましょう。
トレーナーは、通常の業務を行いながら、育成対処者の研修を行います。
余計な手間や負担がかかり、いつも通りの業務が遂行できないこともあるはずです。
また、常時後輩に見られていることで、ストレスを感じ、心身が不調になる恐れもあります。
トレーナーが1人で課題を抱えこまないためにも、定期的なトレーナーミーティングをしたり、仕事の負担を軽減したりするなどの環境を整えることも大切でしょう。
▼ OJT教える側については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
Z世代が学びやすいOJT環境をつくるには「UMU(ユーム)」
新入社員など、Z世代が学びやすいOJT環境、学習環境を作るには、ラーニングプラットフォーム「UMU(ユーム)」の活用がおすすめです。
特にZ世代の育成対象者は、デジタルツールの親和性が高いため、最適な学習環境を提供できるからです。
たとえば、生まれた時からインターネットが存在している世代は、動画サービスで学習し、SNSで情報を得ています。
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▼UMUを活用することでOJTのばらつきを抑えることができます。ばらつきの克服については下記で解説しています。⇒多くの企業が抱える「OJTのばらつき課題」とは?真因と改善する具体策を解説!
まとめ
これまでの解説で、成功するOJTのやり方がお分かりになったのではないでしょうか。
ここで、この記事の内容を、復習してみましょう。
◯ OJTのやり方は下記の通り
◯ OJTを成功させるための2つのポイントは下記の通り
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以上です。
この記事を参考にして、OJTのやり方を習得し、ぜひ研修に活かしてくださいね。
あなたの会社で実施するOJTが、大成功することを願っています。
株式会社LDcubeはこれまでの組織活性化や人材育成で培ったノウハウを生かしながら、新たな時代の人材育成方法の模索を支援しています。
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