OJTを成功に導く上司の役割とは?重要性とすぐ使える実践ポイントを解説!

新入社員やキャリアチェンジした社員の育成において、OJT(On the Job Training)は欠かせない教育手法です。しかし、実際の現場では「教える時間がない」「効果が見えにくい」「部下の成長が遅い」などの課題を抱える企業も少なくありません。

実は、OJTの成否を決定づける最も重要な要素は、上司の関与にあります。優れたOJTを実践している企業では、上司が明確な育成計画を立て、現場での指導体制を整備し、定期的なフィードバックを通じて部下の成長をサポートしています。

特に昨今の働き方改革やデジタル化の流れの中で、従来型の「見て覚える」式のOJTから、より計画的で効率的な育成手法への転換が求められています。成功している企業では、デジタルツールを活用した進捗管理や、短時間で効果的なフィードバックを行うなど、現代のビジネス環境に適応した、新しいOJTのあり方を模索しています。

本記事では、OJTを成功に導くための上司の役割と、現場ですぐに実践できるポイントを解説します。また、具体的な時間の使い方や評価基準の設定方法、さらには組織全体で育成を推進するためのノウハウまで、実践的な内容をお届けします。

上司である管理職の方々が本記事の内容を実践することで、部下の成長スピードを加速させ、組織全体の生産性向上につながるOJTを実現できるでしょう。現場で即実践可能な方法論と、長期的な育成視点の両方を踏まえた解決策をご紹介します。

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目次[非表示]

  1. 1.OJTにおける上司の重要性とは
    1. 1.1.入社から3年間の上司の関わりで新入社員の人生が決まると言っても過言ではない
    2. 1.2.OJTにおける、上司の3つの役割
    3. 1.3.上司の関与における現状の課題
  2. 2.OJTを成功に導く、上司の5つの実践ポイント
  3. 3.上司がOJTを成功させるための施策
  4. 4.上司による効果的なOJTマネジメントの具体例
  5. 5.OJTで上司が押さえるべき評価ポイント
  6. 6.Z世代の部下を持つ上司のための、OJT環境づくり
    1. 6.1.デジタルコンテンツの用意
    2. 6.2.ソーシャルコミュニケーション環境の構築
    3. 6.3.いつでもどこでも学び合える環境づくり
  7. 7.OJTのデジタル化で上司の関わりも可視化して成功した支援事例
  8. 8.効果的なOJT環境づくり(デジタル化)ならLDcubeにお任せ!
  9. 9.まとめ

OJTにおける上司の重要性とは

上司のイメージ画像

人材育成において、OJTは最も重要な教育手法の1つです。しかし、その成否を大きく左右するのが、実は直属の上司の関わり方なのです。上司は人材育成の責任者であり、新入社員の成長と組織への定着において、上司の役割は想像以上に重要な意味を持っています。

入社から3年間の上司の関わりで新入社員の人生が決まると言っても過言ではない

新入社員の初期キャリアにおいて、上司の影響力は絶大です。
1970年代~1980年代にかけて行われた研究により、新入社員が入社して3年間の直属上司との垂直的交換関係(上司と部下のやり取り)が入社13年後の昇進昇格に直接的な影響があることが明らかにされています。
つまり、入社して3年間の上司との関わりが人生に大きな影響を与えるのです。

上司の言動や態度は、新入社員の仕事に対する価値観や姿勢を形作る重要な要素となります。将来のキャリアパスにおけるロールモデルとしても機能し、仕事の意義や社会的価値の理解を導く存在でもあります。

また、適切な指導と機会提供により、スキル習得の質と速度は大きく変化します。実践的なフィードバックの質は、スキルの定着に直結し、失敗から学ぶ機会を適切に提供することで、成長を加速させることができます。
さらに、日々の承認や指導を通じて、仕事への意欲に直接的な影響を与え、適切な目標設定と達成感の提供により、成長意欲を持続させる重要な役割も担っています。
 
・参考:経営行動科学第2巻第1号「管理職へのキャリア発達ーー入社13年目のフォローアップーー」

OJTにおける、上司の3つの役割

上司は主に3つの重要な役割を担っています。

  1. 育成環境の整備者
  2. 成長の促進者
  3. キャリア支援者

1つ目は、育成環境の整備者としての役割です。
OJT担当者への適切な権限委譲と支援を行い、部門全体での育成体制を構築します。また、教育時間の確保と業務調整を行い、育成に必要なリソースを適切に配分することも重要な責務です。

2つ目は、成長の促進者としての役割です。
育成計画の策定とその進捗管理を行い、部下の成長段階に応じた適切な業務アサインを行います。また、タイムリーなフィードバックを提供し、部下一人一人の強みを生かした育成アプローチをすることが求められます。

3つ目は、キャリア支援者としての役割です。
今だけではなく中長期的な成長ビジョンを示し、スキルアップの機会を創出します。さらに、部署を超えた成長機会の提供やキャリア相談への対応など、より広い視点での支援も大切です。

上司の関与における現状の課題

現在の職場における上司の関与については、いくつかの重要な課題が見られます。
最も顕著なのは、働き方改革の流れの中で、時間的制約による関与不足です。業務の多忙さにより育成時間の確保が困難となり、1on1などの定期面談がおざなりになってしてしまうケースや、OJT担当者との連携が不足するという事態が発生しています。

また、成果を求められるプレッシャーの中で、部下に仕事を任せて育成を図りながら仕事を進める余裕がなく、自分でやった方が早いケースが多いでしょう。求められる成果に対応するため、部下に仕事を任せずに自分でやってしまうことも多く、育成につながる機会を提供できないという課題となっています。

組織的な観点からは、OJT制度やOJT担当者研修、OJTを効果的に行う仕組み・デジタルツールなどの未整備といった課題も存在します。

これらの課題に対して、上司は育成時間の確保を優先課題として設定し、定期的な育成計画の見直しと調整を行う必要があります。また、OJT担当者との密接な連携を維持しながら、人材育成を推進していくことが求められます。

上司の適切な関与があってこそ、OJTは真の効果を発揮します。次章では、具体的にどのようなアクションを取るべきか、詳しく見ていきましょう。

OJTを成功に導く、上司の5つの実践ポイント

OJTでの上司が関わっているイメージ画像

効果的なOJTの実現には、上司の計画的かつ継続的な関与が不可欠です。ここでは、OJTを成功に導くための具体的な実践ポイントについて解説していきます。

部署全体の協力体制を整備する

OJTの成功には、部署全体の理解と協力が欠かせません。上司は、育成の重要性を部署メンバー全員に浸透させ、チーム全体で新人を育てる文化を醸成する必要があります。部署内の環境を整えておかないと、OJTを推進するための部署内での業務調整などが行いにくくなります。

また、部署内だけではなく、社内の専門家や他部署との連携を促進し、多角的な学習機会を提供することも重要です。

月1回の育成会議で目標と計画を共有する

育成会議は、OJTの方向性を確認し、調整する重要な場となります。上司はこの場で、OJT担当者と新人社員の双方から進捗状況を聞き、必要な支援策を検討します。

特に重要なのは、育成目標の達成度を確認するだけでなく、現場で起きている課題やつまずきのポイントを明確にすることです。

会議では以下の点を必ず確認しましょう。

  • 前月の目標達成状況と課題
  • 翌月の具体的な行動計画
  • 必要なリソースと支援策

定例の会議として、あらかじめスケジューリングし、時間を確保しておくことがポイントです。育成状況に応じて、頻度を増やしたり、間隔を調整したりしながら、育成目標の達成につながるように活動していくことが重要です。

OJT担当者と週次面談を実施する

週次面談は、より細かな課題に対応するための重要な機会です。OJT担当者が抱える指導上の悩みや、新人の成長に関する気付きを共有し、タイムリーな対応を可能にします。この面談を通じて、OJT担当者自身のモチベーション維持や指導スキルの向上もサポートできます。

OJT担当者がOJTに不慣れな場合には、より具体的に新入社員への関わり方や教え方をOJTするようにしましょう。必要に応じて、外部研修や勉強会への参加を促すなど、担当者の成長機会も確保します。

教育時間を確保できる業務配分を行う

効果的なOJTには、適切な時間配分が不可欠です。上司は部署全体の業務量を把握し、OJT担当者が指導に十分な労力を割ける環境を整える必要があります。

具体的には、OJT担当者の通常業務の一部を他のメンバーに再配分したり、育成に充てる時間帯を明確に設定したりすることが有効です。

現場で具体的なフィードバックを与える

フィードバックは、タイミングと具体性が重要です。上司は定期的に現場に足を運び、新人の業務遂行状況を直接観察し、その場でフィードバックを提供することが効果的です。

特に、以下の点に注意を払いましょう。

  • 良い点と改善点のバランスを意識した指摘
  • 具体的な事例に基づいた指摘
  • 次のアクションにつながる建設的な改善案

これらの実践ポイントは、個別に実施するのではなく、相互に関連づけながら体系的に実施することが重要です。次節では、これらのポイントを効果的に実施するための具体的な施策について解説していきます。

上司がOJTを成功させるための施策

OJTしているイメージ画像

OJTを組織的に成功させるためには、上司自身が具体的な施策を展開していく必要があります。ここでは、実践的な施策とその展開方法について詳しく見ていきましょう。

上司向けの研修会の実施(OJTの重要性の理解)

上司が「新入社員の入社後3年間の上司との関わりが、人生に大きな影響を与える」ということをしっかりと認識し、責任意識を持つことが何より重要です。その上で、上司がOJTの効果的な指導方法を学ぶことは、組織全体の育成力向上において極めて重要です。

研修会では、単なる指導テクニックの習得だけでなく、人材育成における上司の役割は極めて重要であることについての理解を深めることが必要です。

特に重点を置くべき研修内容は下記の通りです。

  • 人材育成の責任者は直属の上司であること
  • OJTの具体的な進め方や計画作成の仕方
  • OJTに適したコミュニケーションのあり方
  • 世代間ギャップの理解と効果的なコミュニケーション手法
  • 評価・フィードバックの具体的手法


上司がOJTでの適切なタスクアサインを行う

適切なタスクアサインは、効果的なOJTの要となります。
上司は新人の成長段階を正確に把握し、チャレンジングでありながらも達成可能な業務を選定する必要があります。この際、業務の難易度だけでなく、その仕事が組織にもたらす価値や、習得できるスキルも考慮に入れることが重要です。

タスクアサインでは、段階的な難易度の上昇を意識し、成功体験を積み重ねられるように工夫します。また、定期的なレビューを通じて、必要に応じてタスクの調整や支援の追加を行うことで、着実な成長を促進します。

タスクアサインの権限は通常、上司が有しますが、OJTにおいてのタスクアサインをOJT担当者に委譲している場合にはOJT担当者と連携しながらタスクの難易度などをしっかりと確認するようにしましょう。

上司がOJTコミュニケーションの円滑化(信頼関係の醸成)を図る

OJTの成功には、関係者間の円滑なコミュニケーションと強い信頼関係が不可欠です。
上司は、OJT担当者と新人の活動を見守りながら、双方の思いや課題を理解し、必要に応じて適切な支援を提供しながら関係者間の信頼関係を醸成していく必要があります。

信頼関係を構築するためのポイントとして下記があげられます。

  • 定期的な対話の機会創出
  • 成功・失敗体験の共有
  • 個人の成長に対する真摯に貢献しようすること

また、コミュニケーションの円滑化のために、デジタルツールの活用も効果的です。日常的な進捗共有や質問対応にはチャットツールやナレッジ管理システムを活用し、対面での時間は深い対話や重要なフィードバックに充てるなど、効率的な運用を心がけます。

上司は、これらの施策を部署の状況や文化に合わせて適切にカスタマイズし、継続的に実施していくことが重要です。特に、施策の効果測定と改善のサイクルを確立することで、部署全体の育成力を段階的に高めていくことができます。

上司による効果的なOJTマネジメントの具体例

OJTしているシーン

実践的なOJTマネジメントを成功させるためには、具体的な仕組みづくりが重要です。ここでは、効果的にOJTマネジメントをするための具体的な実践例を見ていきましょう。

朝礼で5分間の進捗確認を実施する

短時間でも毎日の進捗確認は、OJTの質を大きく向上させます。朝礼では、前日の達成事項と当日の目標を共有し、課題がある場合は早期に対応策を検討します。特に重要なのは、この場をOJT担当者と新人双方が安心して発言できる場として設計することです。

進捗確認では、単なる業務の進捗だけでなく、習得したスキルや直面している課題についても共有を促します。上司は、この場で把握した情報を基に、必要に応じて即座にサポート体制を整えることができます。

水曜午後にOJT担当者と30分の1on1面談を設定する

週の中盤に設定する上司とOJT担当者の1on1面談は、その週の活動状況を確認しながら、1週間の活動を軌道修正する場面として活用できる機会です。30分程度を確保することで、以下のような深い対話が可能になります。

  • 週間目標の達成状況の確認と課題の掘り下げ
  • 新人の心理的な不安や悩みの把握
  • OJT担当者からの指導上の課題共有
  • 翌週の具体的な行動計画の策定

この面談では、計画進捗の確認だけでなく、活動を通じての新人の成長実感やOJT担当者の手応えなど、定性的な側面の共有にも十分な時間を割くことが重要です。

月末に職場全体で成果報告会を開催する

月末の成果報告会は、組織全体でOJTの進捗を共有し、成果をたたえる重要な場となります。この会議では、単なる報告に終始するのではなく、組織的な学びの場として設計することが大切です。

具体的な運営方法として、以下のような流れが効果的です。

まず、新人自身が月間の成長を振り返り、具体的な成果と学びを発表します。
次に、OJT担当者が指導を通じて気付いた点や、効果的だった指導方法を共有します。
最後に、上司がその月の取り組みを総括し、次月への期待を示します。

報告会では、特に以下の点に注目して議論を深めることが重要です:

  • 具体的な成功事例とそこから得られた教訓
  • 直面した課題とその克服方法
  • 次月に向けた具体的な改善策

これらの朝礼、週中盤での1on1面談、月末成果報告会の取り組みは、個々の実施だけでなく、相互に連携させることで大きな効果を発揮します。
朝礼での日々の気付きを1on1面談で深掘りし、活動を軌道修正し、その結果を月末の成果報告会で共有するという流れを作ることで、継続的なPDCAサイクルを確立することができます。

また、これらの場を通じて得られた知見は、職場の育成ノウハウとして蓄積し、翌年のOJT計画に反映させていくことも重要です。上司は、これらの場を単なるルーティンにせず、常に目的意識を持って運営していく必要があります。

OJTで上司が押さえるべき評価ポイント

上司(女性)のイメージ

OJTにおける評価は、新人の成長を支援し、次のステップへと導くための重要な要素です。上司は、客観的かつ公平な評価基準を設定し、継続的なモニタリングを行う必要があります。c
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業務習得度の評価基準

業務習得度の評価は、単なる作業の完遂能力だけでなく、業務の本質的な理解度を測ることが重要です。評価の焦点となるのは、業務プロセスの理解度、品質管理の意識、効率性の向上などです。

具体的な評価ポイントとしては、以下の観点が重要になります。

  • その業務を行う背景や目的の理解度
  • 基本的な業務フローの理解と実践力
  • 想定外の状況への対応能力
  • 作業の正確性と速度のバランス

これらの要素を評価する際は、数値化できる指標と定性的な観察の両方を組み合わせることで、より立体的な評価が可能になります。

コミュニケーション力の評価基準

コミュニケーション力の評価は、日常的な観察を通じて行います。特に重要なのは、チーム内での情報共有の質、報告・連絡・相談の適切性、そして周囲との関係構築能力です。

評価の際は、以下のような場面での行動を注視します。

  • チーム会議での発言内容と頻度
  • 上司やOJT担当者への報連相の質
  • 同僚との協働場面での振る舞い

また、コミュニケーション力の評価では、量だけでなく質も重視します。的確な状況把握に基づいた適切なコミュニケーションが取れているか、相手の立場や状況を考慮した対応ができているかなどを総合的に判断します。

特に新入社員の場合、報連相が適切にできるようになるかどうかは、その後の業務遂行やキャリア形成においてもとても重要です。たかが報連相、されど報連相です。報連相がしっかりとできるようになるために、適切に評価し、能力を磨いていくことが重要です。

自主性・積極性の評価基準

自主性と積極性の評価は、日々の業務姿勢や成長に向けた取り組みを通じて行います。ここで重要なのは、単に指示待ちでないかどうかだけでなく、自ら考え行動する質的な面も評価することです。

具体的な評価の視点として、次のような要素に着目します。

  • 課題発見と解決に向けた主体的な行動
  • 新しい知識やスキルの習得への意欲
  • 失敗を恐れない挑戦意欲

これらの評価は、定期的なフィードバック面談を通じて本人と共有し、成長のモチベーションとして活用することが重要です。評価結果は、具体的な事実に基づいて説明し、改善のための具体的なアドバイスを添えることで、より効果的な育成につなげることができます。

また、これらの評価結果は、OJT計画の修正にも活用します。上司は評価者としての役割だけでなく、評価結果を基に育成方針を調整し、より効果的なOJTを実現するための指針として活用することが求められます。

Z世代の部下を持つ上司のための、OJT環境づくり

新入社員のイメージ画像

デジタルネイティブであるZ世代の特性を理解し、それに適応したOJT環境を整備することは、現代の上司にとって重要な課題となっています。従来の対面中心の指導方法に加えて、デジタルを活用した新しい育成アプローチが求められています。

デジタルコンテンツの用意

Z世代の学習スタイルに合わせたデジタルコンテンツの整備は、効果的なOJTの実現に不可欠です。従来の紙ベースのマニュアルや口頭での説明だけでなく、動画やインタラクティブなコンテンツを活用することで、より深い理解と効果的な知識の定着が期待できます。

デジタルコンテンツの作成にあたっては、以下の点に注意を払う必要があります。

  • 短時間で要点を押さえた動画教材(マイクロラーニング)の作成
  • 実践的なデジタルツールの導入
  • デジタルとリアルを融合させた関わり

これらのコンテンツは、単なる一方通行の情報提供ではなく、学習者の理解度を確認できる仕組みを組み込むことが重要です。

ソーシャルコミュニケーション環境の構築

Z世代にとって、ソーシャルメディア的なコミュニケーションは日常的なものです。この特性を生かし、チャットツールやソーシャルラーニングプラットフォームを効果的に活用することで、より活発な知識共有と相互学習を促進することができます。

上司は、これらのデジタルコミュニケーション環境において、適切なガイドラインを設定しつつ、自由な意見交換や質問ができる雰囲気づくりを心がけます。特に、失敗や困難を気軽に共有できる心理的安全性の確保が重要です。

いつでもどこでも学び合える環境づくり

時間や場所に縛られない柔軟な学習環境の整備は、Z世代の特性に合致した重要な要素です。
クラウドベースの学習管理システムやナレッジライブラリを整備することで、必要な時に必要な知識にアクセスできる環境を提供します。

効果的な学習環境の要素として、以下のような機能の実装が望ましいです。

  • モバイル対応の学習プラットフォーム
  • リアルタイムのフィードバック機能
  • 進捗の可視化とゲーミフィケーション要素

しかし、これらのデジタル環境整備に際して、上司が注意すべき重要な点があります。
それは、デジタルツールはあくまでも対面でのコミュニケーションを補完するものであり、完全に置き換えるものではないということです。

特に、以下のような場面では、対面のコミュニケーションが不可欠です。

  • 複雑な課題に対する問題解決の指導
  • キャリアに関する深い対話
  • チームワークやリーダーシップの育成

上司には、デジタルとアナログのバランスを適切に保ちながら、Z世代の特性を生かした効果的なOJT環境を構築することが求められています。
この新しい環境づくりは、組織全体の学習文化の変革にもつながる重要な取り組みとなります。

OJTのデジタル化で上司の関わりも可視化して成功した支援事例

デジタルOJTとリアルOJTの連動で業績向上へ【UMU導入事例】
社員数:3000名以上 事業:住宅メーカー

導入前の課題 ~環境変化に対応した教育を提供したい~

 働き方改革など、時代や環境の変化に伴い、従来通りの詰め込み型教育では新入社員がなかなか育たないという課題を抱えていました。

この課題を解決するため、2018年に新入社員の教育方針を「全社の人材育成システムを確立し、共通認識の下、営業人材を長期的視点で組織的・計画的に育成する」へ変更しました。

3年間で一人前とする本計画の元、
「研修は事前学習→集合研修→職場実践サイクルによる、OJTとの連動形式を取る」
「計画的なロールプレーイングの実施で営業のスキル向上を図る」
「個々の学習の進捗状況と習得度の把握」

をしながら持続的学習を促進していくために、マイクロラーニングによるインプットとAIによるロープレ(ラーニングプラットフォーム:UMU(ユーム)の活用)の導入を決定しました。

取り組みの詳細

①マイクロラーニングによるインプットで本部・現場の負担減へ
現場のハイパフォーマー社員に依頼し、1人当たり2テーマの模範ロープレ動画を提供してもらい、その動画をプラットフォーム上に掲載しました。
動画学習+AIロープレ導入前は現場でのOJTの質にばらつきがあるという課題もありましたが、動画学習の導入を機に、学習の質を均一化することができ、今では入社1年目~3年目の必須コンテンツとなっています。
 
②研修後の確認テストで学びの定着を図る
研修の最後にまとめとして、受講生にはプラットフォーム上で確認テストに回答してもらうことで、研修の理解度を測るとともに、学習内容の定着化を図る取り組みをしました。
講師はリアルタイムで受講生たちの理解が浅いポイントが分かり、その場で解説や補足説明を行うことで、効率的な学習を実現できました。 
 
③48のテーマに細分化したロープレの提供で営業スキル向上へ
一人前になるまでに必要な知識を48テーマに細分化し、それをロープレの課題として受講生に提示、順次プラットフォーム上に動画をアップロードしてもらうことで、営業スキルの向上を図っています。
1週間に1本ずつ、模範ロープレ動画を視聴した上で、自身のロープレ動画を提出してもらいます。上司から70点以上の評価を受けることができればテーマクリアという運用を実施することで、デジタルで体系的な学習をしながら、リアルでOJTを促進するという連動を図っています。

導入後の成果

①一人前として必要な知識を漏れなく
学習プラットフォーム導入前は、3年間営業活動をしていても、人によっては現場で遭遇しないテーマもありましたが、48テーマを計画的に展開していくことで、体系的に、漏れのない学習の提供が可能となりました。

②学習と上司からのフィードバック率と業績の相関が分かった
受講生が動画を提出すると、AIからのフィードバックを受けられるため、1人でも自分のロープレにおける啓発ポイントを確認しながら、何度もロープレの練習をすることが可能です。また、トークの中身については上司からのフィードバックを受けることで、トークのブラッシュアップを図ることができます。

実際に受講生の学習状況や上司のフィードバック率のランキングデータを確認すると、上位者には好業績者の顔ぶれが並んでおり、学習状況と上司からのフィードバック率と業績が相関していることが分かりました。

これまで現場でのOJT実施状況は不透明でした。しかし、学習状況やフィードバック率をデータとして可視化することで、実施状況を把握しながら上司の関わりを促進し、全体の学習・育成を促進することができました。


効果的なOJT環境づくり(デジタル化)ならLDcubeにお任せ!

LDcubeロゴ

LDcubeは、OJTのデジタル化を強力に支援します。新入社員とOJT担当者の双方が自分たちのペースで学習を進められ、より効果的な学習体験を提供することが可能です。

デジタル化により、業務遂行に必要な知識にいつでもどこでもアクセス可能になるため、新入社員は自分の都合に合わせて学習を進めることが可能です。

具体的には、ビデオ教材やオンライン・インタラクティブ学習ツールなど、テクノロジーを活用した新しい学習環境づくりを支援します。

また、オンライン学習の進捗状況やテスト結果をリアルタイムで確認可能なシステムを活用し、OJT担当者が新入社員の学習状況を把握し、必要に応じてアドバイスを提供することが可能になります。

OJTのデジタル化により、新入社員は自分自身の理解度に応じて必要な知識を得られ、OJT担当者は新入社員の業務遂行を支援することができます。

まとめ

OJTを成功に導く上司の役割とは?重要性とすぐ使える実践ポイントを解説!について紹介してきました。

  • OJTにおける上司の重要性とは
  • OJTを成功に導く、上司の5つの実践ポイント
  • 上司がOJTを成功させるための施策
  • 上司による効果的なOJTマネジメントの具体例
  • OJTで上司が押さえるべき評価ポイント
  • Z世代の部下を持つ上司のための、OJT環境づくり
  • OJTのデジタル化で上司の関わりも可視化して成功した支援事例
  • 効果的なOJT環境づくり(デジタル化)ならLDcubeにお任せ!

これまで見てきたように、OJTの成否は上司の関与度と指導力に大きく依存します。上司は単なる管理者ではなく、組織の人材育成を牽引するリーダーとしての役割を担っています。新入社員の成長と組織への定着において、上司の存在は想像以上に重要な意味を持ちます。

人材育成において、上司には育成環境の整備者、成長の促進者、そしてキャリア支援者という3つの重要な役割があることを確認してきました。効果的なOJTマネジメントには、日々の進捗確認から月次の成果報告会まで、重層的なコミュニケーション構造が欠かせません。

今後のOJTにおいては、Z世代の特性を考慮した環境整備がより重要になってきています。デジタルコンテンツの活用やソーシャルコミュニケーション環境の構築など、新しい時代に即した育成手法の導入が求められています。しかし、どれだけ優れた仕組みや環境を整備しても、それらを効果的に機能させるのは上司のリーダーシップです。

OJTは単なるスキル伝達の場ではありません。組織の未来を担う人材を育成し、組織全体の成長を促進する重要な機会です。上司がこの認識を持ち、育成を重視する組織風土の醸成に努め、部門を超えた育成体制を構築することで、真に効果的なOJTが実現できるのです。これからの時代、組織の競争力の源泉は人材にあり、OJTを成功に導く上司の役割は、これまで以上に重要性を増していくでしょう。

LDcubeでは、OJTのデジタル化を支援するサービスやOJTトレーナー研修を提供しています。無料のプログラム体験会やプラットフォームのデモ体験会なども行っています。お気軽にお声がけください。

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代表取締役 新井澄人
代表取締役 新井澄人
株式会社ビジネスコンサルタントで、講師派遣型の人材育成支援から始まり、社内トレーナーの養成による人材育成支援、デジタルツールを活用した人材育成のDX化の支援まで、中小企業から大企業まで20年にわたり幅広いコンサルティングに従事。 新入社員研修からOJTリーダー研修、若手社員研修、管理職研修、幹部研修、営業研修、デジタル学習環境づくりのコンサルテーションなどに自らもコンサルタントとして登壇しながらも、人材育成・組織活性化・営業強化において講師派遣型の枠を超えた支援を実現するため、ビジネスコンサルタントの子会社である株式会社LDcubeの設立と同時に代表取締役に就任。 資格: ・全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC2023002) ・LIFOプログラムライセンス(LIFO-MSSプログラム開発者)

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