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OJT制度とは?これからの導入はデジタル化して進めよう!|成功ポイントを解説!

「社員の育成が思うように進まない」「せっかくOJT制度を導入したのに効果が出ない」

人材育成に携わる多くの企業担当者が、こうした課題を抱えています。実際、厚生労働省の調査によると、正社員に対して計画的なOJTを実施している事業所は約6割(※1)にのぼりますが、その効果については多くの企業が課題を感じているのが現状です。

OJT(On the Job Training)は、日常の業務を通じて実践的なスキルを習得させる教育手法として、多くの日本企業で採用されています。特に、新卒一括採用を行う企業にとって、新入社員の早期戦力化を実現する重要な手段となっています。

しかし、「現場任せの指導になってしまっている」「教える側の負担が大きい」「成長度合いを適切に評価できていない」など、運用面でのさまざまな課題に直面している企業も少なくありません。

OJT制度を効果的に機能させるためには、明確な目標設定から、具体的な実施計画の策定、適切な評価基準の設計まで、体系的なアプローチが必要です。

本記事では、OJT制度の基本的な考え方から、実践的な導入・運用方法、さらには失敗しないためのポイントまで、人材育成担当者が知っておくべき情報を網羅的にわかりやすく解説していきます。

これから制度を導入する方はもちろん、既存の制度をより効果的なものに改善したいとお考えの方にも、必ずや参考になる内容をお届けします。

※1厚生労働省|令和5年度「能力開発基本調査」の結果

▼OJTの全体像や詳細のテーマについては下記にまとめています。併せてご覧ください。(関連記事)

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目次[非表示]

  1. 1.OJT制度の基本|目的と仕組みを詳しく解説
    1. 1.1.実践を通じて学ぶ人材育成の手法である
    2. 1.2.新入社員の早期戦力化を実現できる
  2. 2.OJT制度のメリット・デメリット|導入効果と課題
    1. 2.1.社員の成長スピードが大幅に向上する
    2. 2.2.組織全体の一体感が醸成される
    3. 2.3.OJT担当者の業務負担が増加する
  3. 3.OJT制度の設計方法|具体的な制度づくり
    1. 3.1.育成目標と期間を明確にする
    2. 3.2.OJTマニュアルを作成する
    3. 3.3.OJT担当者の選定基準を定める
  4. 4.OJT制度の運用プロセス|効果的な進め方
    1. 4.1.OJT計画書を作成する
    2. 4.2.OJT担当者への研修を実施する
    3. 4.3.定期的な進捗確認を行う
  5. 5.OJT制度の評価設計|人事評価との連携方法
    1. 5.1.OJT担当者の評価項目を設定する
    2. 5.2.育成成果の測定方法を定める
    3. 5.3.評価結果の処遇への反映方法を決める
  6. 6.OJT制度の失敗事例|よくある課題と対策法
    1. 6.1.場当たり的な指導になっている
    2. 6.2.教育の質にばらつきが出ている
    3. 6.3.評価基準が不明確になっている
  7. 7.これからOJT制度を導入するなら初めからデジタル化する
    1. 7.1.デジタル化で従来の課題は解決できる
    2. 7.2.デジタルコンテンツの準備・作成
    3. 7.3.プラットフォームに搭載して運用
  8. 8.OJT制度のデジタル化を図った支援事例
  9. 9.まとめ:OJT制度を成功につなげるために

OJT制度の基本|目的と仕組みを詳しく解説

基本を解説するイメージ画像

企業における人材育成の要となるOJT制度は、日常の業務を通じて実践的なスキルや知識を習得させる教育手法です。多くの企業が人材育成の中核的な手法として採用しています。

業務経験を通じた実践的な学びは、座学では得られない価値ある知識とスキルの習得を可能にし、効果的な人材育成を実現します。

実践を通じて学ぶ人材育成の手法である

OJTは、実際の職場で日常業務に従事しながら必要な知識やスキルを習得する教育手法です。この手法の最大の特徴は、理論だけでなく実践的な経験を通じて学習できる点にあります。

効果的なOJTは「やってみせる」「説明・解説する」「やらせてみる」「評価・指導をする」という4段階のプロセスで進められます。

まずOJT担当者が実際の業務を見本として示し、作業の意図や重要なポイントを丁寧に解説します。その後、実際に業務を経験させ、実施状況を確認してフィードバックを行います。

この一連の流れを通じて、業務に必要な実践的なスキルを効率的に習得することができます。

新入社員の早期戦力化を実現できる

OJT制度の最大の特徴は、新入社員を効率的に戦力化できる点です。実務経験の浅い社員であっても、実践的な環境で学ぶことにより、業務に必要なスキルをより早い段階で身に付けることができます。

新入社員の早期戦力化において重要なのは、段階的な業務経験の設計です。基本的な業務から徐々に難度を上げていき、成功体験を積み重ねられるよう配慮します。

また、定期的な進捗確認を行い、具体的な改善点を示すフィードバックを行うことで、着実なスキル習得を支援します。

このように体系的なアプローチを取ることで、新入社員は必要なスキルを着実に習得し、早期に組織の戦力として活躍することが可能となります。

OJT制度のメリット・デメリット|導入効果と課題

メリデメのイメージ画像

OJT制度を導入する際には、その効果と課題を十分に理解し、適切な対策を講じることが重要です。ここでは、実際の企業事例から得られた知見を基に、メリットとデメリットを詳しく解説します。

社員の成長スピードが大幅に向上する

OJT制度の最大のメリットは、実務に直結した形で学習できることによる成長スピードの向上です。実践的な環境での学習により、知識やスキルの定着率が大幅に向上します。

これは、座学だけでは得られない経験を通じて、深い理解と応用力を身に付けることができるためです。

また、現場のノウハウを直接習得できることで、即戦力としての成長も促進されます。

実際の業務に携わりながら学ぶことで、理論と実践の結びつきを実感しながら、効率的にスキルを獲得することができます。

組織全体の一体感が醸成される

OJT制度は、単なるスキル習得の場としてだけでなく、組織の一体感を醸成する重要な機会として機能します。日々の業務を通じた関わりにより、組織文化の理解や人間関係の構築が自然と進んでいきます。

特に注目すべきは、世代を超えたコミュニケーションの活性化です。若手社員とベテラン社員が密接に関わることで、技術やノウハウの伝承だけでなく、組織の価値観や仕事に対する姿勢も自然と受け継がれていきます。

この過程で生まれる信頼関係は、強固なチームワークの基盤となります。

OJT担当者の業務負担が増加する

OJT制度には慎重に考慮すべき課題もあります。最も大きな課題は、OJT担当者への負担増加です。

通常業務に加えて指導時間が必要となり、教育計画の作成や進捗管理にも相当の時間を要します。また、担当者は指導責任へのプレッシャーや、成果を出すことへの期待など、心理的な負担も抱えることになります。

これらの課題に対しては、業務量の適切な調整や、組織的なサポート体制の構築が不可欠です。人事部門による定期的なフォローアップや、必要に応じた業務の再分配など、組織全体での取り組みが求められます。

▼OJTのデメリットについては下記で詳しく解説しています。
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OJT制度の設計方法|具体的な制度づくり

制度作りのイメージ画像

効果的なOJT制度を構築するためには、綿密な制度設計が不可欠です。ここでは、制度設計の具体的な方法について、実務的な観点から解説していきます。

育成目標と期間を明確にする

OJT制度の設計において最も重要なのは、育成目標の明確化です。

目指すべき人材像を具体的に定義し、それに基づいて習得すべきスキルや知識を特定していきます。目標設定においては、企業の事業戦略や部門ごとの特性を考慮に入れ、実現可能かつ具体的な指標を設定することが重要です。

また、育成期間の設定も慎重に行う必要があります。一般的な育成期間は3カ月から1年程度ですが、業務の複雑さや求められるスキルレベルに応じて柔軟に設定します。目標達成までの道筋を明確にし、途中段階での到達目標も設定することで、効果的な育成が可能となります。

OJTマニュアルを作成する

OJT制度を効果的に運用するためには、詳細なOJTマニュアルの作成が必要です。

マニュアルには、日々の指導内容や評価方法、報告体制などを明確に記載します。特に重要なのは、指導の標準化を図ることです。担当者によって指導内容や質にばらつきが生じないよう、具体的な指導手順や重要なポイントを明文化します。

実施マニュアルには、日常的なコミュニケーションの方法や、問題が発生した際の対応手順なども含めます。これにより、担当者が変更になった場合でも、一貫した指導を継続することが可能になります。

▼OJTマニュアルについては下記で詳しく解説しています。
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OJT担当者の選定基準を定める

制度の成否を左右する重要な要素として、OJT担当者の選定があります。

担当者には、高い業務スキルだけでなく、教育者としての適性も求められます。選定基準として、業務経験年数や実績に加え、コミュニケーション能力や指導力も重要な要素となります。

担当者の役割と責任も明確に定義する必要があります。指導計画の立案から進捗管理、評価まで、担当者に求められる業務範囲を具体的に示します。さらに、担当者自身の成長機会としても位置付け、指導スキル向上のための支援体制も整備することが望ましいでしょう。

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OJT制度の運用プロセス|効果的な進め方

プロセスのイメージ画像

OJT制度を効果的に機能させるためには、体系的な運用プロセスの確立が不可欠です。
ここでは、具体的な運用手順と、各段階での重要なポイントについて解説します。

OJT計画書を作成する

OJT計画書は、OJTの具体的な道筋を示す重要な指針となります。計画書には、育成目標に基づいた具体的な指導内容と、その実施スケジュールを明記します。

実施計画書の要点として、以下の項目を含めることが効果的です。

  • 月次での具体的な習得目標
  • 週単位での実施内容と指導方法
  • 定期的な評価ポイントと基準

これらの要素を明確に定めることで、計画的かつ効率的な指導が可能となります。

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OJT担当者への研修を実施する

OJT制度の成功には、OJT担当者の指導力向上が不可欠です。

担当者への研修では、指導技術の基本から実践的なコミュニケーション手法まで、包括的な内容を扱います。研修を通じて、指導の標準化と質の向上を図ります。

特に重要なのは、指導方法の統一化です。担当者間で指導方針や評価基準にばらつきが生じないよう、具体的な指導手順や評価の視点について、詳細な擦り合わせを行います。

また、担当者間で定期的なミーティングを設け、指導上の課題や成功事例を共有することで、組織全体の指導力向上を図ります。

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定期的な進捗確認を行う

進捗確認は、育成の効果を測定し、必要な改善を行うための重要なプロセスです。進捗確認では、単なる業務の習熟度だけでなく、社員の成長実感や課題認識についても丁寧に確認します。

具体的な確認の場として、週次での短時間ミーティングと月次での詳細なレビューを組み合わせることが効果的です。週次ミーティングでは日常的な課題や疑問点を解消し、月次レビューでは目標達成状況の確認と今後の育成方針の調整を行います。

この2段階の確認により、きめ細かな育成管理が可能となります。

OJT制度の評価設計|人事評価との連携方法

評価のイメージ画像

OJT制度の効果を最大化するためには、適切な評価設計が不可欠です。
評価の仕組みを通じて、育成の成果を可視化し、制度の改善につなげていく必要があります。

OJT担当者の評価項目を設定する

OJT担当者の評価は、人材育成の質を担保する重要な要素です。

評価項目には、指導スキルや育成成果だけでなく、日常的なコミュニケーションの質も含める必要があります。具体的には、指導計画の立案能力、フィードバックの的確性、育成対象者の成長度合いなどを総合的に評価します。

また、OJT担当者としての役割を通じた自身の成長も評価の対象とします。指導経験を通じて得られたマネジメントスキルや、組織への貢献度を適切に評価することで、担当者のモチベーション維持にもつながります。

育成成果の測定方法を定める

育成成果の測定においては、定量的な指標と定性的な評価を組み合わせることが重要です。

業務スキルの習得度を数値化する一方で、コミュニケーション能力や問題解決力といった定性的な成長も適切に評価します。定期的な面談やレポート提出を通じて、成長の過程を丁寧に追跡していきます。

特に注意すべきは、短期的な成果だけでなく、中長期的な成長の可能性も含めて評価することです。目標達成までのプロセスや、課題に対する取り組み姿勢なども、重要な評価要素として位置付けます。

評価結果の処遇への反映方法を決める

評価結果を適切に処遇に反映することで、制度の実効性を高めることができます。

OJT担当者については、指導実績を賞与や昇進・昇格の判断材料として活用します。一方、育成対象者については、習得したスキルや成長度合いを、今後のキャリアパス設計に反映させていきます。
 
ただし、評価結果の処遇への反映は慎重に行う必要があります。短期的な成果に過度に偏ることなく、組織全体の人材育成の質を向上させるという観点から、バランスの取れた評価・処遇システムを構築することが重要です。

OJT制度の失敗事例|よくある課題と対策法

OJT制度の導入・運用において、多くの企業がさまざまな課題に直面しています。ここでは、典型的な失敗事例とその具体的な対策について解説します。

これらの事例を学ぶことで、より効果的な制度運用が可能となります。

場当たり的な指導になっている

最も多い失敗事例の一つが、計画のない場当たり的な指導です。明確な育成計画が存在しないため、その日の業務状況に応じて指導内容が変化し、体系的なスキル習得が困難になってしまいます。

この問題を解決するためには、まず育成の全体像を明確にし、段階的な指導計画を策定する必要があります。月次や週次の具体的な指導内容を事前に定め、それに基づいて計画的に指導を進めることで、効果的な育成が可能となります。

また、計画の遂行状況を定期的にモニタリングすることも重要です。

教育の質にばらつきが出ている

OJT担当者によって指導の質や内容に大きな差が生じる問題も頻繁に発生します。この状況では、育成対象者の成長に不公平が生じ、組織全体の育成効果が低下してしまいます。

対策としては、指導の標準化が不可欠です。指導マニュアルの整備や、OJT担当者研修の定期的な実施を通じて、指導レベルの均一化を図ります。

また、OJT担当者同士が定期的に情報交換を行い、効果的な指導方法や課題への対処法を共有する場を設けることも有効です。

▼OJTのばらつき課題への対応については下記で詳しく解説しています。
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評価基準が不明確になっている

評価基準が曖昧なために、育成の成果を適切に測定できないケースも多く見られます。この状態では、育成対象者のモチベーション低下や、制度自体の形骸化につながる危険性があります。

この課題に対しては、具体的かつ測定可能な評価基準の設定が必要です。業務スキルの習得度や、実際の業務パフォーマンスなど、複数の観点から評価項目を設定します。

また、評価のタイミングと方法を明確にし、定期的かつ公平な評価を実施することで、育成効果の可視化と改善につなげることが可能となります。

これからOJT制度を導入するなら初めからデジタル化する

ポイントのイメージ画像

現在OJT制度がなく、これからOJT制度を導入する際には、初めからOJTをデジタル化しましょう。OJTをデジタル化して導入することで、従来のOJT課題を解決し、より効果的なOJTを実現することができます。

デジタル化で従来の課題は解決できる

OJT制度を導入する際にデジタル化を初めから取り入れることで、従来ある多くの課題が解決されます。

従来のOJTでは、OJT担当者の経験や能力に依存する部分が大きく、指導の質や内容が一定にならないことがしばしばありました。また、進捗管理やフィードバックが個別に行われるため、時間やリソースの浪費につながることもありました。

しかし、OJTのデジタル化によりこれらの問題を解消します。

デジタルコンテンツを用いたOJTでは、一貫したトレーニング内容を提供することができます。また学習の進捗情報の集約や分析が容易になるため、個々の能力に応じた適切な指導とリアルタイムのフィードバックが可能になり、トレーニングの効率と効果が向上します。

デジタルコンテンツの準備・作成

OJTをデジタル化するためには、自社独自のデジタルコンテンツの準備と作成が不可欠です。
まずは、トレーニングの目的に応じて必要なコンテンツを特定し、計画を立てます。

デジタルコンテンツは、文章、動画、音声、インタラクティブなシミュレーションなど、多様な形式を活用することが可能です。これにより、さまざまな学習スタイルに対応することができるため、従業員の興味を引きやすく、理解を深めることができます。

また、コンテンツの作成には、最新の業界情報やトレンドを反映させ、実務に直結する内容となるようにします。継続的な更新を視野に入れ、内容を最新かつ有用に保つ仕組みを構築することも重要です。

プラットフォームに搭載して運用

準備したデジタルコンテンツは、適切なプラットフォームに搭載して運用します。

このプラットフォームは、単なる業務用の情報共有システムではなく、学習にフォーカスした学習進捗の追跡、フィードバック、評価などを包括的に行えるものであるべきです。

さらに、クラウドベースのプラットフォームを利用することで、どこからでもアクセス可能となり、リモート指導や学習も容易になります。効果的な運用のためには、ユーザーインターフェースが直感的で使いやすいことも重要です。

また、データ分析機能を活用して、トレーニングの効果を定量的に評価し、必要に応じて内容の見直しや改善を行うことで、常に最適なOJT研修を提供することができます。

これにより、企業全体の教育水準が底上げされ、長期的に見て業績や生産性の向上にも貢献するでしょう。

▼OJTでの動画活用については下記で詳しく解説しています。
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OJT制度のデジタル化を図った支援事例

建設業のイメージ画像

建設業でOJTのデジタル化を図り、OJTという名の放置を解決した支援事例を紹介します。

社員数:100名以上
事業:土木建築工事、建設工事の設計と監理

課題・背景

  • 技術教育に十分な時間を割けない
    ベテラン社員が現場作業に追われ、若手社員の技術教育を十分にできていないという課題がありました。

    また、時間だけでなく、人員にも余裕がないため、本来教えるべき技術やノウハウが現場で伝達できていないという事態に陥っていました。

  • OJT格差と離職率が上昇
    現場のOJTは主にベテラン社員が担当していましたが、人によって言うことが違う、厳しい口調の上司が多いなど、 OJT格差がありました。

    その結果、若手社員の離職率が高くなり、新入社員の採用に悪影響が出ました。

取り組みの詳細

  • 全社プロジェクトの立ち上げ
    課題解決のため、人を介さず業務知識が学べるコンテンツの配信環境を構築するプロジェクトを立ち上げました。まずは各現場で「わが社の新人に必要な学習内容は何か」という観点で棚卸しを行いました。このプロジェクトの初期は、中堅社員をコンテンツ作成作業の中心に据えました。

  • 全社員アンケートを実施
    現場所長や各部署の社員を対象とした「現場に配属になった際に覚えてほしいこと」アンケートを実施しました。そこで集まった声を基にし、業務フローと照らし合わせながら、必要なコンテンツリストをブラッシュアップしました。

  • コンテンツ作成のサポート体制を強化
    中堅社員の目線でコンテンツ作成を行った結果、自身が新入社員だった頃の感覚を忘れていることもあり、どのようなポイントを伝えれば新入社員にとって分かりやすいかという観点が抜けた内容になっていました。

    また、コンテンツ一つ一つの情報量が多いことや、自身が普段当たり前のように行っている業務を、コンテンツに落とし込むことができないという課題が浮上しました。そこで具体的な作業に関するコンテンツ作成を若手社員が担当するように切り替えました。

    さらに、各部に配置したアシスタントによる動画撮影・編集のバックアップなど、コンテンツ作成サポートの強化を行いました。

取り組み後の成果

  • 若手社員の知識習得レベルの底上げ
    若手社員が中心となり、自身が新入社員だった頃の目線を思い出しながらコンテンツ作成を行い、2年間で600個が完成しました。これにより、初めて業務を覚える新入社員にとっても分かりやすく、必要な情報が十分にそろった学習環境を提供することができました。

    また、マイクロラーニングの考え方に基づき、全ての動画コンテンツの長さを5分以内に収めました。その結果、隙間時間に効果的な学習をすることが可能になり、新入社員の知識習得レベルの底上げにつながりました。

  • OJT格差の是正とコミュニケーションの活性化
    コンテンツを活用した教育によって社員の学習の機会が標準化されたことで、OJT格差が縮小しました。

    また、業務内容については新入社員と若手社員がベテラン社員に習い、現場で活用するスマートフォンやタブレットなどについてはベテラン社員が新入社員と若手社員から学ぶという動きも出てくるようになりました。

    この動きは、ベテラン社員と新入社員、若手社員のコミュニケーションの活性化にもつながっています。

  • 入社希望者の増加
    OJTのデジタル化を導入したことが、県内の入社希望者数の増加につながりました。新卒の採用説明会やメディアの取材において、OJTのデジタル化を図った取り組みを紹介し、企業の教育体制の優位性をアピールしました。

    その結果、県内の学生が選ぶ建設業知名度ランキングで1位を獲得し、多くの学生から選ばれる企業となりました。
    ​​​​​​​

まとめ:OJT制度を成功につなげるために

OJT制度とは?これからの導入はデジタル化して進めよう!|ポイントを解説!について紹介してきました。

  • OJT制度の基本|目的と仕組みを詳しく解説
  • OJT制度のメリット・デメリット|導入効果と課題
  • OJT制度の設計方法|具体的な制度づくり
  • OJT制度の運用プロセス|効果的な進め方
  • OJT制度の評価設計|人事評価との連携方法
  • OJT制度の失敗事例|よくある課題と対策法
  • これからOJT制度を導入するなら初めからデジタル化する
  • OJT制度のデジタル化を図った支援事例

効果的なOJT制度の構築は、組織の持続的な成長と人材育成の要となります。本記事で解説してきたように、成功のカギは綿密な制度設計と計画的な運用にあります。

制度構築の第一歩として、育成目標の明確化が不可欠です。組織の戦略や目指すべき人材像に基づいて、具体的かつ測定可能な目標を設定することで、効果的な育成が可能となります。また、実施マニュアルの整備やOJT担当者の選定基準の確立など、運用の基盤となる要素も慎重に検討する必要があります。

実際の運用においては、定期的な進捗確認と評価が重要です。育成対象者の成長度合いを適切に測定し、必要に応じて指導方法や内容の調整を行うことで、より効果的な育成が実現できます。同時に、OJT担当者へのサポートも欠かせません。担当者の負担軽減と指導力向上のための支援体制を整備することで、制度の持続可能性を高めることができます。

さらに、制度の形骸化を防ぐために、定期的な見直しと改善を行うことが重要です。育成効果の測定結果や、現場からのフィードバックを活用し、継続的に制度を進化させていくことが、組織全体の人材育成力の向上につながります。OJT制度は、単なる研修プログラムではなく、組織の成長戦略の一環として位置付け、長期的な視点で運用していくことが成功への近道となるでしょう。

株式会社LDcubeでは、OJTトレーナー研修やOJTのデジタル化支援のサービスを提供しています。無料のプログラム体験会やプラットフォームのデモ体験会なども行っています。お気軽にご相談ください。

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代表取締役 新井澄人
代表取締役 新井澄人
株式会社ビジネスコンサルタントで、講師派遣型の人材育成支援から始まり、社内トレーナーの養成による人材育成支援、デジタルツールを活用した人材育成のDX化の支援まで、中小企業から大企業まで20年にわたり幅広いコンサルティングに従事。 新入社員研修からOJTリーダー研修、若手社員研修、管理職研修、幹部研修、営業研修、デジタル学習環境づくりのコンサルテーションなどに自らもコンサルタントとして登壇しながらも、人材育成・組織活性化・営業強化において講師派遣型の枠を超えた支援を実現するため、ビジネスコンサルタントの子会社である株式会社LDcubeの設立と同時に代表取締役に就任。 資格: ・全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC2023002) ・LIFOプログラムライセンス(LIFO-MSSプログラム開発者)

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