
OJTの最大のデメリットとは?解決策と合わせて詳しく解説!
今回は社会人教育に有効なOJT(On the Job Training)のデメリットとその解決策について詳しく解説します。社員に現場のスキルを直接伝えるためのOJTは、効果性が認識されていますが、教える側のスキルのばらつきや、教えられる側の育成度合いのばらつきなど課題も存在します。最大のデメリットは「ばらつき」です。
ばらつきを放置するとOJTが失敗しかねません。デメリットを克服するための方法としてOJTのデジタル化がありますので、そのポイントなど説明します。それによりばらつきを軽減し、OJTの効果と効率を向上させます。
▼ OJTについての全体像を押さえるにはこちらを参照してください
目次[非表示]
- 1.OJTの最大のデメリットはばらつきが生じやすいこと
- 2.OJTのメリットについて
- 3.OJTとOff-JTの違い
- 3.1.OJTとOff-JTの違いとは
- 3.2.OJTとOff-JTそれぞれの特徴
- 4.OJTがうまくいかないとき、その原因とは?
- 4.1.計画性の欠如
- 4.2.OJTトレーナーの指導、管理スキル不足
- 4.3.フィードバックの不足
- 5.OJTにおけるトレーナー育成の重要性とその方法
- 6.OJTのデメリットを克服するための解決策(OJTのデジタル化)
- 6.1.ばらつき軽減を図る
- 6.2.教える側の生産性向上
- 6.3.いつでも、どこでも学習可能な環境
- 7.OJTのデジタル化には、学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」がおすすめ
- 8.まとめ
OJTの最大のデメリットはばらつきが生じやすいこと
OJT(On the Job Training)は実践的な訓練形式で、社会人スキルを身に付けるための効果的な方法の1つです。しかし、OJTにはデメリットも存在します。
株式会社LDcubeでは2023年10月に「ポスト・コロナのOJTの実態」についてのアンケート調査(有効回答数235件)を行いました。その中で、「OJTを進める上で生じやすい課題として、以下(選択肢)のようなものがあります。貴社にも当てはまる課題があれば、すべてお選びください。」として、OJTの課題について聞いています。
78%の組織において課題を感じている点は「配属された拠点や職場によって、育成状況にばらつきが生じる」と答えています。
(2023年10月株式会社LDcube実施「ポスト・コロナのOJT実態」についてのアンケート調査データより)
その観点を踏まえ、OJTのデメリットについて、以下3つの視点から紹介します。
企業側の視点
OJTの最大のデメリットは「ばらつき」が生じやすいことです。OJTは先輩社員が現場で新入社員や若手社員に直接教える形式であり、成果が教える側(OJTトレーナー)のスキルや経験に大きく依存します。教え方や伝え方が不十分であれば新入社員や若手社員のスキルアップが困難となります。これが最大のデメリットです。
異なるOJTトレーナーから教えを受けるOJTでは、教える側のばらつきにより、教えられる側の社員間でスキルや知識習得のばらつきが発生してしまいます。
そのため、これまでOJTトレーナー研修などを行い、教える側のばらつきをなくす施策を行ってきた企業が多いですが、人間が行うことなので、施策を行ってもそのばらつきがなくなることはありません。
教える側の視点
教える側から見ると、OJTのデメリットは業務負荷が増えることです。教える側の上司や先輩社員は、自分の仕事や業務を行いながら、新入社員や若手社員の育成・指導に当たるため、負担が増えます。
自分の評価はOJTの実施状況ではなく、自分の業務の結果で評価されるため、OJTをやりながらも自分の業務もしっかりとやらなければならない状況になり、時間的にも身体的にも負担が増えることが懸念されます。忙しいあまり、新入社員を放置してしまうという事態は避けたいものです。
教えられる側の視点
教えられる側から見ると、OJTのデメリットはどのような人に教えてもらえるかを自分では選べないことです。
OJTにはばらつきが生じやすく、成果が教える側のスキルや経験に依存しますが、誰に教えてもらうかを選ぶことができないため、教えてもらう人の経験やスキルが低かった場合、自分が学べることのレベルも低くなってしまう可能性があります。優秀な先輩に教えてもらえたら幸運ですが、そうでない場合には不運となってしまいます。
このように、OJTには、ばらつきが生じやすいという大きなデメリットが存在します。一方、メリットもあります。そのメリットについて紹介します。
OJTのメリットについて
OJTの最大のメリットは、コストをかけずに教えられる側が実践的なスキルを身に付けられることです。実際の業務をこなしながら、自分の仕事に必要な能力を直接に鍛えることができます。これにより、実際の業務で直面した困難な課題に対し、自分自身で解決策を見つけ出す能力など、書籍や講義だけでは身に付けられない能力を養うことができます。
そして、実際の現場での経験を通じて、会社のビジネスや業界の現状を直接知ることができます。新入社員や経験の少ない社員にとって、そのような経験は、臨場感のある情報を得られ、現場感覚を習得し、ビジネスの理解深める絶好の機会となります。
▼ OJTのメリットを含めた全体概要についての詳細はこちらをご覧ください。
OJTとOff-JTの違い
OJTとOff-JTの違いとは
OJTとは、"On the job training"の略で、直訳すると「仕事の現場での訓練」を意味します。大抵の場合は、同じ部署の先輩社員が新入社員や若手社員に対して行う指導形式を指します。具体的な業務の進め方、作業のやり方、業績を上げるためのノウハウ、チームとしての働き方、コミュニケーションの取り方など、実際の仕事現場で必要となる知識やスキルを指導します。
対照的に、Off-JTは "Off the job training"の略で、「仕事の現場外での訓練」を意味します。社員が普段の職場環境から離れた場所で、一定のカリキュラムに基づいて知識やスキルを学ぶ研修形式を指します。セミナーやワークショップの会場など、具体的な業務から一歩離れたところで、社員が一般的なビジネススキルやマネジメント知識を深めるというケースが多いです。
OJTとOff-JTそれぞれの特徴
OJTは新入社員や若手社員が即戦力として必要な実践的なスキルを身に付けるのに適しています。しかし、教える側の負担が大きくなる可能性がありますし、教える人によって教育の質が異なるというデメリットもあります。一方、Off-JTは講師が専門的な知識を持っていて一貫性があり、初歩的な知識から応用的な内容までを体系的に学べるというメリットがあります。ただし、Off-JTで教える内容は現場から離れていることから、即時性や実践性に欠ける可能性もあります。
これらの訓練形式は一概にどちらが良いかとは言えません。それぞれの状況により、適切な教育手法を選びましょう。教えることに変化の多い内容はOJTを活用し、変化の少ない内容はOff-JTが向いています。
例えば、新商品の販売トレーニングは、教育担当者が直接現場で指導するOJTが適しています。一方、プロジェクト管理の基本的な知識などを教えるには、講師がカリキュラムに沿って教えるOff-JTが効果的です。
OJTとOff-JTの指導方法はそれぞれ違いますが、どちらもビジネスパーソンのスキルを向上させるための重要な訓練形式です。
OJTがうまくいかないとき、その原因とは?
計画性の欠如
最初に挙げられる原因は、教える側の計画性の欠如です。教育訓練は、教える側であるOJTトレーナーが目的・目標を明確にし、その達成のための具体的な手段を考え、細部まで計画を立てることが重要です。なんとなく教えるのではなく、何をどのように教えるか、どのように評価するかについて、事前に規定しておくことで、効果的なOJTを実現できます。
しかし残念なことに、実際の現場では具体的な教育計画が立てられていないことも多いため、注意が必要です。計画がない場合、OJTトレーナーがOJTにどのように取り組めば良いかがわからず、OJTがうまくいかない原因となってしまいます。
OJTトレーナーの指導、管理スキル不足
OJTトレーナーの指導スキルと管理スキルの不足も、OJTがうまくいかない原因の1つです。OJTは新たな知識や技術を現場で直接教えるものです。OJTトレーナーとなる人は、専門知識はもちろん、指導スキルや管理スキルも必要です。
しかし、現場では、必ずしも教える経験が豊富で、かつ優れたスキルを持った人材がOJTトレーナーとなるとは限りません。そのため、OJTを行っても、うまくいかないケースがあります。
フィードバックの不足
フィードバックの不足も、OJTがうまくいかない一因になりえます。OJTがうまくいく場合は、OJTを通じて学んだことを、後輩が行えているかについて、OJTトレーナーが確認し、その状況や成果を適切に評価し、フィードバックを行うことで、後輩が自分の成長を実感し、次の学習へのモチベーションが高まります。
しかし、OJTがうまくいかない場合は、OJTトレーナーがフィードバックに時間を割けられず、後輩が適切な評価を受けられないというパターンがよくあります。OJTトレーナーからのフィードバックが不足しているため、後輩が成長を実感できなくなり、積極的な学習が進まなくなります。
以上のように、OJTがうまくいかないとき、計画性の欠如、OJTトレーナーの指導・管理スキル不足、フィードバックの不足という3つの原因が考えられます。OJTトレーナーがうまくいかないと感じたら、しっかりと原因を把握し、OJTの進め方を改善しましょう。
▼ OJT計画書の作り方などOJTの効果的な進め方についてはこちらを参照ください。
OJTにおけるトレーナー育成の重要性とその方法
OJTトレーナーはOJTを通じて新入社員のスキル獲得をサポートしますが、新入社員が育つことで組織力の向上にも寄与します。また、OJTトレーナーが教えることで自身のスキルを深化できるため、社内キャリアアップにもつながります。
企業がOJTトレーナーを育成する場合、OJTトレーナーとなる社員の「専門性」と「指導スキル」を強化する必要があります。OJTトレーナーには専門性だけではなく、それを教える能力も求められます。専門知識・スキルの他に、指導計画の立案やフォロー体制の構築など、指導の効果を高めるためのさまざまなスキルが必要となります。
OJTトレーナーを育成するために、専門知識・スキルを深める研修だけでなく、教育方法を教える機会を用意しないといけません。企業が研修プログラムを作成し、OJTトレーナーの能力を高めていくことが必要です。
OJTトレーナーが自分の役割を終えた後も、持っているスキルを生かせるキャリアデザインを、企業が支援する必要があります。また、トレーナー候補の発掘や新たなトレーナー育成に向けた活動も継続的に行い、組織力の向上にもつなげていきます。
OJTトレーナー研修についてはこちらを参照ください。
OJTのデメリットを克服するための解決策(OJTのデジタル化)
ばらつき軽減を図る
OJTの最大のデメリットは「ばらつき」が生じやすいことです。ばらつきを軽減するには、OJTのデジタル化を図ることが有効です。それにより、OJTの生産性を劇的に高めることが可能になります。
例えば、OJTを企画する部署が、現場で教える内容について棚卸し、教えるテーマや作業などについてデジタルコンテンツを作成します。それを教える際の教材として活用することで、教える人によるばらつきをなくし、いつでもどこでも誰でも同じコンテンツから同じ品質の教育を受けることが可能になります。
そのような学習コンテンツと学習環境の整備により、配属されたエリアや支店、そこに存在するOJTトレーナーの違いによって発生するOJTのばらつきを克服することが可能です。
OJTのためのコンテンツを誰がつくるのかについては、OJTトレーナー同士で協力しながら進めていけば、現場の実態に即した学習コンテンツの作成が可能になります。
▼ OJT用のデジタルコンテンツ作成のコツについてはこちらを参照ください。
教える側の生産性向上
教える側から見ると、OJTのデメリットは業務負荷が増えることです。毎年、新入社員や中途入社社員が職場に配属されるたびに、OJTトレーナーが同じ内容を教えないといけないですが、OJTのデジタル化を進めることで、OJTトレーナーの効率・生産性向上を図ることが可能になります。
例えば、OJTで教える内容をデジタルコンテンツ化しておき、新入社員に見てもらうようにします。その後、質疑応答を繰り返して仕事内容を覚えてもらいます。これによって、教える側の負担が減り、教えられる側の成長スピードも速くなります。
また、職種ごとに一人前になるまでの学習要素を体系的に整備し、現場で仕事をしながらその仕事を進めていく上で必要なコンテンツを計画的、継続的、体系的に学習してもらうことで効率が高まります。
それにより、OJTの業務負荷を軽減しながらも、新入社員や若手社員の早期戦力化につなげることが可能です。そのような計画的、継続的、体系的に学習できるプログラムのことをオンボーディングプログラムと言います。
▼ オンボーディングプログラムの詳細についてはこちらを参照ください。
いつでも、どこでも学習可能な環境
教えられる側から見ると、OJTのデメリットはどのような人に教えてもらえるかを自分では選べないことです。OJTのデジタル化が進み、OJT用のコンテンツが整備されてくると、会社で用意してくれた学習コンテンツをいつでも、どこでも学習することが可能となります。
そのような学習環境があれば、新入社員が配属された職場の先輩社員に依存せず、自己学習し、スキルアップすることができます。また、動画コンテンツやeラーニングコンテンツによるインプットだけではなく、受講者の疑問を解消するために、双方向にやり取りができるソーシャルラーニングの学習環境を整備することで、学習の充実化を図ることも可能です。
また現代は、AIテクノロジーを活用することで、AIによるフィードバックから気付きや学びを得ることも可能な時代になっています。
▼ AIテクノロジーの活用については、こちらを参照ください。
OJTのデジタル化には、学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」がおすすめ
OJT(On the Job Training)のデジタル化には、学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」をおすすめします。UMU(ユーム)は、教育・研修のための学習プラットフォームです。カスタマイズ性の高さや使いやすさが評価され、現在多くの企業に導入されています。
UMU(ユーム)を使えば、いつでもどこでも学習を提供することが可能となります。これにより、必要な人が必要なときに、具体的な仕事の進め方や注意点を学ぶことができます。そして、フィードバックや評価を即時に行えるため、学習者の学習行動をリアルタイムで追跡し、必要なフィードバックや評価を即時に提供できます。そのような学習環境を通じて、教育・研修効果の最大化につなげられます。
また、UMUを活用すると、学習データの収集・分析が容易になります。学習過程や結果を詳細に記録することができ、データ分析による学習効果の測定や改善提案が可能となります。さらに、組織全体の知識・情報共有が手軽にできるので、社員が持つ知識や経験を共有・活用し合うことがやりやすくなります。UMUを活用することで、組織全体のスキルアップが実現できます。
まとめ
OJTの最大のデメリットとは?解決策と合わせて解説!について紹介してきました。OJTのデメリットはばらつきが出ることであり、OJTのデジタル化により克服できます。OJTのデジタル化で、ばらつきが少なく、効率的で一貫性のあるOJTによる学習環境を築くことが可能になります。
DXとは流行りのテクノロジーの導入ではなく、データとデジタル技術を活用し、企業全体の思考方式や行動の改革を意味します。OJTを起点に現場で学び方、育成の仕方の変革に取り組むことで、さらなる教育の進化につなげることができます。
LDcubeはこれまでの組織活性化や人材育成で培ったノウハウを生かしながら、新たな時代の人材育成方法の模索を支援しています。また、OJTのデジタル化に向けたプラットフォームの提供やコンテンツ作り、運用のサポートなど、さまざまなサービスを展開しています。無料のデモ体験会なども行っています。お気軽にお問い合わせください。
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