OJTとOFF-JTの違いとは?メリットや使い分け、新手法についても解説
OJTとOFF-JTは、企業における人材育成の二大柱として知られています。
しかし、これらの研修方法の違いや特徴、そして効果的な活用法を正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
OJT(On-the-Job Training)は実際の業務現場で行われる実践的な研修方法です。
一方、OFF-JT(Off-the-Job Training)は通常の業務から離れた環境で実施される体系的な研修プログラムを指します。
両者それぞれに固有のメリットとデメリットがあり、企業の目的や従業員のニーズに応じて適切に使い分けることが重要です。
本記事では、OJTとOFF-JTの基本的な定義から始まり、その主な違い、それぞれのメリット・デメリットを詳しく解説します。
さらに、両者を効果的に組み合わせる方法や、成功企業の事例なども紹介します。
人材育成は企業の持続的な成長と競争力強化に不可欠です。
OJTとOFF-JTを適切に活用することで、より効果的な人材育成システムを構築できるでしょう。
この記事を通じて、自社の研修プログラムを見直すきっかけにしていただければ幸いです。
▼OJTの全体像や詳細のテーマについては以下にまとめています。併せてご覧ください。(関連記事)
- OJTとは?意味や目的、メリット、Z世代への適応まで全解説!
-
OJTにおける最大のデメリットとは?解決策と合わせて解説!
-
デジタル時代のOJTマニュアルとは?社員教育のポイントを紹介!
-
OJT成功の企業事例10選|うまくいく会社の共通ポイントを解説
-
OJTトレーナーの3つの役割とよりよい人材育成の循環を生むコツとは?
-
OJTトレーナー研修とは?45%が未実施!内容や実施方法を解説!
- OJTガチャの不運・悲劇を防ぐ処方箋3選!効果的な対策について解説!
▼OJTのお役立ち資料は下記よりダウンロードできます。
目次[非表示]
OJT と OFF-JT の基本:定義と特徴
人材育成において、OJT(On-the-Job Training)とOFF-JT(Off-the-Job Training)は二大柱と言える重要な手法です。
これらは異なるアプローチで従業員のスキルと知識の向上を図りますが、それぞれに固有の特徴と役割があります。
ここでは、OJTとOFF-JTの基本的な定義と主な特徴について詳しく解説します。これらの基本を理解することは、効果的な人材育成戦略を立案し、実行する上で不可欠です。
OJT(On-the-Job Training)とは
OJTは「On-the-Job Training」の略で、文字通り「仕事をしながらの訓練」を意味します。
主な特徴は以下の通りです。
- 実際の職場で行われる
- 日常業務と並行して実施される
- 上司や先輩社員が指導者となる
- 実践的なスキルや知識を習得できる
- 個々の社員のペースに合わせて指導可能
OJTの実施方法としては、新入社員に先輩社員が付き添って業務を教える「ブラザー・シスター制度」や、段階的に難易度の高い業務を任せていく「階段式OJT」などがあります。
OFF-JT(Off-the-Job Training)とは
OFF-JTは「Off-the-Job Training」の略で、通常の業務から離れて行う研修や教育を指します。
主な特徴は以下の通りです。
- 職場外で実施される(研修室、外部施設など)
- 通常業務とは切り離して行われる
- 社内の専門講師や外部講師が指導する
- 体系的な知識やスキルを学ぶことができる
- 複数の社員に同時に教育を行える
OFF-JTの実施方法には、講義形式のセミナー、グループワークを中心としたワークショップなどがあります。新入社員研修や管理職研修など、特定の層を対象とした集中的な教育にも適しています。
OJT と OFF-JT の主な違い3点
OJTとOFF-JTは、どちらも重要な人材育成手法ですが、その特性や実施方法には大きな違いがあります。
これらの違いを理解することで、それぞれの手法をより効果的に活用することができます。ここでは、OJTとOFF-JTの主な違いを3つの観点から解説します。
実施環境の違い
OJTは実際の職場で日常業務と並行して行われるのに対し、OFF-JTは職場を離れた環境で実施されます。
|
OJTは、実際の職場で日常業務と並行して行われるため、学んだ知識やスキルを即座に業務で応用することができます。
これにより、実践的な経験を積むことができ、職場の実際の状況やチームのダイナミクスを理解することが促進されます。
一方、OFF-JTは、職場を離れた環境で実施されるため、集中して学習に取り組むことができるとともに、普段の業務から離れた中立的な立場で新しい視点やスキルを身に付ける機会を提供します。
この違いにより、OJTでは実践的なスキルを身に付けやすい一方、OFF-JTでは業務から離れて集中的に学習できるという特徴があります。
学習内容の違い
OJTとOFF-JTでは、主に学ぶ内容に違いがあります。
|
OJTは、特定の業務プロセスや職務に関連する具体的なスキルや知識の習得に焦点を当てます。
これは、実務経験を通じて学ぶことができるスキルの習得に適しており、即戦力としての育成を目的とします。
一方、OFF-JTは、業務内容に直接関連しない場合でも、広い視野でのスキルや一般的なビジネス知識、リーダーシップやマネジメントスキルなど、長期的な視点において個人の成長を促す内容が多いです。
OJTでは現場に即した実践的なスキルを習得できますが、OFF-JTではより広範囲な知識や最新の情報を学ぶことができます。
指導者の違い
|
指導を行う人物も、OJTとOFF-JTで異なります。
OJTでは学習者の先輩や直属の上司が指導を行い、自分の経験や現場でのノウハウを伝授します。
これにより、業務に即したリアルタイムのフィードバックを受けることが可能です。
一方、OFF-JTでは、社内の専門講師や外部講師が指導を担当することが多く、理論的な知識や業界標準に基づくスキルの教育が行われます。
これは、異なる視点や専門知識を学習者に提供することに寄与します。
OJTでは日々の業務を通じて上司や先輩から指導を受けられる一方、OFF-JTでは特定の分野に精通した専門家から学ぶことができます。
以上の違いを表にまとめると次のとおりです。
項目 |
OJT |
OFF-JT |
実施環境の違い |
オフィス、工場、店舗など実際の業務現場 |
会議室、研修施設、オンライン上の仮想空間など |
学習内容の違い |
具体的な業務スキル、社内独自のノウハウ、暗黙知 |
体系的な知識、一般的な理論、業界全体の動向 |
指導者の違い |
直属の上司、先輩社員、熟練工など |
人事部門の講師、外部講師、専門家など |
OJTにおけるメリット3点
実際の業務を通じて学ぶOJTには、他の教育方法にはない固有のメリットがあります。
ここでは、OJTの主要なメリットを3点に絞って解説します。
これらのメリットを理解し、適切に活用することで、より効果的な人材育成プログラムを構築し、従業員のスキル向上と組織の生産性向上を同時に達成することが可能となります。
戦力の育成
OJTの最大のメリットは、実際の業務を通じて学ぶことで即戦力となる人材を育成できる点です。
- 実務に直結したスキルを効率的に習得できる
- 理論と実践を同時に学べるため、知識の定着率が高い
- 業界や会社特有のノウハウを直接学べる
例えば、営業職の新入社員が先輩社員に同行して商談に参加することで、実際の顧客対応や交渉スキルを身に付けることができます。
個別指導の実現
OJTでは、個々の社員の能力や進捗に合わせた柔軟な指導が可能です。
- 学習者のペースに合わせて指導内容を調整できる
- 個人の強みや弱みを把握し、的確なフィードバックが可能
- 学習者と指導者の信頼関係を構築しやすい
例えば、プログラミングスキルの習得において、個人の理解度に応じて課題の難易度を調整したり、つまずきやすいポイントに重点を置いた指導を行ったりすることができます。
コスト効率の良さ
OJTは、特別な設備や外部講師を必要としないため、比較的低コストで実施できます。
- 外部研修のような費用がかからない
- 業務時間内に実施できるため、時間の有効活用が可能
- 社内リソースを活用するため、継続的な実施が容易
OJT におけるデメリット3点
OJTは多くのメリットを持つ効果的な人材育成手法ですが、同時にいくつかの課題や限界も存在します。
これらのデメリットを認識し、適切に対処することは、より効果的なOJTプログラムを構築する上で非常に重要です。
ここでは、OJTの主要なデメリットを3点挙げ、解説します。
これらの課題を理解することで、OJTの弱点を補完し、より包括的で効果的な人材育成システムを設計することができます。
指導者の質に依存
OJTの効果は、指導者の能力や経験に大きく左右されます。
- 指導者のスキルや知識が不十分な場合、誤った情報が伝わる可能性がある
- 指導方法が体系化されていないと、教育の質にばらつきが生じる
- 指導者の主観や偏見が教育内容に反映されてしまう恐れがある
例えば、ベテラン社員が「昔はこうやっていた」という古い手法を新人に教えてしまい、最新の効率的な方法が伝わらないケースがあります。
対策として、指導者向けの研修プログラムを実施したり、指導マニュアルを整備したりすることが効果的です。
体系的な学習の難しさ
OJTは実務を通じての学習のため、体系的な知識の習得が難しい場合があります。
- 業務の状況に応じた断片的な学習になりやすい
- 基礎理論や全体像の理解が不十分になる可能性がある
- 学習の進捗管理や評価が難しい
例えば、プロジェクト管理を学ぶ際に、タスク管理のみに焦点が当たり、リスク管理やステークホルダーマネジメントなどの重要な側面が見落とされる可能性があります。
これを補うために、OJTと並行して体系的な OFF-JTプログラムを実施したり、eラーニングなどの自己学習ツールを提供したりすることが有効です。
時間的制約がある
OJTは通常業務と並行して行われるため、十分な学習時間の確保が難しい場合があります。
- 業務の繁忙期には学習の機会が減少する
- 指導者と学習者の時間調整が難しい
- じっくりと考える時間や復習の時間が取りにくい
例えば、顧客対応に追われる営業部門では、新人への指導時間が十分に確保できず、学習の機会が限られてしまうことがあります。
この問題に対しては、学習時間を業務スケジュールに組み込んだり、オンラインツールを活用した非同期型の指導方法を取り入れたりすることで改善が可能です。
OFF-JT のメリット3点
ここでは、OFF-JTの主要なメリットを3点挙げ、詳しく解説します。
これらのメリットを十分に理解し活用することで、従業員の能力開発を効果的に進め、組織全体の競争力を高めることができます。
体系的な学習
OFF-JTの最大の利点は、体系的かつ計画的な学習が可能な点です。
- カリキュラムに基づいた計画的な教育ができる
- 基礎から応用まで、段階的に知識やスキルを習得できる
- 業界全体の動向や最新のトレンドを学ぶことができる
例えば、新入社員研修では、ビジネスマナーから会社の理念、基本的な業務スキルまで、幅広い内容を体系的に学ぶことができます。
集中的な学習環境
OFF-JTは、日常業務から離れた環境で行われるため、集中的な学習が可能です。
- 業務の中断や妨げがなく、学習に専念できる
- グループワークやディスカッションなど、多様な学習方法を取り入れやすい
- 他部署や他社の人々と交流し、新しい視点や知識を得られる
例えば、管理職研修では、リーダーシップやマネジメントスキルについてロールプレイングやケーススタディーを通じて集中的に学ぶことができます。
幅広い知識の習得
OFF-JTでは、日常業務ではあまり触れることのない幅広い知識を習得できます。
- 専門家や外部講師から最新の知識や技術を学べる
- 自社の業務に直接関連しない分野についても学習できる
- 将来的に必要となる可能性のあるスキルを先行して習得できる
例えば、IT部門の社員がビジネス戦略やマーケティングの基礎を学ぶことで、より事業貢献度の高いシステム開発ができるようになります。
OFF-JT のデメリット3点
OFF-JTには同時にいくつかの課題や限界も存在します。
これらのデメリットを正しく理解し、適切に対処することは、より効果的なOFF-JTプログラムを設計・実施する上で非常に重要です。
ここでは、OFF-JTの主要なデメリットを3点挙げ、詳しく解説します。
実務との乖離
OFF-JTは実際の業務環境から離れて行われるため、学んだ内容を実務に適用することが難しい場合があります。
- 理論と実践のギャップが生じやすい
- 研修で学んだことを実務で生かせない「研修転移」の問題が起こりうる
- 企業や部署の特殊性に対応しきれない可能性がある
例えば、営業研修で学んだ理想的な商談プロセスが、実際の顧客との対応では通用しないケースがあります。
この問題に対しては、研修内容を実務に近づけたり、研修後のフォローアップを充実させたりすることで改善が可能です。
コストの高さ
OFF-JTは外部の施設や講師を利用することが多いため、コストが高くなりがちです。
- 研修施設の確保や外部講師への謝礼などの直接的な費用がかかる
- 従業員が通常業務を離れることによる機会損失コストが発生する
- 大規模な研修の場合、準備や運営に多くの時間と労力が必要となる
コスト削減策としては、オンライン研修の活用や社内講師の育成などが考えられます。
一律的な教育の限界
OFF-JTでは、多くの場合、参加者全員に対して同じ内容の研修が行われるため、個々の能力やニーズに合わせた柔軟な対応が難しいことがあります。
- 参加者の知識やスキルレベルにばらつきがある場合、適切な難易度設定が困難
- 個々の学習ペースや理解度に合わせた指導が行いにくい
- 特定の従業員にとっては不要な内容も含まれる可能性がある
例えば、入社時研修で、すでに高いスキルを持つ中途採用者が基礎的な内容を繰り返し学ばされるケースがあります。
この問題に対しては、事前アセスメントによる適切なクラス分けや、選択制のカリキュラム導入などが効果的です。
OJTとOFF-JTの使い分け方を解説
効果的な人材育成を実現するためには、OJTとOFF-JTそれぞれの特性を理解し、適切に使い分けると同時に、両者を効果的に組み合わせることが重要です。
両手法には固有の長所と短所があり、これらを相互に補完することで、より包括的で強力な人材育成プログラムを構築することができます。
ここでは、OJTとOFF-JTの適切な使い分け方と、相乗効果を生み出す組み合わせ方について詳しく解説します。
目的に応じた使い分け
OJTとOFF-JTは、育成の目的や対象者のニーズに応じて適切に使い分ける必要があります。
具体的な状況 |
例 |
|
OJTが 適している場面 |
|
新入社員の基本的な業務スキル習得、営業担当者の商談スキル向上 |
OFF-JTが 適している場面 |
|
コンプライアンス研修、マネジメント研修、新技術の導入時の全社研修 |
効果的な人材育成のためには、これらの特性を理解し、状況に応じて適切な手法を選択することが重要です。
OJT と OFF-JT の組み合わせ方を解説
OJTとOFF-JTを組み合わせることで、それぞれの長所を生かし、短所を補完し合うことができます。以下に効果的な組み合わせ方を紹介します。
|
OJTとOFF-JTの活用ポイント3点
OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせて活用することは、組織の人材育成戦略を成功に導く鍵となります。
しかし、単にこれらの手法を実施するだけでは、最大の効果を得ることはできません。真に効果的な人材育成を実現するためには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
ここでは、OJTとOFF-JTを最大限に生かすための3つの核心的なポイントを紹介します。
明確な目標設定を行う
効果的な人材育成のためには、具体的かつ測定可能な学習目標を設定することが重要です。
- 組織の目標と個人の成長目標を連動させる
- SMART(Specific:具体性, Measurable:測定可能, Achievable:達成可能, Relevant:関連性, Time-bound:期限が明確)な目標設定を心がける
- 短期、中期、長期の目標を段階的に設定する
例えば、「3カ月以内に、新規顧客5社との商談を成立させる」という具体的な目標を設定し、そのために必要なOJTとOFF-JTを計画します。
定期的な評価とフィードバック実施
OJTとOFF-JTの効果を最大化するには、定期的な評価とフィードバックが不可欠です。
- 育成計画の進捗を定期的にチェックする
- 具体的な行動や成果に基づいたフィードバックを提供する
- 360度評価など、多角的な視点からの評価を取り入れる
OJTの中で適切な評価とフィードバックを行うことで、新入社員は成長実感を得ることができます。
継続的な改善を行う
人材育成プログラムは、常に見直しと改善を行うことで、その効果を高めることができます。
- 定期的にOJTとOFF-JTの内容や方法を見直す
- 従業員からのフィードバックを積極的に収集し、プログラムに反映させる
- 業界動向や最新の学習理論を取り入れ、プログラムを更新する
例えば、テクノロジーの進化に併せて、VRを活用した安全研修(OFF-JT)を導入し、その後のOJTでの実践につなげるなど、新しい手法を積極的に取り入れることが重要です。
事例紹介:成功企業に学ぶ OJT と OFF-JT の活用
理論を理解することも重要ですが、実際のビジネス現場でOJTとOFF-JTがどのように活用され、成果を挙げているかを知ることは、さらに大きな価値があります。
ここでは、OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせ、優れた成果を挙げている企業の事例を紹介します。
これらの成功事例を通じて、理論がどのように実践に移されているか、そしてどのような工夫や戦略が効果的であったかを具体的に学ぶことができます。
OJT成功の企業事例|マルハニチロ
会社名
マルハニチロ株式会社
資本金:200億円
売上高:連結:1,030,674百万円(2024年3月期)
従業員数:12,531名(2024年3月末)
事例
マルハニチロ株式会社では、入社1年目の社員に対し、OJTリーダー(トレーナー)と呼ばれる先輩社員を中心としたOJT研修を行っています。
OJTリーダーは、業務の指導だけではなく、一人前の社会人になるための成長をサポートします。
業務目標の設定や、日々の悩み相談まで、新人時代のあらゆる場面を支えます。
一般的に、多くの会社では、「OJT」=「業務指導」となっているケースが非常に多く、新入社員が1人で問題を抱え込んでしまうケースもあります。
マルハニチロ株式会社では、いつも側にいる先輩社員から精神的なサポートがあるため、安心してOJTに取り組むことができるといえるでしょう。
さらに、OJTを円滑に進めるために、OJTリーダー養成研修やフォローアップ研修も実施しており、職場全体で新入社員を育成していく環境が整っています。
また、事業の幅が広い会社であるため、OJTに加えて、工場での現場実習やデパート地下での販売研修、品質管理研修など、多種多様な研修も併用。
資格の取得なども積極的に支援しており、奨励金をはじめ、約170もの通信研修の受講料を企業が半額負担するなど、サポート体制も万全です。
実際に研修を受けた社員からは、次のような声が上がっています。
OJTを受けた新入社員の声
1年目はOJT制度があって、サポートはもちろん、相談にのってくださったり、目標を一緒に立ててくださったりしたおかげで心強かったですね。
1つ相談したら、いくつものアドバイスが返ってくる。その中からやってみようと思えるものを実行できるのが魅力でした。
OJTの成功ポイント
「OJTリーダー養成」の研修により、トレーナーもスキルアップ
マルハニチロでは、「OJTリーダー養成」の研修を行っていることが、OJTの成功ポイントです。
「OJTリーダー養成」は一般的に「トレーナー研修」と呼ばれるもので、トレーナーとしての指導スキルを身に付けることができます。
例えば、トレーナー研修では、OJTについての理解を深め、コーチングなどの指導のスキルを習得します。
コミュニケーション法なども学ぶため、トレーナーとしての自覚が芽生え、新入社員も安心して指導を受けることができるでしょう。
トレーナー研修を行うことなく指導するOJTでは、トレーナーのスキル不足により、新入社員が悩みやストレスを抱え込みやすくなります。
特に、会話が苦手なトレーナーの場合、コミュニケーションが取れず、新入社員の早期退職につながる可能性もあります。
OJTを担当するトレーナーへの研修を実施し、トレーナーのスキルを向上させることが、OJTの成功には必要といえるでしょう。
先輩社員であるOJTリーダーが、新入社員をあらゆる面から成長をサポート
もう1つのOJT成功のポイントは、トレーナー(OJTリーダー)が新入社員のあらゆる面の成長をサポートしている点です。
新入社員が不安や悩みを先輩に相談できる環境が整っているため、モチベーションが向上し、研修に前向きに取り組むことができます。
例えば、新入社員がOJTの目標設定を行う場合、曖昧で具体性に欠けたり、現実的ではなかったりというようなことが起こりがちです。
経験や業務理解の不足から起こるものですが、目標達成が難しくなるため、やる気が低下する原因にもなりかねません。
しかし、先輩社員が実際の業務や会社の方針に沿ったアドバイスをすることで、実現可能な目標を立てることができ、モチベーションの向上にもなるでしょう。
また、トレーナーに日々の悩みや不安を相談することで、信頼関係が生まれ、円滑にOJTが進むようになります。
新手法「OJT的OFF-JT」は効果あり!
OJT的OFF-JTとは、OJTで教える内容をOFF-JTでまとめて教えるという手法です。
LDcubeでは下記のように定義しています。
定義
『社内OJTトレーナー(実務経験者)が「OFF-JT」の講師として職場を離れて学習の場をつくり、「OJT」のように実務遂行に必要な知識・技能・態度を計画的、重点的に指導する』(Off-JTの機会を活用し、OJTを補完する)
ポイント
|
特に、1年目社員や2年目社員を対象に研修会場に集めてOFF-JTを行う場合、講師として現場で活躍する先輩がOJTトレーナーとしての教育を受けて指導に当たることでOJT的OFF-JTを実施することができます。
OJT的OFF-JTの研修構成における最大の特徴は、現場の実際の業務経験を持つOJTトレーナーが教えることで、実務に即した知識やスキルを体系的に学ぶことができる点です。
OJTトレーナーは日常の活動で得た知見を生かし、具体的な事例や実践的な技術をOFF-JTの場でまとめて指導します。
これにより、学習者は業務フローの全体像を理解しやすくなり、個々のスキルが実際の職場でどのように役立つのかを実感することができます。
また、OFF-JTの形式では、日常業務から離れて集中して学習する環境が整うため、受講者がより深く知識を吸収できるメリットがあります。
さらに、同期の同僚と一緒に研修を受けることで、仲間同士のネットワークが築かれ、横のつながりも強化されるため、職場に戻った際の相互支援やチームワークの向上にも寄与します。
OJT的OFF-JTの事例
金融業界(10,000名以上)
社内講師で新人~若手研修(1年目~5年目)展開
社内講師は現場のエース!
現場に配属され10年ほど経験を積み、実績を上げた優績者が約2~3年間人材開発部に異動し、社内講師となっています。社内講師がLIFOプログラムライセンス(※1)を取得して社内研修に活用しています。
1~5年目までの研修体系が組まれており計画的に展開している
若手の研修体系が構築されており、計画的にトレーニングを実施しています。
現場経験を踏まえた「カン」「コツ」「ノウハウ」を伝授!
現場を知っている社内講師がOff-JTという機会を活用しながらも「現場ではこういうことあるよね……。
その時はこうすると効果的!」とカン、コツ、ノウハウを交えてトレーニングを行っています。
※1
LIFOプログラムは、自己の強みやスタイルを発見し、自己啓発を促すプログラムです。
受講者は、行動科学に基づいて、個人の指向性や行動スタイルから個人の「強み」を理解し、その強みをコントロールすることで、対人関係の円滑化を図ることができます。
このプログラムの汎用性(はんよう)が高く、コミュニケーション研修、タイムマネジメント研修、コーチング研修、セールス研修、OJT研修を含むさまざまな研修で活用できます。
プログラムライセンスとはLIFOプログラムの研修を実施することができるライセンスのことを指します。
株式会社LDcube(以下、LDcube)では、OJT的OFF-JTを実現するための社内講師養成の支援やプログラムライセンス、社内講師が活用できる教材の提供などを行っています。
お気軽にお問い合わせください。
まとめ
OJTとOFF-JTの違いとは?使い分け方や新手法についても解説!について紹介してきました。
- OJT と OFF-JT の基本:それぞれの定義と特徴
- OJT と OFF-JT の主な違い3点
- OJT のメリット3点
- OJT のデメリット3点
- OFF-JT のメリット3点
- OFF-JT のデメリット3点
- OJT と OFF-JT の使い分け方や組み合わせ方を解説
- OJT と OFF-JT の効果的な活用ポイント3点
- 新手法「OJT的OFF-JT」は効果あり!
- 事例紹介:成功企業に学ぶ OJT と OFF-JT の活用
OJTとOFF-JTの定義、特徴、メリット・デメリット、そして効果的な活用方法について詳しく解説してきました。
バランスの取れた人材育成は、従業員の能力向上だけでなく、モチベーション維持や組織の競争力強化にも貢献します。
また、急速に変化する現代のビジネス環境において、継続的な学習と適応を可能にする基盤となります。
これからの人材育成では、テクノロジーの活用やリモートワークへの適応など、新たな課題にも直面することでしょう。
しかし、OJTとOFF-JTの基本を押さえつつ、時代のニーズに合わせて柔軟に進化させていくことで、これらの課題にも対応できるはずです。
また、新手法としてOJT的OFF-JTについても紹介しました。OJTで教える内容をOFF-JTでまとめて教える手法であり、OJTやOFF-JTの効果や効率を高めることにつながります。
LDcubeでは、OJT的OFF-JTを実現するための社内講師養成の支援や社内講師が活用できる教材の提供などを行っています。
無料でプログラム体験会なども行っています。お気軽にお問い合わせください。
▼関連資料はこちらからダウンロードできます。
▼関連記事はこちらから。