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OJTの成否は「心構え」で決まる!指導のポイントや上司の効果的な役割とは?

近年、企業の人材育成において重要性を増しているOJT(On-the-Job Training)。新入社員や若手社員の成長を支える重要な役割を担うOJTトレーナーには、適切な心構えと指導スキルが求められます。 

しかし、 
「自分の業務で手一杯なのに育成まで任されて不安」 
「効果的な指導方法が分からない」 
「後輩との接し方に悩んでいる」 
など、OJTトレーナーを任された方々からはさまざまな戸惑いの声が聞かれます。

実際、株式会社LDcube(以下、LDcube)が行った調査によると、45%の組織でOJTトレーナー研修を実施していないことが明らかになりました。この結果から、多くの組織では、OJTトレーナーは自分が何をしたらよいのか分かっていない可能性があります。  

OJTは単なる業務指導という機能を超えて、後輩の成長に寄り添い、職場全体の活性化にも貢献する重要な役割を果たします。そのため、トレーナーには指導者としての適切な心構えを持ち、効果的な育成手法を身につけることが求められます。 

本記事では、OJTトレーナーとして押さえるべき基本的な心構えから、実践的な指導のポイント、よくある課題への対処法まで、現場で即実践できる内容を詳しく解説していきます。本記事を読むことで、あなたも自信を持ってOJT指導に取り組めるようになるはずです。 

特に、トレーナー経験が浅い方や、より効果的な指導方法を模索している方にとって、きっと有益な情報となるでしょう。

それでは、成功するOJTトレーナーになるために必要な心構えと実践ポイントを見ていきましょう。 

▼OJTの全体像や詳細のテーマについては下記にまとめています。併せてご覧ください。(関連記事) 

▼OJTについての資料はこちらからダウンロードできます 


目次[非表示]

  1. 1.OJTの成功はトレーナーの心構えで決まる! 
  2. 2.OJTに臨む心構えと基本姿勢
    1. 2.1.【心構え①】後輩の成長と職場の活性化に貢献する存在となる
    2. 2.2.【心構え②】教える立場としての責任を自覚して行動する
    3. 2.3.【基本姿勢①】率先垂範(Set Example) 
    4. 2.4.【基本姿勢②】仕事の割り当て(Job Assignment) 
    5. 2.5.【基本姿勢③】個人的接触(Personal Contact) 
  3. 3.トレーナーとしての心構え|OJTの役割を正しく理解する
    1. 3.1.単なる指導役ではなく育成プロジェクトのリーダーである
    2. 3.2.上司と育成目標や計画について合意を形成する 
    3. 3.3.職場全体の協力体制を築き上げる
  4. 4.OJT指導で成功するための6つの心構え
    1. 4.1.1人の自立した大人として接する
    2. 4.2.成長のプロセスに寄り添い続ける 
    3. 4.3.相手の強みを生かした指導を心掛ける
    4. 4.4.定期的なフィードバックで成長を促す
    5. 4.5.自己の業務とOJTを両立させる
    6. 4.6.指導者としての学びと成長を意識する
  5. 5.OJT指導のスケジュール面での心構え
    1. 5.1.1年で独り立ちできるように関わる
    2. 5.2.最初の1カ月で信頼関係を構築する
    3. 5.3.毎週振り返りを行い、成長を確認する
  6. 6.OJT指導でフィードバックする際の心構え
    1. 6.1.相手の成長を願ってフィードバックする
    2. 6.2.定期面談で後輩の成長の言語化を意識する
    3. 6.3.できたことを具体的に褒めて自信をつけさせる
    4. 6.4.次の成長ステップを明確に示して意欲を引き出す 
  7. 7.OJTトレーナーの上司に必要な心構え 
    1. 7.1.育成責任は OJTトレーナー ではなく上司にあることを自覚する
    2. 7.2.OJTトレーナーをできる限りバックアップする
    3. 7.3.OJTトレーナーだけでなく、職場全体で育成するという意識を持つ
  8. 8.OJT指導でよくある課題と持っておきたい心構え
    1. 8.1.時間管理の工夫で業務との両立を実現する
    2. 8.2.部下の主体性を引き出す声掛けを実践する
    3. 8.3.上司と連携して組織的な支援体制を築く
  9. 9.OJTの心構えを形成するには合同研修が効果的
    1. 9.1.新人・OJTトレーナー・上司合同で研修を行う
    2. 9.2.OJTについての共通認識を形成できる 
    3. 9.3.自職場の課題と対応策を検討できる 
  10. 10.OJTの心構えをつくるならLDcubeにお任せ!
  11. 11.まとめ:OJTは心構えが大切!

OJTの成功はトレーナーの心構えで決まる! 


新入社員の育成方法として多くの企業で導入されているOJT(On-the-Job Training)は、実際の業務を通じて知識やスキルを習得させる有効な手法ですが、その成否を大きく左右するのがトレーナーの心構えです。 

OJTトレーナーに任命された方の中には「自分の仕事も忙しいのに、育成までできるのか不安」「イマドキの若手との接し方がわからない」といった悩みを抱える方も少なくありません。

しかし、適切な心構えと指導方法を身につければ、新入社員の早期戦力化と自身の成長を同時に実現することが可能です。 

OJTトレーナーの役割は単なる「教える人」ではありません。新入社員の育成プロジェクトのリーダーとして、上司と育成目標を共有し、職場全体を巻き込みながら、新入社員の成長をサポートする重要な存在です。そのためには、自分自身の姿勢や行動が新入社員のロールモデルとなることを自覚し、責任感を持って取り組む必要があります。 

次章では、OJTトレーナーとして成功するための心構えや基本姿勢について詳しく解説します。 

OJTに臨む心構えと基本姿勢


OJTに臨むにあたって、トレーナーが持つべき基本的な心構えと姿勢について解説します。この土台があってこそ、効果的な指導が可能になります。

【心構え①】後輩の成長と職場の活性化に貢献する存在となる

OJTトレーナーの第1の心構えは、自分の役割が「後輩の成長と職場の活性化に貢献する」ことだと認識することです。

単に知識や技術を教えるだけでなく、その指導が新入社員の成長を促し、ひいては職場全体の活性化につながるという意識を持ちましょう。 

新入社員が成長することで、チーム全体の生産性が向上し、新しい視点や考え方が職場に取り入れられます。また、トレーナー自身も教えることで自分の知識を整理し、理解を深める機会になります。

このような好循環を生み出す存在になるという意識を常に持っておくことが大切です。 

【心構え②】教える立場としての責任を自覚して行動する

第2の心構えは、トレーナーには「教える立場としての責任」が伴うことを自覚することです。

あなたの言動や姿勢は、新入社員にとって仕事に対する向き合い方のモデルとなります。そのため、自分自身の行動や態度が常に見られていることを意識し、責任ある行動を心掛けましょう。 

具体的には、時間を守る、約束を実行する、丁寧な仕事をする、報告・連絡・相談を徹底するなど、社会人としての基本行動を率先して実践することが求められます。

「言うは易し、行うは難し」とならないよう、自らが実践者となることが重要です。 

【基本姿勢①】率先垂範(Set Example) 

OJTの基本姿勢は率先垂範です。率先垂範とは、自らが模範となって行動することです。

新入社員は、言葉で教えられることよりも、実際のトレーナーの行動から多くを学びます。特に、仕事への取り組み姿勢や、課題に直面した時の対応、関係者とのコミュニケーションの取り方などは、トレーナーの姿から学ぶことが大きいでしょう。 

「こうすべき」と言うだけでなく、自らが模範となる行動を示すことで、新入社員も自然とその姿勢を吸収していきます。

例えば、困難な状況でも前向きに取り組む姿勢や、分からないことを素直に質問する姿勢など、日々の行動を通じて教えることができます。

【基本姿勢②】仕事の割り当て(Job Assignment) 

基本姿勢の2つ目は、新入社員の成長を促すためには、適切な難易度の仕事を割り当てることです。

あまりに簡単すぎる仕事では成長が見込めず、難しすぎる仕事では挫折感を抱かせてしまいます。 

新入社員の現在の能力と、次のステップで身につけるべきスキルを見極め、「少し背伸びすれば届く」レベルの仕事を割り当てることが効果的です。

また、単調な作業だけでなく、考える力や判断力を養える業務も計画的に与えていくことで、総合的な成長を促すことができます。

【基本姿勢③】個人的接触(Personal Contact) 

基本姿勢の3つ目は個人的接触です。効果的なOJTには、トレーナーと新入社員の間の信頼関係が不可欠です。

業務指導の場面だけでなく、ランチや休憩時間なども活用して、気軽に会話できる関係性を構築しましょう。 

新入社員の性格や価値観、強み・弱みを理解することで、その人に合った指導方法を見つけることができます。また、仕事以外の話題でコミュニケーションを取ることで、新入社員も質問や相談がしやすくなり、早期の成長につながります。

ただし、プライバシーに踏み込みすぎないよう、適切な距離感を保つことも大切です。

トレーナーとしての心構え|OJTの役割を正しく理解する


効果的なOJTを行うためには、トレーナーとしての役割を正しく理解することが不可欠です。

単に技術や知識を教えるだけでなく、より広い視点からOJTの意義を捉え、取り組む姿勢が求められます。

単なる指導役ではなく育成プロジェクトのリーダーである

OJTトレーナーの役割は「新入社員の指導役、相談窓口」という狭い範囲にとどまりません。真の役割は「職場ぐるみで新入社員を育てるプロジェクトのリーダー」です。この認識の違いが、OJTの質と成果に大きな差をもたらします。 

プロジェクトリーダーとして、育成計画の立案から実行、評価までを一貫して担当し、必要に応じて職場のメンバーに協力を要請する役割を果たします。また、新入社員と上司や職場メンバーの橋渡し役として、双方のコミュニケーションを促進することも重要な役割です。 

教えるべき内容は、業務知識・スキルだけではありません。職場のルールや文化、ビジネスパーソンとしての基本行動、さらには社会人としての心構えなど、多岐にわたります。

これらを計画的に教え、新入社員が職場に溶け込み、早期に戦力となれるよう支援することがトレーナーの使命です。 

上司と育成目標や計画について合意を形成する 

OJTを始める前に必ず行うべきことが、上司との育成目標や計画についての合意形成です。

「いつまでに、どのような状態になることを目指すのか」を明確にし、上司と認識を共有しておくことで、効果的なOJTが可能になります。 

まず、配属後の期間(多くの場合は1年間)で新入社員に期待する姿を具体的に言語化します。例えば「基本的な顧客対応ができる」「主要商品の特徴を説明できる」など、できるだけ具体的な行動レベルで設定することが重要です。 

次に、その目標達成に向けた段階的な計画を立てます。「最初の1カ月は〇〇を習得」「3カ月後には△△ができるようになる」といった形で、マイルストーンを設定しましょう。

この計画は上司の了承を得て、新入社員とも共有することで、3者間で目標と進め方の認識をそろえることができます。 

▼OJT計画については下記で詳しく解説しています。
⇒OJT計画とは?テンプレートや効果的なプランの立て方・注意点

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職場全体の協力体制を築き上げる

効果的なOJTを実現するためには、トレーナー一人の頑張りだけでは限界があります。職場全体の協力体制を築くことが、新入社員の成長を加速させる鍵となります。 

まず、職場のミーティングなどを活用して、OJTの目標や計画を共有し、職場メンバーの理解と協力を得ましょう。特定の業務や技術については、その分野に詳しいメンバーに指導を依頼するなど、職場の強みを生かした育成体制を構築することが効果的です。 

「職場全体で育てる」という雰囲気づくりも重要です。新入社員への声かけや気づいたことのフィードバックを、職場全体で行う習慣をつくりましょう。また、新入社員の成長を職場全体で喜び、認める風土を醸成することも、モチベーション向上につながります。 

トレーナーは、新入社員と職場メンバーをつなぐ役割も担います。新入社員がさまざまなメンバーから学べるよう、適切な場面設定や紹介を行うことで、多角的な成長を促すことができるでしょう。 

▼OJTトレーナーについては下記で詳しく解説しています。
⇒OJTトレーナーの3つの役割とよりよい人材育成の循環を生むコツとは?

  OJTトレーナーの3つの役割とよりよい人材育成の循環を生むコツとは? OJT研修を実践しているものの、成果がでないと課題に感じている担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。OJTの成功は、「トレーナー」によって大きく左右されます。OJTトレーナーは、「育成対象者の社員に伴走して業務やスキルを実践で教え指導する人」です。本記事では、OJT担当者に期待される役割や能力について詳しく紹介します。 株式会社LDcube


OJT指導で成功するための6つの心構え


OJTを効果的に進めるためには、日々の指導における心構えが重要です。

ここでは、成功するOJTトレーナーが持っている6つの心構えを紹介します。

1人の自立した大人として接する

OJTを行う際の基本となる心構えは、「相手は自立した1人の大人である」という認識を持つことです。新入社員だからといって、何も知らない子どものように扱うのではなく、1人の社会人として尊重する姿勢が大切です。 

新入社員も自分なりの考えや経験を持っています。その意見や発想を尊重し、積極的に取り入れることで、新入社員の主体性や自信を育むことができます。また、過度に手取り足取り教えすぎると、依存心を生んでしまう恐れもあります。 

適切な距離感を保ちながら、必要な時にはサポートする、という姿勢が理想的です。質問されたことにすぐに答えるのではなく、「あなたならどうすると思う?」と問いかけ、自分で考える機会を与えることも大切です。

このように、自立した大人として扱うことで、新入社員の成長スピードは格段に上がります。 

成長のプロセスに寄り添い続ける 

OJTでは、新入社員の成長プロセスに根気強く寄り添う心構えが求められます。人の成長には個人差があり、同じことを教えても習得のスピードや理解の深さは異なります。 

何度教えても習得できていない場合でも、焦らず丁寧に指導を続けることが大切です。特に、業務の基本となる知識やスキルは、繰り返し教え、確実に身に付けさせる必要があります。

「一度教えたから分かっているはず」という思い込みは禁物です。 

また、成長の過程では停滞期や壁にぶつかる時期も必ず訪れます。そのような時こそ、OJTトレーナーの励ましや支援が重要になります。新入社員の様子をよく観察し、困っている様子があれば声をかけ、必要に応じてアドバイスや励ましの言葉をかけましょう。

一時的な停滞に過度に反応せず、長期的な視点で成長を見守る姿勢が重要です。 

相手の強みを生かした指導を心掛ける

効果的なOJTを行うためには、新入社員一人一人の強みや特性を理解し、それを生かした指導を心がけることが重要です。

同じ教え方ではなく、個々人の特性に合わせたアプローチを取りましょう。 

まず、新入社員の強みを見つけるために、日々の業務の中での得意分野や、どのような場面で力を発揮するかを観察します。視覚的に情報を捉えるのが得意な人、話を聞いて理解するのが得意な人、実際にやってみて覚えるのが得意な人など、学習スタイルは人それぞれです。 

例えば、視覚的学習が得意な人には図やフローチャートを使って説明したり、実際にやってみるのが得意な人には、まずやってみてもらったりするなど、相手の特性に合わせた指導方法を選びましょう。

また、新入社員の強みを生かせる業務を意識的に割り当てることで、自己効力感を高め、モチベーションアップにつなげることができます。 

定期的なフィードバックで成長を促す

新入社員の成長を加速させるには、定期的なフィードバックが欠かせません。フィードバックには、良い点を伝える「ポジティブフィードバック」と、改善点を伝える「ネガティブフィードバック」の両方が必要です。

ただし、ネガティブフィードバックはその名の通りネガティブにならないように、改善点を建設的に伝えるようにしましょう。 

フィードバックを行う際のポイントは以下の通りです。 

  • 「鮮度の高いうち」に行う 
  • 具体的な事実や行動に基づいて伝える 
  • ポジティブフィードバックを伝えてから、ネガティブフィードバックを伝える 
  • 改善点を伝える際は、具体的な行動提案を添える 

特に重要なのは、新入社員の「成長実感」を促すフィードバックです。

人は自分の成長を実感できないと、モチベーションが低下してしまいます。「先月と比べてここが成長している」「この点が以前より上達している」など、成長の証拠を具体的に伝えることで、新入社員の自信とやる気を引き出すことができます。 

自己の業務とOJTを両立させる

OJTトレーナーの大きな悩みの一つが、自分の業務とOJT業務の両立です。どちらも責任を持って遂行すべき大切な業務 であり、バランスよく遂行する心構えが必要になります。 

まず、OJTは「余分な仕事」ではなく「自分の仕事の一部」という認識を持ちましょう。トレーナーとしての役割も、あなたの業務パフォーマンスの一部として評価される重要な仕事です。 

効率的に両立させるためのポイントとしては、以下のことが挙げられます。

  • 業務とOJTの時間配分を事前に計画する 
  • 新入社員と一緒にできる業務は積極的に一緒に行う 
  • 自分の業務の一部を新入社員に任せる(OJTも兼ねて) 
  • 上司に現状を定期的に報告し、必要に応じて業務調整を依頼する 

特に初期段階では時間がかかりますが、新入社員の成長に伴って徐々に自立的に業務を遂行できるようになれば、トレーナーの負担も軽減されていきます。

長期的な視点で考えれば、OJTは「投資」であり、将来的には職場全体の生産性向上につながることを意識しましょう。 

指導者としての学びと成長を意識する

OJTは新入社員だけでなく、トレーナー自身の成長の機会でもあります。

指導することで自分の知識やスキルを整理し、深める効果があるほか、コミュニケーション能力やリーダーシップも向上します。 

トレーナーとしての成長を意識するポイントは以下の通りです。 

  • 指導する内容を改めて学び直し、知識を更新する 
  • 「なぜそうするのか」の理由を説明できるよう理解を深める 
  • 指導方法について他のトレーナーと情報交換する 
  • 新入社員からの質問や意見から新たな気づきを得る 
  • 指導経験を通じて自分のコミュニケーションスタイルを振り返る 

また、新入社員から「なぜですか?」と質問されて答えられないことがあれば、それは自分自身の学びの機会と捉えましょう。一緒に調べたり、上司や先輩に確認したりすることで、トレーナー自身も成長することができます。 

このように、OJTを「教える」だけの場ではなく、相互に学び合い、共に成長する機会と捉える心構えが大切です。

トレーナーが自己成長を実感できれば、OJTへのモチベーションも高まり、より効果的な指導につながるでしょう。 

OJT指導のスケジュール面での心構え


効果的なOJTを実施するためには、指導のスケジュールについても適切な心構えを持つことが重要です。

ここでは、時間的な視点からOJTに臨む際の心構えについて解説します。

1年で独り立ちできるように関わる

多くの企業では、OJTの期間を1年間(入社後の3月末まで)と設定しています。

この期間で新入社員が「一人前」とまではいかなくても、「独り立ち」できるレベルになることを目指して関わりましょう。 

独り立ちとは、基本的な業務を自分で判断して進められる状態を指します。全ての業務を完璧にこなせる必要はありませんが、日常的な業務については自立して行動でき、判断に迷う場合には適切に質問や相談ができる状態を目指します。 

この目標を達成するためには、計画的に指導内容のレベルを上げていく必要があります。最初は密着して指導し、徐々に見守る割合を増やしていくという流れが一般的です。

進捗に応じて適宜計画を調整しながら、1年後の「あるべき姿」に向けて着実にステップアップできるよう支援します。 

ただし、業種や職種によって1人立ちに必要な期間は異なります。特に高度な専門性が求められる職種では、数年かかることもあるでしょう。その場合でも、1年で達成すべき中間目標を設定し、段階的に成長を促す視点が大切です。 

最初の1カ月で信頼関係を構築する

OJTの成否を左右する重要な期間が、最初の1カ月です。この期間に新入社員との信頼関係を構築できるかどうかで、その後の指導の効果が大きく変わってきます。 

配属初日、新入社員は「転校生」のような気持ちで不安を抱えています。まずは「あなたは私たちの仲間である」というメッセージを伝え、職場に居場所があると感じてもらうことが大切です。

トレーナーとしての自己紹介をしっかり行い、これからの関わり方について説明しましょう。 

信頼関係を築くためのポイントは、以下の通りです。 

  • 新入社員の話をじっくり聴く時間をつくる 
  • 業務指導だけでなく、職場のルールや文化も丁寧に説明する 
  • ささいな質問でも真摯に答え、質問しやすい雰囲気をつくる 
  • 自分自身のことも適度に開示し、一方的な関係にならないようにする 

この時期は、仕事の細かい指導よりも、コミュニケーションの量と質を重視しましょう。「この人なら何でも相談できる」と思ってもらえるような関係性を構築することが、その後の効果的な指導につながります。 

毎週振り返りを行い、成長を確認する

OJTを計画的に進めるためには、定期的な振り返りの機会を設けることが不可欠です。

週に1度、15〜30分程度の時間を確保して、その週の取り組みを振り返る習慣をつくりましょう。 

振り返りでは、以下のような内容を確認します。 

  • その週に学んだこと、挑戦したこと 
  • うまくいったこと、難しかったこと 
  • 疑問に思ったこと、もっと知りたいこと 
  • 次週の目標や取り組みたいこと 

振り返りを行う際の心構えとして重要なのは、「成長のプロセスを可視化する」という意識です。

新入社員自身が自分の成長を実感できるよう、「先週よりもこんなことができるようになった」「ここが上達している」といった変化を言語化して伝えましょう。 

また、この振り返りの場は、新入社員が素直に疑問や不安を打ち明けられる貴重な機会でもあります。批判的な態度ではなく、温かく受け止める姿勢で臨むことで、より効果的な振り返りが可能になります。 

定期的な振り返りによって、指導計画の調整も容易になります。

新入社員の習得状況に応じて、次のステップに進めるか、もう少し基礎固めが必要かなどを判断し、柔軟に計画を見直していきましょう。 

▼OJTの期間については下記で詳しく解説しています。 
⇒OJT期間の理想的な設定方法とは?平均期間や設計のポイントを解説!

  OJT期間の理想的な設定方法とは?平均期間や設計のポイントを解説! 企業内の人材育成において、OJT期間はどれくらいが適切なのかは悩ましい点です。本記事では、かける時間の長さに応じたそれぞれのメリットとデメリット、目標設定、育成計画、効果的なOJTの進め方、OJT時期、平均スパンや職種による違いについて詳しく解説します。 株式会社LDcube


OJT指導でフィードバックする際の心構え


効果的なOJTには適切なフィードバックが不可欠です。

新入社員の成長を促し、モチベーションを高めるフィードバックを行うための心構えについて解説します。 

相手の成長を願ってフィードバックする

フィードバックを行う際の最も基本的な心構えは、「相手の成長を願って」行うことです。単に間違いを指摘するためではなく、相手がより良くなるためのサポートとしてフィードバックを位置付けましょう。 

この心構えがあれば、批判的な言い方ではなく、建設的で受け入れやすい表現を自然と選ぶことができます。例えば、「これはダメだ」ではなく、「こうするともっと良くなる」という表現を心掛けましょう。 

また、フィードバックの内容だけでなく、タイミングや場所にも配慮が必要です。人前で指摘するのではなく、個別に話せる環境で行い、相手の受け入れ態勢が整っているときに行うことが効果的です。 

さらに、フィードバックの目的は「行動の改善」であって「人格の否定」ではないことを常に意識しましょう。

「あなたはダメな人だ」ではなく、「この部分の対応方法を改善すると良い」というように、具体的な行動に焦点を当てたフィードバックを心掛けることが大切です。 

定期面談で後輩の成長の言語化を意識する

OJTでは定期的な面談を実施し、新入社員の成長を言語化して伝えることが重要です。人は自分の成長を客観的に認識することが難しく、「どれくらい成長したか」と聞かれても即答できない場合が多いものです。 

定期面談では、トレーナーが観察した成長の証拠を具体的に伝えましょう。「先月と比べて、〇〇の対応が円滑にできるようになった」「△△の知識が深まり、お客さまへの説明が的確になった」など、具体的な事例を挙げて成長を言語化します。 

また、新入社員自身にも「この1カ月でできるようになったことは何か」「どんな点で成長を感じるか」を問いかけ、自己成長の振り返りを促すことも大切です。自分の言葉で成長を語ることで、達成感や自信につながります。 

このように成長を見える化する面談を定期的に行うことで、新入社員は自分の進歩を実感でき、次のステップへの意欲が高まります。

面談の頻度は、最初の3カ月は月1回、その後は状況に応じて調整するのが一般的です。

できたことを具体的に褒めて自信をつけさせる

フィードバックにおいて特に重要なのが、「できたこと」を具体的に褒めることです。

人は批判よりも称賛から多くを学ぶことができます。新入社員の自信を育み、前向きな姿勢を引き出すためにも、適切な褒め方を意識しましょう。 

効果的な褒め方のポイントは以下の通りです。 

  • 具体的な行動や成果を褒める(「頑張ったね」ではなく「あの資料の図解が分かりやすかった」など) 
  • タイミングは早いほど良い(その場で、または記憶が新しいうちに) 
  • 真摯な気持ちで褒める(形式的ではなく、心からの称賛を伝える) 
  • 他者の前でも適切に褒める(公の場での称賛は効果が高い) 

特に初期段階では、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。難しい業務にチャレンジする前に、まず達成可能な仕事で成功体験を積ませ、徐々に難易度を上げていく方法が効果的です。

できたことを具体的に褒めることで、「自分にもできる」という自己効力感が育まれ、次の挑戦への原動力となります。 

次の成長ステップを明確に示して意欲を引き出す 

フィードバックで現状の成長を確認した後は、次の成長ステップを明確に示すことが重要です。

具体的な目標があることで、新入社員は何に取り組むべきかが明確になり、意欲を持って業務に臨むことができます。 

次のステップを示す際のポイントは以下の通りです。 

  • 挑戦的でありながらも達成可能なレベルの目標を設定する 
  • いつまでに、どのようなレベルに達することを期待しているかを明確にする 
  • なぜそのステップが重要なのかを説明する(成長における位置づけ) 
  • 目標達成のためのサポート体制や学習方法も併せて伝える 

また、次のステップを示す際には、成長予感(このまま頑張れば将来こんな成長が期待できる)も同時に伝えると効果的です。

「この業務を習得すれば、将来的には〇〇のような高度な仕事も担当できるようになる」など、長期的な成長イメージを持たせることで、目の前の挑戦への意欲が高まります。 

このように、過去の成長を確認し、次のステップを示し、さらに将来像も描くという一連のフィードバックが、新入社員の持続的な成長と高いモチベーションを実現する鍵となります。 

▼OJTのやり方については下記で詳しく解説しています。
⇒OJTの正しいやり方とは?即戦力を育てる7ステップを徹底解説!

  OJTの正しいやり方とは?即戦力を育てる7ステップを徹底解説! OJTは正しく進めることで非常に高い効果が出る教育方法です。しかし、多くの会社で先輩が単にマンツーマンで業務を教え指導する「形だけのOJT」となっているようです。本記事では、正しいOJTのやり方、実践上のポイントなどについて手順を追って具体的に解説します。 株式会社LDcube


OJTトレーナーの上司に必要な心構え 


OJTの成功は、OJTトレーナー1人の努力だけでは達成できません。 OJTトレーナーを支える上司の役割と心構えも非常に重要です。

ここでは、OJTトレーナーの上司が持つべき心構えについて解説します。

育成責任は OJTトレーナー ではなく上司にあることを自覚する

最も重要な心構えは、「新入社員の育成責任は最終的に上司にある」という自覚を持つことです。

OJTトレーナーは上司から委託された育成業務を行っているのであり、全責任を OJTトレーナーに押し付けるのは適切ではありません。 

上司の責任には以下のようなものがあります。 

  • 育成目標や計画の承認と定期的な確認 
  • OJTトレーナーと新入社員の状況把握 
  • 問題が生じた場合の介入と解決支援 
  • 育成環境の整備や必要なリソースの確保 

上司は定期的にOJTトレーナーと新入社員との面談に同席し、直接状況を確認することが大切です。同時に、 OJTトレーナーとも別途面談を実施し、困りごとや課題を早期に把握しましょう。

このように、上司が育成プロセスに積極的に関わることで、より効果的なOJTが実現します。 

OJTトレーナーをできる限りバックアップする

上司として重要な役割の1つが、OJTトレーナーへの十分なバックアップです。

OJTトレーナーは自身の業務を抱えながらOJTも担当するため、負担が大きくなりがちです。上司はこの状況を理解し、適切な支援を行う心構えが必要です。 

具体的なバックアップの方法としては以下が挙げられます。

  • OJTトレーナーの業務量を調整し、OJTに充てる時間を確保する 
  • OJTに必要な情報や資料、研修機会を提供する 
  • OJTトレーナーが困難に直面した際に相談に乗り、助言する 
  • OJTトレーナーの努力を評価し、適切に認めて評価する 

特に重要なのは、 OJTトレーナー が「OJTは自分1人の責任ではない」と感じられる環境づくりです。

上司が積極的に関与し、困ったときにはいつでも相談できる関係性をつくることで、 OJTトレーナーは安心してOJTに取り組むことができます。 

OJTトレーナーだけでなく、職場全体で育成するという意識を持つ

効果的なOJTを実現するためには、職場全体で新入社員を育成するという文化を醸成することが重要です。

上司はその文化づくりの中心的役割を担い、職場メンバー全員が育成に関わる環境を整える心構えが必要です。 

上司が取るべきアクションとしては以下が挙げられます。 

  • 職場ミーティングなどでOJTの重要性や目標を共有する 
  • 職場メンバーそれぞれの強みを生かした協力を依頼する 
  • 新入社員の成長を職場全体で喜び、たたえる場を設ける 
  • 育成に協力したメンバーの貢献を適切に評価する 

このように職場全体で育成する文化が根付くと、新入社員はより多様な視点から学ぶことができ、成長も加速します。

また、 OJTトレーナーへの負担集中も防ぐことができるため、持続可能なOJT体制が構築できるでしょう。 

上司は「新入社員が職場の宝」という認識を持ち、その育成に職場全体で取り組む姿勢を示すことが、OJT成功の鍵となります。 

▼OJTにおける上司の関わりについては下記で詳しく解説しています。 
⇒OJTを成功に導く上司の役割とは?重要性とすぐ使える実践ポイントを解説!

  OJTを成功に導く上司の役割とは?重要性とすぐ使える実践ポイントを解説! OJTでは上司の効果的な関わりや指導が極めて重要です。本記事では新入社員やOJT担当者と関わる方法やポイントから評価基準、上司が行うべき実践的なマネジメント手法など、OJTに必要な役割を徹底解説します。 株式会社LDcube


OJT指導でよくある課題と持っておきたい心構え


OJT指導を進める中では、さまざまな課題に直面することがあります。

ここでは、よくある課題と、それに対処するために持っておきたい心構えについて解説します。

時間管理の工夫で業務との両立を実現する

OJTトレーナーが最も頻繁に直面する課題が、「自分の業務とOJTの両立」です。限られた時間の中で効率的に両立させるためには、時間管理の工夫が欠かせません。

両立を実現するための心構えとポイントは以下の通りです。 

まず、OJTは「余計な仕事」ではなく「自分の業務の一部」という認識を持ちましょう。この意識転換が、効率的な時間活用の第一歩となります。 

具体的な工夫としては、OJT指導の時間を明確に設定し、カレンダーに組み込むことが効果的です。例えば、毎日午前10時から30分間は新入社員の質問タイムと設定するなど、ルーティン化することで、双方が計画的に業務を進められるようになります。 

また、OJTと自分の業務を同時に進める方法も検討しましょう。新入社員に見学してもらいながら自分の業務を進める、あるいは簡単な業務から徐々に任せていくことで、指導しながら自分の業務も前進させることができます。 

さらに、上司に現状を定期的に報告し、必要に応じて業務調整を依頼することも大切です。一時的に業務量を調整してもらえれば、新入社員の基礎固めに集中でき、結果的に早期戦力化につながります。 

部下の主体性を引き出す声掛けを実践する

OJT指導における課題の一つが、「後輩の受け身な姿勢」です。単に言われたことをこなすだけでなく、主体的に考え行動する人材を育てるためには、適切な声掛けが重要になります。 

主体性を引き出す声掛けと心構えのポイントは以下の通りです。 

命令形ではなく、質問形で指示を出すことが効果的です。例えば、「これをやって」ではなく、「この件、どう対応すると良いと思う?」と問いかけることで、考える機会を与えます。 

また、「あなたならどうする?」と意見を求める機会を積極的につくりましょう。新入社員の意見を尊重し、良い提案は取り入れることで、「自分の意見が仕事に反映される」という実感が生まれ、主体性が育ちます。 

業務の背景や目的を丁寧に説明することも重要です。「なぜこの業務が必要か」を理解していれば、単なる作業ではなく、意味のある業務として捉えられるようになります。 

さらに、適切な権限委譲も主体性を引き出す鍵です。はじめは小さな判断から任せ、徐々に任せる範囲を広げていくことで、自己決定の経験を積ませることができます。

失敗しても厳しく責めず、次に生かす視点でフィードバックすることが大切です。 

上司と連携して組織的な支援体制を築く

OJTを成功させるためには、トレーナー1人が頑張るのではなく、上司や組織全体と連携して支援体制を築く心構えが重要です。 

組織的な支援体制を築くためのポイントは以下の通りです。 

まず、上司とのコミュニケーションを密にし、定期的に進捗や課題を共有しましょう。「週1回15分の報告」など、定例の短時間ミーティングを設定すると効果的です。 

また、OJTの計画や進捗を職場全体に見える化することも有効です。例えば、新入社員の成長目標や習得項目をチェックリスト化して共有すれば、職場メンバーも進捗を把握でき、適切なサポートがしやすくなります。 

さらに、特定の業務や知識については、その道のエキスパートである職場メンバーに指導を依頼するなど、職場の強みを生かした育成体制を構築しましょう。OJTトレーナーは「コーディネーター」としての役割を意識し、新入社員と職場メンバーをつなぐ橋渡し役に徹することも大切です。 

このように、OJTを個人の取り組みではなく「チームプロジェクト」として位置づけ、組織全体で取り組む姿勢が、持続可能で効果的なOJTを実現する鍵となります。

上司や人事部門とも連携しながら、組織的な支援体制を築く心構えを持ちましょう。 

▼OJTの課題については下記で詳しく解説しています。 
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OJTの心構えを形成するには合同研修が効果的


OJTトレーナーとしての適切な心構えを形成するためには、体系的な研修が有効です。

特に効果的なのが、新入社員とOJTトレーナー、そして上司を交えた合同研修です。

新人・OJTトレーナー・上司合同で研修を行う

OJTの効果を最大化するためには、新入社員、OJTトレーナー、上司の3者が参加する合同研修が理想的です。3者が同じ場で学び、対話することで、OJTに対する共通理解が深まります。 

合同研修のメリットは以下の通りです。

◆役割と責任の明確化 

  • 新入社員は「学ぶ側の責任」を理解する 
  • OJTトレーナーは「教える側の役割」を認識する 
  • 上司は「育成環境を整える責任」を把握する 

◆コミュニケーションの促進 

  • 研修によりコミュニケーションの第一歩が踏み出される 
  • 緊張感の中でもワークショップなどを通じて自然な交流が可能となる 
  • 心理的な距離が縮まり、その後の関係構築がスムーズになる 

 
◆相互理解の深化 

  • 研修を通じて3者の期待や不安を共有できる 
  • 新入社員の「どのように学びたいか」という希望を聞ける 
  • 指導方法の調整がしやすくなり、効果的な育成につながる 


OJTについての共通認識を形成できる 

合同研修の重要な目的の1つが、OJTについての共通認識の形成です。OJTの目的、期間、達成目標、評価基準などを三者で確認し、認識をそろえることが重要です。 

共通認識形成のポイントは以下の通りです。 

◆OJTの最終目標の明確化 

  • 「配属後1年間で何ができるようになっているのか」を具体的に設定する 
     例:「基本業務を独力で遂行し、簡単な問題解決ができる状態」 

 
◆段階的な成長ステップの共有 

  • 1カ月後、3カ月後、6カ月後の到達目標を設定する 
  • 進捗確認の指標として活用する 
  • 成長過程の把握により、モチベーションを維持する 

 
◆OJTの方法や頻度についての認識共有 

  • 定期面談の実施頻度の共有 
  • 日々の指導方法のすり合わせ 
  • 評価やフィードバックの方法の共有 
  • 具体的な進め方の確認により、スムーズな実践を促進 


自職場の課題と対応策を検討できる 

合同研修では、一般的なOJTについて学ぶだけでなく、自分たちの職場特有の課題や環境を踏まえた対応策を検討することも重要です。 

職場に合わせたOJT計画を作成するためのポイントは以下の通りです。 

◆OJT計画の策定 

  • 職場の業務特性や、繁閑のリズムを考慮する 
    ⇒繁忙期: 基本業務サポートを中心 
    ⇒閑散期: 座学や振り返りの時間を多く設定 

 
◆職場の強みと弱みを考慮 

  • 技術力は高いが、コミュニケーションが少ない場合
    ⇒意図的に対話の機会を設定 

 
◆予測される問題への対応策 

  • 新入社員が質問しにくい環境にならないようにする 
  • OJTトレーナーが多忙で指導時間が不足しないようにする 
  • 3者でリスクを共有し、事前に対応策を検討する 


▼OJTが合わない場合に合同研修を実施することが多いです。下記で詳しく解説しています。 
⇒OJTが合わない!と思ったときの対処法と問題解決策について解説!


OJTの心構えをつくるならLDcubeにお任せ!


LDcubeは、新入社員とOJTトレーナー・上司が一緒に参加する合同研修などを提供しています。 
また、OJTトレーナー向けの研修も充実しており、教育の質を向上させるために必要なスキルや知識を習得することができます。 

OJTトレーナー自身が成長し、柔軟で効果的な指導ができるようになることで、新入社員にとってOJTガチャの干渉を受けにくい学びの環境が構築されます。 

そして、新入社員およびOJTトレーナーに対するレジリエンス研修の提供も行っています。さらに、合同研修やレジリエンス研修を社内で展開できるようにするための、社内講師養成の支援も行っています。 

社内の研修講師リソースを強化することで、新人教育を長期的に改善し、企業全体の成長を支援します。 

さらに、LDcubeはプラットフォームを活用し、OJTをデジタル化する支援も実施しています。どのようなOJTトレーナーであっても依存せず、新入社員が仕事を進めるために必要な情報やスキルを、必要な時にデジタルコンテンツを通じて何度でも学べる環境を提供します。 

LDcubeのソリューションを活用することにより、新入社員が持続的に学びと成長を続けられる環境を整え、職場全体の教育の質を向上させることが可能となります。 

まとめ:OJTは心構えが大切!

OJTの成否は「心構え」で決まる!指導のポイントや上司の効果的な役割とは?について紹介してきました。 

  • OJTの成功はトレーナーの心構えで決まる! 
  • OJTに臨む心構えと基本姿勢 
  • OJTトレーナーとしての心構え|OJTの役割を正しく理解する 
  • OJT指導で成功するための6つの心構え 
  • OJT指導のスケジュール面での心構え 
  • OJT指導でフィードバックする際の心構え 
  • OJTトレーナーの上司に必要な心構え 
  • OJT指導でよくある課題と持っておきたい心構え 
  • OJTの心構えを形成するには合同研修が効果的 
  • OJTの心構えをつくるならLDcubeにお任せ! 

OJTは単なる業務指導ではなく、新入社員と組織の未来を創る重要な取り組みです。その中心的役割を担うOJTトレーナーは、「教える人」という狭い定義ではなく、「育成プロジェクトのリーダー」という意識を持つことが大切です。 

効果的なOJTを実現するためには、相手を1人の自立した大人として尊重し、その強みを生かした指導を心がけることが重要です。また、業務知識の伝達だけでなく、仕事への姿勢や考え方も含めて伝え、職場全体を巻き込んだ育成環境を創り出すことが求められます。 

フィードバックにおいては、相手の成長を願う気持ちを基盤に、成長の証拠を具体的に言語化し、次のステップを明確に示すことで、新入社員の成長実感とモチベーション向上を促すことができます。フィードバックは批判ではなく、成長を支援するための大切なコミュニケーションです。 

OJTの成功には、OJTトレーナー一人の努力だけでなく、上司のバックアップと職場全体の協力が欠かせません。上司は育成の最終責任者として積極的に関与し、OJTトレーナーをサポートする体制を整えることが重要です。 

OJTは新入社員だけでなく、OJTトレーナー自身の成長の機会でもあります。指導を通じて自らの知識を整理し、コミュニケーション能力やリーダーシップを向上させることができます。「教えることは学ぶこと」という意識を持ち、共に成長するパートナーシップとしてOJTに臨みましょう。 

最後に、効果的なOJTは計画的かつ組織的に実施することが重要です。新入社員、OJTトレーナー、上司が参加する合同研修を通じて共通認識を形成し、自職場の特性に合わせた計画を立てることで、持続可能で効果的なOJTが実現します。 

OJTトレーナーとしての心構えを大切にし、組織の未来を担う人材育成に取り組んでいきましょう。あなたの関わりが、新入社員の成長と職場の活性化につながります。 

LDcubeでは、OJTのデジタル化支援のサービスやOJTトレーナー研修を提供しています。無料のプログラム体験会やプラットフォームのデモ体験会なども行っています。お気軽にお声がけください。 

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企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
株式会社ビジネスコンサルタントで、講師派遣型の人材育成支援から始まり、社内トレーナーの養成による人材育成支援、デジタルツールを活用した人材育成のDX化の支援まで、中小企業から大企業まで20年にわたり幅広いコンサルティングに従事。 新入社員研修からOJTリーダー研修、若手社員研修、管理職研修、幹部研修、営業研修、デジタル学習環境づくりのコンサルテーションなどに自らもコンサルタントとして登壇しながらも、人材育成・組織活性化・営業強化において講師派遣型の枠を超えた支援を実現するため、ビジネスコンサルタントの子会社である株式会社LDcubeの設立と同時に代表取締役に就任。 資格: ・全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC2023002) ・LIFOプログラムライセンス(LIFO-MSSプログラム開発者)

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