「OJTのばらつき課題」とは?真因と改善する具体策を解説!
「社員教育にOJTを取り入れているが、育成状況にばらつきがある」
「拠点やトレーナーによって、教育の質に差が出てしまう」
このような課題感を抱える方は、多いのではないでしょうか。
実際、弊社が実施したアンケート調査でも、8割近くの企業担当者の方が、「育成状況のばらつき」を課題として挙げています。
ここで重要なのは、「課題=ばらつきがあること」で思考を止めるのではなく、ばらつきを生んでいる真因を探求することです。
この記事では、なぜOJTに“ばらつき”が生じるのか、どうすれば改善できるのか、掘り下げて解説します。
OJTの課題の本質を見極め、実効性のある改善アクションにつなげて、社員の育成を加速させていきましょう。
▼OJTの全体像や詳細のテーマについては以下にまとめています。併せてご覧ください。(関連記事)
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▼OJTについてのお役立ち資料は下記よりダウンロードできます。
目次[非表示]
- 1.「OJTのばらつき課題」の真因
- 1.1.時期や部署によってOJTに割ける時間や労力に差がある
- 1.2.トレーナーの指導スキルが平準化されていない
- 1.3.OJTの目的や進め方が標準化されていない
- 1.4.対象者の成長度合いを適切に把握できていない
- 1.5.組織的なOJTマネジメント体制がない
- 2.OJTの課題を可視化するステップ
- 2.1.OJTの基本方針と現状のギャップを把握する
- 2.2.トレーナーと対象者双方の声を集める
- 2.3.OJTの進捗管理の実態を可視化する
- 2.4.トレーナーの属性とOJT効果の相関関係を分析する
- 2.5.組織のOJTマネジメントの成熟度を客観的に評価する
- 3.OJTの課題別の改善策とは
- 3.1.組織的なOJTマネジメント体制の再構築
- 3.2.トレーナーのリソース不足への対応
- 3.3.トレーナーの指導スキル向上
- 3.4.OJTのプロセス標準化とツール整備
- 3.5.OJT対象者の成長度合いの可視化
- 4.まとめ
「OJTのばらつき課題」の真因
冒頭でも触れたとおり、OJTによる社員育成を進めるにあたり、多くの企業が「育成状況のばらつき」に頭を悩ませています。
OJT担当者(トレーナー)や部署によって指導内容や質にばらつきが生じ、育成対象者の成長度合いや習熟スピードに差が出てしまう状況です。
こうしたOJTの「ばらつき課題」は、一見するとトレーナーの力量不足が原因のように思えます。
しかし、OJTのばらつきが生じる背景には、もっと構造的な問題が潜んでいるのです。ここでは5つのポイントを見ていきましょう。
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時期や部署によってOJTに割ける時間や労力に差がある
1つ目は「時期や部署によってOJTに割ける時間や労力に差がある」です。
繁忙期や業務のピーク時は、トレーナーがOJT対象者の指導に十分な時間を割けないため、OJTが形骸化しがちです。
一方、閑散期や業務負荷の少ない時期は、OJTに注力できる環境が整っているため、手厚い指導が可能になります。
また、人員に余裕のある部署とそうでない部署でも、OJTの密度に差が出てしまうのが現状です。
【OJTに割ける時間や労力に差が生じる原因】
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時期や部署によるリソースの差を解消するには、計画的にOJTの時間を確保する工夫が欠かせません。
トレーナーの業務負荷を調整したり、OJT期間中は専念できる環境を整えたりすることが求められます。
加えて、OJTをトレーナー個人の善意に頼るのではなく、組織を挙げて取り組む姿勢を明確にすることも重要です。
トレーナーの指導スキルが平準化されていない
2つ目は「トレーナーの指導スキルが平準化されていない」です。
優秀なトレーナーもいれば、指導力不足のトレーナーもおり、育成の質を一定に保てていないという企業は多いでしょう。
トレーナーによって知識やノウハウ、コミュニケーション力などの指導スキルに差があれば、対象者の習熟度に大きな開きが出てしまいます。
トレーナーのスキルを均一化する取り組みが不十分なままでは、OJTのばらつきは解消されません。
【トレーナーの指導スキルが標準化されない原因】
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トレーナーの指導スキルを平準化するには、求められるスキル要件を明確にするところが、スタートラインです。
さらに、それらを体系立てて習得する研修プログラムを整備し、全トレーナーに受講を義務付けるといった対応が必要です。
▼OJTトレーナーについては下記でも解説しています。合わせてご覧ください。
▼OJTトレーナー育成に関する詳細は、以下の資料もご参照ください。
OJTの目的や進め方が標準化されていない
3つ目は「OJTの目的や進め方が標準化されていない」です。
OJT対象者に身に付けさせるべきスキルや到達レベルが曖昧なままでは、体系的な育成は難しいといえるでしょう。
目指すべきゴールや指導プロセスが明確でないと、トレーナーの裁量に委ねられ、育成内容が属人化してしまうからです。
トレーナーによって指導方針がバラバラでは、OJTの効果を一定に保てません。
【OJTの目的や進め方が標準化されない原因】
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まずはOJTの目的と到達目標を明確にし、育成の進め方を標準化しなければなりません。
職種や部署の特性に応じたOJT指針を策定し、指導内容やステップを可視化することが重要です。
対象者の成長度合いを適切に把握できていない
4つ目は「対象者の成長度合いを適切に把握できていない」です。
OJT対象者の習熟状況を客観的に測定する仕組みがなければ、トレーナーの主観的な判断に委ねざるを得ないのが実情でしょう。
本来、OJTは個々人の習熟度に合わせて最適な指導を行うべきです。しかし、進捗の可視化が不十分な状況では、画一的なOJTに陥りがちです。
その結果、成長の早い社員の能力を十分に伸ばせなかったり、つまずきを見逃してフォローが後手に回ったりしてしまうのです。
【成長度合いを把握できない原因】
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成長度合いを適切に把握するには、習熟度の評価基準を明確化することが大切です。
加えて、スキルチェックリストを整備し、定期的にレビューする機会を設けるなど、OJTの進捗状況を見える化する仕掛けが欠かせません。
組織的なOJTマネジメント体制がない
5つ目は「組織的なOJTマネジメント体制がない」です。
組織として一貫したOJTマネジメントができていなければ、さまざまな問題が生じます。
人事が主導すべき局面が現場任せになっていたり、現場の実態を踏まえないカリキュラムが強要されたりしていては、組織力強化に資するOJTは実現できません。
【組織的なOJTマネジメントが機能しない原因】
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組織的なOJTマネジメントを実現するには、まずはOJT推進の基本方針を確立することが第一です。
そのうえで、方針を実行に移すための専任体制を整備し、人事部門(またはそれに準ずる部門)が推進役を担わなければなりません。
現場を支援するためのノウハウを蓄積し、OJTの企画から運営、振り返りまでを一気通貫でマネジメントする仕組みの構築が求められます。
OJTの課題を可視化するステップ
続いて、自社のOJTの課題を深掘りし、可視化するための5つのステップを解説します。
自社のOJTの課題を解決するには、自社特有の課題の全容を可視化することが不可欠です。表面的な問題点だけでなく、深層にある真の課題を見極め、構造的な改善策を講じる必要があります。
以下で詳しく見ていきましょう。
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OJTの基本方針と現状のギャップを把握する
1つ目のステップは「OJTの基本方針と現状のギャップを把握する」です。
OJTの課題を探るには、まず組織としてのOJTの基本方針を再確認することから始めましょう。
人材育成の理念や目的、期待する成果を明らかにしたうえで、現状のOJT運用とのギャップを分析します。
【基本方針と現状のギャップ把握の着眼点】
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OJTの基本方針と現状のギャップを概観できたら、次はより具体的な課題の洗い出しに入ります。
「そもそも方針が存在しない」という場合は、ここに大きな問題の根源があるといえるでしょう。OJTの方針策定から着手する必要があります(これについては次の章で取り上げますので、続けてご覧ください)。
トレーナーと対象者双方の声を集める
2つ目のステップは「トレーナーと対象者双方の声を集める」です。
OJTの生の実態を知るには、トレーナーおよびOJT対象者の本音を聞くことが欠かせません。
アンケートやインタビューを通して、OJTの当事者が抱える悩みや課題感を引き出していきましょう。
【トレーナーへのヒアリング項目例】
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【対象者へのヒアリング項目例】
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このように、当事者の声を丹念に集めれば、OJTの課題をリアルに把握できます。これが、実効性の高い施策につながります。
OJTの進捗管理の実態を可視化する
3つ目のステップは「OJTの進捗管理の実態を可視化する」です。
OJTのばらつきを生んでいる一因として、進捗管理の不十分さが挙げられます。
「だれが」「いつ」「どのように」OJTの進捗を把握し、フォローしているのかを可視化することが重要です。
OJTの進捗管理の仕組みや運用実態を、総合的に点検します。OJT期間中のコミュニケーションの頻度や質、振り返りの有無なども確認が必要です。
【OJTの進捗管理の可視化ポイント】
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マネジメントの目が行き届いていない部分、属人化している部分などを洗い出し、改善の糸口をつかんでいきましょう。
トレーナーの属性とOJT効果の相関関係を分析する
4つ目のステップは「トレーナーの属性とOJT効果の相関関係を分析する」です。
トレーナーの属性(年齢・社歴・役職・専門性など)と成果の相関には、重要な改善のヒントが隠れています。
優秀な成果を上げているトレーナーの特徴を紐解けば、理想的なトレーナー像を描けます。反対に、低パフォーマーの傾向を把握することは、トレーナーの選定や教育の改善に役立ちます。
【トレーナーの属性とOJT効果の相関分析の観点】
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以上のような観点から、トレーナーの属性とOJT効果の相関関係を多角的に分析していきます。
データに基づいてトレーナー要件の適正化やスキル習得計画を推進すれば、理想的なトレーナー像の実現と効果的なOJTの運用が可能です。
組織のOJTマネジメントの成熟度を客観的に評価する
5つ目のステップは「組織のOJTマネジメントの成熟度を客観的に評価する」です。
ここまでに収集した情報や分析結果をもとに、評価をまとめていくプロセスです。
OJTを支える組織的な仕組みが、どの程度整っているのか、自社のOJTマネジメントのレベルを診断しましょう。
具体的には、「戦略」「体制」「プロセス」「ツール」「トレーナー育成」の5つの観点から点検するのがおすすめです。
評価項目 |
チェックポイント |
OJT戦略の明確化と浸透 |
・人材育成の方針や目指す人材像が明文化されているか |
OJT推進体制の確立 |
・OJT推進の責任部署や専任担当者が明確に定められているか |
OJT運用プロセスの標準 |
・OJT計画の策定から実施、評価、改善までのPDCAサイクルが回る仕組みになっているか |
OJT支援ツールの充実 |
・トレーナー向けのマニュアルや手引書は用意されているか |
トレーナー育成の体系化 |
・トレーナーの選抜基準は明確か |
評価結果を踏まえて、OJTマネジメントの成熟度を高めるための行動計画を策定しましょう。優先順位をつけながら改善を重ねていくことが、成功の鍵を握ります。
OJTの課題別の改善策とは
OJTの課題が明らかになったら、課題の特性に応じた具体的な改善策を立案し、実行に移します。ここでは、以下の5つの課題領域ごとに、改善のためのポイントをご紹介します。
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組織的なOJTマネジメント体制の再構築
1つ目の改善ポイントは「組織的なOJTマネジメント体制の再構築」です。
属人的なOJTを脱し、より高度な育成を実現するには、組織的なOJTマネジメント体制の再構築が不可欠です。
まずは人材育成の理念や方針を体系化し、OJTの位置付けを明確にするところが出発点となります。
その方針を実行に移すための主管チーム(人事部門などを中心とした推進組織)を立ち上げ、施策を展開していきましょう。
【OJTマネジメント体制再構築に向けた取り組み例】
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トレーナーのリソース不足への対応
2つ目の改善ポイントは「トレーナーのリソース不足への対応」です。
時期や部署によってOJTに割ける時間や労力に差が生じる問題には、組織的なリソース配分(人材や予算などの経営資源の割り当て)の最適化が求められます。
業務とOJTのバランスを取るためのルール作りや、繁閑に応じた柔軟な人員シフトなどの工夫が必要不可欠です。
加えて、OJTに専念できる環境を整備するとともに、トレーナーの負荷を軽減するためのサポート体制の強化も検討していきましょう。
【リソース不足への具体的な対応策】
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トレーナーの指導スキル向上
3つ目の改善ポイントは「トレーナーの指導スキル向上」です。
トレーナーのスキルのばらつきは、トレーナー教育の強化によって確実に改善可能な領域です。
座学だけでなく、ロールプレイング(役割演技)など、実践的な学びの機会を用意すると、高い教育効果が期待できます。
【トレーナーのスキル向上のための具体策】
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▼OJTトレーナーの育成に関する詳しい情報は、以下の資料もご一読ください。
OJTのプロセス標準化とツール整備
4つ目の改善ポイントは「OJTのプロセス標準化とツール整備」です。
OJTの目的や進め方が属人的になっている状況を改善するには、プロセスの標準化とツールの整備が有効な解決策となります。
必要に応じて、eラーニングプラットフォームを活用したオンライン学習など、OJTを補完するツールの導入も検討しましょう。
【OJTのプロセス標準化とツール整備の具体例】
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▼OJTの進め方については、以下の記事もあわせてご覧ください。
⇒OJT効果を最大化する進め方とは? 後輩育成のポイントを紹介
▼また、eラーニング・動画を活用したOJTについては、以下の記事にて詳説しています。
⇒若手のOJTには動画教材の活用が効果あり!事例も含めて理由を解説!
OJT対象者の成長度合いの可視化
5つ目の改善ポイントは「OJT対象者の成長度合いの可視化」です。
OJT対象者の習熟度を適切に把握し、個別に最適な指導を行うには、成長度合いの可視化が鍵を握ります。
スキルチェックリストなどの評価ツールを活用し、定量的に進捗を測定する仕組みを整備するのは必須の取り組みです。
加えて、学習のためのプラットフォームを導入し、OJT対象者の学習履歴や習熟度をデータとして蓄積・分析することも非常に有効です。
【成長度合いの可視化に向けた具体的施策】
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▼OJTへのプラットフォームの活用については、以下の記事にまとめていますのでご一読ください。⇒OJTとは?意味や目的、メリット、Z世代への適応まで全解説!
▼具体的なプラットフォームの資料をいくつか取り寄せて比較検討を進めたい方は、以下より資料をダウンロードできます。
まとめ
本記事では「OJTの課題」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
OJTで多くの企業が抱える「ばらつき課題」の真因として、以下を解説しました。
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自社のOJTの課題を深掘りして可視化する流れを5つのステップで解説しました。
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以下のOJT課題別の改善策をご紹介しました。
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課題解決には一定の時間を要しますが、長期的な視点を持ちながら、地道に改善を積み重ねていくことが重要です。
OJTの改革を通じて、組織の人材力を高め、ビジネスの成長につなげていきましょう。
株式会社LDcubeはこれまでの組織活性化や人材育成で培ったノウハウを生かしながら、新たな時代の人材育成方法の模索を支援しています。
また、OJTのデジタル化など課題解決に向けたプラットフォームの提供やコンテンツ作り、運用のサポートなど、OJTトレーナー研修の実施など、さまざまなサービスを展開しています。
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