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オンボーディングの成功事例8選!新入社員が定着するポイントを解説

「早期離職対策にオンボーディングが有効らしい」
「うちもオンボーディングを実施したいけど、どのようにすればいいのだろう?」

近年、新入社員の早期離職や定着率の低さに悩む多くの企業から注目されているオンボーディング。

オンボーディングは、新入社員や中途採用社員に対して実施する教育プログラムですが、その内容をどうすべきかと悩む人事関係者は少なくないようです。

そこで本記事では、下記の8社のオンボーディングの事例をご紹介していきます。

社名

ポイント

・いつでもどこでも必要な情報にアクセスできる環境を整えている
・リモート環境でも意欲的に研修に参加できる工夫を取り入れている

・場所や時間を問わないオンボーディング体制で同一レベル提供を担保している
・エンジニアには特に重要な横のつながりを重視した施策を取り入れている

・ただ組織に馴染むという目的だけでなく、明確な成長目標をあらかじめゴールとして設定した上で開始する

・「熱意を持って採用された」というある種の心理的安全性を与え、モチベーションへと昇華させる

・質問しやすい雰囲気づくりを超えた「質問するための場」の設定

・想定される質問に全て先回りし、しかも質問しやすい空気を醸成する

・各部門が受講者に合わせてオンボーディングプログラムを手作りしている

・キャリア入行者たちの生の声を徹底的に集めて落とし込んだ、真に実情に即した一冊を制作した

各社のアイデア、考え方、重点ポイントなどに触れながらご紹介していますので、考えがまとまらずにいた方も具体的なイメージが浮かんでくるはずです。

また、オンボーディングでよくある失敗例や、オンボーディングをより効果的なものとするためのポイントもご紹介しており、実施する際の目安としていただけます。

ぜひ本記事を、貴社の新入社員の定着率向上施策のご参考にしていただければと思います。

▼2026年度新入社員研修に向けてのトレンドを解説しています。

▼オンボーディングプログラム構築については下記で詳しく解説しています。

​​​​​​​▼中途社員のオンボーディングについては下記で詳しく解説しています。 

▼オンボーディングについては下記資料にまとめてあります。

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目次[非表示]

  1. 1.事例1:サイボウズ株式会社|リモート環境でも意欲的に研修に参加できる工夫
  2. 2.事例2:株式会社メルカリ|組織の特性を踏まえ場所・時間の制約がないオンライン中心
  3. 3.事例3:オイシックス・ラ・大地株式会社|中途採用者にも骨太の育成プランを作成
  4. 4.事例4:フリー株式会社|採用側の本気と熱意がモチベーション向上に
  5. 5.事例5:株式会社リクルート(スタディサプリプロダクトチーム)|なかなか聞けない「チームの常識」を丁寧に説明
  6. 6.事例6:KDDI株式会社|豊富なコミュニケーションの機会が潤滑油に
  7. 7.事例7:メトロール株式会社|現場の熱意を伝える手作りプログラム
  8. 8.事例8:株式会社三菱UFJ銀行|キャリア入行者のオンボーディングに必要なこと全てをギュッと詰め込んだ一冊
  9. 9.オンボーディングでよくある失敗例からみる成功のコツ
    1. 9.1.現場を巻き込めていない
    2. 9.2.相談コストが高過ぎる
    3. 9.3.「当然活躍してくれる」との思い込みで環境整備が手薄になる(中途採用者の場合)
  10. 10.より効果的なオンボーディングを行うための3つのポイント
    1. 10.1.離職理由の分析をしっかり行う
    2. 10.2.学習行動データを収集して活用する
    3. 10.3.実施後の振り返りを行う
  11. 11.まとめ

事例1:サイボウズ株式会社|リモート環境でも意欲的に研修に参加できる工夫

リモートオンライン研修 イメージ

業種

情報・通信業

従業員数

1,003名

プログラム概要

・新卒およびキャリア入社メンバーのそれぞれに適したオンボーディングプログラムを実施

・新卒向けには1年間を通したプログラムを実施。期間中は定期的に人事主催のフォローアップ研修を開催

チームワーク支援グループウェアを開発・提供しているサイボウズ株式会社の、自社製品「kintone」を活用した新卒入社メンバー向けオンボーディングの事例です。

同社が行っているオンボーディング施策の中でも、特に特徴的な3つをご紹介します。

  • 同社製品「kintone」をプラットフォームにしたコミュニケーション
  • ザツダン(同期や人事とのコミュニケーションのために設けられた時間)
  • オンボーディングサーベイ

【同社製品「kintone」をプラットフォームにしたコミュニケーション】

kintone上に開設される実況スレッドに、研修中の気づきや疑問、思ったことなどを自由に書き込み、参加者間で共有します。

リアルタイムなので、受講者全員で研修内容のノートを取っているような感覚、「◯◯ってどういう意味?」などと小声で尋ねるような感覚で、参加意識を高めます。

また、kinotoneはオンボーディングプラットフォームとしても活用されており、オンボーディングに必要な全情報をkintoneアプリに集約。入社メンバーは安心してオンボーディング期間を過ごせます。

【ザツダン】

オンボーディング期間中に受けられるサポートの一つとして、同期や人事とのコミュニケーションの時間「ザツダン」を毎朝設定しています。

リモートワーク環境でのコミュニケーションの発生しにくさをカバーする工夫です。

【オンボーディングサーベイ】

入社1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月のタイミングで、新入社員のコンディションをヒアリングするオンボーディングサーベイを行っています。

ポイント

  • いつでもどこでも必要な情報にアクセスできる環境を整えている
  • リモート環境でも意欲的に研修に参加できる工夫を取り入れている

[参考]オンボーディングと学習支援(サイボウズ株式会社採用サイト掲載)

オンボーディングに関する問い合わせはこちらから!

事例2:株式会社メルカリ|組織の特性を踏まえ場所・時間の制約がないオンライン中心

オンライン研修のイメージ

業種

情報・通信業

従業員数

1,417名

プログラム概要

・オンラインを中心としたスタイルで3ヶ月間の期間で実施
・全新入社員対象の入社オリエンテーションはオフライン(本社)で開催

CtoCマーケットプレイス「メルカリ」の運営会社として知られる株式会社メルカリの、エンジニア向けオンボーディングの事例です。

同社が行っているオンボーディング施策の中でも、特に特徴的な3つをご紹介します。

  • 各地からの参加者を想定したオンライン中心での実施
  • メンターランチ制度
  • 入社オリエンテーションはオフライン開催

【各地からの参加者を想定したオンライン中心での実施】

文書化したものをベースとし、オンラインを中心としたスタイルでオンボーディングを実施しています。

  • 日本国内であれば住む・働く場所を各自が自由に選択できる「YOUR CHOICE」という制度を導入している
  • 海外支店の新入社員も参加する

という2つの理由から、場所・時間を問わず同一レベルを担保する必要があるためです。

なお、気軽に質問しづらいというリモートのデメリットを補うため、オンボーディングに必要な情報をポータルサイトに集約し、いつでもアクセスできる環境も整えています。

【メンターランチ制度】

入社したエンジニアには、知識豊富なシニアエンジニアがメンターとして割り当てられます。

入社日から1週間の期間中、業務で関係づくりをしたほうが良さそうなメンバーがいれば、招待してメンター同伴で一緒にランチをする制度が「メンターランチ」です。

エンジニアにはとりわけ重要な横のつながりの構築を目的とした制度で、ランチ代が会社から補助されます。

【入社オリエンテーションはオフライン開催】

新型コロナウイルスの影響でオンラインでの実施となっていた入社初日の全社オリエンテーションですが、2023年よりオフィスでの開催が復活しています。

復活に至った理由は、下記の通りです。

  • 対面のほうがリモートよりも一体感を得られるという多数の意見
  • 新入社員にメルカリのカルチャーを感覚的に理解してもらいやすい
  • オフィスツアーでメルカリの雰囲気を感じられる
  • メルカリに入社したんだという実感が湧きやすい
  • 同じ日に入社した「入社同期」との関係構築ができる

オンラインの割合が高い同社のオンボーディングですが、オフラインの重要性もしっかりと認識されています。

ポイント

  • 場所や時間を問わないオンボーディング体制で同一レベル提供を担保している
  • エンジニアには特に重要な横のつながりを重視した施策を取り入れている

[参考]「すべての新入社員に素晴らしいオンボーディング体験を」リモートオンボーディングを成功させる施策 #メルカリの日々(株式会社メルカリ採用サイト掲載)

事例3:オイシックス・ラ・大地株式会社|中途採用者にも骨太の育成プランを作成

中途採用育成のイメージ

業種

小売業

従業員数

794名

プログラム概要

・入社前から入社後にかけての3ヶ月間のプログラム
・2019年以前は各上司に任されていた中途採用者向けプログラムを、全社視点で本格的に整備したもの

安全性に配慮した食品・食材を販売するオイシックス・ラ・大地株式会社の、中途採用者向けオンボーディングの事例です。

同社が行っているオンボーディング施策の中でも、特に特徴的な1つをご紹介します。

  • 本人入社前に育成プラン作成

【本人入社前に育成プラン作成】

本人が入社する前に、育成責任者が3ヶ月の育成プランを作成します。

作成の際には、次の5つの視点をガイドラインとしています。

  1. 半年後の状態の定義は、明確なものになっているか
  2. 各期間において習得するスキル、知識は具体的なものが設定されているか
  3. 各期間において習得するスキル、知識は1と整合性がとれているか
  4. 育成担当者がご本人の理解度を図るための具体的な活動は設定されているか
  5. 当社事業全体と組織、及び担当事業のお客様理解にまつわる内容は網羅されているか

入社する中途採用者の3ヶ月後、半年後に期待する姿が明確になるようにという点を念頭に置いて作成するということです。

ポイント

  • ただ組織に馴染むという目的だけでなく、明確な成長目標をあらかじめゴールとして設定した上で開始する

[参考]3社統合でどう変わった? オイシックス・ラ・大地が組織のシナジーを最大化する方法(株式会社ゆめみ運営のメディア「SELECK」掲載)

事例4:フリー株式会社|採用側の本気と熱意がモチベーション向上に

本気と熱意 イメージ

業種

情報・通信業

従業員数

1,687 名

プログラム概要

「答えがないビジネスの世界で主体的に答えを作りに行く姿勢や心構えを身につけること」を目的とした3ヶ月のプログラム

クラウド会計ソフトを提供するフリー株式会社の、採用側の熱意やコミュニケーション重視の姿勢を反映するオンボーディングの事例です。

同社が行っているオンボーディング施策の中でも、特に特徴的な2つをご紹介します。

  • 採用側の本気度を伝える
  • ランチ代会社補助制度「shall we lunch?」

【採用側の本気度を伝える】

新しく入社したメンバーに対して、採用に対してどれだけ熱量を持っているかを採用チームから必ず伝えます。

たとえば、中途採用者向けの研修に採用チーム枠を設け、「我々の採用は本気です」と話します。
創業当初から、経営陣が採用への本気度を全メンバーに伝え続けてきたことに由来する工夫です。

入社直後から「自分の会社は仲間集めに本気なのだ」とインプットされるためか、非常に協力的な姿勢のメンバーが多いそうです。

【shall we lunch?】

チームや業務に関係なく、同僚とのランチ用にUber EATS料金を上限1000円まで会社が補助します。

新入社員に限らず利用可能ですが、これもオンボーディングを支える制度の一つです。

非公式な間接的コミュニケーションも大切にしたいという考えの表れで、毎月100人分が使い切られる人気の企画です。

ポイント

  • 「熱意を持って採用された」というある種の心理的安全性を与え、モチベーションへと昇華させる

[参考]
成長支援(フリー株式会社採用サイト掲載)
全社員が採用に本気。採用チームが仕掛ける、高い熱量の保ちかた|Best Team of the Year GOLD:freee株式会社(HirinGeek by Wantedly掲載)

事例5:株式会社リクルート(スタディサプリプロダクトチーム)|なかなか聞けない「チームの常識」を丁寧に説明

丁寧に説明 イメージ

業種

サービス業

従業員数

20,767名

プログラム概要

-

人材領域および販売領域で幅広いビジネスを展開する株式会社リクルート。
そのオンライン学習サービス「スタディサプリ」の開発チームのオンボーディングの事例です。

同チームが行っているオンボーディング施策の中でも、特に特徴的な1つをご紹介します。

  • 定例ミーティングの後でフォローする時間・会を設ける

【定例ミーティングの後でフォローする時間・会を設ける】

チーム内では当たり前に使われている用語や名称でも、チームに入って間もないうちは「業界用語」のようなものでさっぱり理解できないということもあるでしょう。

しかも、「こんな基本的なことを聞くのは憚られる」とわからないままになってしまうことも多いのではないでしょうか。

そういった新メンバーの遠慮に「さっきのミーティングで理解できなかったところはないか?」と先回りするのがこのサポートです。

もしも理解できなかったロジックや仕様などがあれば、理解できるまで丁寧に教えてもらえます。

ポイント

・質問しやすい雰囲気づくりを超えた「質問するための場」の設定

[参考]新しいチームメンバーとしてオンボーディング体制について語りたい(スタディサプリプロダクトチームのブログ掲載)

事例6:KDDI株式会社|豊富なコミュニケーションの機会が潤滑油に

コミュニケーション機会が潤滑油 イメージ

業種

情報・通信業

従業員数

9,409 名

プログラム概要

人事研修、座学研修から配属先でのOJTまで約3ヶ月間のプログラム(コンシューマ営業統括本部のケース)

言わずと知れた総合通信事業者であるKDDI株式会社の、キャリア採用で入社した社員向けのオンボーディングの事例です。

同チームが行っているオンボーディング施策の中でも、特に特徴的な3つをご紹介します。

  • コミュニケーション活性化ワークショップ(ライフデザインプラットフォーム部のケース)
  • 毎日30分の1on1ミーティング(ライフデザインプラットフォーム部のケース)
  • 初歩の初歩から伝える(コンシューマ営業統括本部のケース)

【コミュニケーション活性化ワークショップ】

オフラインで出社して、業務とは関係なくボードゲームをする月1回のワークショップです。
毎回、趣向を変えながら皆でワイワイ楽しむことを通じてコミュニケーションを図ります。

【毎日30分の1on1ミーティング】

配属後の1ヶ月間、30分の1on1ミーティングを毎日々々続けます。

毎日続けていると「こんなこと聞いて良いのかな?」と思ってしまうようなちょっできることも気兼ねなく質問できるように。

「コミュニケーションは質より量」という考えに基づく施策です。

【初歩の初歩から伝える】

ゴミ箱の場所、お手洗いの位置、緊急の連絡先、入社後の具体的な研修スケジュール……と、どんな細かなことでも全て伝えるよう心がけます。

キャリア入社した人は社会人経験があるのであって、転職先での経験はありません。
いちいち悩むことなく、安心して働ける環境で能力を発揮してもらうための工夫です。

ポイント

  • 想定される質問に全て先回りし、しかも質問しやすい空気を醸成する

[参考]
仕事は"人が繋がってなんぼ"。キャリア入社者の早期活躍を後押しする取り組みとは(KDDI採用サイト掲載)
組織一丸でキャリア入社者をサポート! 座談会で聞く、KDDI営業のオンボーディング施策(KDDI採用サイト掲載)

事例7:メトロール株式会社|現場の熱意を伝える手作りプログラム

現場の熱意を伝える手作りプログラム イメージ

業種

精密機器

従業員数

118名

プログラム概要

約1ヶ月間の密度の高い研修(会社概要の座学→部門研修→部門別フォロー研修)

工場の自動化に貢献する「精密位置決め」に特化した高精度センサを開発・製造・販売するメトロール株式会社の、徹底的に現場主導のオンボーディングの事例です。

同チームが行っているオンボーディング施策の中でも、特に特徴的な1つをご紹介します。

  • 各部門が受講者に合わせてプログラムをカスタマイズ

【各部門が受講者に合わせてプログラムをカスタマイズ】

実践的かつ配属先での業務に直結した知識を習得できる研修内容とするため、次のようにして受講者に合わせてプログラムをカスタマイズしています。

  • 10部門・約15人の社員が自ら研修の講師役を務める
  • 一般論だけでなく実用的な現場ですぐ使える役立ち情報を盛り込む
  • 研修内容は受講する人の業務に合わせてアレンジする

教えるのも、資料を用意するのも現場。

現場主導ですが、研修全体の企画・スケジュールは人事部がとりまとめ、各部門と綿密な打合せの上で体系的に構成します。

ポイント

各部門が受講者に合わせてオンボーディングプログラムを手作りしている

[参考]【中途採用応募者必読】メトロール入社時に受ける研修「オンボーディング」とは?(メトロール株式会社採用サイト掲載)

事例8:株式会社三菱UFJ銀行|キャリア入行者のオンボーディングに必要なこと全てをギュッと詰め込んだ一冊

銀行 キャリア オンボーディング イメージ

業種

金融業

従業員数

31,756名

施策概要

キャリア入行者のオンボーディングに必要なことがわかる「オンボーディングハンドブック」を全行に配布

3大メガバンクの一つである株式会社三菱UFJ銀行が、キャリア入行者のオンボーディングに必要なことを全行に周知するために実施した施策の事例です。

オンボーディングそのものの事例ではありませんが、今後一層のキャリア採用強化を見据えた対応としてご参考になりますので、ご紹介します。

  • キャリア入行者のオンボーディングに必要なことがわかる「オンボーディングハンドブック」を制作し、全行に配布

【各部門が受講者に合わせてプログラムをカスタマイズ】

ここ数年で、同行で当たり前となったキャリア採用でしたが、採用した社員のフォローについては各部・各支店に任されており、部店の間でフォロー体制の充実度に大きな開きが見られました。

採用がうまくいったとしても、入行後に定着し、活躍できなければ意味がありませんので、フォローは重要です。

今後さらにキャリア採用を進めていくのであれば、組織全体でキャリア入行者受け入れの土壌を整える必要があると判断し、「オンボーディングハンドブック」を制作・配布することに。

制作に当たっては、アンケートやインタビューで100名以上のキャリア入行者たちの声を集めました。

そんな生の声を落とし込んだ「キャリア入行者向け」と「受入部店向け」の2種類のハンドブックを全行に配布したところ、大きな反響を呼びました。

各部店では、ハンドブックの声を参考に独自の取り組みを増やすなど、受け入れの様子が変わってきているそうです。

ポイント

  • キャリア入行者たちの生の声を徹底的に集めて落とし込んだ、真に実情に即した一冊を制作した

[参考]キャリア採用の強化にともない、キャリア入行者と受入部店の両者に向けた「オンボーディングハンドブック」を制作・配布(リクルートマネジメントソリューションズ人材育成・組織開発サービスサイト掲載)

オンボーディングでよくある失敗例からみる成功のコツ

オンボーディング 失敗例から成功のコツ イメージ

各社のオンボーディングの事例をご覧いただき、自社への応用のイメージが湧いてきたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ですが、根本的なところを押さえていないと、形だけ取り入れてもうまくいかない可能性があります。

そこで本章では、オンボーディングでよくある下記の3つの失敗例と解決策を取り上げます。

  • 現場を巻き込めていない
  • 相談コストが高過ぎる
  • 「当然活躍してくれる」との思い込みで環境整備が手薄になる(中途採用者の場合)

それぞれについて解説していますので、「どうしてうまくいかないんだろう!?」という事態を回避するため、1つずつご確認ください。

現場を巻き込めていない

「オンボーディングは人事の範疇」という前提で実施すると、サポートが表面的なものとなってしまい、本当に必要さサポートができない恐れがあります。

新たに入社した社員が真っ先に接触するのは確かに人事部門ですが、働くことになるのは配属先だからです。

オンボーディングは「安定飛行」に入るまで継続されるというのが基本で、年単位で実施する企業もあるほどです。

そのように長い期間継続される働きかけだからこそ、配属先を巻き込むことなく人事だけが張り切ったところで、日々の中で数えきれないほど必要とされるサポートに応えられません。

解決策

  • 人事と現場の役割を明文化し、「どこまでが人事の役割で、どこからが現場の役割か」をはっきりさせる
  • 現場の負担が少なくなるように、やることリストをテンプレート化しておく
  • メンター/バディ制度を導入する
  • 部門リーダー/役職者にオンボーディングの需要性や役割を理解してもらう説明会を開催する
  • フィードバックの場を定期的に設ける
  • 成功事例を部門間でも共有する など

相談コストが高過ぎる

たとえメンターをつけても、当のメンターがあまりに忙しそうで気軽に相談できない状況では、新入社員にとって大きなストレスとなってしまいます。

質問・相談する相手としてメンターがいる以上、他の社員に頻繁には質問・相談しづらいものです。

それにもかかわらず、その頼るべきメンターになかなか声をかけづらい状態であれば、ちょっとした問題の解決にも手間と時間がかかってしまいます。

メンターの物理的時間が奪われるのは事実ですし、メンターに頼り過ぎるようでは本人が成長しないという問題もあります。

現実的な解決策としておすすめしたいのは、サイボウズ株式会社の事例株式会社メルカリの事例でもあったような、必要な情報をどこかに集約する方法です。

自分で答えを探せるコンテンツが用意されていれば、いちいちメンターに尋ねなくても解決できる機会が増え、結果として相談コストが下がります。

なお、コミュニケーションの取りづらさの原因がメンターとメンティの年齢差にある場合は、世代間コミュニケーションについて学べる講座を受講するのもよいでしょう。

たとえば、LDcubeのeラーニングサービス「CrossKnowledge」では、世代間コミュニケーションについて学べるコンテンツも提供しています。

解決策

  • 事前に頻繁に質問される内容をFAQとしてまとめ、オンラインでアクセスできるようにする
  • 新入社員が自分で情報を調べるスキルを身につけられるように、初期研修で「情報の調べ方」「自己解決の方法」について教える
  • 世代間のコミュニケーションについて、既存社員・新入社員ともに共通認識を持てる研修を行う など

「当然活躍してくれる」との思い込みで環境整備が手薄になる(中途採用者の場合)

中途採用者向けのオンボーディングでありがちなのが、環境整備が手薄になって、中途採用者がなかなか溶け込めないという問題です。

そもそもなぜ環境整備が手薄になるのかといえば、受け入れ側が「自分たちが世話を焼くよりも本人の好きにさせたほうがよいのではないか」と考えがちだからです。

中途採用で入社してくる人は、実力があるからこそ入社してきています。
既存社員たちよりも仕事ができるというケースも多いでしょう。

それだけに、もしかすると「格下」かもしれない自分たちがとやかく言う必要はないと思い込んでしまうのです。

ですが、実力があることと、新しい環境にすんなり溶け込めることとは全く別の話です。
即戦力だからいって、何も教えられなくても新天地にすぐに馴染めるとは限りません。

これは中途採用者側でどうこうできる問題ではなく、間違いなく受け入れ側の責任であるという認識を持ちましょう。

解決策

  • PC、メール、社内システム、チャットツール、勤怠管理システムなど基本的な業務ツールの共有
  • 業務フローや社内手続きが分かる資料を用意する
  • 企業文化や業務スタイルなど暗黙のルールを言語化し共有する など

小さなことのように感じますが、会社によってルールは異なりますので、新卒採用者と同様に、丁寧にお伝えすることが大切です。

より効果的なオンボーディングを行うための3つのポイント

効果的なオンボーディング イメージ

オンボーディングでよくある失敗例について見てきましたが、オンボーディングをより効果的なものとするために押さえておきたいポイントもあります。

本章では、そうした下記の3つのポイントをご紹介します。

  • 離職理由の分析をしっかり行う
  • 学習行動データを収集して活用する
  • 実施後の振り返りを行う

もっとも優れたオンボーディングプログラムを持つ企業は、もっとも貧弱なオンボーディングプログラムを持つ企業よりも2.5倍の収益成長を遂げたという調査結果もあります。

BCG(ボストンコンサルティンググループ)による4,288の異なる企業を対象とした世界的な調査により明らかとなった事実です)

オンボーディングを確実に成功に導くために、以下の解説をぜひご参考になさってください。

離職理由の分析をしっかり行う

オンボーディングを成功させるためには、「現状の離職率の高さの原因」の分析が欠かせません。

オンボーディングの目的の一つは離職率を下げることですが、離職率の高さの原因の見当がつかない状況では、目的達成を見据えたプログラム設計ができないからです。

社員たちから情報を収集して、今何が問題となっているのかを把握しましょう。

また、可能であれば、離職者の退職時に直接ヒアリングしてみましょう。

簡単ではないですが、離職者と近い立場の社員との打ち解けた会話の中であれば、あるいは本音を聞かせてもらえるかもしれません。

なぜ離職したのか、その理由が分かれば、そこから見えてくることがあるはずで、それをオンボーディングに反映することができます。

対人関係の円滑化を図れる「LIFO」で離職率の悩みを解消

LIFO資料ダウンロードLDcubeの提供する「LIFO」は、行動科学に基づいて行動スタイルから個人の「強み」を明らかにし、それをコントロールすることで、対人関係の円滑化を図るためのツールです。
職場の相互理解が進まず、コミュニケーション不全が起こっているような場合にも有効ですので、離職の原因が職場の人間関係にある場合は、原因解消に役立てることができます。
「LIFO」の詳細については、下のLDcubeロゴからサービス案内ページをご覧ください。

学習行動データを収集して活用する

オンボーディングを成功させるためには、新入社員の学習行動に関するデータの収集・活用が重要です。

オンボーディングには、広義では新入社員向けの一般的な研修や課題提出なども含まれますが、そうした学習行動に関するデータから、

  • 短期的には「オンボーディングでは参加者に何が必要か」が見える
  • 中期的には「オンボーディングが実務にどの程度役立っているか」がわかる
  • 長期的には「オンボーディングのプロセスをどう改善できるか」がわかる

という効果を見込めるためです。

▼学習行動データがオンボーディングにどう役立つかについては、下記でも解説しています。
オンボーディングのプロセスと実施目的を徹底解説!成功事例についても紹介

データの収集および分析には、デジタルツールを活用するのがおすすめです。

特に、LMS(学習管理システム)を導入すれば、

  • 学習者の進捗状況やテスト結果などを一元管理できる
  • eラーニングとの組み合わせで、進捗状況やテスト結果が自動で収集される

という省力化メリットも。

なお、LMSは、eラーニングを利用契約するとセットで提供されるケースも多く、わざわざLMSを別途契約する必要は必ずしもありません。

たとえば、LDcube株式会社が展開する「CrossKnowledge」も、eラーニングとLMSがはじめからセットになっています。

▼LMSを研修に導入するメリットについては、下記で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。
LMSを企業の研修に導入する5つのメリットとは?

▼オンボーディングでのデジタルツールの活用については、下記で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。
オンボーディングをシステムで効率化!現場教育と全社教育で選択すべきツールの違いを解説!

オンボーディングプログラムとは?構築のポイントやメリットなど解説

実施後の振り返りを行う

オンボーディングを成功させるためには、実施後の振り返りも行う必要があります。

実際に参加した社員による振り返りは、オンボーディングのどこをブラッシュアップすればよいかを考える際に役立つ「極めて信頼性の高い情報」といえるからです。

もちろん、学習内容の定着にも効果があると考えられますし、自身の現状の課題を改めて確認する機会ともなりますので、参加者本人の成長にもつながります。

新入社員の研修の振り返りの重要性と効果的な振り返り方については、「新入社員の成長を促すための研修の振り返りとは?効果的な方法4選」で詳しく解説していますので、ご参照ください。

LDcubeの多彩なソリューションで人材育成の悩みを解決

LDcube公式サイト私たちLDcubeは、60年以上の組織変革・人材育成の知見を活かした人材育成支援サービスを提供している研修会社です。

集合研修の豊富な知見と最先端の学習ツールとの融合により、個人と組織に最適な「学び」を効果的・立体的にデザインし、競争力のある企業への成長をアシストします。

本記事でお伝えしたようなオンボーディングのお悩みを解決できる下記のようなソリューションをご用意しています。
  • CrossKnowledge:世界中で高評価!パーソナライズ学習を実現するLMS・eラーニング
  • Biz-EX:経営シミュレーション実践型eラーニング
  • UMU:オンボーディングプログラムの展開にも役立つAI活⽤デジタル学習プラットフォーム
  • LIFO:自身の強みや行動スタイルを発見し、啓発するプログラム
  • MSS:「人のマネジメント」のスキル向上に貢献する職場ワークショップ
  • ITS:新たな視点を見出す創造性プログラム
  • SBRP:レジリエンス(逆境を乗り越える力)啓発プログラム 等

貴社のニーズ、背景、目標などに応じて、最適な学習ツールと教育プログラムをご提案します。

各提供サービスの紹介資料は、下のLDcubeロゴから無料でダウンロードいただけるので、ぜひご確認ください。
​​​​​​​

LDcube

まとめ

▼オンボーディングでよくある失敗例として挙げられるのは下記の3つ

  • 現場を巻き込めていない
  • 相談コストが高過ぎる
  • 「当然活躍してくれる」との思い込みで環境整備が手薄になる(中途採用者の場合)

▼オンボーディングをより効果的なものとするために押さえておきたいポイントは、下記の3つ

  • 離職理由の分析をしっかり行う
  • 学習行動データを収集して活用する
  • 実施後の振り返りを行う

本記事が、貴社のオンボーディング施策のご参考となれば幸いです。

株式会社LDcubeでは、新入社員のオンボーディング体制構築に必要なサービスを展開しております。社内の担当者さまと伴走し、効果的なオンボーディング体制づくりにつなげていきます。新入社員の育成のお悩みはLDcubeにお気軽にご相談ください。

▼新入社員育成については下記にまとめました。こちらからダウンロードできます。

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LDcube編集部
LDcube編集部
株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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