OJTする余裕がない場合の効果的な対応策とは?デジタル時代の指導対策について解説!
「新人教育は大切だとわかっているけど、とにかく現場が忙しすぎて…」
「OJTする余裕がなく、ついつい放置気味になってしまう…」
このような悩みを抱える現場管理者は少なくありません。実際、近年の人手不足や業務量の増加により、じっくりとOJTに時間を割くことが難しい状況が多くの企業で続いています。
しかし、OJTする余裕がないからと新人教育を後回しにすると、新人の成長が遅れるだけでなく、現場の生産性低下や早期離職といった深刻な問題を引き起こしかねません。
結果として、さらに現場の余裕がなくなるという負のスパイラルに陥ってしまうのです。
では、日々の業務に追われる中で、どのようにすれば効率的なOJTを実現できるのでしょうか。
この記事では、OJTする余裕がない原因を明らかにした上で、すぐに実践できる効率化の方法や、短時間で成果を上げるためのステップを具体的に解説します。
また、同じ課題を乗り越えてきた企業の改善事例も紹介します。
人手不足や時間的制約がある中でも、着実に新人を育成できる実践的なノウハウをお伝えします。
多忙な現場でもすぐに始められる方法ばかりですので、今すぐOJTを改善したいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
▼OJTの全体像や詳細のテーマについては以下にまとめています。併せてご覧ください。(関連記事)
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目次[非表示]
- 1.OJTをする余裕がない2つのパターン
- 2.組織的にOJTする余裕がない場合の対策
- 3.先輩社員に余裕がない場合の対策
- 4.OJTする余裕がない先輩社員は将来的に損をしてしまう
- 5.OJTする余裕がないまま放置するとどうなる?現場が直面する3つの危機
- 6.OJTができる余裕を持つための3つの方向性
- 7.OJTの余裕がない現場だからこそやるべき3つ効率化術
- 7.1.動画研修で基礎教育を自動化する
- 7.2.チェックリストでOJTの進捗を見える化する
- 7.3.ベテランの暗黙知をデジタル化して共有する
- 8.OJTの余裕がない組織こそやるべきデジタル化
- 9.OJTのデジタル化で格差を解消した支援事例
- 10.OJTのデジタル化ならLDcubeにお任せ!
- 11.まとめ
OJTをする余裕がない2つのパターン
多くの企業がOJTの重要性を理解しながらも、実際の現場では実施が困難な状況に直面しています。
OJTを実施する余裕がない状況は、主に2つのパターンに分類されます。
それぞれの状況を詳しく見ていきましょう。
①組織的に人員不足感があり新人にかまっていられない:
近年の人手不足を背景に、多くの組織では既存メンバーの業務負荷が増大しています。
日々の業務をこなすことで精一杯の状況では、新人の指導や育成に時間を割くことが難しくなっています。
特に以下のような状況が見られる組織では、OJTの実施が困難になりがちです。
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このような状況では、新人への指導よりも目の前の業務を優先せざるを得ず、結果として体系的なOJTが実施できない悪循環に陥ってしまいます。
②先輩社員に余裕がなく新人にかまっていられない:
業務の高度化や複雑化に伴い、先輩社員自身の業務負荷も年々増加傾向にあります。その結果、以下のような心理的・時間的な余裕のなさから、OJTの質が低下する事態が発生しています。
1.心理的な余裕のなさ:
2.時間的な余裕のなさ:
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このように、組織全体の問題と個々の先輩社員が抱える課題が重なり合うことで、効果的なOJTの実施が困難になっているのが現状です。
これらの課題に対する具体的な解決策を、次章以降で詳しく見ていきましょう。
組織的にOJTする余裕がない場合の対策
組織全体でOJTの余裕がない状況を改善するためには、業務効率化と教育体制の整備の両面からアプローチする必要があります。
ここでは具体的な対策を見ていきましょう。
現在の業務状況を精査し、外注できる部分がないか検討する:
業務の効率化を図る第一歩として、現状の業務内容を詳細に分析することが重要です。
社内で抱えている業務の中には、外部のリソースを活用することで効率化できるものが含まれている可能性があります。
特に定型業務や専門性の高い業務は、外注による効率化を検討する価値があります。
外注を検討する際は、コアとなる業務とそうでない業務を明確に区分けし、社内で遂行すべき業務と外部に任せられる業務を整理することが大切です。
これにより、限られた内部リソースをOJTなど重要な人材育成に振り向けることが可能になります。
中途での即戦力採用を増やす:
人材不足による業務過多を解消するためには、即戦力となる中途採用人材の確保も有効な戦略です。
経験者の採用により、以下のような効果が期待できます。
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ただし、中途採用者の選考では、技術力だけでなく、組織の価値観との適合性や教育への理解度も重要な判断基準となります。
計画的に新入社員の採用を行っていく:
長期的な組織づくりの観点から、計画的な新入社員の採用は欠かせません。
採用計画を立てる際は、以下の点を考慮しながら進めることが重要です。
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特に、教育担当者の負担が一時期に集中しないよう、採用時期や人数を適切に調整することが大切です。
OJTをデジタルコンテンツとしてストックする:
これまでOJTは現場で行われ、特にコンテンツとしてストックされずに消費されてしまっていました。
最新のテクノロジーを活用し、OJTをデジタル化することで、OJTを消費せずに効率的な教育体制を構築できます。
デジタルコンテンツによる教育には、以下のような利点があります。
1.時間と場所の制約からの解放:
2.教育品質の標準化:
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デジタルコンテンツは一度作成すれば繰り返し使用できるため、長期的には教育担当者の負担軽減にもつながります。
ただし、対面でのフォローアップと組み合わせることで、より効果的な教育が実現できることを忘れてはいけません。
先輩社員に余裕がない場合の対策
先輩社員に余裕がないことは、OJTの質を低下させる要因となるため重要な課題といえます。
この問題を解決するために、具体的な対策を見ていきましょう。
職場内での業務分担の見直しを行う:
先輩社員の業務負荷を適切なレベルに調整することは、効果的なOJTを実現する上で不可欠です。
まずは現状の業務分担を可視化し、特定の社員に負荷が集中していないか確認します。
業務の優先順位を整理し、場合によっては一時的に他のメンバーに業務を移管することも検討します。
特に教育担当となる先輩社員については、通常業務の一部を他のメンバーに移管するなど、教育に充てる時間を確保するための具体的な施策が必要です。
これにより、焦らずに新人の指導に取り組める環境を整えることができます。
OJT担当を1名ではなく複数名で行う:
1人の先輩社員に教育負担が集中することを避けるため、複数の先輩社員でOJTを分担する体制を構築することが効果的です。
この方法には以下のようなメリットがあります。
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複数名での指導を円滑に進めるためには、指導内容や進捗状況の共有が重要になります。
定期的な情報共有の場を設けることで、指導の一貫性を保ちながら、効率的なOJTを実現できます。
先輩社員を動機づけする:
OJTを担当する先輩社員のモチベーション維持は、教育の質を左右する重要な要素です。
単に業務として割り当てるのではなく、キャリア開発の機会として位置づけることで、前向きな取り組みを促すことができます。
具体的な動機づけの方法として、以下のような施策が効果的です。
1.評価制度への反映
2.スキルアップ支援
3.組織的な認知
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このように、先輩社員自身の成長機会としてOJTを捉え直すことで、より積極的な取り組みを引き出すことができます。
ただし、過度な期待や圧力は逆効果となる可能性があるため、適切なバランスを保つことが重要です。
OJTする余裕がない先輩社員は将来的に損をしてしまう
OJTを実施する余裕がないと感じている先輩社員は多いものの、実はOJTを避けることは自身のキャリア形成において大きな機会損失となります。
なぜOJTを実施しないことが将来的な損失につながるのか、詳しく見ていきましょう。
OJTは将来のマネジャーになったときの部下育成のトレーニングの場:
OJTの経験は、将来マネジメント職にを担う際の重要な基礎となります。
なぜなら、OJTを通じて得られる経験は、そのままマネジメントスキルの向上につながるためです。
新人指導を通じて、人材育成の基本的なスキルや考え方を実践的に学ぶことができます。
例えば、相手の理解度に合わせた説明方法の工夫や、適切なフィードバックの提供方法、モチベーション管理など、マネジャーに求められる多くのスキルについてOJTを通じて養うことができます。
これらの経験は、将来的なキャリアアップにおいて大きなアドバンテージとなります。
人材育成スキル獲得の機会を逃している:
人材育成スキルは、実践を通じてしか身に付けることができません。
OJTを避け続けることで、以下のような重要なスキルを獲得する機会を逃してしまう可能性があります。
1.指導力の向上機会:
2.コミュニケーション能力の発展機会:
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OJTは自らの成長の機会であることを伝える:
OJTは単なる新人教育の場ではなく、指導する側にとっても重要な成長機会であることを認識する必要があります。
具体的には、以下のような側面で自己成長につながります。
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このように、OJTは指導する側にとっても貴重な成長機会であり、避けるべきものではなく、むしろ積極的に取り組むべき重要な機会として捉え直す必要があります。
OJTする余裕がないまま放置するとどうなる?現場が直面する3つの危機
OJTの実施が後回しにされ続けることで、組織は深刻な危機に直面することになります。
この問題を放置することで生じる具体的な影響について、詳しく見ていきましょう。
教育不足で新人が成長できず現場の負担が増加する
適切なOJTが行われない状況が続くと、新人の成長スピードが著しく低下します。
これは単に個人の成長の遅れにとどまらず、現場全体の生産性低下につながる深刻な問題です。
新人が基本的なスキルを習得できないまま時間が経過すると、簡単な業務でも常にサポートが必要な状態が続きます。
その結果、本来であれば新人に任せられるはずの業務も、熟練社員が対応せざるを得なくなり、現場の負担はさらに増加していきます。
このような状況は、新人のモチベーション低下と熟練社員の疲弊という、二重の問題を引き起こします。
不安を抱えた新人が次々と退職してしまう
適切な教育機会が提供されない環境では、新人は強い不安とストレスを抱えることになります。
この状況が続くと、以下のような悪循環が発生し、最終的に退職という選択につながってしまいます。
1.業務習得の遅れによる自信喪失
- スキル向上が実感できない焦り
- 周囲への遠慮から質問ができない
- 独力で業務を遂行する自信が持てない
2.キャリア形成への不安
- 将来的な成長機会への懸念
- 専門性を身に付ける機会の不足
- 自身の市場価値向上への不安
ミスや手戻りが増えて業務効率がさらに悪化する
体系的な教育が行われないまま業務を進めることは、品質低下とミスの増加を招きます。その結果、以下のような問題が発生し、組織全体の生産性が低下していきます。
第一に、基本的な知識やスキルが不足したまま業務を行うことで、初歩的なミスが頻発する可能性があります。
これらのミスの修正には、本来不要なはずの時間と労力が必要となります。
第二に、業務の背景にある理論や原理の理解が不十分なため、状況に応じた適切な判断ができません。
その結果、手戻りが発生し、プロジェクト全体の進行に影響を及ぼすことになります。
さらに深刻な問題として、このような状況が継続することで、組織全体の業務品質が低下し、顧客満足度の低下や取引機会の損失にもつながりかねません。
一時的な業務の効率を優先してOJTを後回しにすることは、長期的には組織に大きな損失をもたらす結果となるのです。
OJTができる余裕を持つための3つの方向性
OJTを効果的に実施するためには、組織全体で取り組むべき明確な方向性を定める必要があります。
ここでは、OJTの余裕を生み出すための3つの重要な方向性について解説します。
人材育成を優先課題に位置づける
人材育成を組織の最優先課題の一つとして明確に位置づけることは、OJTの実効性を高める上で極めて重要です。
これは単なるスローガンの提示だけでなく、具体的な行動と施策を伴う必要があります。
経営層が人材育成の重要性を明確に発信し、それを実現するための予算や時間を確保することで、現場レベルでもOJTを優先的に実施する機運が生まれます。
また、人材育成の成果を評価指標に組み込むことで、組織全体での継続的な取り組みを促進することができます。
横串で各職場のOJTをサポートするための教育専任者を配置する
効果的なOJTを実現するためには、適切な組織体制の整備が不可欠です。
特に、教育専任者の配置は重要な施策となります。
教育専任者は以下のような役割を担うことで、組織全体の教育効果を高めることができます。
- 教育プログラムの設計と実施
- OJT担当者への支援とアドバイス提供
- 教育の進捗管理と効果測定
- 教育ノウハウの蓄積と共有
教育専任者を配置することで、現場の社員は自身の業務に専念しながら、必要な時に適切な支援を受けることが可能になります。
全社で教育時間を確保する意識改革を推進する
OJTを効果的に実施するためには、全社的な意識改革が必要不可欠です。
これは単なるスローガンではなく、具体的な行動の変革を伴うものでなければなりません。
まず、教育時間を「投資」として捉える考え方を組織全体に浸透させることが重要です。
短期的な生産性の低下を恐れてOJTを後回しにするのではなく、将来の組織力強化のための重要な投資として位置づける必要があります。
また、定期的な教育時間の確保を業務計画に組み込むことも有効です。
例えば、毎週特定の時間をOJTの時間として設定し、その時間は他の業務を入れないというルールを設けることで、計画的な教育の実施が可能になります。
このような意識改革を推進する上で重要なのは、経営層から現場まで一貫した方針の下で取り組むことです。
特に管理職層が率先して教育時間の確保に取り組むことで、組織全体での意識改革が加速されます。
OJTの余裕がない現場だからこそやるべき3つ効率化術
時間的制約がある現場だからこそ、効率的なOJTの実施方法を工夫する必要があります。
ここでは、限られたリソースで最大の教育効果を得るための3つの効率化術を紹介します。
動画研修で基礎教育を自動化する
基礎的な業務知識やスキルの伝達を動画研修で自動化することは、OJTの効率化において非常に効果的なアプローチです。
動画による教育は、一度作成すれば繰り返し活用でき、OJT担当者の時間的負担を大幅に軽減することができます。
特に、業務の基本的な手順や安全管理の基礎知識など、すべての新人が必ず学ぶべき内容については、動画教材を活用することで教育の質を均一に保ちながら、効率的な知識伝達が可能になります。
また、学習者は自身のペースで繰り返し視聴できるため、理解度の向上にも寄与します。
チェックリストでOJTの進捗を見える化する
効率的なOJTを実現するためには、教育の進捗管理が極めて重要です。チェックリストを活用することで、以下のような効果が得られます。
1.教育項目の明確化
2.進捗の共有促進
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ベテランの暗黙知をデジタル化して共有する
ベテラン社員が持つ豊富な経験と知識は、組織にとって貴重な資産です。
これらの暗黙知をデジタル化して共有することで、効率的な技術伝承が可能になります。
デジタル化に際しては、単なる作業手順の記録だけでなく、以下のような要素も含めることが重要です。
1.意図・意味合いや、不測事態への対応
2.ノウハウや経験則
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このようにデジタル化された知識は、組織の共有資産として活用することができ、新人教育の効率化だけでなく、組織全体の技術力向上にも貢献します。
ただし、デジタル化された教材はあくまでも基礎的な部分をカバーするものであり、実践的なスキルの習得には、従来型のOJTとの適切な組み合わせが必要不可欠です。
OJTの余裕がない組織こそやるべきデジタル化
時間的制約のある組織がOJTを効果的に実施するためには、デジタル技術を活用した体系的なアプローチが不可欠です。
ここでは、デジタル化を活用したOJTの、具体的な実施方法について説明します。
OJT担当者への研修の機会を設定する:
デジタルを活用したOJTを効果的に運用するためには、まずOJT担当者自身が適切なスキルを身に付ける必要があります。
研修では、単なるツールの使用方法だけでなく、効果的な教育コンテンツの作成方法や、デジタルツールを活用した指導のポイントなども含めて学習します。
この研修を通じて、担当者は従来の対面指導とデジタルツールを組み合わせた効果的な指導方法を習得することができます。
OJT担当者研修の中で、最低限必要な教育項目を洗い出す:
効率的なOJTを実現するためには、教育項目の優先順位付けが重要です。
OJT担当者研修では、以下の観点から必要な教育項目を整理します。
- 会社の方針や大切にしている価値観
- 業務を行う上で知っておくべき知識
- 業務遂行に必須の基本スキル
- 今の業務のやり方になっている背景
- コミュニケーションルールや報告の仕方
・・など
研修の一環としてOJT担当者で分担し既存の業務手順を動画化する:
既存の業務手順を動画化する作業は、OJT担当者自身の学習機会としても有効です。
担当者が実際に動画を作成することで、業務の流れを再確認し、重要なポイントを明確化することができます。
また、複数の担当者で作業を分担することで、効率的にコンテンツを作成することが可能になります。
動画コンテンツをプラットフォーム上に整理・配置する:
作成された動画コンテンツは、学習管理システム上で体系的に整理し、必要な時にすぐにアクセスできる環境を整備します。
コンテンツは業務の流れに沿って適切に分類し、学習者が自身の進捗に合わせて効率的に学習できるよう構成します。
新入社員がいつでもどこでも学習する:
デジタルコンテンツの最大のメリットは、時間や場所の制約なく学習できることです。
新入社員は自身の理解度に合わせて繰り返し学習することができ、特に以下のような場面で効果を発揮します。
- 基本的な作業手順を確認する
- 新たな業務に取り組む際の進め方を学ぶ
- 突発的に発生した事案への対処法を学ぶ
空き時間を活用した効率的な指導スケジュールを組む:
デジタルコンテンツを活用することで、対面指導の時間を効率的に設定することが可能になります。
新入社員は事前に基礎知識を学習し、対面指導ではより実践的な内容に焦点を当てることができます。
これにより、限られた時間で最大の教育効果を得ることができます。
週1回の進捗確認で着実にスキルアップを図る:
定期的な進捗確認は、教育効果を高める上で重要な要素です。週1回の確認では、以下の点について重点的にレビューします。
- 学習の進捗状況
- 理解度の確認
- 実践での課題抽出
- 次週の学習目標設定
これらの確認を通じて、個々の学習者の状況に応じた適切なサポートを提供し、着実なスキル向上を実現することができます。
OJTのデジタル化で格差を解消した支援事例
建設業でOJTのデジタルを図り、OJTという名の放置を解決したご支援事例を紹介します。
社員数:100名以上
事業:土木建築工事、建設工事の設計と監理
課題・背景
技術教育に十分な時間を割けない
ベテラン社員が現場作業に追われ、若手社員の技術教育を十分にできていないという課題がありました。
また、時間だけでなく、人員にも余裕がないため、本来教えるべき技術やノウハウが現場で伝達できていないという事態に陥っていました。
OJT格差と離職率が上昇
現場のOJTは主にベテラン社員が担当していましたが、人によって言うことが違う、厳しい口調の上司が多いなど、 OJT格差がありました。
その結果、若手社員の離職率が高くなり、新入社員の採用に悪影響が出ました。
取り組みの詳細
全社プロジェクトの立ち上げ
課題解決のため、人を介さず業務知識が学べるコンテンツの配信環境を構築するプロジェクトを立ち上げました。
まずは各現場で「わが社の新人に必要な学習内容は何か」という観点で棚卸しを行いました。
このプロジェクトの初期は、中堅社員をコンテンツ作成作業の中心に据えました。
全社員アンケートを実施
現場所長や各部署の社員を対象とした「現場に配属になった際に覚えてほしいこと」アンケートを実施しました。
そこで集まった声を基にし、業務フローと照らし合わせながら、必要なコンテンツリストをブラッシュアップしました。
コンテンツ作成のサポート体制を強化
中堅社員の目線でコンテンツ作成を行った結果、自身が新入社員だった頃の感覚を忘れていることもあり、どのようなポイントを伝えれば新入社員にとって分かりやすいかという観点が抜けた内容になっていました。
また、コンテンツ一つ一つの情報量が多いことや、自身が普段当たり前のように行っている業務を、コンテンツに落とし込むことができないという課題が浮上しました。
そこで具体的な作業に関するコンテンツ作成を若手社員が担当するように切り替えました。
さらに、各部に配置したアシスタントによる動画撮影・編集のバックアップなど、コンテンツ作成サポートの強化を行いました。
取り組み後の成果
若手社員の知識習得レベルの底上げ
若手社員が中心となり、自身が新入社員だった頃の目線を思い出しながらコンテンツ作成を行い、2年間で600個が完成しました。
これにより、初めて業務を覚える新入社員にとっても分かりやすく、必要な情報が十分にそろった学習環境を提供することができました。
また、マイクロラーニングの考え方に基づき、すべての動画コンテンツの長さを5分以内収めました。
これによって、隙間時間に効果的な学習をすることが可能になりました。
その結果、新入社員の知識習得レベルの底上げにつながりました。
OJT格差の是正とコミュニケーションの活性化
コンテンツを活用した教育によって社員の学習の機会が標準化されたことで、OJT格差が縮小しました。
また、業務内容については新入社員と若手社員がベテラン社員に習い、現場で活用するスマートフォンやタブレットなどについては上司が新入社員と若手社員から学ぶという動きも出てくるようになりました。
この動きは、ベテラン社員と新入社員、若手社員のコミュニケーションの活性化にもつながっています。
入社希望者の増加
OJTのデジタル化を導入したことが、県内の入社希望者数の増加につながりました。
新卒の採用説明会やメディアの取材において、OJTのデジタル化を図った取り組みを紹介し、企業の教育体制の優位性をアピールしました。
その結果、県内の学生が選ぶ建設業知名度ランキングで1位を獲得しました。そのおかげで、多くの学生から選ばれる企業となりました。
OJTのデジタル化ならLDcubeにお任せ!
LDcubeは、OJTのデジタル化を強力に支援します。新入社員とOJT担当者の双方が自分たちのペースで学習を進められ、より効果的な学習体験を提供することが可能です。
デジタル化により、業務遂行に必要な知識に、いつでもどこでもアクセス可能になるため、新入社員は自分の都合に合わせて学習を進めることが可能です。
具体的には、ビデオ教材やオンライン・インタラクティブ学習ツールなど、テクノロジーを活用した新しい学習環境づくりを支援します。
また、オンライン学習の進捗状況やテスト結果をリアルタイムで確認可能なシステムを活用し、OJT担当者が新入社員の学習状況を把握し、必要に応じてアドバイスを提供することが可能になります。
OJTのデジタル化により、新入社員は自分自身の理解度に応じて必要な知識を得られ、OJT担当者は新入社員の業務遂行を支援することができます。
まとめ
OJTする余裕がない場合の効果的な対応策とは?デジタル時代の指導対策について解説!について紹介してきました。
- OJTをする余裕がない2つのパターン
- 組織的にOJTする余裕がない場合の対策
- 先輩社員に余裕がない場合の対策
- OJTする余裕がない先輩社員は将来的に損をしてしまう
- OJTする余裕がないまま放置するとどうなる?現場が直面する3つの危機
- OJTができる余裕を持つための3つの方向性
- OJTの余裕がない現場だからこそやるべきOJT効率化術3選
- OJTの余裕がない組織こそやるべきOJTを成功させるデジタル化
- OJTのデジタル化でOJT格差を解消した支援事例
- OJTのデジタル化ならLDcubeにお任せ!
OJTの実施に余裕がないという課題は、多くの組織が直面している深刻な問題です。
人員不足や業務過多により、十分な教育時間を確保できない状況は、組織の持続的な成長を妨げる大きな障壁となっています。
しかし、この問題を放置することは、さらに深刻な事態を招く可能性があります。
新人の成長機会が失われ、モチベーション低下や早期離職につながるだけでなく、組織全体の生産性低下や技術伝承の停滞といった負の連鎖を引き起こすことになります。
この課題を解決するためには、まず組織全体で人材育成の重要性を再認識し、優先的に取り組むべき経営課題として位置づける必要があります。
その上で、デジタル技術を効果的に活用し、限られたリソースの中でも最大の教育効果を得られる体制を構築することが重要です。
特に、動画教材の活用やチェックリストによる進捗管理、ベテランの暗黙知のデジタル化など、効率的にOJTを実施するための具体的な施策を段階的に導入していくことで、持続可能な教育体制を確立することができます。
また、OJTは単なる新人教育の手段ではなく、指導する側にとっても成長の機会であることを忘れてはいけません。
指導経験を通じて得られる学びは、将来的なキャリア形成において貴重な資産となります。
最終的に目指すべきは、日常業務とOJTが自然に調和した職場環境の実現です。それは一朝一夕に達成できるものではありませんが、本記事で紹介した方法論を着実に実践していくことで、必ず実現可能な目標です。
組織の未来を支える人材育成に、今こそ戦略的に取り組む時期が来ているのです。
株式会社LDcubeでは、OJTに余裕がない状況を解消するためのOJTのデジタル化の支援を行っています。
デジタルツールの無料デモ体験会なども行っています。お気軽にご相談ください。
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