OJTガチャの不運・悲劇を防ぐ処方箋3選!効果的な対策について解説!
OJT(On the Job Training:オン・ザ・ジョブ・トレーニング)は、新入社員や若手社員のスキル向上に欠かせない教育手法ですが、「OJTガチャ」という言葉が示すように、OJTの品質がOJTトレーナーに大きく依存するため、効果にばらつきが生じることがあります。
このばらつきは、OJTトレーナーの経験や指導力の違いによって生まれ、多くの会社でOJTが一貫した効果を提供できていないという問題につながります。
では、どうすればOJTが「ガチャ」的な運任せではなく、安定して高品質な教育手法となるのでしょうか?「OJTガチャ」の背景にある具体的な課題について考えてみましょう。
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本記事ではOJTガチャの不運を防ぐための処方箋を3つ紹介します。
処方箋は、
「ペアリングトレーニング」
「新人・OJT双方のレジリエンス強化」
「OJTに依存しない学習環境づくり」
の3つです。
これらを取り入れることで、新人の配属への不安を軽減し、OJTトレーナーも自信をもって新人育成に取り組むことができるようになります。
OJTの品質向上を目指し、新入社員が企業の戦力として早期に活躍できるように支援しましょう。
▼OJTの全体像や詳細のテーマについては以下にまとめています。併せてご覧ください。(関連記事)
- 効果的なOJTとは?意味と目的、新時代の学習環境の作り方を解説
- デジタル時代のOJTマニュアルとは?社員教育のポイントを紹介!
- OJT成功の企業事例10選|うまくいく会社の共通ポイントを解説
- OJTが合わない!と思ったときの対処法と問題解決策について解説!
- OJTの正しいやり方とは?即戦力を育てる7ステップを徹底解説!
- OJTトレーナーの3つの役割とよりよい人材育成の循環を生むコツとは?
▼OJTについてのお役立ち資料は下記よりダウンロードできます。
目次[非表示]
- 1.OJTガチャとは?
- 2.OJTガチャは今に始まったことではない
- 3.OJTガチャの不運を防ぐ処方箋
- 4.OJTガチャの処方箋① ペアリングトレーニング
- 4.1.ペアリングトレーニングの詳細と目的
- 4.2.期待される効果
- 5.OJTガチャの処方箋② 新人・OJT双方のレジリエンス強化
- 5.1.レジリエンスとは
- 5.2.研修の目的(新入社員)
- 5.3.研修の目的(OJTトレーナー)
- 5.4.組み合わせによる効果
- 6.OJTガチャの処方箋③ OJTに依存しない学習環境づくり
- 6.1.背景
- 6.2.学習環境
- 6.3.学習環境づくりのメリット
- 6.4.期待される効果
- 7.OJTガチャへの対策ならLDcube
- 8.まとめ
OJTガチャとは?
「OJTガチャ」という言葉は、職場における「OJT」と「ガチャガチャ(またはガチャ)」を組み合わせたものです。
これは新入社員がOJTを通じて業務を学ぶ際の経験を、運任せの「ガチャ」と比喩する表現です。
OJT自体は、実際の業務を行いながら必要なスキルや知識を習得する教育方法の1つで、多くの企業で新入社員の育成に利用されています。
しかし、「OJTガチャ」と称される背景には、OJTの質が上司や先輩社員などのOJTトレーナーに大きく左右されるという実情があります。
具体的には次のような要因で「ガチャ」と表現されることがあります。
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このような理由から、新入社員にとっては「どのようなOJTを受けることになるか」が運任せであり、「何が当たるか分からないガチャ」のように感じられることがあるため、このような言葉が使われることがあります。
OJTガチャは今に始まったことではない
「OJガチャ」という表現は新しいものですが、その背景にある問題は長年にわたり企業や職場で指摘されてきました。
OJTは、職場で実際の業務を通じての学びとして非常に重要視される一方で、その教育の質や内容にばらつきがあることが最大の課題とされています。
背景
OJTは多くの企業で新人教育の中心的な手法として採用されています。
これは実務を通じて実際のスキルを身に付けることができるというメリットがあるためです。
しかし、OJTの効果は主にOJTトレーナーのスキルや意識に依存する部分が非常に大きいのが現実です。
そのため、OJTトレーナーの力量や教育意欲の違いによって、新入社員が受けるトレーニングの質に大きな差が生まれます。
最大の課題
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OJTトレーナー依存
OJTトレーナーによって教え方が異なり、一貫性のない教育が行われることがあります。これは基準化されたマニュアルや教育プログラムがないことが原因となる場合もあります。
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教育の標準化不足
多くの企業では、OJTの内容や方法に具体的な標準が設けられておらず、現場任せになっていることが多いです。これが、新入社員が配属された部署やOJTによって全く異なる経験をする結果につながります。
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経験の共有不足
OJTトレーナー自身の経験や技術が他のOJTトレーナーに共有されず、個人に蓄積されやすいため、学ぶ内容が狭くなりがちです。
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評価やフィードバックの不十分さ
業務を通じた教育が主であるため、明確な評価基準やフィードバックの機会が不足していることが、成長を困難にします。
このような課題から、新入社員にとってどのような教育を受けるかは運の要素が強く、「OJTガチャ」という表現でその現実が表されています。
企業側には、教育の標準化やOJTトレーナー研修の導入によって、OJTの質を担保し、ばらつきを減らす努力が求められています。
▼OJTの課題については下記で詳しく解説しています。
OJTガチャの不運を防ぐ処方箋
OJTガチャの不運を防ぐ処方箋としては、新人とOJTトレーナーのペアリングトレーニング、新人とOJT双方へのレジリエンス強化、OJTトレーナーに依存しない学習環境づくりが挙げられます。
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次章で、それぞれより詳しく見ていきます。
▼OJTが合わないときの対処法については下記で詳しく解説しています。
OJTガチャの処方箋① ペアリングトレーニング
「OJTガチャ」という問題を解決するための1つの方法として、「ペアリングトレーニング」があります。
この処方箋は、新入社員とOJTトレーナーが、OJTのやり方や内容について同じ研修を受講することで、認識をそろえ、ばらつきを削減することを目指します。
ペアリングトレーニングの詳細と目的
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共通理解の形成
新入社員とOJTトレーナーが一緒に同じ研修を受けることで、双方がOJTの目的や方法について共通の理解を形成します。
共通の理解により、OJTの進行中におけるミスマッチや誤解を避けることができます。
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OJTの進め方の標準化
OJTトレーナーのみが受講するのではなく、新入社員も同じ研修に参加することで、OJTの進め方の標準化が図れます。
具体的には、教育内容や進行のステップがマニュアル化され、新人とトレーナーがその手引きに沿って進めることが可能になります。
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フィードバックの強化
研修での学びを生かし、定期的なフィードバックの時間を設けるようになります。
新入社員とOJTトレーナーの間で進捗や課題について話し合うことで、双方の成長や改善点が確認され、より実効性のあるOJTが可能になります。
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責任の共有
研修により、OJTトレーナーは、単に知識を教えるだけではなく、新入社員の適応や成長を含めた全体的なサポート役としての自覚を持ちやすくなります。
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柔軟な調整
新入社員の進捗状況や理解度に応じて、トレーニングのペースや内容を調整するためのガイドラインを共有し、柔軟な対応が可能となります。
共通の研修を受けることで、この調整が容易になり、必要に応じてカスタマイズされた教育が可能となります。
期待される効果
ペアリングトレーニングを通して、新入社員とトレーナーが共通認識を持ち対話を進めることで、教育のばらつきを抑え、個々のトレーナーのスタイルに依存せずに、高品質で一貫した教育を提供することが可能になります。
ペアリングトレーニングにより、新入社員の成長が促進され、企業全体としてのOJTの効果を高めることが期待されます。
▼OJTトレーナー研修については下記で解説しています。
OJTガチャの処方箋② 新人・OJT双方のレジリエンス強化
レジリエンス強化研修は、OJTの質を根本から向上させるための有効な手法です。
新入社員とOJTトレーナーが個別にレジリエンスを養うことで、職場で直面するさまざまな状況に対して柔軟に適応できる力を身に付けることが狙いです。
以下、この取り組みについて詳しく説明します。
レジリエンスとは
レジリエンスは、変化や困難に直面した際にその状況に適応し、それを乗り越えるための能力を指します。
この能力が強化されることで、ストレス耐性が向上し、変化に対する積極的な姿勢が育まれます。
特に現代の職場環境は変化が激しく、レジリエンスは個人だけでなく組織全体にとって重要なスキルとされています。
研修の目的(新入社員)
新入社員は、職場の新しい環境に適応し、業務に慣れる過程でさまざまなプレッシャーやストレスを感じやすいです。
そのような状況の中でもポジティブな思考で前向きに活動できるための準備とトレーニングを行います。
トレーニングをしておくことで、どのようなOJTリーダーであったとしても、その状況をポジティブに捉え不運と捉えることを減らします。
仮に、指導力があまり高くないOJTトレーナーに教わることがあったとしても、それを不運と捉えるのではなく、自分で積極的に学ぶ力を身に付けるチャンスと捉えることができれば、活動の仕方が変わります。
研修の目的(OJTトレーナー)
OJTトレーナーにとってもレジリエンスは重要です。状況に応じて一貫性のある教育計画を進めながらも柔軟性のある対応が求められます。
トレーニングをしておくことで、どのような新入社員であったとしても、その状況をポジティブに捉え不運と捉えることを減らします。
仮に、前向きに取り組もうとしない新入社員を教えることになったとしても、それを不運と捉えるのではなく、自分の指導力を高めるチャンスと捉えることができれば、活動の仕方が変わります。
組み合わせによる効果
ペアリングトレーニングとレジリエンス強化研修を組み合わせることで、OJTガチャの課題を解決するアプローチが可能になります。
OJTの進め方についての共通認識を持ちながら、どのような状況でもポジティブに捉えて前向きな活動をすることができれば、OJTガチャによる不運と言われる状況はなくなります。
▼レジリエンス研修については下記で詳しく解説しています。
OJTガチャの処方箋③ OJTに依存しない学習環境づくり
職場におけるOJTの課題を解決するための有効な施策として、OJTに依存しない学習環境を構築することが挙げられます。
これは、どのようなOJTトレーナーが担当したとしても、新入社員が必要な知識やスキルを身に付けることができる環境を、デジタルコンテンツを活用して整備することを意味します。
背景
多くの企業では、OJTトレーナーの能力や指導スタイルに依存せざるを得ない状況があります。
このような環境では、新入社員の教育にばらつきが生じ、結果として業務遂行における不均一なパフォーマンスが見られることがあります。
そのため、OJTトレーナー自身のスキルや経験によらず、標準化された教育機会を提供することが求められています。
学習環境
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オンデマンド学習
新入社員が自分のペースで学べるように、デジタルコンテンツを用意します。オンデマンド学習により、必要な場面で何度でも繰り返し学習でき、自己の理解度に応じて学習を進められます。
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標準化された教材
全社員に対して一貫性のある内容を提供するために、企業の価値観や業務プロセスに基づいた標準教材を用意します。標準教材により、人によって教える内容が違うといった知識のばらつきを防ぐことができます。
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インタラクティブな要素
理解を深めるために、クイズやシミュレーションなどのインタラクティブコンテンツを含めます。インタラクティブな要素により、単なる受動的な学習ではなく、能動的に参加できる環境を整えます。
学習環境づくりのメリット
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時間と場所の自由
新入社員は、個々のスケジュールに合わせて学習できるため、効率的に知識を吸収できます。また、リモートワークを行う環境でも対応可能です。
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学習進捗の可視化
デジタルプラットフォームを活用することで、学習の進捗状況をトラッキングできます。学習状況の可視化により、新入社員の学習状況を把握し、必要に応じて追加のサポートを提供することができます。
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継続的なアップデート
ビジネスや業界の変化に対応して、教材を継続的に更新することが可能です。アップデートにより、常に最新の情報を基に学べる環境を提供します。
期待される効果
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学習能力の向上
新入社員が自立して学ぶ力を育むことができ、業務上での問題解決能力が強化されます。
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OJTの負担軽減
OJTトレーナーは、基礎的な知識の教授ではなく、実務に直結したサポートに集中できるため、教育の質が向上します。
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企業全体の知識効果
新入社員のみならず、既存の社員もこの環境を活用することで、全体のスキルアップを持続的に行うことが可能になります。
デジタルコンテンツを活用した学習環境の整備により、OJTガチャの課題に対処しつつ、より誰もが活躍できる職場環境を実現することができます。
▼OJTのデジタル化については下記で解説しています。
OJTガチャへの対策ならLDcube
LDcubeは、新入社員とOJTトレーナーが一緒に参加するペアリング研修を提供しています。
また、OJTトレーナー向けの研修も充実しており、教育の質を向上させるために必要なスキルや知識を習得することができます。
OJTトレーナー自身が成長し、柔軟で効果的な指導ができるようになることで、新入社員にとってOJTガチャの干渉を受けにくい学びの環境が構築されます。
そして、新入社員およびOJTトレーナーに対するレジリエンス研修の提供も行っています。さらに、ペアリング研修やレジリエンス研修を社内で展開できるようにするための、社内トレーナー養成の支援も行っています。
社内のトレーニングリソースを強化することで、新人教育を長期的に改善し、企業全体の成長を支援します。
さらに、LDcubeはプラットフォームを活用し、OJTをデジタル化する支援も実施しています。どのようなOJTトレーナーであっても依存せず、新入社員が仕事を進めるために必要な情報やスキルを、必要な時にデジタルコンテンツを通じて何度でも学べる環境を提供します。
LDcubeのソリューションを活用することにより、新入社員が持続的に学びと成長を続けられる環境を整え、職場全体の教育の質を向上させることが可能となります。
まとめ
「OJTガチャ」とは、新入社員がOJTを通じて業務を学ぶ際に、担当する上司や先輩によってその経験が大きく左右される実情を表現した言葉です。
この現象は、企業内での教育の質や内容にばらつきが生じ、一貫した人材育成が難しいことを浮き彫りにしています。
OJTは、実務を通じてスキルを習得する貴重な機会ですが、その効果はOJTトレーナーのスキルや意識に依存するため、新入社員の学びが不均一になることが最大の課題です。
この「OJTガチャ」を解消するための処方箋として、いくつかのアプローチがあります。
- OJTガチャの処方箋① ペアリングトレーニング
- OJTガチャの処方箋② 新人・OJT双方のレジリエンス強化
- OJTガチャの処方箋③ OJTに依存しない学習環境づくり
まず、「ペアリングトレーニング」を導入することで、新入社員とOJTトレーナーが共通の理解を持ち、教育の質を均一化します。
次に、レジリエンス強化研修を通じて、新入社員とトレーナー双方が職場環境に柔軟に適応できる力を育成し、ストレスや変化に対する耐性を向上させます。
さらに、デジタルコンテンツを活用した学習環境の整備により、OJTトレーナーの個々の能力に依存しない標準化された学習機会を提供し、新入社員が自律的に学べる環境をつくります。
これらの施策を一貫して実施することで、OJTの質を向上させ、職場全体の教育効果を高めることができます。
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