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OJT指導者研修とは?OJTの課題を解決する効果的な進め方と実践ポイントを解説!

OJT指導者研修は、新人育成の要となる重要な取り組みです。

しかし、
「効果的な指導方法が分からない」
「指導に自信が持てない」
「自身の業務との両立が難しい」
など、多くのOJT指導者が不安や課題を抱えているのが現状です。 

特に近年は、新入社員の価値観やコミュニケーションスタイルが多様化しており、従来の画一的な指導方法では十分な効果が得られにくくなっています。また、業務の専門化・高度化が進む中で、新人の早期戦力化への期待も高まっており、OJT指導者の役割はますます重要になってきています。 

しかし、弊社が行った調査によると45%の組織でOJT指導者への研修が行われていないということが明らかになりました。OJT指導者がしっかりとした指導を行えるよう、OJT指導者研修を実施することが期待されます。 

そこで本記事では、OJT指導者研修の基本的な考え方から具体的な実践方法まで、体系的に解説していきます。適切な指導者の選定基準、効果的な育成計画の立て方、実践的な指導スキル、さらには組織全体での支援体制の構築まで、現場ですぐに活用できるポイントをご紹介します。 

これらの知識とスキルを身に付けることで、OJT指導者は自信を持って新人育成に取り組めるようになり、新人の成長を効果的にサポートできるようになります。同時に、指導者自身のキャリア成長にもつながる重要な機会となるはずです。 

それでは、効果的なOJT指導者研修の実現に向けて、具体的な方法を見ていきましょう。 

▼OJTの全体像や詳細のテーマについては下記にまとめています。併せてご覧ください。(関連記事) 

 
▼OJTについての資料はこちらからダウンロードできます


目次[非表示]

  1. 1.OJT指導者研修でOJTの課題を解決できる
    1. 1.1.OJT指導者の足並みをそろえる
    2. 1.2.OJTに必要なスキルを身に付ける
    3. 1.3.OJT指導者にOJTコンテンツをつくってもらう
  2. 2.OJT指導者研修で解決したいOJTの課題
    1. 2.1.OJTのばらつきが発生すること
    2. 2.2.OJT指導者への負担が増えること
    3. 2.3.OJTという名の放置状態が発生すること
  3. 3.OJT指導者研修で身に付く、効果的な新人育成の基本
    1. 3.1.OJT指導者に求められる明確な役割と責任
    2. 3.2.研修で習得する3つの実践的指導スキル
    3. 3.3.指導経験を通じた指導者自身の成長機会
  4. 4.適切なOJT指導者の選定と研修のポイント
    1. 4.1.OJT指導者に最適な人材の、具体的な選定基準
    2. 4.2.OJT指導者として注意すべき特性と傾向
    3. 4.3.OJT指導者研修における、組織的なサポート体制の構築
  5. 5.実践で生かせるOJT指導者研修の5ステップ
    1. 5.1.STEP1.指導者としての意識改革と準備
    2. 5.2.STEP2.新人の特性を生かした育成計画作成
    3. 5.3.STEP3.実践的な指導スキルの習得と活用
    4. 5.4.STEP4.成長を加速するフィードバックの実践
    5. 5.5.STEP5.振り返りと改善による指導力向上
  6. 6.OJT指導者研修で扱うべきテーマ(コンテント) 
    1. 6.1.何を教えるかを整理する
    2. 6.2.育成のスケジュール感を検討する
    3. 6.3.役割分担してOJTコンテンツを作成する
  7. 7.OJT指導者研修で扱うべきテーマ(プロセス) 
    1. 7.1.業務の手順を分かりやすく説明するスキル
    2. 7.2.相手に合わせてフィードバックを行うスキル
    3. 7.3.新人のモチベーションを高めるスキル
  8. 8.OJT指導者研修以外の支援の仕組み
    1. 8.1.上司・OJT指導者・新人の合同研修の実施
    2. 8.2.OJT計画書などのツールの整備
    3. 8.3.オンライン学習環境の整備
    4. 8.4.新人同士の学び合いの場づくり
    5. 8.5.指導者同士の学び合いの場づくり
  9. 9.OJT環境を整備しOJTの課題を解決した支援事例
    1. 9.1.課題・背景 
    2. 9.2.取り組みの詳細 
    3. 9.3.取り組み後の成果 
  10. 10.まとめ:効果的なOJT指導者研修で実現する理想的な人材育成

OJT指導者研修でOJTの課題を解決できる


多くの企業でOJTを実施する際にさまざまな課題に直面しています。

指導者によって教え方にばらつきがある、指導者の負担が大きい、新人が放置されてしまうなどの問題が発生しがちです。

OJT指導者研修はこれらの課題を解決するための効果的なアプローチとなります。OJT指導者研修を通じて指導者のスキルを向上させることで、OJTの質と効率を大幅に改善することができます。 

OJT指導者の足並みをそろえる

OJT指導者研修の最も重要な役割の1つは、指導者間での教え方や評価基準のばらつきを解消することです。

研修を通じて会社や部署として求める人材像や育成目標を共有し、指導の方向性を統一することができます。また、指導の基本的なプロセスやフィードバックの方法についても標準化することで、指導者が変わっても一貫した指導を受けられる環境を整えることができます。

これにより、新人は混乱することなく、効率的に必要なスキルを習得できるようになります。 

OJTに必要なスキルを身に付ける

効果的なOJTを行うためには、業務知識だけでなく「教える」というスキルが不可欠です。

OJT指導者研修では、分かりやすく業務を説明するスキル、適切なタイミングで的確なフィードバックを行うスキル、新人のモチベーションを維持・向上させるスキルなど、指導に必要なさまざまなスキルを体系的に学ぶことができます。

これらのスキルは通常の業務経験だけでは身に付きにくいものであり、研修を通じて意識的に習得することが重要です。

指導者がこれらのスキルを身に付けることで、新人の成長スピードと定着率の向上につながります。

OJT指導者にOJTコンテンツをつくってもらう

OJT指導者研修の中で、実際のOJTで使用する動画コンテンツ、理解度クイズなどの教材を指導者自身に作成してもらうことも有効です。

現場のリアルな状況を反映した実践的なコンテンツを開発することで、より効果的なOJTの実施が可能になります。

また、コンテンツを作成する過程で指導者自身が業務を体系的に整理し直すことができ、自らの理解も深まります。

さらに、複数の指導者が協力してコンテンツを作成することで、部署内での知識やノウハウの共有が促進され、組織全体の底上げにもつながります。 

▼OJTのマニュアルについては下記で詳しく解説しています。 
⇒デジタル時代のOJTマニュアルとは?社員教育のポイントを紹介!

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OJT指導者研修で解決したいOJTの課題


OJTは実践的な人材育成手法として多くの企業で活用されていますが、効果的に実施するためにはさまざまな課題を克服する必要があります。

ここでは、OJT指導者研修によって解決すべき主な課題について詳しく見ていきましょう。これらの課題を正しく認識し、対策を講じることがOJT成功の鍵となります。

OJTのばらつきが発生すること

OJTを実施する上で最も一般的な課題が、OJT指導者によって指導内容や方法にばらつきが生じることです。

同じ部署でも、OJT指導者によって教える内容や順序、重視するポイントが異なると、新人の習得スキルや成長度合いに大きな差が生まれてしまいます。

例えば、あるOJT指導者は基本的な業務手順を重視する一方で、別のOJT指導者は臨機応変な対応力や柔軟性に重点を置くといった違いが生じます。また、評価基準が統一されていないことで、新人が混乱したり、不公平感を抱いたりするケースも少なくありません。

このようなばらつきは、組織として一貫した人材育成を困難にし、結果的に新人の成長を妨げる要因となります。 

OJT指導者への負担が増えること

OJT指導者は通常、自分の業務を行いながら新人の指導も担当することになるため、業務負担が大幅に増加します。

指導のためのカリキュラム作成や教材準備、日々の指導と進捗管理、さらには新人の質問や相談への対応など、多くの時間と労力が必要となります。その結果、OJT指導者自身の業務パフォーマンスが低下したり、長時間労働を強いられたりするケースも少なくありません。 

また、指導方法に自信がなく精神的な負担を感じるOJT指導者も多く、「OJT指導者になりたくない」という意識が広がってしまう組織もあります。

このような負担は、OJTの質の低下や継続性の問題につながる重大な課題です。 

OJTという名の放置状態が発生すること

最も深刻な課題の1つが、OJTと呼びながらも実質的に新人が放置される状態です。

OJT指導者の業務過多や指導スキルの不足、あるいは指導に対する意識の低さなどから、「見て覚えてください」と言うだけで体系的な指導がなされないケースがあります。

また、OJTの計画や進捗管理が不十分なため、新人が何をどこまで学ぶべきかが不明確となり、成長が停滞してしまうこともあります。

こうした放置状態は新人のモチベーション低下や早期離職の原因となるだけでなく、業務の質にも悪影響を及ぼします。

さらに、不十分な指導によって新人がミスを繰り返すと、それが顧客満足度の低下や業績悪化につながる恐れもあります。 

【補足】OJT指導者への研修が行われていないことも課題の1つ


株式会社LDcubeでは2023年10月に「ポスト・コロナのOJTの実態」についてのアンケート調査(有効回答数235件)を行いました。 
 
その中で、「貴社では、OJT担当者研修は実施していますか? 最も当てはまるものをお選びください」として、OJT指導者研修の実施状況について聞いています。 

37%の組織においては「社内講師で実施している」と答えています。「外部講師で実施している」と回答した組織は9%でした。そして、「実施していない」という回答が45%と最も多い回答となりました。 



OJTを効果的に機能させるためには、OJT指導者研修を実施し、OJT指導者に期待する役割やスキルを教えることが不可欠です。OJT指導者研修を実施していない場合は、実施することをおすすめします。 

▼OJTの課題については下記で詳しく解説しています。 
⇒「OJTのばらつき課題」とは?真因と改善する具体策を解説!

  「OJTのばらつき課題」とは?真因と改善する具体策を解説! OJTの課題はばらつきが生じてしまうことです。ここで重要なのは、「ばらつきがあること」で思考を止めるのではなく、ばらつきを生んでいる真因を探求することです。本記事では、なぜOJTに“ばらつき”が生じるのか、効果的な解決策やポイントについて掘り下げて解説します。 株式会社LDcube


OJT指導者研修で身に付く、効果的な新人育成の基本


OJT指導者研修を通じて、新人育成に必要な基本的な考え方やスキルを体系的に学ぶことができます。

単に業務知識を伝えるだけでなく、新人の成長を効果的に支援するためのさまざまなノウハウを習得することで、OJTの質を高めることができます。

ここでは、OJT指導者研修で身に付く新人育成の基本について解説します。

OJT指導者に求められる明確な役割と責任

OJT指導者研修では、まず指導者としての役割と責任について理解を深めます。OJT指導者は単なる業務の「教え役」ではなく、新人の「成長のサポーター」としての役割を担います。具体的には、以下のような役割と責任について学びます。

  • 業務知識・スキルの伝達者:
    基本的な業務の手順や知識を分かりやすく伝える 

  • 成長の伴走者:
    日々の業務を通じて新人の成長を継続的に支援する 

  • メンター:
    新人が職場に適応し、組織の一員として活躍できるよう精神的にもサポートする 

  • 評価者:
    新人の成長度合いを適切に評価し、フィードバックを提供する 

  • ロールモデル:
    業務への取り組み方や社内コミュニケーションの模範を示す

こうした役割を理解することで、指導者は自分の立ち位置を明確にし、意識的に行動することができるようになります。

また、自分だけで全てを抱え込むのではなく、上司や人事部門と連携しながら新人育成を進める視点も身に付きます。 

研修で習得する3つの実践的指導スキル

OJT指導者研修では、効果的な新人育成に必要な実践的なスキルを習得します。

特に重要なのは以下の3つのスキルです。 

  • 教え方のスキル 
  • 観察・評価のスキル 
  • フィードバックのスキル 


「教え方のスキル」とは、業務内容を体系的に整理し、新人の理解度や習熟度に合わせて段階的に教えるスキルです。単に「やって見せる」だけでなく、「なぜそうするのか」という理由や背景も含めて説明することで、新人の理解を深めることができます。 

「観察・評価のスキル」は、新人の業務の取り組みを適切に観察し、成長度合いを客観的に評価するスキルです。新人の強みや弱みを的確に把握し、個々の特性に合わせた指導を行うための基盤となります。 

「フィードバックのスキル」では、新人の成長を促すための効果的なフィードバック方法を学びます。良い点をしっかり認めながら、改善点を具体的かつ建設的に伝えることで、新人のモチベーションを維持しつつ成長を促すことができます。 

これらのスキルはロールプレイングや事例検討などを通じて実践的に習得していきます。 

指導経験を通じた指導者自身の成長機会

OJT指導者研修では、指導者自身の成長という視点も重視されます。新人に教えることは、指導者にとっても大きな学びの機会になるという考え方です。

例えば、業務を教えるためには自分自身がその業務についてより深く理解する必要があり、これが指導者自身の業務理解を深めることにつながります。また、新人の素朴な質問が、これまで当たり前と思っていた業務のやり方を見直すきっかけになることもあります。 

さらに、人を育てるという経験は、将来的な管理職としてのスキル開発にもつながります。部下のモチベーション管理や能力開発、評価といったマネジメントスキルの基礎を身に付ける機会となるのです。

OJT指導者研修では、こうした「教えることで学ぶ」という視点も重要なテーマとして扱われます。 

▼OJTの進め方については下記で詳しく解説しています。 
⇒OJT効果を最大化する進め方とは? 後輩育成のポイントを紹介

  OJT効果を最大化する進め方とは? 後輩育成のポイントを紹介 本記事ではOJT計画書の作成から、教育目標の設定、時間割作成、OJT担当者やリーダー、メンターの役割、そして評価方法の決定まで詳細に解説します。またデジタル時代に合わせた進め方、デジタルネイティブ世代についての情報にも触れ、現場で役立つ指導方法についても紹介しています。 株式会社LDcube


適切なOJT指導者の選定と研修のポイント


OJTの成功には、適切な指導者の選定と効果的な研修が不可欠です。

ここでは、OJT指導者に最適な人材の特徴や選定基準、注意すべき点、そして指導者を支えるための組織的なサポート体制について解説します。

適切なOJT指導者の選定と充実した研修環境を整えることで、OJTの効果を最大化することができます。 

OJT指導者に最適な人材の、具体的な選定基準

OJT指導者の選定は、新人育成の成否を左右する重要な要素です。

最適な指導者を選ぶための具体的な基準としては、次のようなポイントが挙げられます。

  • 業務知識・スキルの習熟度 
  • コミュニケーション能力 
  • 忍耐力と共感力 
  • 指導意欲 

「業務知識・スキルの習熟度」、対象業務について十分な知識とスキルを持ち、1人で問題なく業務を遂行できることが基本条件です。ただし、必ずしもトップパフォーマーである必要はなく、基本をしっかり理解している人材が適しています。 

「コミュニケーション能力」は、新人に分かりやすく説明し、適切なフィードバックを行うために重要です。特に、相手の理解度に合わせて説明の仕方を調整できる柔軟性が求められます。 

「忍耐力と共感力」は、新人の成長には時間がかかり、同じことを何度も教えることも少なくありません。そのため、忍耐強く指導を続けられることと、新人の気持ちに共感できる姿勢が重要です。 

「指導意欲」は最も重要な要素で、人を育てることへの意欲や関心が必須です。指導に対してポジティブな姿勢を持ち、新人の成長を自分の喜びとして感じられる人材が理想的です。 

これらの条件を全て満たす人材を見つけることは容易ではありませんが、特に「指導意欲」を重視して選定することが推奨されます。 

OJT指導者として注意すべき特性と傾向

OJT指導者が以下のような傾向や状況にある場合は、OJT指導者として適していない可能性があります。 

  • 完璧主義的な傾向 
  • 自己流を押し付ける傾向 
  • 多忙すぎる状況 

「完璧主義的な傾向」については、高い基準を求めすぎるあまり、新人に過度なプレッシャーをかけてしまう傾向がある人は注意が必要です。新人は学習過程にあり、失敗や試行錯誤が成長には不可欠であることを理解できる柔軟性が重要です。 

「自己流を押し付ける傾向」がある場合、「自分のやり方が最善」と考え、一方的に自分のやり方を押し付けてしまいます。新人の特性や学習スタイルに合わせた指導ができる柔軟性が必要です。 

「多忙すぎる状況」も問題です。どれだけ優れた指導者の素質があっても、自身の業務で手一杯の状態では効果的な指導はできません。指導に必要な時間と余裕を確保できる人を選ぶことが重要です。 

これらの特性が見られる場合でも、適切な研修と支援によって改善できる可能性はあります。しかし、選定段階ではこうした点にも注意を払うことが大切です。 

OJT指導者研修における、組織的なサポート体制の構築

OJT指導者が効果的に役割を果たすためには、組織全体でのサポート体制の構築が不可欠です。

以下のようなサポート体制を整えることで、指導者の負担を軽減し、OJTの質を高めることができます。 

  • 上司・管理職のサポート 
  • 指導者同士のネットワーク 
  • 人事部門による継続的支援 

「上司・管理職のサポート」については、指導者の上司や管理職が定期的に指導状況を確認し、必要なアドバイスや支援を提供することが重要です。特に指導者の業務負担の調整や、指導上の悩みの相談に乗るなどの支援が効果的です。 

「指導者同士のネットワーク」とは、複数の指導者が経験や課題を共有し、互いに学び合う場を設けることで、孤立感を防ぎ、指導スキルの向上を促進できます。定期的な意見交換会やオンラインコミュニティーの活用などが有効です。 

「人事部門による継続的支援」では、研修後も人事部門が定期的にフォローアップを行い、指導上の課題解決をサポートすることが重要です。また、必要に応じて外部専門家によるコーチングやメンタリングを提供するのも効果的です。 

このような組織的なサポート体制を構築することで、指導者が安心して役割を遂行でき、結果としてOJTの質と効果を高めることができます。 

▼OJTには上司の関わりが重要です。下記で詳しく解説しています。 
⇒OJTを成功に導く上司の役割とは?重要性とすぐ使える実践ポイントを解説!

  OJTを成功に導く上司の役割とは?重要性とすぐ使える実践ポイントを解説! OJTでは上司の効果的な関わりや指導が極めて重要です。本記事では新入社員やOJT担当者と関わる方法やポイントから評価基準、上司が行うべき実践的なマネジメント手法など、OJTに必要な役割を徹底解説します。 株式会社LDcube


実践で生かせるOJT指導者研修の5ステップ


効果的なOJT指導者研修を実施するためには、段階的なアプローチが重要です。

ここでは、実際の研修で活用できる5つのステップを具体的に解説します。

これらのステップに沿って指導者を育成することで、OJTの質と効果を大幅に向上させることができます。

STEP1.指導者としての意識改革と準備

OJT指導者研修の第一歩は、指導者としての意識改革と心構えの形成です。多くの社員は「教える」という経験が少なく、指導者としての役割に不安を感じています。そのため、まずは指導者としての基本的な考え方や心構えを理解することが重要です。 

研修では、自身の経験を振り返りながら、良い指導者の特徴や自分が目指すべき指導者像について考えます。また、OJTの目的や意義を再確認し、組織における指導者の役割と責任について理解を深めます。

さらに、OJTを通して指導者自身も成長できることを認識し、ポジティブな意識で取り組めるよう働きかけます。

▼OJTの心構えについては下記で詳しく解説しています。
⇒OJTの成否は「心構え」で決まる!指導のポイントや上司の効果的な役割とは?

  OJTの成否は「心構え」で決まる!指導のポイントや上司の効果的な役割とは? OJTをどのようにしたらよいのか分からないトレーナーは少なくありません。本記事では、OJTを成功させるために必要な心構えについて、さまざまな角度から解説します。指導のポイント、育成環境の作り方、効果的なフィードバック方法、上司の役割まで詳しく紹介します。 株式会社LDcube


STEP2.新人の特性を生かした育成計画作成

次のステップでは、具体的な育成計画の作成方法を学びます

まず、新人の育成目標を明確に設定することの重要性を理解します。単に「業務ができるようになる」という漠然とした目標ではなく、具体的かつ測定可能な目標を設定することが大切です。 

さらに、新人一人一人の特性(学習スタイル、強み・弱み、経験など)を考慮した、個別の育成計画の立て方を学びます。研修では、モデルケースを用いた育成計画の作成演習を行い、実際のOJTで使用できるテンプレートやツールの使い方も習得します。

こうした計画的なアプローチにより、効率的かつ効果的な育成が可能になります。 

▼OJT計画については下記で詳しく解説しています。
⇒OJT計画とは?テンプレートや効果的なプランの立て方・注意点

  OJT計画とは?テンプレート例や効果的なプランの立て方・注意点 組織も少なくありません。また、OJTプランの作成方法に悩む企業は少なくありません。本記事では、基本から、効果的なプラン作成方法、ポイント、注意点までを詳しく解説します。 株式会社LDcube


STEP3.実践的な指導スキルの習得と活用

このステップでは、具体的な指導方法やテクニックを習得します。効果的な指導の基本として「Show(見せる)→Tell(説明する)→Do(やらせてみる)→Check(確認する)」という4段階指導法を学び、それぞれのステップでの具体的なポイントを理解します。 

また、新人の理解度や習熟度に合わせた指導のペース配分や、分かりやすい説明の仕方についても実践的に学びます。研修では、ロールプレイングを通じて実際の指導場面を想定した練習を行い、指導スキルを体験的に身に付けていきます。

さらに、オンラインツールを活用した遠隔指導の方法など、多様な指導スタイルについても触れます。 

▼OJTのやり方については下記で詳しく解説しています。 
⇒OJTの正しいやり方とは?即戦力を育てる7ステップを徹底解説!

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STEP4.成長を加速するフィードバックの実践

成長を促進するための効果的なフィードバック方法について学ぶのが第4ステップです。

適切なフィードバックは新人の成長を大きく加速させる重要な要素です。まず、フィードバックの基本原則(具体性、タイミング、バランスなど)について理解します。 

特に、ポジティブな面を認めつつ改善点を具体的に伝え、再度ポジティブな面に触れる「サンドイッチ法」などの技法を習得します。また、新人の受け止め方に配慮した伝え方や、フィードバックを成長機会として生かすための対話の進め方についても学びます。

研修では、実際の事例を用いたフィードバック演習を行い、実践的なスキルを身に付けます。 

STEP5.振り返りと改善による指導力向上

最後のステップでは、OJTの効果を高めるための振り返りと改善の方法を学びます

指導者自身が自らの指導を振り返り、改善していくことが、継続的な指導力向上には不可欠です。

具体的には、OJTの進捗や効果を測定する方法、定期的な振り返りミーティングの進め方、新人の成長に合わせた指導計画の調整方法などを習得します。 

また、指導中に直面する可能性のある課題(モチベーション低下、習得の遅れなど)への対応策についても学びます。さらに、他の指導者との情報共有や相互学習の重要性を理解し、組織全体でのOJTの質向上に取り組む視点も養います。

研修の締めくくりとして、指導者としての成長目標を設定し、継続的な学習を促します。 

OJT指導者研修で扱うべきテーマ(コンテント) 


OJT指導者研修を設計する際には、「何を教えるか」というコンテント面の整理が重要です。

効果的なOJTを実施するためには、体系的な教育内容の準備が不可欠であり、指導者がこれらのコンテンツを適切に準備・活用できるようにする必要があります。

ここでは、OJT指導者研修で扱うべきコンテンツ関連のテーマについて解説します。 

何を教えるかを整理する

OJT指導者研修では、まず「何を教えるか」を体系的に整理する方法を学ぶことが重要です。

多くの場合、ベテラン社員は業務知識を暗黙知として持っているため、それを明示的に整理し、教えやすい形に構造化する必要があります。

研修では、以下のような方法で業務内容を整理します。 

  • 業務の棚卸し 
  • 難易度と優先順位の設定 
  • チェックリストの作成 

「業務の棚卸し」では、担当する業務全体を洗い出し、新人が習得すべき知識やスキルを明確にします。業務フローに沿って必要なタスクを洗い出し、それぞれに必要な知識・スキルをリスト化します。 

「難易度と優先順位の設定」では、洗い出した業務内容について、難易度(基本~応用)と習得の優先順位を設定します。これにより、新人の成長に合わせた段階的な指導が可能になります。 

「チェックリストの作成」では、新人の習得状況を確認するためのチェックリストを作成します。具体的な評価基準を設けることで、客観的な進捗管理ができるようになります。 

研修では、これらの整理方法についてワークショップ形式で学び、実際に自部署の業務内容を整理する演習を行います。整理された内容は、その後のOJTの基礎資料として活用されます。 

▼OJTチェックリストについては下記で詳しく解説しています。 
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育成のスケジュール感を検討する

効果的なOJTを行うためには、適切な育成スケジュールの設計が重要です。

OJT指導者研修では、以下のようなスケジュール設計のポイントを学びます。

  • 段階的な成長モデルの理解 
  • 時間軸の設定 
  • マイルストーンの設定 

「段階的な成長モデルの理解」では、新人が「見て学ぶ→補助的なことをやってみる→実際にやってみる→応用力を磨く」といった段階を経て成長していくプロセスを理解し、各段階に応じた指導内容や方法を検討します。 

「時間軸の設定」では、短期(1週間〜1カ月)、中期(3カ月〜半年)、長期(1年)といった時間軸で育成目標を設定し、それぞれの期間でどこまで習得させるかの目安を立てます。 

「マイルストーンの設定」では、育成期間中に達成すべき具体的なマイルストーン(中間目標)を設定し、進捗を確認できるようにします。 

研修では、自部署に適した育成スケジュールを作成します。また、個人差を考慮した柔軟なスケジュール調整の考え方についても学びます。 

▼OJTの期間については下記で詳しく解説しています。 
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役割分担してOJTコンテンツを作成する

OJTのコンテンツ作成は、指導者1人の負担にするのではなく、チームや部署全体で分担して取り組むことが効果的です。

OJT指導者研修では、以下のような役割分担とコンテンツ作成の方法を学びます。

  • コンテンツ作成の役割分担 
  • コンテンツの種類と作成方法 
  • デジタルツールの活用 

「コンテンツ作成の役割分担」では、業務内容ごとに詳しい人が担当して、マニュアルや教材を作成する方法を学びます。複数の指導者がいる場合は、得意分野に応じた分担も効果的です。 

「コンテンツの種類と作成方法」では、基本マニュアル、チェックリスト、FAQ、事例集、練習問題など、さまざまな教材の作り方と活用方法について学びます。特に、「なぜそうするのか」といった背景知識も含めた教材作りの重要性を理解します。 

「デジタルツールの活用」では、動画教材、eラーニング、チャットツールなど、デジタルツールを活用したコンテンツ作成・共有方法についても学びます。 

研修では、実際にグループワークでサンプルのOJTコンテンツを作成する演習を行い、効果的な教材作りのコツを体験的に学びます。また、作成したコンテンツを定期的に更新・改善していく仕組みづくりについても触れます。 

OJT指導者研修で扱うべきテーマ(プロセス) 


OJT指導者研修では、「何を教えるか(コンテント)」だけでなく、「どのように教えるか(プロセス)」についても重点的に学ぶ必要があります。

効果的な指導プロセスを習得することで、新人の学習効率と定着率を大きく向上させることができます。

ここでは、OJT指導者研修で扱うべき指導プロセスに関する重要なテーマについて解説します。 

業務の手順を分かりやすく説明するスキル

業務の手順やポイントを分かりやすく説明することは、OJT指導者にとって最も基本的かつ重要なスキルです。多くのベテラン社員は業務を無意識に行っているため、それを言語化して説明することに苦労します。OJT指導者研修では、以下のような説明スキルの向上を図ります。 

まず、「見せる→説明する→やらせてみる→確認する」という4ステップメソッドの基本を学びます。特に重要なのは、単に「やり方」だけでなく「なぜそうするのか」という理由や背景も含めて説明することです。これにより、新人は単なる作業手順の暗記ではなく、業務の本質を理解することができます。 

また、専門用語や社内用語を適切に解説する方法や、抽象的な概念については具体例を用いて分かりやすく伝えるスキルも習得します。さらに、図解や比喩を効果的に使うことで、複雑な業務プロセスでも理解しやすく伝える方法を学びます。

研修では、実際の業務内容を用いたロールプレイングを通じて、これらのスキルを実践的に磨いていきます。 

相手に合わせてフィードバックを行うスキル

効果的なフィードバックは新人の成長を加速させる重要な要素です。OJT指導者研修では、新人の特性や状況に応じた適切なフィードバック方法を学びます。

特に重要なのは、ポジティブフィードバック(良かった点の指摘)とネガティブフィードバック(改善点の指摘)のバランスです。 

具体的には、「サンドイッチ法」などのフィードバック技法や、行動に焦点を当てたフィードバックの仕方を習得します。また、新人の行動スタイルに合わせたフィードバックの調整方法も学びます。

例えば、自己肯定感が低い新人には成功体験を重視したフィードバックが効果的である一方、向上心の強い新人には次の成長につながる建設的な提案が有効です。 

さらに、フィードバックのタイミングや頻度についても学びます。即時フィードバックと定期的なレビューの使い分け、日々の小さなフィードバックと週次・月次の総括的なフィードバックの組み合わせなど、状況に応じた最適なアプローチを理解します。

研修では、さまざまなケーススタディーを用いて、適切なフィードバックの仕方を実践的に学んでいきます。 

新人のモチベーションを高めるスキル

新人の学習意欲とモチベーションを維持・向上させることは、OJTの成功に直結します。OJT指導者研修では、新人のモチベーション管理に関する以下のようなスキルを習得します。 

まず、内発的動機づけの重要性と、それを促進する方法について学びます。単に「やるべきだから」という外発的動機づけだけでなく、仕事の意義や成長の実感から生まれる内発的な動機づけを引き出すアプローチを理解します。具体的には、業務の社会的意義や顧客への価値を伝える方法、小さな成功体験を積み重ねる機会の作り方などを習得します。 

また、新人が陥りがちなモチベーション低下のサインを早期に察知し、適切に対応する方法も学びます。例えば、質問が減る、表情が暗くなる、報告が遅れるなどの変化に気づいたら、原因を探り、適切なサポートを提供することが重要です。 

さらに、新人の自主性を尊重しながらも適切な指導を行うバランス感覚や、新人の成長に合わせて徐々に権限委譲していく方法についても学びます。

このようなモチベーション管理のスキルは、新人の定着率向上にも大きく貢献します。

▼OJTガチャによる悲運を防ぐポイントについては下記で詳しく解説しています。
⇒OJTガチャの不運・悲劇を防ぐ処方箋3選!効果的な対策について解説!

  OJTガチャの不運・悲劇を防ぐ処方箋3選!効果的な対策について解説! OJTは、新入社員や若手社員のスキル向上に欠かせない教育手法ですが、「OJTガチャ」という言葉が示すように、品質がトレーナーに大きく依存するため、効果にばらつきが生じることがあります。このばらつきは、トレーナーの経験や指導力の違いによって生まれます。本記事では不運を防ぐための処方箋を3つを具体的に紹介します。 株式会社LDcube


OJT指導者研修以外の支援の仕組み


OJT指導者研修は新人育成の質を高める重要な要素ですが、それだけでは効果的なOJTを実現することは難しいでしょう。

研修と併せて、さまざまな支援の仕組みを整えることで、OJTの効果を最大限に引き出すことができます。

ここでは、OJT指導者研修以外に整備すべき支援の仕組みについて解説します。

上司・OJT指導者・新人の合同研修の実施

OJTの成功には、上司・OJT指導者・新人の3者が同じ認識と目標を共有することが重要です。そのため、3者合同での研修を実施することが効果的です。この合同研修では、それぞれの役割と責任を明確にし、OJTの進め方について共通理解を形成します。 

上司はOJT指導者の業務負担に配慮し、適切なサポートを提供する役割があることを理解します。OJT指導者は新人育成の具体的な方法や進め方について学びます。新人は自身に期待されることや、主体的に学ぶ姿勢の重要性を認識します。 

3者が一堂に会することで、OJTの目標設定やスケジュールについて共に検討でき、それぞれの立場からの意見や懸念事項を共有することができます。また、定期的な3者面談の設定など、フォローアップの仕組みについても合意形成ができるため、OJTのミスマッチを防ぐことができます。

OJT計画書などのツールの整備

効果的なOJTを実施するためには、適切なツールを整備することが重要です。特に「OJT計画書」は、指導内容と進捗を可視化する重要なツールです。

OJT計画書には、以下のような要素を含めるとよいでしょう。

  • 習得すべき業務知識・スキルのリスト(業務の棚卸し) 
  • 習得レベル(「見て学ぶ→補助的なことをやってみる→実際にやってみる→応用力を磨く)ごとの目標設定 
  • 週次・月次の具体的な学習計画 
  • 達成度の評価基準とチェックポイント 
  • 定期的な振り返り面談の日程 

こうした計画書は、新人が自分の成長過程を確認できるだけでなく、OJT指導者が計画的に指導を進める助けにもなります。また、上司や人事部門も進捗状況を把握できるため、適切なタイミングでサポートを提供することが可能になります。 

さらに、業務マニュアルやよくある質問集(FAQ)、ケーススタディ集など、指導をサポートする教材も充実させておくと、より効率的なOJTが実現できます。 

オンライン学習環境の整備

近年は、対面でのOJTとオンライン学習を組み合わせた「ブレンド型学習」が効果的とされています。基本的な知識やルールはオンライン学習で習得し、実践的なスキルや応用力はOJTで身に付けるというアプローチです。 

オンライン学習プラットフォームを整備することで、新人は自分のペースで基礎知識を学ぶことができ、指導者は応用的な内容や実践スキルの指導に時間を集中できるようになります。また、オンデマンドの動画教材は、繰り返し視聴して理解を深めることができるため、学習効率の向上にもつながります。 

さらに、リモートワークが増加している現代では、オンラインでのコミュニケーションや指導の仕組みも重要です。オンライン会議ツールやチャットツール、画面共有機能などを活用した遠隔指導の方法についても、指導者と新人の両方が習熟しておくことが大切です。 

新人同士の学び合いの場づくり

新人同士が経験や疑問を共有し、学び合う「ピア・ラーニング」の場を設けることも効果的です。同じ立場の仲間との交流は、新人のモチベーション維持や不安解消に大きく貢献します。 

具体的には、週に1度の新人ミーティングや、オンラインのコミュニティースペースなどを設けることが考えられます。こうした場では、業務上の疑問を気軽に相談したり、自分が学んだコツを共有したり、時には失敗談を語り合ったりすることができます。 

また、複数の新人がいる場合は、互いに教え合う機会も設けるとよいでしょう。先に学んだスキルを共有することで、自分の理解も深まり、教えるスキルも身に付きます。

このような経験は、将来OJT指導者や管理職になるための良い準備にもなります。

指導者同士の学び合いの場づくり

OJT指導者も、孤立せずに互いにサポートし合える環境が必要です。OJT指導者同士が定期的に集まり、成功事例や課題を共有する「OJT指導者コミュニティー」を形成することで、指導の質を継続的に向上させることができます。 

具体的には、月に1度の指導者ミーティングや、オンラインの情報共有プラットフォームなどが考えられます。こうした場では、効果的だった指導法の共有や、難しいケースへの対応についての相談、OJT指導者としての悩みの共有などが行われます。 

また、ベテランOJT指導者と新任OJT指導者のメンタリング関係を構築することも有効です。OJT指導者を指導する「メンター」の存在は、指導スキルの継承と向上に大きく貢献します。

こうした重層的な支援体制によって、組織全体の指導力が高まっていきます。

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OJT環境を整備しOJTの課題を解決した支援事例


建設業でOJTのデジタル化を図り、効果的に技術伝承を推進したご支援事例を紹介します。 
社員数:100名以上 
事業:土木建築工事、建設工事の設計と監理 

課題・背景 

技術教育に十分な時間を割けない 
ベテラン社員が現場作業に追われ、若手社員の技術教育を十分にできていないという課題がありました。 
また、時間だけでなく、人員にも余裕がないため、本来教えるべき技術やノウハウが現場で伝達できていないという事態に陥っていました。 

OJT格差と離職率が上昇 
現場のOJTは主にベテラン社員が担当していましたが、人によって言うことが違う、厳しい口調の上司が多いなど、 OJT格差がありました。その結果、若手社員の離職率が高くなり、新入社員の採用に悪影響が出ました。 

取り組みの詳細 

全社プロジェクトの立ち上げ 
課題解決のため、人を介さず業務知識が学べるコンテンツの配信環境を構築するプロジェクトを立ち上げました。まずは各現場で「わが社の新人に必要な学習内容は何か」という観点で棚卸しを行いました。このプロジェクトの初期は、中堅社員をコンテンツ作成作業の中心に据えました。 

全社員アンケートを実施 
現場所長や各部署の社員を対象とした「現場に配属になった際に覚えてほしいこと」アンケートを実施しました。そこで集まった声を基にし、業務フローと照らし合わせながら、必要なコンテンツリストをブラッシュアップしました。 

コンテンツ作成のサポート体制を強化 
中堅社員の目線でコンテンツ作成を行った結果、自身が新入社員だった頃の感覚を忘れていることもあり、どのようなポイントを伝えれば新入社員にとって分かりやすいかという観点が抜けた内容になっていました。

また、コンテンツ一つ一つの情報量が多いことや、自身が普段当たり前のように行っている業務を、コンテンツに落とし込むことができないという課題が浮上しました。

そこで具体的な作業に関するコンテンツ作成を若手社員が担当するように切り替えました。

さらに、各部に配置したアシスタントによる動画撮影・編集のバックアップなど、コンテンツ作成サポートの強化を行いました。 

取り組み後の成果 

若手社員の知識習得レベルの底上げ 
若手社員が中心となり、自身が新入社員だった頃の目線を思い出しながらコンテンツ作成を行い、2年間で600個が完成しました。

これにより、初めて業務を覚える新入社員にとっても分かりやすく、必要な情報が十分にそろった学習環境を提供することができました。

また、マイクロラーニングの考え方に基づき、全ての動画コンテンツの長さを5分以内収めました。

これによって、隙間時間に効果的な学習をすることが可能になりました。その結果、新入社員の知識習得レベルの底上げにつながりました。 

OJT格差の是正とコミュニケーションの活性化 
コンテンツを活用した教育によって社員の学習の機会が標準化されたことで、OJT格差が縮小しました。

また、業務内容については新入社員と若手社員がベテラン社員に習い、現場で活用するスマートフォンやタブレットなどについては上司が新入社員と若手社員から学ぶという動きも出てくるようになりました。

この動きは、ベテラン社員と新入社員、若手社員のコミュニケーションの活性化にもつながっています。 

入社希望者の増加 
OJTのデジタル化を導入したことが、県内の入社希望者数の増加につながりました。新卒の採用説明会やメディアの取材において、OJTのデジタル化を図った取り組みを紹介し、企業の教育体制の優位性をアピールしました。

その結果、県内の学生が選ぶ建設業知名度ランキングで1位を獲得しました。そのおかげで、多くの学生から選ばれる企業となりました。 

まとめ:効果的なOJT指導者研修で実現する理想的な人材育成

OJT指導者研修とは?OJTの課題を解決する効果的な進め方と実践ポイントを解説!について紹介してきました。

  • OJT指導者研修でOJTの課題を解決できる 
  • OJT指導者研修で解決したいOJTの課題 
  • OJT指導者研修で身に付く、効果的な新人育成の基本 
  • 適切なOJT指導者の選定と研修のポイント 
  • 実践で生かせるOJT指導者研修の5ステップ 
  • OJT指導者研修で扱うべきテーマ(コンテント) 
  • OJT指導者研修で扱うべきテーマ(プロセス) 
  • OJT指導者研修以外の支援の仕組み 
  • OJT環境を整備しOJTの課題を解決した支援事例

本記事では、OJT指導者研修の目的や内容、実施方法について詳しく解説してきました。OJTは多くの企業で取り入れられている人材育成方法ですが、その効果を最大化するためには、OJT指導者自身の育成と支援が不可欠です。適切なOJT指導者研修を実施することで、単なる業務伝達に終わらない、真の成長を促す人材育成が実現できます。 

OJT指導者研修を通じて、OJT指導者は「教える」というスキルを体系的に学び、新人の成長をより効果的に支援できるようになります。業務の手順を分かりやすく伝える方法、適切なフィードバックの仕方、モチベーション管理のコツなど、指導に必要なさまざまなスキルを習得することで、OJTの質と効率が大きく向上します。 

また、OJT指導者研修はOJT指導者自身の成長機会でもあります。人を育てるスキルは、将来的なマネジメント能力の基礎となり、OJT指導者自身のキャリア発展にも貢献します。さらに、新人に教えることで、自分自身の業務の理解も深まるという相乗効果も期待できます。 

組織としては、OJT指導者研修に加えて、さまざまな支援の仕組みを整えることが重要です。OJT指導者と新人をつなぐツールの整備、オンライン学習環境の充実、OJT指導者同士の学び合いの促進など、総合的なサポート体制を構築することで、OJTの効果をさらに高めることができます。 

効果的なOJT指導者研修の実現は、一朝一夕にはいきません。しかし、継続的な改善と投資によって、次第に組織全体の育成力が向上していきます。「人が人を育てる」文化が根付いた組織では、社員一人一人の成長が組織全体の発展につながる好循環が生まれます。 

人材育成は企業の持続的成長の源泉です。OJT指導者研修を出発点として、組織全体の育成力を高め、社員と企業がともに成長し続ける組織づくりに取り組んでいきましょう。 

LDcubeでは、OJTのデジタル化支援のサービスやOJT指導者研修、OJT指導者研修の内製化支援サービスを提供しています。無料のプログラム体験会やプラットフォームのデモ体験会なども行っています。お気軽にお声がけください。 
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企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
株式会社ビジネスコンサルタントで、講師派遣型の人材育成支援から始まり、社内トレーナーの養成による人材育成支援、デジタルツールを活用した人材育成のDX化の支援まで、中小企業から大企業まで20年にわたり幅広いコンサルティングに従事。 新入社員研修からOJTリーダー研修、若手社員研修、管理職研修、幹部研修、営業研修、デジタル学習環境づくりのコンサルテーションなどに自らもコンサルタントとして登壇しながらも、人材育成・組織活性化・営業強化において講師派遣型の枠を超えた支援を実現するため、ビジネスコンサルタントの子会社である株式会社LDcubeの設立と同時に代表取締役に就任。 資格: ・全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC2023002) ・LIFOプログラムライセンス(LIFO-MSSプログラム開発者)

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