
営業研修のDX 効果的なカリキュラムとは?ポイントを解説
コロナ禍を経て集合研修で行っていた営業研修の内容・カリキュラムをオンラインに置き換えて実施するということが増えました。置き換えるだけでは効果が高まるどころか、かえって効果を低下させてしまうケースもあります。
今回は営業研修のDXも見据え、現在の学習トレンドを踏まえながら効果的にスキルを身につけるためのポイントやカリキュラムを組み立てる上での注意点などをご紹介します。
▼ 営業研修のDX全体像についてはこちらをご覧ください
▼ 詳細資料はこちら!前編・後編合わせて70ページで徹底解説
目次[非表示]
- 1.集合研修が好ましい内容やメリット・デメリット
- 2.オンライン研修のメリット・デメリット
- 3.カリキュラムではインプットとアウトプットのバランスを考慮する
- 4.営業研修を成功に導くカリキュラムのポイント
- 4.1.ライブの講義ではなく動画を活用し見せながら研修進行する
- 4.2.双方向性によりリアルタイムで理解度を確認しながら進める
- 4.3.動画課題提出などアウトプットを意識した学習設計
- 4.4.課題に対しての個別の関わりを増やし、できるようになることを支援
- 4.5.受講者同士で意見投稿、相互コメントで学びあう環境づくり
- 4.6.マイクロラーニングにより復習・確認がしやすい
- 4.7.学習行動のデータ蓄積により学習状況が追える
- 5.社内講師養成を行う
- 6.効果的な学習の実現に向け、プラットフォームを活用する
- 7.まとめ
集合研修が好ましい内容やメリット・デメリット
企業で業績のカギを握るのは営業パーソンの育成度合いによるところも大きいです。そのため企業内ではさまざまな営業研修が行われています。従来は集合研修スタイルで実施されることがほとんどでした。
まずは集合研修スタイルのメリットとデメリットについて紹介します。
集合研修のメリット
- 場の空気感による規範づくりができる
- 実技習得がしやすい
- 一体感が醸成しやすい
集合研修デメリット
- 集合するためにコストがかかる(移動時間・交通費など)
- 効果を高めることよりもコストを重視せざるを得ない
集合研修にはメリットもたくさんありますが、デメリットが研修の効果性を高める際に大きなネックとなります。学ぶことを集中的に行っている「学校」の場合にはこのデメリットがなく学習の効果を高めるためのカリキュラム構成ができますが、企業内人材育成においては、仕事をしながらの学びとなるため、このデメリットの影響が避けられませんでした。
オンライン研修のメリット・デメリット
特にコロナ禍をきっかけにこれまで集合研修で実施していた営業研修をオンライン研修に切り替えた企業も多いです。ただ、従来集合研修で行っていた内容をそのままオンラインで再現しようとして置き換えようとすると効果が高まるどころか、かえって効果を低下させてしまうケースもあります。
オンライン研修のメリット・デメリットを紹介します。
オンライン研修のメリット
- アダプティブ・ラーニング(個別適応学習)が実現できる
- 繰り返し学習ができる
- 場所(や時間)の制約がなくなる
オンライン研修のデメリット
- その場の空気間などが醸成しづらい
- 懇親会などの副次的な要素のリアリティーが薄くなる
研修の効果性を考えた際、オンライン研修のメリットがもたらす貢献は大きいものがあります。特に場所や時間の制約がなくなることで学びの効果性を高めることが可能となります。デメリットについては別途機会を設けることで補っていくことも検討すると良いでしょう。
営業研修の場合、現場の営業活動にできる限り支障がないように進めることを踏まえると、オンライン研修としてカリキュラム構成していくことが効果の高い研修運営を行っていくことにつながります。逆にオンラインでの実施のメリットが多い内容を集合研修スタイルで実施しようとするとコストアップにつながってしまうか、効果を低下させてしまうことにつながりやすいので注意が必要です。
本記事ではオンライン研修をベースにしたカリキュラム構成のポイントをご案内していきます。
カリキュラムではインプットとアウトプットのバランスを考慮する
研修実施にあたってカリキュラム構築上重要となるのが、インプットとアウトプットのバランスです。新たな情報を得るためのインプットももちろん重要です。しかしながらそれ以上にアウトプットを意識したカリキュラム構成がポイントです。それは営業研修の目的が研修受講後現場でのアウトプット(売上など)を求めているからです。
現場で成果につながるための行動ができるようになるためには研修中から練習をしておく必要があります。特にオンライン研修での実施の場合、インプット比重が高くなりがちなので、注意しましょう。
営業研修を成功に導くカリキュラムのポイント
ラーニングプラットフォームを活用してオンラインをベースにした研修カリキュラムを構築、運営することで、これまでとはちがう効果性を高める研修が可能となり営業スキルや提案スキルの向上につながります。そのポイントを解説します。
ライブの講義ではなく動画を活用し見せながら研修進行する
集合研修やオンライン研修の場合、通常は講師の方が講義をして、受講者がそれを聞いて学ぶというスタイルになりますが、効果を高めていく研修ではそのやり方をバージョンアップしていきます。
効果の高い研修カリキュラムでは講師はライブでの講義を行いません。講義の内容は動画コンテンツとして用意しておき、受講者には動画を見てもらいます。ライブの講義の場合、講師の方のコンディションや当日の受講者の状況により講義内容に少なからずばらつきが出てきます。ある領域についてはしっかりと講義できたものの、そちらに時間を使いすぎてしまい別の領域の講義ボリュームが少なくなってしまうなどです。
動画を活用し、あらかじめ伝えたいことを網羅的に押さえているコンテンツを見てもらうことで、いつでも誰でも高品質で再現性の高い研修運営が可能となります。
双方向性によりリアルタイムで理解度を確認しながら進める
通常のオンライン研修では受講者の反応がつかみにくく、講師が受講者の理解状況を把握することがなかなかできません。
効果の高い研修カリキュラムでは講師は講義を行いませんが、受講者との双方向のやり取りをしながら、理解を高めてもらうための関わりを持って進行していきます。講義動画を見てもらった後には理解度クイズ取り入れ受講者に回答してもらいます。理解できているかどうかを本人が確認するとともに、講師も受講者が理解できているかを確認しながら進めます。受講者の母集団により毎回理解状況などが変動しますので、その母集団の理解状況に合わせた解説や補足をすることで、受講者の理解を高めることにつながります。
動画課題提出などアウトプットを意識した学習設計
提案力や営業スキルを効果的に身につけるために研修の中にアウトプットを意識した課題を取り入れます。セールストークやプレゼンテーションの実践的なアウトプット練習です。例えば、商品説明をするトークを動画に録画して提出します。実際に口に出して言ってみることで、スムーズに言えるかどうかを確かめることができます。動画の視聴など通じて知識としてインプットしただけで「できるつもり」になってしまっていることが多々あります。
しかし実際に口に出してみるとうまく言えないということがよく起こります。実際の商談の場面で顧客を相手にうまく対応できるようになるためには実際に口に出して言ってみるという練習が欠かせません。トークを録画して提出するという行為を通じて練習を重ねます。このようなアウトプットを意識した学習設計がポイントです。
2023年現在ではAIを相手にロールプレイングの練習ができるツールの活用も進んでいます。AI相手にプレゼンテーションやセールストークを展開するとAIがフィードバックしてくれるというものです。AIを相手にロールプレイングの練習ができる環境は、忙しくて先輩を捕まえてロールプレイングができないという現代の営業現場の課題を解決することにもつながります。
課題に対しての個別の関わりを増やし、できるようになることを支援
効果の高い研修カリキュラムにおいては、講師は講義をせず、講義動画を見せながら営業研修を進行していきます。講義を動画として切り出している分、従来講義をしていた時間は講師の方の手が空きます。その空いた時間と手を使って、受講者から提出してもらった動画を確認し、個人個人にコメントし、受講者へ個別アドバイスを通じて研修で学んだことをできるようになってもらうための支援をしていきます。
従来の集合研修スタイルでは時間の制約もあり、受講者個々人への個別の関わりはあまり持てないという実情がありましたが、研修カリキュラムの構築方法そのものをバージョンアップすることにより、個別の関わりを充実させることが可能となります。個別の関わりの充実化は受講者と講師の信頼関係の向上につながったり、受講者の満足度向上につながったりすることも多いです。
受講者同士で意見投稿、相互コメントで学びあう環境づくり
同じ研修を受講しているグループ内でも受講者によって、感じ方や捉え方は異なるものです。同じ研修を受講している受講者同士で意見交換できる場を用意します。SNSのようにオンライン上に研修を受講しての感想などを投稿し、相互に確認できるようにします。相互にコメントしあうことなどを通じて学びあい、学習の加速を促進します。
マイクロラーニングにより復習・確認がしやすい
講義動画自体もできる限りマイクロラーニング(3~5分程度の短い動画)で構成します。そうすることによって後から復習や確認がしやすいというメリットがあります。
例えば1時間の講義動画の中で「商品の特徴」についての講義があったとして、後から確認する際に1時間のどの部分で「商品の特徴」について触れていたかを探すのには時間がかかってしまいます。時間がかかると確認することをあきらめてしまうこともあります。
その点、マイクロラーニングで構成し、5分程度の動画が10本用意されていて、その中に「商品の特徴」というタイトルの動画があれば、自分が確認したい動画にすぐにたどり着くことができます。またそのように構成しておくことで、復習や確認するという学習行動を誘発しやすいというメリットも挙げられます。
特に新人営業担当者や若手社員の場合、さまざまなことを覚えきれているとは言えません。さまざまなことを先輩などに教えてもらいながら学んでいくわけですが、先輩社員も忙しく後輩の面倒を細かくみられないという現実もあります。
マイクロラーニングで手軽に学べる環境を整備することは特に新人営業担当者・若手社員育成に役立ちますのでおすすめです。
▼ 新人営業担当者や若手社員に役立つイメージについてはこちら
学習行動のデータ蓄積により学習状況が追える
プラットフォームを活用して研修カリキュラムを構築し運営することで、受講者の学習行動がすべてデータ化され可視化されます。誰が、どこまで学習が進んでいるかの進捗状況が確認できることはもちろんのこと、営業研修後職場での実践に移った後も、どれくらい復習や確認という学習行動がとられているかも把握することが可能となります。また営業研修前後の学習行動も含めた受講者の学びと、期待する成果結果とのデータを分析することで、営業研修の費用対効果を図ることにもつなげることができます。
▼ データ活用についてはこちら
▼ カリキュラム例
社内講師養成を行う
効果の高い研修カリキュラムの構築と運営の実現に向けては、本記事でご案内しているような内容を理解した社内講師を養成することがポイントとなります。
一般的に社内講師を務める方の意識として、「研修では講義をしなければならない」という暗黙の前提があります。
しかし、社内講師の本来の役割は単に「講義をする」ことではなく、「研修の受講者が受講した内容を職場で実践できるように支援する」ことです。その入り口としてこれまで講義が行われていました。これからは効果の高い研修カリキュラムと運営の仕方について理解を深め、動画や理解度クイズを作成したり、営業研修運営の中で個別のアドバイスをしたりすることを通じて受講者の職場実践を支援することのできる社内講師を養成することがポイントです。
そのような社内講師の存在により営業研修の効果を高め、受講者の学びの生産性を高め、それが職場での実践行動につながり、その結果期待するパフォーマンスにつなげていくことが可能となります。
効果的な学習の実現に向け、プラットフォームを活用する
コロナ禍を経てオンラインで学ぶということは多くの方が経験したと思います。しかしながら、効果的なオンライン研修プログラムになっていないケースも多いです。
効果的な学習を実現するためには「学ぶ」ということにフォーカスした最新のラーニングプラットフォームを活用するのが良いでしょう。世の中には動画を共有するためのプラットフォームや意見交換をするためのプラットフォームなどさまざまなプラットフォームが存在しますが、学ぶことの効果性を高めるには「学ぶ」ことを研究し追及しているプラットフォームを活用することが近道です。
集合研修スタイルで実施していた営業研修をオンラインに置き換えることでコストアップにつながってしまったり、効果を低下させてしまったりという注意点を踏まえ、オンラインでの特徴や効果的な学びという側面からプラットフォームを活用して、営業研修カリキュラムを創り変える・リデザインすることが求められています。それにより新時代の営業研修DXを実現することにつながります。
▼ 関連記事
まとめ
営業研修のDX 効果的なカリキュラム構築方法についてご案内してきました。
営業研修のDXの実現に向け、ラーニングプラットフォーム「UMU」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。株式会社LDcubeではこれまで多くの集合研修で得られた経験やノウハウを踏まえ、UMUを活用した効果的な営業研修のカリキュラム構築とその運用についてのご支援をしています。営業研修にDXを取り入れて効果を高める営業研修にバージョンアップしてはいかがでしょうか。お気軽にお問い合わせください。
▼ 詳細資料はこちら!前編・後編合わせて70ページで徹底解説!!
▼ 合わせて読みたい