
人的資本経営の実現に向けた研修とは?組織と個人に効果的な4つの施策
近年では、人材を企業の資本として捉える人的資本経営が企業で導入されており、中長期的な企業価値の向上が期待できると考えられています。
しかし、適切に実施するためには社員に対して人的資本の考え方や本来の能力を引き出せるような研修の実施が必要です。
この記事では、人的資本経営の基本や実現するための研修概要、研修を実施するメリットや効果的な施策について詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.人的資本経営の基本概念
- 2.人的資本経営を実現するための研修とは
- 3.人的資本経営を実現することで得られるメリット
- 3.1.①社員の能力の見える化
- 3.2.②適材適所の人材配置が可能になる
- 3.3.③エンゲージメントの向上
- 3.4.④組織力と生産性の向上
- 3.5.⑤多様性のある組織づくりの推進
- 4.人的資本経営で社員に直接投資する施策例
- 4.1.①リーダーシップ研修
- 4.2.②マネジメント研修
- 4.3.③自社理解研修
- 4.4.④レジリエンス研修
- 5.まとめ
人的資本経営の基本概念
人的資本とは、従業員一人一人が持つスキルや知識を企業の付加価値を生み出す資本として捉える考え方です。
人的資本が注目される背景には、企業のグローバル化や働き方改革、女性の社会進出などに伴って人材が多様化したことが背景にあると考えられています。
多種多様な人材の価値や能力を引き出すことで企業にとってプラスの効果が期待できるとして、人的資本経営への取り組みが近年重要視されるようになりました。
人的資本経営とは人材を企業の重要な資本として捉え、適切に投資していくことで能力の向上やモチベーションの向上を目指す経営手法です。従業員の能力向上には研修やエンゲージメントなど、従業員が活性化を図れるような取り組みが有用であり、従業員の満足度の向上も期待できます。
人的資本経営にかかる費用はコストではなく、投資として考えることが重要であり、持続的な企業価値の向上を目指すことが大切です。
人的資本経営を実現するための研修とは
人的資本経営の実現を推進するためには、以下のような研修がおすすめです。
- 人的資本経営の基本
- 人材育成
- 従業員エンゲージメント
- 流動性(採用・維持・サクセッション)
- ダイバーシティ
- コンプライアンス など
人的資本経営を行うためには、まず企業全体で基本的な考え方や目的を理解しておく必要があります。
また、従業員一人ひとりの能力向上はもちろん、従業員同士がお互いを尊重する意識や多様性への理解など、幅広い分野の研修の実施が望ましいです。
人的資本経営に関する研修の対象者は、主に以下のとおりです。
- 人事部門
- 人材戦略を推進する部門
- 経営企画部門・経営層
- IR・広報部門 など
企業で人的資本経営を適切に行うためには、人事や経営方針に関する業務を担う従業員から理解を深めていくことが必要です。
経営層や人事、広報などが人的資本に対する理解があれば、企業が抱える現状の課題や将来的に起こり得る課題に対応できる人材の育成と採用を実現しやすくなります。
人的資本経営を実現することで得られるメリット
ここでは、人的資本経営を実現することで得られるメリットを5つ紹介します。
①社員の能力の見える化
人的資本経営について理解を深め、社員の能力を棚卸するようなサーベイツールなどを活用することで、自社内における社員が持っている能力の見える化を図ることが可能になります。
それにより、自社における人的資本の強みを把握することが可能です。
②適材適所の人材配置が可能になる
社員が持つ能力を見える化することで、多様な人材の能力を最大限発揮できる場所への配置が可能になります。
社員の強みを生かし、本来のパフォーマンスを発揮できる人員配置を行うことで、企業としての組織力を底上げできることが期待できます。
③エンゲージメントの向上
人的資本経営を通して社員のスキルを最大限発揮し、相応の評価を受けられることでエンゲージメントが向上します。
エンゲージメントの向上は企業に対する満足度アップにつながるため、社員のモチベーション維持・向上に有用です。
社員のモチベーションが向上することで、企業への帰属意識が強まるため離職率の低下も期待できます。
④組織力と生産性の向上
人的資本経営では社員に直接投資するため、スキルアップや成長が促進されます。
社員が成長することでこれまで以上のパフォーマンスを発揮できるようになるため、組織力と生産性の向上につなげることが可能です。
生産性の向上は企業の利益拡大にもつながり、その利益をさらに社員に投資することで企業と社員が常に成長できるよい流れを生み出せます。
⑤多様性のある組織づくりの推進
人的資本経営、その中でも多様性についての理解を深め、組織内に多様性が重要なことを浸透させることで、さまざまな人材が組織内で活躍しやすくなります。それにより、組織のパフォーマンス向上が期待されます。
また、多様性のある組織は企業イメージの向上にも有用であり、新たな人材や顧客の確保にもつながります。
人的資本経営で社員に直接投資する施策例
ここでは、人的資本経営で社員に直接投資する施策例を4つ紹介します。
①リーダーシップ研修
リーダーシップ研修とは、多様な人材とのコミュニケーション力や、課題の発見・解決力を養う研修です。
企業におけるリーダーシップは、これまでにない製品やサービスを考えたり企業の将来的な課題や目標を考えたりするなど、重要な役割を担っています。
企業の発展に欠かせない創造力を持つ人材を育てることで、経営の安定化や成長が期待できます。
②マネジメント研修
マネジメント研修とは、ダイバーシティ経営の理解促進、多様性を生かす職場マネジメントの考え方・行動を学ぶ研修です。
近年では企業で働く人材の価値観や属性、働き方などが多様化しており、ダイバーシティ推進を通して新たな成果や価値を生み出せる組織づくりが求められます。
社員の多様性を理解して生かすことで、お互いに高めあえる職場環境が実現できます。
③自社理解研修
自社理解研修とは、新人社員・若手社員が仕事や職場にスムーズに適応するのに必要な先輩や上司への働きかけや、主体性の発揮などを養うための研修です。
新人や若手社員のなかには、入社前の理想と入社後の現実のギャップに衝撃を受けるリアリティショックに陥ることがあります。
リアリティショックは将来への不安や喪失感を覚える要因となり、モチベーションの低下や離職につながるケースも少なくありません。
社員のリアリティショックを克服するためには、自社理解研修を通して適切な考え方や行動について学ぶ必要があります。
④レジリエンス研修
レジリエンス研修はストレスや逆境、トラブルなどに直面した際にスムーズに適応し、速やかに立ち直れる力を養う研修です。
常に環境が目まぐるしく変化する現代では、そのストレスに耐えられずメンタル不調に陥る場合があります。
レジリエンスを実施することで、あらゆる困難や逆境下でも自ら立ち直り、本来のパフォーマンスを発揮し続けられる人材を育成できます。
いずれの施策も集合研修やオンライン研修を実施して終わりではなく、プラットフォームを活用して研修の前後含め、社員の学習行動データを取得していくことが必要になってきます。
まとめ
この記事では、人的資本経営の実現に向けた研修について以下の内容で解説しました。
- 人的資本経営の基本概念
- 人的資本経営を実現するための研修とは
- 人的資本経営を実現することで得られるメリット
- 人的資本経営で社員に直接投資する施策例
人的資本経営の実現に向けた研修にはさまざまな形や学習方法がありますが、人材の能力を引き出し成長させて企業価値を向上させるという目的は共通です。企業で人的資本経営を適切に実施するためには、研修を通して企業全体で人的資本の考え方や目的を理解して実践していく必要があります。
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