
エンゲージメントを高める研修とは?カリキュラムと成功させる秘訣を解説!
社員の離職率が高かったり、理念が浸透していなかったり、または社内のコミュニケーションが不足していると感じる企業にとって、エンゲージメントの向上は喫緊の課題です。
しかし、多くの企業がその重要性を認識していながら、具体的なアクションを起こせていないのが現状です。
エンゲージメントが高まれば、社員はより高い満足度を得られ、企業に対する貢献意欲も増し、結果として業績向上につながる可能性があります。
本記事では、エンゲージメントを高めるための研修プログラムについて具体的なアプローチを解説します。
理念の浸透やキャリアデザインの取り組み、ヒューマンスキルの強化、レジリエンスの向上といった効果的とされる多岐にわたるカリキュラムがどのように役立つのかを紹介します。
さらに、エンゲージメントを可視化することで現状を把握し、課題に的確にアプローチする方法についても探ります。
今後の企業成長を左右する鍵として、エンゲージメント研修は欠かせない選択肢です。この機会にエンゲージメント向上を目指し、企業と社員がともに成長する未来を築きましょう。
▼エンゲージメントについてはテーマに合わせて下記で解説しています。
- エンゲージメントを高める18の施策とは?─効果的な取り組みと成功ポイントを解説!
- エンゲージメントを高める事例9選|成功例から学ぶ実践のポイント
- 人的資本経営での従業員エンゲージメント向上とは?取り組むべき企業と施策例を解説
- 従業員エンゲージメント調査とは?実施する重要な目的と期待できる効果
- 従業員エンゲージメントを構成する要素とは?満足度との違いや向上方法を解説
- 従業員エンゲージメントとは?向上につながる5つの施策【人事担当必見】
- 従業員エンゲージメントの向上に有効な施策とは?企業の成功事例を紹介
- 従業員エンゲージメントを高める効果的な取り組みとは?おすすめの方法6選も紹介!
- エンゲージメントを向上のカギとは?施策や事例を紹介!
▼エンゲージメントを高めることについての資料はこちらからダウンロードできます。アプローチの違いから2種類用意しています。
目次[非表示]
- 1.エンゲージメントを研修で高めるためには
- 2.エンゲージメント研修を実施すべき企業の特徴
- 3.エンゲージメント研修におすすめのカリキュラム例
- 3.1.①理念浸透
- 3.2.②キャリアデザイン
- 3.3.③人間関係構築(ヒューマンスキル研修)
- 3.4.④レジリエンス
- 4.エンゲージメント研修を成功させる秘訣
- 4.1.①研修に双方向性をもたせる
- 4.2.②エンゲージメントを可視化する
- 5.エンゲージメント向上にはレジリエンス
- 6.レジリエンス研修の社内展開支援事例
- 7.まとめ
エンゲージメントを研修で高めるためには
エンゲージメントとは、社員の会社に対する愛着心や会社に貢献したいという意欲のことをいいます。エンゲージメントが向上することで社員の離職防止に加え、企業全体のレベルアップや業績アップが期待できます。
エンゲージメントを高めるための研修(以下、エンゲージメント研修)は、組織が持つビジョンの浸透と目的への理解、従業員が持つ将来ビジョンやキャリア目標、組織内の人間関係の質などをテーマにして行う研修です。
研修を実施することで、社員の仕事に対するやりがいや幸福感などが向上し、会社に対する愛着や貢献の意思が深まると考えられています。
エンゲージメントの向上を目指している企業であれば、エンゲージメント研修は有用な手段の一つです。
エンゲージメント研修を実施すべき企業の特徴
エンゲージメント研修を実施すべき企業には以下のような特徴があります。
- 離職率が高い(離職を抑制したい)
- 組織と個人の生産性を向上したい
- 経営方針、理念がなかなか浸透しない
- 社員が明確な目標を持てていない
- 上司と部下、組織と社員の人関係性を良好にしたい
- 社員同士のコミュニケーションがうまく取れていない など
人材の流動が活発な現代では、社員の早期離職(特に若手)に悩む企業は少なくありません。採用が難しくなってきている中、定着率を高めることは大きな課題の一つです。
離職を決意する社員の大半は「仕事にやりがいを感じない」「企業理念に共感できない」「孤独感を覚える」など、何らかの不満が積み重なったことが原因と考えられます。
こういった不満は社内コミュニケーションや職場環境などを改善することで解決する可能性があり、エンゲージメント研修が施策として役に立ちます。
▼まずはエンゲージメントを構成する要素を押さえておくことも意義があります。
⇒従業員エンゲージメントを構成する要素とは?満足度との違いや向上方法を徹底解説
エンゲージメント研修におすすめのカリキュラム例
ここでは、エンゲージメント研修におすすめのカリキュラムを4つ紹介します。
(エンゲージメントを高める研修のカリキュラム例)
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①理念浸透
理念浸透とは、社員が組織で働く目的を明確化し、帰属意識を育むための研修です。 企業が大切にしている理念と自分が大切にしている理念を明確にし、その接点を見つけることで会社への帰属意識と理念浸透を促します。
研修を実施することで、社員は自分が求められていることや期待されていること、役割などを認識して自分の未来像が描けるようになります。
理念浸透研修には社長はじめ経営幹部が参画してもらい、自社の経営理念について語ってもらうことが重要です。また組織内で経営理念を体現した事例や実践している人物などを取り上げて、具体的にイメージが湧くような工夫がポイントです。
【カリキュラム例】
理念浸透研修のねらい
- 理念の位置づけや重要性について理解する
- 自社の理念の具体的な実践例について知り、自社理念への理解を深める
- 理念を実践していく具体的な行動のイメージを掴む
▼理念浸透などはエンゲージメント向上に関連して、特定の社員のみならず全社員を対象に行う研修テーマです。全社員研修につうてはこちらをご覧ください。⇒全社員研修会にはeラーニング・LMSの活用が効果的!?
②キャリアデザイン
キャリアデザインとは、自己理解を深め、将来のキャリア設計をより明確にするための研修です。
自分の強みや課題を明確にし、求められていること、できること、やりたいことのフレームワークで将来の具体的なイメージ・プランが描けるようにします。
キャリアは与えられるものではなく、自ら築いていくものという意識が持てるようになり、指示を待つだけの社員から自律的に動ける社員への成長を促すことが可能です。
研修は主に、若手~管理職の手前層向けに行うことが多いです。伸び盛りの成長段階にある社員にキャリアデザインを考える機会を提供することに何より意味があります。
【カリキュラム例】
キャリアデザイン研修のねらい
- 今後の成長や次のステップを見据えた際の、現在の自分自身についての理解を深める。
- 今後パフォーマンスを上げて行くために必要な啓発課題を明確にする。
- 上記を通して意識・マインド育成を図りながら、職場での課題実践計画・能力啓発計画を作成し、職場での活動につなげる。
③人間関係構築(ヒューマンスキル研修)
人間関係構築とは、組織内のコミュニケーションを活性化し、良好な人間関係を構築するための研修です。
コミュニケーションは社会の発展や個人の成長、共同作業など、良好な関係づくりに欠かせない要素であり、研修を通して情報の伝え方や受け取り方を学びます。
特に新入社員や若手社員は世代が離れた社員とうまくコミュニケーションが図れないケースがあるため、人間関係構築研修は効果があります。
【カリキュラム例】
ヒューマンスキル研修のねらい
- 自己の強みを理解する
- 他者の成熟度や強み・弱みを理解する
- 他者に対する効果的なかかわりを学ぶ
▼人間関係の構築につながる、自己理解を深めるためのワークショップについては下記で詳しく仮設しています。⇒行動特性を踏まえた自分・自己理解を深めるワークショップ(研修)とは!
④レジリエンス
レジリエンス研修とは、困難な状況に立ち向かう強さや柔軟に受け止める考え方、自分のメンタルを整える方法を身につけるための研修です。
ストレスは悪いことばかりではなく、自分を成長させるための要素であると前向きに捉えてうまく付き合っていくことの重要性を学びます。
研修を実施することで思考の柔軟性が高まり、逆境をチャンスと捉える感情のコントロールができるようになります。
【カリキュラム例】
レジリエンス研修のねらい
- 思考と感情を分けることで思考の柔軟性を啓発する。
- 自分の本来持っている強み・徳性を確認し、うまく活用することで、目標に向かうエネルギーを高める。
- 上記を通じてレジリエンスの基礎を身につける。
▼レジリエンス研修については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。⇒レジリエンス研修とは?実施で得られる効果と代表的な5つの要素
エンゲージメント研修を成功させる秘訣
ここでは、エンゲージメント研修を成功させるための秘訣を2つ紹介します。
(エンゲージメント研修を成功させる秘訣)
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①研修に双方向性をもたせる
インプットだけではなく、アウトプットも重視した双方向性のある学習を提供することでエンゲージメント研修が成功しやすくなります。
講師と社員、上司と部下、同僚同士でコミュニケーションを図れる要素を組み込み、年齢や立場に関係なく交流できるようにすることが重要です。
グループワークやディスカッション、フィードバックなどを実施することで、研修に双方向性を持たせやすくなります。
②エンゲージメントを可視化する
質問・アンケートツール、エンゲージメントサーベイなどを活用して、部門や部署、社員ごとにエンゲージメントを可視化して現状を把握し、課題を的確につかむことでエンゲージメント研修が成功しやすくなります。
アンケートやサーベイの結果を用いて研修のプランニングを行ったり、結果の詳細データについて踏み込んだディスカッションを行ったりすることで、具体的にエンゲージメントの高い組織の実現につながります。
エンゲージメント向上には継続的な取り組みが重要であり、研修実施後も定期的にアンケートやエンゲージメントサーベイで、エンゲージメントを可視化することが重要です。可視化して定点観測していくことで、研修などの施策を適切に評価し、PDCAを回していくことができます。
▼従業員エンゲージメントの状態を調査することも意義があります。詳しくはこちらから。
⇒従業員エンゲージメント調査とは?実施する重要な目的と期待できる効果
エンゲージメント向上にはレジリエンス
エンゲージメントを向上させるためには、レジリエンスを取り入れることが大切です。
『LDcube』が提供するレジリエンスに特化したプログラム『SBRP』であれば、いかなる状況でも最善・最良の考え方と成果につながる行動を選択する力が身に付けられます。
個人が逆境に立たされた時、それを乗り越える力(レジリエンス)がビジネスや人生において重要な要素になります。
レジリエンスは復元力や回復力とも呼ばれており、厳しい状況を乗り越えて力強く成長するためのスキルです。
レジリエンスを高めることは、業績を高めることにもつながります。ビジネスパーソンの多くにとってレジリエンス研修の受講はメリットがあります。
▼従業員のエンゲージメントを高めるための施策としてレジリエンス強化に取り組んだ事例を交えて解説しています。⇒従業員エンゲージメントの向上に有効な施策とは?企業の成功事例を紹介
レジリエンス研修の社内展開支援事例
社員数:1,500名以上
事業:自動車の設計、開発
導入前の課題
変化・変革への対応力を高めるための土台として、エンジニアのレジリエンス強化
現在の自動車業界は変革期の真っただ中です。業務内容は変化し、ステークホルダーに求められる成果は高度化、そして対応スピードも高速化しています。
業界の変化に対応し、持続的に成長するためには、これまで以上に豊かな発想とチャレンジ精神を持つエンジニアを数多く育てる必要があります。
テクニカルスキルやビジネススキル、ヒューマンスキル、マネジメントスキルなどさまざまなスキルアップが必要ですが、スキルを身につけるだけでは不十分だと感じていました。
そこで、これらのスキルを身につける土台として、「失敗を恐れずに挑戦できる」「柔軟で合理的な思考を持つ」「変革の過程を楽しめる強さを持つ」の3つの能力(レジリエンス能力)をテーマにした教育を導入することにしました。
また、休職者・退職者が増加傾向にあったこともあり、個人としての能力啓発だけでなく、研修を通したチームの活性化もねらいの一つとしました。
開発力を高めるためには、チーム内の他者理解と相互サポートが必要不可欠だと考えたからです。
事務局でレジリエンスプログラムのトライアル研修を実施後、本導入を決定しました。
取り組みの詳細
社内講師を養成して展開
リラックスした雰囲気で同じ会社ならではの「共感」できる事例を織り交ぜた研修
レジリエンス能力はどの従業員にとっても必要な能力だと考えていました。そのため、管理職から新入社員まで全社員を対象に実施することにしました。
全社員を対象に研修を実施し、かつレジリエンスを組織内の共通言語として広めていくためには、外部コンサルタントに実施してもらうのではなく、社内講師による自社内研修が効果的だと考え、開発部門内で4名の社内講師を養成しました。
そして、集合研修後に風化しない「シカケ」作りのために、管理監督職層からプログラムを展開しました。
管理監督職が内容を理解していれば、現場でサポートできると考えたからです。研修冒頭では、受講者に自分事として捉えてもらうためにレジリエンス強化の必要性と目的を重点的に説明し、受動的な研修にならないよう個人ワーク・グループワークを多く取り入れました。
また、振り返りの時間を長めに確保し、研修の最後には「今後自分はどのような行動をとる」という宣言をする時間を設けました。思考・議論の活性化のために、対面研修、リラックスできる雰囲気作り、講師自身の事例提供を大切にしました。
対面研修にすることで同じ階層同士のやり取りを増やし、他部署とのつながりの強化を図りました。そして、今回の研修は自己の内面に関わる内容であったため、本音を引き出すために、テキストの内容だけでなく、より共感を得られるよう講師の実体験を伝えながら進行しました。
個人ワークが進まない受講者に対して「人と同じ考え方でなくても良い」ということを認識してもらうため、こまめに声掛けもしました。
また、学んだことを風化させないために、研修内で活用した自分に不足している要素を把握してもらうためのセルフチェック表を研修から3カ月後に記入してもらうことで、学んだ内容を思い出す機会を設けました。
導入後の成果
レジリエンスを社内共通言語に
受講生から「レジリエンス=抑うつや不安への耐性のみに効果を発揮する先天的なものという認識だったが、その他にも特徴があり後天的に習得・強化が可能な能力だということを知った」「思考の柔軟性を高めることができた」「ネガティブ=悪いこと、ポジティブ=良いことではなく、状況や置かれている立場・役割によって使い分けることが大切だということを学んだ」などの感想をいただき、社内講師がメッセージしたかったことが伝わっていることを実感しました。
その他、「研修が自己理解のきっかけになり、自分の考え方の癖・強み・弱みを理解できたことで仕事に限らず日々の生活の中で気を付けられるようになった」という声もあり、仕事以外の場面でも研修の効果を感じていただきました。
そして、講師4名でテーマごとに役割分担をしたことにより、各講師が一つのテーマに集中して講義を進めることができました。
研修を組み立てる際も、1人で考えるのではなく、4名で話し合いを重ねながら組み立てたことによって、より会社の目指す方向性と受講生の心理に寄り添う研修になったと考えています。
「レジリエンス」という言葉が現場で使われるようになり、社内共通言語として浸透させるための第一歩を踏み出しました。
日常的なフォローアップに力を入れてレジリエンス強化を加速し、成長し続ける組織を目指していきます。
まとめ
この記事では、エンゲージメント研修について以下の内容で解説しました。
- エンゲージメントを研修で高めるためには
- エンゲージメント研修を実施すべき企業の特徴
- エンゲージメント研修におすすめのカリキュラム例
- エンゲージメント研修を成功させる秘訣
- エンゲージメント向上にはレジリエンス
従業員のエンゲージメントを向上させるための研修は、社員の定着率アップや企業の業績アップにつながる可能性があり、有用な取り組みの一つです。
しかし、研修は単に実施すればよいというわけではなく、企業の方針や自社の社員に合った内容でなければなりません。
その中でも理念教育やキャリアデザイン、ヒューマンスキル、レジリエンスなどをテーマに研修を行うことがおすすめです。
レジリエンスを取り入れることで、いかなる状況でも安定した動きができる人材を育成できます。
『LDcube』では、レジリエンス啓発プログラム『SBRP』を提供しています。
現代に求められている、困難な職場状況でも柔軟で合理的な思考を持って変革の過程を楽しめる強さのある人材の育成をサポートします。
無料でのプログラム体験会なども行っています。お気軽にお問い合わせください。
▼関連資料はこちらからダウンロードできます。
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