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人間関係うまくいかない...約84%の人が感じる原因と3つの秘訣

「なぜ、人間関係ってうまくいかないんだろう…」

そう、思い悩んでいませんか。
特に、環境が変わって新しい立場に置かれた時、その気持ちは一層強くなるでしょう。

進級や進学、部署移動、転職といった節目節目で、私たちは新しい人と関わることを余儀なくされます。以前は自然にできていたはずのコミュニケーションが、急に難しく感じられるようになるのです。

実は、人間関係がうまくいかなくなる原因は、必ずしもあなた自身の問題とは限りません。

真の原因は、人間関係に対する期待値と現実のギャップにあることが少なくないのです。例えば以下のようなことに、心当たりはないでしょうか。

人間関係でよくある思い込みをまとめた表

私たちは無意識のうちに自分の価値観や考え方をものさしにして「こうあるべき」「こうしてほしい」という期待を相手に抱いてしまいます。

実際に、採用支援サービスを行う大手サイト「エン・ジャパン」が2018年に職場での人間関係に関するアンケートを実施したところ、社会人の約84.1%が「職場の人間関係」に悩んだ経験があると回答しました。

今までの職場で人間関係に難しさを感じたことはありますか?に対する回答のグラフ

参照:「職場の人間関係が難しい」が84% - 理由は?

多くの人が人生の節目節目で感じる人間関係の悩み…「こんな思考パターンが長年続いているから、もう変えるのは難しいのでは…」と諦めてしまいがちですよね。

しかし、あなたと相手の間に適切な境界線を引き、ほんの少しのコツを実践するだけで、人間関係のストレスは驚くほど軽減できます。

そこで本記事では、あなたの職場や日常での人間関係を改善するために、以下について解説しています。

  • 人間関係がうまくいかない原因
  • ついやりがちな「相手に期待してしまう」具体的なケース5つ
  • 人間関係をうまくこなすための秘訣3つ

最後まで読むと、相手に過度な期待をせずに適切な距離感を保ちながら、ストレスの少ない心地よい人間関係を築けるようになります。

自分も相手も尊重したかかわり方で、あなたの人間関係を改善する第一歩を踏み出してみましょう。

▼人間関係(コミュニケーション)については下記で詳しく解説しています。

▼人間関係(コミュニケーション)のベースは自己理解です。

自己理解バナー

目次[非表示]

  1. 1.人間関係がうまくいかないのは「相手に過度に期待しているから」
  2. 2.ついやりがちな「相手に過度に期待してしまう4つのケース」
    1. 2.1.自分の価値観を押し付けるケース
    2. 2.2.境界線を無視するケース
    3. 2.3.完璧を求めるケース
    4. 2.4.自分と同じ熱量を期待するケース
  3. 3.人間関係をうまくこなす秘訣は「自己理解」「マインド」「スキル」の3つを身につけること
  4. 4.【人間関係をうまくこなす秘訣(1)】自分と他人の違いを知る
    1. 4.1.性格のタイプを理解する
    2. 4.2.価値観の多様性を受け入れる
    3. 4.3.コミュニケーションスタイルの違いを認識する
  5. 5.【人間関係をうまくこなす秘訣(2)】適切なマインドを身につける
    1. 5.1.関係性に応じた距離感を意識する
    2. 5.2.自分の責任範囲を明確にする
  6. 6.【人間関係をうまくこなす秘訣(3)】円滑なコミュニケーションを実践する
    1. 6.1.自分の権利も相手の権利も尊重して伝える
    2. 6.2.相手の言葉の背後にある考えを理解しようとして「聴く」
    3. 6.3.相手に合わせたコミュニケーションスタイルを取る
  7. 7.これからあなたが本当の意味で人間関係をラクにしたければ自己理解を深めよう
  8. 8.まとめ

人間関係がうまくいかないのは「相手に過度に期待しているから」

人間関係 うまくいかないイメージ

人間関係がうまくいかなくなる原因として、相手に対する「過度な期待」が挙げられます。

私たちは自分の価値観や常識をもとに「普通だったらこうするよね」といった基準を無意識のうちに作りあげ、周囲の人々にもそれを求めてしまいがちです。

しかし、人はそれぞれが育ってきた環境や考え方が違うので「きっとこうしてくれるだろう」「こんなふうに思っているはず」といった期待は、現実とずれてしまうことが多くあります。

そうした期待と現実とのギャップに対して、失望や不満を生んでしまうのです。

例えば、職場でAさんやBさんが何らかの理由で怒っているとします。過度に期待してしまうと、以下のように感じてしまう人もいるでしょう。

自分と他者との境界線が曖昧

そこでキーワードとなるのが「自分と他者との境界線」です。良い人間関係を築くには、相手への過度な期待を手放すことが大切です。

自分と他者との境界線が明確


境界線が曖昧

境界線が鮮明

事象の原因

自分

相手


感じ方

相手の感情を自分に当てはめてとらえる

お互いを別々の人間として見る

取る行動

相手の感情や行動を
自分でコントロールしようとする

自分にできることとできないことを
区別して行動する

結果

相手に振り回される

相手に振り回されない

自分と他人との境界線を設定すると、相手の感情や行動に振り回されることなくなり、また自分の心が擦り減ることもなくなります。

ついやりがちな「相手に過度に期待してしまう4つのケース」

人間関係 うまくいかないイメージ②

ここまで、人間関係がうまくいかなくなる原因が、相手に対する「過度な期待」にあるとお伝えしました。

でも実際に、自分が他者に過度な期待を抱いているかどうかは、判断しづらいですよね。

そこで、日常でよく見られる「相手に無意識のうちに期待してしまう状況」を、具体例をもとに4つ紹介します。

日常をふり返り、ご自身に当てはまるケースがないかどうかぜひチェックしてみてください。

自分の価値観を押し付けるケース

自分の価値観を押し付けるケースの例

Aさんは「時間厳守は基本」という価値観を持ち、5分遅れた同僚に強く注意。しかし同僚は「少しの遅れは許容範囲」と考えており、Aさんの反応に不快感を覚えて関係が悪化した。

この事例では、Aさんは自分の「時間厳守」という価値観が絶対的に正しいと考え、同僚にも同じ基準を求めています。

しかし、何を「遅刻」と捉えるか、どの程度の遅れなら許容できるかは、文化や個人の価値観によって異なります。

他にも以下のように、自分の価値観を押しつけてしまうケースがあります。

  • 食事の好みを否定する
  • 特定の服装や外見を批判する
  • 効率重視か丁寧さ重視か対立する
  • 休日の過ごし方に対して不満をぶつける

普段の会話や行動の中で、無意識のうちに自分の価値観を「当然」と思い込み、相手に求めていることはないでしょうか。

境界線を無視するケース

境界線を無視するケースの例

プライベートな時間を大切にしたいBさんに、同僚が休日でも頻繁に仕事の相談の電話をかけてくる。断りづらくて応じているうちに、休日の予定が台無しになることが増えてしまった。

この事例ではBさんのプライベート時間という境界線が尊重されていませんが、問題は同僚だけでなく、Bさん自身も境界線を明確に示していない点にあります。

他にも以下のように、境界線を無視してしまうケースがよく見られます。

  • 許可なく人の物を勝手に使用する
  • 良かれと思って相談なく予定を変更する
  • 秘密にしてほしい相談話を別の人に伝える
  • 結婚や子どもの有無についてプライベートな話題を持ち出す

あなたの周りの人でも、こうした境界線が曖昧な人がいて困った経験はありませんか。または、自分自身が知らず知らずのうちに他者の境界線を越えていることはないでしょうか。

完璧を求めるケース

完璧を求めるケースの例

新人教育担当のCさんは部下に完璧な仕事を求め、小さなミスも厳しく指摘した。部下は萎縮してしまって結果的に成長が遅れ、Cさん自身も疲弊した。

この事例では、Cさんは「ミスは許されない」「完璧な仕事をすべき」という高い基準を部下に求めています。しかし完璧主義は、相手だけでなく自分も疲弊させ、成長や創造性を阻害してしまいます。

こうした期待は「失敗は恥ずかしい」などという思い込みから生まれますが、人間である以上ミスは避けられません。

他にも、以下のような完璧を求めてしまうケースが日常的に起こりがちです。

  • 提案に対して細部まで完璧さを求める
  • 子どもの服装が少しでも乱れていると「親の評価に関わる」と神経質になる
  • 同僚が顧客対応した際に「もっと笑顔で応対すべき」と感じてしまう

あなた自身も、知らず知らずのうちに自分や周囲の人に過度な完璧さを求めていませんか。完璧を求めることで、本来楽しいはずの関係や経験が緊張と不安の連続になってしまっていませんか。

自分と同じ熱量を期待するケース

自分と同じ熱量を期待するケースの例

映画好きのDさんは、友人を誘って観た映画について熱く語りたかったが、友人は「まあ普通に面白かった」と素っ気ない反応。Dさんは「一緒に楽しめると思った」と落胆してしまった。

この事例では、Dさんは映画について友人と「同じ熱量で興奮して、深く語り合いたい」という期待を抱いていましたが、友人はそこまでの関心を持っていませんでした。

同じ体験をしても、関心度や感じ方は人それぞれ異なります。他にも以下のような自分と同じ熱量を期待してしまうケースがあります。

  • 仕事のプロジェクトで自分が情熱を注いでいるのに、同僚が定時で帰ることに不満を感じる
  • 趣味の話題を長時間熱く語るのに、相手が興味を示さないと「理解されていない」と感じる
  • 自分が大事にする誕生日やイベントを、相手も同じように重視するはずと思い込む

あなたも「こんなに一生懸命なのに、相手は私ほど真剣じゃない」と感じた経験はありませんか。あるいは逆に、相手の熱量に圧倒されて疲れてしまった経験はないでしょうか。

人間関係をうまくこなす秘訣は「自己理解」「マインド」「スキル」の3つを身につけること

人間関係をうまくこなすための3step:①自己理解:自分と他人の違いを知る②マインド:適切なマインドを身につける③スキル:円滑なコミュニケーションスキルを実践

ここまでの内容を振り返ると、あなた自身も気づかないうちに他者に過度な期待を抱いていることに気づけたのではないでしょうか。とは言っても、すぐに他者との適切な境界線を設定するのは難しいですよね。

人間関係をうまくこなすには、上記の「自己理解」「マインド」「スキル」という3つの要素を、段階的に身につけていくことが重要です。

どれか1つだけではなく、3つ全てをバランス良く習得してこそ、人間関係を良好にする効果が最大限に発揮されます。

なぜなら3つの要素はそれぞれ独立したものではなく、相互に補完し合うものだからです。

自己理解がないと...

自分と他者の違いを認識できず、過度な期待や思い込みから抜け出せない。

マインドがないと...

相手の言動1つ1つに自分の感情が揺さぶられ、心の安定を保つことが困難になる。

スキルがないと...

「自己理解」や「マインド」を理解はしていても、具体的行動に変換できないというジレンマに直面する。

「自己理解」「マインド」「スキル」を順序立てて身につけることで、はじめて健全な人間関係の土台が形成されるのです。

それでは、この3つを具体的にどのように身につけていくのかを、以下で解説していきます。

【人間関係をうまくこなす秘訣(1)】自分と他人の違いを知る

人間関係をうまくこなすための3step:①自己理解:自分と他人の違いを知る②マインド:適切なマインドを身につける③スキル:円滑なコミュニケーションスキルを実践

前章では、「自己理解」「マインド」「スキル」を順序立てて身につけることで、はじめて良好な人間関係の土台が築けることをお伝えしました。

それでは1つ目の「自分と他人は根本的に違う存在である」という現実を受け入れることからスタートしましょう。

自分と他者との「違い」は、主に以下3つの側面から生じています。

他者との違い

具体例

同じ締切直前という状況でも、プレッシャーを力に変えて集中する人と、緊張で思考が止まる人がいる。

会議の場面で時間通りの進行を最優先する人や、全員が納得するまで議論を尽くすことを大切にする人がいる。

感情的な言葉に心を動かされる人もいれば、具体的なデータや客観的事実に説得力を感じる人もいる。

これらの違いを「問題」ではなく「多様性」として受け入れることで、互いを尊重する関係を築けるようになります。

それでは、これら3つの側面について詳しく見ていきましょう。

性格のタイプを理解する

性格タイプの違いを理解することで、人間関係のトラブルを減らし、互いの強みを活かした関係を築けるようになります。

なぜなら、私たちは生まれながらにして異なる性格的な特性を持っているからです。

性格タイプは、情報処理の仕方や意思決定の方法、行動パターンなどに大きく影響します。つまり、同じシチュエーションでも、性格によって全く異なる反応をすることがあるのです。

例えば、以下のように性格タイプが正反対のAさんとBさんが、職場で一緒のチームにいるとします。

どんな時?
Aさん
Bさん

作業する時

細かいところまで丁寧に仕上げたい

全体の流れを重視して柔軟に動ける

プロジェクトを進める時

事前に計画をしっかり立てたい

状況に応じて臨機応変に対応したい

意志決定から行動する時

じっくり考えてから行動する

直感を信じてすぐ行動に移す

リフレッシュする時

1人の時間で充電する

人と関わる時間で元気になる

プロジェクト進行で「几帳面な」Aさんは事前の計画を重視し、「柔軟な」Bさんは状況に応じた対応を重視します。

この違いを理解せずにいると、互いを「融通が利かない」「計画性がない」と批判してしまう可能性があります。

しかし、これらの特性を「異なる強み」として活用すれば、チーム全体のパフォーマンスを向上させることができるでしょう。

以下の記事では、無料で利用できる行動特性診断ツールが紹介されているので、ぜひご覧ください。

【無料】行動特性診断おすすめ4選|実際に診断した10個から厳選

職場のチーム内でこちらの診断を行うことで、お互いの行動パターンや思考プロセスへの理解が深まり、コミュニケーションの質が向上することが期待されます。

価値観の多様性を受け入れる

価値観の多様性を受け入れることで、人間関係のトラブルを減らし、互いを尊重した関係を築くことができます。

なぜなら、多様性を認めることで「自分の価値観が唯一の正解」という思い込みから解放され、相手の異なる視点や判断基準にも「一理ある」と気付けるからです。

例えば就活生に「職場選びで1番こだわることは?」というアンケートをとった場合、以下のようにさまざまな回答が見られるでしょう。

  • Aさん:ワークライフバランスと働き方の自由度
  • Bさん:キャリアアップのしやすさ
  • Cさん:安定性と福利厚生の充実度
  • Dさん:職場の雰囲気と人間関係の良さ
  • Eさん:社会貢献できる仕事の内容

このような回答の違いは、どれかが「正しい」というわけではなく、それぞれ人生における優先事項の違いを反映しているにすぎません。

価値観の衝突から「どうしてそんなことを重視するの?」という不理解や苛立ちが生じることがありますが、これは相手が大切にしていることへの共感が足りないために起こります。

互いの価値観を理解し受け入れるための効果的な活動として、チームビルディングが挙げられます。

チームビルディングとは?

チームビルディングとは、チームのメンバー同士の絆を深め、協力しやすい環境を作る活動です。

たとえば、ゲームやワークショップを通して、お互いの価値観や考え方についての理解を深めながら、意見を言いやすい雰囲気を作ったり、共通の目標を設定したりします。

これにより、メンバーが安心してアイデアを出しやすくなるので、仕事がスムーズに進んだり、より良い成果を出せるようになるというメリットがあります。

これらの活動を通じて、自分だけではなくチームのメンバーにとっても異なる価値観を受け入れやすい環境を生み出せます。

コミュニケーションスタイルの違いを認識する

良好な人間関係を築くためには、コミュニケーションスタイルの違いを認識しましょう。

コミュニケーションスタイルとは、情報の伝え方や受け取り方の傾向のことです。米国で生み出されたソーシャルスタイル理論で考えると、コミュニケーションのスタイルは以下4つのタイプに分類できます。

分析型(アナリティカル)・実行型(ドライビング)・温和型(エミアブル)・直感型(エクスプレッシブ)

参考:苦手な人をなくす〜実践としてのソーシャルスタイル理論〜|リクルートマネジメントソリューションズをもとに作成

私たちは、それぞれ好きなコミュニケーションスタイルが異なります。

相手が好むスタイルに合わせた関わり方をすることで、仕事がはかどったり、関係性をより豊かなものにしたりできるでしょう。

例えば、営業チームのミーティングで、実行型の上司が「このプランで決定します」と言ったとします。

その発言を聞き、分析型は「データ不足」と感じ、温和型は「みんなの意見が反映されていない」と不満を持ち、直感型は「新しいアイデアの余地がない」と感じてしまう可能性があります。

しかし、営業部長が各タイプに配慮して以下のように伝え方を工夫すると、チーム全体の理解と協力が得られるようになるでしょう。

  • (分析型向けに)このデータに基づくと…
  • (温和型向けに)皆さんの意見を踏まえた上で…
  • (直感型向けに)将来の展望も考慮して…

相手に適したコミュニケーションスタイルを理解し、自分のスタイルに固執せずに柔軟に調整することで、誤解や摩擦を減らせるだけでなく、より効果的な連携が可能となります。

まずは自分のコミュニケーションスタイルを知りたいという方は、無料で診断できる以下の記事で試してみてください。
⇒【プチ診断付き】人間関係で疲れた方へ/少し気が楽になる捉え方のコツ!

自分や他者のコミュニケーションの特性や傾向を詳しく知ることができますよ。

【人間関係をうまくこなす秘訣(2)】適切なマインドを身につける

人間関係をうまくこなすための3step:①自己理解:自分と他人の違いを知る②マインド:適切なマインドを身につける③スキル:円滑なコミュニケーションスキルを実践

人間関係の悩みを根本から解消するには「自分と他者の違い」を知ったうえで、その違いを受け入れる「マインド」が不可欠です。

人間関係の考え方や姿勢に関して以下2つのマインドを身につけると、同じ困難な状況でも感じるストレスを減らすことができます。

身につけたいマインド

詳細

愛情空間、友情空間、貨幣空間という異なる領域で適切な期待値を持つ。

相手の感情や行動まで自分でコントロールしようとする無駄な努力から解放される。

どうしたらこれら2つのマインドを身につけられるのか、以下で具体的な例を用いて紹介します。

関係性に応じた距離感を意識する

人間関係のストレスを減らすには、それぞれの関係性に応じた「適切な距離感」を意識することが大切です。

なぜなら、関係性の種類と期待値のミスマッチは、現実との落差を感じて不必要な心の消耗を招いてしまう原因となるからです。

橘玲氏の著書『幸福の資本論』では、私たちの人間関係は大きく分けて「愛情空間」「友情空間」「貨幣空間」の3つに分類しています。

愛情空間

家族やパートナーなど最も親密な関係

友情空間

友人や部活動の仲間などの関係

貨幣空間

職場の人やよく行くコンビニの店員など、何らかの交換関係にもとづく関係

貨幣空間・友情空間・愛情空間

人間関係で悩みやすい人は、上記3つの境界が曖昧になってしまう傾向にあります。

例えば、貨幣空間である職場に愛情空間の期待を持ち込んでしまうと、現実とのギャップに苦しむことになります。

職場の同僚があなたの誕生日を覚えていなかったとしても、それは関心がないということではなく、相手にとっては単にその関係性の中での重要度が低いだけなのかもしれません。

それぞれの関係性に適した期待と境界線を設定することで、不必要な失望や摩耗を避けることができます。

自分の責任範囲を明確にする

人間関係のストレスを軽減するには、自分と相手の責任範囲を明確に区別することが効果的です。

なぜなら、人間関係で悩みやすい人は、相手の感情や行動まで自分の責任だと感じてしまう傾向にあるからです。

そのような人は「相手を怒らせてしまった」「相手のやる気を失わせた」など、自分が原因だと考えて過度の罪悪感や責任感を抱いてしまいます。

しかし実際には、相手の感情や反応は相手自身の解釈や選択によるもので、あなたのコントロール下にあるわけではありません。

例えば以下のようなケースでは、自分と他者の責任範囲を明確にすべきです。

ケース

あなたの責任範囲

責任外

提案やアイデアを伝える場面…

明確でわかりやすい説明を心がけること。

相手がどう受け取り、どうリアクションするか。

親しい友人が悩んでいる時…

傾聴し、できる範囲でサポートすること。

問題の根本の解決、相手の選択や決断。

チーム内で意見が対立した時…

自分の意見を伝えること。
メンバーの意見を傾聴すること。

メンバー全員が自分の意見に同意すること。
対立を完全に避けること。

相手に何かを伝える場面で自分が誠実に言葉を選ぶことは大切ですが、相手がそれをどう受け取り、どう反応するかまでコントロールしようとするのは現実的ではありません。

この境界線を理解することで、相手の言動に振り回されず自分のエネルギーを適切に使える、ストレスの少ない人間関係を築けるようになります。

【人間関係をうまくこなす秘訣(3)】円滑なコミュニケーションを実践する

人間関係をうまくこなすための3step:①自己理解:自分と他人の違いを知る②マインド:適切なマインドを身につける③スキル:円滑なコミュニケーションスキルを実践

ここまでで「自己理解」と「マインド」の土台ができたら、いよいよ実践的なコミュニケーションスキルを磨く段階です。

人間関係を円滑にする具体的なスキルとして、特に以下3つが重要です。

この3つを状況に応じて使い分けることで、かつての「苦手な相手」とも円滑なコミュニケーションが可能になるでしょう。

自分の権利も相手の権利も尊重して伝える

自分の考えや気持ちを誠実に伝えながらも、相手の立場や感情も大切にするコミュニケーション方法が、人間関係を円滑にします。

自分の権利も相手の権利も尊重して伝える時は、「私(I)メッセージ」を使うことをおすすめします。

以下の例を参考に、「あなたは〜」ではなく「私は〜と感じる」と自分の気持ちを主語にして伝えてみましょう。

ケース

Before

After

部下が約束の期限を守らなかった

(あなたは)いつも期限を守らないよね。いい加減にして!

(私は)期限が過ぎていて困っています。次からは事前に相談してもらえると助かります。

友人との約束に遅刻された

(あなたは)いつも遅刻ばかりで私の時間を大切にしてくれない。もう待たされるのはうんざり。

(私は)30分待って心配していたよ。約束の時間に来られないときは、事前に連絡をもらえると安心するよ。

次も一緒に楽しい時間を過ごしたいと思っているよ。

パートナーが家事を分担してくれない

(あなたは)いつも家事をやらないよね。なんで私だけがこんなに頑張らなければならないの?

(私は)最近、家事の負担が重いと感じているんだ。

お互いの時間をもっと大切にするために、家事の分担について一緒に話し合えないかな。
2人で協力すれば、もっと家の中で笑顔が増えて余裕のある生活ができると思うよ。

「私(I)メッセージ」を使って感情を率直に伝えることで、相手を責めるのではなく問題解決に焦点を当てた対話が可能になります。

これにより、お互いの感情と権利が尊重された関係性が築かれ、コミュニケーションの質の向上が期待できます。

相手の言葉の背後にある考えを理解しようとして「聴く」

相手の言葉を単に「聞く」だけでなく、その背後にある気持ちや考えを理解しようと能動的に「聴く」姿勢が、深い信頼関係を築きます。

私たちは「相手の話を聞いている」つもりでも、実は自分の考えや次に何を言おうかに意識が向いていることが多いものです。

例えば友人が「最近仕事がうまくいかなくて…」と話し始めたとして、以下のように答えてしまう人も多いのではないでしょうか。

  • 甘いよ。それじゃあどの職場でもやっていけないよ。
  • みんな大変だよ。私なんか先週徹夜したんだから
  • 上司に直接相談してみたら?そろそろ転職も考えたら?

相手を評価したりすぐに解決策を提案したりして、相手の真意を理解する機会を失っています。

そうではなく、いったん自分の判断を保留して「この人は何を感じ、何を必要としているのか」を理解しようとする姿勢が大切です。

効果的な聞き方の具体例として、以下の3つがあります。

具体例
ねらい

具体的な言葉がけ

①オープンな質問をする

相手が自分の言葉で体験や感情を語れるよう促し、より深い理解につなげる。

  • 最近仕事で何か困ったことがあったの?
  • その状況についてもっと教えてくれる?
  • その状況で、あなたは今どう思っているの?

②言葉を反復、要約して確認する

相手の言葉を正確に理解しているか確認でき、「ちゃんと聴いている」という安心感を与える。

  • つまり、プロジェクトの方向性に不安を感じているということかな?
  • あなたが一番悩んでいるのは、〇〇ということで合っている?

③非言語メッセージに注目する

表情やしぐさなど全体から感情を読み取り、言葉にされていない気持ちを理解する。

相手の表情、声のトーン、姿勢などに注目し、「さっきより表情が暗くなったみたいだけど、何か他にも気になることがある?」と声をかける。

「聴く」スキルを磨くことは、相手の言葉の奥にある本当の気持ちや考えに寄り添う姿勢であり、人間関係の信頼構築においてとても大切な要素です。

自分の判断を押し付けることなく真摯に耳を傾けると、あなたとの対話が相手にとって安心できる場となり、より深い関係性を築くことができるでしょう。

相手に合わせたコミュニケーションスタイルを取る

相手のコミュニケーションスタイルを見極め、それに合わせたアプローチをすることで、誤解を減らし円滑な関係を築くことができます。

ここでは、4章で紹介した「コミュニケーションスタイルの違いを認識する」を踏まえて、4つのタイプに応じた実践的なアプローチの方法を紹介します。

例えば、職場で苦手な上司に企画書を見てもらう場合は、相手(上司)のタイプ別に以下のように伝えると効果的です。

分析型
【ポイント】根拠となるデータを前面に出し、論理的な構成を強調

【具体的な伝え方の例】
この企画の収益率は約20%で、市場調査データに基づくと成功確率は65%です。
詳細な数値分析は4ページ目にまとめました。特に競合分析のグラフをご確認いただけますか?

実行型
【ポイント】要点を簡潔に伝え、具体的な決断ポイントを明示

【具体的な伝え方の例】
企画の結論と期待する効果を1ページ目にまとめました。3ヶ月で実施可能で具体的なアクションプランは5ページ目に記載しています。特に決定が必要な2点について、ご判断いただけますか?

温和型
【ポイント】人間関係や協調性を強調

【具体的な伝え方の例】
この企画はチーム全員の意見を取り入れて作成しました。特にお客様からいただいたフィードバックを反映している点をご評価いただければと思います。ご不明点はどんなことでもお聞かせください。

直感型
【ポイント】大きな可能性や将来展望を強調

【具体的な伝え方の例】
この企画が実現すれば、業界での当社の位置づけが大きく変わる可能性があります。
特に将来展開について記載した最終ページのビジョンマップに、ご意見をいただけると嬉しいです。

相手のコミュニケーションスタイルを理解し、適切に対応することは、相手が理解しやすい言語で伝える「翻訳作業」だと考えましょう。

これからあなたが本当の意味で人間関係をラクにしたければ自己理解を深めよう

人間関係 うまくいかないイメージ③

ここまでで、人間関係をラクにするための3つのコツについてお伝えしました。あらためて人間関係の悩みを根本から解決したいなら、まず自分自身を深く理解することから始めてみましょう。

解説してきたように、人間関係の多くの問題は「相手への過度な期待」や「自分と他者の違いを受け入れられないこと」から生じています。

自己理解が深まれば、自分の傾向や価値観を客観的に把握でき、他者との違いを自然に受け入れられるようになるでしょう。

自己理解は客観的な視点から自分を見つめる必要があります。そのためには、専門的な心理分析ツールを活用するのが最も効果的です。

そこで便利なのが、LDcubeが提供する「LIFO(ライフォ)」というサービスです。

LIFOで自己のスタイルや価値観を明らかにしよう。

私たちLDcubeの「LIFO(ライフォ)」というプログラムには、以下の3つの魅力があります。

  • 20分程度の質問に答えるだけで自分の強みが明確になる
  • 4つの行動スタイルから自分の特性を科学的に分析できる
  • ストレス下での行動変化まで把握できる 

一般的な性格診断では、自分の性格タイプを知るだけで具体的な行動指針が得られないケースが多いのが現状です。

一方でLIFOでは、あなたの強みとなる行動スタイルを診断するだけでなく、その強みを日常生活や職場でどう活かせばよいかまで具体的に提案してもらえる点が大きな魅力です。

これにより、単に自分を知るだけでなく、人間関係や仕事の質を実際に向上させるための実践的なヒントが得られます。

また、普段の状態とストレス下での行動パターンの違いを同時に診断できるため、なぜ自分がプレッシャーを感じる状況で思わぬ反応をしてしまうのかが明確に理解できます。

人間関係をより良くし、自分の強みを最大限に活かしたい方は、ぜひLIFOによる自己理解サービスを活用してみてください。

リーダーシップ研修とは?概要や効果から実施の流れまで網羅して解説


まとめ

記事では「人間関係がうまくいかない」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

人間関係がうまくいかないのは、「相手に過度な期待をしていること」が原因として挙げられます。

ついやりがちな「相手に過度に期待してしまう4つのケース」は以下のとおりです。

  1. 自分の価値観を押し付けるケース
  2. 境界線を無視するケース
  3. 完璧を求めるケース
  4. 自分と同じ熱量を期待するケース

人間関係をうまくこなす秘訣として、以下3つを紹介しました。

  1. 【自己理解】自分と他人の違いを知る
  2. 【マインド】適切なマインドを身につける
  3. 【スキル】円滑なコミュニケーションスキルを実践する

人間関係を良くするためには、以下3つの側面で、自分と他人との違いを認識することからスタートします。

  1. 性格のタイプを理解する
  2. 価値観の多様性を受け入れる
  3. コミュニケーションスタイルの違いを認識する

次に、人間関係の悩みを根本から解消するには、以下2つの「適切なマインド」を身につけることが大切です。

  1. 性格のタイプを理解する
  2. 価値観の多様性を受け入れる
  3. コミュニケーションスタイルの違いを認識する

さらに、人間関係を円滑にする具体的なスキルとして、以下3つを実践すると良いでしょう。

  1. 自分の権利も相手の権利も尊重して伝える
  2. 相手の言葉の背後にある考えを理解しようとして「聴く」
  3. 相手に合わせたコミュニケーションスタイルを取る

本記事で紹介した「人間関係をうまくこなすための秘訣」3つを参考に、あなたの人間関係の悩みを少しずつ解決していきましょう。

相手に過度な期待をせずに適切な距離を保ちながら、心地よい人間関係を築いていけるばずです。

株式会社LDcubeでは、LIFO®プログラムを活用した研修会、eラーニング、LIFO®プログラムの社内インストラクター養成など幅広くご支援をしています。無料体験会なども行っています。お気軽にご相談ください。

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  やっぱり出社が必要?職場コミュニケーションが引き起こす問題と対処法とは? 近年、テレワークの普及などにより、職場のコミュニケーションの希薄化が進行しています。コミュニケーション不全を放置すると、生産性の低下や優秀な人材の流出など、企業に大きな損失をもたらしかねません。本記事では、職場コミュニケーションの問題点と、それを改善するための21の施策を詳しく解説します。 株式会社LDcube
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  新入社員のコミュニケーションの悩みに対する3つの解決策|ポイントを解説! 新入社員が抱えるコミュニケーション上の悩みを解決する方法をご紹介します。報連相や敬語の基本から、新入社員のコミュニケーションの悩みに効く研修プログラム、Z世代向けの学習環境構築まで、現場で使える具体的な解決策について解説します。 株式会社LDcube
  【全29個】ビジネススキル一覧表!階層ごとに必要なスキルも解説 ビジネススキルの習得はキャリアアップに欠かせません。しかし、「体系的な育成の仕組みを作りたいけど、どうすればいいかわからない...」そんな悩みを抱えている企業は少なくないでしょう。そこで今回は、カッツモデルに基づくビジネススキル一覧を紹介し、身につける方法などについて解説します。 株式会社LDcube


LDcube編集部
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株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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