
自己理解・自己分析を促すための行動特性診断 性格診断ツールとの違いも解説
自己理解や自己分析を促すためには時に診断ツールを活用することが効果的です。今回は行動特性診断について、性格診断との違いを交えて紹介します。あなたはどんな行動スタイルが好みでしょうか?
目次[非表示]
- 1.自己理解のための診断ツールを活用する意義
- 1.1.自己診断ツールの種類
- 2.自己分析 性格診断と行動特性診断の違い
- 3.行動特性診断 LIFO®について
- 3.1.LIFOプログラムの焦点
- 3.2.LIFOプログラム概要
- 3.3.LIFO®プログラム活用のバリエーション
- 4.活用シーン
- 4.1.企業内での活用
- 4.1.1.階層別研修での活用
- 4.1.2.目的別研修での活用
- 4.1.3.職場ワークショップでの活用
- 4.2.就活での活用
- 5.まとめ
自己理解のための診断ツールを活用する意義
個人やチームがさまざまな活動において成功を収めたり、重要な関わりを持つ人たちに何らかの好影響を与えたりするために、明確な方向性や手だてを提供してくれるのが自己理解です。その自己理解を深める情報源としては大きく5つあります。その5つの情報源の1つが診断ツールの活用です。
本章では診断ツールを活用する意義や診断ツールの種類などについて解説します。
▼ 合わせて
読みたい自己理解を深めるためにはさまざまな情報源から情報を得て、自分自身で振り返り、自分のことに対する理解を促していくことが必要です。自分で自分自身のことを考えたり、他者から指摘やフィードバックをもらったりすることが基本要素となります。
しかし、それだけでは情報が不足します。時には診断ツールを活用して、診断ツールの切り口から見ると自分はどのような特徴や傾向があるのかを診断してみることには意義があります。
例えば、自分の健康状態を知りたいとき、自分で自分の健康状態を考えたり、家族や友人から健康そうに見えるかどうか聞いたりするだけでは、健康状況を知れたとは言いにくいでしょう。健康診断に行って、血液検査の結果から、体重や身長の状況から、など「健康診断」という切り口から見ると、現在の自分の健康状態はどうなのかということをより詳しく知ることができます。
自己理解も同様に、自己診断ツールを活用することで、自分についてより詳細に無意識部分も含めて知ることが可能となります。
自己診断ツールの種類
診断ツールは無料と有料の2種類があります。その違いは診断結果の詳細度合いによるものです。
より詳細の診断結果を得るためには診断ツールの開発やその有用性検討・検証、診断結果のアウトプットをどのように提供するかについて診断結果を提供するまでに労力がかかるものです。そのため、詳細の診断結果が得られるものは有料です。有料のものほど詳細ではなく、簡易的な結果が得られるものは無料で提供していると考えられます。
一部詳細の結果が得られるものを無料で提供しているケースもあります。それは開発団体が非営利組織である場合や、診断を行うだけではあまり意味をなさず、診断結果を用いた有料のカウンセリングや研修会、コンサルティング等が必要な場合です。目的に応じて使い分けると良いでしょう。
自己分析 性格診断と行動特性診断の違い
自己分析するために診断ツールを活用するわけですが、そもそも自分の何を理解しようとするかで活用すべき診断ツールが変わってきます。性格診断や行動特性診断がよく活用される診断ツールとして挙げられますが、それらの違いは何でしょうか?
【パーソナリティーの構造】
その違いを理解するためには、個人のパーソナリティーの構造について知る必要があります。パーソナリティーの構造はこのように図示されます。
真中に「気質」があります。誰しも生まれ持った気質というものがあり、気質は変わることがないといわれています。気質の例として挙げられるのが血液型です。「O型」という人がいたとして自分はB型になりたいと思ったとしてもそれは変わることがありません。
そして、気質の周囲に「性格」があります。主に生まれてから小学校に入るくらいまでの期間で形成されていくと言われています。昔から「三つ子の魂百まで」と言われていますが、性格は幼い頃から安易に変わることがないということは、まさに心理学などが研究される前から経験則的に言い伝えられてきている本質なのかもしれません。
その「性格」の周囲には「価値観・哲学・信念体系・世界観」があります。これは生きていく中でさまざまなものに触れ、経験を重ねていく過程で成人になるに従って徐々に形成されていきます。
その「価値観・哲学・信念体系・世界観」の周囲に「環境」があり、その周囲に「行動」があります。
個人個人、自分の価値観・哲学・信念体系・世界観に従って、置かれた「環境」の中で自分が最適だと思う「行動」を選択しています。
この円の中心部分に近づけば近づくほど、変わりにくいと言われています。前述のとおり、気質は変わりませんし、性格もほとんど変わらないと言われています。
この部分を診断している診断ツールが「性格診断」です。
一方、価値観・哲学・信念体系・世界観や環境、行動は状況によって変動することがあり、変わることもあれば、変えることもできると言われています。
この部分を診断している診断ツールが「行動特性診断」です。
行動特性診断 LIFO®について
弊社が提供している「 LIFO®サーベイ」という診断ツールは性格診断ではなく、行動特性診断です。18問の質問に回答することで結果が得られます。
1960年前半、アメリカ南カリフォルニア大学のスチュアート・アトキンズ博士とエリアス・ポーター博士は、人間の行動スタイルを調査し、それを診断するツールを開発しました。その後1967年、両博士はエーリッヒ・フロムの性格分析をベースにして、アブラハム・マズローの欲求段階説、カール・ロジャースの来談者中心カウンセリングなど、現在のポジティブ心理学の根底にある理論を参考に行動特性にフォーカスしたLIFO®理論とLIFO®サーベイ(診断)を完成させました。
LIFOプログラムの焦点
図のように、LIFO®プログラムは変わりにくい気質や性格ではなく、変わることがあり、変えることができる価値観や行動に焦点を当てています。
LIFOプログラム概要
仮に一人の人間が、上下左右4つの方向にそれぞれ世の中を見るために開けられた窓のある部屋にいるとします。同じ世の中を見ているのですが、窓の開けられた方向によって見えている景色が違っているので、触発される考え方が変わってくる可能性があります。
例えば上のSG(支持・放棄)の窓からは荘厳な山が見えています。その景色を眺めると、「世の中は理想に向けて優秀性を大事にしながら物事に対処すればうまくいく」との気持ちが高まり、右のCT(統制・争奪)の稲妻が見えている窓からは、「素早く力強く行動を起こして行けばうまくいく」という気になりますし、下のCH(慎重・固執)の星座が見えている窓からは、「理路整然と冷静に理性を持って物事に対処したい」、左のAD(適応・妥協)の虹の窓からは「明るく楽しく調和を重んじて対処すればうまくいく」という気持ちが高まります。
誰もが4つの窓を持っているのですが、今までの経験や影響を受けてきたことから、好む窓、よく使う窓が固定化してしまうことが考えられるのです。ある人は上の窓と右側の窓を選んで、そこから世の中を見るようになるかもしれません。
また、ある人は自分の左側と下の窓を選んで世の中を見るようになるかもしれません。人と人との問題は、人生の方向付けや、世の中に対する見方や反応の仕方の違いに起因していることがあります。もし好む窓が異なる2人が世の中のことを話すなら、まったく異なる世界のことを話しているようになるでしょう。そしてその2人が一緒に働くなら、世界観の違いは、誤解や欲求不満や葛藤にまで発展してしまうでしょう。
さて、あなたはどの行動スタイルが好みでしょうか?感覚的にこのスタイルかな?いやこっちかな?と思うかもしれません。診断ツールを使うと、どのスタイルをどの程度好んでいるのかがスコアで出てきますので、自己理解を深めることに活用できます。
また、LIFO®プログラムは人を型に当てはめて、タイプ分けするものではありません。LIFO®サーベイの結果は「性格のタイプ」を知るものではなく、価値観や行動の好みを示すもので、好みは流動的なものであり固定的なものではないのです。ご自身のお立場や職種が変わると好みが変わることが多いです。それ故、定期的に活用いただくことも多いのです。
程度の差こそあれ、誰もが4つのスタイルのどれに対しても好む気持ちを持っているのです。
LIFO®プログラム活用のバリエーション
LIFO®プログラムは、開発されてからしばらくは、開発者の博士たちや協力するコンサルタントなどによって、主に集合研修やパーソナルコーチングで活用されてきました。診断ツールもしばらくは紙ベースで展開されてきました。
現在は、診断ツールは紙ベースに加え、オンラインでPCでもスマホでも受けることが可能です。LIFO®の概念や診断を踏まえた自己理解を促すためのeラーニングを受講することもできます。診断結果に基づく詳細を解説した個人レポートの提供もします。このLIFO®理論をしっかりと学習しライセンスを取得することで、プロ講師として研修サービスを提供することも可能ですし、社内講師としてLIFO®プログラムのライセンスを取得し、プロ講師さながらの研修を社内で展開することもできます。さまざまなスタイルで50年以上の長きにわたり世界中で活用されている診断ツールを活用することが可能です。
活用シーン
自己理解のための診断ツール「LIFO®プログラム」は世界中でさまざまなシーンで活用されています。企業内においても、学生の就活においても活用できます。今回はその例をご紹介します。
企業内での活用
階層別研修での活用
新入社員から若手・中堅社員研修、管理職研修、役員研修など自己理解をベースとしたコミュニケーション力向上やリーダーシッププログラム、マネジメント強化や1on1スキル向上などです。
目的別研修での活用
LIFO®プログラムは自己理解をベースにさまざまなシーンで活用していただけるよう、診断に豊富なバリエーションを用意しています。タイムマネジメント診断、セールス診断、コーチング診断など多くの種類があります。タイムマネジメント研修や営業研修などの目的別研修でも多く活用されています。
職場ワークショップでの活用
階層別研修や目的別研修は職場の人たちが全員受講するものではありません。例えばこんな声をよくいただきます。階層別研修でコミュニケーション向上について受講してきた若手社員から「この研修を職場の他のメンバーにも受講してほしい。そうすることで職場内でのコミュニケーションのあり方が変わりそう」という声です。
階層別研修では受講者個人の能力開発を目的に実施されます。職場でのコミュニケーションが実際に変わるかどうかまでを担保していません。
一方、最近増えているのが、職場単位でワークショップを実施するというスタイルです。階層別研修で個人の能力開発をねらいとするのではなく、職場単位で個人の能力開発を狙いながら、同時に職場メンバー全員で受講することによって職場でのコミュニケーションのあり方にも変化をもたらします。
実際に職場ぐるみでワークショップを実施することで、職場内でのコミュニケーションの取り方が変わりましたという報告が数多く挙げられています。
就活での活用
LIFO®プログラムは自己の行動特性を診断し、自己理解を促すものです。そのため、就職活動をしている学生の活用も数多くあります。学生生協や就職活動支援部署などが企画し、学生対象の「自分の強み発見セミナー」のような形式で半日程度の研修会スタイルで実施することが多いです。診断結果や個人レポートを活用することで、自分の強みを的確に把握し、それを就職活動に生かすことが可能となります。
また、株式会社ビジネスコンサルタントでは、2011年より新入社員研修実施時に新入社員に対してアンケートを実施しています。社会人基礎力をベースとしたアンケートを社会人になりたての方々に回答いただいています。その結果も、新社会人となる方々の得意・不得意がどんなものかを知る手掛かりとなりますし、採用活動を行っている企業の人事部門がどんな新人を欲しているのかを知る手掛かりにもなります。
株式会社LDcubeでは新人アンケート結果を踏まえた内定者プログラムなどの提供もしています。
まとめ
以上のように自己理解・自己分析を促すための行動特性診断、性格診断ツールとの違いについて解説してきました。
行動特性診断を活用することで、意識的・無意識的な行動においての自分の強みを確認することができます。それを知ってさまざまなアクションをするのと、知らずにアクションをするのではその結果に差が出てきます。時には自分自身の行動特性について診断してみてはいかがでしょうか。LIFO®プログラムは長い歴史を有し、さまざまなシーン、さまざまな活用方法でご利用いただけます。株式会社LDcubeでは、LIFO®プログラムを活用した研修会、eラーニング、LIFO®プログラムの社内インストラクター養成など幅広くご支援をしています。お気軽にご相談ください。