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「職場の人間関係ストレス」に悩む人へ。心と体を守る16のテクニック

「職場のストレスで、胃が痛くなる」
「上司の顔色をうかがうのは、もう疲れた」
「会社のことを考えると、夜も眠れない──」

このような苦しい思いを抱えている方は、けして一人ではありません。職場の人間関係によるストレスは、現代社会において深刻なメンタルヘルスの問題です。

	職場の人間関係ストレス_気付かないうちに心と体に大きな負担(メンタルヘルス不調・集中力低下・生産性悪化・休職や離職のリスク)

毎日顔を合わせる職場での緊張関係や対立は、気づかないうちに心と体に大きな負担をかけています。不和が続くと、集中力低下や生産性悪化、さらには休職や離職にもつながりかねません。

この記事では、職場の人間関係ストレスに悩む方のために、根本原因の解決から今すぐ実践できる即効性のある対処法まで、人間関係を円満にする方法をご紹介します。

「もう限界かも」と感じている方も、「なんとなくモヤモヤする」という方も、自分に合った解決の糸口が見つかるはずです。充実した毎日を取り戻すための第一歩を、一緒に踏み出しましょう。

▼人間関係を改善するワークショップで行っている内容を記事にまとめました。
⇒【プチ診断付き】人間関係で疲れた方へ/少し気が楽になる捉え方のコツ!

  【プチ診断付き】人間関係で疲れた方へ/少し気が楽になる捉え方のコツ! 本記事はチャレンジ企画です。私がお客さま先で人間関係を円滑にするためのワークショップを本格的に展開する前に、考え方が合うかどうかを確認するために行うワークショップ体験会で実施している内容をできる限り専門用語を使わずに分かりやすく誌上講義します。 株式会社LDcube

▼人間関係(コミュニケーション)についてはテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。

▼人間関係(コミュニケーション)のベースは自己理解です。

自己理解バナー

目次[非表示]

  1. 1.職場の人間関係ストレスは放置しないことが大切
    1. 1.1.ストレスを感じながら働いている人は82.7%
    2. 1.2.職場の対人関係に悩む人は29.6%
    3. 1.3.職場のストレスを放置するとどうなる?
    4. 1.4.自分のストレスレベルをチェックする方法
  2. 2. 職場の人間関係ストレスが生じる原因と対策を理解しよう
    1. 2.1.価値観の不一致から生まれる対立を解消する
    2. 2.2.コミュニケーションスタイルの違いが引き起こす誤解を防ぐ
    3. 2.3.上司や部下との関係性で生じるストレスから抜け出す
    4. 2.4.同僚との過度な競争関係を協力関係に転換する
    5. 2.5.HSP気質の人が職場で感じやすい特有のストレスに対処する
    6. 2.6.(改善が難しい場合)部署異動や転職に踏み切る
  3. 3.人間関係ストレスに即効性のある対処を実践しよう
    1. 3.1.ストレスを感じた瞬間にリフレッシュテクニックを使う
    2. 3.2.ネガティブな感情をコントロールする
    3. 3.3.相手に過度に期待しない割り切り思考で心の余裕を作る
    4. 3.4.アサーティブに自分の意見を伝えて境界線を守る
  4. 4.仕事とプライベートのバランスを整えて心身の健康を守る習慣を身に付けよう
    1. 4.1.質の高い睡眠で回復力を高める
    2. 4.2.ストレス解消効果の高い運動を取り入れる
    3. 4.3.オフの時間を充実させて心のエネルギーを補充する
    4. 4.4.ワークライフバランスを見直して職場ストレスに振り回されない
    5. 4.5.専門家のサポートを受ける
  5. 5.まとめ

職場の人間関係ストレスは放置しないことが大切

人間関係に悩んでいるイメージ

職場の人間関係ストレスは、単なる気分の問題ではありません。心や体に影響がありますので、放置しないことが大切です。最初に以下のポイントを確認しましょう。

  1. ストレスを感じながら働いている人は82.7%
  2. 職場の対人関係に悩む人は29.6%
  3. 職場のストレスを放置するとどうなる?
  4. 自分のストレスレベルをチェックする方法

ストレスを感じながら働いている人は82.7%

現代の働く人の多くが、強いストレスを抱えています。

厚生労働省の調査によれば、仕事や職業生活で強い不安・悩み・ストレスを感じている労働者は全体の82.7%(2023年)にのぼります。

仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合のグラフ

出典:厚生労働省「令和6年版 過労死等防止対策白書」

職場の対人関係に悩む人は29.6%

一方、ストレス要因として「対人関係(セクハラ・パワハラ含む)」が29.6%を占め、約3割の人は人間関係に悩んでいることがわかります。

「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」とした労働者のうち、その内容

出典:厚生労働省「令和6年版 過労死等防止対策白書」を加工

ストレスを抱えたとき、「自分が弱いのではないか」「自分が我慢すればよいのではないか」と考えてしまう人もいます。

しかしながら、自分だけが悩んでいるわけではないと理解して、解決のために一歩を踏み出すことが大切です。

職場のストレスを放置するとどうなる?

職場の人間関係によるストレスが深刻なのは、「心身の健康と仕事の質」の両方に大きな影響を及ぼしてしまうからです。

ストレスを感じると体内でストレスホルモン(アドレナリンやコルチゾール)が大量に分泌されます。短期的には心拍数や血圧を上げて一時的に身体を戦闘モードにしますが、問題は、ストレス状態が続いたときです。

強いストレスを受け続けると、脳内のセロトニンなど神経伝達物質の分泌が乱れ、うつ病の発症リスクが高まります。

職場のストレスを放置すると「心身の健康と仕事の質」の両方に大きな影響

長期間にわたり高濃度のコルチゾールにさらされると、体の免疫反応が抑制され病気にかかりやすくなります。慢性的なコルチゾール過剰は、海馬(記憶を司る脳の一部)の萎縮など、脳にも障害を与えることがわかっています。

仕事上のパフォーマンスでは、集中力や判断力の低下、思考力や記憶力の衰えといった影響が出ます。さらなるストレスを生み出す負のスパイラルに陥るリスクがあります。

参考:労働安全衛生総合研究所「ストレスホルモンを測る」

自分のストレスレベルをチェックする方法

自分でも気づかぬうちに深刻なストレスを抱えてしまわないように、自分がどの程度のストレス状態にあるのか、客観的に把握することがまず大切です。

セルフチェックポイント

  • 身体的サインの確認
    頭痛・肩こり・胃の不調・動悸・めまい・睡眠障害などの身体症状に注目します。普段なら感じない症状や、休日に改善するのに平日になると再発する症状がある場合は、要注意です。

  • 精神的サインの観察
    イライラ感・不安感・憂うつな気分・集中力低下・物事への興味減退・被害妄想的な考えなどが増えていないか振り返ります。「以前よりささいなことで怒りっぽくなった」などの変化に気づくことが大切です。 

  • 行動パターンの変化
    食欲の変化(過食または食欲不振)、アルコール摂取量の増加、趣味や楽しみにしていたことへの意欲低下、遅刻や欠勤の増加など、普段の習慣や行動に変化がないか確認します。

  • 対人関係の変化
    周囲との会話が減った、家族や友人との交流を避けるようになった、ささいなことで対立するようになったなど、他者との関わり方に変化がないか振り返ってみます。

  • 仕事への態度
    「会社に行きたくない」と強く感じる日が増えた、仕事に対する達成感や充実感が減った、将来への不安や悲観的な考えが増えたなど、仕事に対する見方や姿勢の変化にも注目します。

また、厚生労働省が提供している「5分でできる職場のストレスセルフチェック」も便利です。

5分でできる職場のストレスセルフチェック

出典:こころの耳「5分でできる職場のストレスセルフチェック」

この後、本記事では自分でできるストレス対策をご紹介していきます。セルフチェックの結果、深刻なストレスレベルにある場合は、必要に応じて専門家に相談することも検討しましょう。

 職場の人間関係ストレスが生じる原因と対策を理解しよう

ストレスのイメージ画像

さて、ここからは具体的に、職場の人間関係ストレスに対処するテクニックをご紹介していきます。

まず、「何が自分にとってのストレス源になっているのか?」を理解する必要があります。自分の状況に合った解決策を見つけるために、原因を探りながら対策を確認しましょう。

  1. 価値観の不一致から生まれる対立を解消する
  2. コミュニケーションスタイルの違いが引き起こす誤解を防ぐ
  3. 上司や部下との関係性で生じるストレスから抜け出す
  4. 同僚との過度な競争関係を協力関係に転換する
  5. HSP気質の人が職場で感じやすい特有のストレスに対処する
  6. (改善が難しい場合)部署異動や転職に踏み切る

なお、職場の人間関係向上を目指す人事担当・上級管理職の方向けの情報は、以下の資料に体系的にまとめていますのでご活用ください。

職場活性化バナー

価値観の不一致から生まれる対立を解消する

人それぞれ、仕事に対する価値観や重視するものは異なります。この違いが理解されないと、職場でのあつれきやストレスの原因となります。

価値観の不一致から生まれる対立を解消する

価値観の不一致が引き起こすストレス

  • 仕事観のギャップ
    たとえば「仕事は多少つらくても歯を食いしばってやるべきだ」と考える人と「無理せずワークライフバランスを大事にしたい」と考える人の間には大きな溝が生まれます。とくに経営層・マネジメント層と現場従業員との意識のズレは、大きな摩擦や不満を生みやすいので注意が必要です。

  • 成果の評価基準
    「何時間働いたか」を重視する人と「どれだけ効率よく結果を出したか」を重視する人では、評価の軸が根本的に違います。自分では真面目にやっているのに、上司の価値観では評価されないという経験が続くと大きなプレッシャーとなり、強いストレスを感じることがあります。

  • コミットメントの度合い
    「仕事に人生を捧げる」タイプの人と「仕事はあくまで生活の一部」と考えるタイプの人が同じチームにいると、お互いの姿勢や取り組み方に不満を感じやすくなります。価値観の違いを理解せずに「怠けている」「仕事中毒だ」と決めつけると、チーム内の信頼関係が損なわれます。

  • 世代間ギャップ
    異なる時代背景で育った世代では、仕事に対する考え方や理想とする働き方が大きく異なることがあります。「若手は最近の風潮で自分勝手だ」と上司がいら立ち、部下は「上司が古い考えを押し付けてくる」と反発するような負のスパイラルに陥ることも少なくありません。

じつは、上記のように「価値観の不一致」に思いを巡らせるだけでも、大きな前進です。

というのは、ストレスを感じるのは、心の底では「同じ感覚を共有できるはず」と信じているからです。「そもそも、相手と自分は違うのだ」と理解するだけで、ストレスが消えることもあります。

このような価値観の違いをより深く知りたい方には、4つの窓を使ったフレームワークがおすすめです。

4つの窓を使ったフレームワーク(山の窓、稲妻の窓、星座の窓、虹の窓)

このフレームワークでは、人は「山」「稲妻」「星座」「虹」という4つの窓を通して世界を見ている、という考え方に基づいて価値観を捉えます。

詳しくは「【プチ診断付き】人間関係で疲れた方へ/少し気が楽になる捉え方のコツ!」で紹介している簡易診断を試してみてください。自分や周囲の人がどの窓を好んで使っているかがわかり、人間関係の理解が深まるでしょう。

コミュニケーションスタイルの違いが引き起こす誤解を防ぐ

同じ言葉を話していても、伝え方や受け取り方のスタイルが人によって異なるため、誤解が生じてストレスにつながることがあります。効果的なコミュニケーションを実現するには、この違いを認識することが重要です。

コミュニケーションスタイルの違いが引き起こす誤解を防ぐ

コミュニケーション不全とその影響

  • 指示の曖昧さ
    上司が部下に「なるべく早く」「できる限り対応して」といった表現で指示を出すケースがあります。これらの曖昧な表現では人によって解釈が異なり、「何をどこまでやればよいのか」「いつまでに完了すべきか」といった不安を生み、受け手はストレスを感じやすくなります。

  • フィードバックの不足
    仕事の評価や進捗に関するフィードバックが少ないと、「自分のやり方は合っているのか」「上司は満足しているのか」といった不安が高まります。とくに新人や異動してきたばかりの従業員は、具体的な指導やフィードバックがないとストレスを感じやすい傾向があります。

  • コミュニケーション頻度の好み
    頻繁に話し合いたいタイプの人と、一度指示を出したらあとは任せたいタイプの人では、適切なコミュニケーション量の認識に大きな差があります。前者は「放置されている」と感じ、後者は「うるさく干渉される」と感じてしまうことがあります。

  • 非言語コミュニケーションの違い
    表情、声のトーン、姿勢などの非言語要素も重要なメッセージを伝えます。感情表現が豊かな人とそうでない人が一緒に働くと、「冷たい」「大げさだ」といった誤解が生まれやすくなります。

このようなコミュニケーションスタイルの違いは、「相手の特性」として受け止めることで対処可能です。

最初から相手と自分のスタイルの違いを意識し、必要に応じて「締切はいつですか?」と確認したり、「私からの連絡は週1回で十分ですか?」と好みを聞いたりして、先手を打ちましょう。

上司や部下との関係性で生じるストレスから抜け出す

職場の人間関係ストレスでは、上司と部下の関係に起因するものが少なくありません。とくに中間管理職は上からの指示と部下の現状の間で板挟みになりやすく、強いストレスを感じることがあります。

上司や部下の関係性で生じるストレスから抜け出す(定期的な1on1や期待値調整)

上下関係のストレス要因

  • パワーハラスメント
    上司から部下への脅し、侮辱、無視、過大な要求などの行為は、深刻な心理的ダメージを与えます。「上司が部下を人前で罵倒する」「無理難題を押し付ける」「無視や仲間外れにする」などの行為は、部下の心に大きな傷を残します。

  • マネジメント方針の不一致
    部下が「報告・連絡・相談」をしようにも、上司が高圧的で聞く耳を持たなかったり、反対に放任しすぎたりして何のサポートもしてくれないと、部下は不安を抱えながら孤軍奮闘することになります。自分のスタンスと合わない上司との関係は、大きなストレス源になります。

  • 期待値の乖離
    上司が部下に対して持つ期待と、部下の能力や状況に大きなギャップがあると、双方にストレスが生じます。上司は「なぜできないのか」といら立ち、部下は「無理な要求をされている」と感じて疲弊します。

  • 責任と権限のアンバランス
    責任だけを負わされて、それに見合う権限や裁量が与えられないと、仕事を円滑に進められず大きなストレスとなります。なかでも中間管理職は、上司からの厳しい要求を部下に伝えなければならない立場でありながら、自分で決定できる範囲が限られていることでジレンマを感じやすいでしょう。

上下関係のストレスに対処するには、まず自分の立場や役割を明確にすることが大切です。上司や部下との定期的な1on1ミーティングを設け、期待値のすり合わせやフィードバックの機会を作ると、関係性が改善することも少なくありません。

一方、部下の立場にある方には、すぐに環境を変えることが難しい場合もあるでしょう。そのような状況では、まず自分を守ることを最優先に考えてください。

とくに、ハラスメントがある場合は、我慢せずに社内の相談窓口や産業医、場合によっては外部の専門機関に相談することをためらわないでください。あなたの心身の健康が最も大切です。

同僚との過度な競争関係を協力関係に転換する

同僚同士の関係にもストレスの種が潜んでいます。とくに昇進枠や評価が限られている環境では競争が激しくなり、人間関係がぎくしゃくしてしまうことがあります。

同僚との過度な競争関係を協力関係に転換する(共通目標による協力関係構築)

同僚間で生じやすいあつれき

  • 競争の過熱
    昇進や評価、ボーナスなどが限られるなかで、同僚はしばしばライバルとなります。「同期のAさんに負けたくない」という意識が強すぎると協力できなくなり、互いにけん制し合ったり足を引っ張り合ったりする不健全な競争が生まれ、職場に緊張感が漂います。

  • 嫉妬心の芽生え
    後輩が先に昇進したり、同僚が上層部に気に入られているように見えたりすると、つい妬ましく感じてしまうことがあります。こうした感情は自分を苦しめるだけでなく、嫉妬された側も居づらさを感じてしまいます。

  • 情報共有の不足
    競争意識から情報を独占しようとする行動が生まれると、チーム全体のパフォーマンスが低下します。重要な情報が共有されずに孤立が生じるチームでは、ミスや重複作業が発生しやすくなります。

  • グループ化と排他性
    一部の人が「仲良しグループ」を作り他を排他的に扱うことも問題です。このような社内いじめや派閥が形成されると、当人たちだけでなく周囲も気を遣って疲弊し、職場全体の雰囲気が悪化します。

競争から協力へのシフトには、まず「Win-Win」の発想を持つことが重要です。同僚の成功が自分のためにもなる状況を意識的に作り、共通の目標に向かって協力する関係を構築しましょう。

なかなか実践は難しいものですが、誰かが突破口となれば、職場の雰囲気は変化します。まずは自分から、情報共有や助け合いの行動を始めてみましょう。

HSP気質の人が職場で感じやすい特有のストレスに対処する

HSP(Highly Sensitive Person:とても繊細な人)と呼ばれる気質の人は、他人の気分や環境の刺激を敏感に察知しやすい特性を持ちます。

この特性自体は良し悪しではなく個性ですが、職場環境によってはストレスに直結することがあります。

HSP気質の人が職場で感じやすい特有のストレスに対処する(自分の特性を理解し受け入れる)

HSPの特徴と職場で起きやすい反応

  • 感受性の高さ
    HSPの人は、音や光、人の表情や言葉のニュアンスなど、環境からのさまざまな刺激に敏感に反応します。職場でほかの人なら気にならないような小さな摩擦や周囲の緊張感にも強く反応してしまい、ストレスを感じやすい傾向があります。

  • 共感力の強さ
    他者の感情を察知する能力が高く、周囲の人のネガティブな感情に影響されやすい特徴があります。職場で誰かが怒られている場面を見るだけで自分まで落ち込んでしまったり、チーム内の緊張関係を敏感に感じ取って疲れてしまったりします。

  • 過度な自己批判
    HSPの人は自分の言動や仕事の成果を細かく分析する傾向があり、「もっとうまくできたはず」と自分を責めがちです。また、「自分だけ敏感すぎる」「弱い」と感じて自己否定的になり、さらにストレスを抱え込むこともあります。

  • 環境への適応
    オープンオフィスの騒音や明るすぎる照明、頻繁な打ち合わせなど、刺激の多い環境でのストレスが蓄積しやすい傾向があります。一日中、会議続きで刺激が多いと非常に疲れてしまったり、相手の何気ない一言を深読みしたりしてしまい、くよくよ悩むケースもあります。

HSPの人がストレスと上手く付き合うには、自分の特性を理解し受け入れることが第一歩です。無理に「鈍感になろう」とするのではなく、定期的に静かな環境で休息を取る、刺激の多い会議の後は一人で過ごす時間を作るなど、自分なりのリカバリー方法を見つけることが大切です。

HSPを理解するためには、関連書籍で学んでみることをおすすめします。
⇒ HSPの関連書籍(リンク先はAmazon)

また、HSPだからといって職場での協働に不向きというわけではありません。大阪大学の研究でも「HSPは同僚に共感しやすく、周囲と協力して仕事を進めるポジティブな側面も持つ」と指摘されています。細部への気配りや洞察力の高さは、チームの大きな強みになります。

出典:NHK「HSP(とても繊細な人)ってなに?」ResOU「\ストレスは感じやすいが、周囲を思いやって仕事ができる!/ 企業で働くHSPの特性を解明」

(改善が難しい場合)部署異動や転職に踏み切る

ストレス源を理解して対処しようとしても、改善が難しい場合の部署異動や転職の判断基準について触れておきます。

どんな対策をしても人間関係のストレスが解消せず、心身の健康が脅かされている場合、環境を変える決断も必要です。

部署移動や転職に踏み切る(心身のサイン⇒逃げることも勇気)

環境変更の判断ポイント

  • 身体的・精神的サインを見逃さない
    「出勤しようとすると動悸や腹痛が起きる」「会社に行くことを考えるだけで眠れない」といった症状は、仕事への強い拒絶反応であり危険信号です。仕事中に涙が出て止まらない、ささいなミスでパニックになるといった状況も、心が悲鳴を上げている証拠であり、環境変更を考えるべきサインです。

  • 職場環境の健全性を評価する
    パワハラやいじめが横行していたり、上司がハラスメント加害をしていたりするのに会社が対策をとらないような場合は、不健全な環境といえます。2020年(中小企業は2022年)から企業にパワハラ防止措置が義務付けられましたが、実際には泣き寝入りしているケースもあります。自分や周囲が被害を受けている状況で改善が見込めないなら、環境を変えることも選択肢です。

  • 価値観のミスマッチ度合いを確認する
    「会社や上司の価値観と自分の価値観がどうしても合わず、この先も変わりそうにない」と明確に感じた場合も、判断材料になります。会社によって文化はさまざまですから、もっと自分に合う環境に移ればストレスなく実力を発揮できる可能性があります。たとえば「顧客第一で徹夜も辞さない」という社風についていけず、周囲から根性が足りないと言われ続けるような状況は長期的にはつらく感じる人もいるでしょう。

  • 客観的な意見を参考にする
    信頼できる友人や家族、外部のキャリアカウンセラーなど第三者に状況を話し、客観的な意見を求めることも大切です。自分では「まだ頑張れる」と思っていても、周囲から見ると「それは限界を超えている」と判断される場合もあります。自分以外の視点を取り入れて、冷静に状況を判断しましょう。

転職はリスクも伴いますし、環境を変えることで別の問題が発生する可能性もあります。しかし、自分の心身を守ることが最優先です。耐え難いストレスでつぶれてしまう前に、逃げることも勇気です。

状況によっては「逃げてもいい」と自分に許可を与え、将来に向けた前向きな選択として捉えてください。

参考:厚生労働省「職場におけるパワーハラスメント対策が 事業主の義務になりました」

人間関係ストレスに即効性のある対処を実践しよう

ストレス対象法を実践しているイメージ

前章では根本原因の分析を見てきましたが、今すぐ心の負担を軽くするために、即効性のあるテクニックを身に付けることも役立ちます。

以下では、ストレスを感じたその場で実践できる対処法をご紹介します。

  1. ストレスを感じた瞬間にリフレッシュテクニックを使う
  2. ネガティブな感情をコントロールする
  3. 相手に過度に期待しない割り切り思考で心の余裕を作る
  4. アサーティブに自分の意見を伝えて境界線を守る

ストレスを感じた瞬間にリフレッシュテクニックを使う

ストレスを感じたら、こまめにリフレッシュすることが大切です。仕事中にできるちょっとした気分転換は、溜まりかけたストレスをその場で放出し、長引かせない効果があります。

クイックリフレッシュ法の例

  • デスクストレッチ
    デスクワークで凝り固まった首や肩をゆっくり回したり、腕を伸ばしたりします。頭を左右に傾ける、肩を上げて下げる、背中を反らせるなどの簡単なストレッチでも、血流が改善して筋肉の緊張がほぐれます。

  • マイクロブレイク
    1~2時間に一度、ほんの3分でもよいので意識的に休憩を取ります。立ち上がって窓の外を眺める、水分補給をする、階段を上り下りするなど、単純な行動でも気分転換になります。パソコン作業が続くと目も脳も疲れるので、意識的に画面から目を離す時間を作ることが大切です。

  • 五感を刺激する
    五感を使ったリフレッシュも効果的です。お気に入りの音楽をイヤホンで聞く(聴覚)、リラックス効果のあるアロマをデスクに置く(嗅覚)、ガムを噛んでみる(味覚・触覚)など、自分に合った方法で感覚を刺激してみましょう。

大事なのは、「ストレスを感じているな」と気づいたら短い休息を入れる習慣です。

忙しいときほど休憩を後回しにしがちですが、結果的にミスが増えたり能率が落ちたりします。適度にリフレッシュすると気持ちが切り替わり、その後の作業効率はむしろ上がります。

ネガティブな感情をコントロールする

仕事中、強いストレスを感じたときは、まず自分の心と体を落ち着かせることが大切です。

「呼吸法」や「マインドフルネス瞑想」は、専門的な道具を必要とせず、どこでもすぐに実践できる効果的な方法です。

ネガティブな感情に即効性のある手法

  • 腹式呼吸
    ストレスや緊張を感じているとき、人の呼吸は浅く速くなりがちです。背筋を伸ばしてリラックスできる姿勢をとり、お腹に手を当てて口からゆっくり息を吐き出しましょう。吐き切ったら、今度は鼻から自然に息を吸い込みます。 “吐く息を長くする” ことがポイントで、5分程度続けると副交感神経が優位になり心拍や血圧が安定してきます。

  • 4-7-8呼吸法
    4カウントで鼻から息を吸い、7カウント息を止め、8カウントで口から息を吐き出す呼吸法です。自律神経のバランスを整えるのに役立ちます。緊張する場面(会議の前、人前で話す前、怒りを感じたときなど)で数回行うだけでも心拍数が落ち着き、頭がクリアになります。

  • マインドフルネス瞑想
    「今、この瞬間に意識を集中させる」心のトレーニングです。できれば静かな場所で楽な姿勢になり、目を閉じて呼吸に意識を向けます。息を吸うときは吸うこと、吐くときは吐くことだけに意識を集中させます。雑念が浮かんできても、それを追いかけず「今は呼吸に意識を戻そう」と繰り返します。

  • ボディスキャン
    足の先から頭まで、順番に体の各部位に意識を向け、そこにある感覚(温かさ、重さ、軽さなど)を単に観察する技法です。全身の緊張に気づき、意識的に力を抜きやすくなります。とくに肩や首、顔の筋肉の緊張を解くと、精神的にもリラックスできます。

呼吸法と瞑想は道具も場所も選ばずできるセルフケアです。最初は1分程度の短い時間から始め、慣れてきたら少しずつ時間を延ばしていくのが継続のコツです。忙しい仕事の合間でも、トイレや休憩室で1~3分だけ目を閉じて呼吸に集中するだけでリフレッシュ効果があります。

上記では簡単に概要だけご紹介していますが、興味を惹かれる手法があったら、検索したり関連書籍を読んだりして、理解を深めてみてください。

相手に過度に期待しない割り切り思考で心の余裕を作る

ストレスへの対処法として、ものの考え方(認知)を調整することも有効です。とくに人間関係の悩みは、相手を変えることが難しいからこそ、自分の受け止め方を工夫することで楽になる場合があります。

心の余裕を作る思考法

  • 仕事上の付き合いと割り切る
    「この人とは仕事上の付き合いだけで十分」とドライに割り切ると、自分の心を守れます。これは人間関係を諦めるのではなく、必要以上に踏み込みすぎない境界線を引くということです。ストレスを感じているときは、相手との距離感が近づきすぎていることが多いので、意識して調整するとストレスを軽減できます。

  • 完璧主義を手放す
    「あの人とも仲良くしなければ」と自分を追い込んでいないか、振り返ってみましょう。「こうでなければ」という思い込みをいったん置き、「まあ、いいか」「できる範囲でやろう」とつぶやいてみます。完璧を目指すのをやめると、心がグッと楽になります。

  • 全員に好かれるのは不可能という認識
    職場で合わない人がいるとき、その人に無理に好かれようと悩むより「全員に好かれるのは無理」と割り切ることも知恵です。人にはさまざまな性格・価値観があるので、誰とでもわかり合うのは現実的ではありません。

割り切るべきところは割り切り、執着しすぎない心構えを持つと、対人ストレスはずいぶん軽減されます。心理学では、こうした認知の切り替え(リフレーミング)はストレス対処の基本とされており、実践を重ねるほど自然にできるようになります。

アサーティブに自分の意見を伝えて境界線を守る

ストレスフリーな人間関係を築くには、コミュニケーションの技術も役立ちます。とくにおすすめなのが「アサーティブコミュニケーション」で、自分も相手も大切にする対話方法です。

アサーティブコミュニケーションの実践ポイント

  • アサーティブの基本姿勢
    アサーティブコミュニケーションは、自分の意見や気持ちを正直に伝えつつ、同時に相手の意見や感情も尊重するスタイルです。攻撃的でもなく、遠慮しすぎるでもない、中間のバランスの取れた伝え方を心がけます。たとえば「私はこう思いますが、あなたの意見も聞かせてください」という表現が典型例です。

  • I(アイ)メッセージの活用
    「あなたは毎回遅刻するのを直すべきだ」ではなく「私は、あなたが遅刻すると困ってしまいます」と伝えます。主語を「私」にすることで責めるニュアンスが和らぎ、相手も防衛的になりにくくなります。感情的に相手を批判するのではなく、自分の気持ちを率直に伝えると、建設的な対話ができます。

  • 事実と感情を分ける
    「いつも私を無視している」といった一般化した表現ではなく「昨日のミーティングで手を挙げたとき、私だけ指名されなかったので、無視されたように感じました」と具体的な事実と自分の感情を区別して伝えます。相手が受け止めやすくなり、誤解も減らせます。

  • 具体的な提案を添える
    問題を指摘するだけでなく、解決策も一緒に提案すると建設的です。「次回からは事前に資料をいただけると、より準備ができるのでありがたいです」など、ポジティブな解決法を示すことで前向きな対話に導けます。

強いストレスを感じる出来事があったとき、我慢して何も言えないと、モヤモヤが長い時間残ってしまいます。「言いたいことが言えずに悩んでいる」という人は多いものです。

そこで、「アサーティブ」に言いたいことを言う練習をしましょう。

アサーティブなコミュニケーションは日々の練習で身に付きます。最初は勇気がいるかもしれませんが、小さな場面から試していくと徐々に自然にできるようになります。

仕事とプライベートのバランスを整えて心身の健康を守る習慣を身に付けよう

ワークライフバランスのイメージ

人間関係のストレスを乗り越えるには、仕事とプライベートの充実バランスを見直すことも不可欠です。仕事一辺倒で余裕がないと、ささいなストレスにも押し潰されやすくなります。

心身の健康土台を強化し、仕事上のストレスに負けないライフスタイルを築きましょう。

  1. 質の高い睡眠で回復力を高める
  2. ストレス解消効果の高い運動を取り入れる
  3. オフの時間を充実させて心のエネルギーを補充する
  4. ワークライフバランスを見直して職場ストレスに振り回されない
  5. 専門家のサポートを受ける

質の高い睡眠で回復力を高める

睡眠は最良のストレス解消法ともいわれます。十分な睡眠時間と質の高い睡眠は、心身の回復に直結しており、ストレス耐性を高める効果があります。

質の高い睡眠のための習慣

  • ブルーライトカット
    就寝の2時間前からはスマートフォンやパソコン、テレビなどの電子機器の使用を控えましょう。これらの機器から発せられるブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、寝つきを悪くします。どうしても使用する必要がある場合は、ブルーライトカットメガネを使用したり、デバイスの夜間モードを設定したりするなどの工夫をしましょう。

  • リラックス習慣の確立
    入浴やストレッチ、読書など、自分なりのリラックス方法を就寝前のルーティンに組み込みます。就寝1〜2時間前にぬるめのお湯(38〜40度程度)に15分ほど浸かると、副交感神経が優位になりリラックス効果が高まります。軽いストレッチも筋肉の緊張をほぐし、質の良い睡眠につながります。

  • 寝室環境の最適化
    理想的な睡眠環境を整えることも重要です。快適に眠れる室温は夏では25〜28℃、冬では15〜18℃、湿度は40〜60%といわれています。光や音などの刺激を減らすため、遮光カーテンや耳栓の使用も検討してみましょう。寝具は自分の体に合ったものを選ぶと、睡眠の質が大きく変わります。

  • 食事と飲み物の注意点
    就寝前の食事や飲み物も睡眠に影響します。就寝の3時間前までに食事を済ませ、カフェインは午後以降は控えめにしましょう。また、寝酒は入眠には役立つように感じますが、睡眠の質を低下させるので避けるのが賢明です。代わりにハーブティーやホットミルクなどのリラックス効果のある飲み物がおすすめです。

多くの人が気にしている睡眠時間については、おおよそ6〜8時間が適正な睡眠時間と考えられ、1日の睡眠時間が少なくとも6時間以上確保できるように努めることが推奨されています。

ただし個人差が大きいため、日中の眠気や睡眠休養感に応じて、自分にとって必要な睡眠時間を自ら探ることも大切です。

参考:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」国立スポーツ科学センター「競技者のための暑熱対策ガイドブック」

ストレス解消効果の高い運動を取り入れる

適度な運動は、ストレスを発散し心身の調子を整えるうえで非常に効果があります。運動すると脳内にエンドルフィンなどの快感ホルモンが分泌され、気分が高揚したりリラックスしたりする効果があります。

効果的な運動の取り入れ方

  • 日常活動の一工夫
    普段の活動に少しの工夫を加えるだけで運動量を増やせます。たとえば通勤時に一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使う、昼休みに10分間散歩するなど、日常生活に組み込む形なら続けやすいでしょう。小さな変化でも積み重なれば大きな効果につながります。

  • 高強度インターバルトレーニング(HIIT)
    短時間で効率的に運動効果を得たい人におすすめなのが、HIITです。高強度の運動と休息を交互に繰り返すHIITは、わずか10分程度でも十分な効果が得られます。具体的なやり方はYouTubeなどで動画を検索してみましょう(⇒ YouTubeで[HIIT]と検索した結果ページ)。

  • ヨガ
    体を動かしながら呼吸や心の状態にも意識を向けるヨガは、身体的な効果と精神的な効果を同時に得られる運動です。ストレス軽減を目的とするなら、リラックス効果の高いヨガニドラやリストラティブヨガなどの静的なタイプがおすすめです。YouTubeなどでも初心者向けの動画が多く公開されています(⇒ YouTubeで[ヨガニドラ]と検索した結果ページ)。

  • 自然の中での活動
    可能であれば、週末などに自然の中で体を動かす時間を作りましょう。ハイキング、サイクリング、ガーデニングなど、屋外での活動は運動効果に加えて、自然がもたらすストレス軽減効果も期待できます。太陽光を浴びることでセロトニン分泌も促され、心の安定にもつながります。

どうしても運動する時間を確保できない場合は、「マイクロエクササイズ」といって1回5分だけ体を動かす習慣も有効です。 やらないよりはずっと効果があります。

まずは自分のペースで始め、徐々に習慣化していくことが長続きのコツです。

参考:スポーツ庁 Web広報マガジン「コロナ疲れ・ストレスの解消法!運動・スポーツで心のケア」

オフの時間を充実させて心のエネルギーを補充する

仕事以外の時間を充実させることも、ストレス対策には欠かせません。趣味や家族・友人との時間は、心に栄養を与えストレスを解消してくれる大切な要素です。

心のエネルギー補給法

  • 没頭できる趣味
    読書・映画鑑賞・ゲーム・ガーデニング・料理など、自分が夢中になれる活動を見つけましょう。没頭している間は仕事の心配から解放され、心がリフレッシュします。「趣味がない」という人も、昔好きだったことを思い出して再開したり、新しいことに挑戦したりすると発見があります。

  • クリエイティブ活動
    文章を書く、絵を描く、DIYなど何かを創造する活動には、高いストレス解消効果があります。自己表現の場となるだけでなく、達成感も得られるので自己肯定感の向上にもつながります。ハンドメイドの小物作りや、写真撮影など、ちょっとした創作活動でも心が豊かになります。

  • 人とのつながりを深める
    家族や友人との質の高い時間を意識的に作りましょう。平日は忙しくても、食事のときに家族と会話する、友人とメッセージを交わすなどの小さな交流が心を支えてくれます。定期的に友人との食事会や家族とのイベントを予定に入れておくと、それが楽しみになり、仕事のストレスも和らぎます。

  • 自己成長のための活動
    新しいスキルの習得や資格取得の勉強など、自分の将来のための学びも有意義な過ごし方です。職場の人間関係に多少嫌なことがあっても「自分には、ほかにも軸がある」と心の支えになります。オンライン講座やワークショップなど、手軽に始められる学びの機会も増えています。

プライベートを充実させるコツは、時間の優先順位をつけることです。仕事以外の予定を先にカレンダーに入れてしまい、そのために仕事を調整するくらいの発想でもよいでしょう。

「○曜日の夜はジムに行く」「月に一度は友人と食事」と決めておけば、それが心の支え・楽しみとなり、日々のストレスに耐えやすくなります。

ワークライフバランスを見直して職場ストレスに振り回されない

職場のストレスで頭がいっぱいになってしまう方は、総合的なワークライフバランス(WLB)の見直しが必要かもしれません。

仕事と生活の調和を図ることは、結果的にストレスの軽減とパフォーマンス向上の両立につながります。

バランス改善の実践ステップ

  • 時間の棚卸しと再配分
    まず現在の時間の使い方を把握しましょう。1日の中で仕事に何時間、睡眠に何時間、食事や通勤に何時間、自由時間は何時間あるかを書き出してみます。そして理想の配分と比べてみましょう。たとえば「平日は仕事に追われて自分の時間がほとんどない」「毎週末も仕事の疲れで趣味をする気力が出ない」といった場合、仕事量や働き方を調整する必要があるかもしれません。

  • 境界線の設定と維持
    仕事とプライベートの境界線を明確にすることも重要です。たとえば、「19時以降は仕事のメールをチェックしない」「休日は緊急以外の仕事連絡には応じない」などのルールを自分で決めておきましょう。最初は罪悪感があるかもしれませんが、これは自分の健康と生産性を守るための必要な境界設定です。

  • 柔軟な働き方の模索
    在宅勤務やフレックスタイム、時短勤務など、会社で利用できる制度があれば積極的に検討しましょう。通勤ストレスの軽減や生活リズムに合った働き方で、生活の質が向上します。制度がない場合でも、上司と相談して自分なりの働き方の工夫ができないか探ってみる価値はあります。

  • 定期的な見直しの習慣
    ライフステージによってもWLBの理想形は変わります。子育て期には育児時間を増やす、介護があれば在宅勤務を増やす、一段落したら再び仕事に打ち込むなど、柔軟にバランスを調整してよいのです。半年に一度程度、自分の生活全体を俯瞰して見直す時間を作りましょう。バランスが崩れていると感じたら、小さな変更から始めて徐々に理想に近づけていきます。

ワークとライフのバランス調整は一朝一夕にはいかないかもしれませんが、自分の人生の主導権を取り戻す意識を持つことが大切です。職場のストレスにも振り回されにくくなります。

「仕事も大事だが、自分の人生はそれだけではない」という視点によって心にゆとりが生まれ、結果的に仕事のパフォーマンスも向上するというポジティブなサイクルが生まれます。

専門家のサポートを受ける

専門家のサポートは問題解決の重要な選択肢です。つらいとき、医療機関やその他の専門家に頼ることは、まったく恥ではありません。むしろ早めに適切なサポートを受けられれば、深刻化を防げます。自己対処の限界を感じたら、専門家の力を借りましょう。

専門家サポートの受け方

  • 相談のタイミング
    「2週間以上続く不眠や抑うつ感がある」「仕事や日常生活に支障が出ている」「自分でコントロールできない感情や思考がある」「周囲の人が心配するほど変化がある」といった状態は、専門家に相談するサインです。早期に対処すれば、回復も早くなります。「もう少し様子を見よう」と先延ばしにせず、気になったらすぐに相談しましょう。

  • 産業医・保健師の活用
    会社に産業医や保健師がいる場合は、まずそこに相談してみましょう。守秘義務があるので、相談内容が上司や同僚に漏れる心配はありません。また、職場環境をよく知っている専門家なので、具体的なアドバイスが得られる可能性が高いでしょう。

  • 外部の専門機関の選び方
    社外の相談先としては、心療内科・精神科・EAP(従業員支援プログラム)・カウンセリングルームなどがあります。医療機関か否か、保険が適用されるかどうかを事前に確認しておくと安心です。最近はオンラインカウンセリングも充実しており、忙しくても隙間時間で専門家と話ができる便利さがあります。

専門家の力を借りることに遠慮はいりません。身体の不調で病院に行くのと同じように、心の不調や悩みも専門のケアを受けるのは自然なことです。「相談しても解決しないと思う」と諦めず、まずは踏み出してみてください。専門家との対話を通じて、自分では気づかなかった視点や解決策が見つかることも少なくありません。

まとめ

本記事では「職場の人間関係ストレス」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

職場の人間関係ストレスが生じる原因と対策として、以下を解説しました。

  1. 価値観の不一致から生まれる対立を解消する
  2. コミュニケーションスタイルの違いが引き起こす誤解を防ぐ
  3. 上司や部下との関係性で生じるストレスから抜け出す
  4. 同僚との過度な競争関係を協力関係に転換する
  5. HSP気質の人が職場で感じやすい特有のストレスに対処する
  6. (改善が難しい場合)部署異動や転職に踏み切る

人間関係ストレスに即効性のある対処は以下のとおりです。

  1. ストレスを感じた瞬間にリフレッシュテクニックを使う
  2. ネガティブな感情をコントロールする
  3. 相手に過度に期待しない割り切り思考で心の余裕を作る
  4. アサーティブに自分の意見を伝えて境界線を守る

仕事とプライベートのバランスを整えて心身の健康を守る習慣として、以下を解説しました。

  1. 質の高い睡眠で回復力を高める
  2. ストレス解消効果の高い運動を取り入れる
  3. オフの時間を充実させて心のエネルギーを補充する
  4. ワークライフバランスを見直して職場ストレスに振り回されない
  5. 専門家のサポートを受ける

あなたの心身の健康と充実した毎日のために、我慢も遠慮もいりません。ストレスをケアしながら事態を好転させていきましょう。

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株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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