
コンプライアンス勉強会の進め方とは?目的や主要テーマ・内容・実施のコツを解説
コンプライアンス研修の必要性は年々高まっていますが、社員から「またか」とため息をつかれるような形式的な勉強会になっていませんか?実はコンプライアンス勉強会の効果は、その進め方で大きく変わります。
日本企業のコンプライアンス違反が後を絶たない現在、コンプライアンスは単なる法令順守だけでなく、企業の社会的責任や企業価値の向上にも直結する重要なテーマとなっています。
本記事では、コンプライアンス勉強会を形骸化させず、社員の主体的な参加を促し、実質的な効果を生み出す進め方のコツを解説します。
多くの企業では「やらなければならないから」実施しているコンプライアンス勉強会ですが、適切に設計・運営すれば、組織のリスク管理体制を強化し、企業価値を高める強力なツールになります。
とはいえ、「どのようなテーマを扱うべきか」「どのような進め方が効果的か」「対象者によってどのように内容を変えるべきか」など、悩みも多いのではないでしょうか。
本記事では人事・法務担当者や管理職の方々に向けて、コンプライアンス勉強会の目的設定から効果測定まで、一連のプロセスを紹介します。管理職、中堅、若手、新入社員など対象者別の内容例など実践的なノウハウを活用し、社員が「参加して良かった」と感じる、効果的なコンプライアンス勉強会を実現しましょう。
▼コンプライアンスやハラスメントについてはテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。
- 【2025年版】企業のコンプライアンス違反事例20選と対策
- コンプライアンス研修で不祥事防止!?ネタ切れを乗り越えるアイデアを紹介!
- eラーニングでコンプライアンスを学ぶには?ポイントや新学習法を解説
- 【2025年】企業のコンプライアンスに関するおすすめの本17選
- ハラスメントとコンプライアンスの違いとは?両方を防ぐ対策も解説
- 【最新|ハラスメントの種類一覧表】40のハラスメント詳細とリスクを解説
- eラーニングのハラスメント研修13選!意識向上が叶う研修を選ぼう
- 心理的安全性を高めてハラスメントを防ぐには?職場と組織の仕組みづくりのコツを解説!
- ハラスメント対策におすすめの本20選|悩みや立場に合わせて選べる
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目次[非表示]
- 1.コンプライアンスの勉強会は手を替え品を替え実施しよう
- 1.1.不祥事が起きてからでは遅い
- 1.2.継続的に実施し続けることが重要
- 2.コンプライアンス勉強会が重要な3つの理由
- 2.1.コンプライアンス違反を防ぐ
- 2.2.組織文化の醸成と意識改革につながる
- 2.3.企業価値の向上につながる
- 3.コンプライアンス勉強会で扱うべき主要テーマ
- 3.1.ハラスメント防止の具体策
- 3.2.不正経理の防止策
- 3.3.情報セキュリティーの重要ポイント
- 3.4.業界固有の法令順守事項
- 4.コンプライアンス勉強会を成功させるコツ
- 4.1.1回の時間を長くしない
- 4.2.繰り返し実施する
- 4.3.旬な事例などを取り入れる
- 4.4.自社内のヒヤリハット事例を共有する
- 4.5.関連テーマも扱い飽きさせない
- 4.6.動画なども活用する
- 5.対象者別コンプライアンス勉強会の具体的な進め方
- 5.1.経営層向け
- 5.2.管理職向け
- 5.3.一般社員向け
- 5.4.新入社員・中途採用者向け
- 6.コンプライアンス勉強会の効果を最大化する実践テクニック
- 6.1.オンラインをベースにする
- 6.2.ブレークアウトでディスカッションを組み込む
- 6.3.eラーニングや動画を効果的に組み合わせる
- 6.4.行動変容を促す仕組みを作る
- 7.コンプライアンスを学べるeラーニングコンテンツ
- 8.まとめ:効果的なコンプライアンス勉強会で組織のリスク管理を強化しよう
コンプライアンスの勉強会は手を替え品を替え実施しよう
企業におけるコンプライアンス意識の醸成は、一度の研修や単発の勉強会で実現できるものではありません。社員の意識を高め、組織文化としてコンプライアンスを定着させるためには、「手を替え品を替え」さまざまな角度からアプローチすることが大切です。
不祥事が起きてからでは遅い
コンプライアンス違反による企業の信頼失墜は、一瞬にして起こります。信用を失うのは一瞬ですが、その回復には長い時間と多大なコストがかかるものです。多くの企業が不祥事発覚後に「後手後手の対応」になり、結果として企業価値を大きく損なってしまいます。
予防的なアプローチとして、コンプライアンス勉強会を定期的に実施することで、社員一人一人のリスク感覚を養い、問題の芽を早期につむ組織文化を築くことができます。不祥事が起きてからの対応ではなく、起こさないための取り組みこそが重要です。
継続的に実施し続けることが重要
コンプライアンス勉強会の効果を最大化するためには、単発の取り組みではなく継続的な実施が不可欠です。社員の記憶は時間とともに薄れていくため、定期的なリマインドによって意識を維持し続ける必要があります。
効果的な継続方法としては、以下のようなアプローチが考えられます。
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継続的な取り組みによって、コンプライアンスが「特別なこと」ではなく「日常業務の一部」として社員の意識に根付いていきます。
一時的な盛り上がりではなく、長期的な視点でコンプライアンス文化を醸成することが、真の企業防衛につながるのです。
コンプライアンス勉強会が重要な3つの理由
コンプライアンスは単なる法令順守にとどまらず、企業の社会的責任(CSR)の基礎となる重要な要素です。企業がコンプライアンス勉強会を実施する意義は多岐にわたりますが、特に重要な理由を3つに絞って説明します。
これらの理由を理解することで、形式的な勉強会ではなく、真に効果的なコンプライアンス教育の実現につながるでしょう。
コンプライアンス違反を防ぐ
コンプライアンス勉強会の最も直接的な目的は、違反行為を未然に防ぐことです。法令や規則の知識不足から生じる「うっかりミス」や、「バレなければいいだろう」という安易な考えによる意図的な違反を防止する効果があります。
多くのコンプライアンス違反は、社員が関連する法律や規則を正確に理解していないことから発生します。例えば、個人情報保護法の理解不足から顧客情報を適切に管理できず、情報漏えいにつながるケースがあります。
また、独占禁止法や下請法などの専門的な法律については、業務に関わる社員が詳しく理解している必要があります。
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勉強会を通じて法的知識を共有し、コンプライアンス違反によって生じるリスクを具体的に示すことで、社員一人一人の意識と行動を変えることができます。
▼コンプライアンス違反の具体的な事例については下記で詳しく解説しています。
⇒【2025年版】企業のコンプライアンス違反事例20選と対策
組織文化の醸成と意識改革につながる
コンプライアンス勉強会は、単に知識を伝えるだけでなく、組織の価値観や文化を形成する重要な機会となります。「何が正しいのか」「どのように行動すべきか」という基準を社内で共有し、コンプライアンスを重視する組織文化を醸成することができます。
コンプライアンス違反の多くは、会社の利益を優先するあまり、社会的な規範や倫理を軽視してしまうことから生じます。しかし本来、企業の利益と社会的責任は対立するものではありません。
勉強会を通じて、「コンプライアンスを守ることこそが長期的な企業利益につながる」という意識を浸透させることが重要です。
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継続的な勉強会によって、コンプライアンスが特別なことではなく、日常業務の中で自然と実践される組織文化を作り上げることができます。
企業価値の向上につながる
適切なコンプライアンス体制の構築と運用は、企業の社会的評価と価値向上に直結します。コンプライアンスを重視する企業は、顧客や取引先、投資家からの信頼を獲得しやすく、長期的な企業成長の基盤を固めることができます。
今日の社会では、企業の評判や信頼性が重要な経営資源となっています。一度コンプライアンス違反によって失った信頼を取り戻すには、膨大な時間とコストがかかります。
一方、コンプライアンスを確実に実践する企業は、さまざまなステークホルダーから高い評価を得ることができます。
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コンプライアンス勉強会は、単なるリスク回避のための取り組みにとどまらず、積極的に企業価値を高めるための戦略的な投資と捉えることができます。
社員一人一人がコンプライアンスの価値を理解し、日々の業務の中でコンプライアンスを実践することが、持続可能な企業成長につながるのです。
コンプライアンス勉強会で扱うべき主要テーマ
コンプライアンス勉強会を企画する際、自社のリスク特性や業界特性に合わせたテーマ選定が重要です。あらゆる法令や規則を一度に網羅することは現実的ではありませんので、優先順位をつけて取り組むべきテーマを選定することが効果的です。
ここでは、多くの企業で共通して重要となる4つの主要テーマについて説明します。
ハラスメント防止の具体策
ハラスメントは、企業のコンプライアンス違反の中でも特に頻発している問題です。パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティーハラスメントなど、さまざまな種類のハラスメントが職場で発生する可能性があります。
2020年に施行されたパワハラ防止法により、企業にはハラスメント防止対策が義務付けられました。
ハラスメント防止の勉強会では、以下のポイントを押さえると効果的です。
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特に管理職向けの勉強会では、部下からの相談を受けた際の対応方法や、職場環境の改善策についても触れると良いでしょう。ハラスメント問題は一度発生すると職場環境全体に影響を及ぼすため、予防的なアプローチが特に重要なテーマです。
▼ハラスメントの種類については下記で一覧表にまとめて解説しています。
⇒【最新|ハラスメントの種類一覧表】40のハラスメント詳細とリスクを解説
不正経理の防止策
不正経理は、企業の信頼を大きく損なう重大なコンプライアンス違反です。粉飾決算や横領・着服などの不正行為は、発覚した場合に企業の存続を脅かすリスクがあります。2024年度の「コンプライアンス違反倒産」では、「粉飾」が最多であったことからも、その深刻さがうかがえます。
不正経理防止の勉強会では、以下の内容を取り上げると効果的です。
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不正経理は「会社のため」という意識や「誰も気付かないだろう」という安易な考えから始まることが多いため、その結果として生じる深刻な影響を具体的に示すことが重要です。
また、内部通報制度の説明と、通報者の保護についても併せて説明すると良いでしょう。
情報セキュリティーの重要ポイント
デジタル化が進む現代において、情報セキュリティーは全ての企業にとって重要なコンプライアンステーマです。特に個人情報保護法の改正により、企業の情報管理責任はさらに厳格化されています。
情報漏えいは技術的な問題だけでなく、人的要因によるケースも多く、社員教育が欠かせません。
情報セキュリティーの勉強会では、以下のポイントを重視すると効果的です。
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特に注意すべきなのは、情報漏えいの多くが「うっかりミス」から発生している点です。メール誤送信やUSBメモリの紛失など、日常的な業務の中で起こりやすいリスクを具体的に示し、予防策を徹底することが重要です。
業界固有の法令順守事項
一般的なコンプライアンステーマに加えて、業界特有の法令や規制についても勉強会で取り上げることが重要です。例えば、金融業界ならば金融商品取引法、食品業界であれば食品衛生法、製造業であれば下請法や独占禁止法などが該当します。
業界固有の法令順守に関する勉強会では、以下のアプローチを取り入れると効果的です。
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これらの主要テーマをバランスよく取り入れながら、自社の状況や過去のインシデント、業界動向などを考慮して、最適なコンプライアンス勉強会のカリキュラムを組み立てることが重要です。
コンプライアンス勉強会を成功させるコツ
コンプライアンス勉強会は、正しく実施することで組織のリスク管理能力を高め、健全な企業文化を醸成する重要な機会となります。しかし、形式的に行うだけでは効果は限定的です。
ここでは、コンプライアンス勉強会を実効性のあるものにするための6つのコツをご紹介します。
1回の時間を長くしない
コンプライアンスというテーマの性質上、長時間の勉強会は参加者の集中力低下を招きがちです。1回あたり30分〜1時間程度の短時間で区切り、内容を絞ったセッションにすることが効果的です。
短時間でも効果を上げるためのポイントは以下の通りです。
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特に昼休みの時間や業務終了直前などの時間帯を活用した「ミニ勉強会」形式は、参加者の負担感を減らしつつ、定期的な開催を可能にします。
内容を詰め込みすぎず、「理解して行動に移せる」レベルの情報量に調整することがポイントです。
繰り返し実施する
コンプライアンス意識の定着には、一度きりの勉強会ではなく、繰り返しの学習が不可欠です。定期的なスケジュールを設定し、継続的に実施することで、知識の定着と意識改革を図ります。
効果的な繰り返し実施のアプローチとしては、以下が挙げられます。
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また、同じテーマでも切り口や事例を変えることで、マンネリ化を防ぎつつ重要ポイントを繰り返し伝えることができます。
「コンプライアンスカレンダー」のような形で年間のテーマを可視化し、計画的に実施していくことも効果的です。
旬な事例などを取り入れる
コンプライアンス勉強会の内容が古く感じられると、参加者の関心は低下します。最新のニュースや社会的に話題となっているコンプライアンス違反事例を積極的に取り入れることで、「今、自分たちに関係する問題」として受け止めてもらいやすくなります。
下記は旬な事例を効果的に活用するためのポイントです。
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特に同業他社や取引先で発生したコンプライアンス違反事例は、「自分たちにも起こり得る問題」として強い印象を与えます。
「もし自社でこのような事態が発生したら?」といった問いかけを通じて、当事者意識を高める工夫も効果的です。
自社内のヒヤリハット事例を共有する
コンプライアンス違反に至らなかったものの、「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりした事例(ヒヤリハット)は、勉強会の貴重な教材となります。自社内で実際に起きた事例は、参加者にとって身近で具体的であるため、高い学習効果が期待できます。
下記は自社事例を共有する際の注意点です。
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実際の事例を扱う際は、「犯人探し」にならないよう配慮しながら、組織全体の学びにつなげることが重要です。
また、ヒヤリハット事例の報告を奨励する文化づくりも、コンプライアンス強化の基盤となります。
報告者を評価する仕組みなどを整えることで、事例の収集がスムーズになるでしょう。
関連テーマも扱い飽きさせない
コンプライアンスを狭義の法令順守だけでなく、CSRやSDGsなど関連する幅広いテーマと結びつけることで、勉強会の内容に変化をつけ、参加者の関心を維持することができます。
下記は関連テーマを取り入れる例です。
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また、テーマだけでなく、実施形式にも変化をつけることが効果的です。講義形式だけでなく、ディスカッション、ケーススタディーなど、さまざまな学習方法を取り入れることで、参加者の飽きを防ぎます。
毎回異なる部署や役職の社員に「今月のコンプライアンスメッセージ」を発表してもらうなど、参加型の工夫も効果的でしょう。
動画なども活用する
視覚的な教材は文字や口頭の説明よりも印象に残りやすく、学習効果を高めることができます。専門的なコンプライアンス教育用の動画教材や、自社制作の動画を活用することで、参加者の理解を促進します。
下記は動画教材を効果的に活用するポイントです。
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近年はeラーニングプラットフォームの発達により、動画視聴と確認テストを組み合わせた学習プログラムの提供も容易になっています。
これらのコツを組み合わせ、自社の状況や文化に合わせてカスタマイズすることで、形式的ではなく実効性があり、そして参加者が主体的に学べるコンプライアンス勉強会を実現することができます。
対象者別コンプライアンス勉強会の具体的な進め方
コンプライアンス勉強会は、対象者の役職や責任レベルによって、内容や進め方を変える必要があります。経営層、管理職、一般社員、新入社員など、それぞれの立場によって求められる知識や行動基準が異なるためです。
ここでは、対象者別に効果的なコンプライアンス勉強会の進め方を解説します。各階層に適した内容とアプローチで実施することで、組織全体のコンプライアンス意識を効果的に高めることができます。
経営層向け
経営層に対するコンプライアンス勉強会は、経営責任とリスクマネジメントの観点を重視します。企業不祥事の多くは、経営層の意識や判断が大きく影響することから、トップの姿勢が組織全体のコンプライアンス文化を形成する基盤となります。
経営層向け勉強会の効果的なアプローチ:
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勉強会の形式としては、少人数での議論を中心とした形が効果的です。また、他社の経営者による講演や、弁護士などの専門家を招いた研修も有効です。
経営層自身がコンプライアンスメッセージを発信する役割も担うため、自社の行動規範や価値観を自分の言葉で語れるようになることも重要な目標となります。
管理職向け
管理職は組織のコンプライアンスを実践レベルで推進する要となる存在です。部下の行動に大きな影響を与えるとともに、問題の早期発見と適切な対応が求められます。
管理職向けの勉強会では、日常的なマネジメントにコンプライアンスの視点を組み込む方法を中心に据えるべきです。
管理職向け勉強会のポイント:
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ケーススタディーやロールプレーイングを取り入れ、実際の業務シーンを想定した実践的な内容にすることが効果的です。
また、部門ごとの特有リスクについて議論する機会を設けることで、現場に即した具体的な対策を考えることができます。管理職同士でのグループワークを通じて、部署間の情報共有や連携強化も図れるでしょう。
一般社員向け
一般社員向けのコンプライアンス勉強会は、日常業務の中で遭遇しやすい場面を想定した具体的かつ実践的な内容が効果的です。法令や社内規則の基本的理解と併せて、具体的な行動指針を示すことが重要です。
一般社員向け勉強会の効果的な内容:
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一般社員向けの勉強会では、一方的な講義形式よりも、グループディスカッションやワークショップ形式が効果的です。
実際の業務シーンを想定したケーススタディーを通じて「自分ならどうするか」を考えることで、当事者意識を高めることができます。
新入社員・中途採用者向け
新入社員や中途採用者に対しては、入社時のオリエンテーションの一環としてコンプライアンス勉強会を実施することが効果的です。企業文化の一部としてコンプライアンスの重要性を早期に理解してもらうことが目的となります。
新入社員・中途採用者向け勉強会のポイント:
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新入社員向けには、社会人としての基本的なマナーやSNS利用上の注意点なども含めると効果的です。中途採用者には、前職との違いを明確にし、業界や自社特有のルールや価値観を丁寧に説明することが重要です。
いずれも「なぜそのルールが存在するのか」という背景や理由まで説明することで、単なるルールの暗記ではなく、理解に基づいた行動を促すことができます。
また、入社時の研修だけでなく、3カ月後や半年後にフォローアップ研修を実施することで、実際の業務経験を踏まえた疑問点や気付きについて議論する機会を設けることも効果的です。
対象者別にアプローチを変えることで、それぞれの立場や責任に応じた最適なコンプライアンス教育が可能になります。
ただし、階層別の勉強会だけでなく、時には全社員が一堂に会するセッションを設けることで、コンプライアンスが特定の部門や役職だけの問題ではなく、組織全体の課題であるという認識を共有することも重要です。
コンプライアンス勉強会の効果を最大化する実践テクニック
コンプライアンス勉強会の内容や対象者が適切に設定されていても、実施方法や学習環境によって効果に大きな差が生じます。
ここでは、テクノロジーを活用した現代的なアプローチや、参加者の主体性を引き出す工夫など、コンプライアンス勉強会の効果を最大化するための実践的なテクニックを紹介します。
これらのテクニックを状況に応じて組み合わせることで、より効果的な学習体験を提供することができるでしょう。
オンラインをベースにする
昨今の働き方の多様化に伴い、コンプライアンス勉強会もオンラインでの実施が主流になりつつあります。オンライン形式は、場所や時間の制約を超えて多くの社員が参加できるメリットがあり、特に多拠点企業や在宅勤務の多い環境では効果的です。
オンライン勉強会を成功させるポイント:
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オンライン勉強会では、対面よりも参加者の集中力が低下しやすいため、一方的な講義形式は避け、定期的に質問を投げかけたり、簡単なクイズを挟んだりするなど、参加者の注意を引き続ける工夫が重要です。
また、録画を学習管理システム(LMS)で公開することで、時間の制約なく学習できる環境を整えることができます。
ブレークアウトでディスカッションを組み込む
コンプライアンスの理解を深めるには、一方的な知識伝達だけでなく、参加者同士が意見を交換し、さまざまな視点から問題を考える機会が重要です。オンライン会議ツールのブレークアウトルーム機能を活用することで、少人数でのディスカッションを効果的に実施できます。
ブレークアウトディスカッションの効果的な進め方:
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特に、業務中に遭遇する可能性のあるコンプライアンス上のジレンマを題材に、「あなたならどう判断するか」といった問いかけでディスカッションを促すことが効果的です。
異なる部署や役職の社員が混在するグループ編成にすることで、多様な視点からの意見交換が可能になります。
eラーニングや動画を効果的に組み合わせる
eラーニングや動画教材は、いつでもどこでも自分のペースで学習できる利点があります。特にコンプライアンスの基礎知識や一般的な事例学習には、標準化された教材による自己学習が効率的です。
これらのデジタル教材を対面やオンラインの勉強会と組み合わせることで、学習効果を高めることができます。
効果的な組み合わせ方の例:
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eラーニングシステムの多くは学習履歴や理解度を管理する機能を備えているため、コンプライアンス教育の進捗状況を組織的に把握することも可能です。
また、短い動画を複数組み合わせて提供することで、社員が空き時間を利用して学習できる環境を整えることができます。
行動変容を促す仕組みを作る
コンプライアンス勉強会の最終的な目標は、知識の習得だけでなく、実際の行動変容を促すことにあります。いくら知識があっても、日常業務の中で実践されなければ意味がありません。そのため、学んだことを行動に移すための仕組みづくりが重要です。
行動変容を促す効果的なアプローチ:
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これらの実践テクニックは、組み合わせて活用することでさらに効果を発揮します。例えば、オンラインによる基礎知識のeラーニングを実施した後、ブレークアウトセッションでのディスカッションを行い、最後に具体的な行動宣言を共有するといった流れです。
また、これらのテクニックを階層別のアプローチと組み合わせることで、より効果的なコンプライアンス教育が実現できるでしょう。テクノロジーを活用しながらも、最終的には「一人一人が自分事として捉える」ことを目指した工夫が、コンプライアンス勉強会成功の鍵となります。
コンプライアンスを学べるeラーニングコンテンツ
株式会社LDcubeではコンプライアンス研修で活用できるeラーニングサービスを多数提供しています。 汎用的なコンテンツになっているため、お客様の要望に合わせたカスタマイズはできませんが、契約後はすぐに受講をスタートすることが可能です。
コース名 |
概要 |
内容 |
学習時間 |
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コンプライアンス基礎 |
コンプライアンスについて理解を深めていただくコース内容です。知識習得だけでなく、確認テスト、コンプライアンス危険度チェックなども受講いただけます。 |
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約1時間30分 |
パワーハラスメント |
パワハラについて、どのような言動/行動がパワハラに関連してしまうのかをケース学習を通じて学べるコースです。 パワハラ危険度チェックで自分の危険度も測定できます。 |
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約1時間30分 |
SNS(情報セキュリティー) |
情報管理のあり方について、情報開示に当たり何が良くて何がダメなのかについてケース学習を通じて理解を深めていく学習コースとなります。 |
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約1時間30分 |
不正防止 |
不正行為とは何か?不正行為が発生しやすい職場環境とは?不正行為を起こさない健全な職場環境を醸成する職場づくりについて、ケース学習を通じて学習いただきます。 |
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約1時間30分 |
ハラスメント防止コース① 風通しが良い職場づくり ~風通しが良くない職場の事例~ |
ハラスメントについての理解・関心を深め、ハラスメントをより自分事として考えます。 風通しの良い職場づくりに向けて、一人一人ができることを理解することができます。 |
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約40分 |
ハラスメント防止コース② 伝える ~アサーションを活用する~ |
ハラスメントが起きたときの対処について、一人一人ができることを学習することができます。 相手への効果的な断り方、伝え方を学習することができます。 |
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約40分 |
ハラスメント防止コース③ 職場づくりに一人一人ができること ~職場メンバーとしてできること~ |
ハラスメントを見聞きしたときの心情・行動について考えます。 風通しの良い職場づくりに向けて、一人一人が当事者として何ができるかを考えます。 |
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約30分 |
マイクロラーニング講座には下記があります。
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心理的安全性がつくる恐れのない職場コース
組織やチームにとって重要な内容であるにもかかわらず、自分の考えを言わず、質問を控え、黙っていたことが何度ありますか?従業員が安心して発言できるようにするには、心理的に安全な環境を整える必要があります。 本コースでは、対人関係の不安がいかに組織をむしばむか、そして、その乗り越え方をさまざまな事例を通じて学習します。 本コースはこれまで一通りコンプライアンスについての研修を行ってきた場合の次の一手として最適です。
▼詳しくはこちらから。⇒心理的安全性がつくる恐れのない職場コース
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関係者の利益を守るコーポレート・ガバナンスコース
現在、企業の社会的責任を問う傾向は強まる一方です。組織では責任ある行動を取ることが重要であり、行動の行き過ぎを抑える「拮抗力」は欠かせません。本コースでは、現代社会で求められるコーポレート・ガバナンスのあり方やサステイナビリティについて学習します。
▼詳しくはこちらから。⇒関係者の利益を守るコーポレート・ガバナンスコース
まとめ:効果的なコンプライアンス勉強会で組織のリスク管理を強化しよう
コンプライアンス勉強会の重要性は、企業の法令順守や倫理観を高め、組織文化の一部として定着させることにあります。そして、その実施には形式的な取り組みを超え、継続的かつ多角的なアプローチが求められます。
単に法令違反を防止するだけでなく、社員一人一人の意識改革と組織の持続可能な成長を促進するための戦略的投資として、コンプライアンス教育は重要です。それには、さまざまな階層の社員に対して異なるアプローチで勉強会を設計し、最新の事例や自社のリスク特性を反映した内容を提供することが求められます。
また、コンプライアンス勉強会の効果を最大化するためには、テクノロジーの活用や参加者の主体性を引き出す工夫が必要です。対面とオンラインの手法を組み合わせながら、参加者が主体的に学び、実際の行動に移すことができる環境を整えることが、真に効果的なコンプライアンス勉強会の鍵となるでしょう。
コンプライアンス違反は一瞬にして企業の信頼を失墜させ、その回復には多大な時間とコストがかかります。だからこそ、予防的なアプローチとして効果的なコンプライアンス勉強会の実施が重要です。
株式会社LDcubeではコンプライアンス勉強会に活用できるeラーニング、マイクロラーニング、LMSなどの提供を行っています。
コースごとの価格設定もあれば、受講人数に制限を設けない全社員受け放題プランなど、費用についてもバリエーションを用意しております。
また不祥事の起きない会社づくりに向け、心理的安全性を高めるeラーニングや研修、職場ミーティングなどを組み合わせ、総合的な支援もしています。
さらに無料のデモIDの発行や実績・導入事例の紹介も行っていますので、お気軽にご相談ください。
▼ 関連資料はこちらからダウンロードできます。
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