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効果的なコンプライアンス研修・セミナーの実施!

近年、企業不祥事の報道が相次ぎ、コンプライアンス意識の向上が企業にとって喫緊の課題となっています。大手企業の粉飾決算や顧客情報流出、ハラスメント問題など、コンプライアンス違反は企業価値を一瞬で失墜させるリスクをはらんでいます。

こうした背景から、コンプライアンスセミナーを導入する企業が増加していますが、形式的な実施に終わり、実効性を伴わないケースも少なくありません。

効果的なコンプライアンスセミナーは、単なる法令知識の習得にとどまらず、従業員の意識変革や企業文化の醸成にまで影響を与えます。しかし「どのようなセミナーを選べば良いのか」「どう実施すれば効果が最大化するのか」と悩む担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、コンプライアンスセミナーの選び方と効果を高める実施ポイントを解説します。

経営者から現場社員まで、階層別のニーズに応じたセミナー内容の選定基準や、参加者の当事者意識を高める工夫、継続的な効果を生み出すためのフォローアップ方法など、実践的なノウハウをお伝えします。

これからコンプライアンスセミナーの導入を検討している方はもちろん、既存のプログラムをブラッシュアップしたい方にも役立つ内容となっています。

▼コンプライアンスやハラスメントについてはテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。

▼関連資料はこちらからダウンロードできます。

コンプライアンス教育 資料ダウンロード

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目次[非表示]

  1. 1.コンプライアンスセミナーはeラーニングが最適
  2. 2.コンプライアンスセミナーの3つの実施形態
  3. 3.コンプライアンスセミナーを実施する前に確認しておきたいこと
    1. 3.1.自社の心理的安全性が高いか低いか
    2. 3.2.自社の成果基準が高いか低いか
  4. 4.コンプライアンスセミナー選びで失敗しない選定基準
  5. 5.コンプライアンスセミナーで押さえるべき4つの重要テーマ
    1. 5.1.コンプライアンスの基礎
    2. 5.2.ハラスメント防止
    3. 5.3.情報セキュリティー
    4. 5.4.心理的安全性
  6. 6.コンプライアンスセミナーの効果を高める4つの実施テクニック
    1. 6.1.インプットはeラーニングで行う
    2. 6.2.具体的なケーススタディーで理解を深める
    3. 6.3.参加型ディスカッションで当事者意識を高める
    4. 6.4.定期的・継続的な実施で定着を図る
  7. 7.コンプライアンス研修・セミナーに活用できるコンテンツ
  8. 8.まとめ:コンプライアンスセミナーを戦略的に活用して企業価値を高める

コンプライアンスセミナーはeラーニングが最適

コンプライアンスセミナー eラーニング イメージ

企業におけるコンプライアンス教育は、法令遵守だけでなく企業の社会的責任や倫理観を醸成する重要な取り組みです。多くの企業がコンプライアンスセミナーを実施していますが、その形態としてeラーニングが特に効果的であることが分かっています。

eラーニングを活用することで、全社的なコンプライアンス意識の向上と定着を効率的に進めることができるのです。

時間や場所を選ばず全社員に展開できる

ラーニング形式のコンプライアンスセミナーにおいて最大のメリットは、時間や場所に縛られることなく、全社員へ均一な内容を届けられる点です。

従来の集合研修では、シフト勤務や出張、拠点が分散している場合など、全社員が同じ時間・場所に集まることが困難でした。eラーニングであれば、社員は自分の都合の良いタイミングで学習を進められます。

在宅勤務やテレワークが普及した現代においては、各自のペースで学べるeラーニングの価値がさらに高まっています。特に「いつでも」「どこでも」学習できる柔軟性は、業務の繁閑に合わせた学習計画を立てやすくし、学習効果を高めることにつながるでしょう。

受講履歴から学習状況を記録として残せる

コンプライアンス教育において重要なのは、全社員が確実に受講していることを証明することです。eラーニングシステムでは、誰がいつ受講したか、テストの成績はどうだったかなど、詳細な学習履歴を自動的に記録・管理できます。

この記録は内部統制の証跡としても活用でき、監査や第三者への説明資料としても有効です。例えば、ハラスメントなどのコンプライアンス違反が発生した際に、会社として適切な教育を実施していたことを示す証拠となります。また、未受講者への促進も容易になり、受講率100%の達成を支援します。

汎用的なコンテンツと自社事例を組み合わせて展開できる

eラーニングでは、法令や一般的なコンプライアンスに関する汎用コンテンツと、自社特有の事例や規定を組み合わせた教材を作成できます。これにより、一般論だけでなく自社の実情に即した具体的な事例を通じて学ぶことができ、学習内容の定着率が高まります。

また、コンテンツの更新も容易なため、法改正や社内規定の変更があった場合でも迅速に対応できます。視覚的・聴覚的な要素を取り入れたマルチメディアコンテンツにより、テキストだけでは伝わりにくい微妙なニュアンスも効果的に伝えることが可能です。

特にハラスメントなどのグレーゾーンが存在するテーマでは、動画やアニメーションを活用することで理解度が大幅に向上します。

▼コンプライアンスをeラーニングで学ぶことについては下記で詳しく解説しています。
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コンプライアンスセミナーの3つの実施形態

コンプライアンスセミナーの3つの実施形態 イメージ

コンプライアンスセミナーを効果的に実施するためには、自社の状況や目的に合わせた実施形態を選択することが重要です。

主な実施形態は3つあり、それぞれに特徴があります。自社の課題や予算、対象者の規模などを考慮して最適な形態を選びましょう。

eラーニング(動画を含む)

eラーニング形式のコンプライアンスセミナーは、社員が自分のペースで学習を進められるメリットがあります。テキストだけでなく、動画やクイズなどのインタラクティブな要素を取り入れることで、受講者の理解度や集中力を高めることができます。

eラーニングの導入コストは初期投資が必要なものの、1度構築すれば何度でも利用でき、人数が多くなるほどコストパフォーマンスが向上します。また、学習履歴の管理や未受講者への促進など、管理業務も効率化できるメリットがあります。

特に大規模な組織や複数拠点を持つ企業では、均一な内容を効率的に展開できる点が評価されています。

外部講師によるセミナー

コンプライアンスに精通した弁護士や専門のコンサルタントなど、外部講師を招いてセミナーを実施する形態です。最新の法改正情報や実際の事例を交えた専門的な内容を提供でき、質疑応答を通じて参加者の疑問に直接回答できる点が大きなメリットです。

特に経営層や管理職向けのコンプライアンス教育においては、外部の専門家による説得力のある講義が効果的です。

また、自社で発生したコンプライアンス違反への対応策を検討する場合など、第三者の客観的な視点が有効なケースもあります。外部講師を招く際は、自社の業界特性や課題を事前に共有し、カスタマイズされた内容にすることが重要です。

公開セミナー

セミナー会社や業界団体が主催する公開セミナーへ社員を派遣する形態です。対面形式で行われているものもあればオンライン開催のものもあります。主に法務担当者や人事担当者など、コンプライアンス推進の中核となる少人数に対して実施するケースが多く見られます。

公開セミナーのメリットは、他社の担当者との情報交換や人脈形成の機会が得られる点です。同業他社のコンプライアンス対策や取り組み事例を知ることで、自社の施策に生かせるヒントが得られることもあります。

また、特定のテーマに特化した、専門性の高いセミナーを選ぶことで、深い知識を効率的に習得できます。今は、インターネット検索でセミナーを探すことができます。ただし、一般的な内容になりがちなため、セミナーで得た知識を自社の状況に応じてカスタマイズする必要があることを念頭に置くべきでしょう。

コンプライアンスセミナーを実施する前に確認しておきたいこと

コンプライアンスセミナーを実施する前に確認しておきたいこと イメージ

コンプライアンスセミナーを効果的に実施するためには、自社の組織文化や現状を正しく把握しておくことが不可欠です。

特に重要な視点として、「心理的安全性」と「成果基準」の2つの要素があります。これらを事前に確認することで、自社に最適なセミナー内容や実施方法を選択することができます。

心理的安全性を提唱したエイミー・C・エドモンドソン博士は心理的安全性が低く、成果基準が高い組織は間違いが起こりやすいと警鐘を鳴らしています。

自社の心理的安全性が高いか低いか

心理的安全性とは、組織内で自分の意見や懸念を自由に表明できる環境が整っているかどうかを示す考え方です。コンプライアンスセミナーを実施する前に、自社の心理的安全性のレベルを確認しておくことが重要です。

心理的安全性が低い組織では、コンプライアンス違反を見つけても報告されにくく、問題が表面化しにくいという傾向があります。

このような場合は、まず内部通報制度の整備や匿名での意見収集の仕組みづくりから始める必要があるでしょう。セミナーでも「報告しやすい環境づくり」をテーマに含めることが効果的です。

一方、心理的安全性が高い組織では、より実践的なケーススタディーやディスカッションを取り入れた参加型のセミナーが効果を発揮します。

自社の成果基準が高いか低いか

成果基準とは、組織が業績や結果をどの程度重視しているかを示す指標です。特に営業に関わる部門で成果基準が高すぎる組織では「結果さえ出せば手段は問わない」という風土が生まれやすく、コンプライアンス違反のリスクが高まる傾向があります。

成果基準が高い企業でコンプライアンスセミナーを実施する場合は、「コンプライアンス違反による損失」を具体的な数字で示すなど、ビジネス視点からアプローチすることが効果的です。

例えば、コンプライアンス違反による企業価値の毀損や株価への影響、罰金や訴訟費用などの具体的なリスクを強調することで、「コンプライアンスは成果に大きく影響する」という認識を促すことができます。

一方、成果基準が低い組織では、倫理観や社会的責任といった価値観に焦点を当てたセミナー内容が適しているでしょう。

▼心理的安全性についてエドモンドソン博士の見解については下記で詳しく解説しています。
エドモンドソン博士の視点を解説!心理的安全性がビジネスに必要な理由とは?

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コンプライアンスセミナー選びで失敗しない選定基準

コンプライアンスセミナー選びで失敗しない選定基準 イメージ

コンプライアンスセミナーを選定する際には、自社のニーズや状況に合った内容であることが重要です。多くの選択肢の中から最適なセミナーを選ぶために、以下の6つの選定基準をチェックしましょう。

これらの基準を満たすセミナーを選ぶことで、効果的なコンプライアンス教育を実現することができます。

自社の状況に合ったテーマであるか

コンプライアンスは幅広い概念であり、業種や企業規模によって重点を置くべきテーマが異なります。自社の業界特有のコンプライアンスリスクや過去に発生した問題、現在懸念されている課題などを踏まえたセミナーを選ぶことが重要です。

例えば、製造業では品質管理や安全基準に関するテーマ、金融業では顧客情報保護や利益相反に関するテーマなど、業種によって注力すべき内容は異なります。また、近年発生した社内トラブルや法令改正があれば、それに関連したテーマを優先的に取り上げるセミナーを選ぶべきでしょう。

自社の現状分析をしっかり行い、本当に必要なテーマを見極めることが成功への第一歩です。

対象者の階層に適した内容か

コンプライアンスセミナーは、対象者の役職や立場によって内容や深さを変える必要があります。経営層、管理職、若手社員や新入社員などの一般社員、それぞれの役割や責任に応じた内容になっているかを確認しましょう。

経営層向けには、財務的な側面やコンプライアンス違反が企業経営に与える影響や取締役の法的責任など、経営判断に直結する内容や企業全体のリスクマネジメントが適しています。

管理職向けには、部下のコンプライアンス違反を未然に防ぐための管理監督責任や時間外労働などの労務についての問題、事案発生時の問題解決方法などが重要です。

一般社員向けには、日常業務におけるコンプライアンスリスクの具体例や、迷った時の判断基準などの実践的な内容が効果的です。

対象者の知識レベルや役割に合わせたセミナーを選ぶことで、学習効果が高まります。

自社の望む実施形態があるか

前述したように、コンプライアンスセミナーには主にeラーニング、外部講師による研修、公開セミナーの3つの実施形態があります。自社の状況(社員数、拠点数、予算など)や目的に合った形態を選ぶことが重要です。

多拠点に分散している社員に一斉に研修を行いたい場合はeラーニングが適しています。一方、少人数でより深い理解を促したい場合や、質疑応答を重視する場合は、外部講師による対面式のセミナーが効果的でしょう。

また、複数の実施形態を組み合わせるハイブリッド型も検討する価値があります。例えば、基礎知識はeラーニングで学習し、ケーススタディーや討議は対面式で行うという方法です。自社のニーズや制約条件に最も合った実施形態を提供しているかをチェックしましょう。

講師の専門性や実績は十分か

外部講師によるセミナーを選ぶ場合、講師の専門性や実績を確認することが不可欠です。特に法律関連のテーマでは、弁護士や法務の専門家など、適切な資格や経験を持つ講師であるかを確認しましょう。

講師の過去の実績や担当した企業の業種、規模なども重要な判断材料となります。可能であれば、サンプル動画や資料を事前に確認したり、他社の評判を調査したりすることをおすすめします。また、自社の業界や事情に精通している講師であれば、より実践的で具体的な内容が期待できます。

講師との事前打ち合わせの機会があるか、自社の要望を反映した内容にカスタマイズできるかも確認しておくとよいでしょう。

実践的なケーススタディーやワークショップが含まれているか

コンプライアンスセミナーでは、知識を得るだけでなく、それを実践できるようになることが重要です。そのためには、実践的なケーススタディーやワークショップなど、参加型の要素が含まれているセミナーを選ぶことをおすすめします。

具体的な事例を基にした演習や、グループディスカッションなどの手法を取り入れたセミナーは、参加者の当事者意識を高め、学習内容の定着率を向上させます。

特に「こんな時どうする?」といった判断に迷うグレーゾーンの事例を扱ったケーススタディーは効果的です。自社で実際に起こりそうな状況を想定したワークショップがあれば、より実践的な学びが得られるでしょう。

フォローアップ体制が整っているか

コンプライアンス意識の定着には、1回のセミナーで終わるのではなく、継続的な学習とフォローアップが必要です。セミナー受講後のフォローアップ体制が整っているかどうかも重要な選定基準です。

例えば、受講後の理解度テストや振り返り資料の提供、質問対応窓口の設置、定期的な補足情報の配信などがあると、学習効果を持続させることができます。

特にeラーニングの場合は、学習履歴の管理や未受講者への促進機能、定期的なコンテンツ更新などのサポート体制が整っているかを確認しましょう。また、法改正があった場合のアップデート対応についても事前に確認しておくことをおすすめします。

コンプライアンスセミナーで押さえるべき4つの重要テーマ

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コンプライアンスセミナーを実施する際には、自社の状況や課題に応じてさまざまなテーマを取り上げることができますが、特に重要な4つのテーマがあります。

これらのテーマは、業種や企業規模を問わず、ほとんどの企業に共通して重要なものです。効果的なコンプライアンスセミナーを実施するためには、以下のテーマを中心に内容を構成することをおすすめします。

コンプライアンスの基礎

コンプライアンスの基礎知識は、全てのコンプライアンスセミナーの土台となる重要なテーマです。コンプライアンスとは単なる法令遵守だけでなく、社会的責任や企業倫理を含む広い概念であることを理解してもらうことが大切です。

基礎編では、コンプライアンス違反が発生するメカニズムや心理的要因、違反がもたらす企業へのリスクなどを具体的に説明しましょう。特に「なぜコンプライアンスが重要なのか」という根本的な問いに対する答えを明確にすることで、社員の意識向上につながります。

また、自社のコンプライアンス体制や相談窓口、内部通報制度などの基本情報も、このセクションで紹介するとよいでしょう。

▼コンプライアンス違反事例については下記で詳しく解説しています。
【2025年版】企業のコンプライアンス違反事例20選と対策

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ハラスメント防止

ハラスメント防止は、現代のコンプライアンスセミナーで最も重要なテーマの1つです。パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、マタニティーハラスメントなど、さまざまな種類のハラスメントについて理解を深めることが重要です。

ハラスメントセミナーでは、「何がハラスメントに当たるのか」という基準を明確にしつつ、受け手の感じ方によって判断が分かれるグレーゾーンについても丁寧に説明する必要があります。

特に管理職向けのセミナーでは、部下からの相談への対応方法や、ハラスメントを未然に防ぐための職場環境づくりについても触れましょう。具体的な事例やケーススタディーを通じて、日常的な言動がどのようにハラスメントにつながる可能性があるかを示すことが効果的です。

▼ハラスメントの種類については下記で詳しく解説しています。
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情報セキュリティー

デジタル化が進む現代社会において、情報セキュリティーに関するコンプライアンスは企業にとって不可欠なテーマです。個人情報保護法や不正競争防止法など、情報管理に関連がある法令の基本的な知識と、自社の情報セキュリティーポリシーについて学ぶ機会を設けましょう。

特に近年は、テレワークの普及によりセキュリティーリスクが高まっています。在宅勤務中の情報漏洩リスクや、私用デバイスの業務利用(BYOD)に関するルール、SNSでの情報発信における注意点などを具体的に説明することが重要です。

また、近年増加しているサイバー攻撃やフィッシング詐欺への対策方法についても触れるとよいでしょう。情報セキュリティーのセミナーでは、「うっかりミス」による情報漏洩が多いことにも触れ、日常的な注意点を具体的に示すことが効果的です。

心理的安全性

コンプライアンスを組織に定着させるためには、「問題を指摘しやすい環境づくり」が不可欠です。そのため、最近のコンプライアンスセミナーでは「心理的安全性」をテーマとして取り上げることが増えています。

心理的安全性とは、メンバーが自分の意見や懸念を自由に表明できる組織の状態を指します。コンプライアンス違反を目撃しても「言いづらい」「報告しにくい」という雰囲気があると、問題が隠蔽され、より大きな不祥事につながるリスクがあります。

セミナーでは、心理的安全性の重要性を説明し、組織としてどのように心理的安全性を高めていくかについて具体的な方法を紹介しましょう。特に管理職向けには、部下が意見を言いやすい1on1ミーティングの方法や、建設的なフィードバックの仕方など、実践的なスキルを教えることが効果的です。

▼心理的安全性の作り方については下記で詳しく解説しています。
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コンプライアンスセミナーの効果を高める4つの実施テクニック

コンプライアンスセミナーの効果を高める4つの実施テクニック

コンプライアンスセミナーを実施する際、単に情報を伝えるだけでは効果は限定的です。参加者の理解を深め、実践につなげるためには、効果的な実施テクニックが必要です。

ここでは、コンプライアンスセミナーの効果を最大化するための4つのテクニックをご紹介します。これらのテクニックを取り入れることで、より効果的なコンプライアンス教育を実現することができるでしょう。

インプットはeラーニングで行う

コンプライアンスに関する基本知識や法令の解説など、インプット型の内容はeラーニングで提供することが効率的です。eラーニングであれば、受講者は自分のペースで繰り返し学習できるため、理解度に個人差がある場合でも対応できます。

動画やアニメーションを活用することで、テキストだけでは伝わりにくい微妙なニュアンスも効果的に伝えられます。

例えば、ハラスメントのケースでは、同じ言動でも状況や関係性によって受け取られ方が異なることを、視覚的に示すことができます。また、クイズやテストを組み込むことで、理解度を確認しながら学習を進められるというメリットもあります。

インプット部分をeラーニングに任せることで、集合研修やオンライン研修の時間を有効活用し、より深い議論や実践的な演習に充てることができるでしょう。

具体的なケーススタディーで理解を深める

コンプライアンスの理解を深めるためには、抽象的な知識だけでなく、具体的なケーススタディーを通じた学習が効果的です。自社で実際に起こりそうな状況や、業界で発生した事例をベースにしたケーススタディーを取り入れましょう。

特に効果的なのは、明らかな違反事例だけでなく、判断に迷うグレーゾーンのケースを扱うことです。「この状況ではどう判断すべきか」と考えさせることで、参加者は自分の価値観や判断基準を見つめ直す機会を得られます。

また、他社で発生した不祥事の事例を分析し、「なぜそのような問題が起きたのか」「自社では同様の問題をどう防げるか」を議論することも有効です。具体的な事例を通じて学ぶことで、知識が実践につながりやすくなり、「自分ごと」として考える姿勢を育むことができます。

参加型ディスカッションで当事者意識を高める

コンプライアンスセミナーでは、一方的な講義だけでなく、参加者同士のディスカッションを取り入れることが重要です。グループワークやロールプレイングなどの参加型活動を通じて、当事者意識を高めることができます。

例えば、「コンプライアンス違反が起きやすい状況とその対策」についてグループで話し合うことで、自社特有のリスクや盲点に気付くきっかけになります。

また、「コンプライアンス違反を目撃した際の適切な対応」をロールプレイングで実践することで、実際の場面での行動力を高めることができるでしょう。

参加型のセッションを設けることで、参加者は受け身の姿勢から能動的な学習者へと変わり、学んだ内容を自分の言葉で表現する機会を得られます。多様な意見や視点に触れることで、コンプライアンスに対する理解が一層深まるでしょう。

定期的・継続的な実施で定着を図る

コンプライアンス意識を組織に定着させるためには、1回限りのセミナーではなく、定期的・継続的な教育が不可欠です。年に1度の全社研修に加え、月次や四半期ごとの小規模なフォローアップセッションを設けるなど、複数の機会を通じて繰り返し学ぶ環境を整えましょう。

効果的なアプローチとしては、基礎編と応用編に分けたカリキュラムを設計し、段階的に理解を深められるようにすることが挙げられます。

また、法改正や社内ルールの変更があった際には、タイムリーな情報提供を行うことも重要です。継続的な教育により、コンプライアンスは「特別なイベント」ではなく「日常的な取り組み」として定着していきます。

さらに、eラーニングの学習履歴や理解度テストの結果を分析することで、社員の理解度や課題を把握し、次回のセミナー内容に反映させるというPDCAサイクルを回すことが、教育効果を高める鍵となるでしょう。

コンプライアンス研修・セミナーに活用できるコンテンツ

心理的安全性がつくる恐れのない職場コース①②

【コース概要】

組織やチームにとって重要な内容であるにもかかわらず、自分の考えを言わず、質問を控え、黙っていたことが何度ありますか?

従業員が安心して発言できるようにするには、心理的に安全な環境を整える必要があります。本コースでは、対人関係の不安がいかに組織をむしばむか、そして、その乗り越え方をさまざまな事例を通じて学習します。

【講師略歴】

エイミー・C・エドモンドソン

エイミー・C・エドモンドソンは、ハーバード・ビジネススクールのノバルティス記念講 座教授として、リーダーシップとマネジメントを教えています。

2年に1度発表される経営思想家の世界的なランキング、Thinkers50では、2011年、2013年、 2015年、2017年に選出され、2017年にはTalent Awardも受賞しました。

リーダーシップ、チーミング、組織学習に関する教育や執筆に従事し、ハーバード・ビジネス・レビューやカリフォルニア・マネジメント・レビューなどの経営誌や一流 の学術誌に寄稿しています。

心理的安全性に関する先駆的な研究で最もよく知られており、過去15年間に わたって経営、医療、教育分野のさまざまな学術研究に貢献してきました。

『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』(英治出版)や『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』(英治出版)などの著書があります。

まとめ:コンプライアンスセミナーを戦略的に活用して企業価値を高める

本記事では、効果的なコンプライアンスセミナーの選び方や実施方法について解説してきました。コンプライアンスセミナーは単なる義務的な研修ではなく、企業価値を高めるための戦略的な取り組みとして位置づけることが重要です。

コンプライアンスセミナーをeラーニングで効率的に実施し、全社員に均一な内容を届けることができれば、コンプライアンス意識の底上げにつながります。また、自社の状況に応じて外部講師によるセミナーや公開セミナーを組み合わせることで、より効果的な教育が可能となるでしょう。

セミナーを選ぶ際には、自社の心理的安全性や成果基準などの組織文化を考慮し、対象者の階層や自社の課題に合わせたテーマ選定を行うことが重要です。

コンプライアンスの基礎、ハラスメント防止、情報セキュリティー、心理的安全性という4つの重要テーマをバランスよく取り入れ、eラーニングによるインプット、具体的なケーススタディー、参加型ディスカッション、定期的な実施という効果を高める実施テクニックを活用することで、コンプライアンスセミナーの効果を最大化することができます。

コンプライアンス教育は「やらされ感」のある取り組みになりがちですが、適切に実施することで「企業価値を守り、高める活動」として社員に認識されるようになります。

コンプライアンス違反によるリスクを回避するだけでなく、透明性と誠実さを備えた企業文化を醸成することで、顧客や社会からの信頼獲得につながり、結果として持続的な企業成長を支える基盤となるのです。

コンプライアンスセミナーを戦略的に活用し、企業価値の向上に役立てていただければ幸いです。

株式会社LDcubeではコンプライアンスセミナーに活用できるeラーニング、マイクロラーニング、LMSなどの提供を行っています。

コースごとの価格設定もあれば、受講人数に制限を設けない全社員受け放題プランなど、費用についてもバリエーションを用意しております。

また不祥事の起きない会社づくりに向け、心理的安全性を高めるeラーニングや研修、職場ミーティングなどを組み合わせ、総合的な支援もしています。

さらに無料のデモIDの発行や実績・導入事例の紹介も行っていますので、お気軽にご相談ください。

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企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
株式会社ビジネスコンサルタントで、講師派遣型の人材育成支援から始まり、社内トレーナーの養成による人材育成支援、デジタルツールを活用した人材育成のDX化の支援まで、中小企業から大企業まで20年にわたり幅広いコンサルティングに従事。 新入社員研修からOJTリーダー研修、若手社員研修、管理職研修、幹部研修、営業研修、デジタル学習環境づくりのコンサルテーションなどに自らもコンサルタントとして登壇しながらも、人材育成・組織活性化・営業強化において講師派遣型の枠を超えた支援を実現するため、ビジネスコンサルタントの子会社である株式会社LDcubeの設立と同時に代表取締役に就任。 資格: ・全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC2023002) ・LIFOプログラムライセンス(LIFO-MSSプログラム開発者)

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