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【2025年版】企業のコンプライアンス違反事例20選と対策

「昨今、コンプライアンス違反のニュースが多く、自社でも強化することになった。とは言え、どのような行為が違反になるのか具体的な事例が見てみたい」

「自社のコンプライアンス意識を高めるために、実際違反事例を共有したい。どのようなコンプライアンス違反が起きているの?」

ニュースで目にする機会が増えている、企業のコンプライアンス違反。

自社のコンプライアンスを強化するために「どのような違反事例があるのか」「自社は違反事例のようなことをしていないか」気になっている担当者は多いのではないでしょうか。

企業で遵守するべきコンプライアンスにはさまざまな種類があり、各違反事例をまとめると下記のようになります。

コンプライアンスの違反事例のようなことが起こると、企業の信頼を失う可能性があります。

それだけでなく、刑罰や行政指導の対象となり、余分な労力、コストがかかる事態に陥るかもしれません。

企業がコンプライアンス違反を起こすと

コンプライアンスの遵守は企業の社会的責任でもあるので、事例を見て違反しないための対策を考えることが重要です。

そこでこの記事では、企業のコンプライアンス違反事例とコンプライアンス違反を避ける対策をまとめてご紹介します。

最後まで読めばコンプライアンス違反になる行動や考え方が分かり、自社で同じことにならないよう対策ができます。

コンプライアンス違反は、起こる前の対策が非常に重要です。

知らず知らずのうちにコンプライアンス違反をしないためにも、実際の事例をもとに自社の見直しをしてみましょう。

▼ コンプライアンス研修の内容についてはネタ切れという悩みに直面する組織や担当者も少なくありません。合わせてご覧ください。
コンプライアンス研修を新鮮なアイデアで刷新!「ネタ切れ」を乗り越える方法

  コンプライアンス研修で不祥事防止!?ネタ切れを乗り越えるアイデアを紹介! コンプライアンス研修に、社内外の事例活用や社会的情勢の取り入れ、効果的な学びを生み出すためのアイデアを解説しています。不祥事を未然に防ぐという目的に向け心理的安全性を高めるアプローチなど、企業のコンプライアンス研修を一歩進ませる方法について紹介しています。 株式会社LDcube

▼ハラスメント防止のeラーニングについては下記で解説しています。
eラーニングのハラスメント研修13選!意識向上が叶う研修を選ぼう

  eラーニングのハラスメント研修13選!意識向上が叶う研修を選ぼう 近年、オンラインでハラスメント研修を提供するサービスも世の中に数多く存在しています。本記事では、eラーニングのハラスメント研修を多数比較し、13選をピックアップしました。それぞれの特徴や強みをふまえて、パワハラ・セクハラ対策に役立つeラーニングを紹介します。 株式会社LDcube

▼コンプライアンス教育については下記にまとめています。

コンプライアンス教育バナー

目次[非表示]

  1. 1.企業のコンプライアンス違反事例一覧
  2. 2.ハラスメントのコンプライアンス違反事例
    1. 2.1.パワーハラスメントによる休職
    2. 2.2.忘年会でのセクシャルハラスメント
    3. 2.3.常識を逸脱した教育訓練の実施
  3. 3.雇用・労務に関するコンプライアンス違反事例
    1. 3.1.有給休暇の取得を妨害
    2. 3.2.長時間労働の実施
    3. 3.3.安全管理不足
  4. 4.財務・会計に関するコンプライアンス違反事例
    1. 4.1.架空売上の計上
    2. 4.2.助成金の不正受給
  5. 5.品質に関するコンプライアンス違反事例​​​​​​​
    1. 5.1.認証試験での不正
    2. 5.2.賞味期限の書き換え
    3. 5.3.施工不良を隠して工事を継続
  6. 6.情報管理に関するコンプライアンス違反事例
    1. 6.1.不正アクセスによる情報漏えい
    2. 6.2.元従業員による個人情報の持ち出し
    3. 6.3.SNSで機密情報が漏えい
  7. 7.取引先へのコンプライアンス違反事例
    1. 7.1.下請けに無償で金型などの保管を依頼
    2. 7.2.業務に関連のない商品の購入を要請
    3. 7.3.不当なやり直しの要求
  8. 8.権利に関するコンプライアンス違反事例 
    1. 8.1.商標権の侵害
    2. 8.2.海賊版ソフトウェアの利用
  9. 9.反社会的勢力に関するコンプライアンス違反事例
  10. 10.事例から分かる!コンプライアンス違反を避けるための対策
    1. 10.1.コンプライアンスを遵守できるルールを設ける
    2. 10.2.外部の監査、調査を受ける
    3. 10.3.不正を許さない風通しのいい風土を作る
    4. 10.4.コンプライアンスに関する知識を習得する
  11. 11.コンプライアンス違反を防ぐeラーニングコース
  12. 12.まとめ

企業のコンプライアンス違反事例一覧

	企業コンプライアンス違反事例 一覧

まずは、本記事で紹介している企業のコンプライアンス違反事例を一覧にまとめました。

一言でコンプライアンスと言ってもさまざまな種類があり、それぞれ違反の傾向も異なります。

ハラスメントのコンプライアンス違反事例

・部下の人格や能力を否定する言葉を使い繰り返し叱責する
・ハラスメントを受けて休職しているにもかかわらず自然退職を適応する

・忘年会の席とは言えセクシャルハラスメントは暴力行為および性的嫌がらせ行為に該当する
・被害者に落ち度があってもセクシャルハラスメントをしていい理由にならない

・目的や必要性が明確ではない裁量の範囲を超えた職業訓練を命じる
・職業訓練をするだけでなく飲み物の禁止や怒鳴る、蹴るなどの行為をしている

雇用・労務に関するコンプライアンス違反事例

・労働者の権利である有給休暇の取得を妨害する
・有給休暇の取り下げ後に突然業務を変更するなど嫌がらせと感じる行動を取る

・法定内残業時間を超える時間外労働をしている

・本長時間労働の実施来資格が必要な作業に無資格者が従事している
・不十分な安全管理で労災を起こした

財務・会計に関するコンプライアンス違反事例

・得意先に協力を依頼してテレビ受信機器の架空売上を計上する

・助成金の申請条件に反する活用をする

品質に関するコンプライアンス違反事例

・本来の認証試験の方法、規則と異なる方法で実施する
・試験成績書に認証試験結果と異なる数値を記載する

・冷凍販売されていた商品の一部で製造会社が賞味期限の書き換えをする

・アンカーボルトにずれがあったのにも関わらず隠したまま工事を継続する
・アンカーボルトがずれたまま施工を継続できるよう要請、指示をする

情報管理に関するコンプライアンス違反事例

・取引先従業員や当社従業員の個人情報の一部が漏えいした恐れがある

・退職後の従業員が個人情報を不正に持ち出しする
・不正に持ち出しした個人情報を退職後の業務に使用する

・X(旧Twitter)に税務情報が映り込み情報が漏えいする

取引先へのコンプライアンス違反事例

・下請事業者に自社が保有している金型、治具などを一定期間無償で保管させる

・下請事業者との業務に関連性のない商品やサービスを強制的に購入させる

・仕様書から作業の必要が判断できないやり直しを無償でさせる
・受領後も下請事業者に帰すべき理由のないやり直しを指示する

権利に関するコンプライアンス違反事例

・商標権の確認をしないで他社と酷似した商品名を使用する

・正規品でないソフトウェアと知りつつもパソコンにインストールして業務使用する

反社会勢力に関するコンプライアンス違反事例

・解体工事代金の一部が反社会的勢力である指定暴力団の組員に流れた疑いがある

どれか1つのコンプライアンスに気をつければいいのではなく、業種や業務内容に応じて必要なコンプライアンスに全て適用することが重要です。

そのためには、実際のコンプライアンス違反事例を見て、どのようなことに留意しなければならないのか把握しておきましょう。

ハラスメントのコンプライアンス違反事例

コンプライアンス違反事例 ハラスメント

まずは、ハラスメントのコンプライアンス違反事例をご紹介します。

パワーハラスメントの対策は事業主の義務となっただけでなく、セクシャルハラスメントなどの対策強化も求められるようになりました。

「この行為がハラスメントに該当するなんて知らなかった」「ハラスメントを意識する風土がない」では済まされないケースもあるので、実際の違反事例を見て自社の現状を確認してみましょう。

ハラスメントのコンプライアンス違反事例
・部下の人格や能力を否定する言葉を使い繰り返し叱責する
・ハラスメントを受けて休職しているにもかかわらず自然退職を適応する
・忘年会の席とは言えセクシャルハラスメントは暴力行為および性的嫌がらせ行為に該当する
・被害者に落ち度があってもセクシャルハラスメントをしていい理由にならない
・目的や必要性が明確ではない裁量の範囲を超えた職業訓練を命じる
・職業訓練をするだけでなく飲み物の禁止や怒鳴る、蹴るなどの行為をしている

パワーハラスメントによる休職

パワーハラスメントによる休職

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・部下の人格や能力を否定する言葉を使い繰り返し叱責する
・ハラスメントを受けて休職しているにもかかわらず自然退職を適応する

改善策

・部下の人格や能力を否定するのではなく、業務改善のための建設的な話し合いをする
・不当な退職にならないように就業規則を見直す

機械の製造販売などを行う会社に勤務していたAさんは、上司からのパワーハラスメントにより適応障害を発症し休職に追い込まれました。主なパワーハラスメントの内容は、下記のとおりです。

パワーハラスメントの内容

金庫室の施錠

終業時間が迫っていたものの、終業時間以降も金庫室の利用の必要性が予想された。そのため、Aさんはセキュリティーキーを管理する同僚に施錠を待ってもらうことにした。

Aさんは他部署の担当者と打ち合わせをしていたら上司が突然割り込み、金庫室の施錠について感情的な大声で怒鳴った。Aさんの理由を全く聞かず、感情的な叱責を繰り返した。

補助金関係書類の作成

Aさんが指示された補助金関係書類を作成していたところ、上司が「仕事が遅い」「能力が劣っている」などの叱責をした。

残業にならないように進めていたというAさんの意見を聞いても「仕事が遅いから夜中までかけて完成させろ」「仕事の意味が分かっていない」など高圧的な強い口調で叱責した。

このようなパワーハラスメントを受けて、Aさんは適応障害を発症し休職しました。また、この会社の就業規則の休職期間を満了し、自然退職になったと告げられたそうです。

裁判では適応障害とパワーハラスメントの因果関係が認められ、自然退職も不当との判決になりました。

Aさんが求めた慰謝料の一部支払いも、命じられました。

上司は部下の能力や人格否定を避けて、業務改善のための方法を話し合うべきだったでしょう。

参考:厚生労働省 あかるい職場応援団「上司のパワーハラスメントが原因で休職したものとして地位の確認と損害賠償を請求した事件

忘年会でのセクシャルハラスメント

忘年会でのセクシャルハラスメント

コンプライアンス違反となり得るポイント

・忘年会の席とは言えセクシャルハラスメントは暴力行為および性的嫌がらせ行為に該当する
・被害者に落ち度があってもセクシャルハラスメントをしていい理由にならない

改善策

・忘年会などの行事でもコンプライアンスを遵守する

生命保険相互会社の保険外交員は、忘年会で上司からセクシャルハラスメントを受けました。被害者が複数人いる状況ですが、上司は保険外交員に下記のような行為をしたそうです。

【忘年会でのセクシャルハラスメントの一部】

  • 被害者の腰に両脚を巻きつけ抱きついた
  • 背後から肩に手を回して抱きついて写真を撮影させた

セクシャルハラスメント後に被害者は病院への通院があった、精神的苦痛があったなどと訴えていました。

以前からこの事務所の忘年会では悪ふざけ的な行為をしており、その場では被害者側が加害者の行為を咎めることなかったとのことです。

しかし、被害者に落ち度があるからとって、セクシャルハラスメントをしていい理由にはならなりません。

判決では2割を限度とした減額を認めたものの、損害賠償義務を負い慰謝料の支払い義務があると言い渡されました。

参考:厚生労働省 あかるい職場応援団「生命保険会社の忘年会で上司等が保険外交員にセクハラ行為をした事案において、被害者によるセクハラ行為を煽る言動があったとしても、行為者及び使用者の損害賠償責任が認められた一方、被害者にも落ち度があるとして損害賠償額が減ぜられた事例」

常識を逸脱した教育訓練の実施

常識を逸脱した教育訓練の実施

コンプライアンス違反となり得るポイント

・目的や必要性が明確ではない裁量の範囲を超えた職業訓練を命じる
・職業訓練をするだけでなく飲み物の禁止や怒鳴る、蹴るなどの行為をしている

改善策

・目的や必要性が明確で対象者も納得をしている職業訓練を実施する

鉄道会社「JR東日本」の労働者であり国鉄労働組合の組合員のAさんは、国鉄労働組合のマークが入っているベルトをしていました。

区長から「着用しているベルトが就業規則違反だ」との指摘を受けました。しかし、Aさんはそれに応じませんでした。

そこで、区長は、就業規則の書き写しなどの教育訓練を実施しました。職業訓練の内容は、下記のように裁量の範囲を逸脱していたのです。

【職業訓練の内容】

  • 周囲に「就業規則が分からない人がいる。迷惑がかかるかもしれないが、皆さん協力してください」と呼びかける
  • 長の前に設置した机で長時間実施して、手を休めると怒鳴る、机を叩くなどの行為をする
  • Aさんに飲み物を飲ませない一方で、区長は目の前でジュースを飲む
  • Aさんを起立させて就業規則の読み上げを命じる

 帰宅したAさんは腹痛を訴え翌日に有給休申請をしましたが、区長に認められませんでした。
仕方なくAさんは出社して就業規則の書写しを開始したものの、腹痛で病院に行きたい旨を申し出ました。

区長は認めず、Aさんから胃潰瘍の病歴がある申告を受けて初めて承諾したのです。その後、Aさんは、1週間ほど入院することになりました。

管理職が部下に職業訓練を命じるだけでは違法性はありませんが、必要性や実施内容から裁量の範囲を逸脱していると判決が出ました。

また、Aさんには身体的、精神的な苦痛を与えたことから、損害賠償請求を負う判決が下されました。

このように、目的や内容に合理性がない職業訓練は、管理職の職権乱用に該当する恐れがあるので十分な検討が必要でしょう。

参考:厚生労働省 あかるい職場応援団「労働者に対して会社が課した就業規則の書き写し等の教育訓練が、裁量権を逸脱、濫用した違法なものであるとして、損害賠償請求が認められた事案」

雇用・労務に関するコンプライアンス違反事例

コンプライアンス違反事例 雇用 労務

続いて、雇用・労働に関するコンプライアンス違反事例をご紹介します。

有給休暇の取得や残業、安全管理など、雇用や党務に関するコンプライアンス違反は多く発生しています。

社員の満足度や企業のイメージに直結する部分なので、どのようなことがコンプライアンス違反になるのか把握しておきましょう。

雇用・労務に関する
コンプライアンス違反事例

コンプライアンス違反となり得るポイント

・労働者の権利である有給休暇の取得を妨害する
・有給休暇の取り下げ後に突然業務を変更するなど嫌がらせと感じる行動を取る

・法定内残業時間を超える時間外労働をしている

・本来資格が必要な作業に無資格が従事している
・不十分な安全管理で労災を起こした

有給休暇の取得を妨害

有給休暇の取得を妨害

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・労働者の権利である有給休暇の取得を妨害する
・有給休暇の取り下げ後に突然業務を変更するなど嫌がらせと感じる行動を取る

改善策

・有給休暇は労働者の権利だと認識して拒否や妨害をしないようにする

塾講師であるAさんは、直属の上司に1日間の有給休暇を申請しました。

上司はAさんが同じ月の月末に3日間のリフレッシュ休暇を取得することを指摘して「今月末にリフレッシュ休暇を取るのに、有給まで取得するのは心情が悪い。理由があるのか」という旨のメールを送りました。

翌日には口頭で「休んでも仕事が回るなら、会社にとって必要ない人間じゃないのかと、上はそう言う」「仕事が足りないなら仕事を回すから、出社して仕事して欲しい」という旨の発言をしたのです。

これを受けて、Aさんは有給休暇を取り下げました。有給取得予定日には上司の担当するはずだった業務をAさんに割り振り、常務量を増やす、変更する嫌がらせも受けました。

判決では地位を利用した有給休暇取得申請の取下げを強要したとして、違法との判断が下りました。

また、有給休暇を取り下げた後の上司の嫌がらせ行為も、Aさんの人格を侵害する違法行為だと判断されました。

有給休暇は労働者の権利なので、本来会社側の承諾や許可は必要ありません。
労働省の権利を妨げる行為はコンプライアンス違反となる可能性が高いため、十分な注意が必要でしょう。

参考:厚生労働省 あかるい職場応援団「有給休暇の取得妨害」

長時間労働の実施

長時間労働の実施

コンプライアンス違反
となり得るポイント

法定内残業時間を超える時間外労働をしている

改善策

・法定内の残業時間で業務を終えられるように業務内容を調整する
・残業が当たり前の状態にならないように適切な労務管理をする

ソフトウェアの受託開発などを行う会社では、システム開発で生じたトラブル対応などのために違法な時間外労働をしていました。

36協定の特別条項で定めた上限時間(月80時間)を超えて、1ヶ月あたり最長120時間の時間外労働をしていたそうです。

その結果、労働基準監督署の是正勧告を受けて、時間外労働の見直しをすることになりました。

法定内の時間外労働では対応できない場合は業務内容を調整して、違法な時間外労働にならないような工夫が必要です。

参考:厚生労働省「監督指導において違法な長時間労働を認めた事例」

安全管理不足

安全管理不足

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・本来資格が必要な作業に無資格者が従事している
・不十分な安全管理で労災を起こした

改善策

・安全管理は会社の義務だと考えて厳重な管理をする
・安全管理体制を整えて常に一定水準を維持できるようにする

この建設会社では、本来有資格者しか操縦ができない移動式クレーン(つり上げ荷重1トン以上5トン未満)を、資格を保有しないAさんが操縦していました。

Aさんは無資格のまま資材の積卸し作業を行い、移動式クレーンが転倒して重症を負う労災に発展しました。

建設会社とAさんはどちらも労働安全衛生法違反の疑いで、書類送検されました。

法令を遵守した安全管理は会社の義務です。気の緩みから管理不足になるとコンプライアンス違反となるため、注意しましょう。

参考:厚生労働省「無資格で移動式クレーンの運転を行わせた事業者を 労働安全衛生法違反の疑いで書類送検しました 」

財務・会計に関するコンプライアンス違反事例

コンプライアンス違法事例 会計

ここでは、財務や会計に関するコンプライアンス違反事例をご紹介します。

財務や会計に不正があると、ステークホルダーからの信頼を失うきっかけになるでしょう。

コンプライアンス違反を起こさないためにも、どのような事例があるのか確認しておきましょう。

財務・会計に関する
コンプライアンス違反事例

コンプライアンス違反となり得るポイント

・得意先に協力を依頼してテレビ受信機器の架空売上を計上する

・助成金の申請条件に反する活用をする

架空売上の計上

架空売り上げの計上

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・得意先に協力を依頼してテレビ受信機器の架空売上を計上する

改善策

・偽りのない会計処理、報告をする
・架空計上などの提案があっても話を受けないようにする

A社の連結子会社は、得意先に協力を依頼してテレビ受信機器の架空売上を計上しました。

棚卸資産評価損の計上を指摘した会計監査人に対して、受信機器の販売計画を達成したと偽り、本来計上すべき棚卸資産評価損を計上しない不適切な会計処理をしたのです。

これにより重要な虚偽記載のある有価証券報告書だと捉えられ、課徴金納付命令勧告(課徴金額600万円)を受けることになりました。

参考:証券取引等監視委員会メ-ルマガジン(第109号)平成30年3月20日:証券取引等監視委員会

助成金の不正受給

助成金の不正受給

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・助成金の申請条件に反する活用をする

改善策

・助成金や補助金の申請時には条件をしっかりと確認して適切な活用をする

労働派遣会社「株式会社グランド」は、新型コロナウイルスの影響で一部の従業員が休業を余儀なくされたと雇用調整助成金を申請していました。

しかし、休業していたはずの日に、対象従業員が問い合わせ対応などの一部業務に携わっていたことが分かりました。

「株式会社グランド」は労働局からの指摘を受けて調査をしたところ、2億4,000万円余りの雇用調整助成金を不正に受け取ったとして全額返還を求められました(既に全額返還済み)。

当時の混乱していた状況の中で、助成金の申請要件についての理解が不十分で適切な申請をできていなかったことが原因だと述べています。

助成金や補助金は申請条件や手続きが複雑で知らない間にコンプライアンス違反となる可能性があるので、十分に理解をしたうえで活用することが大切です。

参考:株式会社グランド「雇用調整助成金の不正受給に対するお詫び 」

品質に関するコンプライアンス違反事例

ここでは、品質に関するコンプライアンス違反事例をご紹介します。

品質不正や品質偽装などを起こすと、余分なコストがかかったり信頼を失ったりする結果を招きます。

品質不正を起こさないためにも、違反事例を参考にどのような改善ができるのか検討してみてください。

品質に関するコンプライアンス違反事例

コンプライアンス違反となり得るポイント

・本来の認証試験の方法、規則と異なる方法で実施する
・試験成績書に認証試験結果と異なる数値を記載する

・冷凍販売されていた商品の一部で製造会社が賞味期限の書き換えをする

・アンカーボルトにずれがあったのにも関わらず隠したまま工事を継続する
・アンカーボルトがずれたまま施工を継続できるよう要請、指示をする

認証試験での不正

認証試験不正受給

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・本来の認証試験の方法、規則と異なる方法で実施する
・試験成績書に認証試験結果と異なる数値を記載する

改善策

・試験の規則に従って適切な方法で実施する

自動車の製造、販売をする「本田技研工業株式会社」では、四輪車の型式指定申請時の認証試験で下記のような不適切な試験を実施していました。

試験内容

不正の内容

騒音試験
(2009年2月~2017年10月に実施)

・法規の規定範囲を超えた重量で試験を実施した
・試験成績書に試験をした車両の重量と異なる規定範囲内の数値を記載した

原動機車載出力試験
電動機最高出力及び定格出力試験
(2013年5月~2015年6月に実施)

・試験成績書に試験結果の出力値、トルク値を書き換えて記載した


原動機車載出力試験
(2013年4月~2015年1月に実施)

・法規では発電機を作動させた状態で試験するが、作動させずに実施。別の同一原動機試験で得られた補正値を用いて数値を算出して、発電機を作動させた状態と同等の試験結果だとみなした

背景や理由は試験内容により異なるものの、工数の削減や再試験を避けたいなどの考えがあったようです。

このような不正を受けて、国土交通省は立ち入り調査をしています。
認証試験は一定の品質が備わっているか判断するものなので、規則に従い実施することが重要でしょう。

参考:本田技研工業株式会社「四輪車の型式指定申請における不適切事案の判明について」

賞味期限の書き換え

賞味期限の書き換え

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・冷凍販売されていた商品の一部で製造会社が賞味期限の書き換えをする

改善策

・規則に従って適切な賞味期限を遵守する
・製造会社の品質管理を定期的にチェック

お菓子などの販売をしている「株式会社シャトレーゼ」が冷凍販売していた商品の一部で、賞味期限の書き換えが発覚しました。

製造会社である「株式会社菜花堂」が、約4,344個の賞味期限の書き換え行っていたのです。

まもなく廃棄となる商品への罪悪感から、社長が自らの経験を踏まえて問題ないと判断して指示していたそうです。

公的機関の検査により、対象商品の品質、安全性に問題がないと確認できましたが、当時の社長は解任されてグループ会社に異動する事態に発展しました。

参考:株式会社シャトレーゼ「「濃厚ショコラテリーヌ」賞味期限書き換え発生に関するお詫びと自主回収のお知らせ 」

施工不良を隠して工事を継続

施工不良を隠して工事を継続

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・アンカーボルトにずれがあったのにも関わらず隠したまま工事を継続する
・アンカーボルトがずれたまま施工を継続できるよう要請、指示をする

改善策

・現場だけでなく企業を巻き込み品質管理を徹底する
・報連相がしやすい環境を整える

建設会社3社から構成される「横手・半田・伊藤特定建設工事共同企業体」は、JR横手駅東口で進む再開発事業を手がけていました。

その中のB-1棟でアンカーボルトの位置がずれているのにも関わらず報告せず、施工不良のまま鉄骨の建て入れまで進んでしまったのです。

工事の現場代理人や監理技術者は施工不良を知りながらも、施工不良を修正しないで鉄骨を建てることは可能か検討するように要請したそうです。

その後も施工不良に関する相談はなく、梁を切断して鉄骨を建てるように指示していました。

相談しなかった理由は、工期が遅れてしまうことや心理的、物理的な余裕がなかったと話しています。また、以前も同じようなミスをしたことがあり「二度目はない」と感じたことから、報告ができなったそうです。

結果的にアンカーボルトの位置がずれ傾いた柱を戻すために時間と費用が発生し、完成時期も遅延することになってしまいました。

参考:TMI総合法律事務所「横手駅東口第二地区第一種市街地再開発事業における施工不良に関する調査報告書」

情報管理に関するコンプライアンス違反事例

コンプライアンス違反事例 情報管理

ここでは、情報管理に関するコンプライアンス違反事例をご紹介します。

昨今、企業の情報漏えいは増加傾向にあり、適切な情報管理が求められています。

情報管理不足ではどのようなコンプライアンス違反が起こり得るのか把握して、自社の現状を見直してみましょう。

情報管理関するコンプライアンス違反事例

コンプライアンス違反となり得るポイント

・取引先従業員や当社従業員の個人情報の一部が漏えいした恐れがある

・退職後の従業員が個人情報を不正に持ち出しする
・不正に持ち出しした個人情報を退職後の業務に使用する

・X(旧Twitter)に税務情報が映り込み情報が漏えいする

不正アクセスによる情報漏えい

不正アクセスによる情報漏えい

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・取引先従業員や当社従業員の個人情報の一部が漏えいした恐れがある

改善策

・セキュリティを強化する
・委託先事業者との連携を強化して適切な管理ができているか確認する

アパレルブランドを展開している「株式会社ファーストリテイリング」は、2024年9月に自社が管理する情報システムが不正アクセスを受けました。

これにより、取引先従業員や当社従業員の個人情報の一部が漏えいした恐れがありました。原因は、委託先事業者のネットワークの設定変更に不備があったことだそうです。

今後はセキュリティの強化に取り組み、改善をする方向性を示しました。

個人情報の漏えいは、状況により行政処分や損害賠償責任の対象になります。企業の責任として、しっかりと取り組む必要があるでしょう。

参考:株式会社ファーストリテイリング「当社グループ情報システムへの不正アクセス発生に関するお詫びとご報告」

元従業員による個人情報の持ち出し

元従業員による個人情報の持ち出し

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・退職後の従業員が個人情報を不正に持ち出しする
・不正に持ち出しした個人情報を退職後の業務に使用する

改善策

・退職時に持ち出しがないようにルールを徹底する
・個人情報の扱いの再教育をする
・機密情報へのアクセス制限を設ける

不動産の仲介、売買をしている「東急リバブル株式会社」では、元従業員が退職し同業他社へ転職するときに、社内資料を不正に持ち出したことが発覚しました。

社内資料は不動産登記簿をデータ化した個人情報で、約2.5万人分あったそうです。持ち出した情報の一部を使い、ダイレクトメールの送付をしていたことも分かっています。

事実の発覚後は元従業員のパソコンを調査して、データの削除を確認しました。

従業員によるデータの持ち出しが起こらないように、個人情報の扱いの再教育や社内ルールの徹底を実施したとこのことです。

参考:東急リバブル株式会社「弊社元従業員による個人情報の不正な持ち出しに関するご報告とお詫び」

SNSで機密情報が漏えい

SNSで機密情報が漏えい

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・X(旧Twitter)に税務情報が映り込み情報が漏えいする

改善策

・SNS投稿時のルールを策定する
・SNSを扱う社員のリテラシー向上に取り組む

兵庫県姫路市では、資産税課の職員がX(旧Twitter)に市内企業の申告書の一部が写り込みました。職員は市役所で固定資産税の償却資産申告書の事務処理中に、自身の卓上の菓子や飲料を撮影しXに投稿しました。

その中に、社名や資産取得価格の一部が判断できる情報が映り込み、税務情報が漏えいしてしまったのです。今後は、個人情報の管理を徹底していくとのことです。

昨今は、SNSやブログ経由で情報が漏えいするケースもあるので、SNSを扱う社員のリテラシー向上が求められるでしょう。

参考:日本経済新聞「ツイッターに税情報 姫路市職員の投稿に写りこむ」

取引先へのコンプライアンス違反事例

取引先への違反事例

続いて、取引先へのコンプライアンス違反事例をご紹介します。

下請法やフリーランス新法などを受けて、業務に関連する他社への対応にもコンプライアンスが求められています。

不当な扱い、要求は法律違反に該当するリスクがあるので、違反事例を参考に自社の現状を見直してみましょう。

取引先へのコンプライアンス違反事例

コンプライアンス違反となり得るポイント

・下請事業者に自社が保有している金型、治具などを一定期間無償で保管させる

・下請事業者との業務に関連性のない商品やサービスを強制的に購入させる

・仕様書から作業の必要が判断できないやり直しを無償でさせる
・受領後も下請事業者に帰すべき理由のないやり直しを指示する


下請けに無償で金型などの保管を依頼

下請けに無償で金型などの保管を依頼

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・下請事業者に自社が保有している金型、治具などを一定期間無償で保管させる

改善策

・下請法を理解して反する行為をしない
・下請事業者に不利になる依頼をしない

電機メーカーの「サンデン株式会社」は、下請事業者に自社が保有している金型、治具などを一定期間無償で保管させていました。

該当する金型、治具を使う部品などを長期間発注しないにも関わらず、下請事業者に対し、合計4,220型の金型などを無償で保管させて、下請事業の利益の一部を侵害していたそうです。

これに対して公正取引委員会は勧告を行い、適切な費用の支払いと下請法の研修実施など社内体制の整備を求めました。

無償での金型などの保管は「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」に該当し、下請法違反になるリスクがあります。法律を遵守した下請事業者との連携が求められます。

参考:公正取引委員会「サンデン株式会社に対する勧告について」

業務に関連のない商品の購入を要請

業務に関連のない商品の購入を要請

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・下請事業者との業務に関連性のない商品やサービスを強制的に購入させる

改善策

・下請事業者に物品販売をする場合は下請法を遵守する
・下請事業者に強制的に商品やサービスを販売しない

冠婚葬祭業務を行う「株式会社日本セレモニー」はおせち料理やディナーショーチケットの販売にあたり、所属部署や役職、冠婚葬祭式場ごとなどで販売目標数量を定めて販売活動をしていました。

目標販売量を達成するために、下請事業者と交渉などをする発注担当者から、おせち料理などの購入要請をしていたそうです。下請事業者が断るなどをした場合は、再度購入を要請していました。

その結果、「株式会社日本セレモニー」の要請を受けて、272万円分のおせち料理などの購入に至りました(購入時の振込手数料は下請事業者持ち)。

これに対して公正取引委員会は勧告を行い、下請事業者に指定する物を強制購入させてはいけないなどの改善指導を行いました。

参考:公正取引委員会「株式会社日本セレモニーに対する勧告について」

不当なやり直しの要求

不当なやり直しの要求

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・仕様書から作業の必要が判断できないやり直しを無償でさせる
・受領後も下請事業者に帰すべき理由のないやり直しを指示する

改善策

・仕様書などにないやり直しを強制しない
・やり直しのルール、期日を明確にして下請事業者に不当な指示をしない

動画制作や動画配信サービスなどをしている「カバー株式会社」は、VTuber動画に使用するイラストや2Dモデル、3Dモデル作成を外部に委託しています。
 
2022年4月~2023年12月の間に、仕様書からは作業が必要だと判断できないやり直しを、下請事業者23名に対し、無償で合計243回実施していました。

やり直しの一例としては、下記のようなケースが該当します。

【カバー株式会社のやり直しの一例】

下請事業者1名に、動画用2Dモデルの作成を発注しました。その後、発注書などで示された仕様から作業が必要だと分からないやり直しを、無償で5回させていました。

しかも、 5回のやり直しは、いずれも納入後5日以内としていた検査期間を経過してから指示したものでした。

カバー株式会社から「全ての確認が完了した」と通知を受けたのは、受領日から277日経過した日でした。

これに対して公正取引委員会は勧告を行い、やり直し費用に相当する額を速やかに支払うよう指示しました。

また、下請事業者に帰すべき理由がないのに、受領後もやり直しを無償でさせることがないように、社内体制の整備などを指導しています。

参考:公正取引委員会「カバー株式会社に対する勧告等について
​​​​​​​

権利に関するコンプライアンス違反事例 


ここでは、権利に関するコンプライアンス違反事例をご紹介します。

事業活動をする中で、著作権や商標権、特許などさまざまな権利を侵害しないよう十分な配慮が求められます。

コンプライアンス違反にならないためにはどのような視点が必要なのか、違反事例から把握しておきましょう。

権利に関するコンプライアンス違反事例

コンプライアンス違反となり得るポイント

・商標権の確認をしないで他社と酷似した商品名を使用する

・正規品でないソフトウェアと知りつつもパソコンにインストールして業務使用する

商標権の侵害

商標権の侵害

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・商標権の確認をしないで他社と酷似した商品名を使用する

改善策

・商品名や社名などを考えるときは商標権を確認して他社の知的財産権を侵害しないようにする
・社内の話し合いだけで社内や商品名を決めずに弁護士などに相談する

お土産用のお菓子を製造・販売するA社は、地元の特産品を使ったドーナツを開発しました。顧客に覚えてもらいリピーターが増えるように、商品名にもこだわりました。

このドーナツはSNSの投稿などで特徴的な見た目と商品名が話題になり、売上が順調に伸びていったそうです。

しかし、A社に「ドーナツの名称がB社の権利を侵害している。販売を停止してほしい」との警告書が届きました。

A社はドーナツ名を簡単な市場調査を踏まえて、社内で意見を出し合って決定しました。意図的にB社の商品名を模倣したわけではないものの、商標権が取得されている商品名なのか調査してなかったのです。

弁理士に相談したところB社の警告は妥当であり、A社がこのまま商品名を使用することは困難だとの結論に至りました。

その後、A社はドーナツの商品名を変更して商標権を取得しました。今までのチラシや梱包紙などを変更しなければならないため、予想外のコストが発生したそうです。

また、旧名称で浸透していたので、顧客から模倣品と間違えられることもあり売上が落ち込んでしまいました。

このように、商品名や社名は企業の知的財産に該当します。決定時に他社の知的財産を侵害していないか、慎重に確認する必要があるでしょう。

参考:特許庁「あなたが考えたその商品名、本当に使って大丈夫ですか?」

海賊版ソフトウェアの利用

海賊版ソフトウェアの利用

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・正規品でないソフトウェアと知りつつもパソコンにインストールして業務使用する

改善策

・社内で使用するソフトウェアなどは厳重に確認する
・社内のルールを策定してコンプライアンス意識を向上する

さまざまな分野の研究、調査をしている「地方独立行政法人北海道立総合研究機構」に勤務していたAさんは、不正に入手したソフトウェアを正規品でないことを知りつつ、パソコンに無断でインストールして業務利用していました。

これにより正規品を販売する企業より著作権法違反だとして、損害賠償金の支払いを求められました。

その後、双方は和解をしたうえで総額約8,300万円を損害賠償金として支い、該当のソフトウェアを削除したそうです。

発生原因としてはコンプライアンス意識の欠如や情報セキュリティ対策不足などが挙げられ、再発防止に取り組んでいくとのことです。

参考:地方独立行政法人北海道立総合研究機構「北海道立総合研究機構職員による不正に入手したソフトウェアの業務利用について」

反社会的勢力に関するコンプライアンス違反事例

コンプライアンス違反事 反社会勢力

反社会勢力に解体工事代金の一部を渡した疑い

コンプライアンス違反
となり得るポイント

・解体工事代金の一部が反社会的勢力である指定暴力団の組員に流れた疑いがある

改善策

・反社会勢力と関わりを持たない
・社内のコンプライアンス意識を強化する

ここでは、反社会的勢力との関わりによるコンプライアンス違反事例をご紹介します。

住宅メーカーである「株式会社三栄建築設計(現:株式会社メルディア)」の元代表取締役であった小池信三氏は、指定暴力団の組員に額面約189万円の小切手を交付した可能性があるとして、東京都公安委員会から勧告を受けました。

当社が発注した解体工事代金の一部が反社会的勢力である指定暴力団の組員に流れた疑いがあり、調査を受けています。元代表取締役であった小池信三氏は、既に辞任しています。

反社会的勢力への利益提供は、条例などで禁止されています。反社会勢力とは関わらないよう、企業のコンプライアンス意識を強化していく必要があるでしょう。

参考:株式会社メルディアDC「親会社に対する東京都公安委員会からの勧告に関するお知らせ

事例から分かる!コンプライアンス違反を避けるための対策

コンプライアンス違反を避けるために

ここまで、コンプライアンスの違反事例を詳しく解説してきました。

事例から分かるように、コンプライアンス違反が起きると、企業の信頼を失ったり刑罰、勧告などの対象になったりする可能性があります。

コンプライアンス違反を避けるために、まず検討したい対策を4つご紹介します。

コンプライアンス違反事例 対策

コンプライアンス違反を起こさないために、まず何をすればいいのか確認しておきましょう。

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コンプライアンスを遵守できるルールを設ける

1つ目は、コンプライアンスを遵守できるルールを設けることです。

紹介した違反事例を見ると分かるように、コンプライアンス違反を防ぐには、部署や業務ごとに注意しなければならないことがたくさんあります。

ただ「守ってください」「意識してください」と注意するだけでは強制的に欠けて形骸化しやすいため、明確なルールを設けて誰もが守れるようにしておきましょう。

たとえば、ハラスメントに関するコンプライアンスであれば、どのような行為が違反になるのかルール化して共有します。

ハラスメントに関するコンプライアンス違反を防ぐルール例

パワーハラスメントのルール例

・業務範囲を超える無理な指示、指導をしない
・従業員の人格や考え方を否定する発言をしない
・一部の従業員を孤立させるような行動、言動をしない
・能力の過小評価、過大評価をしない など

セクシャルハラスメントのルール例

・職場で性的な発言、行動をしない
・セクシャルハラスメントに該当する行動を見てみぬふりをしない など

また、ルールを策定して終わりではなく就業規則などに反映させて、違反した場合の罰則を決めておくこともできるでしょう。

このように、コンプライアンス違反を起こさないためには、明確なルールを設けて、何をしてはいけないのか分かる状態にしておくことが重要です。

外部の監査、調査を受ける

2つ目は、外部の監査や調査を受けることです。

自社独自の業務方法やルールが浸透していると、どこに課題があるのか社内の人材では判断しにくいためです。第三者の視点を入れて、客観的にどこに課題があるのか明確にするといいでしょう。

相談する第三者は正しい知識とノウハウが必要なので、下記のように専門家への相談が検討できます。

【外部の監査、調査先の例】

  • 会計:会計士、税理士
  • 労務、ハラスメント:社労士
  • 品質管理:各業界の相談機関、調査機関
  • 権利、法律関連:弁護士 など

現状の業務方法や管理方法などを共有して、課題はないか話し合うといいでしょう。

話し合いから見えてきた課題を改善することで、コンプライアンス違反が起きにくい状況を作れるようになります。

不正を許さない風通しのいい風土を作る

3つ目は、不正を許さない風通しのいい風土を作ることです。

違反事例でもあったように「コンプライアンス違反があっても報告できない」「違反だと分かっていても仕方ない」などの状況があると、最終的に大きなトラブルに発展する可能性があります。

「コンプライアンス違反は許さない」という姿勢をしっかりと示して、見て見ぬふりをしない風土を作るようにしましょう。

そのためには、下記のように誰もが意見を言える環境を整えることが大切です。

【不正を許さない風通しのいい風土を作るポイント】 ​​​​​​​

  • 相談窓口を設置する
  • 上司が部下の声に耳を傾けるようにする
  • 心理的安全性を確保する
  • コンプライアンス委員会など強化する組織を作る

とくに、心理的安全性(チームのメンバーが安心して自分の意見を言ったり、失敗を恐れずに挑戦したりできる環境)が確保されていないと、「上司に意見を言えない」「同僚のコンプライアンス違反を指摘できない」などの事態に陥りやすいです。

チームや組織の心理的安全性を高めて、不正があったらすぐに指摘できる風土を作ることが重要です。

▼心理的安全性については、下記の記事で詳しく解説しています。
「心理的安全性」その本質・作り方とは?今すぐ取り組みたい20の具体策を解説!

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▼心理的安全性についての資料はこちらからダウンロードできます。
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コンプライアンスに関する知識を習得する

4つ目は、コンプライアンスに関する知識を習得することです。

何がコンプライアンス違反になるのか正しく理解していないと、知らぬ間に不正や違反をしてしまう可能性があるからです。

事例でも触れたように、コンプライアンスに関する知識は幅広いため、誰がどのような知識を習得するべきか整理をして進めるといいでしょう。

そのうえで、下記のような方法で、コンプライアンスの知識の習得を進めます。

【コンプライアンスに関する知識を習得する方法】

  • コンプライアンスに関する書籍を読み、その後に研修などの機会を設ける
  • eラーニングで基礎知識を習得する
  • 外部の講座やセミナーに参加する
  • ハラスメント研修や品質管理研修などテーマを決めて研修を実施する

コンプライアンスに関する知識を習得するときは、インプットとアウトプットの双方を意識することが重要です。

例えば、コンプライアンスに関する本を読み終わりではなく、本で得た知識を活かしてロールプレイングをする、ディスカッションをするなど、アウトプットの場を設けましょう。

▼コンプライアンスに関する本は下記の記事で紹介しています。

  • 「コンプライアンス 本」

 ▼コンプライアンス研修の内容は下記の記事で詳しく解説しています。


コンプライアンス違反を防ぐeラーニングコース

コンプライアンス違反事例 eラーニング

ここまで、企業のコンプライアンス違反事例とコンプライアンス違反を防ぐ方法を解説してきました。

違反事例から分かるように、コンプライアンス違反は正しい知識を習得していないと違反がどうか見極めることが難しいです。

だからこそ、コンプライアンスに関する正しい知識を持ち、違反ではないと確認できる状態にしておくことが欠かせません。

コンプライアンスに関する知識習得に活用できるのが、私たちLDcubeが提供する「eラーニング」です。

下記のように、コンプライアンスに関する知識を習得できるパッケージをご用意しています。

コンプラ/ハラスメントパッケージ

コンプライアンスやハラスメントの基礎の理解から活用まで幅広く学習する

 <パッケージ内容>

  • コンプライアンス基礎
  • SNS情報セキュリティ
  • パワーハラスメント
  • ハラスメント防止コース1
  • ハラスメント防止コース2
  • ハラスメント防止コース3
  • 対話による職場の生産性向上コース

自社のコンプライアンス強化を目指した知識習得に、eラーニングを活用してみたい場合は、お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

本記事では、企業のコンプライアンス違反事例とコンプライアンス違反を防ぐ方法をご紹介しました。

最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。

〇企業のコンプライアンス違反事例は下記のとおり

コンプライアンスの種類

違反事例

ハラスメント
・パワーハラスメントによる休職
・忘年会でのセクシャルハラスメント
・常識を逸脱した教育訓練の実施
雇用・労務
・有給休暇の取得を妨害
・長時間労働の実施
・安全管理不足
財務・会計

・架空売上の計上
・助成金の不正受給
品質
・認証試験での不正
・賞味期限の書き換え
・施工不良を隠して工事
情報管理
・不正アクセスによる情報漏えい
・元従業員による個人情報の持ち出し
・SNSで機密情報が漏えい
取引先との関係
・下請けに無償で金型などの保管を依頼
・業務に関連のない商品の購入を要請
・不当なやり直しの要求
権利
・商標権の侵害
・海賊版ソフトウェアの利用
反社会勢力
・反社会勢力に解体工事代金の一部を渡した疑い

〇コンプライアンス違反を避ける対策は下記のとおり

  • コンプライアンスを遵守できるルールを設ける
  • 外部の監査、調査を受ける
  • 不正を許さない風通しのいい風土を作る
  • コンプライアンスに関する知識を習得する

コンプライアンスの遵守は、企業の社会的責任として取り組むべき課題です。違反事例を参考に、自社の改善点、課題はないか見直してみましょう。

株式会社LDcubeではコンプライアンス研修に活用できるeラーニング、マイクロラーニング、LMSなどの提供を行っています。

コースごとの価格設定もあれば、受講人数に制限を設けない全社員受け放題プランなど、費用についてもバリエーションを用意しております。

また不祥事の起きない会社づくりに向け、eラーニングや研修、職場ミーティングなどを組み合わせ、総合的な支援もしています。

さらに無料のデモIDの発行や実績・導入事例の紹介も行っていますので、お気軽にご相談ください。

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LDcube編集部
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株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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