
コンプライアンス意識調査とは?調査よりも大切なことについても解説!
企業におけるコンプライアンスの重要性が高まる中、社内のコンプライアンス意識を正確に把握するための「コンプライアンス調査」が注目されています。この調査は単なる形式的な取り組みではなく、組織の健全性を維持し、不祥事を未然に防ぐための重要なツールとなっています。
しかし、「どのように実施すれば効果的なのか」「調査結果をどう活用すればいいのか」と悩む担当者も少なくありません。
コンプライアンス調査とは、社内のコンプライアンス推進・浸透状況を把握し、改善施策を展開するための基礎となるソリューションです。近年の企業不祥事を見ると、組織的に不正が進行するケースが多く、その芽を早期に発見することが重要です。
帝国データバンクの調査によれば、2024年のコンプライアンス違反による企業倒産は388件と過去最多となっており、リスク管理の必要性はますます高まっています。
本記事では、コンプライアンス調査の基本から具体的な実施方法、効果を高めるポイント、そして結果の活用法まで幅広く解説します。
従業員から本音を引き出す設問設計や匿名性の確保といった実践的なノウハウも盛り込み、単に調査を実施するだけでなく、その結果を組織の健全な発展につなげるための道筋を示します。コンプライアンス担当者だけでなく、人事部門や管理職の方々にも参考となる内容を集めました。
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目次[非表示]
- 1.コンプライアンス調査とは?
- 2.コンプライアンス調査の5つの実施ポイント
- 3.コンプライアンス調査のやり方
- 4.コンプライアンス調査そのものよりその後が大切
- 4.1.インターロッキング チェイン オブ カンファレンス
- 4.2.調査結果を経営層(役員)へ報告
- 4.3.各役員が自部門の部課長に結果を共有し、ディスカッション
- 4.4.部課長が職場メンバーに結果を共有し、ディスカッション
- 4.5.職場で解決できないことを吸い上げて施策を検討・実施
- 4.6.コンプライアンス意識向上につなげる継続的な取り組み
- 5.コンプライアンス調査を成功させるコツ
- 5.1.経営層の積極的な関与と姿勢
- 5.2.調査前の十分な告知と目的の共有
- 5.3.回答しやすい環境づくりと時間の確保
- 5.4.調査後の流れをしっかりと組み立てておく
- 6.コンプライアンス調査と合わせて取り入れたい心理的安全性
- 7.コンプライアンス研修に活用できる心理的安全性の動画コンテンツ
- 8.まとめ:継続的なコンプライアンス調査で健全な企業文化を構築しよう
コンプライアンス調査とは?
コンプライアンス調査は、企業が法令遵守の状況や組織風土の健全性を把握するための重要なツールです。従業員の意識レベルや社内の実態を明らかにし、潜在的なリスクを特定することで、問題が大きくなる前に対処することができます。
近年、企業の社会的責任が重視される中で、多くの企業がコンプライアンス体制の強化に取り組んでいます。
コンプライアンス調査の定義と種類
コンプライアンス調査とは、企業内での法令遵守や社内規定の理解度、実践状況を把握するために行われる調査活動です。
主に以下のような種類があります。
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これらの調査は、アンケート形式で実施されることが多く、匿名または記名で行われます。調査の目的や企業の状況に応じて、適切な方法を選択することが重要です。
企業がコンプライアンス調査を実施する理由
企業がコンプライアンス調査を実施する理由は多岐にわたります。まず、法令違反による企業の信頼失墜や経済的損失を防ぐためです。
帝国データバンクの調査によれば、2024年のコンプライアンス違反による企業倒産は388件です。こうした事態を防ぐためにも、定期的な調査が必要とされています。
また、近年のコーポレートガバナンス・コードの改訂により、上場企業はより高いレベルで、コンプライアンス体制の構築が求められています。さらに、従業員が安心して働ける職場環境を整えることは、企業の生産性向上や優秀な人材の確保・定着にもつながります。
このように、コンプライアンス調査は単なる法令違反防止だけでなく、組織の持続的な成長と健全な企業文化の醸成にも寄与する重要な取り組みなのです。
コンプライアンス違反リスクの早期発見と予防効果
コンプライアンス調査の最も重要な効果は、違反リスクの早期発見と予防にあります。大きな問題に発展する前に小さな兆候を察知することで、適切な対策を講じることができるのです。
例えば、特定の部署でハラスメントに関する認識が低いことが判明した場合、その部署に対象を絞った研修を実施することができます。また、業務上の負荷が高い部門では、無理な納期設定による品質問題や安全性の軽視といったリスクが潜んでいる可能性があります。
調査によって明らかになった課題に対して適切な対策を講じることで、コンプライアンス違反の発生確率を大幅に下げることができます。さらに、定期的な調査の実施自体が「コンプライアンスを重視する企業文化」を従業員に示すメッセージとなり、日常的な意識向上にもつながります。
予防的アプローチは、問題が発生してから対処する事後対応に比べて、企業にとってのコストも大幅に抑えられるという経済的なメリットもあります。リスクの早期発見と対策は、企業の持続的な発展のために欠かせない取り組みと言えるでしょう。
コンプライアンス調査の5つの実施ポイント
コンプライアンス調査を実施する際には、単に形式的に行うだけでは十分な効果を得られません。調査の設計から実施、分析に至るまで、いくつかの重要なポイントを押さえることで、より有意義な結果を得ることができます。ここでは、効果的なコンプライアンス調査を実施するための5つのポイントについて解説します。
明確な調査目的の設定
コンプライアンス調査を始める前に、何のために調査を行うのかという目的を明確にすることが不可欠です。
「コンプライアンス意識が従業員に浸透しているか知りたい」「内部通報制度をもっと活用されるようにしたい」「テレワーク環境下での新たなリスクを把握したい」など、組織によって調査の目的は異なります。
目的が明確になったら、それに合わせて調査項目を設計します。漠然と広範囲の項目を調査するよりも、明確な目的に沿った項目に焦点を当てることで、より具体的な課題を抽出することができます。
また、調査目的を従業員にも明確に伝えることで、回答の質も向上します。
調査の頻度や時期についても、目的を踏まえて設定するとよいでしょう。
社員の本音を引き出す設問設計と回答方式
調査の成否を左右する重要な要素が、社員の本音を引き出せる設問設計です。抽象的な質問や個人を責めるような表現は避け、具体的で回答しやすい設問を心がけましょう。
例えば、「あなたは正しく行動できていますか?」という個人に向けた質問よりも、「職場でハラスメントを見聞きしたことはありますか?」という職場全体の状況を問う方が回答しやすくなります。
また、考え込まずに直感的に答えられるよう、選択肢は少なめにし、一貫した流れで回答できるように設問の順序も工夫することが大切です。
設問数は多すぎると回答者が途中で離脱してしまう恐れがありますが、少なすぎると課題抽出が不十分になるため、最低でも30問程度は設けることがよいでしょう。
匿名性確保と定期的な実施の重要性
コンプライアンス調査で本音を引き出すためには、回答者の匿名性を確保することが重要です。記名式と匿名式のどちらを選ぶかは、調査の目的によって異なりますが、特にネガティブな状況や問題点を把握したい場合は、匿名式の方が有効です。
記名式のメリットは、回答に責任感が生まれ丁寧な回答が得られることや、緊急の問題があった場合に直接対応できることですが、本音を得るのは難しいという課題があります。
一方、匿名式は回答者が特定されないため発言しやすく、率直な意見が得られやすいメリットがあります。ただし、問題があっても個別対応ができないというデメリットもあります。
また、調査を定期的に実施することで、時間の経過による変化を把握することができます。
コンプライアンスへの取り組みがどのように浸透しているか、前回の調査で発見された課題が改善されているかなど、継続的なモニタリングが可能になります。年に1回程度の頻度で定期的に実施することをお勧めします。
分析可能な調査ツールの活用
コンプライアンス調査では、収集したデータを効率的に分析できるツールを活用することが重要です。Excelや社内メールでも実施は可能ですが、専用の調査ツールを使うことで、集計作業の効率化だけでなく、より深い分析が可能になります。
専用ツールのメリットとしては、クロス集計や相関分析が容易であること、経年変化の把握がしやすいこと、視覚的にわかりやすいグラフやチャートを自動生成できることなどが挙げられます。また、部署別や役職別の傾向を把握することも容易になります。
社内で実施する場合、担当者の負担が大きくなりがちですが、外部の調査機関に依頼することで、専門的な分析と客観的な視点を得ることができます。外部のベンチマークデータと比較することで、自社の位置づけを客観的に把握することも可能になります。
結果の共有と改善計画の立案
コンプライアンス調査を実施した後、最も重要なのは調査結果を適切に共有し、具体的な改善計画につなげることです。調査だけで終わらせず、結果を生かして実際の行動変容を促すことが、調査の本来の目的です。
まず、調査結果は経営層に報告し、全社的な課題と対策について合意を得ることが重要です。その上で、結果を従業員にもフィードバックすることで、調査に協力した意義を実感してもらい、今後の取り組みへの理解と協力を得やすくなります。
改善計画を立てる際には、優先度の高い課題から取り組むことが効果的です。例えば、特定の部門でコンプライアンス意識が低い傾向が見られた場合は、その部門向けの追加研修を計画するなど、ピンポイントの対策が可能になります。
コンプライアンス調査のやり方
コンプライアンス調査を実施する方法は、大きく分けて外部の専門機関に依頼する方法と自社で実施する方法の2つがあります。
どちらが適しているかは、企業の規模や予算、求める客観性のレベルなどによって異なります。ここでは、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
専門機関に依頼して実施
コンプライアンス調査を外部の専門機関に依頼するメリットは、第三者の客観的な視点を得られることにあります。社内にしがらみを持たない外部機関が実施することで、回答する従業員も安心して本音を記載できるため、より正確な実態把握が可能になります。
専門機関への依頼プロセスは、通常以下のような流れになります。
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外部機関に依頼する場合、自社データと他社のベンチマークデータを比較分析できるため、自社の位置づけを客観的に把握することができます。
費用面ではデメリットがありますが、調査・分析にかかる社内リソースを節約できることや、専門的な知見を活用できることを考えると、中長期的には価値ある投資と言えるでしょう。
自社で調査項目を作成して実施
コンプライアンス調査を自社で実施する最大のメリットは、コストを掛けずに柔軟に調査できる点です。特に小規模な企業や、初めてコンプライアンス調査を行う場合には、まず自社で試行的に実施してみるというアプローチも有効です。
自社で調査を実施する場合の基本的な手順は以下のとおりです。
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自社実施の課題としては、設問設計の専門性が不足したり、集計・分析の作業負担が大きかったりすることが挙げられます。また、社内で完結するため回答者が本音で回答しにくいという懸念もあります。
これらの課題を軽減するために、以下の工夫を取り入れるとよいでしょう。
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自社実施と外部委託、いずれの方法を選択する場合も、調査結果を実際の改善につなげるという目的を見失わないことが最も重要です。
調査のための調査に終わらせず、企業文化の健全化に向けた実践的な一歩となるよう、計画的に実施しましょう。
コンプライアンス調査そのものよりその後が大切
コンプライアンス調査を実施して終わりではなく、その結果をどう活用し、組織全体にフィードバックしていくかが最も重要です。
調査を行うこと自体が目的化してしまい、結果の共有や改善活動が不十分なケースが少なくありません。ここでは、調査後のプロセスに焦点を当て、効果的な活用方法について解説します。
インターロッキング チェイン オブ カンファレンス
「インターロッキング チェイン オブ カンファレンス」とは、調査結果を組織全体に効果的に浸透させるための手法です。経営層から現場のメンバーまで、階層ごとに結果を共有し、対話を重ねていくことで、組織全体の理解と改善意識を高めていきます。
この手法の特徴は、一方的な情報伝達ではなく、各階層でのディスカッションを通じて、問題意識の共有と解決策の検討が行われる点にあります。各階層の責任者が自ら説明することで当事者意識が生まれ、組織全体のコンプライアンス意識向上につながります。
実際のプロセスは次の流れで進行します。まず調査結果を経営層へ報告し、その後、各役員が自部門の管理職へ共有、さらに管理職から現場メンバーへという形で、連鎖的に対話の場を設けていきます。このプロセスを通じて、単なる調査から実際の組織変革へとつなげることができるのです。
調査結果を経営層(役員)へ報告
コンプライアンス調査の結果は、まず経営層へ報告し、組織として取り組むべき課題について共通認識を形成することが重要です。報告の際には、全体傾向だけでなく、部門別や階層別の詳細な分析結果も提示し、具体的な課題を明確にします。
経営層への報告では、以下のポイントを押さえると効果的です。
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経営層の理解と支持を得ることで、その後の取り組みがスムーズに進みます。
また、役員自身がコンプライアンスの重要性を認識し、自ら部下に語りかけることで、「経営層が本気で取り組んでいる」というメッセージを組織全体に伝えることができます。
各役員が自部門の部課長に結果を共有し、ディスカッション
次のステップでは、各役員が自部門の部課長に調査結果を共有し、部門特有の課題について議論します。この段階では、全社的な傾向に加えて、自部門の特性を踏まえた具体的な問題点や改善点を明確にすることが目的です。
ディスカッションでは、以下のような点に焦点を当てるとよいでしょう。
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役員自身が説明することで、「トップの意思」として部課長に伝わり、コンプライアンスへの取り組みの優先度が高いというメッセージとなります。
また、部課長の気付きや提案を集約することで、より実効性の高い改善策を検討することができます。
部課長が職場メンバーに結果を共有し、ディスカッション
さらに、部課長は自分の担当チームのメンバーに対して、調査結果と部門会議での議論内容を共有します。現場レベルでの具体的な改善策を検討するのがこの段階の目的です。
職場でのディスカッションでは、以下のようなアプローチが効果的です。
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管理職が自らの言葉で伝えることで、チームメンバーに対する本気度が伝わります。
また、現場の声を直接聞くことで、調査結果だけでは見えてこない具体的な課題や改善のヒントを得ることができます。メンバー全員が参加することで、「自分ごと」として捉えられるようになります。
職場で解決できないことを吸い上げて施策を検討・実施
職場でのディスカッションを通じて、現場レベルでは解決できない課題が明らかになることもあります。例えば、システム改修が必要な問題や、全社的なルール変更が求められる事項などです。こうした課題を適切に吸い上げ、組織としての対応策を検討・実施することが重要です。
課題を吸い上げる仕組みとしては、以下のようなアプローチが考えられます。
各部門からの改善要望を集約する専用フォームの設置
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現場から吸い上げられた課題は、優先度や重要度に応じて分類し、対応計画を立てることが大切です。また、課題の解決状況や進捗を定期的に現場にフィードバックすることで、「声を上げれば変わる」という認識を組織内に広めることができます。
これにより、コンプライアンス意識の向上だけでなく、風通しの良い組織文化の醸成にもつながります。
コンプライアンス意識向上につなげる継続的な取り組み
コンプライアンス調査とその後の改善活動は、単発の取り組みではなく、継続的なサイクルとして実施することが重要です。
調査から抽出された課題に対して改善策を実施し、次回の調査でその効果を測定するというPDCAサイクルを回すことで、組織全体のコンプライアンス意識を着実に向上させることができます。
継続的な取り組みとしては、以下のような施策が効果的です。
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特に重要なのは、改善活動の結果を可視化し、組織全体で共有することです。「前回の調査で課題となっていたこの点が、こういう取り組みによって改善された」ということを具体的に示すことで、取り組みの成果を実感でき、さらなる改善への意欲が高まります。
また、コンプライアンスの取り組みを人事評価や表彰制度と連動させることで、組織メンバーの積極的な参画を促すことも効果的です。
コンプライアンスを「義務」ではなく「組織の価値を高める活動」として位置づけることで、前向きな取り組みにつなげることができるでしょう。
コンプライアンス調査を成功させるコツ
コンプライアンス調査を実施する際には、単に調査票を配布して回収するだけでは十分な効果は得られません。調査の企画段階から結果の活用まで、いくつかのポイントを押さえることで、より効果的な調査を実施することができます。ここでは、成功に導くための重要なポイントを解説します。
経営層の積極的な関与と姿勢
コンプライアンス調査を成功させる最も重要な要素の1つが、経営層の積極的な関与と姿勢です。経営層自らがコンプライアンスの重要性を理解し、調査の実施と結果活用に主体的に関わることで、組織全体の意識向上につながります。
経営層に期待される役割は以下のとおりです。
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特に重要なのは、調査結果に基づいた改善活動に対する経営層のコミットメントです。経営層自らが「言っていること」と「やっていること」の一貫性を示すことで、組織全体のコンプライアンス意識が高まります。
形式的な実施ではなく、本気で組織を良くしようとする姿勢が従業員に伝わることが重要です。
調査前の十分な告知と目的の共有
コンプライアンス調査を実施する前には、その目的と重要性を組織全体に十分に伝えることが大切です。「なぜこの調査が必要なのか」「どのように活用されるのか」を明確に伝えることで、回答率の向上と質の高い回答が期待できます。
効果的な告知と共有のポイントは以下のとおりです。
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特に匿名性の確保については、具体的な仕組み(外部機関の活用、集計時の処理方法など)を説明し、安心して回答できる環境づくりが重要です。
また、「声を上げることで会社が良くなる」という実感を持ってもらうため、過去の改善事例を共有することも効果的でしょう。
回答しやすい環境づくりと時間の確保
コンプライアンス調査の回答率と回答内容の質を高めるためには、従業員が回答しやすい環境を整えることが重要です。特に忙しい業務の合間を縫って回答する従業員に配慮した施策を講じましょう。
効果的な環境づくりのポイントには以下のようなものがあります。
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また、スマートフォンやタブレットからも回答できるシステムを採用するなど、回答者の利便性を高める工夫も効果的です。特に、営業部門や現場作業者など、デスクワークが少ない従業員への配慮も忘れずに行いましょう。
調査後の流れをしっかりと組み立てておく
コンプライアンス調査の真価は、調査後の結果活用にあります。調査実施前に、結果の分析から改善活動までの一連のプロセスを明確にしておくことが重要です。
効果的な調査後のフローとしては、以下のようなステップが考えられます。
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特に重要なのは、調査結果から課題を抽出し、具体的な改善活動につなげるプロセスです。単に結果を報告して終わりにするのではなく、「何をどう改善するか」を明確にし、責任者と期限を決めて取り組むことが重要です。
また、次回の調査までに改善の効果を測定する仕組みも併せて検討しておくと、PDCAサイクルが効果的に回ります。
コンプライアンス調査と合わせて取り入れたい心理的安全性
コンプライアンス調査を効果的に実施し、その結果を組織の改善につなげるためには、「心理的安全性」という概念を理解し、取り入れることが重要です。
心理的安全性とは、「チームの中で自分の意見を述べても、拒絶されたり、罰せられたり、恥をかかされたりしないという確信」を意味します。コンプライアンスの文脈では、問題を発見しても報告しやすい環境をつくることに直結する概念です。
心理的安全性についての研修やセミナーの実施
コンプライアンス意識を高めるためには、従業員が安心して意見を言ったり、問題を報告したりできる環境づくりが不可欠です。そのためには、心理的安全性についての理解を深める研修やセミナーを実施することが効果的です。
心理的安全性に関する研修で取り上げるべき内容には、以下のようなものがあります。
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特に管理職向けの研修では、自分のチームの心理的安全性を高めるための具体的な行動や、メンバーの発言を促すファシリテーションスキルなどに焦点を当てるとよいでしょう。
実際のケーススタディーを取り入れることで、より実践的な学びを提供することができます。
心理的安全性について動画で学ぶ
心理的安全性について全社的な理解を深めるためには、誰でも気軽にアクセスできる学習コンテンツを用意することも重要です。特に動画コンテンツは、時間や場所を選ばず学べる効果的な手段です。
心理的安全性に関する動画コンテンツとしては、以下のようなものが考えられます。
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これらの動画コンテンツは、社内のイントラネットや学習管理システムに掲載し、いつでもアクセスできるようにしておくとよいでしょう。
また、各部門のミーティングの冒頭で短い動画を視聴し、それをきっかけにディスカッションを行うなど、実践的な活用方法も検討するとよいでしょう。
コンプライアンス研修に活用できる心理的安全性の動画コンテンツ
心理的安全性がつくる恐れのない職場コース①②
【コース概要】
組織やチームにとって重要な内容であるにもかかわらず、自分の考えを言わず、質問を控え、黙っていたことが何度ありますか?
従業員が安心して発言できるようにするには、心理的に安全な環境を整える必要があります。本コースでは、対人関係の不安がいかに組織をむしばむか、そして、その乗り越え方をさまざまな事例を通じて学習します。
【講師略歴】
エイミー・C・エドモンドソン
エイミー・C・エドモンドソンは、ハーバード・ビジネススクールのノバルティス記念講 座教授として、リーダーシップとマネジメントを教えています。
2年に1度発表される経営思想家の世界的なランキング、Thinkers50では、2011年、2013年、 2015年、2017年に選出され、2017年にはTalent Awardも受賞しました。
リーダーシップ、チーミング、組織学習に関する教育や執筆に従事し、ハーバード・ビジネス・レビューやカリフォルニア・マネジメント・レビューなどの経営誌や一流 の学術誌に寄稿しています。
心理的安全性に関する先駆的な研究で最もよく知られており、過去15年間に わたって経営、医療、教育分野のさまざまな学術研究に貢献してきました。
『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』(英治出版)や『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』(英治出版)などの著書があります。
まとめ:継続的なコンプライアンス調査で健全な企業文化を構築しよう
コンプライアンス調査は、企業が法令遵守の状況を把握し、組織風土の健全性を保つための重要なツールです。調査の結果を活用することで、法令違反のリスクを早期に発見し、予防することが可能になります。また、こうした調査活動を通じて、企業の社会的責任や持続的な成長に貢献することもできます。
調査を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。明確な目的の設定、社員の本音を引き出す設問設計、匿名性の確保など、これらのステップを適切に実施することで、信頼性の高いデータを得ることが可能となります。さらに、調査そのものよりも重要なのが調査後の結果共有や改善策の実行です。経営層から現場まで一貫した取り組みが求められます。
また、コンプライアンス調査と合わせて心理的安全性を高める取り組みを行うことで、従業員が安心して意見を発信できる環境を整えることができ、より効果的な組織改善が期待できます。心理的安全性は、組織文化として根付かせるべき重要な要素であり、研修や動画コンテンツを通じて理解を深めることが推奨されます。
最後に、コンプライアンス調査の目的は「違反者を見つけて罰する」ことではなく、「より良い組織をみんなで作っていく」ことであることを忘れないでください。調査結果を前向きに捉え、全社一丸となって改善に取り組むことで、従業員一人一人が安心して働ける環境と、社会から信頼される企業を実現することができるでしょう。
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