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OJTでの経営幹部育成とは?~次世代は現役世代にしか育てられない!?~

経営幹部育成は、企業が持続可能性を保つために不可欠な要素です。次期経営幹部には、問題解決力やリーダーシップ、意思決定やリスク管理能力が期待されます。

企業が経営幹部を育成する際に、効果的な育成方法として、経営経験を通じた学び(OJT)と経営シミュレーションの組み合わせがよく活用されます。

本記事では経営幹部育成の背景や、経営幹部に求められるスキルおよびスキル向上のためのシミュレーション活用について解説していきます。

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目次[非表示]

  1. 1.経営幹部育成が重要とされる背景
  2. 2.経営幹部に求められる能力
    1. 2.1.戦略的思考力と意思決定能力
    2. 2.2.リーダーシップとコミュニケーション能力
    3. 2.3.社会関係資本を育む能力
    4. 2.4.高い心理的安全性を育む能力
    5. 2.5.変化対応力とリスク管理能力
  3. 3.経営幹部育成の方法とは
    1. 3.1.現幹部によるOJT
    2. 3.2.経営教育(研修プログラムの受講)
    3. 3.3.経営実務経験によるキャリア開発
    4. 3.4.ネットワーキング
  4. 4.次期幹部は現幹部にしかOJTできない
  5. 5.経営幹部のOJTを補完するツール
    1. 5.1.経営シミュレーションとは
  6. 6.経営シミュレーションのメリット
  7. 7.OJTと経営シミュレーションを組み合わせる
  8. 8.まとめ

経営幹部育成が重要とされる背景

経営幹部育成の重要性が高まる背景には、技術進歩やグローバル化などによる、ビジネス環境の急速な変化があります。このような変化に対処するには、常に学ぶ意識や、新たな視点と知識を持つリーダーが必要不可欠です。

また、経営幹部育成が重要視される要因の1つとして、突然の事態や経営陣の交代に対応するために、サクセッションプランニングも育成の必要性を明確にしています。経営者にとって後継者の準備と計画があれば、組織の持続性と安定性を保つことが可能となります。

また、経営幹部の意思決定は事業の結果に大きな影響を及ぼします。方向性の決定や他の重要な意思決定などを通じて、経営幹部は直接的に組織の業績に影響を与えます。

さらに、経営幹部は組織文化を醸成し、社員の行動や態度に大きな影響を及ぼします。良いリーダーシップと経営のスキルを持つ経営幹部の存在がガバナンス、コンプライアンス面においても重要です。現在、一般社会では仕事環境の多様性への関心が高まり、働く人の国籍や文化背景などが多様になってきています。そのため、企業の経営幹部に多様性に対する理解も求められています。

▼サクセッションプランについては下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
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経営幹部に求められる能力

戦略的思考力と意思決定能力

経営幹部には競争環境や自社の強み・弱みを考慮し、中長期的な成長戦略や方針を立てる能力(戦略的思考力)並びに、重要な決定を冷静に下すことができる高度な意思決定能力が求められます。

そのためには、ロジカルシンキング、戦略、マーケティング、財務、ファイナンス、法務など、幅広く経営リテラシーを高めていくことが必要です。戦略的思考力と意思決定能力は、ビジネスを展開していく責任を担う上でなくてはならない能力です。

リーダーシップとコミュニケーション能力

戦略を立て、組織を通して実践していくには、部下を導き、指導し、組織全体を統率する能力(リーダーシップ)と、内外のステークホルダーと良好な関係を保つとともに、意思を明確に伝える能力(コミュニケーション力)が経営幹部にとって必要不可欠です。

リーダーシップとコミュニケーション能力を高めるには、研修を通じて学ぶだけではなく、実際にリーダーシップを発揮する経験、さまざまな人たちとコミュニケーションを取る経験が必要です。経営幹部にとっては、修羅場を経験し、人間力を磨いていくことが成長のポイントです。企業にとっては、経営幹部に修羅場を経験させることが育成方法の1つです。

▼ 参考サービス(株式会社ビジネスコンサルタントのページに遷移します)

  ELP®(エグゼクティブ・リーダーシップ・プログラム) | 株式会社ビジネスコンサルタント ビジネスコンサルタント(BCon)は50年以上にわたり、組織変革と人材育成を支援しています。組織開発/人材開発/営業力強化/人事制度など経営課題の解決にむけ、トレーニング、コンサルティング、診断、eラーニングなど最適な手法でアプローチします https://www.bcon.jp/course/elp/


社会関係資本を育む能力

社会関係資本とは、人と人とのつながりから生み出され、個々の関係性を通じて蓄積されていく資本のことです。ビジネスにおける良好なパートナーシップ、顧客との関係、組織内の信頼、社員同士のつながりなどが社会関係資本にあたります。

社会関係資本は、次世代リーダーにとって重要な資産です。なぜなら、強い社会関係資本は新たなビジネスチャンスを生み出し、情報やリソースの共有を可能にし、さらには新規の取引先や顧客の開拓にもつながるからです。

また、リーダー自身が他者と良好な関係を築くには、リーダーシップ力が求められます。どんな人とでも関係性を構築していける力が必要です。そして、社会関係資本が高ければ、人々が自由に意見やアイディアを交換できる環境が生まれ、それによりイノベーションが生まれやすくなります。 

▼ 参考サービス(株式会社ビジネスコンサルタントのページに遷移します)
社会関係資本の高いリーダーになるためには

  ISI(エグゼクティブ人間力向上プログラム) | 株式会社ビジネスコンサルタント ビジネスコンサルタント(BCon)は50年以上にわたり、組織変革と人材育成を支援しています。組織開発/人材開発/営業力強化/人事制度など経営課題の解決にむけ、トレーニング、コンサルティング、診断、eラーニングなど最適な手法でアプローチします https://www.bcon.jp/course/isi/


高い心理的安全性を育む能力

心理的安全性がある環境とは、仕事に関するアイディアや懸念、疑問、失敗を誰も安心して言える状態の対人リスクを取れる環境のことです。心理的安全性が確保されているかどうかは組織運営の成果に大きく影響します。そして、成果基準が高く、心理的安全性が低い組織ではミスが起こりやすいといわれています。

▼これからの時代においては、経営幹部が持続可能な組織づくりを行うには組織の心理的安全性を高めていく能力が必要不可欠です。⇒"心理的安全性"がビジネスに必要な理由?エドモンドソン博士の視点を解説

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変化対応力とリスク管理能力

企業の成長や状況の変化に対応し、組織や業務を効果的に変革する能力(変化対応力)と、予期せぬ問題や危機に対処し、リスクを最小限に抑える能力(リスク管理能力)も必要とされます。

昨今、ガバナンスやコンプライアンスの重要性が高まる中、経営幹部が自社都合で物事を考えてしまい、企業としての対応が世の中の温度感と合わなくなってしまったという事象も散見されます。経営幹部が自社都合の思考ではなく、マーケットの動向をきちんと把握し、応えていく姿勢が重要です。

上記のような能力は一朝一夕に身に付けられるものではありません。企業が次期幹部を担う社員を育成する際に、能力を身に付けてもらうために、さまざまな機会を意図的に創出する必要があります。

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経営幹部育成の方法とは

現幹部によるOJT

経営幹部を育成する方法としては、現幹部によるOJTがよく活用されます。次期経営幹部が経験豊富な経営陣と共に仕事をしながら、直接的に指導を受け、経営者としてのスキルや考え方を学んでいきます。

「OJT」という言葉を使わず「次期幹部のためのメンタープログラム」などと表現することもあります。次期経営幹部は、現幹部と一緒に仕事をすることを通じて、経営幹部の役割を理解し、多角的な視点を獲得できます。また、実際の仕事の進め方や、会議の場面での立ち回りなど、経営幹部として組織内外で直面する実務について学ぶこともできます。

経営教育(研修プログラムの受講)

経営幹部育成の際に、「次期経営幹部育成研修」や「次世代リーダー研修」などと呼ばれる研修プログラムが多く活用されています。年間を通じて定期的、継続的に展開していくプログラムが一般的です。次期経営幹部は研修プログラムで、ビジネススキルやマネジメントスキル、リーダーシップなど、経営に関するさまざまな事柄を学習します。また、経営活動を疑似体験できるシミュレーションプログラムなどを活用する企業が多いです。

実際に経営者となり経営してみたら倒産しました、というわけにはいかないのが経営幹部です。実際の経営を担う前に、疑似的に体験し、自身の学習に足りない要素は何か、また自身の意思決定の傾向はどのようなものか、などについて気付きを得ておくことはとても有意義です。

経営実務経験によるキャリア開発

誰もが経験できるわけではありませんが、親会社の次期経営幹部が子会社の経営者に就任し、実務経験を積むケースがあります。

この場合は、次期経営幹部が経営実務経験により、状況把握力や判断力、ステークホルダーとの交渉力など経営者に必要な能力を磨き、着実にキャリアをステップアップしていきます。

ネットワーキング

次期経営幹部は業界イベントや異業種交流会などへの参加によるネットワーキングを通じて、他の経営者と交流し、人脈を培っていく必要があります。その人脈でのつながりから学びを得ることもあれば、その人脈から実際のビジネスにつながることもあります。

さまざまな人脈を持っていることは経営幹部にとって重要な要素になります。

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次期幹部は現幹部にしかOJTできない

経営幹部の育成方法について、上記4つの方法を挙げましたが、そのうち一番重要なのは、現幹部によるOJTです。
持続可能な組織づくりに向けて、現在の組織を維持しながら次世代に向け発展させていくには、現幹部が今の会社をどのように次世代に引き継いでいくかという点がとても重要です。

そのために、今の経営活動をしながら伴走し、徐々に大事にしてきた価値観や考え方などを、経営実務を通して次世代に引き継いでいくということがポイントとなります。それは現幹部のOJTでしか成し遂げられません。

元々、経営幹部とは、企業の方向性を決定し、組織を適切に運営するための戦略を策定する役職です。その役職を担い、役割を果たすには、深い知識と経験、洞察力、決断力などが求められます。 

多くの場合、経営幹部は、経営実務を行う前に、ビジネスリーダー育成研修などを通じて、戦略、財務、マーケティングなどのビジネススキルを学びます。そして、さまざまなケーススタディーを通じて状況対応力を養っていきます。

しかしながら、企業の置かれた状況には固有の状況があり、同じ状況はありません。企業ごとにステークホルダーもすべて異なります。それゆえ、経営実務能力を磨くためには、実際に経験を積むことが不可欠です。例えば、次期経営幹部の方々がステークホルダーと交渉する場面で現経営幹部の方々も同席するなど、具体的な業務を通して学習し、成長していくことが必要です。
つまり次期経営幹部に対するOJTは、現幹部しかできないです。

注意点としては、現幹部によるOJTを行う前提は、現幹部がコンプライアンス上の課題を抱えていないことです。昨今の企業不祥事を見ていると、悪しき伝統までOJTで引き継いでいるという現象がよく見受けられます。

現幹部が襟を正し、健全な経営活動を行いながら、自分たちの経験を次世代に引き継いでいくことが持続可能な組織づくりの基盤となります。

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経営幹部のOJTを補完するツール

OJTで次期幹部を育成していくことが重要ですが、育成には経営リテラシーを高めるための次世代リーダー育成研修などで最低限必要なインプットの機会を次世代幹部に提供することが必要です。インプットの機会もOJTを補完するツールです。

しかし、インプットの機会だけでは足りません。実際の経営においては困難な局面が必ずと言っていいほど訪れます。その局面を現幹部と次期経営幹部が共に経験し、乗り切っていく経験を積むことが望ましいですが、そのような経験を待っているだけでは、経験を積むのは時間を要します。

また、万が一のリスクを伴う実際の経営を次期経営幹部に任せるのは困難です。そのような困難を避けつつ、経営経験を積める手段として、よく活用されるのが、経営シミュレーションです。

経営シミュレーションとは

経営シミュレーションとは、仮想の企業の経営状況をコンピューター上で再現し、仮想的に経営を体験する仕組みのことを指します。コンピューターの進化により、リアルな経営活動に近い状況を精密にシミュレートすることができるようになりました。経営シミュレーションを活用すれば、複雑な事象や多種多様な状況での経営を経験することができます。

それにより、実際の経営を行う前に問題解決能力や意思決定力を身に付けることが可能となります。現実の経営場面での経験と、それを補完するシミュレーションを駆使し、経営幹部の育成や、経営幹部のOJTを効果的に行うことができます。

経営シミュレーションのメリット

経営シミュレーションを活用することで、次期経営幹部は多様な状況、特に問題が起きた場合での対応策を学ぶことができます。通常の業務で経験することが難しいかつ多岐に亘る困難な状況を想定し、どのように対応するべきかを練習することができます。

それにより、視野が広がり、分析力が高まり、現場の経験だけでは得られない洞察を得ることが可能となります。経営上対応が求められることについての知識やスキルがある前提で経営幹部からOJTを受けることが能力を効果的に高めるポイントです。経営幹部としてパフォーマンスを発揮するためにはさまざまな事柄を学習しておく必要があります。

経営シミュレーションを通じて経営者としての活動を疑似体験します。経営を疑似体験したことあってこそ、経営幹部からのOJTが機能し、有効になります。

▼経営幹部育成については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒経営幹部育成の落とし穴?効果的な育成のポイントなど解説!

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OJTと経営シミュレーションを組み合わせる

OJTと経営シミュレーションはそれぞれ異なる環境において有効な手段です。OJTは現実の業務環境に触れることを通じて、経験に基づく学習を実現します。

例えば、企業により経営会議の在り方は異なります。会議中の空気感も異なります。その組織特有の会議の進め方を知っているかどうかで、自分の進めたい施策を展開できるかどうかにも影響があります。一定期間共に活動する時間を持ちながら、そのような空気感や進め方をOJTしていくことはとても有意義です。

一方、経営シミュレーションは、仮想の環境で幅広い経営問題に対する解決策を体系的に学ぶ機会を提供します。実際の会議では話題に上がらないようなテーマについても、検討し意思決定することが強いられます。受講者はそのような経験を通じて経営活動についての総合的な知見が深まります。

OJTと経営シミュレーション両者を積極的に組み合わせることで、次期経営幹部に、現場経験による学びを深めながら、多様な経営問題への対応能力を伸ばすことができます。

まとめ

OJTでの経営幹部育成とは? ~次期幹部は現幹部にしかOJTできない~について解説してきました。

経営幹部育成は、実務経験と理論的学習の組み合わせにより達成されます。OJTは具体的な業務を通じてリアルな経験に基づく学習を可能にします。そして、経営シミュレーションは仮想の経営環境で多様な状況や問題に対する解決策を体系的に学ぶ機会を提供します。この2つを効果的に組み合わせることにより、経営幹部候補は現場で直面するさまざまな問題に対応する力を身に付け、経営の成功への鍵を握れる人材となります。

株式会社LDcubeでは経営幹部育成の手段として、経営シミュレーションによる経営疑似体験(Biz-Ex)を提供しています。経営幹部の皆さんの自己学習を補完するツールとしてeラーニングや世界レベルのMBA教授陣によるマイクロラーニングなども提供しています。

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株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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