
【人材育成】オンボーディングツール導入ガイド|機能・メリットを解説!
会社が直面する大きな課題の1つは、新入社員の早期戦力化と定着です。特に人材不足の中、採用した人材をいかに迅速に育成し、組織の中で活躍させるかは、企業の成長を左右する重要な要素となっています。
しかし、従来の研修システムでは、多様な働き方が浸透した今、十分な効果を発揮できない場合が多いです。
例えば、従来の一斉研修は、教育担当者に過度な負担がかかりがちで、学習内容が属人的になりやすいという課題がありました。特にリモートワークが普及する現代において、オンラインでの効果的な教育は急務となっています。また、新入社員が研修内容についていけず、早期に離職してしまうリスクも高まっています。
ここで登場するのが、オンボーディングツールです。このツールは、新入社員が自分のペースで学習を進めることができ、理解度に応じたサポートを受けながらスキルを身に付けていくことを可能にします。
また、学習進捗のデータをもとに効果測定を行い、教育内容を継続的に改善できるため、企業全体の生産性向上にも寄与します。
本記事では、オンボーディングツールの具体的な機能やメリット、導入の流れを詳しく解説し、企業にとっての新たな育成手法の可能性を探ります。今すぐ読んで、自社の成長戦略にオンボーディングツールを取り入れるヒントをつかんでください。
オンボーディングは、現在ではその意味が拡大し、新規システム導入時のユーザー教育や、SaaS企業の顧客サポートにまで活用される考え方ですが、本記事では主に新入社員の組織へのスムーズな定着と早期戦力化の文脈で解説しています。
▼オンボーディングについてはテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。
- オンボーディングプログラムとは?構築のポイントやメリットなど解説!
- オンボーディングのプロセスと実施目的を徹底解説!成功事例についても紹介
- 中途社員向けのオンボーディングとは?実施する効果を最大化するポイントについて解説!
- オンボーディングに動画を活用するメリットとは?動画の作り方や注意点も解説!
- オンボーディングの成功事例8選!新入社員が定着するポイントを解説
- 営業メンバーの早期戦力化! 成果が出るオンボーディングプログラムとは?
▼オンボーディングプログラムについては下記にまとめています。
目次[非表示]
- 1.オンボーディングツールとは?
- 2.オンボーディングツールの導入目的
- 2.1.新入社員の早期戦力化
- 2.2.OJTなど新人育成施策の効率化
- 2.3.早期離職の防止
- 3.オンボーディングツールに求められる機能
- 4.オンボーディングツール導入で得られる4つのメリット
- 4.1.新入社員の学習効果性向上
- 4.2.新人の早期の成果創出
- 4.3.組織全体の生産性の向上
- 4.4.新人育成業務の効率化
- 5.オンボーディングツール導入の流れ
- 6.オンボーディングツール導入に必要なリソース
- 6.1.学習デザインをディレクションする人
- 6.2.学習コンテンツを作成する人
- 6.3.コンテンツをツールへ実装し、運用する人
- 7.新入社員オンボーディングプログラム構築の支援事例
- 8.新入社員のオンボーディングならLDcubeにお任せ!
- 9.まとめ:オンボーディングツールで早期戦力化を図ろう
オンボーディングツールとは?
オンボーディングツールとは、新しく組織やサービスに加わったメンバーやユーザーが早期に適応し、価値を発揮するためのプロセスを支援するデジタルツールです。企業の人材育成やSaaSサービスのユーザー定着など、さまざまな場面で活用されています。
オンボーディングの本来の意味と企業活用の拡大
「オンボーディング」という言葉は、船に「乗り込む(on board)」という表現から派生しました。
本来は新入社員が組織に「乗り込む」際の導入プロセスを指していましたが、現在では意味が拡大しています。従来、オンボーディングは主に新入社員研修などの人事施策を示していましたが、デジタル化の進展によりさまざまな領域で活用されるようになりました。
特に注目すべきなのは、SaaS業界でのオンボーディングの重要性です。ユーザーがサービスの使い方に慣れ、価値を実感するまでのプロセスもオンボーディングと呼ばれ、カスタマーサクセスの重要な要素となっています。SaaS企業ではオンボーディングを重視する傾向にあり、顧客継続率の向上に貢献しています。
また、リモートワークの普及により、従来の対面での研修が難しくなったことも、オンボーディングツールの活用が拡大した背景の1つです。時間や場所に縛られず、効率的に知識やスキルを習得できるオンライン環境が求められています。
オンボーディングツールが解決する人材育成課題
企業の人材育成には、いくつかの共通課題が存在します。オンボーディングツールはこれらの課題解決に大きく貢献します。
まず、従来の研修では教育担当者への負担が大きく、属人化しやすいという課題があります。オンボーディングツールを導入することで、標準化された教育コンテンツを提供でき、担当者の工数削減と品質の均一化が実現できます。
また、研修効果の測定と可視化が難しいという課題もあります。多くのオンボーディングツールには学習進捗や理解度を測定する機能が備わっており、データに基づく効果測定と継続的な改善が可能になります。
さらに、リモートワーク環境下での効果的な指導実現も課題です。オンボーディングツールは時間や場所を選ばない学習環境を提供し、柔軟な働き方に対応した人材育成を支援します。
これらのツールを活用することで、新入社員の早期離職防止や戦力化、組織全体の生産性向上といった成果につなげることができます。
オンボーディングツールの導入目的
オンボーディングツールの導入目的は、人材育成の質を高めながら効率化を図ることにあります。特に人材不足が深刻化し、リモートワークが普及する中で、効果的な教育体制の構築は企業の競争力を左右する重要な要素となっています。
新入社員の早期戦力化
人材獲得競争が激化する現代において、新入社員をいかに早く戦力化できるかは企業の成長に直結します。従来の対面型研修では、教育担当者の時間的制約や教育内容のばらつきにより、新入社員が十分な能力を発揮するまでに時間がかかることが課題でした。
オンボーディングツールを活用することで、体系的に設計された学習プログラムを提供し、新入社員の知識習得プロセスを最適化できます。段階的な学習設計により、基礎から応用へと無理なく実務スキルを身に付けることが可能です。
また、理解度に応じた学習進行や、実践的な課題による即時フィードバックを通じて、より短期間での戦力化を実現できます。
OJTなど新人育成施策の効率化
従来のOJT(On-the-Job Training)は、先輩社員や上司が実務を通じて新人を指導する効果的な手法ですが、OJT担当者の負担が大きく、OJT内容も属人化しやすいという課題がありました。特にコロナ禍以降のリモートワーク環境下では、物理的な距離によりOJTの実施自体が困難になっています。
オンボーディングツールの導入により、標準化された教育コンテンツを提供することで、OJT担当者の工数削減と教育品質の均一化を同時に実現できます。動画やクイズなどのインタラクティブなコンテンツの活用により、対面指導がなくても効果的な学習が可能です。
また、学習の進捗状況をオンライン上で確認できるため、OJT担当者は効率的なフォローアップに集中できます。データに基づく教育効果の測定と改善も容易になり、PDCAサイクルを回しながら継続的に育成プログラムを最適化できる点も大きなメリットです。
早期離職の防止
新入社員の早期離職は、採用・教育にかけたコストが無駄になるだけでなく、組織の士気にも悪影響を及ぼします。離職の主な原因として、「教育体制への不満」や「自社への適応困難」といった要素が指摘されています。
オンボーディングツールの活用を通じて、新入社員の定着率向上と長期的な人材育成の基盤構築を実現できます。主には以下のような効果を得られます。
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▼新入社員がついていけない状況を作らないためのコツは下記で詳しく解説しています。
⇒新入社員研修についていけない状況への対処法とは?Z世代に合わせた学習方法を解説!
オンボーディングツールに求められる機能
オンボーディングツールには、効果的な学習体験を提供するための多様な機能が求められます。インプットとアウトプットのバランスの取れた学習、個別学習と協調学習の両立、データに基づく改善、そして使いやすさといった要素が重要です。
ここでは、効果的なオンボーディングに必要な7つの主要機能を解説します。
①動画などによるインプット学習機能
動画コンテンツは視覚と聴覚に同時に訴えかけるため、テキストのみの学習に比べて記憶定着率が高いとされています。オンボーディングツールにおいては、講義形式の説明動画、実演形式のハウツー動画、アニメーションによる概念説明など、学習内容に応じた多様な表現が可能です。
動画学習の大きなメリットは、学習者が自分のペースで繰り返し視聴できることです。必要に応じてスキップや巻き戻しができるため、すでに理解している内容は飛ばし、難しい部分は繰り返し学ぶという効率的な学習が実現します。
また、5分以内の短い動画モジュールを組み合わせたマイクロラーニング形式にすることで、隙間時間を活用した継続的な学習も促進できます。
②理解度クイズなどによるアウトプット学習機能
学習内容をインプットするだけでなく、理解度を確認するためのクイズ機能も重要です。認知科学の研究によると、テストやクイズなどの想起練習により、単に内容を読んだり聞いたりするよりも、記憶の定着が促進されることが明らかになっています。
多肢選択式、記述式、穴埋め式などさまざまな形式のクイズを、学習プロセスの適切なタイミングで挿入することで、理解度の確認と同時に記憶の定着を図れます。
また、即時フィードバック機能により、誤った理解をすぐに修正でき、理解度に応じた追加学習コンテンツの提案も可能になります。
③動画課題などによるアウトプット学習機能
知識を実践に移すためには、実務に近い形でのアウトプット課題が効果的です。動画課題機能を活用すれば、学習者が自身のロールプレーイングやプレゼンテーションを録画して提出し、評価を受けることができます。
例えば、営業研修では商談のロールプレイを録画してフィードバックを得たり、接客業では実際の対応をシミュレーションして評価を受けたりすることが可能です。
このような実践的なアウトプット課題は、単なる知識習得を超え、実務スキルの向上に直結します。また、自分の行動を客観的に振り返る機会にもなり、自己認識と改善の促進にも役立ちます。
④ソーシャルラーニングによる学び合う機能
学習は個人の活動であると同時に、社会的な相互作用を通じて深まるものです。オンボーディングツールには、学習者同士が知識や経験を共有できるソーシャルラーニング機能が求められます。
具体的には、質問・回答機能、ディスカッションフォーム、グループワーク機能などが挙げられます。
これらの機能により、同期・非同期のコミュニケーションが可能になり、リモート環境下でも協調学習の機会を提供できます。他者の視点や経験に触れることで学習の深化が促進されるだけでなく、孤立感の軽減や組織へのエンゲージメント向上にも寄与します。
⑤AIによるエクササイズ機能
最新のオンボーディングツールでは、AIを活用したパーソナライズ学習が注目されています。
AIによるエクササイズ機能は、プレゼンテーションやセールストークの練習をAIを相手に行うことで、AIからフィードバックを得ることができ、そのフィードバックを踏まえ改善することを意識して繰り返し練習を行える機能です。
何もない状態でプレゼンテーションやセールストークの練習をすることは学習者にとっても困難ですが、AIからのフィードバックを得ることで練習に張り合いが出てきます。
イメージでいうと、カラオケの自動採点機能のようなものです。点数を高めることを意識して繰り返し練習することで、プレゼンテーションやセールストークが口になじみ、トーク力が上達していきます。
⑥直感的に操作できるUI
どれだけ優れた学習コンテンツを用意しても、ツール自体が使いにくければ学習効果は大きく損なわれます。オンボーディングツールには、学習の障壁を下げる直感的なユーザーインターフェース(UI)が不可欠です。
シンプルで分かりやすいデザイン、明確なナビゲーション、一貫性のある操作感などがUIにおいては重要な要素です。
また、PCだけでなくスマートフォンやタブレットからもアクセスできるマルチデバイス対応や、障がいのある方も利用しやすいアクセシビリティへの配慮も欠かせません。学習に集中できる環境を整えることで、オンボーディングの効果を最大化できます。
⑦学習行動のデータ蓄積
効果的なオンボーディングを実現するためには、学習行動のデータを蓄積し分析する機能が重要です。学習進捗率、教材の閲覧時間、クイズの正答率などさまざまなデータを収集することで、個人の学習状況の把握や組織全体の傾向分析が可能になります。
これらのデータは、学習者への適切なフォローアップだけでなく、教育プログラム自体の改善にも活用できます。例えば、多くの学習者がつまずくポイントを特定し、その部分の教材を改善することで、オンボーディングの質を継続的に高められます。
また、データに基づいた人材育成施策のROI(投資対効果)の測定も可能になり、経営層への報告や予算確保の根拠としても活用できます。
オンボーディングツール導入で得られる4つのメリット
オンボーディングツールを導入することで、企業はさまざまなメリットを得ることができます。
以下では、特に注目すべき4つのメリットについて解説します。これらのメリットは互いに連携し、組織全体の成長と競争力強化につながります。
新入社員の学習効果性向上
オンボーディングツールは、従来の一斉研修と比較して学習効果を大幅に高めることができます。その最大の理由は、個々の学習者のペースや理解度に合わせたパーソナライズ(個別最適化)が可能である点です。
例えば、動画、音声、テキスト、インタラクティブ要素など複数のメディアを組み合わせることで、さまざまな学習スタイルに対応できます。
また、理解度に応じた反復学習と適切なタイミングでの復習機能により、記憶の定着率が高まります。学習の進捗や達成度を可視化することでモチベーションを維持しやすくなり、時間や場所を選ばず学習できる柔軟性も、現代の多様な働き方に適しています。
新人の早期の成果創出
企業にとって、採用した人材が早期に成果を出せるようになることは重要な課題です。
オンボーディングツールを活用することで、新入社員の育成期間を短縮し、より早く戦力化することができます。
オンボーディングツールによる成果創出の効果:
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これらの効果が複合的に働き、採用コストに対する投資回収期間の短縮につながります。
組織全体の生産性の向上
オンボーディングツールの導入効果は、新入社員だけでなく組織全体の生産性向上にも波及します。
まず、新入社員のサポートに費やされていた先輩社員や上司の時間が削減され、本来の業務に集中できるようになります。
また、教育内容の均質化により、部門や担当者によるパフォーマンスのばらつきが減少し、組織全体の底上げが期待できます。組織の知識やベストプラクティスが体系化され、誰でもアクセス可能な形で共有されることで、暗黙知から形式知への転換が促進されます。
さらに、データに基づく継続的な改善文化が醸成され、長期的には組織の学習能力そのものが向上します。これらの効果により、組織全体の対応力と柔軟性が高まり、変化の激しいビジネス環境における競争優位性の確保につながります。
新人育成業務の効率化
オンボーディングツールは、人事部や教育担当者の業務効率化にも大きく貢献します。従来は手作業で行っていた研修の進捗管理や効果測定が自動化され、管理業務の負担が大幅に軽減されます。
教育コンテンツの一元管理と再利用も可能になり、一度作成したコンテンツを繰り返し活用できるため、長期的な教育コストの削減につながります。オンラインでの学習記録が自動的に蓄積されるため、レポート作成や分析も効率化されます。
また、リモート環境下でも効果的な教育が実現でき、場所や時間の制約に縛られず柔軟な研修運営が可能になります。スケジューリングや連絡業務も自動化やシステム化が進み、教育担当者は本来注力すべき研修内容の質向上や個別フォローなど、より価値の高い業務に集中できるようになります。
オンボーディングツール導入の流れ
オンボーディングツールの導入は、単にツールを選定して導入するだけでなく、現状分析から効果測定まで一連のプロセスとして捉えることが重要です。
計画的に進めることで、投資に見合った効果を得ることができます。ここでは、効果的な導入のための6つのステップを解説します。
①導入前に現状課題の整理と目標設定
オンボーディングツール導入の第一歩は、現状の課題を明確にし、具体的な目標を設定することです。既存のオンボーディングプロセスを棚卸しし、何がうまくいっていて何が課題なのかを特定します。
新入社員、教育担当者、マネジャーなどさまざまな立場の関係者からヒアリングを行い、多角的な視点から課題を把握することが重要です。また、離職率や育成期間などの定量データと、満足度などの定性データの両面から分析を行います。
これらの分析をもとに、「新入社員の育成期間を30%短縮する」「3カ月以内の離職率を半減させる」など、具体的かつ測定可能な目標(KPI)を設定します。この段階で経営層や関係部門との目標合意を得ておくことで、導入後の評価基準を明確にし、プロジェクトの推進力を高められます。
②オンボーディングプログラムの構築
目標が設定されたら、次はオンボーディングプログラムの構築です。まず、新入社員が習得すべきスキルと知識を整理し、スキルマップを作成します。業務遂行に必要な能力を体系的に整理することで、効果的な学習順序が見えてきます。
次に学習を段階的に設計し、基礎から応用へと無理なく進められるようにします。例えば、「基本知識の習得」→「簡単な業務の実践」→「応用スキルの習得」→「複雑な業務の実践」といった形で、理論と実践を交互に組み合わせると効果的です。
各段階での評価方法と基準も明確にし、学習の進捗を可視化できるようにします。また、業務スキルだけでなく、自社の文化や価値観を伝えるコンテンツも組み込むことで、組織への帰属意識を高めることができます。
▼営業スキルマップの作成については下記で詳しく解説しています。
⇒営業スキルマップとは?業績向上につながる効果的な作成・運用方法を解説!
③オンボーディングプログラムのツールへの実装
プログラムの設計が完了したら、実際にツールへの実装を行います。既存の研修資料やマニュアルを活用できるものは、ツールに適した形式に変換します。不足しているコンテンツは新たに作成し、体系的に整理してツールに搭載します。
実装後は、必ずテスト環境での動作確認を行います。リンク切れやコンテンツの表示不良などの技術的な問題だけでなく、学習の流れや内容が意図通りになっているかも確認します。
テストが完了したら、一部のユーザーによるパイロット実施を行い、実際の利用感や効果を検証します。フィードバックを基に調整と改善を行い、本格運用に向けた準備を整えます。
この段階で、ユーザー向けのマニュアルやヘルプコンテンツも整備しておくと、導入後のサポート負担を軽減できます。
④オンボーディングツールの運用開始
準備が整ったら、いよいよ全ユーザーへの展開を開始します。導入に際しては、説明会やメール案内など、適切な方法で全関係者に周知します。特に、ツールの目的や期待される効果を丁寧に説明し、前向きな姿勢で活用してもらえるよう働きかけることが重要です。
利用方法については、簡単なガイダンスやトレーニングセッションを設けると効果的です。また、運用ルールやガイドラインを明確に示し、誰もが同じ理解のもとで活用できるようにします。
初期段階では、質問や問題に迅速に対応できるサポート体制を構築しておくことが重要です。ユーザーが困ったときにすぐに助けを得られる環境があると、ツールの定着が進みやすくなります。
また、初期の成功事例を積極的に共有することで、組織全体への浸透を促進できます。
⑤定例ミーティングによるモニタリング
ツールの運用が始まったら、定期的なモニタリングを行い、効果と課題を把握します。学習進捗状況、理解度、ツールの活用状況など、主要な指標を定期的に確認し、目標達成に向けた進捗を評価します。
定例ミーティングでは、利用者からのフィードバックを収集・分析し、課題や改善点を特定します。特に重要な課題については、優先的に対応策を検討し、迅速に改善を図ります。
また、好事例や効果的な活用方法が見つかった場合は、組織内で広く共有し、横展開を図ります。定期的なモニタリングと改善のサイクルを回すことで、ツールの効果を最大化し、持続的な改善を実現できます。
⑥オンボーディング期間終了後の振り返り
設定したオンボーディング期間が終了したら、総括的な振り返りを行います。当初設定した目標に対する達成度を評価し、効果と課題を明確にします。
学習効果については、知識やスキルの習得度を測定するだけでなく、実際の業務パフォーマンスがどのように影響したかも確認します。また、ユーザー満足度調査を実施し、利用者の視点からの評価も把握します。
これらの評価結果から、成功要因と改善点を抽出し、次期オンボーディングへの提言としてまとめます。
また、投資対効果(ROI)を算出し、経営層への報告材料とします。振り返りの結果は文書化して組織の知見として蓄積し、継続的な改善のサイクルを確立することが重要です。
▼オンボーディングプログラムについては下記で詳しく解説しています。
⇒オンボーディングプログラムとは?構築のポイントやメリットなど解説!
オンボーディングツール導入に必要なリソース
オンボーディングツールを効果的に導入・運用するには、適切な人的リソースの確保が不可欠です。ツール自体の機能も重要ですが、それを生かすのは結局「人」です。
ここでは、成功に必要な3つの重要な役割について解説します。
学習デザインをディレクションする人
オンボーディングプログラム全体の設計を担当するのがこの役割です。教育目標と事業目標の整合性を確保し、学習者のニーズと組織のニーズのバランスを取りながら、効果的な学習体験を設計します。
求められるのは、教育学やインストラクショナルデザインの知識に加え、プロジェクトマネジメントスキルとステークホルダー調整能力です。理想的には人事・教育部門と事業部門の両方の視点を持つ人材が適任です。
既存の社内リソースで対応が難しい場合は、外部の専門家や研修ベンダーと連携することも選択肢となります。
学習コンテンツを作成する人
設計された学習プログラムに基づき、実際のコンテンツを企画・制作する役割です。業務知識を分かりやすく伝えるライティング能力や、視覚的に訴求する素材(図表、動画など)の作成スキル、資料を基に解説動画を作成するスキルなどが求められます。
重要なのは、単に「分かりやすい」だけでなく「学習効果が高い」コンテンツを作る視点です。そのためには、組織内の現場知識を持つSME(Subject Matter Expert)との連携が欠かせません。
完璧なコンテンツを一度に作り上げるのではなく、フィードバックを得ながら改善していく柔軟な姿勢も重要です。
コンテンツをツールへ実装し、運用する人
作成したコンテンツをツールに実装し、日々の運用を担当する役割です。ツールの機能を最大限に活用したコンテンツの実装や、ユーザー管理、システムトラブルの対応などを行います。
一定の技術的知識があると理想的ですが、多くのオンボーディングツールはノーコードで操作できるため、ITの専門知識がなくても運用可能です。
むしろ重要なのは、利用状況を分析して改善点を見いだし、PDCAサイクルを回す分析力と改善志向です。また、ユーザーからの問い合わせに丁寧に対応するサポート力も求められます。
新入社員オンボーディングプログラム構築の支援事例
不動産営業の効果的なロープレ事例
~デジタルOJTとリアルOJTの連動で業績向上へ【UMU導入事例】~
社員数:3000名以上
事業:住宅メーカー
導入前の課題~環境変化に対応した教育を提供したい~
働き方改革など、時代や環境の変化に伴い、従来通りの詰め込み型教育では新入社員がなかなか育たないという課題を抱えていました。
この課題を解決するため、2018年に新入社員の教育方針を「全社の人材育成システムを確立し、共通認識の下、営業人材を長期的視点で組織的・計画的に育成する」というものに変更しました。
3年で一人前とする本計画の元、
- 研修は事前学習→集合研修→職場実践サイクルによる、OJTとの連動形式を取る
- 計画的なロールプレーイングの実施で営業のスキル向上を図る
- 個々の学習の進捗状況と習得度の把握
上記を実践しながら持続的学習を促進していくために、マイクロラーニングによるインプットとAIによるロープレ(ラーニングプラットフォーム:UMU(ユーム)の活用)の導入を決定しました。
取り組みの詳細
①マイクロラーニングによるインプットで本部・現場の負担減へ
現場のハイパフォーマー社員に依頼し、1人当たり2テーマの模範ロープレ動画を提供してもらい、その動画をプラットフォーム上に掲載しました。
動画学習+AIロープレ導入前は現場でのOJTの質にばらつきがあるという課題もありましたが、動画学習の導入を機に、学習の質を均一化することができ、今では入社1年目~3年目の必須コンテンツとなっています。
②研修後の確認テストで学びの定着を図る
研修の最後にまとめとして、受講生にはプラットフォーム上で確認テストに回答してもらうことで、研修の理解度を測るとともに、学習内容の定着化を図る取り組みをしました。
講師はリアルタイムで受講生たちの理解が浅いポイントが分かり、その場で解説や補足説明を行うことで、効率的な学習を実現できました。
③48のテーマに細分化したロープレの提供で営業スキル向上へ
一人前になるまでに必要な知識を48テーマに細分化し、それをロープレの課題として受講生に提示、順次プラットフォーム上に動画をアップロードしてもらうことで、営業スキルの向上を図っています。
1週間に1本ずつ、模範ロープレ動画を視聴した上で、自身のロープレ動画を提出してもらいます。上司から70点以上の評価を受けることができればテーマクリアという運用を実施することで、デジタルで体系的な学習をしながら、リアルでOJTを促進するという連動を図っています。
導入後の成果
①一人前として必要な知識を漏れなく学習
プラットフォーム導入前は、3年間営業活動をしていても、人によっては現場で遭遇しないテーマもありましたが、48テーマを計画的に展開していくことで、体系的に、漏れのない学習の提供が可能となりました。
②学習と上司からのフィードバック率と業績の相関が分かった
受講生が動画を提出すると、AIからのフィードバックを受けられるため、1人でも自分のロープレにおける啓発ポイントを確認しながら、何度もロープレの練習をすることが可能です。また、トークの中身についても上司からのフィードバックを受けることで、トークのブラッシュアップを図ることができます。
実際に受講生の学習や上司のフィードバック率のランキングデータを確認すると、上位者には好業績者の顔ぶれが並んでおり、学習と上司からのフィードバック率と業績が相関していることが分かりました。
これまで現場でのOJT実施状況は不透明でした。しかし、学習状況やフィードバック率がデータとして可視化することで、実施状況を把握しながら上司の関わりを促進し、全体の学習・育成を促進することができました。
新入社員のオンボーディングならLDcubeにお任せ!
新入社員のオンボーディングは企業の成長に直結する重要なプロセスです。LDcubeは多角的なアプローチで効果的なオンボーディングの体制づくりを支援しています。
新入社員育成に関連する人たちとのミーティングを通じて、社内での「一人前」の定義を再確認する支援や、学習プラットフォームの導入支援を行います。そこから新入社員がキーワード検索で必要な情報を即時に学べるオンライン学習環境を整えます。
デジタルコンテンツや自発的に学べるツールの提供により、新入社員はいつでもどこでも効率的に学習を進めることが可能となり、早期に必要なスキルや知識を身に付けることができます。
それだけでなく、LDcubeは外部講師が実施する研修プログラムを自社内で効果的に活用できるように、社内トレーナーの養成の支援も行っています。社内トレーナーが質の高い研修を自ら実施できるようになることで、持続的かつ一貫した教育環境を整えることができます。
また、LDcubeは必要に応じて特定の研修やセミナーを実施することも可能です。新入社員のビジネスマナーやコミュニケーションスキルなどの分野については、LDcubeのスタッフが研修を行い、即戦力となるスキルを習得できるよう支援します。
新入社員のオンボーディングプロセスにはさまざまな工数がかかります。専任者をおいたとしてもやらなければならないことが多岐にわたります。
LDcubeは専任者と共に、オンボーディングを効率化し、新入社員の定着率とパフォーマンスを向上させることに向けて伴走します。
まとめ:オンボーディングツールで早期戦力化を図ろう
【人材育成】オンボーディングツール導入ガイド|機能・メリットを解説!について紹介してきました。
- オンボーディングツールとは?
- オンボーディングツールの導入目的
- オンボーディングツールに求められる機能
- オンボーディングツール導入で得られる4つのメリット
- オンボーディングツール導入の流れ
- オンボーディングツール導入に必要なリソース
- 新入社員オンボーディングプログラム構築の支援事例
- 新入社員のオンボーディングならLDcubeにお任せ!
人材不足が深刻化し、リモートワークが普及する現代において、効果的なオンボーディング体制の構築は企業の競争力を左右する重要な要素となっています。
オンボーディングツールを活用することで、新入社員の学習効果向上や早期戦力化、組織全体の生産性向上、育成業務の効率化など、さまざまなメリットが得られます。特に注目すべきなのは、データに基づく効果測定と継続的な改善が可能になることです。
導入にあたっては、現状課題の整理から始め、計画的なプログラム設計と実装、適切なモニタリングと振り返りまで、一連のプロセスを着実に進めることが成功の鍵となります。また、学習デザイン、コンテンツ作成、運用などの各フェーズで適切な人材を配置することも重要です。
まずは自社の人材育成における課題を整理し、オンボーディングツールがどのように解決策となり得るかを検討してみてはいかがでしょうか。早期に効果的なオンボーディング体制を構築することで、人材の定着と戦力化を実現し、持続的な組織の成長につなげることができるでしょう。
LDcubeは、これまでさまざまな人材育成サービスを提供してきており、新入社員育成の経験(集合研修、社内トレーナー養成、デジタル学習環境づくりなど)も豊富にあります。
その経験を踏まえて、最適なオンボーディングプログラムづくりを支援しています。無料のプログラムデモ体験会なども行っています。お気軽にご相談ください。
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