オンボーディング(新人研修)とは?重要な取り組みと導入ステップ
新人研修を表す人事用語であるオンボーディング。新入社員の定着率向上や早期戦力化などが期待できることから、企業で取り入れられています。
しかし、オンボーディングを実施したいと思っていても概要や目的が分からず、実行に移せないという担当者もいるのではないでしょうか。
この記事では、オンボーディングの概要やメリット、目的や具体的な取り組み、導入ステップについて詳しく解説します。
▼プログラム構築のポイントやメリットについては下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。⇒オンボーディングプログラムとは?構築のポイントやメリットなど解説!
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▼しっかりオンボーディングして離職防止を図ることも重要です。
目次[非表示]
- 1.オンボーディング(新人研修)とは
- 2.オンボーディングのメリット
- 3.オンボーディングの重要な目的
- 3.1.①会社・組織に慣れてもらう
- 3.2.②早期離職の防止につなげる
- 3.3.③新入社員・中途社員の即戦力化
- 3.4.④トレーナーや部署での教育格差を埋める
- 4.オンボーディングのステップ
- 5.オンボーディングとOJTの違い
- 6.オンボーディングのポイント
- 6.1.教えるだけでなく、実際にできるようにする
- 6.2.多くの関わり・つながりを持つ
- 6.3.組織と個人の融合: エンゲージメントを高める
- 7.オンボーディングの注意点
- 7.1.教える内容とタイミング
- 7.2.講師の資質や指導内容のばらつき
- 7.3.継続的なフォローアップとサポート
- 7.4.フィードバックの収集と反映
- 8.まとめ
オンボーディング(新人研修)とは
人事用語におけるオンボーディングとは、新たに企業や組織に加わった人材を仕事や環境に慣れさせ、いち早く戦力化するための取り組みのことを指します。
乗り物に乗っていることを意味する英語の「on-board」が由来であり、新しい仲間を迎え入れて順応を促すことが目的です。
新入社員が気軽に悩み・疑問を相談できる窓口の開設や、教育・研修担当者と新入社員が自由に会話できるチャットルームの設置など、企業によって独自のオンボーディングを行っています。
企業や組織では、新入社員が方針や業務内容についていけず、本来の力を発揮しないまま離職するというケースは少なくありません。
そのため、新入社員を迎え入れる際は教育・研修担当者だけではなく、上司や同僚も積極的にオンボーディングをサポートする体制作りが大切です。
▼新入社員研修のカリキュラムなどについては下記で解説しています。
⇒新入社員研修のカリキュラム作成!効果を最大化するポイントを紹介
オンボーディングのメリット
オンボーディングの実施には、以下のようなメリットがあります。
- 生産性の向上
- コスト削減
- 人材育成施策の改善
- 社員のエンゲージメント向上
- 組織内のコミュニケーションの強化 など
オンボーディングを適切に実施することで、新入社員が環境や仕事に早く慣れるため、企業全体の生産性向上が期待できます。
また、早期離職を防止することで採用から入社にかけて発生する費用が無駄にならず、結果的にコスト削減につながります。
オンボーディングでは教育・研修担当者だけではなく、上司や同僚も加わって支援するため、企業内のコミュニケーション強化にも有用です。
さらに、社員のエンゲージメント向上を図ることで社員だけではなく、企業の成長にもつながります。
オンボーディングの重要な目的
ここでは、オンボーディングの重要な目的と取り組みを4つ紹介します。
①会社・組織に慣れてもらう
オンボーディングでは新卒社員や中途社員など、すべての新入社員が定着するような取り組みを行うことが重要です。
例えば、既存社員と食事をする機会を設ければコミュニケーションが活性化し、新入社員の社内での人間関係構築がスムーズになります。
早期離職の主な原因は人間関係やコミュニケーション不足といわれているため、教育・研修担当者だけではなく、上司や同僚を含めたサポートが不可欠です。
②早期離職の防止につなげる
新入社員の早期離職を低減させるための取り組みを行うことが、オンボーディングの目的の1つです。
新卒社員のみがオンボーディングの対象と思われがちですが、中途社員にも目を向ける必要があります。新卒社員とは異なり、中途社員の受け入れ体制は現場主体になっているケースが見受けられます。
環境や仕事に馴染めず、本来の力を発揮しないまま離職してしまうことも少なくありません。早期離職を防止するためには、新卒社員と中途社員を含めたサポートが必要です。
▼離職防止については下記で解説しています。合わせてご覧ください。
⇒若手社員の離職防止をするには?効果的な取り組みや定着を支援するツールも紹介!
③新入社員・中途社員の即戦力化
オンボーディングを実施する際は、社内や現場で必要なルールや知識、専門スキルの習得を促す取り組みを行うことが大切です。
新卒社員や中途社員が早期離職してしまう原因の1つに、企業の方針や既存社員とのミスマッチが挙げられます。
これはサポート不足によって起こり得ることであり、環境に馴染めないことからくる不安が1つの要因です。
オンボーディングでは、新入社員・中途社員が即戦力として活躍できる環境とサポート体制が必要になります。
また、事前に現場で働く社員と交流する機会を設ければ、より仕事のイメージがしやすくなるはずです。
▼中途採用者のオンボーディングについては下記で解説しています。合わせてご覧ください。
⇒中途社員向けのオンボーディングとは?実施する効果を最大化するポイント!
④トレーナーや部署での教育格差を埋める
オンボーディングでは、教育担当者や部署が異なる場合でも、同質の学びが得られるような取り組みを行うことが重要です。
OJTや実習ではトレーナーの能力によって教育格差が生じる可能性があるため、人事部が中心となって体制を整える必要があります。
また、ビジネスマナーや仕事の進め方、コンプライアンスに関することなど、汎用的な内容の研修であれば、外部機関に依頼するのも一つの選択肢です。
▼OJTトレーナー研修については下記で解説しています。合わせてご覧ください。
⇒効果的なOJTトレーナー研修とは?45%が研修未実施!今こそ人材育成で差をつけよう!
オンボーディングのステップ
オンボーディングの導入ステップは、以下のとおりです。
- 目標とゴールの設定
- 教育プログラムの策定
- 教育体制の整備
- 教材の選定、学習ツールの導入
- 評価、フィードバック体制の構築 など
オンボーディングを実施する前に、まずは新入社員に何を目指してほしいか明確にする必要があります。
ただし、ハードルが高すぎる目標は新入社員にとってプレッシャーとなる可能性があるため、イメージしやすい現実的な目標を設定することが大切です。
また、教育プログラムの策定およびオンボーディングが実施できる環境・体制の整備も重要です。
入社直後は何かと不安を感じやすいため、定期的な連絡や面談を行い、新入社員が安心して相談できる仕組みを整えておくことをおすすめします。
教材を選定する際は、学習ツールの導入を検討することも一つの選択肢です。
学習ツールはコンテンツを配信するだけではなく、テストの実施や結果の集計など、研修にかかる業務を効率化させられる可能性があります。
オンボーディングは長期間にわたって実施されるため、定期的な評価とフィードバックは欠かせません。企業の課題やニーズは日々変化するため、オンボーディングも合わせて見直していくことが大切です。
オンボーディングとOJTの違い
オンボーディング(新人研修)とOJT、この二つは新入社員の教育に対して異なるアプローチを取るものです。
オンボーディングは、新入社員が組織や職場環境を理解、適応することを目的とした初期研修で、企業文化や組織のビジョン、ミッション等の基礎的な知識を提供します。また、会社内のルールやマナー等を教え、同僚や上司との人間関係の築き方も学ぶ時間を多く設けます。
これにより、新入社員が自身の仕事に対する理解を深め、組織の一員として必要なスキルや知識を習得します。
OJTは、新入社員が実際の業務を行う中で、必要なスキルや知識を学んでいく研修のことを指します。具体的な業務を通じて能力を身につけ、業務フローや業務で生じる問題点等も理解することができます。OJTは、具体的な職務に必要なスキルを磨き上げるための研修となります。
オンボーディングは組織への理解と適応を目指す一方、OJTは実際の業務場面で必要となるスキル習得に焦点を当てた研修となります。
▼オンボーディングとOJTの違いについては下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。⇒オンボーディングとOJTの違いとは?異なる目的や取り組みを理解しよう!
オンボーディングのポイント
教えるだけでなく、実際にできるようにする
新入社員が現場の業務に即した実践的なトレーニングを通じて業務の流れや必要なスキルを身につけることの重要性を示しています。
新入社員が具体的な作業を通じて実際に学ぶことで、自信を持って業務に取り組むための基盤となります。
理論的な知識を得るための動画教材やテキストだけでなく、実際の事例に基づいた模擬練習やロールプレイ、現場で良く起こるショートケーススタディーなど、実践的な内容も組み合わせたトレーニングが重要となります。
多くの関わり・つながりを持つ
新入社員は自分が所属する組織やチームとの関わりを深めることで、自身の役割を理解し、責任感を得ることにつながります。実務の技術習得だけでなく、社員間での交流を加速する機会も提供することが有効です。
定期的なチーム作りのイベントを開催したり、メンターシステムを導入したり、コミュニケーションの促進を図るツールを積極的に活用するなどが挙げられます。
組織と個人の融合: エンゲージメントを高める
新入社員が組織とのつながりを持ち、自身の目標達成が全体の成功にどのようにつながるかを理解すると、彼らのエンゲージメント(会社への参加度)は自然に増します。
それを実現するためには、会社のビジョンや使命を明確に理解し、自身の役割がどのようにそれに貢献しているのかを把握することが必要です。
さらに、定期的なフィードバックや功績評価を通じて、自身がどのような位置づけなのかを確認する機会を設けることも重要です。
新入社員が自身の働きを評価されていると実感し、自己実現の喜びを感じることができれば、そのエンゲージメントはさらに高まるでしょう。
▼エンゲージメントを高める研修については下記で解説しています。
⇒エンゲージメントを高める研修とは?カリキュラムと成功させる秘訣を解説!
オンボーディングの注意点
教える内容とタイミング
オンボーディングの初期段階では、自社の文化や価値観、ビジョンなど基本的な情報から伝えることがよく行われるステップです。
しかし、新入社員が過剰な情報により、すべてを消化しきれず混乱してしまうことがあります。
業務上すぐ使う知識やスキルはすぐに教え、当面使わない知識やスキルは、使うタイミングの直前で教えることが効果的です。
その点を加味し、研修内容は段階的に展開し、吸収した内容が消化できる時間を設けると良いでしょう。
また、随時疑問点や質問を解消できるフォーマットを設けることも大切です。
講師の資質や指導内容のばらつき
同じトレーニングでも講師や指導者によって質が変わることがあります。そのため、講義などは動画コンテンツなどで用意することが望ましいです、それによりばらつきを軽減できます。
▼関連してOJTでもばらつきが起こりやすいです。下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。⇒OJTの最大のデメリットとは?解決策と合わせて詳しく解説!
継続的なフォローアップとサポート
新入社員の成長と定着には、オンボーディングだけではなく、その後の継続的なサポートも重要です。
研修が終了しても、困っていることや不明点がある場合には対応できる体制を整備することが求められます。
例えば、メンターや先輩社員から直接アドバイスをもらえる環境を作ったり、定期的な1on1面談を設けたりすることで、新入社員が安心して業務に取り組めるようにすることが重要です。
フィードバックの収集と反映
新入社員からの意見や感想は、オンボーディングプログラムの改善に欠かせない重要なフィードバックとなります。
試行錯誤しながらも新人の意見を尊重し、反映させていくことでより良い研修プログラムを構築していくことができます。
新入社員が研修を通じて何を感じ、どう改善してほしいと思っているのかを聞き、それを研修の改善につなげることが発展のために重要です。
まとめ
この記事では、オンボーディングについて以下の内容で解説しました。
- オンボーディングとは
- オンボーディングで得られるメリット
- オンボーディングの重要な目的と取り組み
- オンボーディングの導入ステップ
オンボーディング(新人研修)とOJTの違い
オンボーディング(新人研修)のポイント
オンボーディング(新人研修)の注意点
オンボーディングは、新入社員の早期離職防止と早期戦力化に役立ちます。
しかし、オンボーディングはただ実施すればよいのではなく、はっきりとした目標や適切な環境・体制を整えなければ、期待するような効果が得られない可能性があります。
社内全体で新入社員をサポートする姿勢が大切であり、お互いにコミュニケーションをとるようにすれば新入社員も不安を感じにくいです。
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