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リーダーシップ研修・セミナーの講師選びで忘れている大切なこと

組織の成長と発展において、リーダーの育成は欠かせない重要要素です。

しかし、どれだけ優れた講師を招いてリーダーシップ研修を実施しても、それを伝える「プログラム」の再現性が低ければ、期待した効果は得られません。実際、筆者の経験では、多くの企業が「講師の話は面白かったけれど、結局何を学んだのだろう?」という経験をしていることが多いです。

つまり、リーダーシップ研修の成否を分ける重要なポイントは「誰が教えるかではなく、何をどのように教えるか(プログラム)」なのです。特に、リーダーシップのような抽象的で実践的なスキルこそ、プログラムの再現性が学びの深さを大きく左右します。

本記事では、人事・人材開発担当者の皆さまに向けて、リーダーシップ研修の講師やプログラム選びで押さえるべき6つの基準と、その活用術をご紹介します。社内講師と外部講師それぞれのメリット・デメリットや、コストパフォーマンスを最大化する方法、事前打ち合わせのポイントまで、実践的な知見をお届けします。

「講師選びで失敗したくない」「限られた予算で最大の効果を上げたい」「オンライン研修に適したプログラムを見つけたい」など、リーダーシップ研修の企画・実施に携わる方々の悩みを解決するヒントが詰まっています。効果的なリーダー育成は、適切な講師選びから始まるのです。

▼リーダーシップ研修については下記で詳しく解説しています。 

▼リーダーシップのベースは自己理解です。 

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目次[非表示]

  1. 1.リーダーシップ研修で重要なのは講師ではなくプログラム
    1. 1.1.学びが体系化され再現性の高いプログラムが重要
    2. 1.2.講師はプログラムを適切に実施する
    3. 1.3.講師によって差が出るプログラムは再現性が低い
  2. 2.リーダーシップ研修で社内講師と外部講師はどちらが良い?
    1. 2.1.社内講師のメリット
    2. 2.2.社内講師のデメリット
    3. 2.3.外部講師のメリット
    4. 2.4.外部講師のデメリット
  3. 3.リーダーシップ研修講師で費用対効果を高める方法
    1. 3.1.社内講師と外部講師のコスト比較分析
    2. 3.2.料金体系と適正相場の見極める
  4. 4.リーダーシップ研修の講師が使えるLIFO®プログラム
  5. 5.リーダーシップ研修は社内講師での展開がおすすめ
    1. 5.1.社内講師での展開がおすすめな理由
    2. 5.2.社内講師で展開するための3つの段階
  6. 6.LIFOを活用して社内講師がコミュケーション研修を展開している事例

リーダーシップ研修で重要なのは講師ではなくプログラム

リーダーシップ研修 プログラム

リーダーシップ研修を企画する際、多くの企業が「誰に教えてもらうか」という講師選びに注力しがちです。

確かに講師の質は重要ですが、実は最も重視すべきは「何をどのように学ぶか」というプログラム内容です。

効果的なリーダーシップ開発には、体系的な学習と実践の機会が不可欠であり、それを支えるのが優れたプログラム設計なのです。

学びが体系化され再現性の高いプログラムが重要

効果的なリーダーシップ研修の鍵は、学びが体系化され、再現性の高いプログラムにあります。

質の高いプログラムは、リーダーシップの要素を明確に分解し、段階的に習得できるよう設計されています。コミュニケーション能力、問題解決力、意思決定スキル、チーム構築力などの要素が有機的に結びついて、総合的なリーダーシップ能力を形成します。

体系化されたプログラムには、次のような特徴があります。

  • 学習ステップ:段階的に知識とスキルを積み上げる構造
  • 理論と実践:概念理解と実際の行動への応用を結びつける
  • フィードバック機構:気付きを深め、学びを定着させる仕組みが組み込まれている
  • 評価基準:成長を測定できる明確な指標がある

再現性の高いプログラムであれば、どの講師が実施しても一定水準以上の効果が得られます。これにより、組織全体で均質な学習体験を提供できるため、部署や地域を越えた人材育成が可能になります。

講師はプログラムを適切に実施する

質の高いプログラムが用意されている場合、講師の主な役割はそのプログラムを適切に実施することです。

つまり、講師は「スターパフォーマー」である必要はなく、むしろ「優れた進行役」であることが求められます。講師に必要なスキルは、プログラムの意図を正確に理解し、参加者の理解度に合わせて適切な進行を行うことです。

効果的な講師の特徴としては以下が挙げられます。

  • ファシリテーション能力:グループの相互作用を促進できる
  • 傾聴力:参加者の課題や疑問を的確に捉えられる
  • 質問力:考えを深める問いかけができる
  • 柔軟性:参加者の反応に応じてプログラムを調整できる

講師はプログラム内容を忠実に伝えながらも、参加者の状況や組織文化に合わせて適切に調整する役割を担います。プログラムという「地図」がしっかりしていれば、講師は参加者を目的地へと効果的に導くことができるのです。

講師によって差が出るプログラムは再現性が低い

プログラム内容が不明確で、講師の個人的な経験や知識に大きく依存する研修は、再現性が低く効果にばらつきが生じやすいという問題があります。「あの講師の研修は良かったが、別の講師の研修は期待外れだった」といった状況は、プログラム自体に問題がある証拠です。

講師依存型の研修の課題には次のようなものがあります。

  • 一貫性の欠如:講師が変わると内容や質が大きく変わる
  • 知識偏重:体系的なスキル開発よりも講師の知識・経験伝達に終始する
  • 再現困難:成功体験を組織全体に広げにくい
  • 評価の難しさ:明確な基準がなく、効果測定が困難

講師の個性や経験を生かすことは重要ですが、それに過度に依存することなく、体系的なプログラムを基盤とした研修設計が必要です。

優れたプログラムは、講師の個性を生かしながらも、一定水準以上の効果を保証するものであるべきです。

リーダーシップ研修で社内講師と外部講師はどちらが良い?

メリットデメリット

リーダーシップ研修を実施する際、「社内の人材を講師として起用するか」「外部の専門講師に依頼するか」という選択に迷うことがあります。

この判断は、研修の目的や内容、予算、組織の状況など、さまざまな要素を考慮して行う必要があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社の状況に合わせた最適な選択が重要です。

社内講師のメリット

社内講師を活用することには、多くのメリットがあります。最大の強みは、組織の文化や実情を深く理解している点です。社内講師は自社の事例や具体的な業務に即した説明ができるため、参加者にとって学びを現場に適用しやすくなります。

社内講師が特に効果を発揮するテーマとしては、以下のようなものがあります。

  • 企業理念浸透:自社の価値観や行動規範を伝える研修
  • 業務知識:社内の独自プロセスやシステムに関する研修
  • 組織文化:自社特有の組織文化やコミュニケーション様式に関する研修
  • 専門技術:自社に蓄積された特殊なスキルやノウハウを教える研修

また、社内講師は研修後も身近にいるため、フォローアップが容易であり、参加者が研修内容を実践する際の相談役になることができます。研修効果の定着という観点からも、社内講師の存在は大きな価値があります。長期的には社内に知見が蓄積され、人材育成の好循環を生み出す効果も期待できます。

さらに、社内講師は組織内の実際の成功事例や失敗事例を具体的に共有できるという強みがあります。これにより、抽象的な理論よりもリアリティーのある学びを提供できます。

例えば、「このプロジェクトではこのようなアプローチが成功した」「あの局面ではこうすればよかった」といった生きた事例は、参加者の理解と実践意欲を高めるのに非常に効果的です。

また、階層別研修においては、組織内の先輩社員が講師を務めることで、キャリアモデルを可視化するという効果も期待できます。

若手社員にとって、数年先を行く先輩社員の姿は具体的な目標となり、モチベーション向上につながります。このような「身近なロールモデル」の提示は、社内講師ならではの価値です。

社内講師のデメリット

一方で、社内講師には課題もあります。最も大きな課題は、「教える技術」の習得に時間がかかることです。

業務のスペシャリストであっても、その知識やスキル、そしてリーダーシップについて効果的に教えられるとは限りません。ファシリテーションスキルやプレゼンテーション能力など、講師としての基本スキルを習得する必要があります。

社内講師の主な課題としては、以下のような点が挙げられます。

  • 時間的制約:本業の傍ら講師を担当するため、準備時間の確保が難しい
  • 客観性の欠如:社内の常識や前提にとらわれ、新しい視点を提供しにくい
  • 権威の問題:特に上下関係がある場合、素直に意見を受け入れてもらいにくい
  • スキル不足:教える技術や最新知識が不足している場合がある

また、適任者を見つけることも大きな課題です。本業が忙しい中で講師の役割を引き受けてくれる人材を探すのは容易ではなく、人選にも相当な時間とコストがかかります。

そして何より、講師としての経験が浅いと研修効果にばらつきが生じやすく、質の一貫性を保つことが難しいという問題があります。

特に教育経験が少ない社内講師の場合、質疑応答やディスカッションの進行、難しい参加者への対応など、臨機応変なファシリテーションが苦手なことがあります。

また、社内の「当たり前」や「暗黙知」に慣れすぎているために、基本的な説明を省略してしまったり、前提知識を共有せずに話を進めてしまったりするケースも見られます。

さらに、社内講師は組織内の力関係や人間関係に影響されやすいという課題もあります。

例えば、上司や役職の高いベテラン社員が講師を務める場合、参加者が本音で質問や意見を述べにくくなり、活発な議論が生まれにくい状況になることがあります。

反対に、若手社員が講師を務める場合、年上の参加者から十分な信頼や敬意を得られないこともあるでしょう。

外部講師のメリット

外部講師の最大の強みは、専門性と豊富な経験にあります。多くの企業での研修実績があるため、さまざまな事例や最新の知見を提供できます。また、第三者の視点から組織の課題を指摘できるため、社内では言いにくいことも客観的に伝えることができます。

外部講師が特に効果を発揮するのは、次のようなテーマです。

  • 専門知識:最新のリーダーシップ理論や手法に関する研修
  • 客観的視点:組織変革や問題解決に関する研修
  • 体系的スキル:ロジカルシンキングやプレゼンテーションなどの基本スキル
  • 先端情報:業界トレンドや最新動向に関する研修

外部講師は「外からの刺激」という効果もあります。社内の人間が同じ内容を話すよりも、外部の専門家が話すことで、参加者の集中力や受容性が高まることがあります。日常的に上司から言われていることでも、外部講師から客観的な事例とともに説明されると、素直に受け入れられることが多いのです。

外部講師の強みとして見逃せないのは、多様な企業での経験に基づく「他社事例」を提供できる点です。社内だけでは気付かない一般的なトレンドや他社事例を豊富に共有できるため、組織の視野を広げる効果があります。また、専門的なトレーニングを受けていることから、グループワークのファシリテーションやディスカッションの活性化など、研修の「場づくり」に長けている点も大きなメリットです。

さらに、外部講師は社内の政治的な力関係や利害関係から独立した立場であるため、率直なフィードバックが可能です。社内では言いにくい「不都合な真実」も伝えやすく、組織の盲点や課題に気付かせる役割を果たすことができます。特に組織変革やマインドセットの転換が必要なテーマでは、この「外部の声」が貴重な触媒となるでしょう。

外部講師のデメリット

外部講師を活用する際の最大の課題は、コストと組織適合性です。専門性の高い講師を招くには、それなりの費用が発生します。また、多くの外部講師は汎用的なプログラムを持っていますが、それを自社の状況に合わせてカスタマイズする作業が必要となります。

外部講師の主な課題としては、以下の点が挙げられます。

  • 費用負担:講師料、交通費、資料代などの直接コストがかかる
  • 自社理解不足:組織の特性や文化への理解が浅い場合がある
  • 継続性の課題:1回限りの関わりになりがちで、フォローアップが難しい
  • 依存リスク:外部に頼り続けると、社内での知見蓄積が進まない

また、外部講師の品質は個人によって大きく異なります。研修内容が講師の個人的経験や知識に依存する場合、講師が変わると研修の質も変わってしまいます。

そのため、講師選定には慎重な検討が必要です。企業文化との相性も重要な要素であり、優れた実績があっても自社の風土に合わない講師では、研修効果が限定的になる可能性があります。

外部講師のもう一つの課題は、参加者の業務実態と研修内容の乖離が生じる可能性です。

特に事前の打ち合わせが不十分だった場合、講師が提供する内容が理想論に傾き、「現場では実践できない」と感じさせてしまうことがあります。これを防ぐには、研修前の十分な情報共有と、自社事例を取り入れた内容のカスタマイズが不可欠です。

また、外部講師による単発の研修では、学びの定着や行動変容までフォローすることが難しいという課題もあります。研修終了後も継続的に学びを実践に結びつけるためには、社内のフォローアップ体制や上司によるサポートなど、研修を補完する仕組みが必要となります。

さらに、外部講師は自社特有の専門用語や社内システム、業務フローなどに精通していないため、具体的な業務応用については十分なアドバイスができないことがあります。リーダーシップの一般論は学べても、「明日からの自分の仕事でどのように生かすか」という点では物足りなさを感じさせる可能性があるのです。

外部講師を最大限活用するためには、これらのデメリットを認識した上で、事前の入念な打ち合わせ、自社ならではの課題や事例の共有、研修後のフォローアップ体制の整備など、補完的な取り組みが重要になります。

また、将来的には外部講師から社内講師へのノウハウ移転を計画的に進め、両者のメリットを組み合わせた研修体制の構築を目指すことも有効な戦略です。

リーダーシップ研修講師で費用対効果を高める方法

リーダーシップ研修講師 費用対効果を高める

リーダーシップ研修において、最大の効果を最小のコストで得ることは、どの企業にとっても重要な課題です。講師選定は予算と効果のバランスを考慮して行う必要があります。ここでは、社内講師と外部講師それぞれのコスト構造を理解し、費用対効果を高める方法について解説します。

社内講師と外部講師のコスト比較分析

社内講師と外部講師のコスト比較を適切に行うには、表面上の費用だけでなく、隠れたコストも含めて総合的に考える必要があります。

社内講師の場合、主に以下のコストを考慮する必要があります。

  • 育成コスト:社内講師を教える技術の面で育成するための研修費用
  • 準備時間:研修資料の作成や準備にかかる時間的コスト
  • 質のばらつき:経験不足による研修効果の不安定さがもたらす機会損失

社内講師の場合、専任の社内講師がいるかどうかでも変わってきます。

専任の社内講師がいる場合には、研修を実施することが本業と言えますが、兼務での社内講師の場合、研修を実施することで、本業の業務を行えない時間が発生するという見えないコストも発生します。

1~2回の研修であれば、社内講師が不慣れな状況で実施するよりも外部講師に委託した方が手っ取り早い場合があります。

一方、外部講師の場合は、以下のようなコスト構造となります。

  • 直接費用:講師料、交通費、宿泊費などの直接的なコスト
  • 調整コスト:事前打ち合わせや調整にかかる時間と労力
  • カスタマイズ費用:自社向けにプログラムを調整する際の追加費用
  • 依存コスト:外部に依存することで社内に知見が蓄積されないリスク

基本的なリーダーシップの内容であれば、豊富な経験と専門性を持つ外部講師は効率的かつ効果的な研修を提供できることが多いです。ただ、目に見える直接的なコストは社内講師に比べ大きくなります。

1~2回の研修であれば、外部講師の方が手っ取り早い側面がありますが、多くの社員に対して数多くの研修を実施する際には、外部講師を活用するコストは膨大なものとなります。その場合には、社内講師を養成して展開した方が、コストバランスが良いことが多いです。

料金体系と適正相場の見極める

外部講師に依頼する際は、料金体系と適正相場を理解することが重要です。リーダーシップ研修の市場相場は、研修の規模や形式によって大きく異なります。

異業種交流型研修(複数企業の社員が参加する合宿形式)では1人当たり20万円〜50万円程度、企業単独での実施(一社研修)では2日間で行うと仮定すると、全体で80万~100万円程度が一般的な相場となっています。

費用対効果を高めるためには、以下のポイントを押さえるとよいでしょう。

  • 参加人数の最適化:一社研修の1回あたりの参加者数を増やし、1人当たりのコストを下げる
  • 実施形態の選択:対面・合宿・オンライン・ハイブリッドなど、目的に合った形態を選ぶ
  • 継続性の確保:単発ではなく、フォローアップを含めた継続的なプログラムを検討する
  • 内製化の視点:将来的な内製化を見据えたノウハウ移転の仕組みを組み込む

また、料金だけでなく、講師の専門性や実績、プログラムのカスタマイズの柔軟性などを総合的に評価することが重要です。最も安価な選択肢が必ずしも最も費用対効果が高いとは限りません。

長期的な人材育成の視点から、初期投資は高くても、効果の持続性や組織への定着度が高いプログラムを選ぶことが、結果的にコストパフォーマンスを高めることにつながります。

リーダーシップ研修の講師が使えるLIFO®プログラム

LIFO

効果的なリーダーシップ研修を実施するには、再現性が高く、体系的なプログラムが不可欠です。

LIFO®(ライフォ)プログラムは、そのような要件を満たす優れたリーダーシップ開発ツールとして注目されています。このプログラムは講師の個人的な経験や能力に依存することなく、一貫した質の高い研修を実現できる特徴を持っています。

LIFO®プログラムとは

LIFO®プログラムは、「Life Orientations®」の略称で、個人の行動特性や強みを科学的に分析し、活用するためのシステムです。

このプログラムは1967年にスチュアート・アトキンス博士によって開発され、世界60カ国以上で活用されている実績あるメソッドです。日本では1978年から実施されており、国内でも100万人を超える受講者がいます。

LIFO®の核心となる考え方は、「すべての人は好みの行動スタイルを持ち、そのスタイルに強みが現れる」というもので、人の行動特性を4つの基本スタイルに分類します。

  • SGスタイル:意義や目的を大事にし、高い理想を求める傾向がある
  • CTスタイル:要点を簡潔に知りたがり、詳細な説明を嫌う傾向がある
  • CHスタイル:データや事実を重視し、順序を立てて話す傾向がある
  • ADスタイル:直感や感情を重視し、感情表現が豊かな傾向がある

リーダーシップ研修においてLIFO®を活用することで、参加者は自分自身の行動パターンとその影響を客観的に理解できるようになります。

また、異なるスタイルを持つメンバーとのコミュニケーション方法や、状況に応じて自分のスタイルを調整する方法を学ぶことができます。これにより、多様なチームを効果的に率いるためのスキルと視点を養うことができるのです。

LIFO®プログラムは再現性が高い

LIFO®プログラムの最大の特長は、その再現性の高さにあります。

このプログラムは明確な理論的基盤と体系的な実施手順を持っているため、講師が変わっても一定の品質と効果を維持することができます。これは、研修の成否が講師個人の力量に左右されやすい従来型のリーダーシップ研修と比較して、大きなメリットとなります。

LIFO®プログラムの再現性を支える要素には、以下のようなものがあります。

  • 実践に裏付けされた診断ツール:これまでの多くの実践に裏付けされた質問票による診断
  • 体系的なフレームワーク:明確な理論に基づく一貫したアプローチ
  • 構造化されたワークショップ:段階的に理解を深める設計されたプログラム
  • 検証された学習プロセス:効果が実証されている学習サイクルの採用

この再現性の高さは、組織全体でリーダーシップ開発を推進する際に特に重要です。

例えば、複数の部署や拠点で同時並行的に研修を実施する場合でも、均質な内容と効果を期待することができます。また、新たに講師を追加する際にも、短期間で必要なスキルと知識を習得させることが可能になります。

LIFO®プログラムの社内講師を養成できる

LIFO®プログラムのもう一つの大きな特徴は、社内講師の養成システムが確立されている点です。

企業は外部から講師を招くだけでなく、自社内にLIFO®認定講師を育成することで、継続的かつ効率的にリーダーシップ研修を展開することができます。再現性の高いプログラムだからこそ社内講師でも実施できます。

社内講師養成の主なメリットとして、以下の点が挙げられます。

  • コスト効率:長期的には外部講師依頼より経済的
  • カスタマイズ:自社の文化や課題に合わせた内容のアレンジが容易
  • 即応性:必要なタイミングで迅速に研修を実施可能
  • ノウハウの内部蓄積:組織内にノウハウが定着し発展する

社内講師養成プロセスは、通常、ライセンス取得講座(3時間×4回)と実践的なフォローアップトレーニングで構成されます。

認定を受けた講師は、LIFO®の診断ツールを活用し、社内でワークショップを実施する資格を得ることができます。また、講師同士のコミュニティーやアップデート研修も用意されているため、継続的なスキル向上も可能です。

特に、リーダーシップ開発を組織の文化として定着させたい企業にとって、社内講師の存在は非常に有効です。

外部講師による単発の研修と異なり、日常的な業務の中でもLIFO®の考え方を活用し、継続的なコーチングやフィードバックを提供することができます。これにより、研修で得た学びを実践に落とし込み、組織全体のリーダーシップ能力を着実に高めていくことが可能になります。

リーダーシップ研修は社内講師での展開がおすすめ

リーダーシップ研修 社内での研修がおすすめ

これまでの内容を踏まえると、長期的な視点でリーダーシップ開発を考える場合、最終的には社内講師による研修展開が最も効果的であることがわかります。

もちろん、すべての企業がすぐに社内講師だけで完結できるわけではありませんが、段階的に社内リソースを育成し、内製化を進めることは、持続可能なリーダーシップ開発において重要な戦略となります。

社内講師での展開がおすすめな理由

社内講師での展開が推奨される理由は複数あります。まず、リーダーシップは組織文化や価値観と密接に関連しているため、自社の文脈に沿った内容を継続的に提供できる点が大きな強みです。

また、長期的な費用対効果の観点からも、初期投資は必要ですが、継続的に外部講師に依頼するよりも経済的です。さらに、社内に専門知識とスキルが蓄積され、組織全体のリーダーシップ能力向上に有機的につながるというメリットもあります。

社内講師で展開するための3つの段階

社内講師による効果的なリーダーシップ研修を実現するためには、以下の3つの段階を踏むことをおすすめします。

①基盤づくり

まず、自社のリーダーシップのあるべき姿を明確に定義することから始めます。

企業理念や経営戦略と整合した独自のリーダーシップモデルを構築し、それに基づいた評価基準や育成体系を整備します。この際、どのようなリーダーを育てたいのか、どのようなスキルや行動特性を重視するのかを明確にすることが重要です。

この段階では、外部の専門家の力を借りることも有効です。研修設計の専門知識を持つコンサルタントや、リーダーシップ開発の専門家と協働して、自社に最適なフレームワークを構築することで、その後の内製化の土台を固めることができます。

②プログラム選択と社内講師の育成

ここでは、再現性の高い標準化されたプログラムを選ぶことが成功の鍵となります。前述のLIFO®プログラムのような、明確な方法論と体系を持ったツールを採用することで、社内講師でも質の高い研修を提供することが可能になります。

社内講師の選定と育成も重要なステップです。以下のポイントに注意して進めるとよいでしょう。

  • 適性を重視:教えることに興味があり、コミュニケーション能力の高い人材を選ぶ
  • 多様性の確保:さまざまな部門や背景を持つ社員を講師として育成する
  • 段階的な育成:まず少人数の社内講師を育て、その後範囲を広げていく
  • 継続的な学習:定期的なスキルアップ研修やフィードバック機会を設ける

選定された社内講師候補は、外部機関による認定研修を受講し、必要な資格やスキルを習得します。その後、実際の研修を外部講師と共同で実施するなど、実践的な経験を積むプロセスを設けることで、スムーズな移行が可能になります。

③自律的な展開と継続的改善

社内講師が自信を持って研修を実施できるようになったら、徐々に研修の内製化を進めていきます。この段階では、以下のような取り組みが効果的です。

  • 研修内容の継続的な改良:参加者からのフィードバックを基に内容を改善する
  • ケーススタディーの蓄積:自社の実例や成功事例を教材として活用する
  • メンタリングシステムの構築:経験豊富な講師が新人講師を指導する仕組みをつくる
  • コミュニティー形成:社内講師同士が学び合い、支え合う場を設ける

社内講師による展開の最大のメリットは、日常業務との連携が容易になる点です。

研修で学んだことを実際の業務で実践し、その結果をフィードバックとして研修内容に反映させるという好循環を生み出すことができます。これは外部講師による単発の研修では難しい、社内講師ならではの強みです。

また、リーダーシップ研修を社内講師で展開することは、講師自身の成長にも大きく貢献します。他者に教えることで自らの理解が深まり、組織全体のリーダーシップに対する意識も高まります。これは「教えることで学ぶ」という効果を組織的に活用する方法とも言えるでしょう。

社内講師での展開には課題もあります。特に初期段階では、外部講師のサポートを受けながら徐々に移行していくことが重要です。

また、社内講師の負担が過度にならないよう、本業とのバランスを考慮した運用体制を整えることも不可欠です。研修実施回数や1人当たりの担当セッション数に上限を設けるなど、持続可能な仕組みづくりを心がけましょう。

最終的には、リーダーシップ開発が組織文化として定着し、日常的な業務の中でも継続的に行われる状態を目指します。研修という形式にとどまらず、上司によるコーチングや同僚間のフィードバック、実務を通じた経験学習など、さまざまな形でリーダーシップ開発が行われる組織へと進化させることが理想的です。

社内講師によるリーダーシップ研修の展開は、一朝一夕に実現するものではありません。しかし、長期的な視点で計画的に取り組むことで、コスト効率が高く、組織の文化や価値観に根ざした、持続可能なリーダーシップ開発体制を構築することができます。

リーダーシップ開発を一時的なトレーニングではなく、組織の成長と共に進化し続ける継続的なプロセスとして位置づけることが、真の競争力につながるのです。

LIFOを活用して社内講師がコミュケーション研修を展開している事例

リコージャパン株式会社 人事・コーポレート本部 人財開発センター 人財開発部 部長 武田 佳祐 様  リコーグループは、日本、米国、欧州、アジア・パシフィックに拠点を置き、全世界約200の国と地域で事業を展開しているグローバルカンパニーです。2036年に創業100周年を迎えるリコーグループは、「”はたらく”に歓びを」という価値観を基に持続可能な未来をつくる活動をしています。 「人のこころとからだに携わり、現場に寄り添った教育施策を実現したい」という個人の想いを持ち、活動しています。

背景・課題:

リコージャパン株式会社では、2010年の販売会社統合以降、各支社の固有の課題に対応できず、教育施策が本部主導で一方的になるなどの課題がありました。

また、コロナ禍以降、会食などの機会が減ったことにより、コミュニケーションの希薄化を招いていました。これらの課題を解決するために、社員自らが強みや弱みを理解し合い、横のつながりを強化する取り組みが求められていました。

LIFOプログラム(社内トレーナーライセンス)の導入:

その中で、LIFO(Life Orientations)を導入しました。LIFOの活用を通じて、社員一人一人の個性を診断し、自己理解と他者理解を促進しました。

これにより、非公式なコミュニケーションが減少する中でも、社員同士の相互理解を深めるための新たな手段を提供することができるようになりました。

また、LIFOプログラムライセンスを取得することで、社内講師が自主的に研修を行えるようになり、組織風土改革を進めました。

LDcubeとの協力により、多様なワークショップを展開し、各支社・部門が抱える具体的な課題に対応できるようになりました。

社内展開:

プログラムの展開においては、事前のLIFO診断、ワークショップの実施、職場での実践、効果検証のサイクルを組み込みました。

参加者は、研修後の職場実践を通じて得られたスキルを評価し合い、PDCAサイクルを回すことで、持続的なスキルアップを図っています。

ラーニングプラットフォーム「UMU」を活用し、受講者同士が学び合う環境も整備しました。

社内講師による研修実施後の反応:

導入後、プログラム受講者の満足度は高く、多くの支社で「対人関係」や「マネジメント能力」などにおいて数値的な改善が見られました。

LIFOを活用したレクチャーは「人」の問題の解決に寄与し、特にアウトプット重視の体験学習が効果的でした。

UMUの活用と一連の学習サイクルの設計により、事務局の負担軽減と学習効果の向上が実現しました。

今後に向けて:

今後は、各支社や部門の課題に寄り添い、人材育成を継続的にサポートすることで、社員個々の自己成長と組織全体の活性化をさらに推進する予定です。

また、LIFO以外のライセンスプログラムも組み合わせ、人材育成のプログラムラインナップを増やしていきます。

これにより、組織内のさまざまな課題を解決し、全体の一体感をさらに高められることを期待しています。

▼本事例はインタビュー記事の一部です。インタビュー記事全文はこちらからご覧ください。
リコージャパン株式会社様 ライセンスプログラム導入事例 

  リコージャパン株式会社 各支社・部門の現状と課題に合わせたプログラム展開で組織風土改革を推進 「本部主導の教育施策だけでなく、現場に寄り添った教育施策を展開したい」 「研修後の学びの定着を支援し、職場での実践と成果向上まで促進したい」 このような悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。 リコージャパン様では、LIFO・HEP・ITS・SBRP・行動の柔軟性開発プログラムを活用した体験学習型ワークショップにより、現場の課題解決と社員一人一人の能力開発を目的とした組織風土改革の取り組みをされています。 本記事では、人事・コーポレート本部 人財開発センター 人財開発部長の武田 佳祐 様にインタビューした内容をレポートします。 株式会社LDcube


まとめ:効果的なリーダーシップ研修は適切なプログラム選びから始まる

リーダーシップ研修・セミナーの講師選びで忘れている大切なこと!について紹介してきました。

再現性の高い体系的なプログラムを選ぶことが、効果を最大化する第一歩です。社内講師と外部講師にはそれぞれ長所・短所がありますが、長期的には社内講師の育成と活用が効果的です。

LIFO®などの標準化されたプログラムを導入し、段階的に社内講師を養成すれば、コスト効率が高く持続可能な研修体制が構築できます。

まずは自社のリーダーシップ開発ニーズを明確にし、適切なプログラムを選定しましょう。外部専門家の支援を受けながら計画的に内製化を進めることで、組織に定着する本質的なリーダーシップ開発が実現します。

株式会社LDcubeでは、LIFO®プログラムを活用した研修会、eラーニング、LIFO®プログラムの社内インストラクター養成など幅広くご支援をしています。

無料体験会なども行っています。お気軽にご相談ください。 

▼関連資料はこちらからダウンロードできます。 

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企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
株式会社ビジネスコンサルタントで、講師派遣型の人材育成支援から始まり、社内トレーナーの養成による人材育成支援、デジタルツールを活用した人材育成のDX化の支援まで、中小企業から大企業まで20年にわたり幅広いコンサルティングに従事。 新入社員研修からOJTリーダー研修、若手社員研修、管理職研修、幹部研修、営業研修、デジタル学習環境づくりのコンサルテーションなどに自らもコンサルタントとして登壇しながらも、人材育成・組織活性化・営業強化において講師派遣型の枠を超えた支援を実現するため、ビジネスコンサルタントの子会社である株式会社LDcubeの設立と同時に代表取締役に就任。 資格: ・全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC2023002) ・LIFOプログラムライセンス(LIFO-MSSプログラム開発者)

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