新入社員のオンボーディングに必要な要件とは?構築と運用の工数についても解説!
新入社員のオンボーディングは、企業の成長と持続的な成功の鍵を握る重要なプロセスです。
しかし、多くの企業がオンボーディングの課題に直面しています。特に、オンボーディングが形式的で効果的に行われないと、新入社員が業務や職場になじむのに時間がかかり、結果として離職率が高まるリスクがあります。
では、どのようにして新入社員のオンボーディングを効果的に行い、早期に戦力化できる環境を整えたらよいのでしょうか?
新入社員のオンボーディングに関して多くの企業が抱えている一般的な課題について考えてみましょう。
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本記事では、効果的なオンボーディングプログラムを構築し、運用するための具体的な方法を紹介します。
以下のポイントを踏まえることで、新入社員が早期に業務に適応し、企業に貢献できる環境を整えることができます。
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オンボーディング構築や運用には一定の工数が必要ですが、その投資は新入社員が効率的に成長するために不可欠です。デジタルコンテンツをベースにオンラインの環境を整備することで、繰り返し学習できる環境をつくることができ、生産性が高まります。
オンボーディングプログラムを効果的に設計し、企業の持続的な成長を支えるための基盤を築きましょう。
▼オンボーディングプログラム構築や新人育成についてはテーマごとに下記で詳しく解説しています。
- オンボーディングプログラムとは?構築のポイントやメリットなど解説!
- 中途社員向けのオンボーディングとは?実施する効果を最大化するポイントについて解説!
- 新入社員研修は習慣是正のために合宿型が最適!?足りない部分はオンラインで補足!ポイントを解説!
- 新入社員研修についていけない状況への対処法とは?Z世代に合わせた学習方法を解説!
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- 新入社員研修のカリキュラム作成!効果を最大化するポイントを紹介
- 新入社員研修にeラーニングを活用するメリットと進め方・注意点
- 新入社員研修で動画を活用するメリット|教材の形式や特徴を解説!
▼新人育成については下記にまとめました。企画編56㌻、実践編46㌻、カリキュラム編20㌻で編成しています。
目次[非表示]
- 1.新入社員のオンボーディングとは?
- 2.新入社員のオンボーディングに必要な要件
- 2.1.自社内での一人前の定義がある
- 2.2.一人前に向けて学習できる教材がある
- 2.3.オンラインでの学習環境がある
- 3.新入社員のオンボーディング体制構築の方法
- 3.1.一人前の定義の確認
- 3.2.社内の学習コンテンツ集め
- 3.3.必要な学習コンテンツの作成
- 3.4.学習コンテンツのコース化
- 3.5.運用体制の構築(OJTとの連動など)
- 4.新入社員のオンボーディングにかかる工数
- 5.新入社員のオンボーディングには専任者がいることが理想
- 6.新入社員オンボーディングの事例
- 7.新入社員のオンボーディングならLDcubeにお任せ!
- 8.まとめ
新入社員のオンボーディングとは?
オンボーディング(Onboarding)とは、新入社員が組織にスムーズに適応し、効果的に業務を開始できるよう支援する一連のプロセスを意味します。
企業文化や経営理念の理解、業務フローの把握、チームや上司との信頼関係の構築などを含んでいます。
オンボーディングは単なる入社初日のオリエンテーションではなく、通常数週間から数カ月にわたる継続的なプロセスであることが特徴です。
オンボーディングで取り扱う内容例
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オンボーディングの重要性・メリット
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オンボーディングは、単に新入社員を迎え入れるためだけの短期的な手続きではなく、新入社員が長期的に安定して成長し、企業の一員として成果を上げるための重要なステップです。
しっかりとしたオンボーディングプロセスを実施することで、新入社員の早期戦力化、定着率の向上、そして職場の生産性の向上を図ることができます。
▼新入社員の即戦力化については下記で解説しています。併せてご覧ください。
⇒成果を出す新入社員の育て方とは?即戦力化の前提・ポイントを解説!
新入社員のオンボーディングに必要な要件
自社内での一人前の定義がある
新入社員のオンボーディングにおいて重要な第一歩は、自社内での「一人前」の定義を明確にすることです。
この定義は、各部署や職務内容により異なる場合がありますが、その職務で求められるスキル、知識、行動基準などを具体的に示すことで社員の目標を明確にします。
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一人前に向けて学習できる教材がある
自社内での「一人前」の定義が明確になったら、それに向けて必要な知識やスキルを学習するための教材を準備します。
これまでの新入社員研修で活用しているテキストや資料、OJTマニュアル、顧客案内用のサービス紹介動画など、社内を探してみると使える素材を見つけられることも多いです。社内で眠っている資料が意外と役立ちます。
このような既にある素材は学習用コンテンツとして活用することでコンテンツ作成の工数を削減することができます。
(社内を探しても学習用コンテンツがあまり見当たらない場合は、必要なコンテンツを作成していく必要があります。その点については3章:新入社員のオンボーディング体制構築の方法で解説します。)
学習用コンテンツをある程度見つけてきたら、それをどのような順番で学習していくのが効果的かを踏まえて整理します。
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オンラインでの学習環境がある
新入社員がいつでもどこでも学習を続けられるように、オンラインでの学習環境を整えることも不可欠です。
社内で見つけてきた学習用コンテンツを、効果的な学習順に並べ、それをオンライン上で学習できるように整えます。
オンラインの活用により、対面での研修の制限を超えて、柔軟に学習機会を提供できます。
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これらの要件を満たすことで、新入社員は効率的かつ効果的にオンボーディングプロセスを進めることができ、早期に一人前として活躍できるようになります。
(補足)Z世代の学び方
現代の新入社員はZ世代であり、社会の変化とともに日ごろの学び方も変わってきています。新入社員が学びやすい環境をつくることが重要です。下記に参考情報を紹介します。
総合文具メーカーのコクヨ株式会社が2020年に行った「中高生の学びに関する実態調査レポート」でのアンケートによると、「勉強に関する情報をどこから得ますか?」という問いに対し、「YouTubeなどの動画サイト」と回答した学生が一番多い結果となっています(回答人数:824名)。
※コクヨ株式会社「中高生の学びに関する実態調査レポート」を参考に作成
新入社員のオンボーディング体制構築の方法
一人前の定義の確認
自社の「一人前」についての定義を確認します。ある程度明文化されたものがある場合にはそれを活用しますが、時代の変化の中で陳腐化していないかなど確認しましょう。
「一人前」についての定義が特にない場合には、下記の手順で確認・検討します。
これまで弊社では2時間×2回程度(下記①②で1回、③④で1回)で行ってきました。
一人前の定義の確認方法 |
①新入社員育成や新人が配属される職場のマネジャーでミーティングを行う まず、新入社員の育成担当者や新人が配属される職場のマネジャーを集めてミーティングを行います。このミーティングの目的は、新入社員が「一人前」になるための基準を明確にすることです。
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②ミーティング時に各自の「一人前」の定義(知識・スキル・考え方)を持ち寄り、要素を洗い出す 参加者各自が考える「一人前」の定義を持ち寄り、その知識、スキル、考え方などの要素を洗い出します。
※多くの場合、意見がばらけますが、それは「一人前」といったときの定義が曖昧であることを示しているからです。ここではそのばらつきを気にせず洗い出しましょう。 |
③「一人前」の定義について過不足がないかディスカッションを行う 全ての要素が出そろったら、その内容についてディスカッションを行い、過不足を確認します。
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④参加者でコンセンサスを得る ディスカッションを経てチーム全体で合意に達し、「一人前」の定義についてコンセンサスを得ます。
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社内の学習コンテンツ集め
新入社員のオンボーディング体制を構築する際、「一人前」の定義に基づき、必要な学習を行うため、まずは現存する社内の学習コンテンツを収集することが重要です。
このステップでは、既にある資料やマニュアル、トレーニングビデオ、ガイドブックなどを一カ所に集めて整理します。
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必要な学習コンテンツの作成
既存のコンテンツを集めた後、オンボーディングに必要な追加コンテンツを作成します。
「一人前」に必要な学習項目のうち、既存のコンテンツがないものをリストアップし、新入社員が一人前になるために必要な情報を網羅するよう意識します。
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学習コンテンツのコース化
作成した学習コンテンツを、体系的に学べるコースとして組み立てます。このステッ
プでは、学習の進行がスムーズになるように教材を順序付け、学習の段階を設定します。
また、単にコンテンツがあれば効果的な学習になるかというとそうではありません。通常、インプット用コンテンツばかりになりがちです。
インプットに対応したアウトプットコンテンツ(理解度クイズなど)を交えてコース化を進めます。
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運用体制の構築(OJTとの連動など)
学習コンテンツを整備したら、次はそれを効果的に運用する体制を構築します。
OJTの仕組みと連動させることで、知的理解だけでなく、実践的なスキル習得を促進します。
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このように、学習コンテンツ集めから始まり、必要な教材の作成、コース化、運用、フォローまで、一貫したプロセスを経ることで、新入社員に対して効果的なオンボーディング体制を提供することができます。
▼研修用動画コンテンツの作り方については下記で解説しています。
新入社員のオンボーディングにかかる工数
新入社員のオンボーディング体制を構築・運用するためには、それぞれの段階で異なる工数がかかります。ここでは、構築にかかる工数と運用にかかる工数について具体的に説明します。
構築にかかる工数
オンボーディング体制を一から構築するためには、以下の工程において具体的な工数がかかります。
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運用にかかる工数
運用フェーズにおいては、新入社員の状況を常にモニタリングし、プログラムの改善を継続的に行うための工数がかかります。
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以上のように、オンボーディング体制の構築と運用には多くの工数がかかります。
初年度は大変ですが、デジタルコンテンツをベースに整えていき、計画的かつ効率的に進めることで、2年目以降は構築・運用の工数やコストを大きく削減することができます。
▼研修などの業務の効率化については下記で解説しています。併せてご覧ください。
⇒研修を効率化するには?コスト削減とパフォーマンス向上の両立
新入社員のオンボーディングには専任者がいることが理想
新入社員のオンボーディング体制を効果的に構築・運用するためには、専任者がいることが理想です。
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以上のように、新入社員のオンボーディングには専任者がいることが理想です。専任者は構築フェーズから運用フェーズまで一貫して担当することで、一貫性と効率を確保し、新入社員の早期戦力化と定着率の向上を実現することができます。
新入社員オンボーディングの事例
不動産営業の効果的なロープレ事例
- デジタルOJTとリアルOJTの連動で業績向上へ【UMU導入事例】
- 社員数:3000名以上 事業:住宅メーカー
導入前の課題
環境変化に対応した教育を提供したい
働き方改革など、時代や環境の変化に伴い、従来通りの詰め込み型教育では新入社員がなかなか育たないという課題を抱えていました。
この課題を解決するため、2018年に新入社員の教育方針を「全社の人材育成システムを確立し、共通認識の下、営業人材を長期的視点で組織的・計画的に育成する」というものに変更しました。
3年で一人前とする本計画の元、「研修は事前学習→集合研修→職場実践サイクルによる、OJTとの連動形式を取る」「計画的なロールプレーイングの実施で営業のスキル向上を図る」「個々の学習の進捗状況と習得度の把握」をしながら持続的学習を促進していくために、マイクロラーニングによるインプットとAIによるロープレ(ラーニングプラットフォーム:UMU(ユーム)の活用)の導入を決定しました。
取り組みの詳細
①マイクロラーニングによるインプットで本部・現場の負担減へ
現場のハイパフォーマー社員に依頼し、1人当たり2テーマの模範ロープレ動画を提供してもらい、その動画をプラットフォーム上に掲載しました。
動画学習+AIロープレ導入前は現場でのOJTの質にばらつきがあるという課題もありましたが、動画学習の導入を機に、学習の質を均一化することができ、今では入社1年目~3年目の必須コンテンツとなっています。
②研修後の確認テストで学びの定着を図る
研修の最後にまとめとして、受講生にはプラットフォーム上で確認テストに回答してもらうことで、研修の理解度を測るとともに、学習内容の定着化を図る取り組みをしました。
講師はリアルタイムで受講生たちの理解が浅いポイントが分かり、その場で解説や補足説明を行うことで、効率的な学習を実現できました。
③48のテーマに細分化したロープレの提供で営業スキル向上へ
一人前になるまでに必要な知識を48テーマに細分化し、それをロープレの課題として受講生に提示、順次プラットフォーム上に動画をアップロードしてもらうことで、営業スキルの向上を図っています。
1週間に1本ずつ、模範ロープレ動画を視聴した上で、自身のロープレ動画を提出してもらいます。上司から70点以上の評価を受けることができればテーマクリアという運用を実施することで、デジタルで体系的な学習をしながら、リアルでOJTを促進するという連動を図っています。
導入後の成果
①一人前として必要な知識を漏れなく学習
プラットフォーム導入前は、3年間営業活動をしていても、人によっては現場で遭遇しないテーマもありましたが、48テーマを計画的に展開していくことで、体系的に、漏れのない学習の提供が可能となりました。
②学習と上司からのフィードバック率と業績の相関が分かった
受講生が動画を提出すると、AIからのフィードバックを受けられるため、1人でも自分のロープレにおける啓発ポイントを確認しながら、何度もロープレの練習をすることが可能です。また、トークの中身についても上司からのフィードバックを受けることで、トークのブラッシュアップを図ることができます。
実際に受講生の学習や上司のフィードバック率のランキングデータを確認すると、上位者には好業績者の顔ぶれが並んでおり、学習と上司からのフィードバック率と業績が相関していることが分かりました。
これまで現場でのOJT実施状況は不透明でした。しかし、学習状況やフィードバック率がデータとして可視化することで、実施状況を把握しながら上司の関わりを促進し、全体の学習・育成を促進することができました。
新入社員のオンボーディングならLDcubeにお任せ!
新入社員のオンボーディングは企業の成長に直結する重要なプロセスです。LDcubeは多角的なアプローチで効果的なオンボーディングの体制づくりを支援しています。
新入社員育成に関連する人たちとのミーティングを通じて、社内での「一人前」の定義を再確認する支援や、学習プラットフォームの導入支援を行います。そこから新入社員がキーワード検索で必要な情報を即時に学べるオンライン学習環境を整えます。
デジタルコンテンツや自発的に学べるツールの提供により、新入社員はいつでもどこでも効率的に学習を進めることが可能となり、早期に必要なスキルや知識を身に付けることができます。
それだけでなく、LDcubeは外部講師が実施する研修プログラムを自社内で効果的に活用できるように、社内トレーナーの養成の支援も行っています。社内トレーナーが質の高い研修を自ら実施できるようになることで、持続的かつ一貫した教育環境を整えることができます。
また、LDcubeは必要に応じて特定の研修やセミナーを実施することも可能です。新入社員のビジネスマナーやコミュニケーションスキルなどの分野については、LDcubeのスタッフが研修を行い、即戦力となるスキルを習得できるよう支援します。
新入社員のオンボーディングプロセスにはさまざまな工数がかかります。専任者をおいたとしてもやらなければならないことが多岐にわたります。LDcubeは専任者と共に、オンボーディングを効率化し、新入社員の定着率とパフォーマンスを向上させることに向けて伴走します。
まとめ
新入社員のオンボーディングに必要な要件とは?構築と運用の工数についても解説!について紹介してきました。
- 新入社員のオンボーディングとは?
- 新入社員のオンボーディングに必要な要件
- 新入社員のオンボーディング体制構築の方法
- 新入社員のオンボーディングにかかる工数
- 新入社員のオンボーディングには専任者がいることが理想
- 新入社員オンボーディングの事例
- 新入社員のオンボーディングならLDcubeにお任せ!
新入社員のオンボーディングには、自社内に「一人前」の定義があり、それを実現していくための学習コンテンツを社内外から探したり、新たに作成したりしてプログラムを構築していくことが必要です。
その上で、現場でのOJTとも連動させながら、成長を支援していくことが求められます。新入社員のオンボーディング体制構築やその運用にはそれなりの工数・労力がかかりますが、デジタルコンテンツをベースに整えていくことで2年目以降の工数を大きく削減することが可能です。
人事でオンボーディング施策を講じることで、新入社員のエンゲージメントを高め、早期離職の防止やパフォーマンスの発揮につながります。
株式会社LDcubeでは、新入社員のオンボーディング体制構築に必要な支援を幅広く行っております。社内の担当者さまと伴走し、効果的なオンボーディング体制づくりにつなげていきます。新入社員の育成で悩みがあればLDcubeにお気軽にご相談ください。
▼新入社員育成については下記にまとめました。こちらからダウンロードできます。
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