新入社員研修の講師ガイド|準備から事後フォローまでコツや事例を交えて解説!
新入社員研修の成功は、企業の未来を左右するほど重要です。
しかし、多くの企業が悩んでいるのは、その研修が形式的になりがちで、新入社員が実際の業務にすぐに適応できるスキルを身に付けるのに十分ではないということです。特に、講師の質が低い場合や研修方法が効果的でない場合、期待されたレベルまで成果を上げるのが難しいです。
多くの企業で見られる新入社員研修の課題を考えてみましょう。講義形式が中心となり、一方通行の情報提供が続く場合は、新入社員の関心や理解度が低下しやすいです。
また、実務に直結するスキルや知識の習得が不十分な場合は、新入社員が業務に不安を感じることが、早期離職の原因となることもあります。このような状況を改善するためには、講師が効果的な研修方法を取り入れることが必要です。
では、どのようにすれば新入社員研修の講師が効果的なプログラムを提供し、新入社員を迅速に戦力化できるのでしょうか?
本コラムでは、これまでの新人育成の経験に基づき、新入社員研修の講師に求められるスキルや向いている人、必要なこと、役割分担、研修運営の最適な形、デジタル化の推進方法、成功のポイントなどについて、具体的な方法を紹介します。
講師は新入社員に対して効果的で興味深い研修を提供し、新入社員のモチベーションとスキルを向上させることが重要です。ポイントは、研修が単なる情報提供で終わらず、実際の業務に直結する実践的なスキルを身につけさせるものになっていることです。
新入社員研修の講師として、今回案内している要素を取り入れることで、これまでよりも研修の効果を高めながらコストを抑えた展開が可能になるでしょう。
時代に合わせた新入社員の学習環境を構築し、それを礎として、より強固なチームを築き、企業全体の成長を促進していきましょう。
▼新入社員研修について、関連情報を下記で詳しく解説しています。
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- 研修実施に伴う費用とは?外部講師から内製化の相場まで解説!
▼新入社員の育成については下記にまとめています。(3部作:企画編・実践編・カリキュラム編)
目次[非表示]
- 1.新入社員研修の講師とは
- 2.新入社員研修の講師に求められるスキル
- 3.新入社員研修の講師に向いている人
- 4.新入社員研修の講師がやらなければならないこと
- 5.新入社員研修の講師の役割分担
- 6.新入社員研修における講師活用の最適な形
- 6.1.基本的には社内講師で実施する
- 6.2.外部講師が活用している教材を利用する
- 6.3.時代に合わせた最適な学習環境の整備
- 7.講師として新入社員研修をデジタル化し効果を高める
- 7.1.繰り返し学習ができる(新入社員は学んでも忘れる)
- 7.2.学習の質が向上する
- 7.3.いつでもフォローができる
- 7.4.生産性が向上する
- 8.講師として新入社員研修を成功に導くポイント
- 8.1.新入社員育成への情熱
- 8.2.入念な準備・リハーサル
- 8.3.効果的なツールの活用
- 9.講師としての新入社員研修の準備に必要な期間
- 10.まとめ
新入社員研修の講師とは
新入社員研修の講師とは、新しく企業や組織に加わった社員を対象に、仕事や企業文化に関する知識・スキルを教える役割を担う人です。
人事担当者が講師になることが多いですが、主な役割は以下の通りです。
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このように、新入社員研修の講師は、新入社員が早期に企業環境に適応し、仕事に取り組めるようになるための基礎を築く重要な役割を担っています。
新入社員研修の講師に求められるスキル
新入社員研修を展開する際に必要となるスキルについて紹介します。新入社員研修はもちろん、さまざまな研修にも役立ちます。
社内講師には以下の4つのスキルが求められます。
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これらのスキルは、トレーナーに人選されたときには保有していなくても、社内トレーナーとしての教育を受け、実践していけば開発されていきます。
(出典:社内トレーナー導入における成功のコツとは?ポイントを解説!)
新入社員研修の講師に向いている人
弊社でもこれまでたくさんの新入社員研修講師の養成やサポートを行ってきていますが、その中で分かった新入社員研修の講師に向いている人の特徴を紹介します。
大前提は下記です。
◆大前提「新入社員(後輩)の成長に情熱を持って取り組めること」
大前提を踏まえて、下記のような特徴を持っている人が新入社員研修の講師に向いています。
コミュニケーション能力が高い人
コミュニケーション能力において特に下記のような能力を持っている人が新入社員の講師に向いています。
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明瞭な説明力:
新入社員にとって分かりにくい専門用語や複雑な概念を、誰にでも理解できるように平易な言葉で説明する能力です。
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双方向の対話力:
一方的に話すだけでなく、質問や意見を引き出し、活発な対話を通じて相互理解を深めることができる能力です。
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プレゼンテーションスキル:
視覚資料(スライドやグラフ)を効果的に用いて、視覚と聴覚を通じて情報を伝える力です。
教育・指導経験が豊富な人
教育・指導経験において下記のような素質を持っている人が新入社員の講師に向いています。
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指導方法の多様性:
学習者の特性に応じた多様な教育方法(講義形式、ワークショップ、ロールプレイングなど)を知識として持ち、それを活用できることです。
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評価・フィードバック能力:
新入社員の理解度やパフォーマンスを適切に評価し、個別のフィードバックを提供して成長をサポートする能力です。
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教育理論の理解:
成人学習理論や効果的なトレーニング技法についての知識やスキルを持っていることです。
組織理解力が高い人
組織理解力において下記のような素質を持っている人が新入社員の講師に向いています。
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企業文化についての深い理解:
企業のビジョンやミッション、歴史、文化について、これまでの経験などから深く理解していることです。体験や事例を数多く持っていると良いです。
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業務プロセスの把握力:
全ての業務プロセスを知っていることは現実的ではありませんが、企業内の特定の業務に関する具体的な業務内容や手順、重要なルールや規律を正確に理解していることです。
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社内連携する力:
社内の他部門や関係者とネットワークを持っており、必要に応じて具体的な業務の専門家と連動できることです。
柔軟性と共感能力の高い人
柔軟性と共感能力において下記のような素質を持っている人が新入社員の講師に向いています。
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個々の進捗に応じた対応力:
新入社員の理解度や適応度は人それぞれ異なるため、それに応じた指導やサポートを柔軟に提供する能力です。
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心理的にサポートする力:
新入社員の不安や緊張感に対して、共感でき、適切なサポートを提供できることです。
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問題解決能力:
新入社員が直面する問題や課題を迅速に察知し、それに対する適切な解決策を提供できる能力です。
モチベーションの高い人
モチベーションにおいて下記のような素質を持っている人が新入社員の講師に向いています。
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ポジティブなエネルギー:
新入社員が前向きに研修に取り組むように、講師自身が明るく積極的な態度で接することできることです。
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激励と称賛のバランス:
適切なタイミングでの激励や称賛を通じて、新入社員のモチベーションを持続させるスキルを持っていることです。
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自己成長を促進する力:
自分の成長を感じられるように、適度な挑戦課題を提供し、新入社員が達成感を味わえるような機会を設けることができることです。
これらの特性やスキルを持つ人が、新入社員研修の講師に向いています。
新入社員のスムーズな職場適応と成長をサポートするために、これらの能力を持ち、新入社員と適切なコミュニケーションが取れることが必要です。
▼関連して社内トレーナーについては下記で解説しています。
⇒社内トレーナー導入における成功のコツとは?ポイントを解説!
新入社員研修の講師がやらなければならないこと
新入社員研修の講師がやらなければならないことについて、以下の5つの段階に分けて具体的に説明します。
① 企画段階(カリキュラム作成)
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カリキュラムの目的と目標設定:新入社員に対して何を教えるべきか、具体的な目標を設定します。例えば、「基礎的なビジネスマナーの習得」や「業務フローの理解」などです。
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研修形式の決定:対面形式、オンライン形式、またはハイブリッド形式など、最適な研修方法を選びます。各形式のメリットとデメリットを把握して、効果の高い組み合わせを選択します。
- スケジュール作成:日程を具体的に組み立て、研修がスムーズに進行するよう計画します。場所、時間、講師の配置などを細かく決めます。
▼新入社員研修のカリキュラム詳細については下記で解説しています。
⇒新入社員研修のカリキュラム作成!効果を最大化するポイントを紹介
② 準備段階(スキル向上)
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教材の準備:設定した目標やテーマに基づいて教材を準備します。スライド、資料、動画、ケーススタディーなど、多岐にわたる教材を用意します。
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リハーサル:実際の研修をスムーズに進行させるために、講師自身でリハーサルを行います。シミュレーションを通じてタイムマネジメントや流れの確認を行います。
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ツールの習得:オンライン研修を行う場合は、必要なツール(Zoom、Teamsなど)の使用方法をマスターします。
- フィードバックの準備:新入社員に対して効果的なフィードバックを行うためのテンプレートやチェックリストを用意します。
③ 研修実施段階
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オリエンテーション:研修の最初に、全体の流れや目的を明確に伝え、新入社員の期待を高めます。
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インタラクティブな講義:受け身ではなく、積極的に参加してもらうように進行します。グループディスカッションやロールプレイ、クイズなどを取り入れ、参加者の理解を深めます。
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リアルタイムのフィードバック:研修の途中段階で随時、参加者に対しフィードバックを行い、理解度や進捗を確認します。
- タイムマネジメント:計画通りに進行するため、スケジュール管理を徹底します。
④ 研修フォロー段階
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評価とフィードバック:研修終了後、各新入社員の理解度や成績を評価し、個別フィードバックを提供します。質問や疑問点にも対応します。
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サポート体制の確立:研修後も新入社員が困った際にサポートが受けられるように、メンター制度の整備やフォローアップ研修を実施します。
- アクションプランの提示:新入社員それぞれに対し、今後取り組むべき具体的なアクションプランを提示します。
⑤ 振り返り段階
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アンケート実施:新入社員からフィードバックをもらうために、研修に関するアンケートを実施します。内容、形式、講師の評価などを聞き取り、改善点を把握します。アンケート項目は経年で変化を比較できるよう、基本形として毎年追いかけるアンケートを作成しておくと良いです。その上、都度確認したい項目などを確認していくことで実態を把握していきます。
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振り返りミーティング:研修チームで集まり、研修全体の振り返りを行います。良かった点、改善が必要な点を洗い出し、次回研修に活かします。
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レポート作成:研修の成果や重要なポイントをまとめたレポートを作成し、組織内の関係部署に報告します。
- 持続的な改善:フィードバックやアンケート結果を基に、次回の研修に向けてカリキュラムや進行方法を更新・改善していきます。
各段階をしっかりと計画し、実行することで、効果的な新入社員研修を実施することができます。
新入社員研修の講師の役割分担
新入社員研修の講師は主に社内講師と外部講師の2種類に分けられます。それぞれの特徴と役割について詳しく説明します。
社内講師
特徴
社内講師は、企業内の既存社員の中から選ばれ、研修を担当します。この役割を担う人は、通常その企業で豊富な経験を持ち、企業の文化や業務プロセスを深く理解している人です。
役割
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企業文化の伝達:社内講師は企業の価値観や文化について深く理解しているため、新入社員に対して具体的な事例や体験を通じて伝えることができます。社内講師は企業文化を伝達することで、新入社員が早期に企業に適応するのをサポートします。
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業務知識の共有:社内講師は、実際の業務に直結する具体的な知識やスキルを教える役割を果たします。実務経験に基づいた具体的なアドバイスやノウハウの共有が可能です。
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既存社員との橋渡し:社内講師は新入社員と既存の社員との間の橋渡し役として、新入社員が職場にスムーズに溶け込むための支援を行います。
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長期的なフォローアップ:社内講師は研修後も引き続き新入社員の成長や問題に対応するフォローアップを行います。日常的なサポートがしやすいのが特徴です。
外部講師
特徴
外部講師は、企業外の専門家が招かれて研修を担当します。彼らは特定の分野における豊富な経験や知識を持ち、その分野の最新のトレンドや方法論に精通しています。
役割
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専門知識の提供:外部講師はその専門分野における最新の知識や技術を新入社員に提供します。企業は外部講師を活用することで、企業内では得られない高水準の教育が可能となります。
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第三者による新しい視点の提供:外部講師は企業外の視点から研修を行うため、偏りのない客観的なアドバイスや新しい視点を提供できます。外部講師から得た新しい視点は、新入社員が柔軟な思考を養う助けになります。
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短期間での集中研修:外部講師は、一度きりの講義や短期間の集中研修を担当することが多いです。そのため、特定の課題に対して集中的に学ぶ場を提供できます。
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特定スキルの育成:ビジネスマナーやリーダーシップ、コミュニケーションスキルなど、特定のスキルに特化した研修を提供し、短期間で必要なスキルを育成する役割を果たします。
社内講師は企業の文化や業務に深く精通しているため、新入社員が早期に職場に適応しやすい環境をつくることができます。
一方で、外部講師は専門的な知識や新しい視点を提供し、企業内では得られないスキルや知識を短期間で効率よく伝える役割を果たします。
両方の講師をバランスよく活用することで、新入社員研修の効果を最大限に高めることが可能です。
新入社員研修における講師活用の最適な形
時代の変化とともに新入社員の育ってきた環境や日常生活の過ごし方、学び方などが変化しています。
新入社員研修講師活用の最適な形は、基本的には社内講師で研修を実施しながら部分的に外部講師のノウハウを活用して、時代に合わせた学習環境を整えていくことです。
基本的には社内講師で実施する
社内で新入社員研修を行う場合、講師を社内から選定することが基本です。以下の理由があります。
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企業文化の理解が深い:社内講師はその企業の文化、ミッション、ビジョンを深く理解しており、その理解を直接新入社員に伝えることができます。企業固有の価値観を共有しやすい環境を作り出すことができます。
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業務内容の具体的な説明ができる:社内講師は実際に業務を行っている社員であるため、具体的な業務内容や職務に関するリアルな視点を新入社員に提供できます。これにより、新入社員は実践的な知識とスキルが身につきやすくなります。
- コスト効率がよい:外部講師の採用には費用がかかりますが、社内講師はその費用を抑えることができます。そのため、リソースを有効活用することができ、コスト効率が良くなります。
▼研修実施に関する費用については下記で詳しく解説しています。
⇒研修実施に伴う費用とは?外部講師から内製化の相場まで解説!
外部講師が活用している教材を利用する
外部講師による研修は効果的ですが、社内講師が外部講師の教材を活用することで、同様の効果を得ることができます。
社内講師が外部講師の持つノウハウを習得することで自社ならではの研修を組み立てることができます。
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質の高い教材の利用:外部講師が使用する専門的で洗練された教材は非常に有用です。社内講師がこれらの教材を効果的に取り入れることで、外部講師に匹敵する、質の高い研修を提供できます。
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社内に合わせたカスタマイズ:社内講師が外部教材を使う際に、そのまま使うのではなく、企業の特性や現場の状況に合わせてカスタマイズします。これにより、一般的な内容を具体的な業務に関連付けることができ、効果的な学びを提供できます。
- 継続性と一貫性:社内講師が外部教材を取り入れて研修を実施することで、社内講師を務める人によって教える内容が変わるということがなく、研修の一貫性と継続性が保たれます。また、社内のフィードバックを基に、教材や研修内容を随時改善することが容易です。
新入社員研修は社内講師である社員が情熱を持って行っていくことが理想です。
そのため、講師は社内から向いていそうな人を選び、そしてその社内講師に外部講師が使っているノウハウを身に付けてもらうことで、他社には真似のできない自社オリジナルの研修をつくることが可能です。
▼株式会社LDcubeが提供しているプログラムについては下記よりご覧ください。
▼ 社内講師が初めての場合の対応方法については下記で詳しく解説しています。併せてご覧ください。⇒初めての研修講師が感じる不安とは?社内研修を成功させるポイント・コツを解説!
時代に合わせた最適な学習環境の整備
効果的な新入社員研修を実施するためには、研修の整備はもちろんのことながら研修だけではなく、いつでもどこでも学べる学習環境の整備も重要です。
現在入社してくる社員はZ世代と呼ばれ、物心ついたことからスマートフォンや動画に触れてきている世代です。そのような世代が学びやすい環境を整えることが重要です。
実際に、総合文具メーカーのコクヨ株式会社が2020年に行った「中高生の学びに関する実態調査レポート」でのアンケートによると、「勉強に関する情報をどこから得ますか?」という問いに対し、「YouTubeなどの動画サイト」と回答した学生が一番多いという結果となっています(回答人数:824名)。
※コクヨ株式会社「中高生の学びに関する実態調査レポート」を参考に作成
新入社員研修が集合研修だけで構成されている場合、企業が時代の流れを取り込めていないと捉えた方が良いでしょう。
新入社員研修の効果を最大化するためには、基本的に社内講師を活用しつつ、外部講師の優れた教材を取り入れて研修を実施することが最適です。企業文化や業務内容を深く理解している社内講師が、質の高い教材を用いてカスタマイズされた研修を行うことで、新入社員の迅速な職場適応とスキル習得が促進されます。
そのようなことを実現するために、社内講師の育成や、育成のための企業サポートが欠かせません。また、研修のみならず、時代に合わせた学習環境も整備していくことが必要です。社内講師の育成と学習環境の整備を通じて、企業全体の目標達成に貢献する有能な人材を育成することが可能となります。
▼必要に応じて研修の一部を外部講師に委託することも選択肢の1つです。外部委託に関しては下記で解説しています。併せてご覧ください。⇒新入社員研修を外部委託する際のすみ分けとは?定着に向けたポイントを解説!
▼新入社員の即戦力化については下記で詳しく解説しています。
⇒成果を出す新入社員の育て方とは?即戦力化の前提・ポイントを解説!
講師として新入社員研修をデジタル化し効果を高める
講師は新入社員研修にデジタルツールを活用することで、多くのメリットが得られます。
以下に「繰り返し学習ができる」「学習の質が向上する」「いつでもフォローができる」「生産性が向上する」というメリットを具体的に説明します。
繰り返し学習ができる(新入社員は学んでも忘れる)
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オンデマンドアクセス:デジタル教材は、オンデマンドでいつでもアクセス可能です。講師がデジタル教材を活用すると、新入社員は自分が必要だと思う時に復習を行い、重要なポイントを再確認できます。
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反復学習で記憶定着:人間は一度学んだことを忘れてしまう生き物です。新入社員がデジタル教材を活用することで、繰り返し学習が可能になり、長期的な記憶定着が促進されます。特に、動画やスライドは視覚・聴覚の両方を刺激するため、記憶されやすいです。
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個々のペースで学習:デジタル教材を使えば、新入社員が自分のペースで学習することができるため、焦らず確実に理解を深めることができます。分からない点は何度でも確認でき、全体的な学習効果が高まります。
学習の質が向上する
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マルチメディアコンテンツ:ビデオ、画像、音声などのマルチメディア教材を活用することで、視覚・聴覚を通じて多面的に情報を伝えることができます。このように多様な形式で情報を提供することで、新入社員の学習の質が向上します。
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インタラクティブな要素:新入社員研修のデジタル化により、クイズやアンケート、シミュレーションなどのインタラクティブな要素を研修プログラムに取り入れることが可能です。参加者が積極的に研修に参加することで、研修内容の理解が深まり、知識の定着がしやすくなります。
- パーソナライズ学習:学習管理システム(LMS)を活用することで、各新入社員の理解度や進捗に合わせたパーソナライズな学習が可能です。講師は各新入社員の理解度や進捗に基づき、必要なサポートを提供できます。
▼新入社員研修における動画活用については下記で解説しています。併せてご覧ください。
いつでもフォローができる
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オンラインミーティングやチャット:オンラインミーティングやチャットツールを利用することで、新入社員はいつでも質問でき、講師や他の新入社員から迅速な回答を得ることができます。
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フィードバックの容易さ:デジタルプラットフォームを活用することで、研修後にすぐフィードバックを提供することができます。また、個々の学習状況をリアルタイムで把握しやすくなります。
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リモートアクセス:場所や時間に依存せずに研修を続けることができるため、講師は出張中でもログインして受講生へのサポートを続けることができます。これにより、新入社員のスキルアップを途切れさせることなくサポートできます。
生産性が向上する
効率よく学習時間を使う:
デジタル教材で、必要な部分だけをピンポイントで学ぶことができるため、新入社員は効率よく学習時間を使うことができます。長時間の対面研修に比べて、より短い時間で同等以上の学習効果を得られます。
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コスト削減:研修のデジタル化により、教材の印刷や会場手配などのコストを削減できます。また、講師の移動時間や費用も削減できるため、経済的です。
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スケーラビリティ:研修のデジタル化により、大人数にも一度に同じ内容を提供することができ、研修のスケーラビリティが向上します。これにより、多くの新入社員を効率的にトレーニングすることが可能です。
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データ分析による改善:デジタルツールは学習データを自動で収集し分析することができます。研修でデジタルツールを活用することで、効果的な部分と改善が必要な部分を明確に把握し、次回の研修に反映することができます。
デジタル化を取り入れることで、新入社員は繰り返し学習ができ、学習の質が向上し、講師はいつでもフォローができ、生産性が向上します。
これらのメリットを最大限に生かすことで、新入社員の早期定着と即戦力化を実現することができます。
▼新入社員研修のオンライン化については下記で解説しています。
⇒新入社員研修にオンラインを活用して効果を高める秘訣!事例も紹介!
講師として新入社員研修を成功に導くポイント
講師として、新入社員研修を成功に導くためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下に「新入社員育成への情熱」「入念な準備・リハーサル」「効果的なツールの活用」というポイントを具体的に説明します。
新入社員育成への情熱
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情熱は伝播する:新入社員研修を成功させるには、何よりも「育成への情熱」が不可欠です。講師自身が新入社員の成長を心から願い、そのために努力を惜しまない姿勢が新入社員に伝われば、新入社員のモチベーションも高まります。
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個別対応への心構え:個々の新入社員はそれぞれ異なる背景やスキルセットを持っています。そのため、各自の特性やニーズに応じた指導を行うことが重要です。講師が新人一人ひとりに対して丁寧な対応をすることで、信頼関係を築くことができます。
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実体験の共有:自分のキャリアや実体験を共有することで、新入社員に現実的な視点を提供します。成功体験や失敗談を交えた話は、学びの材料として新入社員にとって非常に価値があります。
入念な準備・リハーサル
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カリキュラムの徹底準備:効果的な研修を行うためには、カリキュラムの事前準備が欠かせません。研修内容を明確にし、必要な教材や資料を用意します。用意するものとしては、スライド、ケーススタディー、ワークシート、テスト問題などがあります。
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進行シミュレーション:研修の流れを事前にシミュレーションし、タイムスケジュールの確認を行います。リハーサルを通じて、どの部分に時間をかけるべきか、どのような質問や反応が予想されるかを確認します。
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バックアッププランの準備:予期せぬトラブルが発生することを考慮し、代替プランを準備します。例えば、技術的な問題が発生した際の対応や、急な欠勤対応策などです。
効果的なツールの活用
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デジタルツールの利用:効果的な研修にはデジタルツールの活用が欠かせません。オンラインミーティングツール(ZoomやTeamsなど)、インタラクティブな研修ツール(UMUなど)、学習管理システム(LMS)の活用が効果的です。
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マルチメディア教材の活用:動画、画像、音声などのマルチメディア教材も効果的です。このような素材を利用することで、新入社員の注意を引きつけ、理解を深めることができます。
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フィードバックシステムの整備:研修中や研修後に、新入社員からフィードバックを受け取るシステムを整備します。例えば、オンラインアンケートや振り返りシートを活用して、リアルタイムでフィードバックを受け取り、改善を図ります。
新入社員研修の成功は、講師自身の情熱、徹底的な準備、そして効果的なツールの活用にかかっています。それぞれのポイントをしっかりと押さえることで、新入社員が早期に企業文化や業務に適応し、成長を遂げるための環境を整えることができます。
▼新入社員対象の財務研修の充実化を図るには経営シミュレーションの活用があります。
⇒新入社員向け財務研修には経営シミュレーションが最適!ポイントを解説!
講師としての新入社員研修の準備に必要な期間
講師として新入社員研修を効果的に実施するためには、準備から実施までのスケジューリングが非常に重要です。
組織の規模、内容、対象人数、研修内容の複雑さなどによって異なりますが、一般的なプロセスとその期間の目安を以下に示します。
事前準備段階(研修開始の1~3カ月前)
研修の目的と目標の設定
期間:約2週間
内容:研修プログラムの目的や達成目標を明確に設定します。例えば、企業文化の理解、基礎的な業務知識、スキル習得、チームビルディングなどです。
プログラムの計画と設計
期間:約3~4週間
内容:研修の内容、スケジュール、使用する教材や資料の準備を行います。外部講師の手配が必要な場合、そのスケジューリングも早期に進めるべきです。
研修の実行準備
期間:約2~3週間
内容:会場の確保、技術的な準備、必要な機材の手配、参加者リストの確定、通知の送付などを行います。この段階では細部の確認が非常に重要です。
実施段階(研修開始の1カ月前)
リハーサルと調整
期間:約2週間
内容:研修プログラムのリハーサルを行い、当日の流れを確認します。必要に応じて修正を行います。また、講師が複数名要る場合には、他の講師と再確認し、最終的なスケジュールを固めます。
最終確認
期間:1週間
内容:全ての準備が整ったことを確認し、最終的なチェックリストを作成します。必要に応じて再度参加者に通知を送付します。
研修実施段階
研修実施
期間:実際の研修期間(数日~1カ月程度)
内容:計画に基づいて研修を実施します。進行中は柔軟に対応し、参加者の反応を見ながら調整を行います。
事後評価とフォローアップ(研修実施後1カ月)
フィードバックと評価
期間:約1週間
内容:参加者からのフィードバックを収集し、研修全体の評価を行います。この期間には、アンケート調査やインタビューを実施することが多いです。
フォローアップの実施
期間:約2~3週間
内容:必要に応じてフォローアップ研修や追加資料の提供、今後の課題設定を行います。また、新入社員が実際に業務に取り組む際の支援体制を整えます。
全体的な準備期間としては、少なくとも3カ月前から計画を開始するのが一般的ですが、内容が複雑であったり、新たな試みにチャレンジしたりする場合であれば、6カ月前から準備を開始することもあります。
また、新入社員研修は3月末~4月にかけて行われることが一般的です。採用人数が多く、外部の会場を活用する際には、同じような境遇にある会社と取り合いになる可能性があります。そのような事情がある場合には、新人研修を実施している最中に、1年後の研修会場を予約することなども必要です。
まとめ
新入社員研修の講師ガイド|企画・準備から研修・事後フォローまで最新事例を交えて解説!について紹介してきました。
- 新入社員研修の講師とは
- 新入社員研修の講師に求められるスキル
- 新入社員研修の講師に向いている人
- 新入社員研修の講師がやらなければならないこと
- 新入社員研修の講師の役割分担
- 新入社員研修講師の最適な形
- 講師として新入社員研修をデジタル化し効果を高める
- 講師として新入社員研修を成功に導くポイント
- 講師としての新入社員研修の準備に必要な期間
新入社員研修の講師と一口に言っても、やらなければならないことは多岐にわたります。新入社員研修は、外部講師に委託できる部分もありますが、社内で行わなければならない分野もあります。
理想的な形は基本的には社内講師で研修を展開しながら、外部講師の持つノウハウを社内講師が習得して研修を行うことです。
そして、時代の流れに合わせて、動画などを活用し効果的な学習環境を構築していくことも重要です。
現在の新入社員はZ世代であり、学び方が変わってきています。新入社員の定着や戦力化を想定した際には、新入社員同士が学び合える環境や、いつでもどこでもキーワードで検索して学べる環境を整えることが重要です。
株式会社LDcubeでは、外部講師が活用している研修プログラムを内製し、社内トレーナーが研修実施できるようになるためのサポートや、学習プラットフォームを活用した、効果的な学習環境づくりの支援を行っています。
無料でのプログラム体験会やプラットフォームのデモセミナーなども行っています。お気軽にお声がけください。
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