
人材育成における計画の作り方とは?4つの象限など整理するポイントを解説!
企業の成長と競争力を左右する重要な要素として、「人材育成」が注目されています。しかし、効果的な人材育成を実現するためには、明確な計画と戦略が必要です。
人材育成計画とは、組織のビジョンと個人の成長を結びつけ、計画的に人材を育成するための重要なロードマップです。
ただ、多くの企業では「どのように計画を立てればいいのか」「階層別にどんな目標を設定すべきか」という悩みを抱えています。
本記事では、人材育成計画の立て方を5つのステップで解説し、階層別の具体的な目標設定例やフレームワークを紹介します。
企業の特性に合わせた計画づくりのポイントや、計画書の作成方法、活用事例まで幅広くカバーしています。人材育成担当者として「成果につながる人材育成計画」を立てるための実践的な知識を身に付けましょう。
形骸化しがちなOJTや研修を、組織の成長エンジンへと変える人材育成計画の秘訣をお伝えします。
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人材育成計画とは?企業成長に欠かせない理由
企業の競争力を左右する、重要な要素の一つが「人材育成」です。しかし、効果的な人材育成には計画的なアプローチが不可欠です。
人材育成計画とは、組織の成長を支える人材をどのように育てていくかを具体的に定めた中長期的なプランであり、企業の持続的な発展には欠かせません。
人材育成計画の定義と組織競争力への貢献
人材育成計画とは、組織が従業員の能力を開発し、スキルを向上させるための戦略的な取り組みを体系的に整理したものです。
この計画には、以下のような要素が含まれます。
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また、効果的な人材育成計画は、組織の競争力を大いに高めることができます。
以下のような点で貢献します。
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このように、人材育成計画を効果的に実施することで、組織全体の競争力が向上し、市場での優位性を保つことが可能となります。
経営戦略と人材育成計画の一貫性確保
人材育成計画は経営戦略と密接に関連しています。経営戦略によって今後の事業展開や組織の方向性が決まり、それに基づいて必要な人材像が定義されるからです。
効果的な人材育成計画を作成するためには、以下の一貫性が重要です。
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経営戦略と人材育成計画の一貫性を確保することで、「事業が求める人材」と「育成される人材」のミスマッチを防ぎ、投資効率の高い人材開発が可能になります。戦略人事の視点からも、人材育成は単なる研修ではなく、経営戦略を実現するための重要な施策なのです。
人材育成計画がPDCAサイクルを加速させる仕組み
人材育成計画は、PDCAサイクルを回していくことが重要です。計画書には育成の目標とアクションプランが含まれているため、施策の効果を検証し、ブラッシュアップしていくことがポイントです。
PDCAサイクルを人材育成に適用すると、以下のように機能します。
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人材育成計画があることで、「育成→効果測定→改善」のサイクルが明確になり、育成効果を継続的に高めることができます。
また、過去の成功事例を蓄積できるため、新たなメンバーの育成においても、ベストプラクティスを迅速に適用することが可能になるのです。
人材育成計画がなければ、人材育成がうまくいっているのか、うまくいっていないのかを確認することすらできません。
人材育成計画における4つの象限
人材育成計画は「対象範囲」と「時間軸」の2軸で整理すると、より体系的に理解できます。
これにより、育成の目的や手法を明確化し、効果的な施策を選択することが可能になります。ここでは人材育成計画を4つの象限に分けて考えてみましょう。
①全社×短期
全社×短期の象限では、組織全体に対して短期間で効果を出すための施策が該当します。例えば、法改正に伴うコンプライアンス研修や、新システム導入に伴う操作研修などが挙げられます。
この象限の特徴は以下の通りです。
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全社的かつ短期的な施策は、組織全体の底上げや共通認識の形成に効果的です。ただし、深い定着やスキル向上には限界があるため、他の象限と組み合わせて活用することが重要です。
②全社×長期
全社×長期の象限には、組織の持続可能性向上や組織文化・企業風土の形成につながる長期的な育成計画が含まれます。次世代リーダー育成や経営理念の浸透、イノベーション文化の醸成などが代表例です。
この象限の特徴として以下が挙げられます。
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長期的な全社施策は、短期的には効果が見えづらいものの、企業の持続的競争力の源泉となります。経営陣のコミットメントと、一貫したメッセージの発信が成功の鍵です。
③現場×短期
現場×短期の象限は、特定部署や職種における業務課題を解決するための施策です。営業部門の商談スキル向上や、製造部門の品質管理研修などが当てはまります。
この象限の特徴は次の通りです。
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現場の課題に直結した育成は、成果が見えやすく、参加者のモチベーションも維持しやすいというメリットがあります。また、比較的少ない投資で効果が得られるため、費用対効果も高い傾向にあります。
④現場×長期
現場×長期の象限には、特定職種の専門性や現場力を高める長期的な育成が含まれます。エンジニアの技術力向上プログラムや、管理職の育成計画などが該当します。
この象限の特徴として以下が挙げられます。
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専門性の高い人材育成には時間がかかりますが、組織の中核となる人材を育てる上で不可欠です。計画的なローテーションや難易度の設計が重要となります。
象限により計画は異なる
4つの象限それぞれで、計画の立て方や評価方法、期待される成果は異なります。自社にとって今最も重要な象限はどこかを見極め、限られたリソースを効果的に配分することが人材育成計画成功のポイントです。
また、実際の人材育成では、これらの象限を組み合わせたアプローチが効果的です。
例えば、全社的な理念教育(②象限)と現場でのOJT(③象限)を連動させることで、「理解」と「実践」の両面から育成効果を高めることができます。
各象限の特性を理解し、バランスのとれた人材育成計画を構築しましょう。
人材育成計画の立て方5ステップ
人材育成計画を効果的に立てるには、体系的なアプローチが必要です。ここでは、実践的な5つのステップを紹介します。
各段階で重要なポイントを押さえることで、実効性の高い人材育成計画を作成することができます。
ステップ1:現状把握と課題分析で実態を明確化する
人材育成計画の第一歩は、組織と人材の現状を正確に把握することです。現状分析なしに計画を立てても、的外れな施策になりかねません。
効果的な現状把握のポイントは以下の通りです。
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特に「部署のパフォーマンス低下」「従業員自身が感じているニーズ」「外部環境の変化」といった視点から課題を抽出すると、より実態に即した計画が立てられます。
また、スキル評価と業務上の課題を紐づけることで、育成の優先順位が明確になります。
ステップ2:求める人物像と具体的なスキルを定義する
現状が明らかになれば、次は「どのような人材が必要か」を定義します。このステップでは、抽象的な人物像だけでなく、具体的なスキルや行動レベルまで落とし込むことが重要です。
求める人物像を具体化するために以下の方法が効果的です。
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例えば、「DXを推進できる人材」という抽象的な表現ではなく、「データ分析ができる」「ITツールを業務に導入できる」など、具体的なスキルレベルで定義することで、育成の道筋が明確になります。
理想の人物像は、具体的に想定すればするほど実現しやすくなります。
ステップ3:大まかなスケジュールと目標を設定する
求める人材像が明確になったら、いつまでにどのレベルに到達させるかのスケジュールと目標を設定します。この段階では、現実的かつ段階的な目標設定が成功の鍵となります。
効果的な目標設定のために以下のフレームワークが役立ちます。
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特に、長期的な育成が必要な場合は、目標を小さく分割して段階的に設定することが重要です。「3カ月後にできること」「1年後にできること」「3年後にできること」のように時間軸を区切り、スモールステップで成功体験を積み重ねられるようにしましょう。
ステップ4:最適な育成手法と研修プログラムを選定する
目標とスケジュールが決まったら、それを実現するための具体的な育成手法を選びます。育成手法の選定は、対象者のレベルや特性、育成内容に応じて最適なものを選ぶことが重要です。
主な育成手法には以下のようなものがあります。
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これらの手法を組み合わせることで、より効果的な育成が可能になります。例えば、eラーニングで基礎知識を習得し、その後OJTで実践力を養うといった組み合わせです。また、自社にノウハウがない分野では、外部研修の活用も検討しましょう。
ステップ5:データを活用したPDCAサイクルを構築する
人材育成計画は作って終わりではなく、実施しながら継続的に改善していくことが重要です。そのためには、育成効果を測定できる仕組みと、PDCAサイクルの構築が不可欠です。
PDCAサイクルを効果的に回すポイントは以下の通りです。
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特に重要なのは、育成と業績や評価の相関関係を把握することです。
「この研修を受けた人の業績や評価はどう変化したか」「どの育成方法が最も効果的だったか」といったデータを蓄積し、次の計画に生かすことで、人材育成の投資対効果を高めることができます。
この5ステップを着実に実行することで、組織の課題に即した効果的な人材育成計画を立てることができます。特に、現状把握と課題分析をしっかり行い、具体的な目標設定を行うことが成功への鍵となるでしょう。
階層別の人材育成計画の目標設定例
人材育成計画は、社員の階層や役職によって設定すべき目標や育成内容が大きく異なります。それぞれの階層に適した育成目標を設定することで、効果的なキャリアパスを構築し、組織全体の成長につなげることができます。
ここでは、階層別の具体的な目標設定例を紹介します。
新入社員の早期戦力化
新入社員は社会人としての基礎を築く重要な時期です。この階層での育成目標は、基本的なビジネススキルの習得と自社への理解を深めることが中心となります。
新入社員育成の主な目標としては以下が挙げられます。
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新入社員研修では、集合研修とOJTを組み合わせた育成が効果的です。特に入社後3〜6カ月間は密度の高いフォローアップを行い、その後は徐々に自立を促す設計が望ましいでしょう。また、メンター制度を導入することで、業務上の疑問だけでなく、メンタル面のサポートも行うことができます。
中堅社員の専門性とマネジメント力向上
入社5~10年程度の中堅社員は、組織の中核として専門性を高めると同時に、後輩指導やチームマネジメントのスキルも求められる段階です。
中堅社員に求められる育成目標は以下のような内容です。
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中堅社員の育成では、一律の研修よりも、個々の強みや志向性に合わせた育成計画が効果的です。
社内公募制や挑戦的な業務アサイン、外部研修の活用などを通じて、専門性の向上とキャリア意識の醸成を図りましょう。また、育成担当としての役割を与えることで、指導スキルの向上にもつながります。
管理職のリーダーシップ開発
管理職はチームの成果に責任を持ち、メンバーの育成と組織運営を担う立場です。人材育成にとどまらず、経営的な視点も求められるようになります。
管理職に求められる育成目標として、以下が重要です。
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管理職育成では、実践的なケーススタディーやアクションラーニングが効果的です。また、他部門との交流機会を設けることで、組織全体を見る視点を養うことができます。外部のビジネススクールや経営塾の活用も、視野拡大に役立つでしょう。
経営層のサクセッションプラン
経営層やその候補者には、組織全体を牽引するリーダーシップと戦略構築能力が求められます。ここでは、将来の経営を担う人材を計画的に育成する、サクセッションプランが重要になります。
経営層育成の主な目標は以下の通りです。
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経営層の育成では、計画的な配置と経験の蓄積が重要です。
事業責任者や海外拠点責任者などの経験を通じて、実践的な経営力を養うとともに、取締役会への陪席や経営会議での発表機会を設けるなど、経営参画の機会を段階的に増やしていくことが効果的です。
階層別の育成計画を設計する際は、各階層に求められるスキルセットを明確にし、前後の階層との接続性も考慮することが重要です。
また、一般的なキャリアパスだけでなく、専門職コースやプロジェクトリーダーコースなど、複線型のキャリアパスを用意することで、多様な人材の成長を支援することができます。
これからの人材育成計画の運用に不可欠な要素
デジタル化が進む現代の企業環境において、人材育成計画もまた進化が求められています。従来の研修中心の育成から、データを活用した科学的アプローチへと移行することで、より効果的な人材育成が可能になります。
ここでは、これからの人材育成計画に不可欠な4つの要素について解説します。
学習行動のデータ取得
効果的な人材育成計画の運用において、まず重要なのは学習行動のデータ取得です。「何を」「どれだけ」「どのように」学んでいるかを定量的に把握することで、育成効果の測定や改善が可能になります。
データ取得の主な対象としては以下が挙げられます。
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特にeラーニングシステム(LMS)を導入し、学習のデジタル化を図ることで、あらゆる学習行動の学習履歴の自動取得や、データの一元管理が容易になります。
また、実務での行動データを収集するためには、1on1面談での定期的な振り返りや、業務システムとの連携も検討すべきでしょう
データ取得の際は、プライバシーへの配慮と、収集目的の透明性確保が重要です。
学習行動のデータ活用
取得したデータは、単に記録するだけでなく、積極的に活用することが重要です。データ活用により、個人に最適化された育成計画の立案や、組織全体の育成方針の改善が可能になります。
データ活用の主な方法としては以下が挙げられます。
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例えば、「特定の研修を受けた社員の業績向上率」や「学習頻度と定着率の相関」など、データを多角的に分析することで、人材育成の効果を可視化できます。
また、機械学習などのAI技術を活用することで、個々の社員に最適な学習コンテンツをレコメンドするシステムも実現可能です。
データを用いたPDCAサイクル
人材育成計画の継続的な改善には、データに基づくPDCAサイクルの確立が不可欠です。データドリブンなPDCAサイクルにより、感覚や経験則ではなく、客観的な事実に基づいた意思決定が可能になります。
データドリブンなPDCAの実践ポイントは以下の通りです。
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例えば、「新入社員のスキル習得に平均6カ月かかっている」というデータが得られた場合、「4カ月に短縮する」という具体的な目標を設定し、育成方法を改善します。そして結果を測定し、次の施策に生かすという循環を作ることで、継続的な改善が可能になります。
データ活用においては、短期的な成果だけでなく、中長期的な効果も視野に入れた分析が重要です。
運用する社内トレーナー
データ活用が重要になる一方で、人材育成の本質は「人が人を育てる」という点にあります。データを適切に解釈し、効果的な育成計画を実行するためには、質の高い社内トレーナーの存在が不可欠です。
社内トレーナーに求められる役割と資質は以下の通りです。
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社内トレーナーの育成には、専門的な研修プログラムの提供や、外部認定資格の取得支援が効果的です。
また、トレーナー同士の情報共有コミュニティーを作ることで、ノウハウの蓄積と標準化を図ることができます。優秀なトレーナーを組織内に確保することで、外部コンサルタントや研修ベンダーへの依存度を下げ、自社特有の課題に対応した育成が可能になります。
これら4つの要素を統合することで、データに基づいた科学的な人材育成と、人間的な成長支援を両立させた次世代型の人材育成計画が実現します。
特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現代においては、人材育成自体もデジタル技術を活用してアップデートしていくことが、組織の持続的な競争力につながるのです。
人材育成計画書の作成
人材育成計画は、具体的な「計画書」として形にすることで、初めて組織内で共有され、実行に移すことができます。効果的な人材育成計画書は、関係者全員にとって理解しやすく、進捗管理がしやすいものであることが重要です。
ここでは、計画書に必要な要素と作成のポイント、そして活用方法について解説します。
効果的な計画書の必須要素と作成例
人材育成計画書には、育成の目的から具体的なアクションプラン、評価方法まで、一連のプロセスが含まれている必要があります。効果的な計画書を作成するには、以下の要素を盛り込むことが重要です。
計画書に含めるべき必須要素は以下の通りです。
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計画書の作成では、特に「到達目標」と「評価方法」を具体的に設定することがポイントです。例えば、「コミュニケーション能力の向上」という曖昧な目標ではなく、「顧客との初回面談で70%以上の確率で次回アポイントを取得できる」など、測定可能な形で設定します。
また、複数年にわたる長期計画の場合は、年度ごとのマイルストーンを設定し、進捗管理を容易にすることも重要です。
テンプレートやサンプル事例の活用ポイント
人材育成計画書の作成には、既存のテンプレートやサンプル事例を活用することで、効率的に質の高い計画書を作成することができます。
厚生労働省が提供する「職業能力評価基準」や「キャリアマップ・職業能力評価シート」なども、業種別・職種別の標準的なスキル定義として参考になります。
人材育成計画書は単なる書類ではなく、「育成を成功させるためのツール」です。そのため、以下のような活用方法を意識して作成することが重要です。
計画書の効果的な活用方法として以下が挙げられます。
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特に、計画書は「作って終わり」にせず、定期的に参照し、更新していくことが重要です。半期に1度など、定期的な見直しの機会を設け、目標の達成状況や環境変化に応じて柔軟に修正していくことで、より効果的な人材育成が実現します。
また、複数年にわたる長期的な育成計画の場合は、マスタープランと年次計画を分けて作成することも効果的です。マスタープランで長期的な方向性と大きな目標を示し、年次計画で具体的な施策とマイルストーンを設定することで、長期的な一貫性と短期的な実行力を両立させることができます。
人材育成計画書の作成と運用を通じて、組織内の育成ノウハウを蓄積し、次世代の育成に生かしていくことが、持続的な組織成長の源泉となるのです。
人材育成を計画的に展開している事例紹介
ここでは人材育成について計画的に展開している事例を紹介します。
社内トレーナーで機動力高く研修を実施し効果を上げている事例
背景・課題:
リコージャパン株式会社では、2010年の販売会社統合以降、各支社の固有の課題に対応できず、教育施策が本部主導で一方的になるなどの課題がありました。
また、コロナ禍以降、会食などの機会が減ったことにより、コミュニケーションの希薄化を招いていました。これらの課題を解決するために、社員自らが強みや弱みを理解し合い、横のつながりを強化する取り組みが求められていました。
LIFOプログラム(社内トレーナーライセンス)の導入:
その中で、LIFO(Life Orientations)を導入しました。LIFOの活用を通じて、社員一人一人の個性を診断し、自己理解と他者理解を促進しました。
これにより、非公式なコミュニケーションが減少する中でも、社員同士の相互理解を深めるための新たな手段を提供することができるようになりました。
また、LIFOプログラムライセンスを取得することで、社内トレーナーが自主的に研修を行えるようになり、組織風土改革を進めました。
LDcubeとの協力により、多様なワークショップを展開し、各支社・部門が抱える具体的な課題に対応できるようになりました。
社内展開:
プログラムの展開においては、事前のLIFO診断、ワークショップの実施、職場での実践、効果検証のサイクルを組み込みました。
参加者は、研修後の職場実践を通じて得られたスキルを評価し合い、PDCAサイクルを回すことで、持続的なスキルアップを図っています。
ラーニングプラットフォーム「UMU」を活用し、受講者同士が学び合う環境も整備しました。
社内トレーナーによる研修実施後の反応:
導入後、プログラム受講者の満足度は高く、多くの支社で「対人関係」や「マネジメント能力」などにおいて数値的な改善が見られました。
LIFOを活用したレクチャーは「人」の問題の解決に寄与し、特にアウトプット重視の体験学習が効果的でした。
UMUの活用と一連の学習サイクルの設計により、事務局の負担軽減と学習効果の向上が実現しました。
今後に向けて:
今後は、各支社や部門の課題に寄り添い、人材育成を継続的にサポートすることで、社員個々の自己成長と組織全体の活性化をさらに推進する予定です。
また、LIFO以外のライセンスプログラムも組み合わせ、人材育成のプログラムラインナップを増やしていきます。
これにより、組織内のさまざまな課題を解決し、全体の一体感をさらに高められることを期待しています。
▼本事例はインタビュー記事の一部です。インタビュー記事全文はこちらからご覧ください。
⇒リコージャパン株式会社様 ライセンスプログラム導入事例
パーソナライズ学習でeラーニング受講率100%を達成した事例
支援事例:専門商社(400名)
【これまでの課題】
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【受講率100%を実現】
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今回のポイント
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お客さまの声
- 社内ではeラーニングを導入しても、結局やってくれないのではないかという声が出ていました。なぜなら、eラーニングを「必修」にしないと学習者が積極的に取り組まないといったことがあったからです。同じことを繰り返していても効果は上がらないと思っていましたが、パーソナライズ学習を取り入れたところ、受講率が100%になったので正直驚きました。
- また、これまではコンテンツ数にも限りがあり、自社のオリジナルコンテンツの搭載ができなかったのですが、自社オリジナルコンテンツの搭載もできるようになったことで、学習してもらう幅が広がりました。
- また、診断結果のレポートには、自身の強みや課題の啓発だけではなく、職場メンバーとの関係性の中で起こりうることや周囲が必要なことについてもアドバイスがあり、そのレポートを基に、他メンバーと対話することで、職場の中でのコミュニケーションが取りやすくなり、仕事がスムーズに進むようになりました。
AIを活用して3倍の成果を上げた事例
社員数: 8,000名以上
事業:生命保険販売、資産運用
①営業研修内容見直しの成果
~入社3カ月後の売上実績が従来の研修受講者と比較して3倍に~
アウトプット中心の学習で実践力を身に付けた上、研修中に学んだことを、動画でいつでもどこでも復習・確認ができる環境を作ることで、学習内容を実践につなげることができるようになりました。
その結果、 Teamsをつないでの従来の研修スタイルで学習した受講生集団と比較 しましたが、営業研修内容をバージョンアップした研修を受けた集団は、従来の研修を受講した集団と比較し、入社3カ月後の売上実績が3倍という飛躍的な成果を出しました。
~トレーナースキルに依存せず、均一なレベルの初期教育が可能に~
ライブでの講義ではなく、動画を活用した研修運営をすることで、高品質な研修情報を余すことなく再現することが可能となりました。
~トレーナーリソースの効果的活用~
従来は、毎月入社するキャリア採用社員の導入研修を毎月実施するため、トレーナーの方々はかなりのリソースを割かなければなりませんでした。
しかし、マイクロラーニングの導入により初期教育を効率化することで、そのリソースを営業管理職教育に充てることができるようになりました。それにより、現場の指導力強化につなげることができ、学習の好循環を生んでいます。
②取り組みの詳細
~職種別オンボーディングプログラムを展開~
キャリア入社後1カ月間の導入研修をマイクロラーニングを活用した研修にバージョンアップしました。
事前学習、研修当日、事後学習全ての場面においてマイクロラーニングで知識のインプットを行い、研修当日は確認テストの解説や、受講生同士のディスカッション、質疑応答に比重を置くことなどで、カスタマイズ性の高い学習の提供を実現しています。
マイクロラーニングはそれまで社内で活用されていた動画をベースに、新たなコンテンツも社内トレーナーの方が中心となって作成しました。
研修中は特に「学んだことが現場でも生かせそうだ、使えそうだ」と思ってもらうための支援や関わりを重視することで受講生のエンゲージメント向上にもつなげています。
これまでのインプットは社内トレーナーの方がレクチャーしてインプットしていましたが、リニューアルしてからはレクチャーは全て動画に代替しました。
~アウトプットを意識した学習デザイン~
インプットして終わりにならないように、動画を活用し、受講者が研修で学んだことを生かしながら1人でも何度もAIを相手にセールストークを練習し、動画で提出するという環境を提供されています。
動画を見た研修トレーナーから、直属の上司・先輩から、他部署の上司・先輩から、そして同期からフィードバックを受けることができ、学習の深化につなげています。
また、動画を閲覧した上で学んだことや仕事に生かせそうなことを共有することで、自分の考えを整理しながら、他の受講生の意見に触れながら新たな学びを得るという、学習の相乗効果を生んでいます。
③導入前の課題
~研修がイベント化してしまっている~
集合研修で社員にいくら良い内容を提供しても 、現場に戻った後は目の前の仕事をこなすことに集中してしまい、学んだことがその場限りとなってしまうことが多く見受けられました。
集まった場だけではなく、事前と事後の学習活動を充実化させ、学習を続けながら学んだことを仕事に生かすことができる環境を作るため、 マイクロラーニング・コホート型学習を導入しました。
~個人の経験がポケットノウハウになってしまっている~
現場で得られた成功事例や失敗事例が個人のものにしかなっておらず、ポケットノウハウ化してしまっていることに課題を感じていました。
個人の学びを暗黙知から形式知に変えていくことで、受講生同士の学びを促進しながら、組織全体のナレッジとして好循環を生み出していきたいという思いがありました。
まとめ:人材育成計画で組織の競争力を確実に高める
人材育成における計画の作り方とは?4つの象限など整理するポイントを解説!について紹介してきました。
- 人材育成計画とは?企業成長に欠かせない理由
- 人材育成計画4つの象限
- 人材育成計画の立て方5ステップ
- 階層別の人材育成計画の目標設定例
- これからの人材育成計画の運用に不可欠な要素
- 人材育成計画書の作成
- 人材育成を計画的に展開している事例紹介
人材育成計画は、組織の持続的な成長と競争力強化のための戦略的な投資計画といえます。本記事で解説したように、効果的な人材育成計画は経営戦略と連動し、PDCAサイクルを通じて継続的に改善されるものです。
人材育成計画の成功には、現状分析から始まり、明確な目標設定、適切な育成手法の選定、そして効果測定と改善のサイクルが不可欠です。また、階層別の育成目標を設定し、新入社員から経営層まで一貫した育成体系を構築することで、組織全体の底上げが実現します。
これからの人材育成には、データの取得と活用が重要な要素となります。学習行動のデータを収集・分析し、科学的アプローチで育成効果を高めていくことが、競争優位性につながるでしょう。同時に、社内トレーナーのような人的要素も忘れてはなりません。
組織の成長フェーズや課題に合わせて4つの象限から最適な育成アプローチを選択し、計画書という形で可視化・共有することで、人材育成は単なる教育活動から、経営戦略を実現するための重要な施策へと進化します。
人材は企業の最も重要な資産です。計画的かつ戦略的な人材育成に投資することで、変化の激しい時代においても持続的に成長できる強靭な組織を築いていきましょう。
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これからの時代に必要な学習行動のデータ取得と活用など、多くの組織からいただいた課題の解決を中心にサービスを提供しております。
予算は抑えながら効果を高めたいという想いをお持ちの人事の方々に貢献できると考えています。
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