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1on1ミーティングの進め方とは?効果的な方法を一覧で解説!

1on1ミーティングは、部下の成長を支え、信頼関係を築くために欠かせない対話の場です。しかし、「どのように進めれば効果的なのか」「本音を引き出すためにはどうすればいいのか」という疑問を抱えるマネジャーやリーダーも多いのではないでしょうか。

そんな皆さんのために、1on1ミーティングの最適な進め方を詳しく解説します。

結論から言いますと、1on1ミーティングは「部下に合わせて」実施することが重要です。以下では、その際に押さえるべきポイントを観点別に一覧でまとめて紹介します。

観点

区分

進め方のポイント

進行フロー別

事前準備

相手の状況を把握し、仮説テーマと質問案を用意する。過去のメモや進捗を確認し、今回のゴール(例:課題把握/支援決定)を明確にしておく。

導入

軽い近況から入り、話しやすい雰囲気をつくる。短いアイスブレイクで表情や声のトーンを観察し、その日のコンディションを把握する。

本題

課題・背景・感情・学びを丁寧に深掘りする。マネジャーの仮説を提示して確認しつつ、本人の視点を引き出す問いを投げる。

振り返り・次アクション

本日の気付きと、次回までの行動を明確にする。期限と測定方法を決め、マネジャーのフォロー方法も約束しておく。

成長段階別

新人・若手

安心感を醸成し、振り返り中心で話を整理する。具体的な手順や成功基準を示して小さな達成経験を積ませる。

中堅社員

強みを引き出し、自走につながる伴走型で支援する。課題解決の選択肢を一緒に検討し、裁量と責任を段階的に増やす。

ハイパフォーマー

やりがいにつながる課題を設定し、挑戦機会を広げる。結果だけでなく学びや次の挑戦につながるフィードバックを重点的に行う。

コンディション別

モチベーション高

チャレンジテーマを設定し、自発性を伸ばす。高い意欲を短期目標に落とし込み、早期フィードバックで勢いを維持する。

メンタル低下

共感と傾聴を優先し、負荷を整理する。必要なら業務調整や休息の提案を行い、心理的安全の回復を支援する。

忙しい・余裕なし

要点のみを短く確認し、優先度調整を行う。フォローは短期チェックに絞り、成果に直結する支援に注力する。

目的別

関係構築

対話比率を上げ、相互理解を深める。私的な話題も適度に取り入れ信頼感を積むことで、後の本音が出やすくなる。

成長支援

事実・学び・行動のサイクルで成長を後押しする。学習機会や小さな実験を提示して、振り返りを必ずセットにする。

目標管理

進捗・課題・次アクションをセットで確認する。定期的にKPIや優先度を見直し、障害を早めに除去する役割を果たす。

キャリア支援

将来像や希望を言語化し、選択肢の幅を広げる。社内外の機会や必要スキルを具体的に提示し、中長期の育成計画を一緒に描く。

これらの観点で、部下一人一人に合わせて最適な進め方を検討し、本番に臨むことが重要です。

また、1on1が形骸化しないためのポイントやよくある失敗例にも触れ、ミーティングの質を向上させるためのヒントを提供します。

管理職・マネジャー・上司として1on1ミーティングを実施する方はもちろん、組織の1on1ミーティングを効果的なものにしたいとお考えの人材育成ご担当者の方も、ぜひ最後までご覧ください。

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▼1on1や部下についてはテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。

▼コミュニケーションについてはテーマに合わせて下記で解説しています。 

目次[非表示]

  1. 1.1on1ミーティングは部下に合わせて進めよう!
  2. 2.1on1ミーティングの目的と基本的な進め方
    1. 2.1.1on1ミーティングの目的
    2. 2.2.1on1ミーティングの基本的な進め方
  3. 3.1on1ミーティングの進め方一覧表
  4. 4.1on1の進め方|進行フロー別
    1. 4.1.事前準備:相手理解と仮説づくり
    2. 4.2.導入:対話モードに切り替える進め方
    3. 4.3.本題:課題・感情・学びを整理する進め方
    4. 4.4.振り返り・アクション設定:次回につながる進め方
  5. 5.1on1の進め方|成長段階別
    1. 5.1.新人・若手:「安心づくり」と振り返り中心
    2. 5.2.中堅社員:「強み発揮」を促す伴走型
    3. 5.3.ハイパフォーマー:「挑戦課題」で成長を引き出す
  6. 6.1on1の進め方|コンディション別
    1. 6.1.モチベーションが高いとき
    2. 6.2.メンタルが落ちているとき
    3. 6.3.忙しい・余裕がないとき
  7. 7.1on1の進め方|目的別
    1. 7.1.関係構築
    2. 7.2.成長支援
    3. 7.3.目標管理
    4. 7.4.キャリア支援
  8. 8.1on1ミーティングで失敗しやすい進め方
    1. 8.1.雑談だけで終わる「目的不在の1on1」
    2. 8.2.部下まかせにしすぎる「投げっぱなしの1on1」
    3. 8.3.形だけ実施する「早く終わらせたい1on1」
    4. 8.4.全員に同じやり方で進める「画一的な1on1」
  9. 9.1on1ミーティングにはLIFOを活用しよう 
  10. 10.部下との1on1ミーティングにLIFOを活用した支援事例
  11. 11.まとめ|1on1は一人一人に合わせた進め方で実施しよう

1on1ミーティングは部下に合わせて進めよう!

1on1ミーティングは部下に合わせて進めよう! 

1on1ミーティングを成功させるためには、マネジャーが自身の固定観念にとらわれることなく、部下の価値観や行動スタイルに合わせたアプローチを採用することが重要です。このミーティングの主な目的は、部下が安心して本音を語り、自分の成長や課題を整理するための時間を提供することです。人それぞれ、話しやすいテーマや深掘りをしても安全だと感じるポイント、思考プロセスなどは異なります。

例えば、論理的な思考を持つ部下には、事実を整理する質問や、構造化のサポートが効果的です。一方で、感情を重視する部下には、気持ちの変化や価値観に寄り添った質問が本音を引き出しやすくなります。また、自分で進んで取り組める部下には、選択肢や新しい視点を提供するだけで十分ですが、判断に迷いやすい部下には、目標の具体化や行動ステップを一緒に考える必要があります。

もし毎回同じ質問をしたり、一律のテンションで進めたりすると、部下は「話しにくい」「伝わらない」と感じ、1on1が形骸化する危険があります。逆に、部下の特性を理解し適切に問いかけることで、「この上司は自分のことを分かってくれている」という安心感が生まれ、対話の深度が増します。

具体的な質問例としては、価値観が明確な部下には「あなたが大切にしていることは何ですか?」、慎重な部下には「無理のない範囲で、どんな一歩が踏み出せそうですか?」、挑戦意欲が強い部下には「次に取り組みたい課題について考えましょう」といった具合に質問を調整することが必要です。

これは単に相手に迎合するということではありません。部下が最も話しやすく、成長につながる入り口を見つけることが、マネジャーの重要な役割です。このように特性に応じた対話の設計を行うことで、同じ30分でも得られる洞察の質は大きく変わります。

また、「相手に合わせる」という点では、価値観や特性のみならず、1on1ミーティングの進行状況や、部下の成長段階、コンディション、相手との関係性、などを考慮することも重要です。これらの状況に合わせて、適切な「進め方」を選択することが、効果的な1on1ミーティングの実施につながります。
 

1on1ミーティングの目的と基本的な進め方

1on1ミーティングの目的と基本的な進め方 

1on1ミーティングは、その目的を正しく理解した上で実施することにより、真の効果を発揮します。その上で、基本的な進め方を理解しておくことが、部下に合わせた「効果的な進め方」につながります。ここでは、目的と基本的な進め方の理解を深めていきましょう。
 

1on1ミーティングの目的

1on1ミーティングの主な目的は、部下の成長を促すこととコミュニケーションを活性化することの2点に集約されます。

まず、部下の成長を促すためには、具体的なフィードバックを提供し、改善点や次のアクションを明確に示すことが大切です。部下自身が目標を設定できるようサポートし、定期的に進捗を確認することで、目標達成に向けた具体的な改善策を一緒に考えることができます。

また、キャリア開発の機会について話し合うことで、部下に将来のビジョンを持たせることも、成長を後押しする大切な要素です。こうしたプロセスを通じて、部下は自分の強みや課題に気付き、着実に成長していきます。

一方、1on1はコミュニケーションの活性化にも有効です。部下が自由に意見を言えるオープンな対話の場を設け、信頼関係を築くことで、安心して話せる環境が生まれます。

また、重要な情報を共有し、双方で認識を合わせることで、チーム全体の連携や意思疎通もスムーズになります。心理的安全性を保ちつつ、部下が本音を話せる場をつくることが、1on1の成功に直結します。

このように、1on1ミーティングは部下の成長支援と組織の円滑なコミュニケーションを両立させるための重要なマネジメント手法です。

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1on1ミーティングの基本的な進め方

1on1ミーティングの基本的な進め方は、事前準備⇒導入⇒本題⇒振り返り・アクション設定、という流れが一般的かつ効果的です。

なぜなら、この流れに沿って1on1ミーティングを進めることで、一人一人の部下に合わせた準備をし、心理的安全性を担保する場をつくり、信頼関係を構築しながら部下の成長を支援し、その後の実行フォロー・改善につなげることができるからです。

基本的な進め方について、以下よりフローをさらに細分化し、ポイントとあわせて示します。

進行フェーズ

具体的な進め方

進め方のポイント

事前準備

目的設定

今日の1on1の目的を自分なりに1つ決めて臨む。メンバーの状況から仮説を立てておくことで、場の質が上がる。

テーマ整理

想定される話題(業務・成長・関係性など)を3つほど準備しておく。話が脱線しても戻しやすくなる。

資料・データの確認

評価メモ・タスク状況・前回アクションなどを見返す。メンバーの手間を減らし、話が深まりやすくなる。

導入

アイスブレイク

短時間でOKだが、「最近どう?」といった会話で場を温める。安心感があると本題に入りやすい。

目的共有

「今日はこういうテーマで話したい」など意図を明示する。何について話す会なのかが明確になり、話が散らからない。

傾聴

オープンクエスチョン

「どう思う?」「なぜそう感じた?」など、自発的に語れる質問を中心に。深堀りしすぎず、テンポを大切にする。

共感・受容

相手の言葉を否定せず「なるほど」「そう感じたんだね」と受け止める。心理的安全性を保ちながら本音を引き出す。

整理・深掘り

要因整理

話された内容を一度マネジャー側で整理し、「原因」「背景」「本人の意向」を一緒に構造化する。問題の輪郭がクリアになる。

選択肢出し

複数の方向性を示しながら、本人に選んでもらう姿勢をとる。押し付けにならず主体性が高まる。

アクション設計

次の一歩の設定

「じゃあまずこの1週間で何をする?」と、すぐ実践できる内容まで落とす。小さな成功体験を積ませる。

役割分担の明確化

メンバーとマネジャーの両方が何をするのかを整理し、責任の所在を曖昧にしない。フォローもしやすくなる。

クロージング

まとめ

今日の話を30秒でまとめることで、双方の認識のズレをなくす。次回につながる流れがつくりやすい。

次回約束

次回のテーマやチェックポイントを決めておく。継続性が生まれ、1on1が点ではなく線で機能する。

以上は後ほど詳細を記述する「進行フロー別」の進め方です。

この他にも、部下の成長段階やコンディション、その時々の目的に合わせて、柔軟に進め方をパーソナライズすることが重要です。
 

1on1ミーティングの進め方一覧表

<進行フロー別> ・事前準備 相手の状況を把握し、仮説テーマと質問案を用意する。過去のメモや進捗を確認し、今回のゴール(例:課題把握/支援決定)を明確にしておく。 ・導入 軽い近況から入り、話しやすい雰囲気をつくる。短いアイスブレイクで表情や声のトーンを観察し、その日のコンディションを把握する。 ・本題 課題・背景・感情・学びを丁寧に深掘りする。マネジャーの仮説を提示して確認しつつ、本人の視点を引き出す問いを投げる。 ・振り返り・次アクション 本日の気付きと、次回までの行動を明確にする。期限と測定方法を決め、マネジャーのフォロー方法も約束しておく。  <成長段階別> ・新人・若手 安心感を醸成し、振り返り中心で話を整理する。具体的な手順や成功基準を示して小さな達成経験を積ませる。 ・中堅社員 強みを引き出し、自走につながる伴走型で支援する。課題解決の選択肢を一緒に検討し、裁量と責任を段階的に増やす。 ・ハイパフォーマー やりがい課題を設定し、挑戦機会を広げる。結果だけでなく学びや次の挑戦につながるフィードバックを重点的に行う。  <コンディション別> ・モチベーション高 チャレンジテーマを設定し、自発性を伸ばす。高い意欲を短期目標に落とし込み、早期フィードバックで勢いを維持する。 ・メンタル低下 共感と傾聴を優先し、負荷を整理する。必要なら業務調整や休息の提案を行い、心理的安全の回復を支援する。 ・忙しい・余裕なし 要点のみを短く確認し、優先度調整を行う。フォローは短期チェックに絞り、成果に直結する支援に注力する。  <目的別> ・関係構築 対話比率を上げ、相互理解を深める。私的な話題も適度に取り入れ信頼感を積むことで、後の本音が出やすくなる。 ・成長支援 事実・学び・行動のサイクルで成長を後押しする。学習機会や小さな実験を提示して、振り返りを必ずセットにする。 ・目標管理 進捗・課題・次アクションをセットで確認する。定期的にKPIや優先度を見直し、障害を早めに除去する役割を果たす。 ・キャリア支援 将来像や希望を言語化し、選択肢の幅を広げる。社内外の機会や必要スキルを具体的に提示し、中長期の育成計画を一緒に描く。 

1on1ミーティングの進め方は、前述した「進行フロー別」以外にも、いくつかの観点を押さえることが重要です。具体的には、「成長段階別」「コンディション別」「目的別」です。

以下は、ポイントを整理した一覧表としてまとめています。

観点

区分

進め方のポイント

進行フロー別

事前準備

相手の状況を把握し、仮説テーマと質問案を用意する。過去のメモや進捗を確認し、今回のゴール(例:課題把握/支援決定)を明確にしておく。

導入

軽い近況から入り、話しやすい雰囲気をつくる。短いアイスブレイクで表情や声のトーンを観察し、その日のコンディションを把握する。

本題

課題・背景・感情・学びを丁寧に深掘りする。マネジャーの仮説を提示して確認しつつ、本人の視点を引き出す問いを投げる。

振り返り・次アクション

本日の気付きと、次回までの行動を明確にする。期限と測定方法を決め、マネジャーのフォロー方法も約束しておく。

成長段階別

新人・若手

安心感を醸成し、振り返り中心で話を整理する。具体的な手順や成功基準を示して小さな達成経験を積ませる。

中堅社員

強みを引き出し、自走につながる伴走型で支援する。課題解決の選択肢を一緒に検討し、裁量と責任を段階的に増やす。

ハイパフォーマー

やりがいにつながる課題を設定し、挑戦機会を広げる。結果だけでなく学びや次の挑戦につながるフィードバックを重点的に行う。

コンディション別

モチベーション高

チャレンジテーマを設定し、自発性を伸ばす。高い意欲を短期目標に落とし込み、早期フィードバックで勢いを維持する。

メンタル低下

共感と傾聴を優先し、負荷を整理する。必要なら業務調整や休息の提案を行い、心理的安全の回復を支援する。

忙しい・余裕なし

要点のみを短く確認し、優先度調整を行う。フォローは短期チェックに絞り、成果に直結する支援に注力する。

目的別

関係構築

対話比率を上げ、相互理解を深める。私的な話題も適度に取り入れ信頼感を積むことで、後の本音が出やすくなる。

成長支援

事実・学び・行動のサイクルで成長を後押しする。学習機会や小さな実験を提示して、振り返りを必ずセットにする。

目標管理

進捗・課題・次アクションをセットで確認する。定期的にKPIや優先度を見直し、障害を早めに除去する役割を果たす。

キャリア支援

将来像や希望を言語化し、選択肢の幅を広げる。社内外の機会や必要スキルを具体的に提示し、中長期の育成計画を一緒に描く。

1on1ミーティングを成功させるためには、進行フロー、部下の成長段階、コンディション、そして目的に応じた柔軟なアプローチが求められます。まず、基本となる進行フローを整え、事前準備として部下の現状をしっかりと把握し、ミーティングの具体的な内容を練っておくことが重要です。

導入では、リラックスした状態で本題に入れるような雰囲気づくりを重視し、部下が自らの課題や感情を語れる環境を整えます。対話を通じて部下の思考を深め、自主的に次のステップを考えられるよう促します。

部下の成長段階に応じた対応も重要です。新人や若手には安心感を与え、小さな成功体験を共有することで基礎を固め、中堅社員には既存の強みを生かした伴走型のサポートを提供します。ハイパフォーマーには、さらに成長できるような挑戦課題を提示し、彼らのキャリア進展を積極的に支援します。

また、部下のコンディションに応じてアプローチを変えることも効果的です。モチベーションが高いときは挑戦的な課題を与え、意欲を引き出します。メンタルが落ちているときには、耳を傾け、安心感を与えつつ、小さな目標設定によって達成感を得られるよう支援します。忙しい時期には、短時間で効率的に話を進め、優先課題を明確にする会話を重ねます。

最後に、1on1の目的を明確にすることも欠かせません。信頼関係の構築、成長支援、目標管理、キャリア支援はいずれの場合も、目的に合わせたアプローチでミーティングを進めることで、部下の成長と組織全体のパフォーマンス向上につながる効果を生み出します。これらの要素を踏まえた上で、1on1ミーティングをより効果的に活用していきましょう。

次章では、それぞれの観点について詳しく見ていきましょう。
 

1on1の進め方|進行フロー別

1on1の進め方|進行フロー別 

1on1ミーティングを成功させるためには、段階的な進行フローをしっかりと理解し、各ステップでの適切な対応が必要です。

流れに沿って準備から振り返りまでを徹底することで、部下の成長を促進し、信頼関係をより深めることができます。ここでは、具体的な進行フローを通じて、効果的な1on1ミーティングの進め方を探っていきます。
 

事前準備:相手理解と仮説づくり

1on1の事前準備は、ミーティングの質を左右する重要な要素です。単に形式的なミーティングに終わらせず、効果的な対話を実現するためには、事前に部下の現在の状況や業務成果、心理状態を細かく分析することが大切です。

このために、過去の1on1記録だけでなく、最近のプロジェクトの成果や部下のフィードバック、評価レポートなどを活用し、準備を怠らないようにします。

さらに、部下が抱えているかもしれない課題や成長ポイントに対して仮説を立て、どのような質問をするべきかを考えておくことで、ミーティングはより目的に沿ったものとなります。
 

導入:対話モードに切り替える進め方

ミーティングの導入では、部下が自由に意見を述べやすい環境をつくることが不可欠です。緊張を和らげるために、最初は軽い雑談や最近の成功についての話題から始めることが効果的です。これにより、部下は感情的にオープンになり、その後の対話がスムーズに進みます。

特に、上司としては部下の話を聞く姿勢を示し、すぐに本題に入るのではなく、自然な流れで部下の第一声を引き出すことを心掛けます。緊張がほぐれることで、部下はより率直に意見や考えを述べることができるようになります。
 

本題:課題・感情・学びを整理する進め方

本題に入ったら、部下が直面している具体的な課題、感情、そして学びを中心に議論を展開します。この段階では、部下に対して開かれた質問を用いることで、彼らの考えや感じていることを率直に引き出し、自己内省を促します。

「最近直面した大きな挑戦は何かありましたか?」「どのように対処しましたか?」といった質問が効果的です。問題や成功体験に対して共感を示し、部下が自ら解決策を見つけられるようサポートすることで、彼らの成長を手助けします。

そして、この過程で得られた知見をチーム全体の改善へと結びつける視点を持つことも重要です。
 

振り返り・アクション設定:次回につながる進め方

ミーティングの締めくくりでは、これまでの議論を振り返り、部下と共に具体的なアクションプランを確立します。ここでは、部下が自主的に目標を設定する手助けをしつつも、その進捗確認の方法を具体的に決定します。

例えば、「次回までに達成したいことは何ですか?」といった具体的な質問で部下の意識をアクションへと向けます。この段階での明確な目標設定は、次回の1on1までに部下が何に取り組むべきかを明確にし、継続的な成長のサイクルを確立することを目的としています。
 

1on1の進め方|成長段階別

1on1の進め方|成長段階別 

1on1ミーティングは、部下の成長段階に応じたアプローチをとることで、より適切なサポートとモチベーションを提供することができます。それぞれの段階における特性を理解し、最適な進め方を採用することが鍵です。
 

新人・若手:「安心づくり」と振り返り中心

新人や若手社員との1on1では、「安心づくり」と振り返りに焦点を当てることが重要です。彼らが新しい環境や業務に適応する上で、心理的安全性を確保することが初期段階では欠かせません。

ミーティングでは、これまでの業務の中での成功体験や小さな達成を振り返り、自信を持たせることに注力します。また、日々の業務で感じた疑問点や困難を気軽に共有できる場を提供することで、直面する課題を共に乗り越える姿勢を示すことが大切です。

この段階では、業務に慣れるための基礎的なスキル習得を促しながら、常に彼らの不安を軽減するよう意識しましょう。
 

中堅社員:「強み発揮」を促す伴走型

中堅社員との1on1では、すでに身に付けたスキルや現場での経験を生かし、「強み発揮」を促す伴走型のアプローチが適しています。

彼らは、多くの場合、現場での具体的な問題解決に直面していますので、効果的なフィードバックを提供し、彼ら自身が持つ強みを最大限発揮するための支援を行います。

ミーティングの中で、具体的な事例を使って過去の成功体験を再確認し、どのように応用できるかを一緒に考えることで、さらなる自己成長を引き出します。

また、彼らのリーダーシップや新たなプロジェクトへの関与を提案し、部下を次のステップに導く契機をつくります。
 

ハイパフォーマー:「挑戦課題」で成長を引き出す

ハイパフォーマーにとっての1on1ミーティングでは、「挑戦課題」を通じてさらなる成長を引き出すことが目標となります。すでに高い能力と実績を持つ彼らに対しては、現状に満足せず、さらなるスキルアップや新たな領域で活躍する機会を提供します。

ミーティングでは、次なるキャリアゴールを設定し、それに向けた戦略的な課題を討議します。新しいプロジェクトや責任を提案することで、彼らのさらなるモチベーションを引き出し、組織への貢献度を高めます。

同時に、彼ら自身の成長がチーム全体の成果にどう影響するかを考えさせ、組織全体でのリーダーシップを発揮できるようサポートします。
 

1on1の進め方|コンディション別

1on1の進め方|コンディション別 

部下のその時々のコンディションによって、1on1ミーティングの進め方を調整することは非常に重要です。部下の精神状態や業務の状況に対し、適切な対応を行うことで、彼らのやる気を引き出し、パフォーマンスを高めることができます。
 

モチベーションが高いとき

モチベーションが高い部下に対しては、その意欲を最大限に活かせるようなアプローチを心掛けましょう。例えば、彼らの挑戦心を刺激するような新しいプロジェクトや役割に関する話題を提供すると効果的です。

このとき、部下自身が目指すゴールを具体的に引き出し、それに向けたステップを共に考えることで、より意欲的に取り組む姿勢が自然と生まれます。また、達成感を得られるよう、成功の見える化を意識し、小さな成果でも具体的にフィードバックを行うことが重要です。
 

メンタルが落ちているとき

部下のメンタルが落ち込んでいるときは、まず共感と信頼を基にしたサポートが求められます。彼らの感情に丁寧に寄り添い、話をじっくりと聞くことが大切です。

無理をせず、短期的に達成可能な目標を設定し、小さな成功体験を積ませることで、徐々に自信を回復させる手助けをします。

リフレクションを促しながら、感情の整理を手伝い、安心感と自己受容を得られる環境を整えましょう。また、必要に応じて専門的なサポートを紹介することも有効です。
 

忙しい・余裕がないとき

部下が忙しく余裕がない状況にあるときは、1on1を効率的に進めることが鍵となります。このときは、短時間でポイントを絞った議論を心掛け、最優先事項に焦点を当てましょう。

現状の業務負荷を評価し、優先順位の見直しや負担軽減策を一緒に考えることで、その後の業務効率が向上します。短期的な計画と長期的なビジョンをバランスよく検討し、部下の負担を減らしつつ、方向性の共有と次のステップへの準備を整えることが大切です。
 

1on1の進め方|目的別

1on1の進め方|目的別 

1on1ミーティングは、目的によってその進め方や注力するポイントが変わります。目的を明確にすることによって、部下にとって有意義な時間を提供し、成果を最大化できるようになります。
 

関係構築

1on1ミーティングを通じて関係構築を図る場合、最も重要なのはオープンなコミュニケーションです。信頼関係を築くためには、上下関係を越えて率直な意見交換ができる環境を整えることが必要です。プライベートや趣味など、業務外の話題を適度に挟むことで、部下の人となりを深く理解します。

また、部下の意見や感情に対する共感を示すことで、安心感を持たせることができます。このような対話を通じて、日々の業務においても円滑なコミュニケーションが期待できます。
 

成長支援

成長支援を目的とした1on1では、部下の現在のスキルや知識のレベルを正確に把握し、次のステップに必要なアクションを明確にすることが重要です。具体例を用いてフィードバックを行い、どのようにスキルを向上させるかを共に考えます。

また、成長のためのリソースやトレーニングの機会を提示し、部下が自主的に成長できるようなサポートを行います。ここでは、部下の自己目標に対する進捗を確認し、具体的な取り組みを促進する問い掛けが効果的です。
 

目標管理

目標管理を目的とする1on1では、業務目標の進捗を正確に把握し、必要な調整を図ることに重点を置きます。部下が直面している障害を特定し、それを乗り越えるための支援策を共に考察します。

期日や達成基準を明確に設定し、進捗のチェックポイントを設けることが、目標に向かった日々の取り組みを確実なものにします。

このように、目標達成に向けた具体的な段取りを確認し、適切なフィードバックを行うことで、部下は自信を持って業務に取り組むことができます。
 

キャリア支援

キャリア支援を行う1on1では、部下の長期的なキャリアビジョンを明確にし、その実現に向けた戦略を話し合います。部下の価値観やライフステージに応じたキャリアデザインを一緒に考え、必要なスキルや経験を積むための具体的な手だてを講じます。

これには、異なる業務の経験を積む機会を提供したり、適切なネットワーキングを支援したりするなどの手段があります。ここでは、部下の目指すキャリアパスを一緒に描き、そこに至るプロセスをサポートすることが大切です。
 

1on1ミーティングで失敗しやすい進め方

1on1ミーティングで失敗しやすい進め方 

1on1ミーティングは、正しく実施しなければその効果が十分に得られません。よくあるミスを避け、より良い1on1体験を創り出すためのポイントを考察していきます。
 

雑談だけで終わる「目的不在の1on1」

1on1が雑談で終わってしまう背景には、ミーティングの目的や方向性が明確になっていないことが挙げられます。このような状態では、何かを決定することも、成果を得ることも難しく、ただの時間の浪費になりかねません。

解決策としては、事前にミーティングの目的を設定し、その日の議題を意識的に用意しておくことです。具体的に議論する内容を決めておくことで、集中力を持って有意義な対話が可能となります。また、終わった後には達成感を得られるよう、明確な結論や次のステップを導き出すことを意識しましょう。
 

部下まかせにしすぎる「投げっぱなしの1on1」

部下にミーティングを任せすぎると、議題が曖昧になり、かえって目標を達成することが難しくなります。この「投げっぱなし」の姿勢では、部下も戸惑うばかりで成果に結びつきません。

マネジャーとしては、少なくともいくつかの主要議題を用意し、部下の状況や希望をヒアリングした上で、双方が有益となるように進行を導く必要があります。

また、事前に部下とコミュニケーションを図り、どのようなトピックを話し合うかを共同で決定するのも効果的です。
 

形だけ実施する「早く終わらせたい1on1」

形だけ実施するだけの1on1は、部下との信頼関係を築くどころか、それを損なうリスクがあります。早く終わらせようとすることが部下に伝わると、「自分は大切にされていない」と感じさせてしまう恐れがあります。

時間をしっかりと確保し、部下の話をじっくりと聞く姿勢を示すことが大切です。このような一貫した取り組みが、部下の信頼感とモチベーションを向上させるきっかけとなります。
 

全員に同じやり方で進める「画一的な1on1」

全員に同じ進め方を押し付けることは、1on1が形骸化する大きな要因です。各部下の特性や状況を考慮しないまま進行すると、コミュニケーションがすれ違い、意味のある結果を得ることができません。

各部下の個性や状況、ニーズに応じて、1on1のアプローチをカスタマイズすることが必要です。柔軟な取り組みにより、部下の心に響く対話が生まれ、効果的なサポートが可能になります。
 

1on1ミーティングにはLIFOを活用しよう 

LIFO

部下との効果的な1on1ミーティングを進めるためには、部下の価値観と行動特性を理解し、相手に合わせたコミュニケーション能力を高めることが必要です。

そこで役立つのがコミュニケーション研修です。研修を通じて、自身の行動特性の把握や、他者理解を深めることが可能になり、1on1ミーティングのための実践的なスキルを身に付けることができます。 

そこで1つの有力なツールとして「LIFO(ライフォ)」があります。 
 

■ 自己診断ツールLIFOとは 

LIFO®Life Orientations)は、個人の行動スタイルを診断する自己診断ツールです。このツールは、自分の強みや行動パターンを理解するために役立ちます。 

LIFO4つの基本スタイルに基づいており、これらのスタイルはそれぞれ異なる行動特性や価値観を持っています。 

自分がどのスタイルに属しているかを知ることで、より良いコミュニケーション方法やストレス時の行動傾向を把握することができます。 
 

■ LIFOを活用したコミュニケーション研修 

LIFOを活用したコミュニケーション研修では、まず参加者が自己診断を行い、自分の行動スタイルを理解します。この診断結果を基に、どのように他者と効果的にコミュニケーションをとるかを学びます。 

研修では以下のような内容が含まれます。 

  • 自己理解の深化:
    診断結果を基に、自分のコミュニケーションスタイルの特徴を深掘りします。どのような場面でどのように行動するのかを具体的に把握します。
     

  • 他者理解の促進:
    他のスタイルを持つ人との違いを理解することで、より効果的な関わり方を学びます。これにより、誤解や摩擦を減らすことが可能になります。
     

  • 実践的スキルの習得:
    ワークショップやロールプレイを通じて、実際のコミュニケーション場面でどのようにLIFOの知見を活用するかを練習します。
     

  • フィードバックと改善:
    実践後にフィードバックを受け、自分のコミュニケーションスタイルの改善点を明確にします。
    LIFOを取り入れた研修に参加することで、個人のコミュニケーションスタイルを理解し、それをベースに他者との関係を改善するスキルを獲得できます。

これにより、職場や日常生活でのコミュニケーションはもちろん、1on1ミーティングがよりスムーズで効果的になることが期待できます。 
 

部下との1on1ミーティングにLIFOを活用した支援事例

山梨放送様 

株式会社山梨放送/放送業 

■ 導入前の課題 

新型コロナウイルス感染症の流行以前は、社内イベントを通じて活発にコミュニケーションが行われていましたが、コロナ禍により社内の人間関係が希薄化し、特に若手社員の早期離職が顕著になりました。 

また、放送業界の人手不足と業務の多忙さから、社員教育には力を入れられずにいました。そこで、70周年プロジェクトの一環として「シゴトバ改革」を推進することが決まり、社員が自発的に提案し実行に移すボトムアップ型のアプローチを採用しました。 
 

■ 出会いと導入の決め手 

各局や地元企業の事例調査によって、1on1ミーティングが効果的であると分かりましたが、社員の個性を理解するまでには至りませんでした。 

キャリアコンサルタントの提案で、相互理解を深めるためにLIFO診断を導入しました。LIFOはその場で診断結果を得られるため、柔軟な勤務時間を抱える社員にも受検しやすく、コミュニケーション改善のツールとして活用が決定されました。 
 

■ 展開ステップと取り組み 

1on1ミーティングを実施前に、全社員を対象にLIFOの活用法などを盛り込んだセミナーを実施しました。管理職と一般社員に分けたセミナーで、ミーティングの目的やLIFOの活用法を学びました。 

セミナーを契機に、多くの社員が参加し、テーマへの高い関心が示されました。セミナー内容を随時アーカイブとして提供し、参加できなかった社員にも情報を共有しました。 
 

■ 導入後の感想と成果 

LIFOの活用で、上司と部下の相互理解が進み、コミュニケーションのきっかけとなりました。1on1ミーティングでは、定期的にLIFOのスコアが話題となるなど、一歩踏み込んだ対話が実現しています。 

中には、得られた結果を基に改善に取り組む社員も出始めています。このツールは、管理職のガイドとなり得る可能性があり、引き続きLIFOを活用していく方針です。 
 

■ 取り組みにおける課題と今後の展望 

「シゴトバ改革」はボトムアップ式で進行しているため、部署ごとに進捗に差があります。また、1on1ミーティングの目的が理解されず、不満のぶつけ合いになるケースもあるため、意識改革が必要です。 

社内通信などでLIFOの考え方を広め、1on1以外にも日常のコミュニケーションやチームビルディングに活用することを目指しています。特に新体制時や社員異動時に効果的であり、職場の活気を向上させることを期待しています。 

▼事例の詳細については下記をご覧ください。 
株式会社山梨放送様 LIFO導入事例

 

まとめ|1on1は一人一人に合わせた進め方で実施しよう

1on1ミーティングは、組織において部下の成長を促し、信頼関係を構築するための重要な場です。本記事で解説してきたように、効果的な1on1ミーティングを行うためには、「部下に合わせたアプローチ」と「柔軟な進行法」が鍵となります。

具体的には、進行フローにおいては入念な準備から始め、部下の成長段階やコンディションに応じた個別対応を心掛け、そしてその時々の目的に応じた明確な進め方が求められます。

特に、進行フローの段階では、事前準備から始まり、リラックスした導入、本題での深掘り、そして振り返りとアクション設定まで、各ステップでのしっかりとした対応が部下のやる気とパフォーマンス向上に直結します。

また、新人・若手、中堅社員、ハイパフォーマーといった成長段階ごとにアプローチを最適化し、部下のニーズに合わせた支援を心掛けることもポイントです。

本文中で述べた失敗例を避け、成功に向けたこれらのステップを意識することで、1on1ミーティングは単なる業務の一環を超え、組織のパフォーマンス向上を大きく助けるものとなるでしょう。これから1on1ミーティングを実施する皆さんが、部下の成長を支援し、組織の発展に寄与することを願っています。

株式会社LDcubeでは、効果的な1on1ミーティングの実施を支援すべく、LIFO®プログラムを活用した研修会、eラーニング、LIFO®プログラムの社内インストラクター養成など幅広くご支援をしています。無料体験会なども行っています。ぜひお気軽にご相談ください。 

▼関連資料はこちらからダウンロードできます。 

1on1ミーティング効果的な実践法 資料ダウンロード

他者理解に必要な7つのこと 資料ダウンロードLIFO資料ダウンロード 

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LDcube編集部
LDcube編集部
株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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