
1on1ミーティングとは?目的ややり方、効果を高める工夫を解説!
現代のビジネス環境において、1on1ミーティングの重要性は高まるばかりです。しかし、「どう進めれば効果的なのか」、「どのように部下とのコミュニケーションを深めていけば良いのか」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな読者の方々に寄り添い、1on1ミーティングの基本からその効果を最大化する方法までを詳しく解説します。
1on1ミーティングは単なる業務報告の場ではなく、部下の成長を支援し、信頼関係を構築するための極めて重要な役割を果たします。もしも、その意義や進め方を誤解してしまうと、本来得られるはずの効果が損なわれてしまうこともあります。
本記事では、1on1ミーティングを成功させるための具体的なスキルや工夫、さらには直面しがちな課題の克服法について、多角的な視点から提供します。部下の育成、業務の効率化、そして組織全体の活性化につながる1on1ミーティングを実現するために、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
最終的には、1on1ミーティングがあなたのチームにもたらす大きな変革を実感し、さらなる成功を手にすることを目指しています。それでは、早速始めてみましょう。
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- マネジメントにおける部下育成の重要性とは?人材育成のポイントを解説!
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目次[非表示]
- 1.1on1ミーティングとは?基本的な理解
- 1.1.1on1ミーティングの定義
- 1.2.人事評価面談との違い
- 2.1on1ミーティングの目的と重要性
- 2.1.部下の成長を促進する
- 2.2.コミュニケーションを活性化する
- 3.1on1ミーティングが注目される理由
- 3.1.VUCA時代における必要性
- 3.2.リモートワークの普及とその影響
- 3.3.人的資本経営の必要性
- 4.1on1ミーティングのメリット
- 4.1.信頼関係の構築
- 4.2.部下のモチベーション向上
- 4.3.業務の生産性向上
- 5.1on1ミーティングの進め方
- 5.1.事前準備の重要性
- 5.2.実施時のポイント
- 5.3.振り返りとフォローアップ
- 6.1on1ミーティングで話すべきテーマ
- 6.1.業務上の課題と進捗
- 6.2.個人のキャリアと成長
- 6.3.メンタルヘルスとプライベート
- 7.1on1ミーティングを成功させるためのスキル
- 7.1.傾聴スキルの重要性
- 7.2.フィードバックの技術
- 7.3.コーチングとティーチングの違い
- 8.1on1ミーティングの注意点
- 8.1.時間管理の重要性
- 8.2.雑談で終わらないための工夫
- 8.3.部下の話を引き出す方法
- 9.1on1ミーティングの効果を上げるための工夫
- 9.1.相手に合わせたコミュニケーション
- 9.2.効果測定とKPI設定
- 9.3.オンラインと対面のハイブリッド環境への対応
- 9.4.多様な文化・国際チームでの実践
- 10.1on1ミーティングにはLIFOを活用しよう
- 10.1.自己診断ツールLIFOとは
- 10.2.LIFOを活用したコミュニケーション研修
- 11.部下との1on1ミーティングにLIFOを活用した支援事例
- 12.1on1ミーティングに関するよくある質問
- 13.まとめ
1on1ミーティングとは?基本的な理解
1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行う、定期的な対話のことです。定期的に、また頻繁に行うことで、部下や後輩の業務遂行や、成長促進、キャリア開発、メンタルケアなどをサポートします。人事評価面談との違いも理解しながら、正しく基本的な理解をしておくことが重要です。
1on1ミーティングの定義
1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で行う定期的な対話のことです。
このミーティングは、部下の業務の進捗や課題を確認し、部下の成長やキャリア開発に向けたアドバイスを提供する場として機能します。
また、部下が自由に意見を述べることで信頼関係を深めることも目的の1つです。例えば、業務上の課題を共有し、解決策を一緒に考えたり、キャリア目標を設定したりすることで、部下のモチベーションを向上させることができます。日本では、ヤフーが先行して導入したことで有名です。
人事評価面談との違い
1on1ミーティングと人事評価面談は目的が異なります。1on1は日常的なコミュニケーションを重視し、部下の成長をサポートすることが主な目的です。
一方で、人事評価面談は評価やフィードバックを行うための特別な場です。さらに、1on1は頻繁に行われるのに対し、人事評価面談は年に数回の実施が一般的です。
1on1ミーティング | 人事評価面談 | |
目的 | 部下の成長を | 評価やフィードバック |
頻度 | 頻繁 | 年に数回 |
対話のスタイル | 日常的な | 特別な場 |
1on1ミーティングの目的と重要性
1on1ミーティングはその目的と重要性を正しく理解した上で、実施することで真の効果を発揮します。部下の成長を促進し、コミュニケーションを活性化することで、最終的には活性化した組織づくりへ貢献します。
部下の成長を促進する
部下の成長を促進するためには、具体的なフィードバックを提供し、彼らがどのように改善できるかを明確に示すことが重要です。また、部下が自分の目標を設定できるようにサポートし、進捗を確認することも大切です。
例えば、定期的なミーティングで進捗をレビューし、目標達成に向けた改善策を共に考えるのが効果的です。さらに、キャリア開発の機会を話し合い、部下に将来のビジョンを持たせることが、成長を促す鍵となります。
このように、部下の成長を促進するために適切な気付きを促すことが重要です。
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コミュニケーションを活性化する
組織内のコミュニケーションを活性化するためには、オープンな対話を促進し、部下が自由に意見を言える環境をつくることが重要です。また、信頼関係を構築することで、部下が安心して話せるようになります。さらに、重要な情報を共有し、全員が同じ認識を持つことで、チーム全体の連携が強化されます。1on1ミーティングでは、このようにコミュニケーションを活性化するために、心理的安全性が保たれた場づくりも非常に重要です。
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1on1ミーティングが注目される理由
1on1ミーティングは、多くの組織運営において注目される手法の1つです。VUCA時代における適切なサポートの必要性や、働く環境の多様化、人的資本経営への取り組みなどもあり、1on1ミーティングはますます必要性が高まっています。
VUCA時代における必要性
VUCAは変動性、不確実性、複雑性、曖昧性を指します。これらの特徴がある時代には、チーム内でのコミュニケーションが特に重要です。なぜなら、よりスピーディーなPDCAサイクルを回しながら、実行と改善・成長を繰り返すことが求められるからです。
1on1ミーティングは、個々のメンバーの状況を把握し、不安を取り除きながら、適切なサポートを提供するための有効な手段です。
例えば、メンバーが直面している具体的な課題を話し合うことで、迅速な対応が可能になります。また、メンバーの意見や懸念を直接聞くことで、組織全体の適応力を高めることができます。
リモートワークの普及とその影響
リモートワークが普及する中で、対面でのコミュニケーションが減少しています。この状況では、1on1ミーティングが特に重要です。
なぜなら、リモート環境では、どうしても直接的な対話が減り、チャットツールを活用したテキストコミュニケーションが多くなるからです。
オンライン環境でも、直接顔を見て会話することにより、お互いの感情や想いといった、テキストには現れづらい情報においても、コミュニケーションを図ることが可能です。
人的資本経営の必要性
人的資本経営では、社員を「価値を生む資本」として捉え、その成長・活躍を支援することが求められます。1on1ミーティングは、その基盤となる“社員の状態把握”と“個別支援”を実現する重要な仕組みです。
1on1を通じて、社員の強み・課題・キャリア志向を継続的に把握でき、人材育成や配置の最適化につなげることができます。
また、対話が増えることで心理的安全性が高まり、エンゲージメント向上やパフォーマンス発揮にも寄与します。
1on1ミーティングのメリット
1on1ミーティングには、多くのメリットがあります。ここでは、代表的な3つのメリットである、信頼関係の構築、部下のモチベーション向上、業務の生産性向上について解説します。
信頼関係の構築
適切な1on1ミーティングの実施により、信頼関係が構築されます。なぜなら、1on1ミーティングとは本来、部下の業務遂行や成長をサポートすることを目的に実施されるからです。
自身の成長を親身になってサポートしてくれる上司を信頼するようになるのは、自然なことです。逆に、上司から見ても、自身を頼って相談し、アドバイスに対して素直に実行・改善する部下には信頼を置くようになります。
このように、1on1ミーティングはお互いの信頼関係を構築する上で重要なプロセスとなるのです。
部下のモチベーション向上
1on1ミーティングは、部下のモチベーションを高める上でも非常に効果的です。なぜなら、定期的な対話を通じて「自分は組織から期待され、理解されている」という実感を得られるからです。
上司が業務の成果だけでなく、プロセスや努力、感情面にも目を向けてくれることで、部下は承認されていると感じ、意欲が向上します。
また、目標の振り返りや強みの明確化、キャリアの方向性に関する対話を行うことで、仕事の意味づけが強まり、自発的な行動が促されます。
業務の生産性向上
1on1ミーティングは、生産性向上にも直結します。定期的な対話により、部下が抱えている課題やボトルネックを早期に発見し、適切なサポートや改善策を提供できるためです。また、優先すべき業務や進め方の方向性が明確になり、無駄な作業や迷いが減少します。
さらに、上司が部下の強み・弱みを深く理解することで、適切な業務配分や役割設定が可能になり、チーム全体のパフォーマンスの最適化にもつながります。結果として、業務効率が高まり、成果の最大化が期待できます。
1on1ミーティングの進め方

1on1ミーティングの進め方を正しく理解しておくことは、その効果を発揮する上で重要です。実施時だけでなく、事前準備やその後の振り返りとフォローも非常に重要です。
ここでは、そのポイントを解説します。
事前準備の重要性
事前準備は1on1ミーティングの成功に不可欠です。まず、ミーティングの目的を明確にし、何を達成したいのかを理解しましょう。
次に、アジェンダを作成し、話すべきポイントや質問をリストアップします。例えば、業務の進捗や課題、次のステップなど具体的な項目を含めると効果的です。
さらに、部下からの意見や質問があれば事前に聞いておくことで、より充実した議論が可能になります。ただし、事前に準備したことを予定通り話すことが重要ではありません。部下の様子や発言に寄り添いながら、柔軟に対応することが必要です。
実施時のポイント
実施時には、リラックスした雰囲気を作り、部下が自由に意見を述べられる環境を整えましょう。例えば、雑談を交えて場を和ませることで、自然な会話を引き出すことができます。次に、積極的に聴く姿勢を持ち、相手の話に耳を傾けることが大切です。
最後に、フィードバックは具体的に行い、改善点や成功例を明確にすることで、より効果的なコミュニケーションが図れます。例えば、部下がうまくいったことやうまくいっていないことなどを共有してくれたときに、褒めたりアドバイスをしたりすると、より明確な指針を提供できます。
振り返りとフォローアップ
振り返りでは、ミーティングの内容を再確認し、重要なポイントを整理します。次に、アクションアイテムを明確にし、どのような行動が必要かを部下と共有します。
最後に、次回のミーティングの予定を決めることで、継続的なコミュニケーションを促進し、次回に向けての準備が整います。こうしたプロセスにより、部下は自分の役割や期待される成果を理解しやすくなります。
1on1ミーティングで話すべきテーマ
1on1ミーティングで何を話すかは、その効果を高める上で重要です。「何を話したら良いか分からない」といった悩みをよく聞きますが、主には業務上の課題と進捗、個人のキャリアと成長、メンタルヘルスとプライベート、といった内容をメインにすることがおすすめです。
業務上の課題と進捗
業務上の課題については、具体的な問題点を明確にし、進捗を定期的に確認することが重要です。これにより、問題解決のための道筋を見いだすことができます。
また、進捗状況を共有することで、目標達成に向けた意識を高めることができます。例えば、定期的に実施する1on1ミーティングでの進捗報告は、部下のモチベーション向上にも寄与します。
最後に、課題に対する解決策を部下と一緒に考えることで、チームの連携を強化し、より良い結果を導き出すことが可能になります。
個人のキャリアと成長
個人のキャリアについては、まずキャリア目標を明確にすることが重要です。これにより、今後の方向性が定まります。
また、成長のためのフィードバックを定期的に提供することで、自己改善の機会を与えることができます。例えば、一緒に目標を確認し、それに向けた進捗や課題を話し合う場を設けると効果的です。
さらに、必要なスキルや経験について話し合うことで、具体的な成長プランを策定し、実行に移すことが可能になります。
メンタルヘルスとプライベート
メンタルヘルスについては、その重要性を理解し、部下が安心して話せる環境を整えることが大切です。例えば、日常的な対話を通じて、メンタル面でのサポートが必要かどうかを確認することができます。
また、プライベートの状況を把握することで、業務に与える影響を理解し、必要に応じてサポートを提供することができます。これにより、社員の健康を守り、業務の効率を向上させることができるでしょう。
1on1ミーティングを成功させるためのスキル
1on1ミーティングを成功させるためには、必要なスキルを身に付けることが重要です。部下視点でよくある1on1ミーティングの問題は、「上司が話しすぎる」「ネガティブなフィードバックが多く嫌になる」「上司が教えたがりで成長している実感が持てない」といったことです。
ここでは、そのようなことにならないよう、1on1ミーティングを成功させるためのスキルを紹介します。
傾聴スキルの重要性
傾聴スキルは1on1ミーティングの基盤です。相手の話を最後まで聞くことで、信頼関係を築くことができます。例えば、相づちを打ちながら注意深く耳を傾けると、相手に安心感を与えることができます。
また、相手の表情や体の動きなど、非言語的なサインにも注意を払いましょう。さらに、質問を使って相手の意見を深掘りすることで、より良いコミュニケーションが生まれます。
例えば、「具体的にどう感じましたか?」と問いかけることで、相手の考えや感情をより詳しく理解することができます。
フィードバックの技術
フィードバックは成長のための重要な要素です。具体的な事例を挙げて伝えることで、相手が理解しやすくなります。例えば、特定のプロジェクトでの成果や行動を具体的に指摘することで、部下は何が良かったかを明確に把握できます。
また、ポジティブな点を最初に伝えることで、ネガティブなフィードバックも受け入れやすくなります。さらに、フィードバックは相手の成長を促すことを目的としているため、建設的な意見を心がけましょう。これにより、部下は次のステップに向けた道筋を前向きに考えることができます。
コーチングとティーチングの違い
コーチングとティーチングは、それぞれ異なる目的とアプローチを持っています。コーチングは相手の自己成長を促すことが目的であり、質問や対話を重視します。例えば、部下に自分の考えを引き出す質問をすることで、自己洞察を深め、気付きを促すことができます。
一方、ティーチングは知識やスキルを教えることが目的です。具体的な方法や技術を伝えることで、相手が新しいスキルを習得するのをサポートします。状況に応じてこれらのスキルを使い分けることで、より効果的な1on1ミーティングが実現します。
1on1ミーティングの注意点
1on1ミーティングを成功させるためには、いくつかの注意点があります。具体的には、時間管理、雑談で終わらない、部下の話を引き出す、ということです。
これらを意識することで、「1on1ミーティングは時間の無駄」「雑談ばかりで意味がない」といった事態を防ぐことができるでしょう。
時間管理の重要性
1on1ミーティングでは、時間管理が極めて重要です。事前にアジェンダを共有することで、部下が準備を整え、効率的な会話が可能になります。
また、時間を厳守することで、相手へのリスペクトを示し、ミーティングの質を高めます。例えば、会議の開始時に終了時間を明確にすることで、お互いの時間を尊重できます。
さらに、各トピックに対して適切な時間配分を考え、重要な議題に十分な時間を確保することが大切です。これにより、全ての重要なポイントをしっかりカバーすることができます。
ただし、部下の様子や関心を探りながら、必要に応じて時間配分を変えることも重要です。1on1ミーティングの目的は、「予定の時間通り話すこと」ではありません。
雑談で終わらないための工夫
1on1ミーティングが雑談で終わらないようにするためには、まず目的を明確に設定しましょう。
次に、部下が話しやすくなるように、具体的な質問を用意しておくことが効果的です。例えば、「現在のプロジェクトで最も大きな課題は何ですか?」といった質問を準備することで、具体的な話題を引き出せます。
さらに、フィードバックを促すことで、会話が深まり、実質的な議論が展開されるようになります。これにより、ミーティングの成果を高めることができます。
部下の話を引き出す方法
部下の話を引き出すためには、オープンエンドの質問を使うことが効果的です。
これにより、部下は自分の考えや意見を自由に表現しやすくなります。例えば、「最近のプロジェクトで学んだことは何ですか?」といった質問は、自由な回答を促します。
また、共感を示したり、自らが失敗体験を話したりすることで、部下は安心して話すことができる環境が整います。
さらに、沈黙を恐れずに待つことで、部下が考えをまとめる時間を与え、より深い会話を促すことが可能になります。このようにして、部下が自発的に話しやすい状況を作ることが大切です。
★ワンポイントコラム:筆者の体験談 1on1ミーティングで部下の話を引き出すためには、まず自分の状況や体験を話すことも重要です。相手に開示してもらいたければ、まず自己開示からです。 例えば、「最近の調子はどうですか?」という質問は、部下のコンディションやモチベーションを把握するための質問ですが、質問が抽象的すぎるため、部下は「何をどのくらいまで話せばいいのだろう?」と、答えに困ってしまいます。 例えば、 「私は最近、あるプロジェクトが思ったようにいかず苦戦していますが、やりがいも感じながら楽しく働いています。〇〇さんにも力を借りているので助かっています。〇〇さんの最近の調子はどうですか?」という質問と、 「私は最近、趣味でよく魚釣りに行っています。この前はかなり大きな魚が釣れて、仕事のストレス発散にもつながっています。〇〇さんの最近の調子はどうですか?」という質問では、 部下が答える内容が変わってくることがお分かりでしょう。筆者はマネジャーとして部下と1on1をするときは、自己開示も適切に入れることを意識していました。 一方で、私が部下として当時の上司と1on1ミーティングをしたときは、逆のパターンもありました。いきなり、まさに「最近調子どうですか?」という質問をされたのです。当時は本当に答えに困ったことを覚えていますが、仕事のことやプライベートのことなど、ざっくばらんに答えました。 今思うと、抽象的に質問することで、「部下が今、何に1番関心を持っていて、困っているのか」を把握することができる、という意図があったように思います。 ただし、この手法は上司部下の日ごろのコミュニケーション量や関係性があって成り立つものなので、乱用にはご注意ください。 |
1on1ミーティングの効果を上げるための工夫
1on1ミーティングで効果を上げるためには、いくつかの工夫が必要です。具体的には、相手に合わせたコミュニケーションを取ること、効果測定とKPI設定をすること、オンライン・対面のハイブリッド環境に対応すること、などです。これらを実施することで、効果的な1on1ミーティングの実施につなげることができるでしょう。
相手に合わせたコミュニケーション
効果的な1on1ミーティングを行うためには、部下のタイプに応じたコミュニケーションが不可欠です。部下の価値観・強み・ストレス要因は人によって異なるため、画一的な関わり方では本音を引き出すことが難しくなります。
例えば、論理的思考を好むタイプには結論から整理して話す、慎重なタイプには安心感を与えながら丁寧に意見を聞く、主体性が高いタイプには裁量や挑戦機会について議論する、など柔軟なアプローチが求められます。
また、表情の変化や言葉の選び方など、相手の反応を丁寧に観察することで、対話の質も向上します。相手に合わせたコミュニケーションを実践することは、信頼関係の深化と1on1の成果を高める上で重要なポイントです。
効果測定とKPI設定
1on1ミーティングを継続的に改善し、組織としての成果につなげるためには、効果測定とKPI設定が効果的です。
例えば、「部下の相談件数」「目標達成度」「エンゲージメントスコア」「離職率の変化」「スキル習得状況」など、数値化のしにくい領域でも指標を工夫することで、1on1ミーティングの成果を可視化できます。
また、1on1ミーティング後のフォローの質(約束事項の実行度や行動変化の有無)を評価することも効果的です。KPIを設定することで、上司側にも1on1ミーティングの目的意識が生まれ、対話の質が向上します。
結果として、メンバーの成長支援や組織課題の解決につながり、1on1ミーティングが「単なる面談」ではなく、成果につながるマネジメント施策へと進化します。
オンラインと対面のハイブリッド環境への対応
昨今のテレワークの普及により、対面だけでなくオンラインでの1on1ミーティングが一般的になっています。オンラインでは場所を問わず柔軟に開催できる一方で、非言語情報が伝わりにくいという課題もあります。
そのため、オンラインでは意図的にリアクションを大きくする、表情を確認しやすいカメラ位置にするなどの工夫が必要です。一方、対面での1on1ミーティングは相手の雰囲気や微細な表情変化を読み取りやすく、深い対話に向いています。
これらは、テーマや目的に応じて形式を使い分けることが効果的です。例えば、キャリア相談など深い話が必要な場合は対面、進捗確認など短時間で済む内容はオンライン、といった運用が有効です。状況に応じて最適なスタイルを選択することで、1on1ミーティングの質と効率を両立させることができます。
多様な文化・国際チームでの実践
グローバル化が進む現代、1on1ミーティングは国際的なチームや、多様なバックグラウンドを持つメンバーとのコミュニケーションにおいても重要な役割を果たします。
文化によって、自己主張の強さ、フィードバックの受け取り方、沈黙の意味、上下関係の捉え方などが大きく異なるため、一律の進め方では誤解やすれ違いが生じやすくなります。
そのため、文化的背景を理解し、相手の価値観に配慮したコミュニケーション設計が求められます。例えば、直接的な表現を避ける文化圏のメンバーにはクッション言葉を多めに用いる、意見を控えがちな国の出身者には「あなたの考えを聞きたい」と明確に促す、など工夫が必要です。
また、英語など共通言語でコミュニケーションを取る場合は、専門用語を避け、シンプルで誤解の少ない言い回しを意識することで対話の質が向上します。
1on1ミーティングにはLIFOを活用しよう
部下との効果的な1on1ミーティングを実施するためには、相手に合わせたコミュニケーション能力を高めることが必要です。
そこで役立つのがコミュニケーション研修です。研修を通じて、自身の行動特性の把握や、他社理解を深めることが可能になり、1on1ミーティングのための実践的なスキルを身に付けることができます。
そこで1つの有力なツールとして「LIFO(ライフォ)」があります。
自己診断ツールLIFOとは
LIFO(Life Orientations)は、個人の行動スタイルを診断する自己診断ツールです。このツールは、自分の強みや行動パターンを理解するために役立ちます。
LIFOは4つの基本スタイルに基づいており、これらのスタイルはそれぞれ異なる行動特性や価値観を持っています。
自分がどのスタイルに属しているかを知ることで、より良いコミュニケーション方法やストレス時の行動傾向を把握することができます。
LIFOを活用したコミュニケーション研修
LIFOを活用したコミュニケーション研修では、まず参加者が自己診断を行い、自分の行動スタイルを理解します。この診断結果を基に、どのように他者と効果的にコミュニケーションを取るかを学びます。
研修では以下のような内容が含まれます。
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LIFOを取り入れた研修に参加することで、個人のコミュニケーションスタイルを理解し、それをベースに他者との関係を改善するスキルを獲得できます。
これにより、職場や日常生活でのコミュニケーションはもちろん、1on1ミーティングがよりスムーズで効果的になることが期待できます。
部下との1on1ミーティングにLIFOを活用した支援事例
株式会社山梨放送/放送業
■ 導入前の課題
新型コロナウイルス感染症の流行以前は、社内イベントを通じて活発にコミュニケーションが行われていましたが、コロナ禍により社内の人間関係が希薄化し、特に若手社員の早期離職が顕著になりました。
また、放送業界の人手不足と業務の多忙さから、社員教育には力を入れられずにいました。そこで、70周年プロジェクトの一環として「シゴトバ改革」を推進することが決まり、社員が自発的に提案し実行に移すボトムアップ型のアプローチを採用しました。
■ 出会いと導入の決め手
各局や地元企業の事例調査によって、1on1ミーティングが効果的であると分かりましたが、社員の個性を理解するまでには至りませんでした。
キャリアコンサルタントの提案で、相互理解を深めるためにLIFO診断を導入しました。LIFOはその場で診断結果を得られるため、柔軟な勤務時間を抱える社員にも受講しやすく、コミュニケーション改善のツールとして活用が決定されました。
■ 展開ステップと取り組み
1on1ミーティングを実施前に、全社員を対象にLIFOの活用法などを盛り込んだセミナーを実施しました。管理職と一般社員に分けたセミナーで、ミーティングの目的やLIFOの活用法を学びました。
セミナーを契機に、多くの社員が参加し、テーマへの高い関心が示されました。セミナー内容を随時アーカイブとして提供し、参加できなかった社員にも情報を共有しました。
■ 導入後の感想と成果
LIFOの活用で、上司と部下の相互理解が進み、コミュニケーションのきっかけとなりました。1on1ミーティングでは、定期的にLIFOのスコアが話題となるなど、一歩踏み込んだ対話が実現しています。
中には、得られた結果を基に改善に取り組む社員も出始めています。このツールは、管理職のガイドとなり得る可能性があり、引き続きLIFOを活用していく方針です。
■ 取り組みにおける課題と今後の展望
「シゴトバ改革」はボトムアップ式で進行しているため、部署ごとに進捗に差があります。また、1on1ミーティングの目的が理解されず、不満のぶつけ合いになるケースもあるため、意識改革が必要です。
社内通信などでLIFOの考え方を広め、1on1以外にも日常のコミュニケーションやチームビルディングに活用することを目指しています。特に新体制時や社員異動時に効果的であり、職場の活気を向上させることを期待しています。
▼事例の詳細については下記をご覧ください。
⇒株式会社山梨放送様 LIFO導入事例
1on1ミーティングに関するよくある質問
Q.1on1ミーティングの頻度は?
1on1ミーティングの頻度は、一般的には月に1回から2回が推奨されます。しかし、チームの状況やプロジェクトの進行状況に応じて調整することが重要です。例えば、新しいメンバーが加わった場合や、特定の課題が発生した場合には、頻度を増やすことが効果的です。また、参加者のニーズを考慮し、必要に応じて柔軟に対応することで、より良いコミュニケーションが図れます。
Q.話す内容がない場合の対処法は?
話す内容がないと感じる場合でも、1on1ミーティングは有意義な時間にすることが可能です。まず、オープンな質問を用意し、相手が自由に話せる場を作ることが重要です。また、過去の議題を振り返り、進捗や課題について再確認することも有効です。さらに、仕事以外の非公式なトピックを取り入れることで、リラックスした雰囲気を作り出し、コミュニケーションを活性化させることができます。
まとめ
1on1ミーティングとは?目的ややり方、効果を高める工夫を解説!について紹介してきました。
1on1ミーティングは、単なる業務上のコミュニケーションの1つにとどまらず、上司と部下の信頼関係を深め、部下の成長やキャリア開発を支える重要な要素です。
本記事では、1on1ミーティングの基本からその効果的な活用法までをご紹介しました。ここで得た知識を生かして、実際のミーティングに取り入れることで、部下のモチベーション向上や業務の生産性向上などの実現に役立てることができるでしょう。
しかし、1on1ミーティングを成功させるためには、時間管理やフィードバックのスキル、部下の話を引き出すための技術といったポイントを押さえることが肝心です。また、リモートワークの進展や多様な働き方が浸透する中で、オンライン環境における適切なコミュニケーションも必要です。多様な文化や国際チームでの実践も視野に入れ、効果的な対話を実現するための工夫が求められます。
そして、LIFOを活用したコミュニケーション研修を実施することで、自分自身のコミュニケーションスタイルを深く理解し、部下とのやり取りをさらに円滑に進めるスキルを身に付けられます。このような取り組みを通して、1on1ミーティングが「単なる面談」から「成果につながるマネジメント施策」へと進化し、組織全体のパフォーマンスを向上させることができるのです。
最後に、1on1ミーティングは継続的に実施することでその効果を最大化できます。部下の成長を見守り、組織全体としての活性化に寄与するために、ぜひこの機会に1on1ミーティングの質を見直してみてください。読者の皆さんが、これらのヒントを活用して1on1ミーティングを成功に導くことを心から願っています。
株式会社LDcubeでは、効果的な1on1ミーティングの実施を支援すべく、LIFO®プログラムを活用した研修会、eラーニング、LIFO®プログラムの社内インストラクター養成など幅広くご支援をしています。無料体験会なども行っています。ぜひお気軽にご相談ください。
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