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【銀行版】人材のリスキリングを徹底解説!注意点やおすすめツールを紹介

銀行業界では今、「店舗業務のデジタル化が進み、従来の事務業務が減っている」「資産運用や法人コンサルティングなど新たな役割を担う人材が不足している」「DXAI活用を推進したいが現場にスキルが浸透しない」といった課題を抱える銀行が増えています。

また、一般職から総合職への転換、女性活躍推進、シニア人材の活躍拡大など、人材戦略の変化に伴って従業員に求められるスキルも大きく変化しています。

こうした環境変化に対応する施策として注目されているのが「リスキリング」です。しかし、eラーニングを導入しただけで学習が定着しない、研修後に現場で成果が出ない、職種転換への不安から社員のモチベーションが高まらないなど、思うような成果につながらないケースも少なくありません。

銀行におけるリスキリングを成功させるためには、単に研修を実施するのではなく、「なぜリスキリングが必要なのか」という経営的な背景を理解したうえで、育成すべきテーマを明確にし、適切な学習環境や実践機会を整備することが重要です。特に近年は、DXや生成AIの進展により、知識習得だけでなく実践力の強化がますます求められています。

本記事では、銀行でリスキリングが求められる背景や重点テーマ、導入時のポイント、金融機関の具体的な事例、さらにeラーニング・LMSAIロープレなどのおすすめツールまで、銀行のリスキリング推進に必要な情報を網羅的に解説します。

人材育成担当者や経営層の方はもちろん、銀行における人材変革の方向性を知りたい方もぜひ参考にしてください。

▼銀行における人材育成については、テーマに合わせて以下で解説しています。

 

▼リスキリングについては、以下も参考にしてください。

 

▼リスキリングで求められるビジネススキルや実践力を身に付けるためには、以下資料をダウンロードして参考にしてください。

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目次[非表示]

  1. 1.銀行でリスキリングを進めるなら、質の高い教材と安全な練習環境が重要
    1. 1.1.教材の質が学習成果を左右する
    2. 1.2.知識学習だけでは実践力は身に付かない
    3. 1.3.心理的安全性の高い練習環境が必要
    4. 1.4.リスキリングの成功は「学習」から「実践」への転換で決まる
  2. 2.銀行でリスキリングが求められる背景
    1. 2.1.経営戦略の転換に伴う人材の再配置
    2. 2.2.デジタルトランスフォーメーションへの対応
    3. 2.3.AI時代への適応と戦略的な利活用
    4. 2.4.DE&Iの推進
    5. 2.5.一般職から総合職への転換
  3. 3.銀行でリスキリングが求められるテーマ
    1. 3.1.個人向けコンサルティング営業
    2. 3.2.法人向けコンサルティング営業
    3. 3.3.ローン商品営業
    4. 3.4.DX推進
    5. 3.5.AI活用
    6. 3.6.女性活躍推進
    7. 3.7.シニア活躍推進
  4. 4.銀行でリスキリングを進める際のポイント・注意点
    1. 4.1.経営戦略を背景とした明確なトップメッセージ
    2. 4.2.転換後業務の明確化
    3. 4.3.人事評価・報酬制度の最適化
    4. 4.4.人材の強みやキャリア志向との適合性
    5. 4.5.リスキリングを推奨・支援する組織風土
    6. 4.6.半強制的な職種転換の際には丁寧な心理的フォロー
  5. 5.銀行でリスキリングを導入した事例
    1. 5.1.山陰合同銀行のコンサルティング人材育成事例
    2. 5.2.北國銀行のDX人材育成事例
    3. 5.3.千葉銀行の営業店人材再配置事例
    4. 5.4.女性活躍推進を目的とした地方銀行の事例
  6. 6.銀行でリスキリングを進めるためのツール
    1. 6.1.eラーニング
    2. 6.2.LMS・学習プラットフォーム
    3. 6.3.AIロープレ
  7. 7.まとめ|銀行のリスキリングを成功させるには

銀行でリスキリングを進めるなら、質の高い教材と安全な練習環境が重要

銀行業界では、店舗業務の効率化やコンサルティング営業への転換、DX推進、AI活用などを背景に、従業員に求められるスキルが大きく変化しています。そのため、多くの金融機関がリスキリングに取り組んでいますが、「研修を実施しただけ」で成果が出るわけではありません。

リスキリングを成功させるためには、学習の量だけでなく質が重要です。さらに、学んだ知識を実際に使いながら定着させるための安全な練習環境を整備することも欠かせません。
 

教材の質が学習成果を左右する

リスキリング施策では、どのような教材を用意するかが学習成果に大きく影響します。

例えば、従来の制度説明中心の教材だけでは、受講者は「何を学んだらよいか」は理解できても、「どのように実務で活用するのか」をイメージしにくい場合があります。

そのため、銀行向けのリスキリング教材には以下のような要素が求められます。

  • 現場業務との関連性が明確である

  • 学んだ内容をすぐ実践できる

  • レベル別に学習できる

  • 最新の制度や市場環境を反映している

特に資産運用、相続、事業承継、法人ソリューション営業などの領域では、現場の商談に近いケーススタディーを取り入れることで、学習効果を高めることができます。
 

知識学習だけでは実践力は身に付かない

銀行がリスキリングで育成したい人材の多くは、単なる知識保有者ではありません。

例えば、

  • 資産運用を提案できるコンサルタント

  • 経営者の課題を引き出せる法人営業担当者

  • DXを推進できるプロジェクト人材

  • AIを業務改善に活用できる担当者

などが挙げられます。

これらの業務では、商品知識や制度知識を学ぶだけでは十分ではありません。顧客との対話力や課題発見力、提案力など、実務で活用できるスキルが求められます。

そのため、リスキリングでは知識習得と実践トレーニングを組み合わせた育成設計が必要になります。
 

心理的安全性の高い練習環境が必要

リスキリングでは、新しい職種や業務に挑戦する従業員に少なからず不安や負担が生じます。

特に、

  • 窓口担当から営業職への転換

  • 一般職から総合職への転換

  • ベテラン層の新分野への挑戦

  • デジタル業務への適応

といったケースでは、「失敗したらどうしよう」という心理的な抵抗感が生まれやすくなります。

しかし、実践経験なしにスキルを身に付けることはできません。

そのため、失敗しても評価や顧客対応に直接影響しない、安全な練習環境を整備することが重要です。

受講者が安心して挑戦し、試行錯誤を繰り返せる環境があることで、学習の定着率や実務移行の成功率も高まります。
 

リスキリングの成功は「学習」から「実践」への転換で決まる

銀行におけるリスキリングの目的は、研修受講率を上げることではありません。経営戦略の実現に向けて、従業員が新たな役割を担い、成果を生み出せる状態になることです。

そのためには、eラーニングやLMSによる知識習得だけでなく、実践的なトレーニングを通じて「知っている」から「できる」へ移行する仕組みが欠かせません。

質の高い教材と、安心して挑戦できる練習環境の両方を整備することが、銀行のリスキリング成功の鍵となるでしょう。
 

銀行でリスキリングが求められる背景

銀行業界では、従来のビジネスモデルからコンサルティング型ビジネスへの転換が進んでいます。また、DXAIの普及、多様な人材活用の必要性が高まる中で、店舗業務の大幅な効率化や、それに伴う人材の再配置が進んでいます。

そのため、銀行では既存人材の能力を再開発し、新たな役割へと移行させるリスキリングが重要な経営課題となっています。
 

経営戦略の転換に伴う人材の再配置

銀行でリスキリングが求められる最大の理由は、経営戦略の転換に伴い人材の再配置が必要になっているためです。

これまでの銀行は、預金や融資を中心とした伝統的なビジネスモデルによって成長してきました。しかし、金利環境の変動や人口減少の影響により、従来型の収益構造だけでは十分な利益を確保することが難しくなっています。そのため、多くの銀行が資産運用提案や事業承継支援、M&A支援、DXコンサルティングなどの非金利収益分野を強化しています。

こうした戦略転換では、新しい業務を担う人材が大量に必要になります。一方で、新たな人材を外部から採用するだけでは、コストや採用競争の観点から限界があります。そのため、既存の営業店職員や本部スタッフに新たな知識やスキルを習得してもらい、成長領域へ配置転換する取り組みが重要になります。

例えば、窓口業務のデジタル化によって業務量が減少した人材を、資産形成アドバイザーや法人コンサルタントとして育成するケースが増えています。このように、経営戦略の実現に必要な人材を社内で育成し再配置するために、銀行ではリスキリングが不可欠になっているのです。
 

デジタルトランスフォーメーションへの対応

銀行でリスキリングが求められる背景には、DXへの対応があります。

近年の金融業界では、インターネットバンキングやスマートフォンアプリの普及に加え、営業活動や事務業務のデジタル化が急速に進んでいます。さらに、顧客データを活用したマーケティングや業務効率化のためのRPA導入など、デジタル技術を活用する場面は年々拡大しています。

しかし、新しいシステムを導入するだけではDXは実現できません。社員一人一人がデータ活用やデジタルツールの基本知識を持ち、業務改善に活用できる状態になることが重要です。そのため、多くの銀行ではデータ分析、業務改善、デジタルリテラシーなどを学ぶリスキリング施策を推進しています。

例えば、これまで融資事務を担当していた職員が、BIツールを活用して営業データを分析し、提案活動の高度化を支援するケースも増えています。また、本部部門においても、システム部門任せではなく、業務部門自身がDXを推進することが求められています。

DX時代の銀行では、すべての社員に一定レベルのDXスキルが求められます。その実現手段として、リスキリングへの注目が高まっているのです。
 

AI時代への適応と戦略的な利活用

生成AIの急速な普及も、銀行がリスキリングを推進する大きな理由の1つです。

近年はChatGPTをはじめとする生成AIが急速に発展し、多くの業務で活用されるようになっています。銀行においても、文書作成、情報収集、顧客対応支援、営業提案資料作成など、さまざまな業務への活用が期待されています。

一方で、AIを導入しただけでは効果は生まれません。社員がAIの特性や限界を理解し、適切な業務に活用できなければ十分な成果は得られないためです。また、銀行では情報管理やコンプライアンスへの配慮も必要になるため、安全な利用方法を学ぶことも欠かせません。

例えば、法人営業担当者がAIを活用して企業分析を効率化したり、個人営業担当者が提案シナリオの作成支援に活用したりすることで、生産性向上が期待できます。さらに、本部ではAIを用いた業務改革やデータ分析の高度化も進んでいます。

今後はAIを使える人材と使えない人材の差が大きな競争力の差になる可能性があります。そのため、銀行ではAIリテラシーや実践的な活用スキルを身に付けるリスキリングが重要になっているのです。
 

DE&Iの推進

DE&Iの推進も、銀行におけるリスキリング需要を高めています。

DE&Iとは、多様性・公平性・包摂性を重視し、さまざまな人材が活躍できる組織を目指す考え方です。少子高齢化による人材不足が進む中、銀行においても女性やシニア社員、多様なバックグラウンドを持つ人材の活躍が重要になっています。

しかし、多様な人材が能力を発揮するためには、新しい役割に挑戦するための学習機会が不可欠です。特に従来は限定された業務を担当していた人材に対して、新たなスキル習得を支援する必要があります。

例えば、営業経験の少ない女性社員に対してコンサルティング営業スキルを学ぶ機会を提供したり、シニア社員に対してデジタルツール活用研修を実施したりする取り組みが広がっています。これにより、年齢や性別に関係なく活躍できる環境づくりが進みます。

DE&Iを実現するためには、人材の可能性を広げる仕組みが必要です。その中心的な施策として、リスキリングの重要性が高まっているのです。
 

一般職から総合職への転換

一般職から総合職への転換も、銀行でリスキリングが求められる背景の1つです。

かつての銀行では、総合職と一般職の役割が明確に分かれていました。しかし近年は職種区分の見直しが進み、多くの金融機関で一般職制度の廃止や総合職への統合が進められています。

背景には、事務業務の削減と集中化があります。窓口取引のオンライン化や事務処理の自動化が進んだことで、従来の定型業務中心の役割は縮小しています。その結果、より高度な顧客対応や営業活動を担える人材が求められるようになりました。

例えば、これまで預金事務や窓口業務を中心に担当していた社員が、資産運用提案や法人営業支援などの業務に携わるケースが増えています。しかし、これらの業務は従来とは求められるスキルが大きく異なるため、体系的な学習が必要になります。

単なる職種変更だけでは成果は生まれません。新たな役割に必要な知識やスキルを習得し、自信を持って業務に取り組める環境づくりが欠かせません。そのため、一般職から総合職への転換を成功させる上でも、リスキリングが重要な施策として位置付けられているのです。
 

銀行でリスキリングが求められるテーマ

銀行におけるリスキリングは、単に新しい知識を学ぶための施策ではありません。経営戦略の転換やDX推進を実現するために、人材が新たな価値を生み出せるようにする取り組みです。特に近年は、コンサルティング営業、DXAI活用、多様な人材の活躍支援などが重要なテーマになっています。
 

個人向けコンサルティング営業

銀行でリスキリングが求められるテーマの代表例が、個人向けコンサルティング営業です。

これまでの個人営業は、預金獲得や金融商品の販売が中心でした。しかし、人生100年時代の到来や資産形成ニーズの高まりによって、顧客一人一人のライフプランに寄り添った提案が求められるようになっています。

そのためには、金融商品知識だけでなく、資産形成、相続、税務、不動産、ライフプランニングなど幅広い知識が必要です。また、顧客の潜在的な課題を引き出し、信頼関係を構築するヒアリングスキルや提案力も欠かせません。

例えば、退職を控えた顧客に対して資産運用だけを提案するのではなく、年金、相続、資産承継まで含めた総合的なアドバイスを行うケースが増えています。このような提案を実現するには、従来の営業スタイルからの転換が必要です。

今後の銀行では、商品を売る営業ではなく、顧客の人生に伴走するコンサルタント型人材が求められます。そのため、個人向けコンサルティング営業は重要なリスキリングテーマとなっているのです。
 

法人向けコンサルティング営業

法人向けコンサルティング営業も、銀行が重点的に取り組んでいるリスキリング分野です。

従来の法人営業は、融資提案や資金繰り支援が中心でした。しかし現在では、企業が抱える経営課題が複雑化しており、資金提供だけでは十分な価値を提供できなくなっています。

企業は人材不足、事業承継、DX推進、海外展開、脱炭素対応など多様な課題を抱えています。そのため、銀行の法人営業担当者にも経営課題を把握し、解決策を提案する能力が求められています。

例えば、後継者不足に悩む企業に対して事業承継やM&Aを提案したり、人材採用に課題を持つ企業へ外部パートナーを紹介したりする支援が増えています。こうした活動には財務知識だけでなく、業界理解やコンサルティングスキルが必要です。

融資担当者から経営支援パートナーへの進化を実現するためにも、法人向けコンサルティング営業は銀行リスキリングの重要テーマとなっています。
 

ローン商品営業

ローン商品営業の高度化も、銀行で求められているリスキリングテーマの1つです。

住宅ローンやアパートローン、リフォームローンなどは銀行の重要な収益源ですが、金利競争が激化しているため、単純な商品説明だけでは差別化が難しくなっています。

そこで求められるのが、顧客のライフプランや将来設計に合わせた提案力です。顧客の家計状況や資産状況を理解し、最適な資金計画を支援するコンサルティング能力が必要になります。

また、住宅購入に関する税制や不動産知識、資産形成の観点など、幅広い専門知識も欠かせません。近年はオンライン相談やデジタルチャネル活用も増えているため、デジタルコミュニケーションスキルも重要になっています。

単にローンを販売するのではなく、顧客の将来設計を支援する存在になることが求められており、そのためのリスキリングが進められているのです。
 

DX推進

銀行ではDX推進を担う人材育成も大きな課題となっています。

金融業界では業務効率化や顧客体験向上を目的に、多くのデジタル施策が進められています。しかし、システム部門だけではDXは実現できません。現場部門が主体的に業務改革を推進する必要があります。

そのため、データ分析、業務改善、プロジェクトマネジメント、デジタルツール活用などを学ぶリスキリングが広がっています。また、現場で課題を発見し、デジタル技術を活用して改善施策を企画する能力も求められています。

例えば、営業店の担当者が顧客データを分析し、見込み顧客へのアプローチを最適化するといった取り組みが進んでいます。本部部門でも、業務フローの見直しや自動化を推進する役割が増えています。

DXを特定部門の仕事にしないためにも、銀行全体でデジタル人材を育成するリスキリングが重要になっているのです。
 

AI活用

AI活用スキルも、今後の銀行員に不可欠なテーマとなっています。

生成AIの登場によって、多くの業務を効率化できる可能性が広がりました。情報収集、提案書作成、議事録作成、顧客分析など、銀行業務との親和性は非常に高いといえます。

しかし、AIを使いこなすためには適切な指示の出し方や回答の検証方法、情報管理上の注意点などを理解する必要があります。特に銀行は高い情報管理水準が求められるため、安全な利用ルールの理解が欠かせません。

例えば、法人営業担当者がAIを活用して業界分析を効率化したり、本部担当者が大量の資料作成を支援させたりする場面が増えています。今後はAIを活用することが業務の標準になる可能性もあります。

そのため、多くの銀行がAIリテラシー研修や実践的な活用研修を実施し、組織全体の生産性向上を目指しているのです。

▼銀行におけるAIリテラシーについては、以下で詳しく解説しています。

 

女性活躍推進

女性活躍推進も、銀行における重要なリスキリングテーマです。

銀行業界では女性社員比率が高い一方で、管理職や高度専門職への登用にはまだ課題が残るケースがあります。そのため、女性がより幅広い職務や役割に挑戦できる環境づくりが進められています。

その実現には、営業スキルやマネジメントスキル、コンサルティングスキルなどの習得機会を充実させることが重要です。さらに、キャリア形成への不安を解消するための支援も求められています。

例えば、資産運用コンサルタントや法人営業、管理職候補として育成するための専門研修を実施する銀行も増えています。これにより、女性社員の活躍領域は着実に拡大しています。

人材不足が進む中、女性人材の能力発揮は経営課題でもあります。そのため、リスキリングを通じた女性活躍推進への取り組みが重要視されているのです。
 

シニア活躍推進

シニア活躍推進も、銀行が注力しているリスキリングテーマの1つです。

高齢化社会の進展に伴い、銀行でもシニア人材の活躍が重要になっています。豊富な経験や顧客との信頼関係を持つ人材は、組織にとって大きな財産だからです。

一方で、働き方や業務内容の変化に対応するためには、新しい知識やスキルの習得が必要になります。特にデジタルツールやAI活用に対する不安を解消し、業務で活用できるようにする支援が重要です。

例えば、ベテラン営業担当者がデジタルツールを活用して若手社員を指導したり、長年培った経験を生かして事業承継支援や相談業務を担当したりするケースがあります。

シニア人材は経験と信頼という大きな強みを持っています。その強みを新しい時代に合わせて生かすために、リスキリングが欠かせない取り組みとなっているのです。
 

銀行でリスキリングを進める際のポイント・注意点

銀行におけるリスキリングは、研修を実施すれば成功するものではありません。経営戦略や人事制度、組織風土と連動させながら推進することが重要です。特に職種転換や役割変更を伴う場合は、社員の納得感や心理的な支援まで含めて設計する必要があります。
 

経営戦略を背景とした明確なトップメッセージ

銀行でリスキリングを成功させるためには、経営戦略を背景とした明確なトップメッセージが欠かせません。

リスキリングは単なる人材育成施策ではなく、経営戦略を実現するための変革施策です。そのため、なぜ新しいスキルが必要なのか、なぜ職種転換や役割変更が求められるのかを経営陣が明確に発信する必要があります。

トップメッセージが不十分な場合、現場では新たな負担が増える取り組みと受け取られやすくなります。特に銀行では長年同じ業務に従事してきた社員も多く、背景への理解がなければ学習意欲の向上は期待できません。

例えば、個人向け資産運用ビジネスの強化を経営方針として掲げるのであれば、その実現のためにどのような人材が必要なのか、そのためになぜリスキリングが必要なのかまで説明することが重要です。

社員は目的に納得できて初めて主体的に学習へ取り組みます。そのため、リスキリング推進の第一歩は、経営トップによる明確なメッセージ発信なのです。
 

転換後業務の明確化

リスキリングを進める際は、転換後の業務内容を明確に示すことが重要です。

新しいスキルの習得を求められても、そのスキルをどのような業務で活用するのか分からなければ学習意欲は高まりません。特に銀行では職種転換を伴うケースが多いため、将来の役割を具体的にイメージできることが重要です。

例えば、窓口担当者にコンサルティング営業研修を実施する場合、研修後にどのような顧客対応を行うのか、どのような成果が期待されるのかを明確にする必要があります。

また、必要スキルを細分化し、習得ロードマップを示すことも大切です。将来像が曖昧なままでは不安が先行し、学習そのものへの抵抗感が生まれてしまいます。

社員が学習とキャリアのつながりを理解できる環境を整えることで、リスキリングの効果は大きく向上するのです。
 

人事評価・報酬制度の最適化

リスキリングを定着させるためには、人事評価や報酬制度の見直しも必要です。

新たなスキル習得や挑戦を推奨していても、評価制度が従来の業務成果だけを重視している場合、社員は変化を避けようとします。特に職種転換直後は成果が出るまで時間がかかるため、挑戦すること自体が不利になる可能性があります。

例えば、法人コンサルティング業務へ異動した社員が、短期的な融資実績だけで評価される仕組みでは、新しい役割への挑戦は進みません。育成期間や新たな行動を評価する視点が求められます。

また、専門資格の取得やデジタルスキル習得に対する報奨制度を設ける金融機関も増えています。このような制度は学習意欲の向上につながります。

社員に変化を求めるのであれば、その変化を正当に評価する仕組みが必要です。リスキリングと評価制度は一体で考えるべき重要なテーマといえます。
 

人材の強みやキャリア志向との適合性

リスキリングでは、人材の強みやキャリア志向との適合性を考慮することが重要です。

リスキリングは誰もが同じスキルを学べばよいわけではありません。個々の経験や適性、将来のキャリア希望に応じて学習内容を設計することで、より高い成果が期待できます。

例えば、人とのコミュニケーションが得意な社員はコンサルティング営業への適性が高いかもしれません。一方、分析業務を得意とする社員はデータ活用やDX推進人材として活躍できる可能性があります。

もし本人の適性や希望を無視して一律に職種転換を進めた場合、モチベーション低下や早期離職のリスクも高まります。そのため、キャリア面談やアセスメントを活用しながら最適な育成プランを設計することが重要です。

社員一人一人の強みを生かしたリスキリングこそが、組織と個人の双方にとって大きな成果につながるのです。
 

リスキリングを推奨・支援する組織風土

リスキリングを成功させるには、学び続けることを推奨する組織風土が欠かせません。

どれだけ優れた研修制度を用意しても、現場で学習時間が確保できなかったり、学ぶことが評価されなかったりする環境では定着しません。特に銀行では日常業務が多忙なため、学習が後回しになりやすい傾向があります。

例えば、上司が率先して学習に取り組んだり、部署内で学びの共有会を実施したりすることで、学習への前向きな文化が形成されます。また、勤務時間内の学習機会を設けることも有効です。

さらに、失敗を許容する風土も重要になります。新しいスキルを活用する過程では試行錯誤が発生するため、挑戦を認める文化がなければ行動変容は起こりません。

リスキリングは研修施策ではなく組織文化の改革でもあります。継続的に学ぶことが当たり前の風土づくりが成功の鍵となるのです。
 

半強制的な職種転換の際には丁寧な心理的フォロー

職種転換を伴うリスキリングでは、丁寧な心理的フォローが極めて重要です。

銀行では店舗業務の効率化やDX推進に伴い、従来とは異なる職務への転換が求められる場面があります。しかし、本人の意思とは関係なく環境が変化する場合、不安や抵抗感が生まれることは自然なことです。

特に長年同じ業務を担当してきた社員にとっては、キャリアの再出発ともいえる大きな変化になります。新たな業務に適応できるのか、自分の経験が通用するのかという不安を抱えることも少なくありません。

そのため、リスキリング施策と並行して、キャリア面談や上司との対話、メンター制度などの支援策を整備することが重要です。また、転換後の成功事例を共有し、新たなキャリアの可能性を具体的に示すことも効果的です。

リスキリングの本質は人の成長支援です。単なる配置転換として進めるのではなく、社員の気持ちに寄り添いながら変化を支援することが成功への重要なポイントとなるのです。
 

銀行でリスキリングを導入した事例

銀行では、人口減少や金利環境の変化、デジタル化の進展などを背景に、従来の預金・融資中心のビジネスモデルからの転換が求められています。その中で注目されているのがリスキリングです。単なる研修ではなく、営業店人材の再配置やDX推進、多様な人材活躍を実現するための戦略的人材投資として取り組む銀行が増えています。
 

山陰合同銀行のコンサルティング人材育成事例

山陰合同銀行では、地域企業の課題解決を支援するコンサルティング機能の強化を進めています。

地方企業では後継者不足や人材採用難、DX推進など経営課題が複雑化しています。そのため、従来の融資提案中心の営業ではなく、経営課題の解決まで支援できる人材が求められるようになりました。

そこで同行では、法人営業担当者に対して事業承継、補助金活用、経営支援などの専門知識を習得する機会を提供しています。また、顧客との対話力や課題発見力を高める教育にも力を入れています。

これにより、営業担当者は資金の提供者から経営パートナーへと役割を広げることが可能になります。地域企業との関係強化と収益機会の創出を両立するリスキリング事例といえるでしょう。

出典:
https://www.ntt.com/bizon/d/00757.html
https://www.works-i.com/works/special/no190/women-leaders-11.html
https://www.gogin.co.jp/newsrelease/common/attachmentfile/attachmentfile-file-2781.pdf
 

北國銀行のDX人材育成事例

北國銀行は、地方銀行の中でもDX推進に積極的な金融機関として知られています。

デジタル技術を活用した業務改革を進める中で、システム部門だけでなく全社員のデジタルリテラシー向上を重視しています。なぜなら、DXは現場の業務課題を理解している社員自身が主体となって進める必要があるためです。

そのため、データ活用やデジタルツール活用に関する学習機会を整備し、現場から改善提案が生まれる環境づくりを進めています。また、従来の事務作業を減らし、より付加価値の高い顧客対応へ人材をシフトする取り組みも進めています。

DXを単なるIT化ではなく、人材変革として捉えている点が特徴です。地方銀行における、リスキリングの先進事例の一つといえるでしょう。

出典:
https://www.hokuhoku-fg.co.jp/financial/disclosure/docs/59f70133abcb0fe87dae49d7e8d0350e9d7cb4d1.pdf
https://jinjibu.jp/hrt/article/detl/techactivities/3036/
 

千葉銀行の営業店人材再配置事例

千葉銀行では、店舗業務の効率化とコンサルティング営業強化を両立するため、人材の再配置を進めています。

近年はインターネットバンキングの利用拡大や各種手続きのデジタル化によって、窓口業務の負荷が以前より減少しています。一方で、資産形成や相続、事業承継に関する相談ニーズは高まっています。

こうした環境変化に対応するため、営業店職員に対して資産運用提案やコンサルティング営業スキルを習得する研修を実施しています。従来は事務中心だった社員も、顧客との面談や提案活動に携わる機会が増えています。

この取り組みは、デジタル化によって生まれた人的資源を成長分野へ再配置する代表的な事例といえます。

出典:
https://note.fuller-inc.com/n/naa8699137f3f
https://news.careerconnection.jp/dx/jdz_rmxuw48/
 

女性活躍推進を目的とした地方銀行の事例

地方銀行では、女性活躍推進を目的としたリスキリングも拡大しています。

これまで窓口業務や事務職を中心に担当していた女性社員に対し、資産運用営業や法人営業、マネジメント職へのチャレンジを支援する取り組みが増えています。

例えば、営業スキルやコンサルティングスキルを学ぶ研修に加え、キャリアデザイン研修や管理職育成プログラムを実施する銀行もあります。また、メンター制度やロールモデルとなる先輩社員との交流機会を設けているケースも少なくありません。

こうした取り組みにより、女性社員の活躍領域は大きく広がっています。同時に、地域金融機関が抱える人材不足への対応策としても重要な役割を果たしています。
 

銀行でリスキリングを進めるためのツール

銀行におけるリスキリングを成功させるためには、学習機会を提供するだけでは不十分です。従業員が効率的に知識を習得し、実務で活用できるレベルまでスキルを定着させるためには、適切なツールの活用が欠かせません。

特に近年は、デジタル技術の進化や生成AIの普及によって、学習・管理・実践トレーニングを支援するさまざまなソリューションが登場しています。ここでは、銀行がリスキリングを推進する際に活用したい代表的なツールを紹介します。
 

eラーニング

eラーニングは、銀行のリスキリング施策において最も広く活用されている学習手法の1つです。

従来の集合研修では、受講者のスケジュール調整や会場確保が必要でしたが、eラーニングであればパソコンやスマートフォンを通じて好きな時間に学習できるため、多忙な銀行員でも継続的に学びやすくなります。

特に銀行では、以下のようなテーマの学習に活用されています。

  • ファイナンシャルプランニング

  • 資産運用提案

  • 法人ソリューション営業

  • 事業承継・M&A

  • DX・デジタルリテラシー

  • AI活用

  • コンプライアンス

  • 情報セキュリティ

また、動画教材だけでなく、マイクロラーニング形式の短時間コンテンツも増えており、業務の隙間時間を活用した学習が可能になっています。

一方で、eラーニングは知識習得には有効であるものの、営業スキルやコンサルティングスキルなど実践力の向上には限界があります。そのため、後述するAIロープレなどの実践型ツールと組み合わせることが重要です。

加えて、金融関連の専門知識を学ぶeラーニングとともに、その知識を効果的に発揮するためのビジネススキルを学ぶeラーニングの活用も欠かせません。

▼ビジネススキルのリスキリングに効果的なeラーニングコース一覧はこちら

 

LMS・学習プラットフォーム

LMSLearning Management System)は、教育・学習の管理を行うシステムです。

銀行におけるリスキリングでは、単に教材を配信するだけでなく、誰がどの研修を受講し、どこまで習得できているかを可視化することが重要になります。LMSはそのための基盤となるツールです。

具体的には以下のような機能があります。

  • 受講状況の管理

  • 学習履歴の蓄積

  • テスト・理解度確認

  • スキルマップ管理

  • 研修受講の推奨・通知

  • 学習データの分析

例えば、窓口業務から資産運用コンサルティング業務への転換を進める場合、対象者ごとの学習進捗や資格取得状況を一元管理できます。

また近年では、AIを活用して受講者に最適な学習コンテンツを推薦する機能を備えた学習プラットフォームも増えています。これにより、一律の研修ではなく、個々のスキルレベルやキャリア志向に応じた学習機会の提供が可能になります。

加えて、行内独自のルールやノウハウ・知識を学習するための独自コンテンツを作成して配信することも可能です。銀行において大規模なリスキリングを推進する場合、eラーニング単体ではなく、LMSを中心に学習体制を構築することが望ましいでしょう。
 

AIロープレ

近年、銀行業界で特に注目を集めているのがAIロープレです。

AIロープレとは、生成AIや音声AIを活用し、顧客役をAIが担当することで営業・接客・コンサルティングの練習を行う仕組みです。

銀行では、個人営業や法人営業において高度なヒアリング力や提案力が求められます。しかし、これらのスキルは知識学習だけでは身に付きません。実際に顧客との対話を繰り返しながら習得していく必要があります。

従来のロールプレイングでは、

  • 上司・先輩が顧客役を担当する

  • 相手役が忙しく実施機会が限られる

  • フィードバックや評価が属人的になりやすい

  • 心理的負担が大きい、心理的安全性が担保されない

といった課題がありました。

AIロープレを活用すれば、受講者は時間や場所を選ばず何度でも練習できます。また、会話内容や質問力、提案内容などをAIが分析し、客観的なフィードバックを受けることも可能です。

例えば、

  • 資産運用提案

  • NISA提案

  • 相続相談

  • 住宅ローン提案

  • 法人融資面談

  • 経営課題ヒアリング

  • M&A提案

といった銀行業務特有のシナリオを再現しながら実践的なトレーニングを実施できます。

さらに、窓口担当者からコンサルティング営業職への転換や、ベテラン職員の新領域への挑戦においても、実案件に近い環境で安全に経験を積める点は大きなメリットです。

リスキリングの目的は単なる知識習得ではなく、成果につながる行動変容を促すことです。その意味で、AIロープレは「学ぶ」から「できる」への橋渡しを担う重要なツールとして、今後ますます導入が進むと考えられます。

▼銀行におけるロープレについては、以下で詳しく解説しています。

 

まとめ|銀行のリスキリングを成功させるには

銀行業界では、店舗業務のデジタル化やコンサルティングビジネスへの転換、DXAI活用の拡大などを背景に、従来とは異なるスキルを持つ人材が求められるようになっています。そのため、既存人材を新たな役割へと育成・再配置するリスキリングは、今や人材育成施策ではなく経営戦略を実現するための重要な取り組みとなっています。

本記事では、銀行でリスキリングが求められる背景として、人材再配置やDX推進、AI活用、DE&I推進、一般職から総合職への転換などを紹介しました。また、育成テーマとして個人・法人向けコンサルティング営業、ローン営業、DX人材育成、AI活用、女性・シニア活躍推進などが重要であることを解説しました。

一方で、リスキリングは単に研修を実施すれば成功するものではありません。経営戦略と連動した明確な目的設定、転換後の役割の明確化、人事評価制度との整合、そして従業員の心理的不安に配慮した支援体制が欠かせません。さらに、事例で見たように、先進的な銀行では学習機会の提供だけでなく、実際の業務変革や人材活躍までを見据えた取り組みを進めています。

また、リスキリングの成果を高めるためには、eラーニングやLMSによる知識習得に加え、AIロープレなどを活用した実践的なトレーニングも重要です。特にこれからは、「知っている」だけではなく、「できる」人材を育成できるかどうかが競争力を左右する時代になるでしょう。

銀行のリスキリングを成功させるためには、質の高い教材、継続的な学習環境、そして安心して挑戦できる実践の場を整備することが不可欠です。学習と実践をつなぐ仕組みを構築し、人材の成長と経営戦略の実現を同時に推進していくことが、これからの銀行に求められる重要なテーマといえるでしょう。

株式会社LDcubeでは世界レベルの著名なMBA教授らが監修した高品質なeラーニングコンテンツを有しているCrossKnowledgeLMS/eラーニング製品を日本で展開しています。もちろん自社コンテンツの制作や搭載も可能なため、リスキリングするための学習環境を整えることができます。

また、学習したことを実践に移すためのAIロープレのご支援もしています。

無料のデモIDの発行や導入事例の紹介なども行っています。受講者からの評判や受講費用など含めて、お気軽にお問い合わせ、ご相談ください。

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LDcube編集部
LDcube編集部
株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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