銀行員研修の新定番!顧客視点を学ぶ経営シミュレーションとは?
銀行業界において、行員のスキルアップと知識の向上は、顧客サービスの質や金融商品の販売力に直結する重要な要素です。
しかし、多くの金融機関が抱える課題は、銀行員研修が形式的なものにとどまり、実務に直結するスキルが十分に習得されない点です。
特に、経営者視点の重要性を認識し、その視点を啓発するための取り組みが不足している場合があります。
銀行の重要な顧客である経営者を理解するためには、経営者視点の啓発が不可欠です。多くの銀行では、現場の従業員が日常業務に追われ、大局的な経営視点を持つ機会が少ないのが現状です。
そのような中、注目を集めているのが、経営シミュレーション研修です。
本記事では、経営シミュレーションを活用した実践的な研修プログラムを紹介します。
この手法を取り入れることで、経営者視点を育みながら、行員のスキルと知識が深まり、現場での顧客理解が進むことが期待されます。
経営シミュレーションを活用し、実践的なスキルを身に付けた行員は、顧客理解が深まり、パフォーマンスを最大化し、結果として顧客満足度の向上につながります。
これからの銀行員に求められるのは、銀行業界の理解、顧客対応のスキルや金融商品に関する知識、ITスキルだけではなく、経営者視点を理解する力です。
※本記事は銀行業界で働く研修担当者向けの情報を提供しています。
▼銀行でのeラーニング導入については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒銀行でもeラーニング導入は効果的!メリット・デメリットを徹底解説
▼経営シミュレーションについては下記で解説しています。合わせてご覧ください。
⇒経営シミュレーション研修とは?人材育成の新手法について解説!
▼関連資料はこちらからダウンロードできます。
目次[非表示]
- 1.新定番!今後の銀行員研修
- 2.銀行業界の主な研修内容
- 2.1.銀行業界の基礎知識
- 2.2.顧客対応に必要なコミュニケーションスキル
- 2.3.金融商品の知識
- 2.4.ITスキル
- 2.5.チームワークの構築
- 3.経営シミュレーション「Biz-Ex」
- 4.まとめ
新定番!今後の銀行員研修
これからの銀行員研修の新定番は、「経営シミュレーションで学ぶ経営者視点」です! |
なぜなら、銀行員にとってさまざまなお客様がいる中で、重要な顧客の一人が経営者だからです。
銀行員は企業の資金調達を支援するために融資を行ったり、企業が売上を銀行口座に預けたりするサービスを提供します。
経営者との関わりが深くなるため、法人顧客に対応する銀行員は経営者の視点を理解する必要があります。
しかし、先輩行員からのOJTや行内の教育などでは、経営者視点について教えきれていない場合が多いです。
経営シミュレーションは、経営者の役割を演じることで、経営の難しさや業界のトレンド、企業経営者の立場からの視点などを理解するのに役立つ手法です。
仮想的なビジネス環境で、受講者が経営者の立場でさまざまな意思決定をする中で、経営や会社に対する理解を深めることができます。
もっと具体的に言うと、受講者がマーケティング戦略の立案、製造計画や生産管理、設備投資、人事や財務管理などの経営全般を体験できるため、収入と支出をバランスよく管理することの難しさを体感できます。
また、SDGsや人的資本経営のような社会や市場の動向や、経営環境の変化に、より柔軟に対応するための戦略を練ることで、経営者の日々の決定がどのような影響をもたらすのかを理解できます。
経営シミュレーションでの体験・経験から、銀行員は経営者からの資金調達の要望や、ビジネスローンの審査など、さまざまな事業上のニーズに対応できるようになるなど、仕事に生かすことができます。
経営者の視点を理解しているため、経営者へのアドバイスや提案も、より具体的かつ適切なものとなります。
経営シミュレーションは、銀行員が経営者とより良い関係を築く上で非常に有効な手段といえます。
▼経営の勉強法については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒経営の勉強は何をすべきか?実践スキルを身に付ける効果的な方法
銀行業界の主な研修内容
これまで銀行業界で行われてきた、主な研修内容について説明します。
(銀行業界の主な研修内容)
|
銀行業界の基礎知識
研修では、受講者は主に銀行業界全体についての基礎的な知識学びます。
金融機関としての銀行の役割や法的な位置づけ、長期にわたる銀行業界の変遷と現状、業界のトレンドなどについての理解を深めるためです。
また、競争環境や各種法律規制の内容など、業界全体の状況把握に欠かせない情報を網羅します。
これらの知識は、受講者が業務への理解を深め、業界の変化に対応する基盤となります。
顧客対応に必要なコミュニケーションスキル
銀行業界の基礎知識の次に重要なのは、「顧客対応に必要なコミュニケーションスキル」の習得です。
銀行業界では、顧客からの信頼を得るために、銀行員に高いコミュニケーションスキルが求められるからです。
まず、受講者は基本的なマナーや顧客の印象に残る話し方、状況に応じた言葉遣いなどについて理解を深めます。
さらに、顧客からの問い合わせへの対応や、課題解決の方法、難易度の高い交渉スキルなど、多角的に学びます。
このような学びは、銀行員としてのプロフェッショナルな対応力を生み出します。
金融商品の知識
銀行員の業務を行うには、金融商品に関する知識が欠かせません。
受講者は銀行が提供する各種の預金、投資信託、保険、ローンなどの仕組みを学ぶとともに、そのリスクやメリット、法規制などについて理解を深めます。
また、必要に応じて資格取得の学習なども行います。
その上で、顧客へ最適な金融商品を提供するためのマッチング技術も習得します。商品の特性を理解し、顧客のニーズを引き出すことで、より良いサービスを提供することができます。
ITスキル
現代社会において、ITスキルは業界を問わず重要とされており、銀行業界も例外ではありません。
銀行業務は大量のデータを扱うことが多く、効率的かつ正確的にデータを処理することが非常に重要です。
そのため、銀行員にはITスキルの習得が必要不可欠となり、業務に必要なPC操作や、銀行独自のシステムを使った業務フロー、データ分析の基本的な手法などを教える研修が多いです。
チームワークの構築
銀行業務は、単独で行うことは少なく、チームで協力して成し遂げることが多いです。
そのため、研修ではチームビルディングの一環として、グループワークやロールプレイ、ケーススタディーによるディスカッションなどが行われます。
受講者が互いに意見を出し合い、共に考え、共に成長することで、より強固なチームを作り上げることができます。
これからは上記の研修内容に加え、顧客である経営者の視点を学ぶ、経営シミュレーションを取り入れていくことが、現場での提案力を強化し、競争優位性を築いていくポイントです。
▼研修のみならず、自己啓発でマネジメントについて学ぶことも重要です。
⇒自己啓発でマネジメントを学び、生かすポイントとは?キャリアアップに生かすコツも紹介
▼昇格試験に合格して昇進していくことも求められます。試験に受かる人の特徴を整理しました。
⇒昇格試験に合格する人の特徴とは?試験に受かる実践的な学習方法を紹介
経営シミュレーション「Biz-Ex」
Biz-Exとは
Biz-Exは良質なビジネスエクスペリエンスを提供する経営シミュレーションです。 |
受講者は経営者となり、企業経営の全体像を把握しながら、自らの意思決定で6期分の経営活動を行います。
未来予測が困難な時代において、マーケットの拡大を見越した戦略立案、SDGsや人的資本経営への取り組みなど、企業経営の新しいスキルを体感しながら学べるのが特長です。
銀行に限らず多くの企業の社員研修の一環として活用されています。
Biz-Exは1人での受講、もしくはチームでの受講が可能です。チームで受講する場合は、受講者全員が同じ状況から経営を体験していきます。
まずは現在の財務諸表の理解、さらには関係者とのヒアリングを通じて具体的なビジネス環境や課題を把握します。それに基づき、中期経営計画の策定を行います。
その後、決めた中期経営計画に基づいて、経営全般にわたる各種の意思決定を行います。受講者が意思決定を行うと、その意思決定を基にシミュレーションが始まり、1つの期の最後に経営結果が提示されます。
6期を通して、売り上げが伸びたり下がったり、資金ショートしたりすることを体験しながら、競合他社がひしめく中で自社の競争優位性を確立するための経営活動を行っていきます。
▼Biz-Exについては下記で紹介しています。
⇒経営シミュレーション実践型eラーニングBiz-Ex
経営シミュレーションの進行形式はオンラインでのコーチングと共に進めます。進め方は2つあります。
|
個人での受講
個人で受講する場合には、受講者個人が代表取締役となって意思決定を行い、シミュレーションしていきます。
個人の意思決定の傾向や現在のビジネスに関するスキルや知識について確認しながら経営者視点を理解していきます。
チームでの受講
チームで受講する場合には、受講者数名でチームを編成し、チーム内で役割分担をして進めていきます。
代表取締役社長、営業担当役員、製造担当役員、人事担当役員、財務担当役員などです。
自分たちが企業のエグゼクティブチームという位置づけで、意思決定・シミュレーションを行っていきます。
Biz-Exでは、現実に近い形で経営結果が反映されるため、シミュレーションとはいえ、真剣勝負の舞台といえます。
真剣勝負をすることは受講者が自身の特性や傾向を見つめる契機となり、また目の前の課題に対する取り組み方の変化など、自身の成長を感じられるような経験を提供します。
6期分の経営活動が終わると、受講者の学びをより深めるため、経過した期間中におけるシミュレーション上での経営結果と学習行動データ、個人診断結果をまとめたフィードバックが提供されます。
この結果を受講者自身の理解を深めたり企業全体の成長戦略につなげたりすることが可能となります。
Bie-Exは経営についての十分な理解がないと、シミュレーション上での業績向上は難しいです。
新人や若手行員が受講する場合には、難易度が高いと感じられるかもしれません。
しかし、他の業界とは異なり、新入行員の段階から財務諸表などについての学習を積極的に行っている銀行員の場合には、経営に対する理解度が格段に高まっています。
新人や若手行員が当プログラムを受講する際には、チーム形式での受講を推奨しています。
経営チームを結成し、協力しながら進めることで、難易度の高い経営シミュレーションに挑みやすくなります。
また、チーム内での役割分担を通じて、具体的な経営における役員の役割や責任についても体験的に学ぶことが可能となります。
▼経営シミュレーションを新入行員に導入した事例を紹介します。
⇒新人行員が経営者のパートナーの地位獲得を目指して【Biz-Ex活用事例】
【Biz-Exはいくつもの賞を受賞しています】
まとめ
銀行員が対応するお客さまの中には経営者もいます。お客さまを理解し、その視点を持つためには、経営者の視点を学ぶことが必要不可欠です。
従来の研修に加えて、経営シミュレーションを取り入れることで、経営者の立場を自分事として経験することができ、経営者視点を学ぶことができます。
シミュレーションとはいえ、経営状況をリアルに再現しているため、経営についての理解がないと難易度が高く、一筋縄では学習が進まない場合もあります。
特に新人や若手行員の場合、経営チームを組んで取り組むことで、経営シミュレーションに挑戦しやすくなります。
また、チーム活動を通じて、組織内での各役員の役割や責任を実際に体験しながら学ぶことができます。
経営シミュレーションでの学習は、経営者視点を学ぶだけではなく、自分の啓発点なども掴むことができ、自身のキャリアアップに向け、勉強しなければならないテーマを明確にすることにも役立ちます。
LDcubeでは新時代の人材育成や新たな教育のあり方などの実現に向けた、さまざまなサービスを提供しています。
企業経営においては、経営幹部や次世代リーダー育成などのシーンでの経営シミュレーションを提供してきました。
銀行業界では、多くの若手社員が財務やファイナンスについての知識を有しているため、若手社員によりリアルな経営者視点を持たせるにためにBiz-Exが多く活用されています。
ぜひ経営者視点の醸成に向けてBiz-Exを活用してみてはいかがでしょうか。
▼関連資料はこちらからダウンロードできます。
▼ 合わせて読みたい