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リスキリング研修とは?事前に知りたい対象者や内容を事例と共に解説

「リスキリング研修とは具体的にどのようなものなのだろう?」
「リスキリングと言っても幅が広いけど、研修として実施した方が良いのだろうか?」

自社の人材育成において、リスキリング研修が有効なのでは、と思いながらも、その実態が具体的に分からず悩まれていませんか?

そもそもリスキリングとは、新しいスキルを習得するための職業能力の再開発のことを指します。

リスキリング

これを踏まえると、リスキリング研修とは、従業員の職業能力の再開発を目指す研修と言い換えられます。つまり、学び直しのための教育訓練です。

近年は、デジタル技術の進化や市場環境の変化に対応するため、多くの企業がリスキリング研修の導入を進め、新しい考え方や仕事にチャレンジできるように対策しています。

事業を取り巻く環境が変われば、自社の事業・業務に必要なスキルも変わってくるため、企業の成長を確かなものにしたいなら、先行する企業にならってリスキリング研修を実施すべきです。

ただ、リスキリング研修がどのようなものなのか、どういった効果が見込めるのか、具体的なところが不明瞭なままでは自社での実施に踏み切れませんよね。

そこで本記事では、リスキリング研修の実施を検討している方に向けて、以下の内容をまとめました。

本記事を読んで分かること

  • リスキリング研修とは
  • リスキリング研修のメリット、デメリット
  • リスキリング研修を取り入れるべき社員の特徴
  • リスキリング研修の実施方法
  • リスキリング研修の実施手順
  • リスキリング研修の成果を最大化するためのコツ

この記事を読むことで、リスキリング研修が企業にどのように役立つのかが分かり、自社に取り入れるべきか否か判断がしやすくなります。

さらに、実施方法や手順、研修成果を最大化するための方法まで網羅しているので、効果的なリスキリング研修の糸口がつかめるでしょう。

ぜひ最後までお読みいただければと思います。

▼リスキリングについてはテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。

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目次[非表示]

  1. 1.注目されているリスキリング研修とは
    1. 1.1.リスキリング研修の対象者
    2. 1.2.リスキリング研修で習得するスキル
  2. 2.リスキリング研修を実施している企業事例
    1. 2.1.DX推進に向けたITリテラシーのリスキリング研修事例
    2. 2.2.海外事業拡大に向けた語学のリスキリング研修事例
  3. 3.リスキリング研修を実施するメリット
    1. 3.1.人材不足への対策となる
    2. 3.2.新たな事業創出につながる可能性がある
    3. 3.3.求められる業務やサービスに対応できる
  4. 4.リスキリング研修を実施する場合の注意点
    1. 4.1.研修の必要性が社員に理解されづらい
    2. 4.2.社内で研修を完結させるのは難しい
    3. 4.3.ある程度の予算を確保する必要がある
  5. 5.成長したい企業ならリスキリング研修は実施すべき
  6. 6.リスキリング研修の実施方法2パターン
    1. 6.1.社内で実施する
    2. 6.2.外部の研修サービスを活用する
  7. 7.リスキリング研修の効果的な実施手順
  8. 8.まとめ:リスキリング研修を実施しよう

注目されているリスキリング研修とは

リスキリング研修とは イメージ

冒頭でもお伝えした通り、リスキリング研修とは、従業員の職業能力の再開発を目指す研修です。

リスキリング研修を実施し、従業員が新たな知識や技能を習得することで、従来とは異なる業務を進められるようになったり、新規事業の創出につながったりする可能性もあります。

ただ、そうは言っても、具体的にどのような能力を習得させれば良いのか、誰に研修を実施すれば良いのか、イメージがつきづらいところです。

そこで、ここでは以下のことを解説します。

  • リスキリング研修の対象者
  • リスキリング研修で習得するスキル

これらを押さえて、リスキリング研修の概要を把握していきましょう。

リスキリング研修の対象者

リスキリング研修の対象者は、企業の今後の経営ビジョンによって変わります。

なぜなら、企業が目指す方向によって、「誰にどんなスキルが必要か」は異なるからです。

例えば、海外での事業拡大を目指す企業においては、「海外事業部の従業員」を対象に、語学やその地域の事業環境等の知識を習得させるための研修を行う必要があります。

一方、価値を生み出すコア業務に注力するため、アナログな業務のあり方を一新するという目標を掲げているなら、「全社員」を対象にITリテラシー等の研修が必要となるでしょう。

このため、リスキリング研修の対象者は、企業が目指す方向性によって決まってくるものなのです。

リスキリング研修で習得するスキル

リスキリング研修で習得するスキルも、研修の対象者と同様、今後の経営ビジョンによって変わってきます。

先ほどお伝えしたように、自社に必要となる職能は、「企業として今後どうあるべきか」という方向性によって変わるからです。

ただ、リスキリング研修が注目されるようになった背景に、

  • DXの推進が求められている
  • 事業を取り巻く環境の激しい変化

といった要素があることから、例えば以下のようなスキルの習得を目指す企業は多いです。

【リスキリング研修で目指すスキルの例】

研修の種類

習得できるスキル例

デジタルスキル系研修

・ITリテラシー
・プログラミング(Python, Java, HTML/CSSなど)
・データ分析・統計
・AI・機械学習の基礎
・クラウドコンピューティング(AWS、Google Cloudなど)
など

クリエイティブスキル系研修

・グラフィックデザイン(Photoshop、Illustrator)
・コンテンツ制作(動画編集、ライティング)
・アイデア発想法(ブレインストーミング、マインドマップ)
など

言語系研修

・英会話(ビジネス英会話、日常会話)
・英文ライティング(報告書作成、メールの書き方)
・異文化コミュニケーション
・会議やプレゼンでの英語運用
 など

リスキリングの研修や施策を通して習得するスキルについては、「リスキリングで何を学ぶ?6領域33種のスキルと決める手順を解説」で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご参考ください。

リスキリング研修を実施している企業事例

リスキリング研修事例イメージ

ここまで、リスキリング研修の概要を把握するための情報をお伝えしてきました。

ただ、実際の研修内容としてはどのようなものが考えられるのか、まだイメージをつかみきれていないかと思います。

そこで、ここでは、実際にリスキリング研修を実施している企業の事例を2つご紹介します。

なお、研修実施も含めたリスキリング施策の企業事例については「【リスキリング事例12選】大企業・中小企業それぞれのヒントが満載 」で多く紹介しています。

併せてお読みいただくことで、さらにリスキリング研修の解像度がアップするはずです。

DX推進に向けたITリテラシーのリスキリング研修事例

まずご紹介するのは、DXの推進を念頭に、ITリテラシーのリスキリング研修を実施する三菱商事株式会社の事例です。

同社は、DX人材の育成に積極的に取り組んでいる企業です。

デジタル人材育成のため、以下のようなプログラムでITリテラシーの研修を実施しています。

デジタル人材育成プログラムの例

出典:経済産業省「人的資本経営コンソーシアム 好事例集

同社では、全社員対象のオンデマンド講座「IT・デジタルリテラシー講座」により、IT・デジタルスキルを底上げしています。

加えて、「MCイノベーション・ラボ」を立ち上げ、6か月にわたる座学と実践演習により、自力でプログラミングができるレベルまで研修を実施しています。

こちらの事例は、DXやデジタル化の推進を背景にリスキリング研修の実施を検討している企業にとっては、研修内容のイメージを掴むのに役立つはずです。

海外事業拡大に向けた語学のリスキリング研修事例

次にご紹介するのは、海外事業拡大に向けて英語のリスキリング研修を実施する三井不動産株式会社の事例です。

同社では、成長戦略として海外事業の拡大を打ち出すと同時に、英語のリスキリングを大々的に実施しました。その研修内容は、以下のようなものです。

三井不動産株式会社のリスキリング事例

  • リスキリング研修で習得したスキル
    英語によるコミュニケーションやディスカッション、TOEIC受験など

  • 研修内容
    階層別に海外での英語研修を実施。
    ー若手社員:4~8週間ほど海外の語学学校に通い、ホームステイも経験
    ー中堅社員:海外の語学学校に2~4週間ほど通い、マンツーマンの語学研修を受講
    ー役職者:ハーバードなどのビジネススクールで、2~3週間の短期コースに参加

  • 成果
    8年で海外業務を遂行できる従業員が3倍に増加

参考:株式会社アルクエデュケーション「社員の英語力、視野を広げた三井不動産のグローバル研修」、三井不動産株式会社「海外事業の飛躍的な成長」

このように、海外事業部署内の幅広い従業員に研修を提供しながらも、階層ごとに内容を精査しています。

事業戦略としてグローバル化が視野に入っている企業が、どのようなリスキリング研修を行えば良いか、参考になる事例の一つです。

リスキリング研修を実施するメリット

リスキリング研修メリット イメージ

リスキリング研修がどのようなものか、その実態がつかめてきたのではないでしょうか。

そこで次は、リスキリング研修を実施することのメリットについても見ていきましょう。

リスキリング研修を実施するメリット

  1. 人材不足への対策となる
  2. 新たな事業創出につながる可能性がある
  3. 求められる業務やサービスに対応できる

得られるメリットを把握することで、リスキリング研修が自社にとって本当に必要な施策かどうかの判断にお役立てください。

人材不足への対策となる

リスキリング研修には、人手不足の問題を解決に導くメリットがあります。

現代の労働市場では、少子高齢化や必要なスキルを持った人材の獲得競争の激化の影響で、企業が求める人材を外部から採用するのは難しくなっています。

さらに、採用コストは高くつきやすいので、企業にとって大きな負担になる場合もあるでしょう。

リスキリング研修を活用すれば、既存社員を育成でき、自社で必要なスキルを持つ人材を確保することが可能となります。

例えば、そもそもITリテラシーの高いWeb制作担当者や、情報システム担当者(非エンジニア)に、プログラミング言語やシステム運用スキルを習得させるリスキリング研修を行うことで、最新スキルを持ったエンジニアを育成できます。

このように、既存の社員をリスキリング研修で育成できれば、採用だけに頼ることなく必要な人材を確保することが可能なのです。

新たな事業創出につながる可能性がある

リスキリング研修のメリットには、新たな事業を生み出す可能性があることも挙げられます。

社員が新たなスキルを習得することで、既存事業の枠を超えた新しいアイデアが生まれたり、今まで対応できなかった分野へ進出したりするきっかけになるからです。

特に、デジタル技術やデータ活用のスキルを習得することで、従来の業務プロセスを改善しながら、新しい市場やサービスの開拓が可能になります。

例えば、小売業の社員がデータ分析やEC運営のスキルを習得できれば、実店舗中心のビジネスモデルから、世界市場に向けたオンライン販売に参入できるようになります。

製造業では、AIやIoTの知識を持つ社員が増えることで、スマートファクトリー化や新しい製造プロセスの導入が進み、そのノウハウを提供する事業の創出につながる可能性が出てきます。

このように、リスキリング研修を通じて社員のスキルを強化することで、新たな市場への参入や新規ビジネスの立ち上げが現実的なものとなるのです。

求められる業務やサービスに対応できる

リスキリング研修には、求められる業務やサービスに対応できるようになるメリットも挙げられます。

すでに多くの方が実感していると思いますが、近年は目まぐるしいほどのテクノロジーが進化しています。

そのために、企業には業務の効率化や新たなサービスの提供が求められるようになりました。

例えば、製造業やサービス業などでは、従来のアナログ的な業務手法から、AIやIoTを駆使したデジタル化が進んでいます。

こうしたデジタルな業務手法に対応できないままでは、顧客の求めるスピードで商品やサービスを提供することができなくなってくるでしょう。

また、教育業界でもデジタル化が進んでおり、オンライン学習プラットフォームや教育アプリを活用した授業が増えています。

医療分野でも、患者データを管理する電子カルテシステムの導入や、テレメディスン(遠隔医療)の普及に伴い、デジタルスキルの向上が求められています。

このように、業界を問わず、従来のスキルセットでは対応が難しい場面が増え、求められるものも変化していることがわかります。

リスキリング研修を実施することで、社員が新たなスキルを習得し、業務の変化に柔軟に対応できるようになります。

その結果、企業全体の生産性が向上し、より高品質なサービスの提供が可能になるでしょう。

企業にとってリスキリング研修には、企業成長を支えるメリットがあると言えます。

リスキリング研修を実施する場合の注意点

注意点 イメージ

企業の課題解決や事業成長につながるほどのメリットがあるリスキリング研修ですが、実施には注意点もあります。それは以下の3つです。

リスキリング研修の注意点

  1. 研修の必要性が社員に理解されづらい
  2. 社内で研修を完結させるのは難しい
  3. ある程度の予算を確保する必要がある

1つずつ解説します。

研修の必要性が社員に理解されづらい

リスキリング研修は「なぜ研修が必要なのか」が、社員に十分理解されづらいので導入には注意が必要です。

現在の業務に不満を感じていない場合、以下のような疑問や不満が生じるためです。

「これまでのやり方で問題なく業務が回っているのに、わざわざ新しい技術を学ぶ必要があるのか?」
「日々の業務だけでも忙しい。研修に時間を取られたくない」
「時間や労力をかけて学ぶべき研修内容と思えない」

特に、短期間では成果が見えにくい研修ほど、不満が高まりやすいため、不満を防ぐ対処法を取り入れることが重要です。

リスキリング研修の不満を防ぐ3つの対処法

リスキリング研修の不満を防ぐために、以下3つの対処法を取り入れることがおすすめです。
 
①研修の目的とメリットを具体的に社員へ伝える

研修導入目的や目標、社員一人一人にとってのメリットを明確に伝えると、研修導入への理解を得やすくなります。

例)
・新しいスキルを身につけることで昇格やキャリアアップの可能性が生まれることを伝える
・業務効率化によって業務の負担が減ることを説明する

②短期的な成果を可視化して成功体験を積めるようにする

短期的な成果を可視化できる仕組みを作り、研修の成果を実感できるようにすると、研修に取り組むモチベーションが維持しやすいです。

例)
・研修後すぐに実務で使える内容にする
・研修後に試せるミニ課題や実践ワークを取り入れる
・成果が実感できるKPIを設定する

③業務負担を考慮した研修設計にする

社員の業務の負担にならない配慮をした研修内容にすると、取り組みやすくなります。

例)
・短時間&実践的な内容にする
・業務時間内に受講できる仕組みを作る(eラーニング、動画視聴など)

リスキリング研修は社員のスキル習得ができなければ実施しても効果を得られないので、自分事として捉えてもらうことが、リスキリング研修成功の要因となります。


社内で研修を完結させるのは難しい

リスキリング研修は、社内だけで完結させるのは難しいことも注意点の1つです。

その理由は、企業内に必要なスキルを指導できる人材や十分な研修ノウハウが揃っていないケースが多いためです。

具体的には、以下のような課題が考えられます。

  • 研修講師としての適任者がいない:
    今まで業務に使わなかった全く新しいスキルの習得を目指す場合、研修を行える人材が社内にいない

  • 指導スキルの不足:
    専門知識はあっても、指導ができるとは限らない

  • 業務負担の問題:
    教育を担当する社員が本来の業務に追われ、十分な時間や労力を確保できない

このように、リスキリング研修を社内のみで完結しようとすると、さまざまな課題が出てきます。必要に応じて外部の専門機関を活用する工夫が必要です。

有効的なリスキリング研修を実現するための解決策

社内でリスキリング研修を完結させることは難しいという課題には、以下の解決策が効果的です。

①オンライン学習プログラム(eラーニングなど)を活用する
②外部講師や専門家を招く

リスキリング研修は、社内だけで完結させる必要はありません。

外部サービスも活用しながら、社内の業務に合わせた仕組みを組み合わせることで、効果的な研修が実現できます。


ある程度の予算を確保する必要がある

効果的にリスキリング研修を実施するには、ある程度の予算を確保する必要があります。

リスキリング研修の実施には、外部講師への依頼やオンラインプログラムなどが必要となる場合が多く、一定のコストが発生するからです。

加えて、研修時間確保のために、社員の業務を一時的に停止させる必要も出てきます。

そのことも踏まえて研修予算を確保し、投資することが求められます。

参考までに、リスキリング研修の相場は以下のとおりです。

【リスキリング研修の費用目安】

リスキリング研修の種類

金額

eラーニング型

2万円程度 / 年

外部講師派遣型

50万円程度 / 1日研修

上記は一般的なリスキリング研修の費用目安ですが、金額は研修内容でも変動します。

専門性がある高度なスキルの取得や資格取得を目指すリスキリング研修になると、上記よりも高額なコストが必要です。

研修を計画する際は、複数の研修提供企業から見積もりを取り、内容や費用を比較検討することがおすすめです。

リスキリング研修はコスト削減可能!

リスキリング研修にはコストがかかりますが、活用できる助成金があります。

【リスキリング研修で活用できる助成金】

人材開発支援助成金(厚生労働省)(助成額:45%~70%(一部賃金助成あり)
IT導入補助金(独立行政法人中小企業基盤整備機構)(助成額:導入経費の2分の1以内)

これらの助成金は、要件に当てはまっていれば、併用して申請・支給を受けることが可能です。

また、地方自治体でも、リスキリング研修に活用できる助成金や補助金を提供している地域があります。

【例:東京都の助成金】

事業外スキルアップ助成金(助成額:小規模企業者:3分の2、中小企業:2分の1)
DXリスキリング助成金(助成額:助成対象経費の4分の3)

助成金や補助金の情報は随時更新されます。制度の内容や条件は年度ごとに変わることが多く、新たな施策が追加されたり、既存の助成金が廃止・変更されたりすることがあります。

そのため、最新の情報を確認することが重要です。
具体的には、以下のような方法で最新情報をチェックできます。

厚生労働省経済産業省の公式サイト
・地方自治体の補助金・助成金情報
・商工会議所や業界団体の情報提供
・助成金・補助金検索サイト(J-Net21など)

(助成金の活用について最終的には読者の皆様の責任において活用の有無を判断ください)


成長したい企業ならリスキリング研修は実施すべき

リスキリング研修 イメージ

企業の成長を確かなものにしたいなら、リスキリング研修は取り入れるべきです。

近年、デジタル化やグローバル化などにより、企業を取り巻く環境は大きく変わり続けており、それに伴って事業・業務に必要なスキルも変わるためです。

例えば、以下のようなイメージです。


従来必要だったスキル

今後必要なスキル

製造現場の
品質管理業務

素早く・正確に不良品を選別するスキル

異常(不良品)検知システムを使いこなすスキル

マーケ
ティング

市場調査結果や顧客データを集計し、自ら分析するスキル

ツールを使って、Webサイト上のユーザーの行動や購買パターン、広告の効果などのデータを収集・分析するスキル

営業

顧客との直接的なコミュニケーションを通じて、ニーズを把握し、製品やサービスを提案するスキル

営業支援ツール(CRMやSFA)を活用して顧客データを解析し、効率的かつターゲットを絞った営業活動を行うスキル

カスタマー
サポート

顧客からの電話やメールに対して迅速かつ丁寧に対応するスキル

顧客との対話を通じて得たデータをAIツールと連携し、問題の予測や自動化された解決策を提供するスキル

このように、必要なスキルは大きく変化しています。

スキルの変化に追いつけずに、従来のノウハウのみに依存して事業を続けることは、企業の成長を妨げ、競争力を低下させる原因となります。

競合他社がリスキリング研修を積極的に進めていれば、その成長スピードの差は明確になり、差が広がることは避けられなくなるでしょう。

環境の変化が激しい中で、着実に企業成長を求めるのであれば、リスキリングは必要不可欠です。

さらに、その効果を確実なものとするためには、社員の自主性だけに任せず、会社として研修を実施することも大切です。

【例外:現時点ではリスキリング研修が不要な企業】

ただし、リスキリング研修が必ずしもすべての企業に必要というわけではありません。
以下のような企業では、リスキリング研修の導入は急務ではない場合もあります。

・人手による業務によって価値を提供している企業
例えば、職人技による手作業が価値となっているような企業では、大量生産の必要がなく、技術革新の速度に急いで対応する必要がないため、リスキリング研修の優先度は低いでしょう。
このような企業では、まずは手作業の技術継承が重要です。

・創業間もない企業
創業間もなく、事業を軌道に乗せるための業務に追われている企業では、まずは安定的な業務基盤の構築が最優先です。
基本的な運営や顧客獲得、資金調達に注力し、企業が成長軌道に乗ってから、リスキリング研修を進めることが賢明です。


リスキリング研修の実施方法2パターン

リスキリング研修 イメージ

ここまでで、リスキリング研修の実施に踏み切ろうと決意された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで次に気になるのが、「どのように研修を実施すれば良いか」という点ですよね。

リスキリング研修の実施方法は大きく、社内で実施する方法と、外部の研修サービスを活用する方法の2パターンあります。


メリット

デメリット

社内で実施する方法

・自社の課題に焦点を当てた研修ができる
・コストを抑えられる
・社員同士の知識共有が促進される

・教育リソースの確保が難しい
・専門性が高く、高度な内容には限界がある

外部の研修サービスを活用する方法

・社内で保有してない最新の知識や専門的なスキルを学べる
・研修設計の負担を軽減できる

・費用がかかる
・研修内容が自社と完全にマッチしない場合がある

それぞれにメリットがあるので、2つを並行してリスキリング研修を行うことも有効です。
1つずつ解説します。

社内で実施する

リスキリング研修の実施方法の1つは、社内のリソースを活用して社員に研修を実施する、という方法です。

具体的には、以下のような方法で社内の社員同士で学ぶ環境を構築します。

【社内研修の主な方法】

OJT

実際の業務を通じて学ぶ方法

例)プログラミングの習得を目指す社員に対し、エンジニアの社員がコードレビューをしながら指導する

社内勉強会・
ワークショップ

定期的にテーマを決めて開催し、社員同士で知識を共有する方法

自社作成の
動画教材

社内ポータル・社内SNSなどを活用し、好きなタイミングで学習ができる環境を提供する方法

例)全社員に向け、デジタルツールの使い方を説明する動画を共有する

社内でリスキリング研修を実施すると、企業の業務に直結した内容にできるので、ミスマッチが起こりづらいメリットを得られます。

ただし、指導する側に教育スキル・ノウハウが必要であり、研修のための準備や運営に負担がかかりやすいです。

社内に指導できる人材がいて、基礎的な内容であれば社内研修でスキル・知識の習得が叶うでしょう。

ただし、より専門性が高く、高度な内容になると社内では難しいかもしれません。社内リソースで対応が難しい場合は、次に紹介する外部の研修サービスを活用することがおすすめです。

外部の研修サービスを活用する

社内でリスキリング研修を実施することが難しい場合、外部の研修サービスを活用することもたいへん有効な方法です。

外部の研修サービスには、以下の方法があります。

【外部研修サービスの種類】

eラーニング

オンライン研修プラットフォームを活用する方法

社員が好きな時間に学べるオンデマンド講座を購入し、社員に提供する

対面・ライブ講義型
の企業研修

専門の講師を招き、体系的な知識や実践的なスキルを指導してもらう方法

外部サポートを活用することで、プロによる指導を受けられるため、専門的なスキルを効率的に習得できます。

さらに、研修実施に向けての準備が不要になるため、企業の負担を軽減できるメリットも得られます。

外部の研修サービスを活用するとコストがかかりますが、助成金や補助金を活用すれば、費用負担を抑えながら研修を実施することが可能になります。

社内リソースが足りない部分は外部の研修サービスの活用を検討することがおすすめです。

リスキリング研修の効果的な実施手順

リスキリング研修実施手順イメージ

リスキリング研修を始めるための実施手順は6ステップです。

【リスキリング研修を実施する6ステップ】

(1)経営陣を巻き込む

企業として必要なスキルを、経営ビジョンや事業戦略から検討するため、経営陣やそれに近しい人物を巻き込む。

(2)必要な人材像を定義する

今後の企業方針にとって、どのような人材が必要か定義する。

(3)従業員の現状のスキルを把握する

現状、社内にはどのようなスキルを持った人材が存在するのか把握する。

(4)リスキリングで学ぶべきスキルを特定する

必要な人材要件と、現状の人材を照らし合わせ、習得しなければならないスキルを特定する。

(5)研修の設計

習得したいスキルに応じて研修を設計する。
まずは、社内で実施する部分と外部サービスを取り入れる部分を明確にするところから始める。

(6)効果を測定し、

PDCAを回す

eラーニング配信システムに記録された学習状況や、従業員への聞き取りなどを通じて効果を測定。
必要に応じて研修教材や内容を改善する。

今後、リスキリング研修を実施するとなると、まず行うべきは経営陣を巻き込んで方向性を明確にすることです。

自社にとって本当に必要なスキルを習得させるためには、経営ビジョンを軸に「誰に、どのようなスキルを習得させるか」検討しなければなりません。

そのために重要な第一歩目が、経営ビジョンや事業戦略に精通した人物を巻き込むことなのです。

その後、企業の目指すべき方向から、研修の内容や対象者を具体化させていき、研修開始後はしっかりとPCDAサイクルを回していく、というのが、あなたが今後進めるべき手順の全体像となります。

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eラーニングと合わせてLMSをご活用いただくことで、誰が・何を・どこまで学習したのかが詳細に記録されます。

こうした学びを可視化する機能が、リスキリングの効果測定や改善にも大きく役立ちます。

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まとめ:リスキリング研修を実施しよう

今回はリスキリング研修について網羅的にお伝えしました。

この記事でお伝えしたことをまとめます。

リスキリング研修とは、従業員の職業能力の再開発を目指す研修です。

ただ、一言で「リスキリング研修」と言っても、研修の種類やスキルの種類は以下のようにさまざまあります。

【リスキリング研修で目指すスキルの一例】

研修の種類

習得できるスキル例

デジタル
スキル系研修

・ITリテラシー ・プログラミング(Python, Java, HTML/CSSなど) ・データ分析・統計 ・AI・機械学習の基礎 ・クラウドコンピューティング(AWS、Google Cloudなど) など

クリエイティブスキル系研修

・グラフィックデザイン(Photoshop、Illustrator) ・コンテンツ制作(動画編集、ライティング) ・アイデア発想法(ブレインストーミング、マインドマップ) など

言語系研修

・英会話(ビジネス英会話、日常会話) ・英文ライティング(報告書作成、メールの書き方) ・異文化コミュニケーション ・会議やプレゼンでの英語運用  など

多様なスキルや研修の中から、自社の経営ビジョンに合わせて具体的な内容を実施することになります。

リスキリング研修のメリットや注意点はそれぞれ以下の通りです。

リスキリング研修を実施するメリット

  1. 人材不足への対策となる
  2. 新たな事業創出につながる可能性がある
  3. 求められる業務やサービスに対応できる

リスキリング研修の注意点

  1. 研修の必要性が社員に理解されづらい
  2. 社内で研修を完結させるのは難しい
  3. ある程度の予算を確保する必要がある

実施において注意すべき点もありますが、今後確かな成長を目指すなら、リスキリング研修は実施すべきです。

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  【リスキリング事例12選】大企業・中小企業それぞれのヒントが満載 今、企業の成長と発展の鍵を握ると注目されているのが、「リスキリング」という社員の学び直しです。社員の成長を後押しし、変革の時代を勝ち抜く強い組織づくりに不可欠です。本記事では、大企業と中小企業のリスキリング事例 12選をご紹介し、取り組むポイントを解説します。 株式会社LDcube
  リスキリングに最適なeラーニングの活用法と陥りやすい落とし穴とは? 現在注目を集めているのが、eラーニングを活用したリスキリング支援です。本記事では、リスキリングへのeラーニング導入の概要や進め方、陥りやすい落とし穴と対策まで、網羅的に解説します。社員一人一人に寄り添った学習環境を実現し、組織力を強化していきましょう。 株式会社LDcube



LDcube編集部
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株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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