リーダーシップ開発とは?実務で使える6ステップの実践ポイント
「リーダーシップ開発に取り組まなければと思っているが、何から手をつければいいのかわからない」
このように悩んでいる方が、増えています。
近年、VUCA時代と呼ばれる不確実性の高い環境において、リーダーシップ開発の重要性がますます高まっています。優れたリーダーを育成することは、企業の存続に直結する重要課題です。
しかし、効果的なリーダーシップ開発プログラムを設計・実施するには、専門的な知識とノウハウが必要であり、 多くの企業が戸惑いを感じているのが現状です。
本記事では、リーダーシップ開発の基礎知識から、企業における実践ステップ、効果的な進め方のコツまで、 実務に役立つ情報を網羅的に解説します。
ご一読いただくと、従業員のリーダーシップを最大限に引き出し、組織力を飛躍的に高める手がかりが見つかるはずです。
▼ 自己啓発でマネジメントについて学ぶポイントについては下記で解説しています。
▼ リーダーシップ開発に適した年齢が調査により分かりました。下記にまとめています。
▼ リーダーシップ開発に関連して、次世代リーダーの選抜と育成について資料にまとめました。
目次[非表示]
- 1.リーダーシップ開発の基礎知識
- 1.1.リーダーシップ開発とは何か
- 1.2.リーダーシップとマネジメントの違い
- 2.リーダーシップ開発に投資する意義
- 2.1.VUCA時代への対応
- 2.2.人材不足
- 2.3.Z世代以降の意識変化
- 3.リーダーシップ開発を実践する流れ 6ステップ
- 3.1.目的と目標の明確化
- 3.2.現状分析とニーズの特定
- 3.3.プログラムの設計
- 3.4.予算とリソースの確保
- 3.5.参加者の選定
- 3.6.プログラムの実施
- 4.リーダーシップ開発を効果的に進めるコツ
- 4.1.学びを可視化する仕組みを取り入れる
- 4.2.プログラムの質を重視する
- 4.3.実践を通じてリーダーシップを育む
- 5.まとめ
リーダーシップ開発の基礎知識
「そもそも、リーダーシップ開発って、どんなもの?」
というシンプルな疑問から解決していきましょう。
最初に、リーダーシップ開発の基本的な概念について説明します。
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リーダーシップ開発とは何か
リーダーシップ開発とは、従業員のリーダーシップスキルを向上させるための取り組みを指します。
目的は、組織内の特定の個人が、より有能なリーダーになり、チームや組織の目標達成に貢献できるようにすることです。
リーダーシップ開発には多様な要素が含まれており、それぞれが重要な役割を果たしています。
【リーダーシップ開発の要素の例】 |
これらの要素を組み合わせることで、対象者の能力開発を多角的にサポートする取り組みが、リーダーシップ開発です。
単なる知識の習得にとどまらず、実践的なスキルの向上と行動変容を促すことが鍵となります。
リーダーシップとマネジメントの違い
「リーダーシップとマネジメントは、何が違うのか?」
というご質問を受けることがあります。
リーダーシップとマネジメントは、重複する部分も多いのですが、あえて違いをわかりやすく区別すれば、以下の通りです。
・リーダーシップ: |
ただし、広義でのマネジメントは、組織目標の達成のために、計画・組織化・指揮・統制を行う活動全般を指します。「リーダーシップはマネジメントに含有される」という見方もできるでしょう。
優れたリーダーは、マネジメントスキルを発揮して組織運営を進める一方で、強力なリーダーシップでメンバーをけん引します。
将来の経営幹部や後継者を育成する際には、マネジメントとリーダーシップの両方のスキルを、バランスよく磨くことが重要です。
従来、多くの企業ではマネジメントスキルの向上に重点が置かれてきました。しかし、近年のビジネス環境の変化に伴い、リーダーシップ開発への関心が高まっています。
詳しくは以下に続きます。
リーダーシップ開発に投資する意義
近年、リーダーシップ開発への関心が高まっています。リーダーシップ開発に投資する意義は、どこにあるのでしょうか。
ここでは、とくに注目される3つの背景について、説明します。
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VUCA時代への対応
1つめのポイントは「VUCA時代への対応」です。
現代社会は、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)といった特徴を持つ、VUCA時代の渦中にあります。
このような時代において、組織を成功に導くためには、変化に柔軟に対応できるリーダーシップが不可欠です。
従来のようなトップダウン型のリーダーシップだけでは、複雑化する課題への対応が困難になっているといえるでしょう。
【現代のリーダーに求められる資質】 ・洞察力: |
VUCA時代を生き抜くためには、これらの資質を備えたリーダーの存在が欠かせません。
リーダーシップ開発への投資を通じて、時代に合ったリーダーシップを発揮できる人材を育成することが求められています。
人材不足
2つめのポイントは「人材不足」です。
少子高齢化の進展や労働市場の流動化により、人材の確保と定着は難しい課題です。
下グラフは、従業員の過不足状況を示す指標である「従業員数過不足DI」の推移です。
コロナ禍でいったん過剰に振れたものの、以降は右肩下がりが続いています。つまり、深刻な人手不足の状況にあるということです。
人材不足が深刻化する中、組織の持続的成長を実現するためには、優秀な人材を惹きつけ、育成し、定着させる仕組みづくりが不可欠です。
リーダーシップ開発は、そのような人材マネジメントの柱としても、注目されています。
【リーダーシップ開発が人材不足の解決に貢献する理由】 ・内部育成の強化: ・エンゲージメントの向上: ・組織文化の醸成: |
人材不足が深刻化する中、リーダーシップ開発への投資は、優秀な人材の確保と定着を実現する重要施策といえます。
Z世代以降の意識変化
3つめのポイントは「Z世代以降の意識変化」です。
世代間のギャップを理解し、それぞれのニーズに合ったアプローチを取ることが、組織としての急務となっています。
とりわけ、Z世代(1990年代後半から2010年代前半までに生まれた世代)以降の若手社員は、仕事に対する価値観や期待が、従来の世代と異なることが指摘されています。
【Z世代以降の特徴とリーダーシップ開発への影響】 ・ワークライフバランスの重視: ・目的意識の重視: ・学習機会の重視: ・多様性の尊重: |
多様化する人材を生かし、組織の持続的成長を実現するために、Z世代以降の意識変化に対応したリーダーシップ開発が不可欠なのです。
リーダーシップ開発を実践する流れ 6ステップ
続いて、実践の話をしていきましょう。リーダーシップ開発を実践するには、以下のようなステップを踏むことが重要です。
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以下でそれぞれ解説します。
目的と目標の明確化
1つめのステップは「目的と目標の明確化」です。
リーダーシップ開発に注力する意義や達成目標を明らかにし、組織の戦略や価値観との整合性を確保することは、効果的なリーダーシップ開発プログラムを設計する上で欠かせません。
【目的と目標の明確化のポイント】 ・リーダーシップ開発の目的を組織のビジョンと結びつける: ・目標をSMARTに設定する: ・ステークホルダーとの合意形成を図る: |
目的と目標を明確にし、関係者を巻き込んでいくことで、リーダーシップ開発プログラムの設計や実施を進める土台が整います。
目標設定に関しては、以下の記事もご覧ください。
現状分析とニーズの特定
2つめのステップは「現状分析とニーズの特定」です。
目的と目標を明確にしたら、次は現状分析とニーズの特定に取り組みます。組織のリーダーシップ開発の現状を把握し、課題や強化すべき点を浮き彫りにすることを目指します。
リーダーシップ開発プログラムの対象者となる人材のニーズや希望を理解することも、成功の鍵を握ります。
【現状分析とニーズ特定の方法】 ・組織のリーダーシップ開発の現状を把握する: ・リーダーシップに関する課題を特定する: ・想定対象者のニーズや希望を把握する: ・ギャップを分析する: |
現状分析とニーズの特定は、リーダーシップ開発プログラムの設計に欠かせないプロセスです。
現状分析とニーズ特定に基づいて、次のステップであるプログラムの設計に進むという段階を踏んだ手順が、非常に重要です。
プログラムの設計
3つめのステップは「プログラムの設計」です。
現状分析とニーズ特定に基づいて、リーダーシップ開発プログラムの設計に取り組みます。
目的や目標に合致した内容を盛り込み、研修・コーチング・メンタリング・実践的な経験など、さまざまな要素を組み合わせることが大切です。
【プログラムの設計のポイント】 ・目的や目標から逆算する: ・多様な学習要素を組み合わせる: ・対象者の特性やニーズに合わせてカスタマイズする: |
具体例を挙げると、まずeラーニングプログラムを活用し、リーダーシップの理論や基本的なスキルを習得させます。
そのうえで、実践的なワークショップやグループディスカッションを通じて、習得した知識を実践に移す機会を設ける、といった組み合わせが考えられます。
【eラーニングプログラムの例】
【学習目標】
・戦略、目標、使命、情熱に照らし合わせたビジョンの本質を理解できます。
・ビジョンの実現を妨げる要因とその対処法に関して学習できます。
・あなたとあなたのチームビジョンとの関わりを確認できます。
・ビジョンに対する弱い信念を特定し、メンバーのモチベーションを高める方法を学習できます。
・リーダーシップの本質を理解し、期待されるリーダーの資質に関して学習できます。【内容】
・ビジョンとは何か?
・ツールを使ってビジョンを設定する
・具体的で機能を果たすビジョンを作成する
・ビジョンを実行に移す準備
・部下の価値観とモチベーションの構築
・チームにビジョンを浸透させる
・リーダーシップとは何か?
上記は、LMS(Learning Management System:学習管理システム)の「CrossKnowledge」にて提供されるeラーニングの一部です。
詳しくは以下のページにてご確認ください。
なお、プログラムの設計を社内で行う余力がない場合には、外部の人材育成会社に委託することをおすすめします。
リーダーシップ開発は、質の低い内容を実施しても、無意味になってしまうからです。
よろしければ弊社LDcubeにて、ご相談を承ります。以下のページをご覧ください。
LDcubeが選ばれる理由(お問い合わせ)
予算とリソースの確保
4つめのステップは「予算とリソースの確保」です。
プログラムの内容や規模に応じて、必要な予算を確保し、社内外の講師やコーチなどの人的リソースを手配することを検討します。
プログラム実施に必要な設備や教材の準備も必要です。
【予算とリソースの確保のポイント】 ・予算の確保と配分: ・社内リソースの活用: ・外部リソースの選定: ・設備や教材の準備: |
なお、前出の外部の人材育成会社に委託する場合には、講師の手配や教材の準備などもまとめて依頼できます。
人材育成会社からの提案書と見積書を十分に確認しながら、詳細を詰めていきましょう。
参加者の選定
5つめのステップは「参加者の選定」です。
リーダーシップ開発プログラムの効果を最大化するためには、適切な参加者の選定が鍵となります。プログラムの目的や目標に合致した選定基準を明確にし、対象者を見極めることが求められます。
また、参加者の上司との調整を行い、理解と支援を得ることも欠かせません。
【参加者選定のポイント】 ・選定基準の明確化: ・公平性と透明性の確保: ・上司との調整: ・参加者の多様性の考慮: ・参加者のモチベーションの確認: |
参加者の選定は、リーダーシップ開発プログラムの成果に多大な影響を及ぼす重要なプロセスです。参加者の選定には十分な時間を投じ、綿密に取り組むことが求められます。
次世代リーダー選抜については、以下の記事もご覧ください。
プログラムの実施
6つめのステップは「プログラムの実施」です。
入念な準備を経て、いよいよリーダーシップ開発プログラムの実施段階に入ります。計画に沿ってプログラムを進行し、参加者の主体的な学びを促進することが重要です。
・計画に沿った進行管理: ・参加者の主体的な学びの促進: ・実践の機会の提供: ・フィードバックの提供:リーダーシップ開発プログラムでは、参加者に継続的なフィードバックを提供することが重要です。講師やコーチからのフィードバックに加え、上司や同僚からのフィードバックも活用しましょう。また、自己評価の機会を設け、参加者自身が成長を振り返れるようにします。 |
参加者の成長を最大限に引き出すことを目指して、実行に取り組んでいきましょう。
リーダーシップ開発プログラムの実施後は、最初に設定した目的・目標の達成状況を評価し、プログラムの改善をして、PDCAサイクルを回していきます。
リーダーシップ開発は一過性のイベントではなく、継続的な取り組みとして定着させていくことが重要です。
リーダーシップ開発を効果的に進めるコツ
最後に、リーダーシップ開発を効果的に進めるコツをお伝えします。
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学びを可視化する仕組みを取り入れる
1つめのコツは「学びを可視化する仕組みを取り入れる」です。
「リーダーシップ」は可視化されにくいスキルだからこそ、リーダーシップ開発では、参加者の学びを可視化する仕組みを取り入れることが重要です。
学びの可視化とは、参加者が習得した知識やスキル、態度の変化を明確に把握し、測定することを指します。
学びを可視化すると、参加者自身が成長の実感を得られるのはもちろん、プログラムの改善にも役立ちます。
具体的な可視化の手法としては、ルーブリック(学習の到達度を評価する指標)の活用、ポートフォリオの作成、アセスメントの実施などが挙げられます。
こういった要素を包括的にシステムで実現できる仕組みとして、LMS(Learning Management System:学習管理システム)があります。
LMSには、学習者向け機能と管理者向け機能の双方が備わっており、リーダーシップ開発の基盤として、非常に推奨度の高いものです。
【LMSの学習者向け機能】 【LMSの管理者向け機能】 |
LMSに関しては、わかりやすくまとめた記事を以下にご紹介します。あわせてご覧ください。
プログラムの質を重視する
2つめのコツは「プログラムの質を重視する」です。
質の高いプログラムの提供は、リーダーシップ開発への投資対効果を最大化するために不可欠です。
優れたプログラムは、参加者の心に火をつけ、組織を前進させる原動力になります。
一方、参加者を間違った方向へ導いたり、優秀な参加者に「時間のムダ」と感じさせたりする、低品質なプログラムは、効果がないだけでなく有害です。
【プログラムの質を高めるポイント】 ・監修者や講師の見極め: ・最新のコンテンツと学習方法の導入: ・自社に合わせたカスタマイズ: |
具体的な手段としてご紹介したいのが、プロが活用する研修プログラムで効果的な社内研修を実施できる「社内トレーナー育成」というサービスです。
「研修の効果は高めたいがコスト(費用・時間)はかけられない」
「集合研修のノウハウはあるが、オンライン研修のノウハウはない」
そのような人材育成・開発の手段・方法におけるジレンマの解消を支援するサービスで、詳しくは以下のページよりご確認いただけます。
プロが活用する研修プログラムで 効果的な社内研修を実施「社内トレーナー養成支援」
質にこだわることで、リーダーシップ開発の真の価値を引き出し、組織の未来を担うリーダーを育成していきましょう。
実践を通じてリーダーシップを育む
3つめのコツは「実践を通じてリーダーシップを育む」です。
リーダーシップスキルは、座学だけでは身に付きません。実践的な経験を通じて、リーダーシップを育むことが不可欠です。
【実践を通じたリーダーシップ開発の例】 ・アクションラーニングの活用: ・ストレッチアサインメントの実施: ・社会貢献活動への参加: |
座学と体験をバランスよく組み合わせ、机上の空論ではない、実務で役立つリーダーシップ開発を目指していただければと思います。
まとめ
本記事では「リーダーシップ開発」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。
今、リーダーシップ開発に投資する意義として、以下が挙げられます。
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リーダーシップ開発を実践する流れを6つのステップでご紹介しました。
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効果的にリーダーシップ開発を進めるコツは、次のとおりです。
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リーダーシップ開発は、組織の持続的成長と競争力強化に不可欠な取り組みです。本記事を参考に、具体的なネクストアクションへと、踏み出していただければ幸いです。
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