catch-img

管理職の部門間連携がうまくいかない原因と解決法を徹底解説!【導入組織の成功事例付】

「他部署と話がかみ合わない」「お願いごとをしてもなかなか動いてくれない」「会議が毎回ストレス」

——多くの管理職が直面するこうしたお悩みは、決してあなたの組織だけの問題ではありません。

日々の業務に追われ、自部門のKPI達成を優先せざるを得ない環境では、他部門を理解する時間はどうしても後回しになりがちです。その結果、誤解や不信感が積み重なり、必要なときに協力し合えない負のサイクルに陥ってしまいます。

さらに、サービスの複雑化や顧客ニーズの高度化が進む今、単一部門だけで成果を出すことはますます難しくなっています。

しかし現実には、縦割りの習慣が残り、部門ごとの価値基準が異なるまま議論が進むため、意思決定が遅れたり、責任の押し付け合いが起きたりと、生産性への影響は小さくありません。

では、どうすればこの悪循環を断ち切れるのでしょうか?

答えの核心は、「管理職が他部門を理解するためのコミュニケーションを意図的に増やすこと」にあります。

業務や制約条件の見える化、経営指標を使った共通言語づくり、雑談も含めた対話の機会設計など、実は日々のマネジメントに少しの工夫を加えるだけで、部門間の関係性は大きく変わります。

本記事では、部門間連携がうまくいかない理由から、管理職が今日から取り組める具体策、そして連携が進む組織に共通する成功ポイントまで、実務に落とし込める形で徹底解説します。

「もっと協力し合える組織にしたい」「部門の壁を越えて成果を出したい」と感じている方にこそ、ぜひ読み進めていただきたい内容です。

管理職が部門間連携を強化するために欠かせない経営についての勉強法などについては以下で詳しく解説しています。

関連資料はこちらからダウンロードできます。

「マネジメントの全貌」資料ダウンロード 

目次[非表示]

  1. 1.管理職の部門間連携には他部門理解のためのコミュニケーションが重要
  2. 2.なぜ今「部門間連携」が重要なのか
  3. 3.管理職の部門間連携がうまくいかないときに困ること
  4. 4.部門間連携がうまくいかない理由
    1. 4.1.原因1|相互理解の不足
    2. 4.2.原因2|共通言語がない
    3. 4.3.原因3|組織文化が縦割りである
    4. 4.4.原因4|コミュニケーションの絶対量が不足
    5. 4.5.原因5|管理職が他部署を巻き込むスキルを学んでいない
  5. 5.部門間連携の実現で得られるメリット
    1. 5.1.情報共有がスムーズになり意思決定が速くなる
    2. 5.2.トラブルの事前防止ができる
    3. 5.3.社員満足度が向上し離職率が下がる
    4. 5.4.イノベーションが生まれやすい
    5. 5.5.全社最適な議論ができる組織文化が育つ
  6. 6.管理職が実践できる「部門間連携」強化の5つの具体策
    1. 6.1.① 他部署の業務と制約条件を“見える化”する
    2. 6.2.② 相互理解を深めるための対話機会の設計
    3. 6.3.③ 共通言語として経営指標を共有する
    4. 6.4.④ 小さな横断プロジェクトで成功体験を積む
    5. 6.5.⑤ 管理職向けの対話型研修・グループコーチングを導入
  7. 7.部門間連携が進まない組織に共通する危険信号
    1. 7.1.KPIが部門ごとにバラバラ
    2. 7.2.他部署への不満が愚痴として蔓延
    3. 7.3.会議での説明が「自部門の事情」ばかり
    4. 7.4.若手が“自部署だけ見て”仕事をしている
    5. 7.5.トラブル発生時に「誰が悪いか」から議論が始まる
  8. 8.管理職の部門間連携を経営シミュレーションで強化した事例
  9. 9.まとめ|管理職の部門間連携には他部門理解のコミュニケーションを増やそう

管理職の部門間連携には他部門理解のためのコミュニケーションが重要

管理職の部門間連携には他部門理解のためのコミュニケーションが重要 
 

結論として、管理職が他部門理解を深めるためのコミュニケーションを積極的に行うことは、部門間連携を円滑にする“最も重要な土台”です。

なぜなら、組織の成果は一つの部門だけでは完結せず、互いの業務や制約条件を理解し合うことで初めて全体最適が実現できるからです。

多くの企業では、自部門のKPI達成に追われるあまり、他部署との交流が極端に少なくなりがちです。その結果、「なぜあの部門は動いてくれないのか」「相手の意図が分からない」といった誤解が生まれ、連携の質が下がります。

実際、業務上の摩擦の多くは情報不足思い込みから発生します。だからこそ、管理職同士が対話を増やし、相手の背景・目的・優先度を知ることが不可欠なのです。

具体的には、定期的な他部門とのミーティングや、経営指標についての共同学習の場を設けることが効果的です。

共通の知識を持つことで話が合いやすくなり、意思決定のスピードも向上します。また、雑談やカジュアルな交流で関係性が深まると、心理的距離が縮まり、協力を得やすくなります。

従って、管理職は“自部門中心”ではなく、“全社視点で相互理解を築く姿勢”を習慣化することが重要です。これができれば、部門間連携は自然と進み、組織全体の成果に直結していきます。
 

なぜ今「部門間連携」が重要なのか

なぜ今「部門間連携」が重要なのか 
 

今の企業にとって部門間連携は「成果を最大化するための必須条件」です。なぜなら、事業環境が複雑化し、単一部門では完結できない課題が急増しているからです。

顧客ニーズも高度化し、スピードと柔軟性が求められる中、部門同士が情報をつなぎ、共に意思決定することが企業競争力に直結します。

しかし現実には、多くの企業で縦割りが強まり、部門同士が分断されたままという状況が見られます。部門ごとの目標が異なることで、協力より“自部門最適”が優先され、組織全体として非効率が生まれます。

その結果、情報共有が滞り、顧客対応の質が落ちたり、トラブル対応が遅れたりと、企業全体のパフォーマンスに影響が及びます。

一方で、部門間連携が進むと、サービス品質の改善や業務オペレーションの見直し、さらには新たな価値創出が加速します。

多様な視点が交わることで、これまで見逃していた改善点やアイデアが生まれ、組織のイノベーション力が強化されます。また、連携が習慣化することで意思決定がスムーズになり、迅速に顧客価値を提供できるようになります。

つまり、変化の激しい現代において、部門間連携は“やったほうがいい取り組み”ではなく、“組織が生き残るための必須能力”だといえます。
 

管理職の部門間連携がうまくいかないときに困ること

管理職の部門間連携がうまくいかないときに困ること 
 

部門間連携が機能しない状態が続くと、最初に表面化するのが「他部署と話がかみ合わない」という問題です。

目的や評価指標が異なるまま議論すると、同じ言葉であっても解釈にずれが生じ、会議での合意形成が極めて難しくなります。これは管理職が全社視点を共有できていないことが根本原因となりやすい状況です。

次に起こるのが、部門同士の距離がさらに広がる構造です。普段から関与が少ない部門同士は、必要なときにだけ連絡を取る関係となり、相互理解が深まりません。

結果として「協力を頼みにくい」「相談しづらい」といった心理的障壁が生まれ、横断的な取り組みが停滞します。

さらに厄介なのが、トラブル発生時の責任の押し付け合いです。連携不足の組織では、全体最適ではなく“自部門の正当性”が優先されがちです。

そのため問題解決より先に「どの部門のせいなのか」が議論され、対応が遅れます。これは顧客満足度の低下にも直結するリスクを伴います。

そして最終的には、会議が空回りし意思決定が進まない状態に陥ります。情報が整理されないまま議論が始まり、各部門が自分の事情だけを説明するため、本質的な課題にたどり着けないのです。管理職にとってこれは大きなストレスであり、組織全体のスピードも著しく鈍化します。

こうした課題は全て、日頃のコミュニケーション不足や相互理解の欠如から生じています。だからこそ、連携の土台となる“関係性の構築”を管理職が意識的に進める必要があります。
 

部門間連携がうまくいかない理由

部門間連携がうまくいかない理由 
 

部門間連携が停滞する背景には、単なるコミュニケーション不足だけでなく、組織文化や管理職の育成プロセスに根づく構造的な要因があります。ここでは、部門間連携を妨げる代表的な原因を5つ整理します。
 

原因1|相互理解の不足

部門間連携が滞る最大の要因は、互いの業務内容・制約条件・優先度を十分に理解していないことです。表面的には“協力していないように見える”行動も、その裏側にはリソース不足や緊急案件、部門固有のKPIなどが影響しているケースが少なくありません。

しかし、情報が共有されていないと相手の事情が見えず、「なぜ動いてくれないのか」という不満につながります。これが積み重なると、相手への誤解や不信が生まれ、話し合いの雰囲気も悪くなり、ますます連携しづらい関係が固定化されます。

さらに、相互理解が不十分だと、部門間での意思決定が遅くなります。判断基準の背景が伝わらないため、話がかみ合わず、合意形成に時間がかかるのです。本来は簡単に決められるはずのことも、相互理解が不足しているだけで“複雑な問題”に見えてしまいます。

こうした悪循環を断ち切るには、業務フローや制約条件を共有し、管理職同士が継続的に対話を行うことが不可欠です。
 

原因2|共通言語がない

部門間連携が進まない組織に共通する特徴として、「各部門が別々の言語を話している」状態が挙げられます。ここでいう“言語”とは、用語だけでなく、評価指標、意思決定の基準、優先順位付けのロジックなどを含む広い概念です。

例えば、営業部は売上や契約数を重視し、開発部は品質や納期遵守を重視し、管理部門はリスク回避を優先するなど、部門ごとに守るべきKPIが異なります。これ自体は当然ですが、共有されていないと議論がまったくかみ合いません。

共通言語がない会議では、「なぜその判断が必要なのか」「どこを最重要とするのか」をすり合わせるだけで時間がかかり、会議が空回りしやすくなります。さらには、同じ言葉を使っていても前提が違うため、合意したと思っても後で認識のずれが発覚することも多いです。

こうしたずれは連携の妨げであるだけでなく、トラブルや品質低下にも直結します。だからこそ、経営指標や全社目標を共通言語として共有し、管理職が同じ基準で会話できる状態をつくることが重要です。
 

原因3|組織文化が縦割りである

部門間連携が根本的に進まない企業の多くは、長年にわたり「部門単位で成果を追う」文化が染みついています。この文化が強い組織では、部門間の協力は“余力があるときだけ行うもの”として扱われ、本来必要な協働であっても後回しにされがちです。

また、評価制度が部門ごとの成果を重視する構造になっている場合、管理職はどうしても“自部門を守る”行動を取るため、他部門と協力するインセンティブが生まれにくくなります。

縦割り文化の問題は、部門同士の壁が見えない形で厚くなり、心理的距離が広がることです。「他部門に踏み込むのは遠慮すべき」「管轄外のことには関わらない」という空気が無意識に生まれ、結果として必要な連携すら行われなくなります。

この文化が固定化すると、連携を強化しようとしても抵抗が起きやすく、制度や施策だけでは変化が生まれません。文化を変えるには、管理職層から横断的な対話と協働の姿勢を示し、成功体験を積み上げる必要があります。
 

原因4|コミュニケーションの絶対量が不足

部門間の信頼が育たない最大の原因は、質ではなく“量”の不足です。どれほど能力の高い管理職であっても、接点が少なければ誤解は生まれ、距離は縮まりません。

必要なときだけ打ち合わせをする関係では、協力関係ではなく“取引関係”になり、気軽に相談しづらくなります。そのため問題発生時にも、早期の共有や助け合いができず、手遅れになりやすい構造が生まれます。

特に意外と見落とされがちなのが、“雑談”の価値です。雑談は相手の人柄や価値観を知るきっかけになり、理解が深まることで「この人なら話しやすい」「相談しよう」という心理的安全性が育ちます。

ところがオンライン会議の増加や効率化の名のもとに雑談が削られ、結果として距離感が広がる企業が増えています。

連携の基盤は信頼であり、信頼はコミュニケーション量なしには成立しません。まずは交流の回数を増やし、関係づくりを意識的に行うことが不可欠です。

▼組織内のコミュニケーション改善方法については、以下で詳しく解説しています。
組織内コミュニケーション改善の秘訣とは?活性化させる具体的な方法について解説!

 

原因5|管理職が他部署を巻き込むスキルを学んでいない

多くの管理職が直面する根本的な課題として、「他部署を巻き込むスキルを学ぶ機会がほとんどなかった」という問題があります。

従来の企業構造では、管理職は自部門の育成・評価・改善といった“縦のマネジメント”が主業務であり、他部門を巻き込む横断型のリーダーシップは重視されていませんでした。

しかし現在は、プロジェクト型業務、顧客中心の価値創出、DXなど、部門を超えた協働が前提の時代です。それにもかかわらず、管理職が横連携のスキルを学べていないため、必要な場面で調整がスムーズに進まず、結果として組織全体の推進力が弱まります。

また、巻き込みには“交渉力”だけでなく、“理解を引き出す対話力”や“共通目的をつくる力”が必要ですが、これらは体系的に学ばなければ身に付きません。

結果として、管理職が「頼みにくい」「どう巻き込めばいいか分からない」と悩み、部門間連携の停滞を招いてしまうのです。管理職層への継続的な学習機会が組織には求められています。
 

部門間連携の実現で得られるメリット

部門間連携の実現で得られるメリット 
 

部門間連携が強まると、日常業務の効率から組織文化の変革まで、多方面で大きな効果が生まれます。ここでは、連携強化が組織にもたらす代表的なメリットを5つ紹介します。
 

情報共有がスムーズになり意思決定が速くなる

部門間連携が強まると、まず大きく変わるのが情報の流れです。普段からコミュニケーションが取れている組織では、必要な情報が適切なタイミングで集まりやすく、意思決定のスピードが大幅に向上します。

特に、管理職同士の関係性が良好であれば、「この内容は早めに共有しておこう」といった前向きな行動が自然に生まれます。会議前に情報がそろうことで、議論もスムーズに進みます。

逆に連携が弱い組織では、情報が断片的にしか集まらず、会議中に初めて聞く話が続出し、結論にたどり着くまでに時間がかかります。

また、共通言語(経営指標)が浸透している組織では、議論の前提がそろうため、合意形成が圧倒的に早くなります。何を基準に判断するのかが共有されていることで、各部門の主張が対立したときも、最終的な軸を見失いません。

結果として、スピード感のある意思決定ができる組織へと進化し、顧客対応や内部改善にも良い影響を与えます。
 

トラブルの事前防止ができる

部門間の対話が増えると、トラブルの予兆を早期に察知できるようになります。

日常的に情報交換が行われていると、「最近この業務で負荷が高まっている」「この工程は遅延しやすい」といった小さな気付きが共有されやすくなり、問題が表面化する前に手を打つことができます。

これは“予防型のマネジメント”を実現するうえで大きな強みです。

一方、連携が弱い組織では、小さなほころびが見逃され、気付いたときにはトラブルが深刻化しているケースが少なくありません。管理職同士が信頼関係を築けていないと、「これを伝えてよいのだろうか」「責任を問われるのではないか」という心理的ハードルが生まれ、共有が遅れる傾向にあります。

対話が日常化している組織では、「悪いことほど早めに報告・共有する」という共通認識が育ちます。結果として、部門間の連携が危機管理機能として機能し、顧客トラブルや内部プロセスの不具合を未然に防ぐことができるようになります。
 

社員満足度が向上し離職率が下がる

部門間連携が強い組織は、社員にとって「働きやすい」と感じられる場になり、満足度が向上します。相談しやすい雰囲気があり、困ったときに他部門へ気軽に頼れる関係があると、“孤立感”がなくなるため心理的安全性が高まります。

これは働くうえでのストレス軽減につながり、特に若手社員や中堅社員にとっては大きな安心感になります。

また、他部門との協働は、自然と視野を広げてくれるため、成長実感を得やすい点もメリットです。自部門だけの仕事に限定されないため、「会社全体の流れが分かる」「他部署の視点を学べる」といった学習機会が増え、キャリア満足度が向上します。

さらに、部門同士の対立や責任の押し付け合いが減るため、感情的なストレスが減少し、離職率の低下に直結します。

結果として、連携の強さは組織の安定性を支える重要な要素となり、採用・定着の両面でプラス効果をもたらします。
 

イノベーションが生まれやすい

異なる専門性を持つ部門同士が協力すると、新しいアイデアや改善案が生まれやすくなります。イノベーションは“異質な視点の交差”によって起きるため、日常的に部門横断の対話がある組織では偶発的な発見が増えます。

例えば、営業が顧客の声を持ち寄り、開発が技術の可能性を提示し、企画が市場分析を加えることで、新しい価値提案が生まれるケースは非常に多く見られます。

また、心理的に安全な関係が築かれていると、未完成のアイデアでも気軽に共有できるため、新しい発想が育ちやすい環境になります。「批判されるかもしれない」という不安がないことは、創造性において非常に重要です。

加えて、他部門を知ることで“本当に重要な課題”が見えるようになり、改善の質も高まります。イノベーションはトップの号令だけでは生まれず、日々の対話と協働の積み重ねから生まれるものです。連携の強化は、その土台そのものをつくります。
 

全社最適な議論ができる組織文化が育つ

部門間連携が進むと、自部門中心の判断ではなく「全社として何が最善か」を軸にした議論が可能になります。これは組織文化の質を大きく高める効果があります。

管理職同士が信頼し合い、共通の経営指標を理解していると、調整の場でも対立ではなく“協力して最適解を探す”という姿勢が自然に育ちます。

全社最適で議論できる組織では、課題が隠されにくくなり、問題解決のスピードも向上します。自部門の不利を隠すのではなく、「組織として改善するべきこと」としてオープンに情報が共有されるため、透明性の高い風土が生まれます。

さらに、こうした文化が浸透すると、若手や中堅層にも“全社視点で考える”行動が広がり、組織全体が一つのチームとして機能します。結果として、変化に強い体質が育ち、持続的な成長を支える基盤ができあがります。
 

管理職が実践できる「部門間連携」強化の5つの具体策

管理職が実践できる「部門間連携」強化の5つの具体策 
 

部門間連携は「仕組み」だけではなく、「行動」と「関係づくり」によって強化されます。管理職が日常のマネジメントに取り入れやすい5つの実践策を紹介します。
 

① 他部署の業務と制約条件を“見える化”する

部門間連携を進めるうえで最も効果的な施策の一つが「現状の見える化」です。他部署の仕事内容、KPI、リソース状況、制約条件などを共有することで、相互理解が劇的に進みます。

見える化が不十分な組織では、相手の業務負荷や優先度が分からず、「なぜ対応してくれないのか」という不満が生まれやすくなり、誤解が蓄積します。これを解消するために、管理職同士で現場がどう動いているのかを定期的に開示し合うことが重要です。

見える化の方法としては、簡易な業務フロー図の共有や、案件状況の週次レポート、稼働状況の一覧化などが効果的です。また、ただ情報を渡すだけでなく、相手が理解しやすい形式に整理することも大切です。

「できない理由」が共有されると、相手は責められにくくなり、代替案を一緒に考える土壌が生まれます。見える化は部門間の信頼構築と協働の出発点です。
 

② 相互理解を深めるための対話機会の設計

部門間連携の多くは、制度ではなく「対話の量と質」で決まります。普段から交流がない組織では、必要なときに話をしても関係性が弱く、協力を得にくい傾向があります。そのため、管理職が意識的に“対話の場”を設計することが欠かせません。

効果的なのは、定例ミーティングだけでなく、雑談を交えたカジュアルな交流機会を組み込むことです。オンラインでは雑談が生まれにくいため、アイスブレイクや交流時間をあえて設けることが重要です。

また、横断チームの立ち上げやテーマ別の共同学習も高い効果が得られます。学習は協働意識を育てるとともに、共通の知識が土台となることで、話がかみ合いやすくなるためです。

対話が日常化すると、部門の壁が薄くなり、「相談しやすい」「協力を頼みやすい」という心理的安全性が育ちます。結果として、トラブル対応や改善活動のスピードも向上します。
 

③ 共通言語として経営指標を共有する

部門間連携を強化するうえで最も効果の高い取り組みが、経営指標を“共通言語”として共有することです。

部門ごとにKPIや価値基準が異なるまま議論すると、話がかみ合わず、意思決定は遅れます。しかし、管理職が同じ指標を理解していると、判断の軸がそろい、協議のスピードと質が大きく向上します。

例えば、利益率、顧客満足度、LTV、稼働効率などの指標が共通認識になると、「何を優先すべきか」「どの選択が全社最適か」を自然に同じ基準で捉えられるようになります。これは部門間の価値観のずれを埋める強力な手段です。

管理職同士が指標を学習する場を設けるのも効果的です。経営層の意図が共有されることで、判断のぶれがなくなり、結果として組織全体のスピードが向上します。共通言語の浸透は、連携の質を根本から変える力を持っています。
 

④ 小さな横断プロジェクトで成功体験を積む

連携を文化として定着させるためには、成功体験が欠かせません。そのために有効なのが、小さな横断プロジェクトを立ち上げ、短期間で成果を出す取り組みです。

大規模なプロジェクトでは調整負荷が大きく、失敗リスクも高いため、まずは“成果が出やすいテーマ”から関わり始めるのがポイントです。

例えば、「問い合わせ対応の改善」「書類フローの簡素化」「顧客情報の共有方法改善」など、小さくとも全社メリットがあるテーマから始めると、成功体験が積み上がりやすくなります。この成功体験が、部門同士の信頼を高め、「次も一緒にやろう」という前向きな姿勢を生みます。

また、小さな成功は組織文化を変える強力なきっかけになります。「連携すると成果が出る」という事実が共有されると、自然と横断的な協働が増え、全社最適の行動が広がります。
 

⑤ 管理職向けの対話型研修・グループコーチングを導入

部門間連携を強化するためには、管理職自身が“横の関係性づくり”を学ぶ必要があります。そのために最も効果的なのが、対話型研修やグループコーチングの導入です。

これらのプログラムは、単なる知識習得にとどまらず、他部門管理職と一緒に意思決定を体験する実践的な学びが得られる点が大きな特徴です。

対話型研修では、異なる立場や価値観を持つ管理職同士が、テーマに沿って議論しながら合意形成を行うことで、「相手の背景を理解する力」や「共通目的をつくる力」が養われます。

また、グループコーチングでは、課題や悩みを共有しながら関係性を深めることができ、自然と協力しやすいネットワークが形成されます。

さらに、こうした学びは管理職層だけにとどまらず、若手や中堅にも波及します。管理職が部門横断の姿勢を示すことで、「全社最適で考えることが当たり前」という文化が生まれるためです。研修と実践の両輪が、連携の基盤を強化し、組織全体の推進力を高めます。

▼経営シミュレーションについては、以下で詳しく解説しています。
経営シミュレーションとは?人材育成の新手法・研修について解説!

 

部門間連携が進まない組織に共通する危険信号

部門間連携が進まない組織に共通する危険信号 
 

部門間連携がうまく機能していない組織には、必ず兆候が現れます。それらは日常の会議やコミュニケーションの中で見え隠れし、小さな違和感として積み重なります。ここでは、特に注意すべき5つの危険信号を詳しく解説します。
 

KPIが部門ごとにバラバラ

部門間連携が弱い組織では、まずKPIが部門ごとに分断され、一貫性がなくなります。

営業は売上、開発は品質、管理部門はリスク削減と、役割が違うこと自体は自然ですが、問題は「全社目標と接続していない」「他部門と矛盾している」状態が放置されることです。

この状況では、部門同士がまったく違う方向を向いて動くため、協力するインセンティブが生まれません。

さらに、KPIが連携していない組織では、会議の場で議論がかみ合わず、「なぜその判断を優先するのか」が互いに理解できません。結果として意思決定が遅れ、問題解決に必要以上の時間がかかります。これは組織全体のスピードと生産性を著しく低下させます。

KPIの分断は連携が崩れている初期サインであり、放置すると組織の縦割りが加速するため、経営指標を共通言語として再設定することが不可欠です。
 

他部署への不満が愚痴として蔓延

部門間の関係性が悪化している組織では、「あの部署は動いてくれない」「話が通じない」といった愚痴が日常的に聞こえてきます。

愚痴が増える背景には、相互理解の不足やコミュニケーションの断絶があります。情報が共有されないと相手の事情が分からず、行動の意図を誤って解釈しがちです。その小さな誤解が積み重なり、不満となって表面化していきます。

愚痴が蔓延する組織では、問題が起きても建設的に解決しようとせず、“相手が悪い”という視点に偏りがちです。これは連携を阻害するだけでなく、現場全体の士気低下を招き、離職リスクを高める危険な状態です。

愚痴が増えているという事実は、“対話の量が不足している”という明確なシグナルです。管理職が対話の場をつくり、情報の透明性を高め、誤解の解消を図ることが必要です。
 

会議での説明が「自部門の事情」ばかり

会議の場で「うちの部署としては……」「今の体制では無理で……」と自部門の事情ばかりが語られるようになると、部門間連携は危険な状態にあります。この傾向は、各部門が全社視点を失い、自部門最適で判断していることの表れです。

自部門の制約を説明すること自体は問題ではありません。しかし、それ“だけ”が語られ、全社最適の解決策に向けた議論が出てこない場合、組織としての停滞が深まります。この状態では、議論が前に進まず、結論が先送りされる場面が増えるため、意思決定の質が低下します。

会議は本来、部門を越えて知恵を出し合う場です。自部門の枠でしか話ができない環境は、協働が機能していない明確な危険信号といえます。管理職同士が共通指標を理解し、「会社全体として最善は何か」に立ち返る姿勢が必要です。
 

若手が“自部署だけ見て”仕事をしている

組織の連携力は、若手社員の行動にも現れます。他部門と関わる必要性を感じていない、あるいは関わり方を教わっていない場合、若手は自然と自部署に閉じた動きになります。これは“全社視点で働く文化が継承されていない”という危険なサインです。

若手が自部署しか見ていないと、理解できる業務範囲が狭くなり、キャリアの広がりも限定されます。また、他部署への配慮や連携意識が育たないため、仕事の質にも影響が出ます。

結果として「部門最適主義」が次世代に受け継がれ、組織全体の成長スピードが落ちてしまいます。

この状態を防ぐには、早い段階から他部門との協働を経験させることが有効です。小規模プロジェクトへの参加、他部署とのシャドーイング、クロスファンクショナル会議への同席など、横の視点を身に付ける機会を意図的に設ける必要があります。

若手は組織文化を映す鏡であり、行動から“連携の習慣”の強弱が明確に分かります。
 

トラブル発生時に「誰が悪いか」から議論が始まる

連携が弱い組織では、トラブルが起きた瞬間に「どの部門の責任か」が議論の中心になります。この状態は、組織として非常に危険です。

本来であれば、原因分析より先に“被害の最小化と早期復旧”に力を注ぐべきですが、責任追及が優先されると対応が遅れ、トラブルが長期化します。

「誰のせいか」を追い始める背景には、信頼関係の欠如や共通目的の不在があります。担当部門が責められることを恐れ、情報を隠す、報告が遅れるといった事態も起こりやすくなり、組織のリスクが増大します。これは顧客満足度やブランド価値の低下にもつながる深刻な問題です。

対策として重要なのは、管理職同士が“問題を一緒に解決するスタンス”を持ち、責任追及より再発防止に視点を向ける文化を醸成することです。トラブル時の姿勢は組織文化を示す鏡であり、ここに連携の成熟度が表れます。
 

管理職の部門間連携を経営シミュレーションで強化した事例

事例 
 

社員数: 1,000
事業:産業機器メーカー
 

■ 導入前の課題

伸びるビジネス、人財育成が課題

東南アジア関連のビジネスが急速に伸びる中、新規採用を通じて組織規模を拡大し、人財育成が経営の最重要課題となっていました。

当初は、個々人の能力開発にスポットを当てて、階層別研修や職能別研修など、個々人が与えられた役割をしっかり遂行する力を啓発していました。

部門間の壁

採用後、配属先の各部門で専門性を磨くキャリア形成の仕組みでした。

入社して以来、他部署との接点はほとんどなく、各部門が営業は営業、製造は製造という意識で仕事をしていました。

他の部門の人と交流するのは、トラブルが発生したときに合う程度でお互い良い印象を持っていない状況でした。

そこで、個々人の能力を啓発していくことに加えて、異なる部門の人たちが一緒に会社全体の意思決定を考える場として、経営シミュレーションプログラムをグループコーチングで実施することにしました。
 

■ 取り組みの詳細

部門を超えてグループでコーチング

異なる部門の方総勢20名を対象に経営シミュレーションをコーチング全6回(1グループ全6回)で実施しました。

対象者が多かったためグループを3グループに分けて実施しました。今回は他部門の交流が重要なテーマであるため、受講者が一つの部屋に集まってコーチングを受講しました。

コーチングが始まる事前事後の雑談から人間関係構築が始まることが狙いです。

最初は緊張している様子でしたが、中盤あたりからお互いにコミュニケーションを取る回数が増え、終盤にはお互いにコメントが活発になり、徐々に笑顔も増えていきました。

他部門の経営指標の洞察

今回は他部門の経営指標について洞察する時間を取りました。

営業であれば製造部門の原価率、製造設備稼働率、社員数などです。営業側からすれば、お客さまの要求にできるだけ応えたいという気持ちがあります。

製造のことが分かっていないと、なぜ値引き調整に応じてくれないのかといった不満につながることがありますが、今回他部門の人たちがどのようなことを考えて意思決定しているかが分かりました。
 

■ 導入の成果

お互いの立場の違いを理解

受講者は本プログラムをきっかけに他部門の職場に訪問しやすくなりました。

また、部門をまたぐ会議においても、経営シミュレーションで一緒に学習してきた経営指標を共通言語として使うことでスムーズな意思疎通ができるようになりました。

具体的には製造部門の人が「現在は製造員の稼働率が一杯で新規採用しないといけませんが人が集まりませんから生産が追いつきません。」と話をすると、営業の人がそれを正しく理解して、どのようにして対策を採るのかなど建設的な議論ができるようになったようです。

若手社員にも部門の相互理解へ

このように関係の質が改善されたことによってお互いの立場になって物事を考えられるようになり、トラブルなどの対処力や問題を先回りして解決する思考が養われたようでした。

事務局側からは、会社が活性化していると報告を受けました。

社長にプログラムの成果を報告したところ、高く評価していただき、もっと若手社員のうちから部門間の交流を強化するべきだということになり、Biz-Exの対象者も若年層を巻き込んだ取り組みに発展しています。

若年層には少し事前情報を厚くするなど工夫をすることで実施していく予定です。

▼経営シミュレーションには、eラーニング形式で学習できる「Biz-Ex」がおすすめです。
 

Biz-Ex 資料ダウンロード 
 

まとめ|管理職の部門間連携には他部門理解のコミュニケーションを増やそう

本記事では、管理職が直面する「部門間連携がうまくいかない」という課題の本質と、その改善策を多角的に整理してきました。

課題の背景には、連携不全の背景には“相互理解の欠如、共通言語の不在、縦割り文化、コミュニケーション不足、巻き込みスキルの不足、といった構造的な要因が複雑に絡んでいます。つまり、単に「もっと連携しよう」と号令をかけるだけでは改善にはつながりません。

一方で、管理職が主体となってコミュニケーションの量と質を高め、他部門理解を深めることで、状況は確実に変わります。業務や制約条件の見える化、対話機会の意図的な設計、経営指標を共通言語とした意思決定、小さな成功体験の積み上げ、対話型研修によるスキル習得——いずれも、今日から始められる実践的なアプローチです。

そして何より、部門間連携が強まった組織では、意思決定が速くなり、トラブルを未然に防ぎ、社員満足度やイノベーション力が向上するという、大きなメリットが生まれます。組織全体が共通の目的に向けて動き出すことで、「全社最適」の文化が育ち、持続的な成長につながります。

部門の壁はすぐには消えません。しかし、管理職の一歩が連携の仕組みと文化を確実に変えていきます。ぜひ本記事の内容を、明日のマネジメントに生かしてみてください。

株式会社LDcubeでは、経営シミュレーション学習ツール「Biz-Ex」を提供しています。「Biz-Ex」は、単に学習コンテンツを提供するだけでなく、効果的に学習を進めるためのコーチング支援も行っています。部門間連携にお悩みの管理職がグループでコーチングを受けることで、相互理解を深めるコミュニケーションの場をつくることにつながります。

無料のデモID発行もしています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
 
 

 

 

▼関連資料はこちら

Biz-Ex 資料ダウンロード「マネジメントの全貌」資料ダウンロード職場コミュニケーション 資料ダウンロード 
 

関連記事はこちらから。

LDcube編集部
LDcube編集部
株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

テーマで探す

Webinar
近日開催ウェビナー

Download
おすすめ資料

Article
おすすめ記事

 


Email Newsletter
メルマガ申込