次世代リーダー育成の【最重要ポイント】とは!? その鍵はタスクアサイン!
多くの組織で次世代リーダー育成の取り組みが行われています。
その中で、
- 次世代リーダーを育成するためにはどんなことをするのが良いの?
- 選抜研修などやっているけれどそれで十分?
- 研修をやって終わりになってしまっている?
- 研修やったけれど次世代リーダーは育っているのか?
などのお悩みをお伺いすることが多いです。
多くの場合次世代リーダー育成に向けて、年間通じての選抜研修を行っているケースが多いです。残念ながらそれだけでは不十分です。
なぜなら、研修で人が育つわけではないからです。
人は実際の仕事や経験を通じて育ちます。
そのため、選抜研修を行う前から、受講者に対して、研修後にどのようなタスクに取り組んでもらうかを予め想定しておくことが重要です。
それにより、研修を受ける側も研修を企画する側にもメリットがあります。
また、アサインするタスクがすぐにはない場合には、経営シミュレーションなどを通じて、学んだことをそのままにせず、実践する場を提供すると良いでしょう。
本記事では、次世代リーダー育成の手段や求められる背景、次世代リーダーに求められるスキルなどについて解説していきます。次世代リーダーが自己学習できる学習環境づくりについても解説します。
最後までご一読いただくことで、次世代リーダー育成に必要なことが理解できます。
また、アサインするタスクがすぐには見当たらない場合の実践的な学習環境についても理解することができますので、貴社の次世代リーダー育成と持続的な発展にお役立てください。
▼関連して、リーダーシップ開発については下記で詳しく解説しています。
⇒リーダーシップ開発とは?実務で使える6ステップの実践ポイント
▼次世代リーダーの選抜と育成について資料にまとめました。こちらからダウンロードできます。
目次[非表示]
- 1.次世代リーダー育成の主な方法
- 2.次世代リーダーに求められるスキル
- 2.1.デジタルリーダーシップと戦略的思考力
- 2.2.ビジョン構想力とコミュニケーション力
- 2.3.マーケット分析力と経営分析力
- 2.4.倫理観と社会的責任、持続可能性への配慮
- 2.5.レジリエンスならびにフィードバックとリフレクション能力
- 3.次世代リーダー育成でよく行われる選抜研修
- 4.次世代リーダー育成における課題
- 4.1.実践の場の欠如
- 4.2.ギャップの可視化とナレッジと経験の継承
- 4.3.長期的視野の欠如
- 5.次世代リーダー育成のポイント
- 6.次世代リーダー育成が重要視されるワケ
- 7.次世代リーダー育成はサクセッションプランにつながる
- 8.次世代リーダー育成候補者の選抜方法
- 9.次世代リーダー育成の学習環境の準備
- 10.次世代リーダーの発掘と育成事例
- 11.まとめ
次世代リーダー育成の主な方法
次世代リーダー育成は多くの組織で行われていますが、その主な方法は下記3点です。
(次世代リーダー育成の主な方法)
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Off-JT(選抜研修など)
ビジネスリーダー育成研修や幹部候補育成研修などの選抜研修として、Off-JTスタイルで次世代リーダーに必要なスキルを習得させます。
なぜなら、次世代リーダー育成にはたくさんのことを学んでもらう必要があるため、受講者の日程などを押さえ、予定を組み、段階的に学んでいくことができるようにするためです。
具体的な内容は、経営戦略、マーケティング、財務、会計、組織論、人材マネジメント、オペレーションマネジメント、知的財産・法務、情報システム、プレゼンテーションなどです。
また、リーダーシップを向上させるために、専門家によるコーチングを受けることなどもあります。
リーダー候補は、研修やコーチングによって、新たな視点を得て、未踏の領域へ踏み出す意欲が高まります。
(選抜研修の具体的なカリキュラムについては、第3章で紹介します)
OJT(On-the-Job-Training)
経験豊富なリーダーからの教えや指導を通じて、リーダー候補に多くの知見を与えていくOJTも育成に効果的な方法の1つです。
なぜなら、ビジネススキルはOff-JTで学ぶことができますが、実際自社内でこれまで困難な状況などをどのように乗り越えてきたのかは、乗り越えてきた本人にしか分からないからです。
経験豊富なリーダーからのOJTを通じて、経験値や実践知を受け継いでいきます。
具体的には、
- どのような困難な状況があったか
- それをどのように乗り越えてきたか
- 物事を判断・意思決定する際に大切にしていた考え方はどのようなものか
- ステークホルダーをの関係が始まったきっかけ
などを対話の中でやり取りしながら伝えていきます。
また、新しい業務に挑戦させることで、リーダー候補に新たな視点を持たせます。
具体的なプロジェクトを任せたり、重要な会議の現場に参加させ空気感を体感するなど、実践的な経験を積ませます。
さらに、リーダー候補に、顧客や他部門、外部パートナーなどと交流する機会を提供し、多様な視点を理解し受け入れる能力を伸ばす必要もあります。
▼経営幹部をOJTで育てる方法についてはこちらで詳しく解説しています。合わせてご覧ください。⇒OJTでの経営幹部育成とは?~次世代は現役世代にしか育てられない!?~
フィードバックとリフレクション(振り返り)
定期的なパフォーマンス評価や360度評価を通じて、リーダー候補に自身の強みと弱みを理解し、自己改善を促すべきです。
なぜなら、フィードバックがなければ、自分のことを正しく理解することができず、今後どこを強化したらよいか、改善したらよいか、分からないからです。
具体的かつ建設的なフィードバックがモチベーションを持続させ、効果的な改善を可能にします。
また、フィードバックに基づき、次世代リーダーが自己の行動、思考、価値観を把握し、自己理解を深められるように、リフレクション(振り返り)の時間を設けることが重要です。
これにより、次世代リーダーの自己成長を促進し、自己改善の機会をもたらします。
このように各要素を組み合わせて実施することで、次世代リーダーたちは多様なスキルを身に付け、広範な視野を得て、自己成長を続ける糸口を掴めるようになります。
次世代リーダーに求められるスキル
環境変化が激しい現代においては、次世代リーダーに求められるスキルも変わってきています。これから特に必要だと考えるスキルについて紹介します。
(次世代リーダーに求められるスキル)
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デジタルリーダーシップと戦略的思考力
これからの時代はデジタルリーダーシップと戦略的思考力が必要です。
なぜなら、デジタル化が進む社会において、デジタルへの知見を高め、それを自社ビジネスに取り込んでいくことを避けられないからです。避けることは成長をあきらめることにもつながりかねません。
デジタルリーダーシップとは、速度を増すデジタル化の波を理解し、それを組織の利益につなげていく能力です。
デジタル技術を活用した新しいビジネスの創出や、組織の劇的な生産性向上を計画することを指します。
また、短期的かつ長期的な観点から組織の目標を達成するための戦略を立案し、実行に移すという戦略的思考力も必要とされています。
▼デジタル時代のリーダーシップについては下記eBookも参照ください。
ビジョン構想力とコミュニケーション力
ビジョン構想力とそれを関係者に伝えていくコミュニケーション力も必要です。
なぜなら、先行き不透明な現代においては、どこに向かっていくのかというビジョンを描き、そこに向かって社員を引っ張て行くリーダーががいないと、組織の将来に不安を感じる社員も出てきてしまうからです。
リーダーには組織の目指すべき未来、すなわちビジョンを明確に構想し、それを全てのステークホルダーに分かりやすく伝えていくことが求められています。
そしてそのビジョンを達成するために組織のメンバーが一丸となり、努力できるようにするために、日々コミュニケーションを取っていくことも重要です。
マーケット分析力と経営分析力
マーケット分析力と経営分析力も重要です。
なぜあら、組織の将来像やビジョンだけではなく、具体的な業績を上げていくためには、マーケットの中で、自社のリソースを活用して施策を展開していく必要があるからです。
マーケットの動向、競合他社の戦略、消費者の行動などを分析し、それを基に組織の戦略を練る能力が求められます。
また、企業の財務諸表を分析し、業績、リスク、チャンスを理解する能力も重要です。
また、マーケットをグローバルレベルで捉えることは、グローバルリーダーを目指す人には欠かせない要素です。
倫理観と社会的責任、持続可能性への配慮
次世代リーダーには、一貫した倫理観を持ち、それを組織全体に浸透させる能力が求められます。
なぜなら、コンプラインスがこれだけ叫ばれる現代においても企業不祥事はなくなっていないからです。
不祥事を起こせば、組織を存続させていくことが極めて困難になります。
また、組織のビジネス活動が社会と環境にどのような影響を与えているのかを理解することも必要です。
そして、持続可能な社会に向けて、自社の環境への影響をいかに最小限に抑えるかなどについて理解し、対策を立てることが重要となります。
▼コンプラインス研修で不祥事をなくしていくポイントについては下記で解説しています。
⇒コンプライアンス研修で不祥事防止!ネタ切れを乗り越えるアイデアを紹介!
レジリエンスならびにフィードバックとリフレクション能力
次世代リーダーにはレジリエンスが求められます。
なぜなら、いつの時代も次世代リーダーには困難な状況がつきものであり、困難な状況に直面しても、落ち込まずに立ち上がり、チャレンジし続ける強い精神力が求められるからです。
また、他者に対するフィードバックを通じて組織の成長を促し、自身の行動についても客観的に反省し、自己成長を促す姿勢が必要です。
▼次世代リーダーには高いレジリエンスが求められます。レジリエンスが高い人の特徴についてはこちらで解説しています。合わせてご覧ください。⇒レジリエンスが高い人は業績を上げられる!?理由や方法(研修)を解説
次世代リーダー育成でよく行われる選抜研修
選抜研修は、企業内のハイポテンシャル社員を特定し、リーダーシップやマネジメント能力を強化するための研修プログラムです。
ビジネスリーダーに求められるビジネススキルやマネジメントスキルについて学びながら、そのスキルを使えるスキルにしていくために実践的なセッションが取り入れていくことがポイントです。
以下は、具体的な選抜研修のカリキュラム例です。
まずは個人診断で個人の能力開発状況を確認するところから始まります。 そして、個人診断の結果を基に個別コーチングを行い、研修全体を通じてどのような学習をしていくのか、受講者の学習ポイントを個別に確認し、受講者の動機づけを行います。 このようにして研修に臨む姿勢づくり、レディネスの形成を行います。 そして、カリキュラム展開としては、
1回1日~2日かけて展開します。研修時間の半分はインプットに充て、残りの半分は自社の課題検討などのテーマ研究に充てます。 また、この日数の中では必要な事柄をインプットしきれないため、研修期間全体を通じてeラーニングも活用しながら、学習を進めていきます。 最終的には自社の課題検討や自分自身がどのようなリーダーシップ行動を取っていくかを整理します。 初めの個人診断の結果を踏まえ、自身の啓発点を強化するために、異業種交流講座に参加し、業種を超えた知見や見解にも触れ、自分のメンタルモデル(ものの見方・考え方)を広げていくきっかけにします。 |
出典:“新”実践型選抜研修とは!?人材育成の現代ソリューションについて解説!
次世代リーダー育成における課題
企業内では選抜研修などを通じて次世代リーダー育成が行われていますが、大きな課題は下記3点です。
(次世代リーダー育成における課題)
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実践の場の欠如
次世代リーダー育成において、もっとも大きな課題が実践の場の欠如です。
組織内で選抜研修などが行われますが、研修を行った後に、研修で学んだスキルを生かして取り組む具体的な仕事をアサインできていないケースが圧倒的に多いからです。
リーダーシップスキルは、実際の問題解決やプロジェクトを任されるなど、実践的に経験することで磨かれます。
しかし、業務の過密化や組織の厳格な階層制度などの現状から、若手に次世代リーダーにつながる経験をもたらすことが難しい場合もあります。
ギャップの可視化とナレッジと経験の継承
現リーダーと次世代リーダー違いを可視化して、そのギャップを埋めるためのナレッジや経験を伝えていくことは大きな課題です。
経験豊富なリーダーから新しいリーダーへの知識や経験の継承は重要ですが、経験豊富なリーダーと新しいリーダーとの間の、経験や知識、技術、価値観などのギャップを可視化することが難しく、経験を伝えていくにも同じ経験をする場面がないからです。
なので、このギャップを無理に埋めようとするのではなく、新旧の経験や知識を上手に結びつけ、スキルなどを移管しながら、時代に合わせ新たな方法論などを取り入れていくことが重要です。
長期的視野の欠如
次世代リーダー育成は長期的な取り組みですが、その長期的視野が欠如してしまうことも課題の1つです。
なぜなら、現リーダーは現在の組織全体の業績責任を担っており、次世代リーダーは自分の職場で現在の業績責任を担っているため、どうしても短期的な業績に目が行きやすいからです。
リーダーを育成するには長期的な視点を持つ必要がありますが、組織は短期的な業績に焦点が当てられがちであるため、リーダー育成がおろそかになってしまう可能性があります。
そのことも踏まえた上で、「計画的に」次世代リーダー育成を進めて行く必要があります。
次世代リーダー育成のポイント
次世代リーダー育成上の課題に対応し、次世代リーダー育成を効果的に進めていくためのポイントを2つ紹介します。
(次世代リーダー育成のポイント)
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次世代リーダーにどのような経験をさせるかが重要
次世代リーダー育成において、最も大切なポイントは、何を経験させるかということ(タスクアサインメント)です。
なぜなら、人は研修で育つわけではなく、実際の仕事経験を通じて育つからです。
研修を受講させたり、コーチングを受けさせたり、さまざまな機会がありますが、そのような機会を活用し、仕事上で意図的にチャレンジさせ、次世代リーダーに必要なものを学ばせることが大切です。
次世代リーダーの育成を考える際には、会社として、経営者として、いかにして重要なタスクをアサインするかを一番初めに考えるべきです。
重要なタスクの実践なしに次世代リーダーは育ちません。
タスクアサインメントを明確にしてから研修などを行う
次世代リーダーの育成においては、タスクアサインメントを明確にしてから研修などを行うことが重要です。
なぜなら、リーダー候補者にとっては、取り組むタスクが明確になっているため、そのタスクに取り組むために自分に足りない要素もはっきりとつかむことができ、アサインする側にとっては、研修後の実践の機会の欠如を回避することができるからです。
これまでは、学習や成長の機会を提供して、力がついてきたらタスクアサインするというのが次世代リーダー育成の大きな流れです。
その流れを否定するわけではありませんが、逆の流れ、つまり、アサインするタスクを明確にしてから学習や成長の機会を提供するという流れにすると効果が高いのです。
リーダー候補は、タスクと啓発課題が明確になることで、学習意欲が高まります。
そこに学習の機会があれば、自律的な学習が促進されます。
育成において研修などの機会の提供は重要ですが、研修を受講したきりで実践につながっていないケースが多くあります。
これは、研修終了後に学びを実践につなげるためのタスクが明確になっていないから起こる事象です。
先にタスクを明確にすることで、リーダー候補が学びを早く吸収することが可能ですし、学んだことを実行に移し、実践力を身に付ける機会にもなります。
次世代リーダー育成が重要視されるワケ
今、次世代リーダー育成が重視されるのは、環境変化の激しい中で、世代交代を見据え、ダイバシティやサステイナビリティへの対応など、一昔前とは求められるものが変わってきているため、次世代に責任を持つ者が、新たな発想で取り組んでほしいという期待があるからです。
株式会社LDcubeでは、人的資本経営が注目されている中で、人財育成施策の実態を知るべくアンケート調査を実施しました。
「2023年ポスト・コロナの人財育成施策の実態調査」として、2023年7月にアンケート調査を実施し、223件の回答を得ました。 アンケート調査の詳細はこちらをご覧ください。
アンケート調査の結果によると、人的資本経営が注目される中、37%の組織が人的資本に対する投資を増やしていると回答しました。
また、人財育成の対象として重視している層は「30代前半」であることが分かりました。 調査結果によると、30代前半を中心に、多くの組織が20代・30代の若手社員を重視しているということが見て取れます。
また、上記対象者を重視している理由について合わせて聞いたところ、下記のような理由が挙げられました。(一部抜粋) 次世代リーダーとして活躍してほしいという回答が多数得られています。
アンケート結果から、次世代リーダーの育成が重要視されていることが伺えます。 アンケート調査結果はこちらからダウンロードできます。
アンケート結果は上記のとおりですが、それ以外に次世代リーダー育成が重要視される理由について解説していきます。
ビジネス環境の変化 その影響で組織の運営方法や経営理念も変わりつつあり、新しい考え方や能力を持つ次世代のリーダーが求められています。
そのような組織は、次世代のリーダーたちをしっかり育成しておかなければならないようになっています。 ダイバーシティの重視 多様な人々からなる組織は、より広い視野や多様な視点を持つことが組織のパフォーマンス向上につながるとされています。そのため、次世代のさまざまなバックグラウンドを持つ人々をリーダーとして育成することでダイバーシティの実現につなげて行くことが求められています。 女性のリーダー育成を求める声も増えています。
上記のダイバーシティの重視はじめ、ここ数年で重要性が増してきている持続可能性への挑戦やSDGsへの対応など、これまでになかった社会的な要請にもこたえていく必要があります。 次世代層が新たな視点で積極的に取り組んでいくことが求められています。 |
これらの理由から、今、次世代リーダーの育成が重要視されています。現在の課題を解決し、より良い組織を作り上げていくために、これからのリーダーたちは新しいスキルや広い視野、倫理的な観点等を備え、新たな視点を組織に注入し問題解決をしていくことが求められています。
▼サステナビリティについてはこちらもご覧ください。 https://goodbusiness.jp/category/sustainability/
次世代リーダー育成はサクセッションプランにつながる
次世代リーダーを育成することは、企業のサクセッションプランに直結しています。
なぜなら、次世代リーダーの育成は、企業が継続的に成長し、競争環境でリードを続けるための重要な役割を担っているからで。
サクセッションプランとは、企業の重要な役職が空席になった際に、その役職を引き継ぐ予定の人材を事前に準備しておく計画のことを指します。
サクセッションプランはCEOや社長といったトップマネジメントだけでなく、経営を支える重要な役職全般に対して考慮すべきです。
サクセッションプランを準備しておくことで、重要な役職が空席になったとき、すぐにその役職を引き継げる人材がいれば、ビジネスの運営に必要な時間を大幅に短縮できます。
▼サクセッションプランについては、下記にて詳しく解説しています。
⇒サクセッションプランとは?次世代の経営人材の育成についても解説!
次世代リーダー育成候補者の選抜方法
(選抜方法)
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次世代リーダーの選抜は、業務の成果や業績を基に行いますが、その他にも公平な選抜を実現するための多面的手法が存在します。
部下、同僚、上司からの意見を集約する360度評価により、リーダーシップやマネジメント能力を多角的に評価する手法があります。
また、早い段階から候補者の能力を試すプレアセスメント、候補者の人間性を評価するインタビュー、自己推薦や他者推薦を募る内部公募や、特定プロジェクトでの業務遂行能力の確認などの評価手法もあります。
これらの手法の組み合わせにより、適切かつ公平なリーダーを選抜することが可能になります。
▼次世代リーダーの選抜については、下記記事で詳しく解説しています。そちらもあわせてご覧ください。⇒育てるべきは誰?次世代リーダー選抜の新たな視点
次世代リーダー育成の学習環境の準備
次世代リーダー育成においては、候補者が学習できる環境整備が重要です。
なぜなら、選抜研修などを実施したとしても、それだけでは十分な学習とは言えないからです。
選抜研修などはきっかけに過ぎませんし、リーダー候補者達も一人一人能力開発状況やこれまで学習、経験してきたことが違います。
自分のおかれた状況や、学ばなければならないことに合わせて、自己学習できる環境が必要です。
自己学習できる環境について効果的なものを2つ紹介します。
(自己学習に効果的なもの)
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eラーニングによるマネジメントスキル・ビジネススキルの習得
eラーニングによるマネジメントスキルやビジネススキルを学べる環境は効果的です。
なぜなら、次世代リーダーは、広範で基本的なマネジメントスキルとビジネススキルが必要であり、eラーニングは、これらのスキルを時間や場所を選ばずに、効率的に習得するための効果的なツールだからです。
管理職に必要なマネジメントスキルを現在管理職であるかどうかにかかわらず学習します。
それだけでなく、次世代リーダーに必要なビジネススキルなどを現在のポジションに関わらず学習するなど、従来の階層別研修の枠組みを超えて学習できる環境が必要です。
さらに、eラーニングはマルチメディアを使った視覚的な教材やインタラクティブな課題を通じて、理解度を深めることができます。
マネジメントやビジネスに必要なスキルや知識を網羅的にカバーしており、次世代リーダーとして活躍するに足りる教育を可能とします。
【具体的なeラーニングコース一覧】
▼自己啓発でマネジメントを学びキャリアアップにつなげるポイントは下記で解説しています。
⇒自己啓発でマネジメントを学び、生かすポイントとは?キャリアアップに生かすコツも紹介
経営シミュレーションによる実践トレーニング
経営シミュレーションによる実践トレーニングも効果的です。
なぜなら、実際の仕事の場面では失敗できませんが、経営シミュレーションであれば、マネジメントスキルやビジネススキルなど学んだことを、実際のタスクで実践する前に練習することができるからです。
また、すぐにはアサインできるタスクがない場合の「実戦練習」にも効果的です。
知識の習得だけでは十分なリーダーの育成が困難です。次世代リーダーとして求められるスキルを実践的な状況で適用する能力も必要となります。
経営シミュレーションはまさにその学習ためのツールです。
事業環境や市場環境の変化に対する戦略の立案や、チームとしての意思決定など、リーダーとしての実務として取り組むべきことを体系的にトレーニングすることができます。
基本的なビジネススキル・マネジメントスキルを習得した後のステップとして効果的です。
経営シミュレーションでは、次世代リーダーはさまざまな情報を基に自分の手を使って、経営分析などを行い、自分の頭を使って経営判断を行います。
シミュレーションは実世界の経験に近い体験を提供しますが、失敗のコストが低いため、戦略的思考や意思決定スキルを試行錯誤しながら確立することが可能です。
また、他の参加者とのインタラクションを通じて、チームビルディングやコミュニケーションスキルも同時に育てることができます。
▼経営シミュレーションについては下記で詳しく解説しています。
⇒経営シミュレーションとは?人材育成の新手法・研修について解説
以上の2つの手法は、それぞれ異なるアプローチでリーダー育成に役立ちます。
eラーニングによる知識の習得と、シミュレーションによるスキルの実践・応用は、お互いを補完し合う存在であり、次世代リーダーの成長に大いに貢献できます。
次世代リーダーの発掘と育成事例
社員数: 1,000名
管理職の戦略的機能の啓発が課題 窓口の社長は事業を成長させるためには、人の育成、特にビジネスリーダー人材の存在が不可欠だと考えていました。 しかし、調剤薬局業界では、薬の販売価格や広告宣伝などは、国が決定するため、業務を効率よく運営することが中心となってしまい、経営環境を考える力やマーケティング戦略を考える力が啓発されにくいと考えていました。 商売感覚を養いたい 社内試験やトレーニングを通じて分かったことは、日常からビジネスの潮流にアンテナを張って活動する「商売感覚」の啓発がビジネスリーダー育成上の課題になっているということでした。 このような商売感覚の感度を高めるためには、実際に自分たちが社長の立場で環境分析や経営判断などを行う経験があることが、経営者の考え方を理解する上で不可欠という考えに至り、経営シミュレーションを活用した育成型アセスメントプログラムを実施することになりました。 取り組みの詳細 育成型アセスメント形式で展開 今回の取り組みでは、店長12名とエリアマネジャー6名に対してBiz-Exを活用しました。 社長からは、ビジネスリーダーの育成と評価を同時に実行したいという要望を頂いたので「育成型アセスメント」形式で展開しました。 経営シミュレーション「Biz-Ex」上で社長となり、様々な利害関係者への情報収集、財務分析、意思決定など社長の立場で経営疑似体験することができます。 経営を進めていく上で不足しているビジネス知識は、動画やテキストの100以上の学習コンテンツを閲覧いただくことで補うことができます。 1人で経営シミュレーションすることで、商売感覚を啓発 思考の癖などを分析するアンケートや、一連の経営活動を行う中で、どの行動が結果に結び付いたのか行動分析を行うこともできます。 受講者一人一人に学習環境を与えることで、スピーディーに「商売感覚」を啓発することができます。 知識を習得するだけでは、啓発できなかった「商売感覚」を経営シミュレーションを使って実践から身に着けることができます。 経営シミュレーション導入の成果 受講者の声 受講者からは、 「経営シミュレーションを通じて販売価格やプロモーションなどが売上にどのように影響を与えているのか理解することができた」 と評価をいただきました。 今後期待すること 窓口の社長からは、「受講者一人一人の特徴がよく分かり、ビジネスリーダーとしての情報分析力や判断力を把握することができた」と評価いただきました。 「私は一人ひとりのキャラクターを理解して人員配置していなかったかもしれない」とコメントをいただき、現在では受講者との1on1を経て、受講者の適性を考えた上で別部門への異動をしてもらい育成を図ることも新しく始めています。 受講者の一人ひとりの強みや啓発課題を正しく把握した上で、その人が輝ける、成長できる環境に異動させるというのは、人材育成において極めて重要であると改めて気づく機会となりました。 |
出典:Biz-Ex活用事例
まとめ
次世代リーダー育成の【最重要ポイント】とは!? その鍵はタスクアサイン!について紹介してきました。
- 次世代リーダー育成の主な方法
- 次世代リーダーに求められるスキル
- 次世代リーダー育成でよく行われる選抜研修
- 次世代リーダー育成における課題
- 次世代リーダー育成のポイント
- 次世代リーダー育成が重要視されるワケ
- 次世代リーダー育成はサクセッションプランにつながる
- 次世代リーダー育成候補者の選抜方法
- 次世代リーダー育成の学習環境の準備
- 次世代リーダーの発掘と育成事例
次世代リーダー育成の最重要ポイントは、何を経験させるかということです。その点においては、重要な仕事というタスクアサインが鍵を握ります。
また、先にタスクを明確にすることで、育成される側が学びを早く吸収することが可能ですし、学んだことを実行に移し、実践力を身に付ける機会にもなります。
育成のためには、マネジメントスキル・ビジネススキルを自律的に学ぶためのeラーニング学習環境の整備が有効です。
eラーニングをベースとした学習環境により、次世代リーダーはいつでも、どこでも、何度でも、自分のペースで学習を進めることが可能です。
さらに、先にタスクアサインを明確にしておくことで、自律的な学習が促進されます。
また、実践トレーニングの手法として、経営シミュレーションも有効です。
eラーニングで学んだことの仕上げとして「疑似的な実践の場」で経営を体験することで、次世代リーダーが仕事での実践に備えることができます。
株式会社LDcubeでは、世界レベルのMBA教授によるマネジメントスキル・ビジネススキルを学習できるCrossKnowledgeマイクロラーニングを提供しています。
また、高品質な経営シミュレーションBiz-Exも提供しています。次世代リーダー育成に向け、タスクアサインが明確になった際には、学習の機会としてぜひご利用ください。
無料のデモIDの発行やデモ体験会なども行っています。お気軽にお問い合わせください。
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