経営スキルとは具体的に何を指す?経営者に必要な15個の能力に分解して詳しく解説
「経営者に必要なスキルを具体的に知りたい」
「経営スキルを身に付けて、会社を成長させたい」
このような思いを抱える経営者やリーダーの方は、多いのではないでしょうか。
近年、ビジネス環境の変化が加速し、経営の難易度が増しています。経営スキルを身に付けることは、会社の発展のために不可欠です。
この記事では、経営スキルを「概念的思考能力・対人関係能力・個人的資質」の3つに分類し、それぞれを5つの能力に分解してわかりやすく解説します。
さらに、経営スキルを効果的に習得するための具体的なアクションも提案します。
ご一読いただくと、経営スキルの全体像を理解でき、経営力を効果的に高めるためのロードマップが見えてくるはずです。
経営の実力を身に付けて、会社を次のステージへと導きましょう。
▼経営の勉強法については下記で詳しく解説しています。
⇒経営の勉強は何をすべきか?実践スキルを身に付ける効果的な方法
▼経営スキルが求められる役員向けの研修については下記で詳しく解説しています。
⇒役員研修とは何か?経営力強化と組織変革を実現する効果的アプローチ
▼サクセッションプランについてまとめた資料は下記よりダウンロードできます。
経営スキル(1)概念的思考能力
経営スキルの中でも、まず重要なのは「概念的思考能力」です。
複雑な経営課題に対して、本質を見抜き、戦略的に対処していくためには、高度に体系化された思考力が欠かせません。ここでは、5つの能力に分解して解説します。
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情報収集分析能力
1つ目の概念的思考能力は「情報収集分析能力」です。
経営判断の質は、判断の元となる情報の質に大きく左右されます。
情報収集分析能力とは、意思決定に必要な情報を網羅的に収集し、本質を見抜く力のことです。
【情報収集分析能力を高めるヒント】
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報収集分析能力は、意思決定の精度を高め、経営判断のクオリティを左右する重要なスキルです。日頃から意識的に情報収集を行い、情報を読み解く力を磨いていきましょう。
問題発見形成能力
2つ目の概念的思考能力は「問題発見形成能力」です。
問題発見形成能力とは、経営課題の本質を洞察し、解くべき問題を明確に定義する力のことです。
複雑な経営環境の中から、重要な問題を発見し、解決すべき問題として言語化する力が求められます。
【問題発見形成能力を高めるヒント】
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問題の発見と形成は、問題解決の出発点であり、経営改善の鍵を握ります。常に問題意識を持ち、問題を言語化する習慣を身に付けていきましょう。
戦略的思考能力
3つ目の概念的思考能力は「戦略的思考能力」です。
戦略的思考能力は、長期的視点に立ち、競争優位性を生み出す戦略を立案する力です。
将来の環境変化を予測し、自社の強みを生かした戦略を描けるように、鍛錬する必要があります。
【戦略的思考力を高めるヒント】
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戦略的思考力は、会社の針路を決める重要な能力です。「木を見て森を見ず」にならぬよう、常に戦略的視座を持つよう心がけましょう。
*1:PEST分析とは、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4つの観点から、マクロ環境を分析するフレームワークです。
*2:SWOT分析とは、自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの視点から、自社の内部環境と外部環境を分析するフレームワークです。
▼経営戦略の立て方については下記で詳しく解説しています。
⇒経営戦略の立て方・手順とは?|環境分析から実行、検証フェーズまで徹底解説
決断力
4つ目の概念的思考能力は「決断力」です。
決断力とは、限られた時間の中で、最善の意思決定を下す力のことです。
スピーディかつ果断に、しかしリスクを見極めたうえでの決断が望まれます。
【決断力を高めるヒント】
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経営判断の質とスピードは、会社の命運を左右します。
決断力は経営者の最も重要な資質のひとつだといえるでしょう。普段の行動でも、果断に決めることを意識して、決断力を鍛えていきましょう。
計画組織力
5つ目の概念的思考能力は「計画組織力」です。
計画組織力とは、戦略を実行に移すために、具体的な計画を練り、適切な組織体制を構築する力を指します。
綿密な計画を策定し、その計画を確実に遂行する組織集団を作る力が必要です。
【計画組織力を高めるヒント】
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戦略を絵に描いた餅で終わらせないためには、緻密な計画と、それを実行する組織づくりが肝要です。
戦略を支える計画と組織を、どう構築するかが問われます。
経営スキル(2)対人関係能力
経営においては、組織を動かし、ステークホルダーを巻き込む「対人関係スキル」が不可欠です。
続いて、以下5つの能力について解説します。
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役割認識発揮能力
1つ目の対人関係スキルは「役割認識発揮能力」です。
役割認識発揮能力とは、組織内での自分の役割を的確に認識し、その役割に応じて主体的かつ効果的に行動できる能力を指します。
経営者やリーダーには、組織をまとめ、方向づける存在であることが求められます。
【役割認識発揮力を高めるヒント】
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自分の立ち位置や役割を認識し、その役割にふさわしいリーダーシップを発揮することが、組織をまとめる鍵となります。状況に応じた柔軟なリーダーシップを心がけましょう。
説得力
2つ目の対人関係スキルは「説得力」です。
説得力は、論理的に筋道を立てて人を納得させ、ときには感情を揺さぶりながら、行動を促す力のことです。
多様な価値観を持つメンバーをひとつの方向に向けるためには、高い説得力が必要不可欠です。
【説得力を高めるヒント】
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メンバーを動かせるかどうかは、リーダーの説得力に大きく影響されます。自己開示して真意を率直に伝え、論理と感情を織り交ぜて説得する力を磨くことが重要です。
傾聴力
3つ目の対人関係スキルは「傾聴力」です。
傾聴力とは、相手の話をただ聞くだけでなく、背後にある感情や意図を理解し、相手の態度にも注目しながら信頼関係を深める能力を指します。
メンバーの本音を引き出し、隠れた才能を見出すためには、深い傾聴が欠かせません。
【傾聴のヒント】
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ンバーの真意をつかむことは、組織の力を引き出すために不可欠です。謙虚に耳を傾け、一人一人と真摯に向き合うリーダーを目指しましょう。.
葛藤処理能力
4つ目の対人関係スキルは「葛藤処理能力」です。
葛藤処理能力とは、チームメンバーへ意欲的に働きかけ、無関心や対立から「協働」へと関係性を構築していく力です。
組織にはさまざまな価値観を持つ人が集まるため、コンフリクト(葛藤や対立)は避けられない事象といえます。葛藤を恐れずに向き合い、組織の成長の糧とすることが大切です。
【葛藤処理のヒント】
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葛藤は、意見のぶつかり合いから新しいアイデアが生まれるチャンスでもあります。葛藤を建設的に昇華させ、組織の成長につなげる力が問われます。
▼チームビルディングできることも重要です。チームビルディング研修については下記で解説しています。⇒チームビルディング研修とは?目的や学ぶ内容・種類・実施方法
集団影響力
5つ目の対人関係スキルは「集団影響力」です。
集団影響力は、グループ内に生じる動きや問題を察知し、チームを望ましい方向へ導く力を指します。
組織の意思決定は、かならずしも公式の会議の場だけで行われるわけではありません。
非公式のコミュニケーションや人脈も含めて、集団の意思決定に働きかける影響力が求められます。
【集団影響力を高めるヒント】
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経営判断は、会議での意思決定だけでなく、普段の人間関係が大きく影響します。公式・非公式のあらゆるチャネル(経路)を通じて、存在感と影響力を発揮することが重要です。
▼リーダーシップ開発については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒リーダーシップ開発とは?実務で使える6ステップの実践ポイント
経営スキル(3)個人的資質
最後に、経営者に求められる「個人的資質」について見ていきましょう。以下の5つの要素を取り上げます。
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表現力
1つ目の個人的資質は「表現力」です。
表現力は、自分の考え方や気持ちを明確に、かつ、効果的に人前で伝える能力を指します。
ビジョンを示し、組織を率いるリーダーにとって、人を惹きつける表現力は欠かせません。
【表現力を磨くヒント】
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組織を動かすには、強いメッセージ性を持った表現力が不可欠です。日頃からプレゼンテーションの機会を積極的に設け、表現力を鍛えていきましょう。
*3:ストーリーテリングとは、情報やデータをただ伝えるだけでなく、聞き手が共感しやすい物語形式で情報を組み立て、より深く理解してもらう手法です。
創造性
2つ目の個人的資質は「創造性」です。
創造性とは、課題解決の際に既存のデータや情報を組み合わせ、展開して新しい観点やユニークな発想を生み出す能力を指します。
先例のない課題に直面する経営者にとって、創造性は必須の資質です。
【創造性を高めるヒント】
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イノベーションを起こすには、既存の枠組みを超える創造性が欠かせません。答えのない難題に立ち向かう創造力を、日々の意識的な行動で養っていきましょう。
▼創造力を鍛える方法については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒創造力を鍛える12の具体的な方法と創造力を発揮しやすい環境の作り方
バイタリティー
3つ目の個人的資質は「バイタリティー」です。
バイタリティーとは、高い成果を目指し、精神的および肉体的な活力に満ちた状態で、明るく力強く取り組む意欲を指します。
経営の世界は厳しい競争にさらされています。リーダーには、粘り強く挑戦を続ける強靭な精神力と体力が求められます。
【バイタリティーを維持するヒント】
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リーダーのバイタリティーは組織のエネルギーレベルに大きく影響します。情熱とエネルギーを絶えず振りまいてチームを鼓舞し、挑戦を続ける組織文化を築いていきましょう。
ストレス耐性
4つ目の個人的資質は「ストレス耐性」です。
ストレス耐性は、時間的制約や外部からのプレッシャーの中でも課題を達成し、良質な人間関係を築ける心の安定性と粘り強さを指します。
経営判断の多くは不確実性が高く、時間的制約の中で行われます。そのため、ストレスを乗り越えて的確に判断できる強靭なメンタルが必要です。
【ストレス対処力を高めるヒント】
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経営の意思決定の質は、リーダーのメンタルタフネスにかかっています。ストレスに冷静に対処する方法を身に付け、強靭な精神力を養っていきましょう。
柔軟性
5つ目の個人的資質は「柔軟性」です。
柔軟性とは、既存の考え方や過去の行動、特定のモデルや枠組みにとらわれず、変化する状況に応じて適切な判断を下し、新しい行動に踏み切る能力を意味します。
現代は先行きの予測が難しい環境にあり、状況は刻一刻と変化しています。こうした環境変化に柔軟に適応できる思考は不可欠です。
【柔軟性を高めるヒント】
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臨機応変に軌道修正できる柔軟な思考は、現代の生き抜く力となります。世の中の変化に敏感なアンテナを張り、固定観念を打ち破る柔軟な発想を磨き続けましょう。
▼ストレス耐性や柔軟性を高めることはレジリエンスを高めることに通じます。レジリエンスを高める方法については下記で詳しく解説しています。⇒レジリエンスを高めるには?高い人・低い人の特徴と具体的な実践方法を紹介!
経営スキル習得のための具体的アクション
ここまで、経営に必要な15の能力を見てきました。最後に、これらのスキルを習得するための具体的なアクションプランを確認していきましょう。
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経営の手法を体系的に学べる教育プログラムを活用する
1つ目のポイントは「経営の手法を体系的に学べる教育プログラムを活用する」です。
経営スキルを習得するうえで、体系的な学習は欠かせません。とくに、経営の勉強を始めたばかりのタイミングなら、教育プログラムの利用が学びの速度を速めます。
【経営手法を体系的に学ぶメリット】
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たとえば、下記のようなeラーニングを利用すれば、多忙な日々においても効率的に学習を進め、経営スキルを高められます。
【参考:eラーニングプログラムの例】
出典:CrossKnowledge eラーニング|標準コース
ただし、質の高いプログラムを選定することには、十分な注意を払ってください。教材の質が低いと、学びの質も下がってしまうからです。
詳しくは以下の記事をあわせてご覧ください。
⇒意味がないeラーニングから卒業する6つの秘訣!原因や対策を解説!
経営シミュレーションゲームで実戦力を養う
2つ目のポイントは「経営シミュレーションゲームで実戦力を養う」です。
机上の学習だけでは、経営スキルを実践レベルで身に付けることは難しいものです。そこで有効なのが、経営シミュレーションゲームを活用した実践的な学習です。
【経営シミュレーションゲームの学習効果】
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具体的なイメージを挙げると、以下は経営シミュレーション実践型eラーニング「Biz-Ex」の様子です。
出典:Biz-Ex
会社経営を疑似体験した成績は、以下のようにスコアで評価され、自身の強みと弱みを明確に把握できます。
出典:Biz-Ex
詳しくは以下のページをご確認ください。
⇒経営シミュレーション実践型eラーニング「Biz-Ex」
▼経営シミュレーション研修については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒経営シミュレーションとは?人材育成の新手法・研修について解説
経営者向けのセミナーや勉強会に参加する
3つ目のポイントは「経営者向けのセミナーや勉強会に参加する」です。
経営者にとって、学び続ける姿勢は欠かせません。その一環として、経営者向けのセミナーや勉強会に積極的に参加することをおすすめします。
【セミナー・勉強会に参加するメリット】
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セミナー等で得られる情報や気づきが、すぐに業績アップに直結するわけではありません。
しかし、世の中の動きをキャッチし、ネットワークを広げ、自社を見つめ直すきっかけとなる点で、大きな意義があるといえるでしょう。
▼自己啓発での学び方については下記で解説しています。合わせてご覧ください。
⇒自己啓発の意味がない理由3選!効果的なキャリアアップにつなげるポイントを解説!
まとめ
本記事では「経営スキル」をテーマに解説しました。経営スキルは経営コンサルタントや経営企画、経営管理などの部署に所属している人だけに必要なスキルではなく、経営者へのキャリアアップを目指すビジネスパーソンには必須で求められるスキルです。
本記事のまとめとして、弊社の研修資料より抜粋した総括を掲載します。
【概念的思考能力】
経営スキル |
説明 |
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1 |
情報収集分析能力 |
手許のデータ情報や状況を多面的に把握し、論理的に的確に分析・整理し、核心を捉えた表現や記述でまとめることができる能力。 |
2 |
問題発見形成能力 |
関連データを多面的・多角的に診断分析し、問題の本質や核心を効果的に究明し、全体的視野に立って指摘できる能力。 |
3 |
戦略的思考能力 |
外部環境の変化競合などの状況を把握し、組織の現状や位置づけ(環境の中での長所短所)の明確化を行ってニーズを捉え、組織の進むべき方向を明確にし、ダイナミックでドライで、ドラスティックな戦略策定をしていける能力。 |
4 |
決断力 |
不明確不確実な要素を的確に取捨選択し、現況と将来の展望を見極めた上で、ためらわずにキッパリとリスクに賭けた意思決定ができる能力。 |
5 |
計画組織力 |
組織を取り巻く内外の状況を的確に認識して、論理的にまた、具体的に手順を構成し、まわりを組織化して、システマチックに機能できる組織集団を作り上げていける能力。 |
【対人関係能力】
経営スキル |
説明 |
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6 |
役割認識発揮能 |
組織集団の状況のなかで、自分がとるべき役割、自分でなければならない役割、自分に期待されている役割などを感受性をもって感じとり、それらに対応して主体的・効果的に貢献し得る能力。 |
7 |
説得力 |
相手に対して、真実の自分を出し、論理だけでなく、感情も込めてより具体的にわかりやすく表現し、相手をその気にさせる能力。 |
8 |
傾聴力 |
相手の言葉を聞くだけでなく、言葉の背景にある気持ち感情を積極的に聞きとり、相手の態度を観察しながら強い信頼関係を築きあげる能力。 |
9 |
葛藤処理能力 |
課題を達成するために、メンバーに意欲的に働きかけ、無関心—競争—葛藤—協働の関係に持っていける能力。 |
10 |
集団影響力 |
グループの中に起こるいろいろな動きや、解決しなければならない問題点に気づき、他のメンバーと協働し、生産的なチームを作り上げていくために貢献できる能力。 |
【個人的資質】
経営スキル |
説明 |
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11 |
表現力 |
自分の考え方や気持ちを明確に、かつ、他者によい印象を与えながら効果的に人前で発表していくことができる能力。 |
12 |
創造性 |
課題を解決するにあたり、既存のデータ情報を組み合わせたり、展開したりして、新しい観点やユニークな発想を生み出す能力 |
13 |
バイタリティー |
高い業績を達成するために、やる気一杯で、肉体的・精神的に活力にあふれ、明るく頑張ってやり遂げる意欲。 |
14 |
ストレス耐性 |
時間的な制約や他者から受ける圧迫や抵抗の中で課題をやり遂げ、まわりとの効果的な関係づくりもできる心の安定性と粘り強さ。 |
15 |
柔軟性 |
自分のそれまでの考え方や行動、ある特定のモデルや枠組みにとらわれることなく、状況に応じて、あれやこれやを判断し、新しいあり方を模索して、行動に踏み切る状況に適応できる能力。 |
未来の経営環境は、ますます不確実性を増していくことでしょう。状況の変化にしなやかに適応し、人々を巻き込みながらビジョンを示していく力が欠かせません。
経営という “生きた学問” を通じて、日々自らを高め続けるリーダーであり続けることが、これからの時代に求められているのです。
経営スキル向上のために、今日から一歩を踏み出していただければと思います。
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