人材育成の目標とは?目標設定の仕方やこれからの時代の重要ポイントを解説!
組織内での人材育成の目標には2つの視点があります。
一つは、社員に成長してもらうために目指すべき人材像や目標を設定し、それを基に育成を進める個人面の視点です。
もう一つは、人材育成における効果をどのように高めていくかという人材育成そのものの目標という組織面の視点です。
本記事ではこれら2つの視点から解説します。
▼人材育成全般にについて大切なことに関しては下記で詳しく解説しています。
合わせてご覧ください。
目次[非表示]
- 1.目標設定は人材育成において重要!
- 2.人材育成の目標設定が生み出す効果
- 2.1.社員のモチベーション維持・向上
- 2.2.専門知識の習得・スキルアップの促進
- 3.人材育成の目標設定を行う流れ
- 3.1.①達成したい項目を洗い出す
- 3.2.②KGI・KPIを置いて目標達成の基準をつくる
- 3.3.③現実的な期限を設定する
- 3.4.④具体的なアクションを決める
- 4.これから時代の人材育成の目標
- 4.1.学習行動のデータ取得
- 4.2.データを活用したアダプティブラーニングの実現
- 4.3.効果的なタレントマネジメントへ
- 5.データによる人材育成の効果検証
- 5.1.各学習者の学習進捗の把握と評価
- 5.2.教育プログラム内容の最適化
- 5.3.パフォーマンスと学習結果の相関分析
- 6.目標達成につなげるためのツール
- 7.まとめ
目標設定は人材育成において重要!
まずは個人面の目標について解説します。(※組織面の目標については4章で紹介します)
企業の人材育成では、組織が求める理想の人材像に成長させるための目標設定が非常に重要です。
人材育成の目標設定は、社員に成長の方向性を示すことができ、「何を学ぶべきか、何を解決すべきか」を明確にします。
そのため、社員は成長の過程で混乱したり無駄な行動をしたりする機会が減り、モチベーションを維持したまま業務や研修に取り組むことができます。
専門的な知識やスキルの習得に焦点を当て、中間目標や最終的なゴールを設定することが大事であり、成長度合いの可視化や評価を行うための手段も不可欠です。
人材育成の目標設定が生み出す効果
ここからは、人材育成に目標を設定することで、組織にどのようなプラス効果がもたらされるのかを紹介します。
|
社員のモチベーション維持・向上
組織が求める人材像がどのようなものかを社員に共有することで、「その人物になるために目標を達成したい」という意欲を掻き立てられます。
組織全体の目標と併せて、社員個々に明確な目標を設定することで、日々の業務に対するモチベーションの維持をサポートできます。
また、モチベーション向上につなげるためにも、適切な中間目標を設定し、定期的に達成感を与える取り組みも大切です。
目標の達成はエンゲージメント向上にも寄与し、自発性のある社員の育成や組織の活性化につながります。
専門知識の習得・スキルアップの促進
社員が配属された現場ごとに、必要な専門知識やスキルの取得を目標に設定することで、成長を早められます。
社員が工夫しながら自律的に学ぶ機会を創出するためにも、学ばなければ習得できない知識やスキルを、自分自身で目標に設定することが重要です。
人材育成の目標設定を行う流れ
人材育成の目標設定は、達成したい項目の洗い出しから始まります。その後、KGI・KPIを置いた目標設定や適切な期限の設定、具体的なアクションという流れになります。
ここからは、人材育成の目標設定の一般的な流れを解説します。
|
①達成したい項目を洗い出す
組織と組織に属する社員の課題に合わせて、人材育成で達成したい項目を洗い出します。
例えば、営業部門の場合、年間売上の増加や新規顧客獲得数の増加、営業プロセスの効率化、営業スキルの向上などの項目があります。
過去の業績や足りないスキルなどを考慮し、まずは大きな項目から整理していきましょう。
②KGI・KPIを置いて目標達成の基準をつくる
成長度合いを可視化するために、抽象的な目標ではなく、定量的に評価できる指標でKGI・KPIを設定することが大事です。
例えば、最終的な目標にあたるKGI(重要目標達成指標)に売上目標達成率を設定したとします。KPI(重要業績評価指標)は、売上目標達成率に影響する特定スキル・知識を習得した人数や割合、学習ツールの活用度、研修の受講者数や研修後のテストの成績などを設定します。
このように、できる限り数字で評価できる指標を設定すると進捗を客観的に把握することが可能です。また、人材育成の施策に対する効果測定にも役立ちます。
③現実的な期限を設定する
目標の難易度や取り組みの内容に応じて、現実的な期間を設定しましょう。
短期的な取り組みの場合は1週間以内や1ヶ月以内、中長期的な取り組みの場合は3ヶ月や半年、1年というように具体的な期間を決めます。
短期目標の場合、進捗状況を把握しやすく、その後の取り組みの改善をしやすいという利点があります。
④具体的なアクションを決める
目標達成に向けて、人材育成を行うための手段を具体的に計画して実行しましょう。
例えば、専門知識やスキル習得を目的としたオンライン研修の実施や、リーダーシップ開発、キャリア開発、ダイバーシティなどのトレーニングを企画します。
施策を計画したあとは、実行・効果測定・改善というPDCAを回すことで、目標達成を支援することができます。
研修や講座、トレーニングでの成長や目標の達成度合いを適切に評価するため、学習者の受講状況や成績などを可視化できる学習プラットフォームの導入が望まれます。
人材育成の具体的なプログラムの企画・設計については、関連記事をご覧ください。
これから時代の人材育成の目標
組織面の人材育成の目標について解説します。
これからの時代の人材育成の目標は、より効果的な手法へと変革を遂げることです。具体的には、これまでのやり方から時代に合った新たなアプローチを導入することを指します。具体的な新たな人材育成で実現すべき目標を、以下に紹介します。
|
学習行動のデータ取得
新しい時代の人材育成では、学習者の学習行動データが重要な役割を果たします。
なぜなら、学習行動のデータを活用することで、人材育成をより科学的に再現性の高い取り組みへと変革していくことができるからです。
学習行動データとは、学習者の学習プロセスの全行動パターンを数値化し、記録・集計したものを指します。
まず、オンライン学習プラットフォームや学習管理システム(LMS)などを活用して、学習環境を整備し、学習プロセス全体を把握できるようにします。
その学習環境上で学習者が学習行動を取ると、学習行動のデータが取得できます。
従来の集合研修をベースとした学習環境では学習者の学習行動が目の前で見えているものに限定されてしまっていました。
時代に合わせた学習環境を整備することで、学習行動のデータを取得し活用することができます。
データを活用したアダプティブラーニングの実現
学習行動のデータを活用することで、個々人に合わせた学び、つまりアダプティブラーニングを実現することができます。
学習環境を整備し、そこで取得したデータを使うことで、各学習者の学習パターンや傾向、啓発点などを特定し、それに基づきカスタマイズされた教育プログラムを提供することができるようになるためです。
アダプティブラーニングとは、従来の一律的な研修と対象的に、個々の学習者の学習スタイルや進度、理解度に合わせて教育プログラムを展開する学習法です。
学習者は、それぞれ育ってきた環境や学習してきたこと、経験、現在置かれている状況など全て異なります。本来は個々人に合わせた学習を提供できることが望ましいです。
しかしながら、これまでの集合研修をベースとした企業内学習スタイルでは、アダプティブラーニングの実現が不可能でした。
これからの時代に合わせ、デジタル時代の学習環境を整備することにより、一人一人の学習者が自分のペースで効率的に学ぶことが可能となり、学習結果の最大化を目指すことができます。
効果的なタレントマネジメントへ
デジタル化された学習環境は、効果的なタレントマネジメントへとつながります。
なぜなら、学習行動のデータを取得することで、個人の学習状況などをデータで掴むことができ、そのデータをタレントマネジメントに生かすことができるからです。
タレントマネジメントとは、企業が組織のパフォーマンス向上のために必要な人材を確保、育成、管理、活用する一連のプロセスを指します。
デジタル時代の人材育成により、学習者一人一人の学習状況やスキル習得状況などの可視化が可能となります。
そのデータをタレントマネジメントシステムとデータ連携して活用することで、組織内の効果的なタレントマネジメントの実現につながります。
上記はステップバイステップで進めていきます。
最初の目標は、当面の間、「学習行動のデータ取得」のための学習環境を整備することです。
その次のステップとして、「データを活用したアダプティブラーニング」の実現に取り組みます。
最終的には、「効果的なタレントマネジメント」の実現を目指します。これが組織面からの人材育成の目標です。
データによる人材育成の効果検証
さまざま展開している人材育成施策について、組織としてきちんと効果検証していくことが重要です。ここで紹介する「効果検証」とは、教育・学習などの人材育成の成果を明らかにし、その価値を評価するプロセスを指します。
|
各学習者の学習進捗の把握と評価
学習行動のデータを活用すると、各学習者の学習進捗をリアルタイムで把握することが可能となります。
学習したコース数、試験の点数、学習した内容の理解度、学習時間などのデータ分析を通じて、具体的な学習結果を評価できます。
これにより、教育プログラムの効果を確認しやすくなります。
教育プログラム内容の最適化
収集された学習行動データは、教育プログラムや学習内容の最適化にも活用できます。
たとえば、あるテーマについての理解度クイズにおいて、正答率が低い分野があれば、そこは学習者が全体的に理解不足と感じている分野と捉えることができます。
その場合、教育プログラムや学習内容の改善が学習者の理解度向上を促進することに繋がります。
パフォーマンスと学習結果の相関分析
データ活用により、各学習者の学習結果とその業務でのパフォーマンスとの間にどのような相関関係があるのかを探ることができます。
相関分析とは、2つ以上の変数の間の関係性を明らかにする分析手法で、ここでは業務パフォーマンスと学習結果の関連度を調べるために用いています。
これにより、特定のスキルや知識の習得が具体的にどのように業務成果に影響するのかを可視化でき、必要なスキルの優先順位をつけるための基準ともなります。
また、今後の人材育成、人的資本への投資判断の材料とすることもできます。
▼人材育成の効果検証については下記でも解説しています。合わせてご覧ください。
目標達成につなげるためのツール
人材育成の目標達成に向けて、組織と個人に合わせてカスタマイズ可能な学習プラットフォーム(LMS)の導入がおすすめです。
例えば、組織全体で学習進捗の見える化や社員の成長度合いの評価・フィードバックに役立つのが『CrossKnowledge LMS』です。
『CrossKnowledge LMS』なら、学習コンテンツや研修コースの作成・管理・提供をはじめ、受講者の学習履歴のリアルタイム確認、任意の項目を作成したアンケートの実施、統計データの確認などを行えます。さらには多言語にも対応しています。
特定部門の教育に関わっている担当者様には、オンライン研修・集合・個別学習などの企画・実施に加え、学習管理やフィードバック&コーチング機能まで提供するAI活用学習プラットフォーム『UMU』がおすすめです。
『UMU』では、複数の研修をかけ合わせたブレンディッドラーニングが実施でき、組織・受講者ごとの進捗状況管理ができます。また、事務局からの情報発信だけでなく、受講者間で成功事例の共有や、動画コンテンツの共有なども手軽にでき、現場の学びを加速させます。
『CrossKnowledge LMS』と『UMU』の効率的な活用方法や事例などを紹介しています。無料でのデモ体験会なども行っております。お気軽に『LDcube』までご相談ください。
まとめ
この記事では、人材育成の目標について以下の内容で解説しました。
目標設定は人材育成において重要!
人材育成の目標設定が生み出す効果
- 人材育成の目標設定を行う流れ
これから時代の人材育成の目標
データによる人材育成の効果検証
目標達成につなげるためのツール
人材育成の目標を明確化することは、社員のモチベーション維持や向上につながり、現場で必要な専門知識やスキルの習得を促進できます。
目標の達成度合いを把握するためには、定量的に評価できる指標でKGI・KPIを置くことが望ましく、PDCAを回した人事施策によって目標達成をサポートできます。
また、組織としても時代の変化に合わせて人材育成のあり方に新たなアプローチを取り入れ、より効果的な手法へと変革を遂げることが重要です。これからの時代は人材育成にもデータの取得とデータ活用を取り入れ、しっかりと効果検証も行いながら、組織全体のタレントマネジメントにもつなげて行くことがポイントです。
『LDcube』では、組織全体に焦点を当てて学習の提供や学習管理ができる『CrossKnowledge LMS』、多種多様な研修や学習方法を組み合わせて各部門に最適な学びを創出する『UMU』を提供しています。
貴社の課題や組織の目標に合わせて、最適な学習ツールの選定から上手な活用方法まで丁寧にサポートいたします。無料でのデモ体験会なども行っています。にお気軽にご相談ください。
▼関連資料はこちらからダウンロードできます。
▼関連記事はこちらから。