53%の人がレジリエンスは後天的に育める能力であることを知らなかった|すぐできること9選!
環境変化の激しい現代において、企業で働く人材には突如襲ってくるストレスや逆境に適切に対処していく力が求められます。変化の中で、心が折れそうになってしまう従業員もいるかもしれません。しかし、そんな時に彼らを支えてくれるのが「レジリエンス」(※)です。
(※)レジリエンスとは、ストレスフルな状況や逆境に直面した際にそれを乗り越えて適応していく心理的な回復力・復元力のことを指します。
今や、「レジリエンス」という言葉は人材開発の領域で当たり前に聞かれるようになりました。それくらい、“人材のレジリエンス向上”が今後のビジネス展開において重要になってきているのでしょう。
そこで今回は、人事ご担当者さま、経営者さまへ「人材のレジリエンス向上の取り組み」について広く調査いたしました。
結果として、「53%の人がレジリエンスは後天的に育むことができることを知らなかった」 ということが分かりました。また「49%の組織では人材のレジリエンスに課題を感じている」 という事実も明らかになりました。
(質問12:「レジリエンス」は先天的な資質ではなく、後天的にトレーニングで育むことができることを知っていますか?についての結果グラフ)
レジリエンスは後天的にトレーニングで育むことが可能です。効果的なトレーニングを展開してレジリエンスの課題を解決していきましょう。
本記事では、
- レジリエンスとは
- 調査結果の概要
- レジリエンスを育むためにすぐにできること9選
について紹介します。
▼ レジリエンスについては下記で解説しています。併せてご覧ください。
⇒レジリエンス研修とは?実施で得られる効果と代表的な5つの要素
目次[非表示]
レジリエンスとは(意味合いの確認)
レジリエンス(resilience)とは、回復力・耐久力・弾力・再起力などを意味し、元々は物理学用語ですが、心理学的には困難な状況を乗り越えるための精神的回復力という意味で使われています。米国のペンシルベニア大学心理学部教授のマーティン・セリグマンが提唱した『ポジティブ心理学』をベースとした概念のことです。
ビジネスシーンにおいては、レジリエンスを高める施策に注力することで、ビジネス環境や社会のニーズ、組織の変化に柔軟に適応できる人材を効率よく育成できます。
また、レジリエンスというのは、予防接種のようなもので、人の精神的および心理的な側面から、困難な状況や厳しい環境に対処する個人の能力、つまり回復力や復元力を持つことができるという事を意味します。
インフルエンザなどの感染症の予防接種は、あらかじめ病気に対する免疫機能をつけたり、免疫機能を強化したりするためにワクチンを接種します。それにより、病気になることを予防したり、人に感染させてしまうことを防ぐ役割があります。
ただし、予防接種をしたからといって全く病気にかからないわけではなく、もし感染したとしても重症化を防ぐ助けになります。
同じことがビジネスにおいても当てはまります。
レジリエンス研修の受講などを通じて、レジリエンスを高めるという対策を講じることで、自身の感情や考え方をコントロールする方法を学び、困難に立ち向かうための強さや回復力を持つことを習慣化することができます。
ただし、レジリエンス研修を受講すれば、困難な状況に遭遇しなくなるわけではありません。
困難な状況はいつ訪れるか分かりません。レジリエンスの「予防接種」をしておくことで、困難な状況に遭遇した際も、それによるマイナスの影響を軽減し、すぐに立ち直ることができるようになります。
レジリエンスについてのアンケート調査概要
株式会社LDcubeが行ったレジリエンスについてのアンケート調査について結果をご案内します。
アンケート名称 「人材のレジリエンス向上の取り組み」に関する調査
- 調査主体:株式会社LDcube(調査委託:ProFuture株式会社)
- 調査期間:2024/7/19~8/1
- 調査方法:WEBアンケート
- 調査対象:上場および非上場企業の人事責任者・ご担当者さま
- 有効回答:238件
質問一覧
貴社の従業員数を教えてください。
- 貴社では人材のレジリエンスに課題を感じていますか?
- 人材のレジリエンスに課題を感じている“階層”として、当てはまるものをすべてお選びください。
- 人材のレジリエンスに課題を感じている“職種”として、当てはまるものをすべてお選びください。
- 人材のレジリエンスにおいてどのような課題を感じているか、具体的な現象などを教えてください。
- 貴社ではこれまでに、レジリエンスが高くないことを原因に、メンタル面の事由から休職してしまった人などはいますか?
- 人材のレジリエンス向上に向けて、貴社で行っている施策はありますか? 当てはまるものをすべてお選びください。
- 貴社で行っているレジリエンス研修について、研修日数を教えてください。
- 貴社で行っているレジリエンス研修について、どのようなリソースを活用していますか?
- レジリエンス研修によって感じている効果などがあれば教えてください。
- 新入社員を採用する際の選考基準として、“レジリエンスの高さ”を意識していますか?
- 「レジリエンス」は先天的な資質ではなく、後天的にトレーニングで育むことができることを知っていますか?
- その他に「レジリエンス向上」という観点から、成果のあった取り組みや今後取り組みを検討している施策などがあれば教えてください。
人材のレジリエンスに対する課題認識
質問2
貴社では人材のレジリエンスに課題を感じていますか?
- 49%の組織が人材のレジリエンスに課題を感じていると回答しています。
- 感じていないという回答は20%です。
【コメント】
-
49%の組織では人材のレジリエンスに「課題を感じている」と回答しています。「感じていない」と回答した組織は20%でした。約半数の組織でレジリエンスに課題を感じていることが浮き彫りになりました。人材育成の大きな課題の1つと言えるのではないでしょうか。
レジリエンスに課題を感じている「階層」
質問3
人材のレジリエンスに課題を感じている“階層”として、当てはまるものをすべてお選びください。
- 最も回答が多かった階層が「若手社員(20代前半)」で55%でした。
- 次いで、「若手社員(20代後半)」が53%でした。
- 「中堅社員(30代前半)」が49%、「中堅社員(30代後半)」が48%と続きます。
- 「初級管理職層」は38%、「新入社員」は36%という回答でした。
【コメント】
-
最も回答が多かった階層が「若手社員(20代前半)」で55%でした。また「若手社員(20代後半)」が53%と、20代が大きなウエートを占めました。「新入社員」もほとんどが20代ではありますが、結果は36%でした。
「若手社員(20代前半)」「若手社員(20代後半)」と比較すると低い結果となりました。
新入社員はまだ具体的な課題が顕在化していないのかもしれません。配属されて数年経験を積んでいく中でレジリエンスについて課題が顕在化してくることが推察されます。 - 「中堅社員(30代前半)」が49%、「中堅社員(30代後半)」が48%と30代社員に対するレジリエンスの課題も無視できません。総じて20代~30代のレジリエンスの開発が急務と言えるでしょう。
- 「初級管理職層」が38%と決して少なくない回答数でした。管理職になるとストレスなども増えます。初級管理職層へのケアも重要な課題の1つと言えそうです。
レジリエンスに課題を感じている「職種」
質問4
人材のレジリエンスに課題を感じている“職種”として、当てはまるものをすべてお選びください。
- 最も回答が多かった職種が「営業職」で50%でした。
- 次いで、「スタッフ系(総務・人事・経理など)」が38%、「技術職」が37%でした。
【コメント】
- 最も回答が多かった職種が「営業職」で50%、次いで、「スタッフ系(総務・人事・経理など)」が38%、「技術職」が37%でした。営業職はストレスの多い職種の1つです。重点的にケアをする必要があるかもしれません。
▼営業パーソンがレジリエンスを高めると業績向上につながりやすくなります。詳しくは下記記事をご覧ください。⇒レジリエンスが高い人は業績を上げられる!?理由や方法(研修)を解説
レジリエンスについて感じている課題
質問5
人材のレジリエンスにおいてどのような課題を感じているか、具体的な現象などを教えてください。
【自由回答(一部抜粋)】
- 体調を崩し休んでしまう
- 人間関係のトラブルでの退職が多い
- 課題を障害と認識し避ける傾向がある。極端な例では退職する場合もある
- 嫌なことがあったら「辞める」と考えすぎ
- 新人の早期離職と育成期の営業担当者の離職が目立つ
- 長く勤めて欲しいが、転職が発生する、中途入社者も数年で転職する
- 業務の負担・負荷を感じる度合いの差があるのか、同じ業務をしていても不調になる者とならない者がいる
- 「心理的安全性」の誤った理解が浸透し過ぎ、甘え体質・甘やかし体質のまん延と適切な指導不足が顕著になっている
- 自ら取り組む姿勢がなく、何事も受動的
- ハラスメントはもってのほかだが挑戦することに対し不安感を持つものが増えている
- 失敗することに対して不安があり、挑戦意欲が低い若手社員が多い
- お客さまからクレームを言われるとしょげてしまう
- 困難になりそうな道を避ける傾向にあるため、困難を経験することが少ない
- 失敗をしたときに引きずっている。その後チャレンジしなくなっている
- 昇進した年に、メンタル的にまいってしまう
- 新しい仕事に適用するために自分のやり方を変えられない
- 極端に弱いと感じる人が増えた(入社後3カ月、6カ月の例あり)
【コメント】
- 自由記入の回答状況からは、大きく「休職や退職につながってしまうこと」「挑戦の少ないぬるま湯的な職場になってしまうこと」「失敗した後チャレンジしなくなること」などの課題が多いことが感じられます。
環境変化の激しく少子高齢化を迎えている日本においてはレジリエンスを強化し、果敢に挑戦する社員の育成が重要課題であると認識する必要を感じます。
レジリエンスが高くないことによる休職者の有無
質問6
貴社ではこれまでに、レジリエンスが高くないことを原因に、メンタル面の事由から休職してしまった人などはいますか?
- 44%の組織でレジリエンスが高くないことから休職してしまった人がいると回答しています。
- いないという回答は28%です。
【コメント】
-
44%の組織でレジリエンスが高くないことから休職してしまった人がいると回答しています。さまざまな要因の中で休職者が出てしまうことは仕方のないことかもしれませんが、その状況が続いたり、増加したりする場合には、注意が必要です。
早めにレジリエンス向上施策に取り組み、そのような事態の改善を急ぐ必要があります。
レジリエンス向上に向けての施策
質問7
人材のレジリエンス向上に向けて、貴社で行っている施策はありますか? 当てはまるものをすべてお選びください。
- 行っている施策として最も多いのが、「心理的安全性の高い職場づくり」で38%でした。
- 次いで、「健康経営の推進」で35%でした。
- 「レジリエンス研修の実施」は11%にとどまりました。
【コメント】
-
行っている施策として最も多いのが、「心理的安全性の高い職場づくり」で38%でした。次いで、「健康経営の推進」で35%、「レジリエンス研修の実施」は11%にとどまりました。心理的安全性を高めることは社員のチャレンジを誘発する要因にもなります。
チャレンジし、時に失敗したとしてもそれを乗り越えていくことでレジリエンスが高まっていきます。
ただし、質問5の回答にもあったように、心理的安全性への理解が不十分の場合、心理的安全性というお題目のもと、「ぬるま湯職場」になってしまい、挑戦も失敗もしないコンフォートゾーンから抜け出せない職場になってしまう恐れがあります。 -
レジリエンス研修の実施は11%でした。直接的にレジリエンスを育むにはレジリエンス研修の実施が近道です。
20代~30代の社員と初級管理職層への研修実施を検討し、ケアをしていくことが必要でしょう。
▼心理的安全性の高い職場づくりについては下記で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
⇒心理的安全性を職場のマネジメントに取り入れるには?ポイントを解説!
レジリエンス研修の実施日数
質問8
貴社で行っているレジリエンス研修について、研修日数を教えてください。
- レジリエンス研修を行っている組織のうち、その研修日数は、60%が「半日間」、40%が「1日間」という回答でした。
【コメント】
- レジリエンス研修を行っている組織のうち、その研修日数は、60%が「半日間」、40%が「1日間」という回答でした。
- レジリエンスの啓発は大きく分けて2つの要素があります。①思考の柔軟性の開発、②ポジティブなエネルギーの発揮です。これらを啓発するためには、理想として2日間程度の研修日数が必要です。
例えば思考の柔軟性の開発では、普段無意識で行っている自身の判断を可視化してポジティブなものに書き換えるという思考訓練を繰り返し行っていきます。
そのため、不慣れなことに取り組むことから啓発に時間がかかる現実もあります。
半日や1日間でポイントを理解するだけではなく、レジリエンスを高めるために実践的な研修に取り組むことが望まれます。
▼レジリエンス研修については下記で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
⇒レジリエンス研修とは?実施で得られる効果と代表的な5つの要素
レジリエンス研修実施リソース
質問9
貴社で行っているレジリエンス研修について、どのようなリソースを活用していますか?
- レジリエンス研修を行っている組織のうち、56%が「外部講師による社内研修」でした。
- 次いで、「社内トレーナー」が32%と続いています。
【コメント】
- レジリエンス研修を行っている組織のうち、56%が「外部講師による社内研修」で、次いで、「社内トレーナー」が32%と続いています。
- 質問3で明らかになったように、組織の中でレジリエンスに課題を感じている階層は20代前半~30代前半、そして初級管理職層と対象者が比較的多くなります。
多くの人に研修機会を提供しようとすると、当然ですがコストがかさみます。
今回の回答結果からも社内トレーナーの活躍が垣間見られますが、社内のより多くの方にレジリエンス研修の展開を考えた際には社内トレーナーを養成し、研修プログラムを展開していけるような体制づくりが求められます。
▼ レジリエンス研修を社内トレーナーが展開することについては下記で詳しく解説しています。
⇒レジリエンス研修の講師になるには?資格や講座についても解説!
新人採用におけるレジリエンス
質問11
新入社員を採用する際の選考基準として、“レジリエンスの高さ”を意識していますか?
- 回答が分かれる結果となりました。
- 採用の際にレジリエンスの高さを意識している組織が35%、意識していない組織が41%でした。
【コメント】
- 回答が分かれる結果となりました。採用の際にレジリエンスの高さを意識している組織が35%、意識していない組織が41%でした。顕著な傾向は見られませんでした。
レジリエンスは後天的に育めることへの認知
質問12
「レジリエンス」は先天的な資質ではなく、後天的にトレーニングで育むことができることを知っていますか?
- レジリエンスは後天的にトレーニングで育むことができることを知っているという回答が47%、知らなかったという回答が53%でした。
【コメント】
- レジリエンスは後天的にトレーニングで育むことができることを知っているという回答が47%、知らなかったという回答が53%でした。
- レジリエンスは能力であり、個人差がありますが、先天的な資質ではなく、後天的に習得可能です。レジリエンスを習得することにより、抑うつや不安に対する緩衝材となったり、潜在能力を解き放つことにつながったりします。
それゆえ、レジリエンスは誰にとっても重要であると言えます。まずは、レジリエンスが後天的に習得可能であるということを知り、レジリエンス習得のための施策を検討し、展開していきましょう。
レジリエンス向上に向けた取り組み
質問13
その他に「レジリエンス向上」という観点から、成果のあった取り組みや今後取り組みを検討している施策などがあれば教えてください。
【自由回答(一部抜粋)】
- 職員同士のコミュニケーションの場づくり。新入職員であれば歓迎会的に集まるイベントの実施など。
- ささいなものかもしれませんが、孤独にさせない取り組み(オンボーディング、人事と新入社員のWEB交換日記など)による1年間のフォロー
- 仕事外のことでショートチャットを毎日行う施策。心理的安全性がまずは微増した
- ポジティブシンキングについてはプログラムを行っている
- 全職員対象とした性格診断やウェルビーイング診断を通じて、自身のタイプや現在の状態と対策を知ることができるシステムを導入予定
- 取り組みについては、当社は行っている方だと思う。具体的な効果が出ているのか、出ていないのか、正直計れていないのだが、マネジャー職に理解してもらうことができるだけで十分と思っている。ハラスメント研修、リスキリングなどと併用して、レジリエンス研修も行っている。
- 成果のあった取り組みは、従業員の健康と福利厚生、健康経営の考え方の下、ストレス管理のプログラムやフレキシブルな勤務時間の導入など。デジタルツールの活用で業務の効率化と柔軟性が向上し、リモートワークの可能性が広がり、組織のレジリエンスが向上した。今後取り組むことは、業員のスキルと知識を向上させるための教育と研修の機会を増やす予定。
- 毎年の自己申告書・人事面談による定期観測、いつでも人事面談による相談のしやすさ、上司と部下による年6回の面談
- 若手社員に、失敗から学んで成長した事例を多く聞かせている。
- メンター制度の拡充と新入社員とのエンゲージメント協議の強化
【コメント】
- レジリエンス研修を行ったり、社員同士や上司部下の関係性を強化したりするなどの施策により、レジリエンス啓発につながる効果を感じられているようです。
- レジリエンスをトレーニングで啓発するには、①思考の柔軟性の開発、②ポジティブなエネルギーの発揮が求められます。これは研修プログラムの受講により習得することができます。
- レジリエンスを啓発するには、ストレスやプレッシャーのかかる仕事にチャレンジし、困難な状況だったとしてもそれを乗り越える経験をすることが重要です。言うなら、「負荷の少ない筋トレでは筋肉はつかない」ということです。
適度なストレスやプレッシャーのかかる仕事にチャレンジしやすい職場や、困難な状況に遭遇しても相談しやすい上司と部下の関係性などを構築しておくことが必要と言えるでしょう。
▼ レジリエンスを高めるための方法については下記で詳しく解説しています。
⇒レジリエンスを高めるには?高い人・低い人の特徴と具体的な実践方法を紹介!
レジリエンスを育むためにすぐにできること9選!
今回の調査では、レジリエンスが先天的な資質ではなく、後天的に身につけられるものであることを53%の方が認識していませんでした。まずは、レジリエンスは身につけることができるという認識をもち、すぐにできることから取り組んで行くことが重要です。
レジリエンスを高めるには、自己効力感や楽観性を高めたり、自分の感情をコントロールできるようになることが必要です。日常生活のなかですぐにできることを9つに絞って紹介します。
自己効力感を高めるために【すぐにできること3つ】
楽観性を高めるために【すぐにできること3つ】
感情をコントロールするために【すぐにできること3つ】
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自己効力感を高めるために【すぐにできること3つ】
①小さな成功体験を積む(小さな目標とその達成)
最初は日常生活の中でも簡単で達成しやすい目標から始めることが良いでしょう。
例えば、毎朝のランニングや簡単な家事を時間通りに終えるなど、小さなタスクを設定することが大切です。これらのタスクを達成することで得られる達成感は、次の挑戦へのモチベーションとなります。
また、これらの成功体験を日記やメモに書き留めておくと、その積み重ねでどれだけ自分が成長したかを具体的に確認できます。このような過程を経ることで自信が育まれ、より大きな目標に向かう準備が整います。
②ロールモデルを観察する(尊敬できる人から学ぶ)
尊敬できる人物や目標とする人の行動や考え方を詳細に観察することは、とても参考になります。
例えば、彼らが困難な状況にどのように対処するのか、どのような習慣を持っているのか、具体的な成功のステップを学ぶことができます。これに加え、彼らの成功や失敗から得られる教訓を自分に当てはめることで、自己成長の道筋を描くことができます。
また、インタビューや自伝、記事などを通してロールモデルの背景や哲学に触れることで、彼らの成功の原動力や信念を理解することができ、「こんな風になりたい!」という強いモチベーションが生まれます。
③他者から励ましをもらう
他者からの励ましや応援の言葉は、自己効力感を支える重要な要素です。
例えば、家族や友人、同僚からの「あなたならできる!」という言葉は、内面的な自信を高める大きな力になります。SNSやメッセンジャーアプリを使って、ポジティブなメッセージを共有することも効果的です。
さらに、日常的に自分をサポートしてくれるコミュニティやグループに属することで、より継続的な励ましを受けることができます。このような環境を整えることで、困難な時でも前向きに挑戦し続けることができ、自分の能力を信じて行動に移す原動力となります。
楽観性を高めるために【すぐにできること3つ】
④ネガティブな自己対話に気付く(自分の思考の癖をメモしておく)
ネガティブな自己対話とは、自分自身に対して批判的、悲観的、あるいは否定的な言葉をかける内面の声です。まずはこのネガティブな声に気付くことが非常に重要です。
例えば、失敗した時やうまくいかない状況に直面した時、自分の中で「どうせ無理だ」「また失敗してしまった」といった考えが瞬間的に浮かんでくる場合があります。このような思考は瞬時に無意識的に行われるため意識して過ごさない限り、自分の思考の傾向に気付くことができません。
このときに、どのような状況でどのようなネガティブな言葉が出てくるのかを意識して、具体的に記録することで、そのパターン・傾向を理解することができます。日記をつけたり、メモを取ったりすることでその自己対話の癖を可視化すると、より効果的に気付くことができるでしょう。
⑤ポジティブな言葉に置き換える
ネガティブな自己対話に気付いたら、それを意識的にポジティブな言葉に置き換える練習をします。
例えば、「また失敗するかもしれない」という自己対話を「この経験から何か新しいことを学べるはず」と言い換えることが考えられます。また「もうだめだ、絶対に無理だ」と感じる場面では、「今は難しいけれど、もっと練習すればできるかもしれない」といった前向きな言葉に変えていきます。
この置き換えを続けることで、自分自身に対する見方や考え方が変わり、日常生活や仕事における自信を高めることができます。一歩一歩前進するという意識を持ち続け、自分の中で肯定的な自己対話が定着するよう心がけましょう。
⑥感謝の習慣を身に付ける(感謝日記をつける)
感謝の気持ちを持つことは、日常生活の質を向上させるための強力なツールです。毎日、感謝の気持ちを持つ習慣を身につけることで、物事に対する視点が自然とポジティブになります。
例えば、毎晩寝る前に「今日何に感謝を感じたか」を思い返す時間を持つと良いでしょう。具体的には「今日も健康で過ごせた」「友人と楽しい時間を過ごせた」「仕事で新しいことを学べた」といった状況や出来事に感謝することができます。感謝の気持ちを紙に書き出す『感謝日記』をつけることも非常に効果的です。
この習慣を続けると、小さな良いことにも気付きやすくなり、日常生活の中にポジティブな要素を増やすことができるようになります。感謝の気持ちを持つことで、心の余裕も生まれ、ストレスや不安を軽減する助けにもなります。
感情をコントロールするために【すぐにできること3つ】
⑦アンガーマネジメントを学ぶ・実践する
アンガーマネジメントとは、怒りやイライラといった感情を適切にコントロールするための心理トレーニングを指します。
怒りは自然な感情ですが、そのまま放置すると対人関係を壊したり、自分自身の健康に悪影響を与えたりすることがあります。アンガーマネジメントを学ぶことで、怒りを感じた際にその感情を理解し、適切な方法で対処するスキルを身に付けることができます。
具体的な方法としては、深呼吸やリラクゼーション・テクニック、時間を置いてから冷静に対応するなどが含まれます。また、怒りの根源を探るための自己分析やカウンセリングも有効です。このようなトレーニングを通じてセルフコントロールの力が養われ、結果としてストレスが減り、人間関係も改善されるでしょう。
実践行動例)
- 深呼吸をする:怒りを感じたら、まず深呼吸をする。ゆっくり息を吸って、吐きます
- カウントダウンする:心の中で10から1までカウントダウンすることで冷静さを取り戻す
- ポジティブな言葉を使う:自分に「落ち着こう」「冷静になろう」などのポジティブな言葉をかける
- タイムアウトをとる:感情が高ぶった時はその場を離れる。数分間の「タイムアウト」を設ける
-
身体を動かす:短い散歩や軽い運動をすることで、気を紛らし、身体の緊張をほぐす
⑧マインドフルネス瞑想を実践する
マインドフルネス瞑想は、現時点の感情や身体感覚、周囲の状況に全身で注意を向ける瞑想法です。マインドフルネス瞑想により、自分が感じている感情や体の状態を素直に受け入れ、理解する能力が高まります。
具体的には、静かな環境で目を閉じ、呼吸に意識を集中させます。呼吸を感じながら、「今、この瞬間」を観察し、心がさまよい始めたら再び呼吸に戻ることを繰り返します。この過程で、怒りやストレス、不安といった感情に振り回されることなく、その感情をただ「あるもの」として観察する習慣が身に付きます。
これにより、感情をコントロールしやすくなり、心の安定感が養われます。日常生活でも感情を客観的に捉える能力が向上し、結果として自己効力感も高まるでしょう。
⑨感情日記をつける
感情日記は、日々の出来事とそれに伴う感情を具体的に記録する習慣です。
例えば、「今日は上司に叱責されて悔しさと恥ずかしさを感じた。でも、自分にも非があったと反省している」のように、自身の感情やその背景について書き出します。自分がどのような状況でどのような感情を抱くのかを明確に理解することができます。また、感情の起伏やパターンを客観的に捉えるための手助けとなり、次に似たような状況が発生した場合の予測と対策が立てやすくなります。
さらに、自分の感情パターンを振り返ることで、成長や改善点を見つける機会も増えます。感情日記を続けることで、自己理解が深まり、感情コントロールの精度が高まるだけでなく、ストレスの軽減やメンタルヘルスの向上にもつながります。
▼レジリエンスを高める方法については、下記で解説しています。
⇒レジリエンスを高めるには?高い人・低い人の特徴と具体的な実践方法を紹介!
おわりに
今回の調査では、レジリエンスが先天的な資質ではなく、後天的に身につけられるものであることを53%の方が認識していませんでした。まずは、レジリエンスは身につけることができるという認識を持つことが重要です。
また、環境変化の激しい現代において、49%の組織が人材のレジリエンスに課題を感じていることが調査結果から明らかになりました。デジタル化など社会が飛躍的に進化する中で、持続可能な事業展開を行うには、レジリエンスを高めることが必要不可欠といえます。
レジリエンスは様々な方法で高めることが可能ですが、今回紹介したような日常活動のなかで取り入れられることを継続的に行っていくことで、少しづつレジリエンスを育んでいくことにつながります。
自己効力感を高めるために【すぐにできること3つ】
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また、レジリエンスを育む上で手っ取り早い方法は、レジリエンス研修を受講することです。レジリエンス研修は、困難な状況を乗り越え、成長できる人材を育成するためのプログラムであり、精神的な免疫力を強化します。
これはビジネスの世界における「ワクチン接種」のような役割を果たし、困難な状況に遭遇してもマイナスの影響を最小限に抑え、迅速に立ち直る力を身につけることにつながります。
レジリエンス研修を通じてレジリエンスを高めることは、すべてのビジネスパーソンに求められます。特に、新入社員や若手社員には、その後のキャリア構築や生活に備え、早期の受講が推奨されます。
株式会社LDcubeでは、レジリエンス研修の提供やレジリエンス研修を社内で展開できるレジリエンス研修のトレーナー養成の支援などを行っています。
また、レジリエンスを高めるための心理的安全性の高い職場づくりに向けた学習コンテンツの提供なども行っています。無料でプログラムのデモ体験会なども行っています。お気軽にご相談ください。
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