ビジネスにおけるレジリエンスとは?意味や高めるポイント、手法、研修など解説
現代のビジネス環境は急速な変化と予測不可能な困難に満ちています。
このダイナミックな状況で成功を収めるためには、企業全体、そして個々の社員がレジリエンスや高い適応力、回復力を持つことが欠かせません。
しかし、多くの企業はこのレジリエンスをどのように育成し、強化すべきか悩んでいるのではないでしょうか?
企業がビジネスで直面するレジリエンスが不十分な場合の課題を考えてみましょう。
業績不振や市場の変動、新たな競合の出現、さらにはパンデミックなどの外的要因が絶えず企業を揺さぶります。
このような状況でストレスやプレッシャーに打ち勝ち、持続的な成果を出し続けるための組織文化やスキルが欠けていると、企業全体のパフォーマンスが低下し、競争力が後退してしまいます。
そこで、企業全体のレジリエンスを高めるためのアプローチが注目されています。
重要なポイントとして、レジリエンスは一夜にして築けるものではありません。
日々の実践と継続的な努力が必要です。しかし、これらの戦略を企業文化や業務プロセスに組み込むことで、組織全体のレジリエンスを飛躍的に高めることができます。
ビジネスの成功を持続するためには、変化と逆境に強くしなやかに対応できる力が求められます。
この力を養うための第一歩を踏み出し、あなたの企業もレジリエンスを持つ強固な組織へと進化させてみませんか?
本記事では、ビジネスにおけるレジリエンスとは何かから始め、レジリエンスが求められる組織やレジリエンスを高めるポイントなどについて解説します。
レジリエンスを高めるポイントに関連して、トップダウンが強い組織で陥りがちな「学習性無力感」から抜け出し、レジリエンスを高める方法についても紹介します。
▼レジリエンスとは?についてはこちらで解説しています。合わせてご覧ください。
⇒レジリエンスとは?意味や重要視される背景、高める方法(研修)など解説!
▼レジリエンスを高める具体的なポイントについては下記で解説しています。合わせてご覧ください。⇒レジリエンスを高めるには?高い人・低い人の特徴と具体的な実践方法
▼レジリエンスを高めるための研修については下記で詳しく解説しています。
⇒レジリエンス研修とは?実施で得られる効果と代表的な5つの要素
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目次[非表示]
- 1.ビジネスにおけるレジリエンスとは?
- 2.レジリエンスがビジネスに役立つこと
- 3.レジリエンスが求められる組織
- 3.1.グローバル企業
- 3.2.競争と変化の激しい業界/組織
- 3.3.スタートアップ企業
- 4.レジリエンスを高める3つのポイント【組織】
- 4.1.コミュニケーションと意思決定の透明性の向上
- 4.2.緊急対応計画の策定と見直し
- 4.3.学習機会の提供
- 5.レジリエンスを高める4つのポイント【人材】
- 5.1.思考の柔軟性を養う(意図的なポジティブ思考)
- 5.2.自身の強みやエネルギーの源泉を確認する
- 5.3.問題解決力を磨く
- 5.4.セルフケアを行う
- 6.レジリエンスが高い人の特徴とは
- 7.レジリエンスがビジネスで注目される背景
- 8.まとめ
ビジネスにおけるレジリエンスとは?
ビジネスにおけるレジリエンスは、事業活動において予想外の事態や困難が発生した際に、企業・組織がその打撃から早期に回復し、業績を維持する、もしくはさらに向上させる能力を指します。
組織が直面する困難を乗り越え、組織の持続可能性を保つための能力として重要視されています。
レジリエンスは、元々物理学の世界で使われていた言葉であり、「復元力」や「弾力」などと訳され、何か物体に圧力がかかった際にそれを押し戻す力を意味します。
今では、天災のような災害から復興することを指す場合もあります。
レジリエンスを持っている組織は、環境変動や市場変化、経済的な困難などがあっても、その衝撃を受けた後に早々に立ち直ることができます。
また、その困難を乗り越える過程で得た学びを活用し、組織の成長を促進させることも可能です。
レジリエンスが高い組織には、問題や困難を前向きに捉え、チャンスとして考える風土があります。
そのような組織は一体感を重要視し、社員が互いに助け合い、共に問題に対処しようとします。
さらに、問題への対処から学んだことを活かし、より良い方向に組織を進化させようとします。
レジリエンスを強化するためには、組織全体で危機管理体制を整備すると共に、レジリエンスが高い人材の育成、変化や困難に対応できる組織風土を醸成することなどが求められます。
▼レジリエンスについて心理学の観点から下記で解説しています。合わせてご覧ください。
⇒レジリエンスの心理学的な意味とは?ビジネスや研修について解説
レジリエンスがビジネスに役立つこと
レジリエンス(逆境に強い心)はビジネスにおいて役に立ちます。具体的に役に立つ点を紹介します。
不確実性への対策となる レジリエンスの存在が、不確実性への対策となります。 ビジネス環境は常に変動し、突然の市場の変動、予期せぬ問題、新型コロナウイルスのような大規模な危機など、想定外の事態に対応する必要があります。 組織や人材にレジリエンスがあれば、これらの困難な状況に対処し、事態の解決や予防策を立てることができます。 レジリエントがある組織や人は早期に問題を特定し、それに対する戦略を立てる能力を持っています。 競争力の維持につながる レジリエンスがある組織や人は、自社の競争力を維持することにつながります。 市場や業界の状況は常に変化し、新たな競争者の出現、技術革新、消費者のニーズの変化などに素早く対応しなければなりません。 レジリエンスのある組織や人は、これらの変化により柔軟に適応し、自社の価値を維持し、競争力を保つことが可能です。 適切なストレス管理ができる レジリエンスを持つことにより、適切なストレス管理が可能となります。 ビジネスには、ときに大きなプレッシャー・ストレスが伴います。 たとえば、厳しい商談の際でもレジリエンスを持つ人は冷静さを保つことができます。 また、問題や困難な状況に直面した時でも、冷静さを保ち対応することが可能になります。 チームの士気と生産性向上につながる レジリエンスはチームの士気と生産性向上につながります。 困難な状況においてもポジティブな姿勢を持続できると、それがチーム全体に伝播し、モチベーションを保つことができます。 レジリエンスはリーダーシップにおいても重要であり、チーム全体の生産性やパフォーマンス向上に貢献します。 |
レジリエンスが求められる組織
レジリエンスは、どのような組織にも有用ですが、特に以下のような組織には必要です。
(レジリエンスが求められる組織)
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グローバル企業
世界各地で事業を展開している企業にはレジリエンスが求められます。
なぜなら、地域的な法制度、文化、経済状況の違いに対応しなければならず、そのための柔軟性が求められるからです。
また、自然災害や政治的変動など、その地域特有のリスクに立ち向かう対応力が必要となります。
取引相手や従業員・供給チェーンが多岐にわたるため、予見できない問題や困難さに対処できる能力が求められます。
競争と変化の激しい業界/組織
競争と変化の激しい業界や組織にもレジリエンスが必要です。
なぜなら、IT業界のような競争が激しい業界にとって、市場の環境や競争の状況が日々変わる中で、生き残るためには市場の変動や競争相手の戦略に素早く対応すことが必要だからです。
頻度高く起こる変化に対し、その都度落ち込んだりしていては競争についていくことができません。
競争と変化の激しい業界や組織は、変化の多さをポジティブに捉え、逆に変化を数多く起こしていくような気概が必要です。
▼ 合わせて読みたい
高度に競争的な業界は心理的安全性の確保が難しい可能性があります。心理的安全性についてはこちらをご覧下さい。⇒"心理的安全性"がビジネスに必要な理由?エドモンドソン博士の視点を解説
スタートアップ企業
新しいビジネスを展開するスタートアップ企業にもレジリエンスが求められます。
なぜなら、スタートアップ企業は新たな市場を開拓すること、競争相手との差別化を図ること、資金調達など、数多くの困難を乗り越えながら事業を進めていかなければならないからです。
スタートアップ企業が事業を成功させるためには、ストレスや不確実性とうまく付き合いながら進むレジリエンスが求められます。
以上のような組織は、予見できない困難や変化に対して迅速にかつ効果的に対応するためにレジリエンスが必要です。
レジリエンスが高い組織は困難な状況下であっても前向きにブレずに進むことができ、困難を乗り越えて成長を続けることが可能となります。
従って、どのような組織であってもレジリエンスを高めることで、困難な状況を乗り越える力を持てるようになります。
レジリエンスを高める3つのポイント【組織】
組織のレジリエンスを高めるためには、組織づくりとレジリエンスが高い人材の育成という2つの側面から取り組む必要があります。
まずは組織づくりの側面から取り組みのポイントを3つ紹介します。
(レジリエンスを高めるポイント【組織】)
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コミュニケーションと意思決定の透明性の向上
オープンなコミュニケーションは、社員の組織についての理解と合意形成を促進します。
社員それぞれが相互に、現状の活動に対するフィードバックを定期的に求め、フィードバックを気軽に共有できる環境を整備することで、心理的安全性を高めることにつながります。
また、組織の中では意思決定についてのさまざまな臆測や噂が飛び交い、さまざまな感じ方・捉え方が生まれます。
組織としての意思決定の透明性を高めることで、メンバーが組織の動向を正しく理解し、共通理解に基づいた、変化や危機に対応する能力を高めます。
▼ こちらも参考になります。⇒マネジャー必見!今日の失敗を明日の成功につなげる方法とは!
緊急対応計画の策定と見直し
危機や大きな変化に直面したときに備えて、組織として事前に緊急対応計画を策定しておくことが重要です。
なぜなら、緊急対応計画があることで、緊急事態に直面した場合に、慌てることなく冷静さを保ちながら、緊急事態への考え方や対処を確認し対応することができるからです。
そして、その計画を定期的にかつ継続的に見直すことで、常に最新の状況に対応できるようになります。
学習機会の提供
組織が社員にさまざまな学習機会を提供することで、社員一人ひとりが持つ能力やスキルを最大限に活用できるようになります。
また、社員にこれからの時代に求められる新たな知識やスキルの習得といった学習機会を提供することで、組織が変化への適応力を強化し、より迅速に成長できます。
環境変化の激しい現代では、社員がこれからの時代に求められる、さまざまなテーマについて学べてリスキリングできる学習環境が求められています。
▼レジリエンスは組織のリーダーにこそ必要です。下記で詳しく解説しています。
⇒レジリエンスがリーダーに必要な理由!ポイントや研修など解説!
レジリエンスを高める4つのポイント【人材】
レジリエンスが高い人材を育成していくことが組織のレジリエンスの向上にもつながります。
以下、個人のレジリエンスを向上させるために具体的な方法を4つ紹介します。
(レジリエンスを高めるポイント【人材】)
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思考の柔軟性を養う(意図的なポジティブ思考)
思考の柔軟性を養い、意図的にポジティブ思考ができるようになることが重要です。
なぜなら、人間は従来よりネガティブ思考しやすいからです。
人間が生きていく上で、危険を回避するためにネガティブ思考が必要不可欠です。
危険な状況に遭遇したら、ネガティブ思考を働かせ、危険から遠ざかります。
しかし、ネガティブ思考だけでは全ての物事にうまく対処できません。
ときには楽観的に捉えることも重要です。
困難な状況が生じても、それを挑戦や成長の機会と捉えることが、困難を乗り越える第一歩です。
無意識にネガティブに捉えてしまった考えや抱いた感情を、意図してポジティブなものに書き換えることで、自分自身の考え方を改善し、物事に柔軟に対処でき、困難を克服する能力を高めることができます。
そのような思考の柔軟性を高めておくことで自身の捉え方や感情を管理しやすくなります。
(例)
何か困難な状況に遭遇した時のことを思い出し、その時頂いた感情を書き出してみましょう。
その書き出した感情の中にネガティブなものがあれば、それを意図的にポジティブなものへと書き換えてみましょう。
そして、そのポジティブな感情でその後を過ごしていたらどのような結果になったのかを推測してみましょう。
多くの場合実際の結果とは違う結果になったのではないかと推測されます。
自身の強みやエネルギーの源泉を確認する
自分を理解し、自身の強みや自身の活動のエネルギーとなっている特性を把握し、強みや特性をどのように活用すればより活動のエネルギーを高められるかを模索します。
自身の強みや自身のエネルギーの源泉となる特性をうまく活用できている状況が困難な状況から立ち直り、さらに目標に向かって活動していく上でとても重要な要素になります。
また、さまざまな活動を支えてくれる人々との関係性の強化もレジリエンス向上に不可欠です。
困難な状況に立ち向かうときに、他人からのアドバイスやサポートを得られるということが、精神的な負担を軽減し、逆境を乗り越える自信を強めます。
(例)
自分が好きなことをやっている時、そのやっていることの何が本質的に好きなのかを考えてみましょう。
【ジョギングが好きな場合】
・体を動かすことが好き
・ジョギングしながら季節の変化や景色を眺めることが好き
・ジョギングを通して、自身の体型を維持できていることが好き
・ジョギングをして汗をかいた後にビールを飲むことが好き
何が好きなのかを考えてみることで、自分が何にエネルギーを注げるのかの発見につながります。
問題解決力を磨く
日頃から問題解決スキルを磨くことが、問題が起きてもすぐに解決策を見つけ出すことに役立ちます。
問題解決の幅が広くなると、困難な状況でも冷静な判断を下し、自信を持って対処できるようになります。
研修会参加や自己啓発は自分自身の問題解決の幅を広げていくには有効な手段です。
社内で問題解決力を高める研修などが開催されている場合には積極的に参加しましょう。
自己啓発で書籍を読んだり、eラーニングを受講したりすることも問題解決力の向上に繋がります。
▼自己啓発でスキルアップにつなげるポイントなどは下記で解説しています。
⇒自己啓発でマネジメントを学び、生かすポイントとは?キャリアアップに生かすコツも紹介
セルフケアを行う
セルフケアによる健康管理も重要です。
なぜなら、困難な状況を乗り越えていくには、心身ともに健康であることが前提だからです。
適度な睡眠、健康的な食事、運動や趣味などを通じて身体と心をケアし、効果的にストレスマネジメントを行えます。
自分自身の健康を第一に考え、セルフケアに励むことがレジリエンスを保つには重要です。
レジリエンスが高い人の特徴とは
レジリエンスが高い人の特徴は多くありますが、主な3つの特徴を紹介します。
ポジティブな思考を持っている 困難な状況に直面しても、自己が置かれた状況を乗り越える可能性を常に信じ、困難を前向きに捉えることができます。 困難な状況を前向きにとらえる思考は、困難な状況を回避するのではなく、困難にチャレンジし、成長を目指そうとする意欲につながります。 解決策を見つける能力が高い 解決策を見つける能力が高ければ、問題に対する自己効力感が増え、逆境を乗り越える可能性が高くなります。 社会的な支援を活用できる 自分だけでなく、他人を理解し支えることによって、困難を乗り越えていきます。 また、他人からの援助を受け入れる柔軟性も持ち合わせているため、逆境から速く脱出することができます。 |
▼レジリエンスが高い人の特徴については下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
⇒レジリエンスが高い人は業績を上げられる!?理由や方法(研修)を解説
レジリエンスがビジネスで注目される背景
ビジネスにおけるレジリエンスが重視されるようになった背景には、時代の変化がありますが、その他に、以下のような複数の要素が含まれています。
高度なグローバリゼーションの進展 そのため、組織には地域に限定されたビジネスリスクだけでなく、世界規模のリスクに対応できるレジリエンスが求められるようになりました。
新たな技術の波に遅れずに対応し、技術を活用していくことは容易ではありません。 そのような環境変化に対応していくには、組織に高いレジリエンスが求められるようになりました。
また、気候変動による自然災害のリスクなども増えています。 これらに対応していくためにも組織には高いレジリエンスが求められています。
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以上のようなことを背景にし、ビジネスにおけるレジリエンスが多くの組織に重要視されるようになりました。
今後業績を維持し、向上させたい組織にとって、改めて自社のレジリエンスを評価し、強化する必要があります。
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まとめ
レジリエンスがビジネスを成功させる!?レジリエンスを高めるポイント・手法について解説してきました。
- ビジネスにおけるレジリエンスとは?
- レジリエンスがビジネスに役立つこと
- レジリエンスが求められる組織
- レジリエンスを高める3つのポイント【組織】
- レジリエンスを高める4つのポイント【人材】
- レジリエンスが高い人の特徴とは
- レジリエンスがビジネスで注目される背景
環境変化の激しい現代において、企業にとっては、組織と従業員のレジリエンスを高めることがビジネスを発展させるカギとなります。
人間は生存本能から物事をネガティブに捉える思考を持っていますが、ネガティブな思考だけでは、物事にうまく対処できません。
ビジネスでの成功に向けて、必要な場面で物事をポジティブに捉え、機会を創出していくことがビジネスパーソンに求められる能力です。
その能力を強化するために、レジリエンスプログラムを受講し、思考の柔軟性を高めておくことをおすすめします。
株式会社LDcubeが提供するサービスの1つに、ストレングス・ベースド・レジリエンス・プログラム(SBRP)というプログラムがあります。
ポジティブ心理学をベースに組み立てられた体系的なプログラムを受講することで、思考の柔軟性を高めることが可能です。
さらにレジリエンスプログラムを組織内の多くの方々に展開したいというニーズに応えるために、社内トレーナー養成コースも用意しています。
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