
組織サーベイの結果を人材育成で改善する方法|行動変容から始める組織改革
多くの企業が実施する組織サーベイ。しかし、その結果を前にして「どのように人材育成に生かせばよいのか」と頭を抱えている方は少なくないでしょう。
組織サーベイは、組織の現状を浮き彫りにする重要なツールです。しかし、その結果が単に「現状把握」にとどまってしまうようでは、せっかく実施した組織サーベイを十分に生かすことはできません。
サーベイの結果は、組織の強みと弱みを明確にするだけでなく、具体的な人材育成のヒントを提供してくれる貴重な情報源です。しかし、そこで得られたデータをどのように解釈し、実際の行動変容につなげていけばいいのでしょうか?
本記事では、組織サーベイの結果を活用して実効性ある人材育成を進めるための方法について、段階的に解説します。
まず、組織サーベイの数値が現場の「行動の結果」であることを理解した上で、その結果を人材育成につなげるための具体的なステップについて紹介します。
加えて、人材育成の施策設計のポイントや、組織内での対話の促進方法、そしてサーベイを単発ではなく継続的な改善のサイクルに組み込む手法についても触れます。
組織サーベイを通じて現場での行動変容を引き起こし、組織全体の成長を実現するための具体的かつ実用的なアプローチをぜひ取り入れてみてください。
▼組織サーベイについては以下で詳しく解説しています。
▼人材育成についてはテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。
▼人材育成については下記にまとめています。
目次[非表示]
組織サーベイの結果を改善するには行動変容
組織サーベイの結果を改善するためには、現場での行動変容が最も重要です。
組織サーベイの数値は、従業員の過去の行動や職場環境の積み上げを反映したものであり、単なる数値の改善ではなく、具体的な行動の変化が求められます。
組織サーベイの数値は「一定期間の行動の結果」
組織サーベイで得られる数値は、過去の一定期間における社員の行動や意識の蓄積から生まれたものです。これらの数値は、組織の文化、風土、コミュニケーションパターン、リーダーシップのスタイルなど、組織が現在どのような状態にあるかを示す指標となります。
しかし、これらはあくまでも現状を示すデータであり、直接的な解決策を示すわけではありません。そのため、数値が低迷している場合、その背景に何があったのかをじっくりと見つめ直すことが必要です。
過去の行動の連続がどのような形で結果として表れているのか、その本質を掘り下げる作業が、次のステップへと進むための第一歩となります。具体的には、業務の進め方やコミュニケーションの質などに改善が見られるのかを確認し、それに応じた具体的な行動改善プランを策定することが求められます。
結果を変えるのは「現場の行動」
組織サーベイの結果を改善する鍵を握っているのは、現場で働く社員一人一人の行動です。たとえ、経営層が方針や戦略を掲げたとしても、実際に業務を遂行する現場社員の行動が変わらなければ、前向きな結果には結びつきません。
組織として掲げた目標を全員が共有すると共に、個々の社員が自身の役割を再認識し、日常業務においてどのように行動するかを見直すことが不可欠です。
個々の行動変革を進めるためには、効果的なコミュニケーションとフィードバックの仕組みを構築し、行動の振り返りと改善を定期的に行うプラットフォームを提供することが重要となります。これにより、社員は自発的に改善の努力を続け、組織全体の変革にも寄与することができます。
行動変容を促す要素
行動変容の成功には、まず社員一人一人が期待されている結果や行動を理解し、自分自身の行動が組織全体にどのように影響を及ぼすのかをしっかりと認識することが必要です。
これには、単なる業務指導にとどまらず、内発的な動機付けを高める施策が重要となります。具体的かつ建設的なフィードバックを通じ、社員に対して明確な方向性を示すことが重要です。
さらに、小さな成功体験を重ねることで、社員が自信を持ち、変革への意欲を継続的に持てるような環境を整えることが求められます。このためには、リーダーシップの発揮が不可欠であり、変革を後押しする組織のサポート体制やリソースの充実も必要です。
このように、組織が一丸となって行動変容を支援することによって、最終的な組織改革が実現します。
組織サーベイで分かることは「行動の積み重ね」
組織サーベイの結果は、組織の文化や職場環境の日常的な行動の積み重ねを如実に反映するものです。これを正しく理解し活用することが、組織改革を成功に導く第一歩です。
組織サーベイに表れる数値・コメントの正体
組織サーベイで得られる数値やコメントは、単なるデータにとどまるものではなく、組織の生活そのものを映し出す鏡です。これらのデータは、日々の業務活動、社員間の交流、そして組織内のコミュニケーションが具体的にどう機能しているかを定量的および定性的に示しています。
例えば、高い数値は良好な職場関係や効果的なリーダーシップの表れであり、一方でコメントに現れる辛辣な意見は改善が必要な領域を指し示しています。こうしたサーベイ結果を通じて浮き彫りとなる組織の強みや課題は、過去の行動の積み重ねにより形成されています。
そのため、これらのデータから読み解ける情報は、組織の現状を正確に把握し、未来への指針を立てるための基盤となります。何を維持し、何を変えるべきかを明確にすることで、組織は自主的で持続可能な変革を先導できます。
部門・職場ごとの違いは「日常行動の差」で生まれる
サーベイ結果から浮かび上がる部門や職場ごとの違いは、そこに所属する人々の日常的な行動や意識の差を反映したものです。各部門が独自に育んでいる文化、コミュニケーションスタイル、さらにはリーダーシップの質が、異なる結果を生む大きな要因となっています。
ある部署では、率直かつ自由な意見交換が日常的に行なわれているため、サーベイ結果にも積極的でポジティブなフィードバックが表れるかもしれません。一方、別の職場では、内向的で閉鎖的なコミュニケーションが普段から行われていることで、ネガティブな結果が出ることもあります。
このような違いを理解し、それを生み出している行動を特定することは、組織全体の効率性とパフォーマンスを最適化する鍵となります。各部門に適した改善策を講じることにより、組織全体での一貫した成長が可能になります。
また、このアプローチにより、各職場がその強みを生かしつつ組織の一部としての役割を最大限に発揮できる環境をつくり出すことができます。
組織サーベイの結果改善には人材育成が不可欠
組織サーベイの結果を効果的に改善するためには、人材育成が不可欠です。多くの企業がサーベイ結果の改善を目指していますが、現場の努力だけでは変革を実現することは困難です。
ここで鍵となるのが、組織全体での体系的な人材育成によるサポートです。個々が新たな知識やスキルを習得し、行動を変化させるための環境と機会を整備することが求められます。
サーベイ結果の改善は現場任せでは進まない
組織サーベイの結果を改善するために、単に現場の担当者や従業員に任せるだけでは根本的な組織改革は実現しません。多くの企業が陥りがちなのは、サーベイ実施後に得られたデータを現場に丸投げし、改善策の実行を完全に委ねてしまうことです。
しかし、実質的な変革を望むのであれば、組織全体としてのサポート体制を築き上げ、従業員が安心して挑戦できる環境を整備することが不可欠です。これは、トップマネジメントがリーダーシップを発揮し、改革に向けたビジョンを示しつつ、それが組織全体に浸透するプロセスを含んでいます。
管理職はこの過程を支える重要な役割を担い、従業員が個々の成長を通じて組織の総合的なパフォーマンス改善に寄与できるよう、積極的に関与していくことが求められます。
行動変容を促すために人材育成が果たす役割
行動変容を促す上で、人材育成は欠かせない要素です。従業員が新たなスキルや知識を身に付けることで、業務に新鮮な視点を取り入れ、従来のプロセスに対して、より革新的なアプローチを見いだす力が養われます。
教育とトレーニングを通じて、個々の職場における行動が明確化されると同時に、組織のミッションやビジョンが再確認され、全従業員が同じ方向を向くための基盤が確立されます。
また、育成プログラム内でのディスカッションやグループワークを通じて、チーム内でのコミュニケーションも活性化し、協働して目標達成に向かう意識が高まります。こうした総合的なアプローチが、最終的に持続可能な変革を実現し、組織文化の改善に寄与します。
研修は「知識提供」ではなく「行動変容のきっかけ」
研修はもはや単なる知識提供の場ではなく、行動変容を促すための貴重なきっかけと捉えるべきです。知識のインプットに偏った一方通行型で、実施して終わりといった「やりっぱなし」の研修スタイルでは、参加者が学んだ知識を日常の業務に効果的に生かせないことが多々ありました。
しかし、行動変容を促す研修設計がなされた効果的な研修プログラムでは、リアルな業務課題に基づいたケーススタディーやシミュレーションを通じ、参加者が自主的に問題を解決するスキルを習得できるよう設計されます。
また、研修後にはフィードバックセッションやフォローアップが行われ、受講者が習得した内容を実際の職場で試し、そこで得られた結果や課題を再度振り返る機会が設けられます。
これにより、研修は受講者が実務での行動を変革していくための具体的な促進剤となり、組織サーベイで顕在化した問題への対応策ともなります。
組織サーベイから人材育成課題を読み解く視点
組織サーベイ結果の数値は、多くの情報を提供しますが、表面的な良し悪しだけで課題を判断することは危険です。
サーベイの数値には、組織の深層に潜む課題や改善の余地が隠されていることが多いため、これを正しく読み解き、人材育成上の課題として再定義することが求められます。
数値の良し悪しだけで課題を判断してはいけない理由
組織サーベイの数値だけに依存して課題を判断することは、全体の実態を見誤るリスクを伴います。
高い評価を得た数値は、一見すると順調に見えますが、その背後には小さな不満や見過ごされている問題が潜んでいる可能性があります。これらは将来的に大きな課題として浮上することも考えられます。
一方、低い評価が出た場合でも、その要因が必ずしも根深い問題であるとは限りません。単純な作業環境や職場環境を調整するだけで、大幅な改善が可能な場合もあります。
したがって、数値の背後にある要因や背景を深掘りし、それを基に変革への手掛かりを見いだすことが、真の改善につながります。このアプローチにより、組織は短期的な対応にとどまらず、長期的に維持可能な変化を追求することができます。
サーベイ結果を「育成課題」に翻訳する
組織サーベイで得られた数値やコメントは、組織内のさまざまな課題を明らかにする重要なヒントです。これらのデータを検討し、どのような問題が存在するかを明確化することが、人材育成の計画に直接反映されるべきです。
具体的には、組織内のコミュニケーション不足やキャリアパスの不透明さ、あるいはリーダーシップの欠如などが、改善すべき育成課題として浮上することがあります。
これらの課題を理解し、各社員が成長を感じられる具体的な育成プログラムに変換することで、組織全体の行動変容を支援します。
また、これにより社員は自らのキャリアビジョンを明確にし、成長目標を持って取り組む姿勢を育むことができます。これが最終的には組織の競争力を高め、全体のパフォーマンス向上につながります。
組織サーベイから設計する人材育成施策の考え方
効果的な人材育成施策を設計するためには、組織サーベイの結果を基に逆算して考えることが重要です。人材育成施策は、組織全体のニーズと個別の課題を正確に反映する形で構築する必要があります。
人材育成施策はサーベイ結果から逆算して考える
組織サーベイのデータは、人材育成の効果的な計画を逆算して設計するための基盤として非常に有用です。サーベイ結果は、組織全体が現在どの地点にいるのか、そしてどのようなスキルや能力が欠けているのかについて、示唆を与えてくれます。
これにより、組織は具体的な行動変容の必要性を理解し、それに基づいて育成施策を設計できます。例えば、サーベイでコミュニケーションの不足が明らかであれば、コミュニケーションに特化したトレーニングを優先的に計画することができます。
また、組織全体の目標とその達成に向けた具体的なプログラムを設定し、実施までのロードマップを明確にすることで、全社員が共通のビジョンを持って進むことができるようになります。これにより、組織全体のパフォーマンスを着実に向上させることが可能となります。
研修・OJT・学習環境をどう組み合わせるか
組織における育成施策の成功は、研修、OJT、日常の学習環境をバランスよく組み合わせることに 大きく依存しています。研修プログラムは新たな知識やスキルを獲得する場であり、最新のトレンドや技術を学ぶために必要です。
また、OJTは理論を実践に変え、実際の現場での経験を通じて能力を伸ばすのに役立ちます。この実践的なトレーニングは、習ったことを迅速に現場で試し、フィードバックを得る絶好の機会です。
そして、日常的な学習環境は、継続的な成長を支えるための場であり、新たなチャレンジや自己啓発を促進します。この3つの要素を組み合わせ、相互に補完し合う形で施策を展開することにより、社員が自発的に学び、成長し続ける文化を構築することができます。
全社施策と部門・職場施策の役割分担
組織全体のビジョンを実現するためには、全社的な育成施策と部門・職場ごとの独自施策をどのようにバランスよく設置するかが鍵となります。
全社的な施策は、共通の基盤を提供し、統一された文化を育む一方で、全社員が共有する組織目標の理解を深めます。
これに対し、部門や職場に特化した施策は、より詳細なニーズに応じた具体的な対応が可能であり、現場での即時的な改善に寄与します。
例えば、営業部門には営業スキル向上の研修が必要かもしれませんし、IT部門には技術力の強化が求められるかもしれません。
この2つのアプローチを柔軟に統合し、各部門が持つ独自の挑戦と全社的な目標を同時に推進することで、組織全体のパフォーマンスを高いレベルに引き上げることができます。
▼効果的な研修設計については、以下も参考にしてください。
⇒行動変容を促す研修の設計方法とは?効果的な学習設計で効果を最大化!
組織サーベイから対話を促し、人材を育成する
組織サーベイの結果を真に生かすためには、単に結果を共有するだけではなく、対話を通じて行動の変容を引き出すことが不可欠です。
対話は、個々の理解と組織のニーズをつなぎ、社員一人一人が自らの考えを深め、積極的に行動を変える動機となります。
サーベイ結果の共有だけでは行動は変わらない
多くの企業では、組織サーベイの結果を集計し、ただ単に数値を共有することに終始してしまいます。しかし、それだけでは社員の行動に具体的な変化を促すことは困難です。
情報を報告するだけでなく、社員がその結果をどのように受け止め、次のステップとして何をすべきかを共に考える場を提供することが不可欠です。
例えば、結果の背景にある問題を詳しく解析し、その上でどのような改善が必要かを具体的に議論するためのワークショップやディスカッションを設けることが考えられます。
これにより全体的な理解が深まり、社員は自発的に改善策を立案・実行する意欲を持つようになります。
対話が行動変容を生み出す理由
対話は、社員個々の洞察を深め、組織全体のエンゲージメントを向上させる強力な手段です。対話を通じて社員は自分の役割やチームの目標を再確認し、その過程で気付きを得ます。
例えば、対話により自分が組織にどのように貢献できるかを具体的に理解し、次に何を改善するべきかを明確にすることができます。こういった意義ある対話は、社員一人一人に内発的な動機付けを与え、自発的な行動変容を促します。
さらに、対話によって生まれた信頼関係は、組織文化の改善や全体の業績向上にも寄与します。
部門・職場で行う対話の進め方
組織内で有意義な対話を促進するには、心理的安全な環境を整備することが必要です。例えば部門ごとに、あるいは職場単位でテーマを事前に設定し、自由な意見交換ができるセッションを定期的に開催します。参加者が安心して意見を述べられる環境をつくることが、効果的な対話の源です。
また、このような対話を継続することで、個々の意見や懸念を確認し、迅速なフィードバックを行います。これにより、社員は組織の結束を感じやすくなり、ポジティブな職場環境が育まれます。
▼心理的安全性については、以下の資料をダウンロードしてください。
管理職に求められる関わり方と問いかけ
管理職は、組織の対話文化を牽引する役割を担っています。彼らは日常業務におけるコミュニケーションを意識的に増やし、開かれた質問や傾聴の姿勢を持つことで、部下の課題認識をサポートします。
例えば、具体的な問いかけの技法を駆使し、部下に自己省察と問題解決への糸口を見つけさせる手助けをします。
それにより、管理職自身も新たな視点を獲得でき、部下との信頼構築にもつながります。これらの取り組みは、最終的に組織全体の行動変容を促進し、持続可能な成長を後押しします。
▼管理職が効果的に関わるための1on1ミーティングについては以下で解説しています。
⇒1on1ミーティングとは?目的ややり方、効果を高める工夫を解説!
組織サーベイと人材育成の実践サイクル
組織サーベイを真に効果的に活用するためには、それを単なる一時的な評価手段として終わらせるのではなく、持続的な人材育成の実践サイクルに組み込むことが不可欠です。
このサイクルがもたらす継続的な改善と学習のプロセスこそが、組織の成長を加速させます。
組織サーベイをゴールにしない運用の考え方
組織サーベイを実施する際、その重要性は単なるデータ収集の完遂ではなく、その後のアクションにあることを常に意識する必要があります。
サーベイ結果をゴールとせず、それを組織改善のスタート地点として捉えましょう。この考え方は、組織が進むべき方向性を明確にし、現状の問題点や潜在的な課題を浮き彫りにします。
組織全体でそのデータを基にした行動計画を策定し、具体的な改善策を導入することで、社員一人一人の成長とともに組織全体の進化を推進することが可能になります。
実際に、他社とのベンチマークや業界のトレンドも考慮しながら、長期的かつ持続可能な変革を目指すアプローチが求められます。
サーベイから始まる人材育成サイクルの流れ
組織サーベイから始まるプロセスは、直線的なタスクの集積ではなく、循環する一連のサイクルです。このサイクルは、組織内の状況を正確に捉えることから始まります。
サーベイのデータを基に、人材育成の計画を策定し、個人およびチームレベルでの具体的な行動を促進します。この実践が進む中で、成果を定期的に検証し、その効果を測定します。
フィードバックに基づいて必要な改善を施し、次の活動に取り組むことで、一層深い学びと成長が可能となります。こうしたサイクルが組織に定着することで、常に進化し続ける強力な組織体が形成されます。
サーベイの経年変化で見るべきポイント
定期的に組織サーベイを実施し、結果を時系列で比較することは、長期的な改善の兆候を捉えるための重要な取り組みです。データの経年変化を分析することで、改善が進んでいる領域や新たな問題が発生している分野をいち早く察知することができます。
この分析により、組織は効率的にリソースを配分し、効果的な経営方針や育成施策を調整することが可能です。修正を重ねながら組織の方向性を適切に設定し、各施策の進捗を確認することで、組織の潜在能力を引き出し、成果を最大化するための道筋が明確になります。
定量的な指標を基にした分析は、組織としての持続的成長の指針となり得ます。
組織サーベイから「5つの経営資本」を強化するポイント
組織サーベイは、企業の成長を支える「5つの経営資本」の向上に貢献します。これらの資本は、企業の持続可能な発展と競争優位性の獲得において極めて重要な役割を果たします。
5つの経営資本とは
5つの経営資本については、以下の通りです。
5つの経営資本とは、財務的・経済的資本(Financial Capital)、技術的資本(Technological Capital)、知的資本(Intellectual Capital)、人的資本・社会関係資本(Human&Social Capital)、アイディオロジカル資本(Ideological Capital)です。
財務的・経済的資本は、財務諸表の健全性、利益の最大化、キャッシュの最大化を目指し、経済合理性を徹底追及するために重要なものです。
技術的資本は成長の源泉となりうる強み、特許をはじめとする知的財産、技術力・ノウハウの蓄積などコアコンピテンスになりうるものです。
知的資本は、企業として保有する知的財産を生み出すことにつながる、一人一人の知恵や知識です。
人的資本・社会関係資本は相互の信頼をベースとした人と人との関係により生まれ、蓄積される資源で強い絆、繋がりを指します。
アイディオロジカル資本は組織としての志、思い(念い)、理念やリーダーが持つ志や思いについて「情」と「理」を総動員して説いて聞かせ、社員一人ひとりの骨の髄まで浸透し、年期を重ねて社風・体質・組織文化になった財産のことです。他社が一朝一夕に、簡単にマネできない最大かつ最強の財産のことです。
人材育成に落とし込むポイント
組織サーベイで可視化された認知データや、対話から明らかになった課題を解決するためには、適切な人材育成施策や、組織としての学習環境づくり、組織文化変革のための取り組みが不可欠です。
ここでは、結果としての有形資本である財務的・経済的資本を除く、無形資本に焦点を当ててポイントを解説します。
技術的資本 | 技術的資本を効果的に育成するには、OJTを円滑に行うための工夫が必要です。 例えば、「OJTをする人がいない」「時間が取れない」「技術がうまく伝わらない」といった課題を抱えている組織では、技術の伝承を円滑にするために、スマートフォンを活用した動画やデジタルツールでの学びを推進することが効果的です。 具体的な人材育成施策としては、AIを活用したロールプレイングや、オンラインプラットフォームを利用した学習環境を構築することで、技術的なスキルを効率良く習得することができます。 |
知的資本 | 知的資本の育成には、場所や時間にとらわれずに学ぶ機会を提供することが重要です。特に「現場の知恵」や実践に基づいた知識を短期間で得るためには、eラーニングなどの手法が有効です。 これにより個々人のニーズに合った学習環境を提供し、短時間で効果的に知識を習得することが可能です。個別に設計されたカリキュラムや学習プランを活用することで、より高い学習効果を期待できます。 |
人的資本・社会関係資本 | 人的資本や社会関係資本の育成には、信頼関係や協働の促進が不可欠です。社員間の信頼、思いやり、素直さを引き出し、個人の強みや自己肯定感を高めるための活動を取り入れましょう。 人材育成の施策としては、情報共有の促進やフィードバックを中心にしたコミュニケーションを活発化し、社員同士が絆を深める機会を提供することです。 また、外部講師に頼るのではなく社内トレーナーによる「内製化」した研修を実施し、組織内の知識を活用して定着率を向上させます。 |
アイディオロジカル資本 | アイディオロジカル資本の強化には、組織全体の志や理念を社員全員が共有し、理解することが鍵です。これは単なる知識の伝達を越えて、経営幹部の言動によって組織文化を醸成することを意味します。 人材育成施策として、組織サーベイを通じた、継続的な変化のモニタリングや、外部との交流を通じた「他流試合」などを取り入れます。 また、親しみやすい学習管理プラットフォームやトップの方針を配信する動画を利用して、組織文化の変革に必要な価値観の浸透と学習履歴(LMS)を利用した能力開発を行います。 |
このように、組織サーベイの結果から「5つの経営資本」のモデルで分けて施策を検討することで、施策の目的が明確になり、効果向上に役立ちます。
サーベイの結果を戦略的に活用することが、企業にとっての長期的な競争優位性を維持する鍵となるのです。
まとめ
これまで、「組織サーベイの結果を人材育成で改善する方法|行動変容から始める組織改革」について解説してきました。
組織サーベイの結果を活用した人材育成の成功には、行動変容を促すことが不可欠です。これには、現場での日常的な行動が大きく影響し、サーベイで表れた数値は過去の行動を示す指標です。
改善には数値を掘り下げ、真の要因を理解することから始めます。現場で働く社員の行動が変わらなければ、サーベイ結果に良い変化は現れません。個々の社員が自己評価を見直し、効果的なコミュニケーションとフィードバックの構築が不可欠です。
行動変容には、全員が期待される結果を認識し、自身の影響力を理解することが求められます。小さな成功を積み重ね、自信と変革意欲を育む環境も重要です。
そして、サーベイの結果を改善するためには、人材育成が不可欠です。組織全体でのサポート体制を整え、トップマネジメントのリーダーシップや管理職の協力が重要です。人材育成は、行動変容を促し、全社員が組織の方向性を理解し、一体化する基盤を形成します。研修は知識の提供ではなく、実践的な学びによって行動変化を促す起点と捉えます。
さらに、サーベイ結果を単なるデータとしてではなく、人材育成の視点から分析し、組織の課題を再定義することが必要です。育成施策はサーベイ結果から逆算し、研修、OJT、学習環境の組み合わせを最適化します。全社的な施策と部門別施策を適切にバランスすることで、組織全体のパフォーマンス向上を図ります。
組織サーベイを運用する際は、短期的ゴールではなく長期的な改善サイクルとして捉え、行動変容を持続的に促すことが重要です。それにより、組織全体の持続可能な成長と競争優位性を確保し続けることが可能になります。
株式会社LDcubeは、親会社である株式会社ビジネスコンサルタントと協働し、人材育成のみならず、組織サーベイをはじめとした組織開発の支援もしています。そしてLDcubeでは、サーベイから明らかになった課題を解決するための人材育成のサービスを提供しています。
また、研修内製化や社内の人材開発を効果的にするためのツールやノウハウの提供も行っています。外部講師へに頼らず、社内での人材育成を模索されている組織の社内トレーナーや人材開発担当者の方の相談相手になりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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