新入社員研修で押さえるべきビジネスマナーとは?研修成功のコツ・マナー定着のポイントを徹底解説

新入社員研修でビジネスマナーをどのように教えるべきか。この課題で悩みを抱えている人事・研修担当者は少なくありません。効果的なビジネスマナー研修は、新入社員の早期戦力化と組織への円滑な適応を実現する重要な足がかりとなります。

しかし、「マナー研修を実施しても現場で生かせていない」「形式的な研修で終わってしまう」「せっかく学んだことが定着しない」という声をよく耳にします。実際、ビジネスマナーの習得には、単なる知識の詰め込みではなく、実践的なアプローチと継続的なフォローアップが欠かせません。

特に近年は、リモートワークの浸透やコミュニケーション手段の多様化により、従来のビジネスマナー研修では対応しきれない新たな課題も浮上しています。形式的なマナー指導ではなく、「なぜそのようなマナーが必要なのか」という本質的な理解を促すアプローチが、今まで以上に重要となっているのです。

本記事では、新入社員研修におけるビジネスマナー指導の要点から具体的な実施方法、さらには効果測定まで、現場で即実践できる内容を体系的に解説します。ベテラン研修担当者の経験と最新の研修手法を組み合わせた実践的なアプローチで、新入社員一人一人に確実にビジネスマナーを定着させる方法を、順を追って詳しく解説していきましょう。

▼ 新入社員に関連して、テーマごとに下記で詳しく解説しています。

▼新入社員の育成については下記にまとめています。(4部作:企画編・実践編・カリキュラム編・講師ガイド編)

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目次[非表示]

  1. 1.新入社員研修でビジネスマナーを徹底指導すべき理由
  2. 2.新入社員研修に組み込むべき基本のビジネスマナー8つ
    1. 2.1.正しい姿勢と礼儀作法
    2. 2.2.ビジネスに相応しい身だしなみ
    3. 2.3.場面に応じた敬語の使い方
    4. 2.4.電話応対の基本動作
    5. 2.5.ビジネスメールの作法
    6. 2.6.来客応対と案内方法
    7. 2.7.報告・連絡・相談の実践
    8. 2.8.オンライン会議でのマナー
  3. 3.新入社員ビジネスマナー研修でよくある3つの失敗事例
  4. 4.新入社員研修でのビジネスマナー指導を成功させる実施方法
    1. 4.1.効果的なロールプレイングを取り入れる
    2. 4.2.研修効果を高める動画フィードバック
    3. 4.3.グループワークでビジネスマナーの理解度クイズを作成し、学び合う
  5. 5.​​​​​​​新入社員のビジネスマナー定着を図るフォローアップ体制
  6. 6.新入社員ビジネスマナー研修の効果的な評価方法
  7. 7.新入社員のビジネスマナー研修の実施方法
    1. 7.1.社内講師で実施する
    2. 7.2.外部講師へ委託する
  8. 8.まとめ

新入社員研修でビジネスマナーを徹底指導すべき理由

新入社員研修のイメージ画像

ビジネスマナーは、新入社員が社会人として成長していくために必須の基礎能力です。しかし、なぜ入社時に徹底したビジネスマナー指導が必要なのでしょうか。それは、ビジネスマナーが単なる形式的な作法ではなく、ビジネスパーソンとしての信頼性を構築し、円滑な業務遂行を可能にする重要なスキルだからです。

本章では、新入社員研修でビジネスマナーの徹底指導が求められる本質的な理由と、その指導が組織にもたらす価値について解説します。これらの理解は、効果的な研修プログラムの設計にも直結する重要な視点となります。

社会人としての第一印象を決定づけるため

ビジネスマナーは、新入社員が社会人として第一歩を踏み出す際の基盤となります。第一印象は後々まで影響を及ぼすため、入社直後からの徹底した指導が不可欠です。

適切なビジネスマナーを身に付けることで、取引先や顧客、そして社内の同僚からも好印象を得ることができ、円滑な人間関係、信頼関係を構築する土台となります。

円滑な社内コミュニケーションの土台づくりになる

ビジネスマナーは単なる形式的なルールではなく、職場における円滑なコミュニケーションを支える重要な要素です。適切な言葉遣い、態度、振る舞いは、上司や同僚との意思疎通をスムーズにし、チームワークの向上に直結します。

また、社内での良好な人間関係は、業務効率の向上や職場の活性化にもつながります。

早期戦力化に直結する基礎能力の確立につながる

ビジネスマナーの習得は、新入社員の早期戦力化において重要な要素となります。基本的なマナーが身に付いていることで、自分に期待されている仕事に専念できる環境が整い、より早く実践的なスキルの習得に焦点を当てることができます。

また、適切なビジネスマナーは、以下のような効果をもたらします。

  • 業務上の信頼関係構築が容易になる
  • 情報共有がスムーズになり、業務効率が向上する
  • トラブルやミスコミュニケーションを未然に防ぐことができる
  • 組織全体の生産性向上に貢献する


新入社員研修に組み込むべき基本のビジネスマナー8つ

ビジネスマナーを意識しているイメージ画像

新入社員研修に組み込むべき基本となるビジネスマナーを8つ取り上げて紹介します。

正しい姿勢と礼儀作法

ビジネスの場における正しい姿勢と礼儀作法は、プロフェッショナルとしての基本です。立ち姿勢や座り方、お辞儀の角度など、基本動作の習得が必要不可欠です。

特に重要なポイントとして:

  • 背筋を伸ばした姿勢の維持
  • TPOに応じた、適切なお辞儀の角度(15度・30度・45度)
  • 相手の目を見た誠実な対応
  • 廊下や執務室での適切な歩き方

これらの基本動作は、日々の実践を通じて自然な振る舞いとなるよう指導することが大切です。

ビジネスに相応しい身だしなみ

社会人としての身だしなみは、自己管理能力と社会性を表現する重要な要素です。

清潔感のある身だしなみのポイント
服装
  • シワのないスーツ・ワイシャツ
  • 適切な色使いとコーディネート
  • 清潔な靴と靴下
身だしなみ
  • 清潔な髪型と適切な長さ
  • 控えめな香水やメイク
  • 手入れの行き届いた爪


場面に応じた敬語の使い方

正しい敬語の使用は、ビジネスコミュニケーションの基本です。状況や相手に応じた適切な言葉遣いを身に付けることが重要です。

敬語の種類と使い分け:

  • 尊敬語:相手の行為を直接的に敬う表現
  • 謙譲語:自分や自社の行為をへりくだる表現
  • 丁寧語:一般的な丁寧表現

実践的な指導のポイントとして、具体的な場面を設定したロールプレイを通じて習得を促進することが効果的です。

電話応対の基本動作

電話応対は企業の印象を左右する重要なコミュニケーション手段です。基本的な流れを押さえた、明確で丁寧な対応が求められます。

電話応対の基本ステップを以下のように指導します:

  1. 受電時の基本
    - 呼び出し音3回以内の応答
    - 社名・部署名・氏名の明確な伝達
    - メモの準備と要件の確実な聞き取り

  2. 発信時の基本
    - 事前準備と用件の整理
    - 相手の時間への配慮
    - 要件の簡潔な伝達


ビジネスメールの作法

現代のビジネスにおいて、メールは最も重要なコミュニケーションツールの1つです。

メールの基本的な構成要素:

  1. 適切な件名の付け方
  2. 宛名と敬称の正しい使用
  3. 本文の構成(あいさつ・本題・結び)
  4. 署名の必要事項

メール作成時の注意点と主な指導項目:

  • 簡潔で分かりやすい文章
  • 添付ファイルの適切な取り扱い
  • 返信の適切なタイミング


来客応対と案内方法

来客応対は会社の顔として重要な役割を果たします。基本的なマナーと手順を確実に身に付ける必要があります。

来客応対の基本の流れ:

  1. 受付での対応
  2. 案内までの準備
  3. エレベーターやドアの操作
  4. 会議室への案内方法
  5. お茶の出し方と下げ方


報告・連絡・相談の実践

ビジネスの基本である「報告・連絡・相談(報連相)」の重要性と実践方法について指導します。

報連相の具体的な実践方法:

  • 報告:結果や進捗を正確に伝える
  • 連絡:情報を適切なタイミングで共有する
  • 相談:問題解決のために早めに行う

実践のポイント:

  1. 適切なタイミング
  2. 簡潔で正確な内容
  3. 必要な情報の網羅
  4. 相手の立場への配慮


オンライン会議でのマナー

デジタル時代に対応した新しいビジネスマナーとして、オンライン会議での適切な振る舞いも重要です。

オンライン会議での注意点:

  • 適切な画面背景の設定
  • 落ち着いた静かな場所からの参加
  • 明確な音声と表情の維持
  • 明るい場所からの参加(照明を活用する)
  • 自分の所属や連絡先の伝達(名刺交換の代わり)
  • 接続トラブルへの適切な対応


新入社員ビジネスマナー研修でよくある3つの失敗事例

新入社員向けのビジネスマナー研修は、多くの企業で実施されている重要な教育プログラムですが、その効果は実施方法によって大きく異なります。せっかく時間と労力をかけて研修を行っても、実務での実践に結びつかないケースや、形骸化してしまうケースが少なくありません。

本章では、多くの企業で見られがちな研修の失敗パターンとその要因を分析し、どのように改善すべきかを具体的に解説します。これらの失敗事例を理解することは、より効果的な研修プログラムを設計する上で重要な示唆となるでしょう。

知識偏重で実践機会が不足する研修設計

1つ目の失敗事例として、座学による知識習得に偏重した研修設計が挙げられます。

ビジネスマナーは実践的なスキルであり、知識として理解しているだけでは実務で活用することは困難です。例えば、敬語の使い方や電話応対の手順を講義形式で学んだとしても、実際の場面で円滑に対応できるとは限りません。

このような失敗を防ぐためには、座学と実践のバランスを適切に保つことが重要です。知識のインプットと同時に、実践的なトレーニングの機会を十分に設けることで、より効果的な学習が可能となります。

現場を想定しない形式的な実地訓練

2つ目の失敗事例は、実際の業務現場で起こりうる状況を考慮せずに、形式的な実地訓練を行ってしまうことです。

例えば、電話応対の練習を行う際に、基本的なシナリオのみを想定して訓練を行い、クレーム対応や急な要望変更といった実務でよく発生する状況への対応を織り込まないケースが該当します。

このような形式的な訓練では、実際の業務で遭遇するさまざまな場面に適切に対応することが難しくなります。研修では、日常的に発生する多様な状況を想定し、それぞれの場面に応じた適切な対応方法や相手の気持ちを尊重したやり取りの仕方を学ぶ機会を提供することが大切です。

具体的な改善点を示さない抽象的なフィードバック

3つ目の失敗事例は、研修中の受講者への具体的なフィードバックが不足していることです。

「もう少し丁寧な対応が必要です」「声の出し方に気をつけましょう」といった抽象的なアドバイスだけでは、受講者が具体的に何をどう改善すべきかを理解することは困難です。

効果的なフィードバックには、具体的な改善ポイントと、それを実現するための具体的な方法を示すことが重要です。例えば、「お辞儀の角度が浅いので、上体を30度傾けるように意識してください」「声のトーンを1オクターブ上げて、よりクリアに話すようにしましょう」といった具体的な指導が効果的です。

新入社員研修でのビジネスマナー指導を成功させる実施方法

ポイントのイメージ画像

ビジネスマナー研修の成否は、その実施方法に大きく左右されます。効果的な研修を実現するためには、単なる知識の伝達にとどまらず、実践的なスキルの習得を促す工夫が必要です。

ここでは、ロールプレイングや動画フィードバック、グループワークなど、実績のある具体的な実施方法とそのポイントについて解説します。これらの手法を適切に組み合わせることで、新入社員のビジネスマナーの確実な定着を図ることができます。

効果的なロールプレイングを取り入れる

ビジネスマナーの習得には、実践的な練習が不可欠です。ロールプレイングは、実際のビジネスシーンを想定した効果的な学習方法として広く活用されています。

効果的なロールプレイング実施のポイント:

  • 実際の業務に即したシナリオ設定
  • 段階的な難易度の調整
  • 即時フィードバックの実施

特に重要なのは、基本的な対応から始めて徐々に難易度を上げていく段階的なアプローチです。

例えば、来客応対の練習では、まず基本的な案内から始め、その後、複数の来客が同時に訪問するケースや、予定外の事態が発生する場面など、より複雑な状況への対応を練習していきます。

▼研修でのロールプレイング実施方法については下記で詳しく解説しています。
研修でロールプレイングを成功させる!内容例から進め方まで徹底解説!

  研修でロールプレイングを成功させる!内容例から進め方まで徹底解説! ロールプレイングは、本番の状況を想定した動きを練習できるため、実践的なスキルを身につけやすい研修手法です。本記事では、4種類の代表的なロールプレイング取り上げて紹介します。さらに、実際に内容を設計する際の3つの実践ポイントについても詳しく解説します。 株式会社LDcube


研修効果を高める動画フィードバック

動画を活用したフィードバックは、受講者の自己認識と実際の振る舞いのギャップを明確にする効果的な手法です。研修中の様子を撮影し、その場で振り返ることで、以下のような効果が期待できます。

  1. 客観的な自己把握が可能になる
  2. 具体的な改善ポイントが明確になる
  3. 良い例と改善が必要な例の比較学習ができる


グループワークでビジネスマナーの理解度クイズを作成し、学び合う

学習内容の定着を図るため、受講者自身がクイズを作成し、互いに出題し合う活動も効果的です。この手法には次のような利点があります。

  1. クイズ作成過程での学習内容の整理
  2. 相互学習による知識の定着
  3. 能動的な学習姿勢の醸成

クイズ作成時には、単なる知識の確認にとどまらず、「このような場面ではどう対応するべきか」という実践的な問題を含めることで、より効果的な学習となります。

また、毎年クイズをストックしていくことで、新入社員研修用の教材として有効活用することが可能となります。

​​​​​​​新入社員のビジネスマナー定着を図るフォローアップ体制

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新入社員のビジネスマナーの定着という観点からは、導入研修だけでは不十分です。人により習得スピードも異なりますので、日常的、継続的にフォローアップしていくことが必要です。
そのポイントを紹介します。

ビジネスマナーチェックシートを使った進捗管理

ビジネスマナーの定着度を把握するためには、継続的なモニタリングが重要です。チェックシートやアンケートを活用した進捗管理は、新入社員の成長を可視化し、適切なフォローアップを行うための有効な手段となります。

チェックシートは、日常業務で必要となるビジネスマナーの項目を具体的に網羅し、定期的に自己評価と上司による評価を行います。これにより、新入社員自身が自己の成長を実感できるとともに、改善が必要な点を明確に認識することができます。

アンケート形式でチェックリストについての実践状況を回答してもらうという運用も同様の効果を得られます。特に入社後3カ月間は、週次でのチェックを行うことで、早期の習慣化を促進することが効果的です。

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フォローアップ研修での重点的なマナー指導

導入研修から一定期間が経過した後のフォローアップ研修は、実務経験を踏まえた学び直しの機会として非常に重要です。この段階では、導入研修で学んだ基本的なマナーを復習するだけでなく、実際の業務で直面した課題や疑問点について、より深い理解を促す機会となります。

フォローアップ研修では、参加者から実際に経験した困難な場面や対応に迷った事例を収集し、それらを教材として活用することで、より実践的な学習が可能となります。

また、部署や役職による違いを考慮した応用的なビジネスマナーについても、この段階で指導を行います。

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実務での活用状況をモニタリングする仕組みづくり

確実にビジネスマナーを定着させるためには、日常業務における実践状況を継続的にモニタリングする体制が必要です。

この仕組みは、以下の要素で構成されます:

  1. 直属の上司や先輩による日常的なOJTとフィードバック
  2. 定期的な面談による成長確認
  3. 部門横断的な評価システムの構築

特に重要なのは、新入社員が安心して質問や相談ができる環境づくりです。例えば、メンター制度を導入し、経験豊富な先輩社員が定期的にアドバイスを行う体制を整えることで、より効果的なフォローアップが可能となります。

モニタリングの結果は、個々の新入社員の成長支援だけでなく、組織全体のビジネスマナー教育プログラムをマネジメントしていくことにも活用されます。実務での課題や成功事例を蓄積し、次年度以降の研修内容に反映させることで、より効果的な育成プログラムの構築が可能となります。

新入社員ビジネスマナー研修の効果的な評価方法

新入社員研修をチェックしているイメージ画像

ビジネスマナー研修の効果を正確に把握し、継続的な改善につなげるためには、適切な評価の仕組みが不可欠です。研修直後のアンケートだけでなく、実務での行動変容や現場からのフィードバックなど、多角的な視点からの評価が重要となります。

本章では、研修効果を定量的・定性的の両面から測定し、次回以降の研修改善に生かすための具体的な評価方法について解説します。適切な評価システムの構築により、研修の投資対効果を可視化し、より効果的なプログラムの実現が可能となります。

研修後アンケートを活用した効果測定

研修効果を正確に把握するためには、適切な評価指標に基づいた効果測定が不可欠です。研修直後のアンケートは、研修内容の理解度や満足度を測る基本的な指標として活用されます。
効果的なアンケートでは、単なる満足度評価にとどまらず、以下の観点から多角的な評価を行います。

  • 研修内容の理解度と実践への自信
  • 具体的な学びと気付きのポイント
  • 現場での活用イメージの明確さ

特に重要なのは、研修参加者が具体的にどのような学びを得たかを自由記述形式で回答してもらうことです。これにより、研修内容の中で特に印象に残った要素や、実務での活用に向けた課題意識を把握することができます。

現場からの評価フィードバック収集

研修の真の効果は、実際の業務現場での行動変容によって測られます。そのため、現場の管理職や同僚からのフィードバックを収集することが重要です。評価の収集は、研修終了から1カ月後、3カ月後、6カ月後など、段階的に実施することで、ビジネスマナーの定着度合いを時系列で把握することができます。

現場からの評価では、日常業務における具体的な行動や対応の変化に焦点を当てます。例えば、来客対応の質の向上、電話応対の正確性の改善、社内コミュニケーションの円滑化など、実務に直結する評価項目を設定します。

定量的・定性的データに基づく研修効果の分析

研修効果を総合的に評価するためには、定量的データと定性的データの両面からの分析が必要です。この分析プロセスでは、以下の要素を統合的に考察します。

  1. 定量的評価の要素:
    - 研修理解度テストのスコア推移
    - ビジネスマナーチェックシートの達成率
    - 顧客満足度調査における評価の変化

  2. 定性的評価の要素:
    - 上司からの行動観察報告
    - 取引先からの評価コメント
    - 本人の成長実感に関するヒアリング

これらのデータを総合的に分析することで、研修プログラムの効果と改善点を明確にし、次回以降の研修内容の最適化につなげることができます。

また、この分析結果は、経営層への報告資料としても活用され、研修投資の妥当性を示す重要な指標となります。

新入社員のビジネスマナー研修の実施方法

新入社員研修の講師のイメージ画像

新入社員のビジネスマナー研修を実施する際、大きく分けて社内講師による実施と外部講師への委託の、2つの選択肢があります。それぞれに特徴があり、企業の規模や業態、求める研修の深度によって最適な方法は異なってきます。

本章では、社内講師と外部講師それぞれのメリット・デメリットを踏まえながら、自社に最適な実施方法を選択するためのポイントを解説します。適切な実施方法の選択は、研修の質と効果を大きく左右する重要な要素となります。

社内講師で実施する

社内講師によるビジネスマナー研修には、独自の企業文化や業界特性を反映した実践的な指導が可能という大きなメリットがあります。社内の実情に精通した講師は、具体的な業務シーンに即した指導を行うことができ、より実践的な学習環境を提供することができます。

社内講師による研修を成功させるためには、以下の準備が重要です。

まず、講師となる社員の選定です。単にビジネスマナーに長けているだけでなく、教育スキルや人間力を備えた人材を選ぶ必要があります。

次に、標準化された研修教材の整備です。これにより、講師が変わっても一定水準の研修品質を維持することが可能となります。

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外部講師へ委託する

外部講師への委託は、専門的な知見と豊富な研修実績に基づく、質の高い研修を実現できる手法です。特に、多くの企業での研修経験を持つ専門家は、さまざまな事例や最新のトレンドを踏まえた指導が可能です。

外部講師を活用する際の重要なポイントは、自社のニーズと講師の専門性のマッチングです。業界特性や企業文化を理解し、それらに配慮した研修プログラムを提供できる講師を選定することが成功の鍵となります。

また、事前の打ち合わせを通じて、以下の点を明確にすることが重要です。

  1. 研修の具体的な目標設定
  2. 自社特有の課題や要望の共有
  3. 研修内容のカスタマイズ範囲
  4. 評価基準の設定方法

特に、外部講師に委託する場合でも、研修後のフォローアップ体制について十分な協議を行い、継続的な効果測定と改善のサイクルを確立することが求められます。

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まとめ

新入社員研修で押さえるべきビジネスマナーとは?研修成功のコツ・マナー定着のポイントを徹底解説!について紹介してきました。

  • 新入社員研修でビジネスマナーを徹底指導すべき理由
  • 新入社員研修に組み込むべき基本のビジネスマナー8つ
  • 新入社員ビジネスマナー研修でよくある3つの失敗事例
  • 新入社員研修でのビジネスマナー指導を成功させる実施方法
  • 新入社員のビジネスマナー定着を図るフォローアップ体制
  • 新入社員ビジネスマナー研修の効果的な評価方法
  • 新入社員のビジネスマナー研修の実施方法

新入社員へのビジネスマナー指導は、単に形式的なルールの伝達の場ではなく、社会人としての基礎力を育成する重要な機会です。効果的な研修を実現するためには、明確な目的意識を持ち、体系的なアプローチで取り組むことが不可欠です。

特に重要なのは、知識の習得と実践的なトレーニングのバランスを適切に保つことです。座学での基本的な理解の形成と、ロールプレイングなどを通じた実践的なビジネスマナーの習得を組み合わせることで、より効果的な学習が可能となります。また、研修内容を実務に直結させることで、学んだビジネスマナーの定着と活用を促進することができます。

継続的なフォローアップも、研修成功の重要な要素です。定期的な進捗確認と適切なフィードバックを通じて、新入社員の成長をサポートする体制を整えることが大切です。さらに、研修効果の測定と分析を通じて、プログラムの改善点を見いだし、より効果的な研修の実現につなげていく必要があります。

最後に忘れてはならないのは、ビジネスマナーの習得が新入社員のキャリア形成の土台となるという点です。適切なビジネスマナーの習得は、円滑な人間関係の構築や業務の効率化につながるだけでなく、プロフェッショナルとしての成長を支える重要な要素となります。このような認識の基、組織全体で新入社員の成長をサポートする環境を整えることが、研修成功への近道となるでしょう。

LDcubeは、これまでのさまざまな人材育成サービスを提供してきており、新入社員育成の経験(集合研修、社内トレーナー養成、デジタル学習環境づくりなど)も豊富にあります。その経験を踏まえて、最適な新入社員教育プログラム作成のご支援をしています。無料のプログラムデモ体験会なども行っています。お気軽にご相談ください。

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代表取締役 新井澄人
代表取締役 新井澄人
株式会社ビジネスコンサルタントで、講師派遣型の人材育成支援から始まり、社内トレーナーの養成による人材育成支援、デジタルツールを活用した人材育成のDX化の支援まで、中小企業から大企業まで20年にわたり幅広いコンサルティングに従事。 新入社員研修からOJTリーダー研修、若手社員研修、管理職研修、幹部研修、営業研修、デジタル学習環境づくりのコンサルテーションなどに自らもコンサルタントとして登壇しながらも、人材育成・組織活性化・営業強化において講師派遣型の枠を超えた支援を実現するため、ビジネスコンサルタントの子会社である株式会社LDcubeの設立と同時に代表取締役に就任。 資格: ・全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC2023002) ・LIFOプログラムライセンス(LIFO-MSSプログラム開発者)

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