
「静かな退職」とは?企業が対策して解決するための自己肯定感についても解説!
「なんだか最近、職場に活気がない」「優秀な人材が突然辞めてしまう」
そんな悩みを抱える経営者や人事担当者のあなたにとって、「静かな退職」は他人事ではないかもしれません。
「静かな退職」とは、出世を目指してがむしゃらに働くのではなく、最低限やるべき業務をやるだけの状態を表す言葉です。2022年にアメリカのキャリアコーチが提唱し、注目されるようになりました。「ハッスルカルチャー」といった「仕事のために生きる」という価値観に反対するムーブメントとして注目されています。多様なキャリアへの考え方や働き方が増えた現代において、「静かな退職」は決して悪いことではありません。
実際に、マイナビによる「正社員の静かな退職に関する調査2025年」では、正社員の4割以上が「静かな退職」をしていると回答され、20代が最多で46.7%でした。また、約6割の人が静かな退職で得られたものがあり、7割以上が「今後も静かな退職を続けたい」と回答しています。
しかし、組織が求める人財像や働き方とのギャップがある場合には、お互いにとって良くない結果となってしまうことも少なくありません。
また、「静かな退職」をしている本人が、本来はそのような働き方を望んでいないのであれば、改善できるように個人と組織の双方が努力をすべきでしょう。
本記事では、社員が自らの存在価値を見失い、結果的に成長意欲や主体的な貢献意欲をなくしてしまうような「静かな退職」の現象について、その定義や背景を詳しく掘り下げます。
結論としては、社員の「自己肯定感」を高めることが、静かな退職を未然に防ぎ、活気ある職場を取り戻すための鍵となります。
自己肯定感がどのように社員のモチベーションに影響を与えるか、さらには企業としてできる対策について、記事を読み進めることで具体的なアプローチが見えてくるでしょう。活気ある職場を再生するための第一歩を、一緒に踏み出しましょう。
▼自己肯定感やセルフエスティームについては下記で解説しています。
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目次[非表示]
- 1.静かな退職とは?定義と背景
- 1.1.静かな退職の定義
- 1.2.静かな退職の背景と現状
- 1.3.静かな退職の原因
- 2.静かな退職の心理と気付き方
- 2.1.静かな退職を選ぶ人の心理
- 2.2.静かな退職に気付く方法
- 2.3.年代別の静かな退職の見極め方
- 3.静かな退職の影響
- 4.個人ができる静かな退職への対策
- 4.1.自己評価とキャリアプランの見直し
- 4.2.コミュニケーションを増やす
- 5.企業ができる静かな退職への対策
- 5.1.社員エンゲージメントの向上
- 5.2.キャリア開発プログラムの導入
- 5.3.人事評価制度の見直し
- 5.4.多様な働き方・制度の導入
- 6.静かな退職を防ぐための部下・後輩への指導方法
- 6.1.パーソナルコンタクトを重視する
- 6.2.成長を支援する
- 6.3.自己肯定感を高める
- 7.静かな退職に効果的な自己肯定感(セルフエスティーム)
- 7.1.自己肯定感の定義と概要
- 7.2.自己肯定感と自己効力感の違い
- 7.3.自己肯定感が低い人に現れがちな特徴と行動パターン
- 7.4.自己肯定感が低いと起こること
- 8.自己肯定感を高め、自律型人材育成を実現した事例
- 9.まとめ|静かな退職には組織全体で取り組もう
静かな退職とは?定義と背景

「静かな退職」という言葉は、最近の職場環境の中でしばしば耳にするようになりました。これは、単に職場を去るという意味ではなく、より深い心理的・組織的な現象を指しています。この章では、静かな退職とは具体的にどのようなものなのか、その定義と背景について詳しく解説していきます。
静かな退職の定義
静かな退職とは、職場において物理的には在籍しているものの、精神的にはその職務や組織から距離を置いている状態を指します。本人は業務を最低限のレベルで遂行し、積極的な関与や貢献を避けます。
このような状態にある社員は、新しい挑戦や責任を負うことを避け、必要以上のエネルギーを仕事に割かない傾向があります。静かな退職は一見すると問題がないように見えますが、組織全体に与える影響は少なくありません。
静かな退職の背景と現状
静かな退職の背景には、現代の多くの職場で見られる、いくつかの共通した問題があります。過剰な業務負荷や、透明性の欠如した評価制度、あるいは成長機会の不足などが挙げられます。
こうした要因が重なることで、社員がやる気を失い、仕事へのモチベーションが低下してしまいます。また、リモートワークの普及によって、社員同士の交流が減少し、一体感が薄れてしまうことも一因と言えるでしょう。
静かな退職の原因
静かな退職を引き起こす原因はさまざまですが、いくつかの要因を挙げてみましょう。
第一に、職場での評価や認識が不公平だと感じることが社員のやる気を削ぐことにつながります。
第二に、成長の機会が与えられないことで、将来への期待が持てず、仕事に対する熱意が失われます。
さらに、上司や同僚とのコミュニケーション不足も、心理的な距離を生む大きな原因となります。これらの課題を放置すると、社員は徐々に静かな退職への道を歩むことになるのです。
静かな退職の心理と気付き方

「静かな退職」という現象は、単に職場からフェードアウトする行為ではなく、個人の心理状態と密接に結びついています。ここでは、静かな退職を選ぶ人々の心理、外部の視点からどのように気付くことができるかについて詳しく解説します。
静かな退職を選ぶ人の心理
静かな退職を選ぶ理由はさまざまですが、多くの場合、そこには共通する心理的な要因があります。例えば、自分が仕事にどれだけ価値を感じているか、職場での人間関係に悩んでいないか、自身の成長が停滞していると感じていないか、といった点が挙げられます。
特に「自分は職場に必要とされていない」と感じる瞬間は、静かな退職を考え始める大きなきっかけとなります。こうした心理背景を理解することで、個人の内に秘めた本音に気付き、適切なサポートを提供することが可能になります。
静かな退職に気付く方法
外から見れば、静かな退職の兆候は必ずしも明確に表れるわけではありません。しかし、注意深く観察すれば、そのサインは存在します。
例えば、業務に対する興味や情熱の低下、職場のコミュニケーションの減少、意欲の欠如などです。これらは単なる一過性の感情ではなく、継続的な傾向として現れることが多いです。
チームリーダーや人事担当者がこのような変化に敏感であることが、早期発見と対応につながるのです。
年代別の静かな退職の見極め方
年代によっても、静かな退職の出現パターンは異なることがあります。
若年層では、新しい挑戦を求めることが多く、成長の機会や自己実現の場を求める傾向があります。一方、中堅層ではキャリアの見直しや、家庭とのバランスを重視する傾向があります。さらに、シニア層では、安定志向が強まりつつも、自分のスキルや経験を生かせる場を求める場合が多いです。
これらの意欲やニーズが満たされない状況が続くことで、静かな退職へとつながる可能性が高まります。こうした年代別の特性を理解し、それぞれに合ったアプローチを考えることが重要です。
静かな退職の影響

静かな退職は企業にとっても個人にとっても、深刻な影響を及ぼす可能性が高い現象です。 この現象がもたらす具体的な影響について理解することは、対策を講じる上で非常に重要です。
企業に与える影響
静かな退職は、企業の生産性や一体感に大きな影を落とします。まず、やる気を失った社員は、業務効率を下げるだけでなく、周囲のメンバーのモチベーションにも悪影響を及ぼします。
また、静かな退職では、自身の責任範囲において必要最低限の業務はこなしますが、それ以上のことをしようとしません。静かな退職が横行する職場は、チーム力や連携が低下することが避けられません。
それにより、最終的には企業全体のパフォーマンスが低下し、競争力が損なわれる可能性があります。このような事態を防ぐためには初期段階での気付きと迅速な対応が求められます。
個人に与える影響
個人にとって静かな退職は、キャリアにおける停滞を意味することが多いです。意欲を失った状態が続くことで、仕事に対する充足感や達成感が得られず、長期的には自己成長の機会を失いがちです。
また、社員自身が職場で隔絶を感じることにより、メンタルヘルスの問題が深刻化する恐れもあります。このような状況は、最終的に職場を去る決断へとつながることが多く、個人にとってもプラスとは言えません。
個人ができる静かな退職への対策

個人が能動的に自己評価を行い、適切なコミュニケーションを促進することが、静かな退職を未然に防ぐ鍵となります。 以下で具体的な対策について詳しく説明していきます。
自己評価とキャリアプランの見直し
静かな退職を回避するための第一歩は、自己評価とキャリアプランの見直しです。自分自身の価値観や強み、キャリアにおける目標を再確認することで、今自分がどの方向に向かっているのかを把握できます。
定期的に自分の仕事やスキルセットが市場においてどのような位置にあるのかを評価し、それに基づいて必要なスキルや知識のアップデートを図ることは、自己成長とモチベーションの維持に役立ちます。
コミュニケーションを増やす
職場でのコミュニケーションを増やすことは、静かな退職を防ぐための重要なステップです。上司や同僚からの定期的なフィードバックや、進捗状況の共有は、職場における疎外感を軽減し、信頼関係を築く助けになります。
多くの人は、自分が「組織やチームから必要とされている」と感じられることで、モチベーションが上がったりするものです。しかし、リモートワークなどが増え、コミュニケーションの量が減ることで、それを感じる機会が必然的に少なくなります。積極的に上司や同僚とコミュニケーションを取ることで、自身の自己肯定感をコントロールすることも重要です。
企業ができる静かな退職への対策

企業が静かな退職を防ぐためには、社員のエンゲージメント向上と多様なキャリア開発の機会を提供することが不可欠です。 以下に、具体的な施策を紹介します。
社員エンゲージメントの向上
社員エンゲージメントの向上は、静かな退職を防ぐための根本的な対策です。社員一人一人が自分の役割に対して情熱を持ち、企業のビジョンに共感できる環境をつくることは、エンゲージメントを高めるための鍵です。
具体的には、企業のミッションや価値観を共有するための社内イベントや、社員の声を反映した職場の改善が効果的です。
キャリア開発プログラムの導入
社員が継続的に成長できるようなキャリア開発プログラムを用意することも、静かな退職の防止に有効です。定期的なトレーニングやワークショップ、異業種交流会やメンター制度の導入は、社員のスキルアップを支援します。
また、社員が自身のキャリアパスを理解し、それに向かって成長していける環境を提供することで、職場への定着率が高まります。
▼キャリアアップのための自己啓発プログラムについては、以下で詳しく解説しています。
⇒自己啓発の意味がない理由3選!効果的なキャリアアップにつなげるポイントを解説!
人事評価制度の見直し
公正で透明性のある人事評価制度の確立は、社員のやる気を維持するために重要です。評価基準が明確であり、努力や成果が正当に評価されることは、社員にとって大きなモチベーションになります。
定期的な評価面談やフィードバックを行い、改善点や達成可能な目標を設定することが大切です。
▼フィードバックについては、以下の資料もぜひ参考にしてください。
多様な働き方・制度の導入
最後に、多様な働き方をサポートする制度を導入することも重要です。リモートワークやフレックスタイム制の導入は、社員がライフスタイルに合わせて柔軟に働ける環境を提供します。
また、ライフイベントに応じたサポート制度の充実は、社員が安心して働き続けるための大きな支えとなるでしょう。
静かな退職を防ぐための部下・後輩への指導方法

パーソナルな接触と成長の支援、そして自己肯定感を高める指導が、静かな退職の未然防止に効果をもたらします。 部下や後輩が仕事に主体的に取り組む環境を整えるための具体的な指導方法について解説します。
パーソナルコンタクトを重視する
個々の社員と定期的にパーソナルコンタクトを持つことは、彼らの不満や問題点を早期にキャッチするための重要な手段です。
クローズドな会話の場を設けることで、表面的には見えない悩みやストレスを聞き出す機会を増やしましょう。こうした取り組みは、信頼関係を深め、社員が仕事に対する責任感を持つきっかけとなります。
また、1on1ミーティングも効果的な手段です。社員一人一人の想いや考えを聴くには、クローズドな空間が適しています。相手に寄り添いながら、組織と個人のベクトルを合わせていくことが重要です。
▼1on1ミーティングについては、以下で詳しく解説しています。
⇒1on1ミーティングのネタはこれで解決!おすすめ最新テーマ一覧を具体例でポイント解説
成長を支援する
部下や後輩の成長を支援することも重要です。具体的には、スキルアップのためのトレーニングや研修を提案したり、個々の成果を認めてフィードバックを行ったりなど、成長を実感できるサポートを提供しましょう。
また、チャレンジングなプロジェクトを任せることで、自信をつけさせるとともに、達成感を味わわせることも有効です。
自己肯定感を高める
自己肯定感を高めることは、静かな退職の予防策として非常に効果的です。部下や後輩が自分自身の価値を認識できるよう、具体的な貢献や成果を明示的に評価し、ポジティブなフィードバックを怠らないようにしましょう。
これにより、彼らは自分が組織に必要とされていると感じ、職場に対するエンゲージメントを高めることができます。
▼自己肯定感を高めることについては、以下の資料をダウンロードしてください。
静かな退職に効果的な自己肯定感(セルフエスティーム)

自己肯定感を高めることが静かな退職を防ぐ重要な鍵であると言えます。 自己肯定感とは、自分自身をありのままで受け入れ、自分の存在や能力に対して肯定的な意識を持つことです。この感情が個人のキャリアや職場における生活に与える影響は計り知れません。
自己肯定感が高い人は、自身の努力や成果を正当に評価できるため、困難に直面してもポジティブな態度で乗り越える力があります。また、自己肯定感が強化されることで、職場における人間関係も良好になり、コミュニケーションの質が向上します。結果的に、仕事への満足度や意欲が向上し、静かな退職への傾向が減少します。
まずは、自己肯定感の基礎知識から確認しておきましょう。以下を解説します。
自己肯定感の定義と概要
自己肯定感と自己効力感の違い
自己肯定感が低い人の特徴と行動パターン
自己肯定感が低いと起こること
自己肯定感の定義と概要
自己肯定感とは、「自己価値に関する感覚であり、自分が自分についてどう考え、どう感じているかによって決まる感覚」を指します。
自己肯定感の定義は、文献や研究者によっても異なる見解が見られますが、ここでは日本セルフエスティーム普及協会による定義を引用します。
「自己価値に関する感覚であり、自分が自分についてどう考え、どう感じているかによって決まる感覚」
解説:自己価値に関する感覚であり、自分が自分についてどう考え、どう感じているかによって決まる感覚です。自己肯定感とは「自分の存在そのものを認める」感覚であり、「ありのままの自分をかけがえのない存在として肯定的、好意的に受け止めることができる感覚」のことで、「自分が自分をどう思うか」という自己認識が自己肯定感を決定づけています。
人は誰しも、自分自身に対して価値があると感じたいと願っています。自分に価値があると感じられることが、自己肯定感の基盤です。
自己肯定感が高いと、自信を持って行動し、ストレスにも強くなれるでしょう。一方、自己肯定感の低さは、自己否定的な思考につながりやすく、さまざまな問題の原因になり得ます。
自己肯定感は、生まれつき完全に備わっているわけではなく、成長の過程で徐々に形成されていくものです。
特に、幼少期の環境や周囲からの評価が、自己肯定感の形成に大きな影響を及ぼすと考えられています。
例えば、肯定的な言葉がけや評価を多く受けて育った人は、自己肯定感が高くなる傾向にあります。
自己肯定感と自己効力感の違い
理解を深めるために、類似した概念との違いを見てみましょう。
自己肯定感は、「自信がある状態」とは、少し違います。“自信” により近い概念は「自己効力感」です。
【自己肯定感と自己効力感の違い】
比較項目 | 自己肯定感 | 自己効力感 |
意味 | 自分自身を受け入れ、価値ある存在として肯定的に捉えられる感覚 | 特定の課題や状況において、望ましい結果を得るために必要な行動ができるという信念 |
対象 | 自己の存在価値や特性に対する肯定的な評価 | 特定の領域やスキルに対する自信 |
例 | 「私は自分の長所も短所も含めて、かけがえのない存在である」 | 「自分にはこの問題を解決する能力がある」 |
関連性 | 自己肯定感が高い人は、自己効力感も高くなる傾向がある | 特定の課題で成功経験を積み重ねることで自己効力感が高まると、全体的な自己肯定感の向上にもつながる |
自己効力感は、特定の課題や目標に対する自信(私は○○ができる)の程度を表します。例えば「私にはこの仕事ができる」「難しい問題にも対処できる」といった感覚です。
一方、自己肯定感は、ある特定の能力についての自信ではなく、自分自身の存在そのものに対する肯定的な感覚や感情を指します。
自己肯定感と自己効力感は、互いに影響し合う関係にあります。自己肯定感が高いほど、新しいことにチャレンジする意欲が湧き、自己効力感も高まりやすくなります。
逆に、自己効力感の高さが自信となり、自己肯定感の向上にもつながります。
ただし、両者は同一の概念ではないため、「自己効力感は低いが、自己肯定感は高い(あるいはその逆)」というケースもあり得ます。
例えば、「何もできない自分であっても、ありのままで価値がある」と信じられる人は、自己肯定感が高いと言えます。
自己肯定感が低い人に現れがちな特徴と行動パターン
続いて、自己肯定感の低い人に現れがちな特徴や行動を見てみましょう。以下のようなパターンが見られます。
- 自分を否定的に捉える:
自分の短所ばかりに目がいき、長所を見いだせない。自分を価値のない存在だと感じている。
- 他人との比較で自信をなくす:
他人と比べて、自分は劣っていると感じやすい。他人の批判に敏感で傷つきやすい。
- 完璧主義に陥りやすい:
失敗を極端に恐れ、高すぎる目標を掲げて自分を追い込む。少しのミスも許せない。
- 自己主張が苦手:
自分の意見を言えず、NOと言えない。他人に合わせすぎる傾向がある。
- 孤独を感じやすい:
周囲から孤立していると感じ、一人ぼっちだと思い込む。自分は理解されていないと思いがちである。
自己肯定感が低いと起こること
自己肯定感が低いと、以下のようなネガティブな影響が生じやすくなります。
- 人間関係の悪化:
自己主張ができず、他者とのコミュニケーションがうまくいかない。孤立感や疎外感を抱きやすくなる。
- 仕事のパフォーマンス低下:
自信を失い、新しいことにチャレンジできなくなる。ミスを恐れるあまり、仕事が滞ってしまう。
- ストレスの蓄積:
自分を追い込み、高すぎる目標を課して心身の疲弊を招く。ストレス耐性が低下する。
- 自己実現の阻害:
自分の可能性を信じられず、やりたいことに挑戦できない。結果として、自己実現が難しくなる。
- メンタルヘルスの不調:
自己否定的な思考から抜け出せず、結果的にメンタルヘルスの問題を抱えるリスクが高くなる。
このように、自己肯定感の低さは、人生のさまざまな側面に悪影響を及ぼすと考えられます。
自己肯定感が低い自覚のある方は、不安になってしまうかもしれません。しかしながら、自己肯定感は、大人になってからも高めることが可能です。
自分の価値を再認識し、肯定的に捉えられるように意識を変えることで、人生はずっと生きやすくなるはずです。具体的なステップは、以下に続きます。
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自己肯定感を高め、自律型人材育成を実現した事例
社員数: 7000名以上
事業:住宅メーカー
導入前の課題
自律した個人として活動していくための姿勢と能力の向上が求められている
業界が成熟化し競争関係が激化していく中で、経営改革、組織改革が不可欠となっており、社員一人一人も組織内外の環境変化を受け止め、会社や周りに依存するのではなく、自己責任の意識を持って、自律した個人として活動していくための姿勢と能力の向上が求められていました。
制度としても職務能力・役割・成果を人事制度の軸として活動していくため、自律型人材の育成とキャリア構築を重要視することとなりました。そのために、従来「10年目」社員に実施していたキャリア自律研修を「7年目」社員の実施に変更しました。
また、キャリア自律研修の前段階で自分を見つめ直す機会が必要という課題感もありました。自社の3年目社員は壁にぶつかる時期といわれており、重要な仕事を任されることも増え、見える景色も変わってきます。
しかし日々の多忙な業務の中で、自己理解や振り返りなどの時間を取ることなく過ごしてきた社員が多かったことから、節目の3年目に「自律の促進と組織の中での自分の在り方を見直す」機会として、「セルフエスティーム向上」をテーマに導入いただきました。
取り組みの詳細
キャリアを考える節目にセルフエスティームの理解となりたい姿の検討と行動指針を考える
組織の中での自分の在り方を見直し、今後の自分のなりたい姿を考えるためには、スキル習得も必要ですが「自己理解」が非常に重要です。ありのままの自分に気付き、自己概念の変革と拡大を図っていきます。
また自分のこだわりが対人行動や対人感情にどのように影響しているかを知り、今後、人とどのように関わっていくかを考えるきっかけにもしています。
セミナー前半は、対人行動・対人感情・自己概念とじっくり自分と向き合って内省を深めます。後半は自分自身への恐れや不安から逃れるためにやってしまう防衛行動を知り、セルフエスティームの高いときと低いときの違いについて実習を通じて体験し、セルフエスティームの重要性を理解して、自分がなりたい姿の検討と具体的な行動指針を考えていきます。
『自己開示』と『相互支援』をキーワードに、話しやすく参画しやすい雰囲気を演出しています。
トレーナーが教えるプログラムではなく自分で考えるプログラムの特徴も踏まえて、「研修」ではなく、「セミナー」と呼んで全社展開をしています。
新卒入社3年目総合職の必須講座として位置付けているので、最初は受け身的に参加している人も、教えられる講座でないと分かって参画面での変化が表れてきます。
コロナ以前は2泊3日の合宿形式でしたが、コロナ禍でオンライン形式に変更してからは2日間のカリキュラムで社内トレーナーが実施し、年間300名程度が受講をしています。
トレーナーの人事異動もあるため、プログラムの円滑な実施とトレーナーのスキルアップのために定期的に社内トレーナー養成(HEPライセンス取得)も行っています。
導入後の成果
3年目という節目に自分を見つめ直す研修は役立つという声が多く、セルフエスティームが共通言語になっている
受講者からは、「3年目というと責任感や指導力を求められると同時に、知識や能力を伸ばしていくことも考える時期で、立ち止まって自分自身と向き合う機会を得て、改めて目標を立てそれに向かってどうすべきかを深く考えることができた」という振り返りをよく聞きます。そして、後輩にも受講を推進したり、セミナーの継続を希望したりする声も事務局に届きます。
導入から15年以上継続し、これまで5000名以上がこのプログラムを受講しました。
その結果"セルフエスティーム"が社内の共通言語になってきています。
また、チームリーダーになるメンバーも増え、学びを仕事に生かして活躍しています。副次的効果として、導入前に比べると若年層の離職率の低下が確認できています。
対面でもオンラインでも同様の成果が出せるプログラムなので、環境変化に合わせて取り組みを継続されています。
▼セルフエスティーム向上を扱うHEPについてはこちらをごらんください。
⇒HEP|LDcube
まとめ|静かな退職には組織全体で取り組もう
本記事を通じて、「静かな退職」の影響と解決策について探ってきました。この現象は、一見なんともないように見えながらも、組織の活力や個人のキャリアに深刻なダメージを与える可能性があります。それに対処するには、個人と企業が共に努力し、一体となって対策を講じていくことが不可欠です。
まず、静かな退職の定義と背景について押さえておくことが大切です。「静かな退職」とは、社員が業務に最低限しか関与せず、主体的・自律的な動きをとらない現象を指します。この状態が続くと、企業における生産性の低下や、個人のキャリア停滞につながります。
そこで、個人ができる対策としては、自己評価とキャリアプランの見直し、そして職場でのコミュニケーションを重視することが挙げられます。自身のキャリアを再確認し、上司や同僚と積極的に意見交換を行うことが、疎外感を払拭し、目的意識を取り戻すきっかけとなるでしょう。
一方、企業ができる対策には、社員エンゲージメントの向上、キャリア開発プログラムの導入、公正な人事評価制度の見直し、多様な働き方のサポートがあります。これらは、社員一人一人の能力を引き出し、組織全体としてのパフォーマンスを高める手段です。
また、部下や後輩への指導においては、自己肯定感を高めるためのサポートが重要です。自己肯定感を高く保てるようになると、社員は自分自身の価値を認識し、自律的に成長しやすくなります。
最終的に、「静かな退職」を防ぐ最大の鍵は、自己肯定感にあるとまとめることができます。自己肯定感を高めることは、社員が職場内で自信を持ち、積極的な姿勢で仕事に取り組むための基盤となります。組織全体で自己肯定感の向上を図ることで、活気ある職場環境を再構築し、個人および企業の成長を促進していきましょう。
本記事が、あなたの職場での「静かな退職」防止への取り組みにお役立てることを願っております。多様な人材がそれぞれの力を発揮できる、充実した職場を目指して、共に歩みを進めてまいりましょう。
株式会社LDcubeでは、自己肯定感を高めるための研修プログラムや、研修プログラムのトレーナー養成のご支援をしています。組織や個人のセルフエスティームを高めたい場合にはお気軽にご相談ください。
また、研修プログラムだけでなく、eラーニングプログラムの提供も行っています。研修プログラムと合わせて受講いただくことで効果を高めることができますが、まずはeラーニングから手軽に学習を始めたいというニーズにも対応可能です。
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