LMS・プラットフォームの選び方とは?目的ごとに比較してポイントを紹介!

近年、企業における人材育成の効率化が重要視される中、LMSなどのプラットフォームの導入が急速に広がっています。LMS(Learning Management System)とは、社員教育や研修をオンラインで一元管理できるシステムのことで、時間や場所を選ばない学習環境を実現する強力なツールです。

しかし、「どのようなプラットフォームを選べばいいのか」「自社にとって最適な提供形態は何か」「導入後のROIはどのように測定すればいいのか」など、疑問を抱える担当者も少なくありません。特に初めての導入では、多くの選択肢の中から自社に最適なものを見極めることが難しいと感じるかもしれません。

本記事では、LMSなどのプラットフォームの基本概念から種類、選定ポイント、導入ステップ、そして成功事例まで網羅的に解説します。

人材育成のデジタル化は、単なるトレンドではなく、人的資本経営を実現するための重要な戦略です。この完全ガイドを通じて、貴社の人材育成を効率化し、競争力を高めるためのプラットフォーム選びをサポートします。

これから導入を検討している方も、既存システムの見直しを考えている方も、ぜひ参考にしてください。

▼LMSについてはテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。

▼LMS選定ポイントについては下記にまとめています。

目次[非表示]

  1. 1.LMSとは学習プラットフォームの1つ
    1. 1.1.学習管理と教材配信を一元化するシステム
    2. 1.2.eラーニングはプラットフォームの一機能に過ぎない
    3. 1.3.教育の自動化と学習履歴の可視化を実現する
    4. 1.4.人材育成コストの削減と学習効果向上を実現する
  2. 2.LMS以外のプラットフォームの種類
    1. 2.1.プラットフォーム各タイプの機能・コスト・運用負荷比較
  3. 3.自社に最適なLMS(プラットフォーム)の選定ポイント
    1. 3.1.人事部門・全社導入で研修効率を高めたい場合はLMS
    2. 3.2.現場部門・業績向上につなげたい場合はパフォーマンスラーニング型
    3. 3.3.人事部門・社員の状態を管理したい場合はタレントマネジメント型
    4. 3.4.人事部門・社員のナレッジを残したい場合はナレッジマネジメント型
    5. 3.5.部門共通・動画を配信したいだけなら動画配信型
  4. 4.LMS(プラットフォーム)導入のコスト
    1. 4.1.LMSの初期費用と運用コストの内訳
    2. 4.2.企業規模別LMS導入の適正予算設定
    3. 4.3.LMS導入後の投資対効果計算方法
    4. 4.4.コスト削減につながるLMS選定のコツ
  5. 5.LMS(プラットフォーム)導入の実践ステップ
    1. 5.1.自社の課題を洗い出し整理する
    2. 5.2.実現したいこと・目的を整理する
    3. 5.3.目的に合わせたプラットフォームのタイプを特定する
    4. 5.4.プラットフォームのタイプの中で自社にフィットするシステムを選定する
    5. 5.5.目的に合わせた社内体制を整備する
    6. 5.6.効果を最大化する運用体制の構築する
  6. 6.パーソナライズ学習で受講率100%を達成した事例
  7. 7.まとめ:LMSプラットフォームで人材育成の質と効率を高めよう

LMSとは学習プラットフォームの1つ

LMS(Learning Management System:学習管理システム)は、企業や教育機関における学習を効率的に管理・促進するための基盤となるプラットフォームです。近年の人材開発におけるデジタル化の波を受け、多くの組織がLMSを導入しています。

ここでは、LMSの基本概念から活用方法までを解説します。

学習管理と教材配信を一元化するシステム

LMSは、組織内の学習に関わるさまざまな要素を一括で管理できるシステムです。主に以下のような機能を統合して提供します。

  • コンテンツ管理機能
    eラーニング教材や動画、PDF資料などの学習コンテンツを保存・配信

  • ユーザー管理機能
    学習者の登録や属性管理、グループの設定

  • 出欠確認機能
    研修への出欠状況を確認

  • 学習進捗管理機能
    各学習者の進捗状況やテスト結果のトラッキング

  • コミュニケーション機能
    学習者同士や講師とのやりとりを行うツール

eラーニングコンテンツについても、LMS内に既に用意されているものを活用できるものや、自社独自で作成したコンテンツを載せられるものなどもあります。

これらの機能が一元化されていることで、従来は別々のツールやシステムで管理していた学習関連の業務を効率化できます。また、学習者にとっても必要な教材や情報にワンストップでアクセスできる利便性があります。

最近のLMSは、クラウド型が主流となっており、インターネット環境があればいつでもどこからでもアクセス可能です。

これにより、リモートワークやグローバル展開をしている企業でも、統一された学習環境を提供できるようになっています。

eラーニングはプラットフォームの一機能に過ぎない

多くの方がLMSとeラーニングを同一視しがちですが、実際には大きな違いがあります。eラーニングとは、インターネットを通じて提供されるオンライン学習コンテンツやその学習方法を指します。

一方、LMSはeラーニングを含む多様な学習活動を管理するためのプラットフォームです。
LMSの特徴は以下の点にあります。

  • eラーニングだけでなく、集合研修や外部セミナーなどあらゆる学習形態の記録管理
  • 学習コンテンツの提供だけでなく、学習の計画から評価までの一連のプロセス管理
  • 多様な学習リソースの統合と最適な組み合わせの実現

つまり、eラーニングはLMSの中核的な機能の1つではありますが、LMSの持つ能力の一部に過ぎないのです。

最新のLMSは、eラーニングコンテンツの提供にとどまらず、ブレンディッドラーニング(対面とオンラインの組み合わせ)やソーシャルラーニング(学習者同士の交流による学び)など、多様な学習アプローチをサポートしています。

教育の自動化と学習履歴の可視化を実現する

LMSの重要な特徴として、教育プロセスの自動化と学習データの可視化があります。
教育プロセスの自動化では、以下のような業務を効率化できます。

  • 対象者への研修案内や通知の自動送信
  • 受講期限が近づいた学習者へのリマインド配信
  • 修了条件に基づく次のステップへの自動進行
  • テストの成績に基づく追加学習の推奨

このような自動化により、人事・教育担当者の手間を大幅に削減し、より戦略的な業務に注力できるようになります。

また、学習履歴の可視化については、LMSに蓄積されるデータを活用することで、

  • 社員ごとの学習進捗状況をダッシュボードで一覧表示
  • 部署や役職ごとの学習達成度の比較分析
  • スキルマップと連動した学習者の啓発点や強みの可視化
  • 学習成果と業務パフォーマンスの関連性分析

このように、数値やグラフで学習状況を「見える化」することにより、個人の成長支援や組織全体の教育戦略の最適化が可能となります。

人材育成コストの削減と学習効果向上を実現する

LMSの導入によるメリットとして、コスト削減と学習効果の向上が挙げられます。
コスト削減効果としては、

  • 研修会場や教材の印刷費などの物理的コストの削減
  • 受講者の移動時間や交通費の削減
  • 講師や運営スタッフの人件費の削減
  • 研修管理業務の効率化による間接コストの削減

例えば、全国展開している企業が新入社員フォローアップ研修を実施する場合、従来は各地から研修会場へ集合するための交通費や宿泊費が発生していましたが、LMSを活用することでこれらのコストを大幅に削減できます。

一方、学習効果の向上については、

  • 学習者のペースやスタイルに合わせたパーソナライズされた学習
  • 反復学習やマイクロラーニングによる記憶定着率の向上
  • リアルタイムのフィードバックによる理解度の向上
  • データに基づく教材や学習方法の継続的改善

LMSを活用することで、単に集合研修をオンライン化するだけでなく、個々の学習者に最適な学習体験を提供し、組織全体の学習効果を高めることができます。

特に、学習データを分析して教材や学習設計を改善するPDCAサイクルが回せる点は、従来の教育手法にはない大きなメリットです。

LMS以外のプラットフォームの種類

学習管理システム(LMS)は人材育成プラットフォームの代表的な形態ですが、組織の目的や課題に応じて選択できる他のタイプのプラットフォームも存在します。

ここでは、LMS以外の主要な学習プラットフォームの種類と特徴を解説し、それぞれの違いを明確にします。

パフォーマンスラーニング型

パフォーマンスラーニング型プラットフォームは、学習と実際の業務パフォーマンスを直接結びつけることに焦点を当てています。

このタイプは特に営業部門や製造現場など、学んだスキルを直接業績につなげたい部門で効果を発揮します。学習が「知識の獲得」で終わらず、「行動の変化」や「成果の向上」まで一貫してサポートする点が強みです。

タレントマネジメント型

タレントマネジメント型プラットフォームは、人材育成を人事戦略全体の中に位置付け、人材の採用から配置、育成、評価、昇進まで一貫して管理するシステムです。

このタイプは人材を戦略的資産として捉え、長期的な視点での育成と活用を重視する組織に適しています。特に、複数の事業や部門を持つ大規模組織での人材の最適配置や育成に効果を発揮します。

ナレッジマネジメント型

ナレッジマネジメント型プラットフォームは、組織内の知識や経験を収集・整理・共有するためのシステムです。

このタイプは特に、専門性の高い業務や、ベテラン社員のノウハウ伝承が課題となっている組織に適しています。社員の退職による知識流出リスクの軽減や、地理的に分散した組織での知識の均質化に効果を発揮します。

動画配信型

動画配信型プラットフォームは、主に動画コンテンツを中心とした学習環境を提供するシステムです。

このタイプは、視覚的な説明が効果的な技術トレーニングや、トップメッセージの全社共有など、「見せる」ことが重要な学習に適しています。また、時間や場所を選ばず、スキマ時間を活用した学習が可能な点も魅力です。

プラットフォーム各タイプの機能・コスト・運用負荷比較

各プラットフォームタイプの特性を理解した上で、実際の導入を検討する際に重要となる機能・コスト・運用負荷を比較します。

機能面の比較

LMS型

学習管理に特化し、コース管理、進捗追跡、テスト機能などが充実。他機能は限定的

パフォーマンスラーニング型

業務シミュレーション、実践トレーニングなどが強み

タレントマネジメント型

人材データ分析、キャリアパス管理、後継者計画など人事戦略機能が充実

ナレッジマネジメント型

知識の構造化、検索機能が強み

動画配信型

動画の配信に特化


コスト面の比較

LMS型

中程度(ユーザー数に応じたライセンス料が一般的)

パフォーマンスラーニング型

高め(業績向上への投資的位置づけ、カスタマイズやオプション利用に追加コストが発生)

タレントマネジメント型

高め(人事システム全体を包括するため初期投資が大きい)

ナレッジマネジメント型

中程度(ストレージ容量や機能により変動)

動画配信型

安め(動画制作コストは別途考慮が必要)


運用負荷の比較

LMS型

中程度(コース管理や学習者サポートが主な負荷)

パフォーマンスラーニング型

高め(業務プロセスとの連携調整など継続的に必要)

タレントマネジメント型

高め(人事データの継続的更新と分析が必要)

ナレッジマネジメント型

高め(コンテンツの質と量の維持管理が課題)

動画配信型

低め(コンテンツ制作が主な負荷)

選定の際は、自社の優先課題や組織文化、既存システムとの親和性、運用体制なども考慮し、総合的に判断することが重要です。

また、複数のタイプの機能を統合したハイブリッド型のプラットフォームも増えているため、必要に応じて検討するとよいでしょう。

自社に最適なLMS(プラットフォーム)の選定ポイント

学習プラットフォームの選定は、組織の人材育成戦略に大きく影響する重要な決断です。ここでは目的や部門のニーズに基づいた最適なプラットフォームタイプの選び方を解説します。

人事部門・全社導入で研修効率を高めたい場合はLMS

人事部門主体で全社的な教育・研修の効率化を図る場合、LMSの導入が最適です。

研修プロセスを一元管理できるLMSは、運営の効率化と質の向上を両立します。

LMSが効果を発揮するケース

  • 全社共通研修の運営効率化
    コンプライアンスや階層別研修など多数の従業員対象の研修管理工数を削減できます。研修案内から修了証発行まで自動化が可能です。

  • 研修の受講状況の記録
    安全衛生教育やハラスメント防止研修など、企業防衛上実施が必要な研修の受講状況を正確に記録・管理できます。

  • 研修カリキュラムの体系化
    階層別・職種別の研修体系構築と対象者への自動割り当てが可能です。キャリアパスに合わせた段階的学習設計も容易です。

  • 研修効果の測定・分析
    受講前後でのテストや行動変容アンケートなどを通じて、効果を定量的に測定できます。結果に基づく研修改善や予算最適化が可能です。

LMS導入時はタレントマネジメントシステムなど他システムとの親和性も重要なポイントです。

現場部門・業績向上につなげたい場合はパフォーマンスラーニング型

営業・製造部門など現場での具体的な業績向上が目的なら、パフォーマンスラーニング型が適しています。

「学び」と「実践」を結びつけ、現場パフォーマンス向上に直結する学習体験を提供します。

効果的なシーン

  • 営業スキル向上
    実際の商談シナリオに基づく実践的学習を提供します。学んだ話法をすぐに実務で活用し、結果を振り返ることで継続的改善が可能です。

  • 製造現場の技能伝承
    ベテランのノウハウを記録し作業現場でリアルタイムに参照できます。実作業と学習の連動で効率的な技能習得を促進します。

  • カスタマーサービス品質向上
    具体的ケーススタディーと実際の対応結果を照合し、改善点を見いだすことでサービス品質向上を実現します。

導入時は業務フローとの統合や、現場フィードバックを取り込む柔軟性が重要です。

人事部門・社員の状態を管理したい場合はタレントマネジメント型

組織全体の人材配置や育成を戦略的に行いたい人事部門には、タレントマネジメント型が適しています。

採用から退職までの社員ライフサイクル全体を視野に入れ、適材適所の配置と計画的なスキル開発を支援します。

特に力を発揮するケース

  • 人材データの一元管理
    スキル、経験、資格、評価結果など多様な情報を一元管理し、人材の可視化と戦略的活用を実現します。

  • 後継者計画の策定
    重要ポジションの後継候補特定とスキルギャップ解消のための育成計画を立案・実行します。人材流出リスク低減につながります。

  • 人材分析の高度化
    蓄積データを分析し、組織のスキル分布や将来的な人材ニーズ予測など、データドリブンな人材戦略立案をサポートします。

選定時は人事評価システムとの親和性、HRテック領域の拡張性、プライバシーに配慮したデータ管理が重要です。

人事部門・社員のナレッジを残したい場合はナレッジマネジメント型

ベテラン社員退職による知識流出リスク対応や、暗黙知の形式知化・共有には、ナレッジマネジメント型が有効です。

威力を発揮する状況

  • 技術ノウハウの継承
    ベテラン技術者の暗黙知や経験則を文書化・動画化します。特に「わざ」や「コツ」など言語化しにくい要素も含めた知識移転を促進します。

  • ベストプラクティスの共有
    成功事例や効率的な業務手法を組織全体で共有します。地理的に分散した組織でも均質なサービス提供が可能になります。

選定時は検索性や分類体系の柔軟性、コンテンツ作成の容易性などが重要です。また、知識共有を評価・奨励する組織文化の構築も不可欠です。

部門共通・動画を配信したいだけなら動画配信型

主に動画コンテンツを活用したい場合は、動画配信特化型が最適です。

視覚的理解が重要な技術トレーニングやトップメッセージの全社共有に効果的です。

選ぶべきケース

  • 手順や操作の視覚的説明
    組み立て手順や複雑なシステム操作など、テキストだけでは伝わりにくい内容の説明に適しています。

  • 感情や熱意を伝えるコミュニケーション
    経営者メッセージや理念浸透など、表情や声のトーンも含めて伝えたい内容に効果的です。

  • 時間と場所を選ばない学習環境
    スキマ時間活用学習のため、スマートフォンで視聴できる短時間動画コンテンツが有効です。

選定時は多様なデバイス対応、ネットワーク環境に応じた画質調整、視聴分析の詳細さがポイントです。

導入コストが比較的低く運用もシンプルなため、まずここから始めて他タイプへ拡張するアプローチも効果的です。

LMS(プラットフォーム)導入のコスト

学習管理システム(LMS)の導入は企業の人材育成戦略において重要な投資です。しかし、その導入・運用にはさまざまなコスト要素が関わってきます。

適切な予算設定と投資対効果(ROI)の最大化のためには、これらのコスト構造を正確に理解することが重要です。

LMSの初期費用と運用コストの内訳

LMSを導入する際には、初期費用と継続的な運用コストの両方を考慮する必要があります。それぞれの内訳を詳しく見ていきましょう。

初期費用の内訳

  • 初期導入費用
    システム自体の導入料金

  • カスタマイズ費用
    自社の業務フローに合わせたカスタマイズ費用

  • システム連携費用
    人事システムなど他システムとの連携費用

  • 教育コンテンツ制作費
    初期コンテンツの制作費用

  • 導入支援・コンサルティング費用
    外部コンサルタント活用費用

ランニングコストの内訳

  • 利用ライセンス料
    月額または年間のシステム利用料(クラウド型の場合)

  • 保守・サポート費用
    システムの保守や技術サポート費用

  • コンテンツ利用費用
    教材の利用・追加にかかる費用

  • システム運用人件費
    管理者や運用担当者の人件費

  • 追加カスタマイズ費用
    新機能の追加や改修に関わる費用

こうしたコストは、選択するLMSや組織の規模、カスタマイズの程度によって大きく変動します。

企業規模別LMS導入の適正予算設定

企業規模に応じた、適切な予算設定の目安は以下の通りです。

小規模企業(従業員100名以下)

  • 初期投資:50万円程度
  • 年間運用コスト:20万円〜100万円程度
  • 特徴:カスタマイズは最小限に抑え、標準機能を活用
  • 導入期間:1〜2カ月程度

中規模企業(従業員100〜500名程度)

  • 初期投資:300万円程度
  • 年間運用コスト:300万円〜500万円程度
  • 特徴:基幹システムとの連携やカスタマイズの必要性が増加
  • 導入期間:3カ月程度

大規模企業(従業員1000名以上)

  • 初期投資:500万円程度
  • 年間運用コスト:500万円〜2,000万円程度(人数による)
  • 特徴:既存システムとの複雑な連携や多言語対応など高度な要件
  • 導入期間:6カ月程度

なお、これらはあくまで目安であり、企業の業種や求める機能によって大きく変動する点に注意が必要です。

LMS導入後の投資対効果計算方法

LMS導入の投資対効果(ROI)を適切に測定することは、システムの有効活用と継続的な改善に不可欠です。ROIを算出する際の主な視点は以下の通りです。

コスト削減効果の計測

  • 研修実施コストの削減
    会場費、交通費、講師料、資料印刷費などの削減額

  • 研修運営工数の削減
    研修準備・運営・管理にかかる工数の削減効果

  • 機会損失の削減
    業務時間中の集合研修による機会損失の削減

  • システム統合による効率化
    既存の複数システムの統合による効率化

ビジネス効果の測定

  • スキル習得スピードの向上
    従来の研修方法と比較した学習時間の変化

  • 業務パフォーマンスの向上
    研修実施前後の業績指標の変化

  • コンプライアンス違反リスクの低減
    企業防衛上行われる研修実施による、違反リスクの変化

  • 離職率の低下
    キャリア開発支援による人材定着率の変化

コスト削減につながるLMS選定のコツ

LMS導入において、初期コストと運用コストを最適化するためのポイントは以下の通りです。

  • 必要機能の明確化
    自社に本当に必要な機能を明確にし、過剰な機能に投資しないことが重要です。機能リストを「必須」「あれば望ましい」「なくても可」に分類し、優先順位を付けましょう。

  • 段階的な導入計画
    全社一斉導入ではなく、特定部門でのパイロット導入から始め、効果を検証しながら段階的に拡大する方法も効果的です。

  • クラウド型の活用
    初期投資を抑えたい場合は、サブスクリプション型のクラウドLMSを検討しましょう。サーバー構築費用や保守コストを削減できます。

  • 標準機能の最大活用
    カスタマイズは必要最小限にとどめ、標準機能をできるだけ活用することでコストを抑制できます。業務プロセスをシステムに合わせて見直す柔軟性も重要です。

  • コンテンツ制作コストの最適化
    全てのコンテンツをオリジナル制作するのではなく、既存資料の活用や汎用コンテンツの購入も検討しましょう。

  • ベンダー比較の徹底
    複数のベンダーから見積もりを取得し、機能や価格を比較検討することが重要です。長期的なコスト構造も含めて評価しましょう。

  • スモールスタート
    まずは必須機能のみでスタートし、効果を確認しながら段階的に機能を追加していく方法も有効です。

LMS導入は初期投資だけでなく、長期的な運用コストも含めたトータルコストで判断することが重要です。

安易な初期コスト削減が、長期的には高コスト構造を招くケースも少なくありません。経営戦略との整合性を踏まえた投資判断が求められます。

LMS(プラットフォーム)導入の実践ステップ

LMSプラットフォームの導入を成功させるためには、計画的なアプローチと組織全体の理解・協力が不可欠です。本セクションでは、導入から運用までの実践的なステップを解説します。

自社の課題を洗い出し整理する

LMS導入の第一歩は、自社の教育・人材育成における現状の課題を明確にすることです。

課題の洗い出しと整理のステップは以下の通りです。

  • 現状分析の実施
    現在の教育・研修体制や学習管理プロセスの課題を洗い出します。以下のような観点から分析を行いましょう。

    ○  研修の実施数
    ○  研修管理にかかる工数
    ○  学習コンテンツの質と量
    ○  学習効果の測定状況
    ○  従業員の学習へのアクセシビリテ

  • ステークホルダーへのヒアリング
    以下の関係者から意見を収集し、多角的な視点で課題を把握します。

    ○  経営層:経営戦略との整合性
    ○  現場管理者:部下の育成における課題
    ○  一般従業員:学習機会や内容に関する課題

  • 課題の優先順位付け
    洗い出された課題を「緊急性」と「重要性」の2軸でマッピングし、優先的に解決すべき課題を特定します。

課題整理のポイントは、表面的な現象だけでなく、その根本原因を理解することです。

例えば「研修の受講率が低い」という課題の背景には、「業務の忙しさ」「研修内容への関心の低さ」「アクセスの難しさ」などさまざまな要因が考えられます。

実現したいこと・目的を整理する

課題が明確になったら、次はLMS導入によって実現したい目標・目的を具体化します。

この段階では以下のポイントを押さえましょう。

  • 明確かつ測定可能な目標設定
    「研修の質を向上させる」といった抽象的な目標ではなく、「eラーニング受講率を90%以上にする」「研修管理工数を50%削減する」など、具体的で測定可能な目標を設定します。

  • 短期・中期・長期目標の設定
    段階的な成功を確認できるよう、時間軸に沿った目標設定を行います。

    ○  短期(3〜6カ月):基本機能の活用、運用体制の確立
    ○  中期(1〜2年):学習コンテンツの充実、利用率の向上
    ○  長期(3年以上):人材育成戦略との統合、データ活用の高度化

  • ステークホルダー間での目標の共有
    設定した目標を関係部署と共有し、理解と協力を得ることが重要です。特に経営層の理解を得ることで、導入後のサポートも受けやすくなります。

目標設定においては、「なぜその目標が重要なのか」という理由も明確にすることで、関係者の理解と協力を得やすくなります。

また、目標は組織の経営戦略や人材育成方針と整合性を持たせることが重要です。

目的に合わせたプラットフォームのタイプを特定する

設定した目標に基づいて、最適なプラットフォームのタイプを選定する段階です。

前述した各タイプの特徴を踏まえ、以下のような判断基準で選択しましょう。

  • 使用目的による判断
    ○ 研修管理の効率化 → LMS型

    ○ 業績向上との直接的連携 → パフォーマンスラーニング型

    ○ 人材データの統合管理 → タレントマネジメント型

    ○ 組織知の蓄積・共有 → ナレッジマネジメント型

    ○ 視覚的な学習コンテンツ中心 → 動画配信型

この段階では、必要に応じて複数のプラットフォームベンダーからの情報収集や、同業他社の導入事例の調査も有効です。

自社の状況に最も合致するタイプを見極めることが、導入成功の鍵となります。

プラットフォームのタイプの中で自社にフィットするシステムを選定する

プラットフォームのタイプが決まったら、次は具体的なシステム(製品)選びです。選定のポイントは以下の通りです。

  • 必須機能と推奨機能の明確化
    ○  必須機能:導入の目的達成に不可欠な機能

    ○  推奨機能:あれば業務効率や学習効果が高まる機能
    ○  オプション機能:将来的に検討する可能性のある機能

  • 製品評価の重要ポイント
    ○  ユーザーインターフェースの使いやすさ(簡単に操作できる)
    ○  モバイル・タブレット対応状況
    ○  多言語対応(グローバル企業の場合)
    ○  セキュリティー対策
    ○  カスタマイズの柔軟性

    ○  サポート体制

    ○  アップデート頻度・ロードマップ
    ○  価格体系の透明性


  • 比較評価の方法
    ○   複数製品の機能比較表の作成
    ○   デモ環境での試用評価
    ○   導入企業の口コミや評判の調査

システム選定では、現在の課題解決だけでなく、将来的な拡張性も考慮することが重要です。

また、導入後のサポート体制も重要な判断基準となります。

目的に合わせた社内体制を整備する

システムが決まったら、導入・運用を支える社内体制の整備に取り掛かります。特定の人物の負担が大きすぎるとスムーズに動けなくなることも多いので、推進チームを編成することが望ましいです。

効果的な体制整備のポイントは以下の通りです。

  • 推進チームの編成
    ○   プロジェクトリーダー:全体統括と意思決定
    ○   システム運用担当者:技術面の運用スキル習得
    ○   コンテンツ担当者:講義をコンテンツ化するなど学習コンテンツの設計・作成
    ○   ラーナーマーケティング担当者:学習ニーズなどの調査や社内への周知

  • 導入スケジュールの策定
    ○   準備フェーズ:環境構築、初期設定、テスト
    ○   パイロットフェーズ:限定部署での試験運用
    ○   展開フェーズ:全社への段階的展開
    ○   定着フェーズ:継続的な運用と改善

社内体制の整備では、各担当者の業務負荷も考慮し、兼務の場合は適切な業務配分を行うことが重要です。

また、主要ステークホルダーを体制に組み込むことで、プロジェクトへの理解と協力を得やすくなります。

効果を最大化する運用体制の構築する

導入後、LMSの効果を最大化するための運用体制の構築が重要です。継続的な改善と発展を実現するポイントは以下の通りです。

  • PDCAサイクルの確立
    ○   Plan:目標設定と改善計画の立案
    ○   Do:計画に基づく運用と施策実行
    ○   Check:効果測定と課題の抽出
    ○   Act:改善策の実施と次期計画への反映

  • 効果測定の仕組み化
    ○   定量指標:受講率、修了率、テスト結果、アクセス数など
    ○   定性指標:ユーザー満足度、学習内容の実務適用度など
    ○   業務効果:業績向上、業務効率化など
    ○   経営効果:離職率低減、採用力向上、組織活性化など

  • 継続的な改善活動
    ○   定期的なユーザーフィードバックの収集
    ○   ベストプラクティスの社内共有
    ○   新機能やアップデートの積極的な活用
    ○   運用ルールやコンテンツの定期的な見直し

  • 活用促進の取り組み
    ○   経営層からの定期的なメッセージ配信
    ○   成功事例の共有と表彰
    ○   学習時間の確保(業務時間内での学習許可など)
    ○   学習と人事評価の連動

LMSの運用は導入して終わりではなく、継続的な改善と発展が不可欠です。ユーザーの声を積極的に取り入れ、常に利便性と効果の向上を目指す姿勢が重要です。

また、組織の変化や新たなニーズに応じて、システムの使い方や機能も柔軟に進化させていく視点が求められます。

パーソナライズ学習で受講率100%を達成した事例

受講率100% を達成する要因 学習データの追跡、パーソナライズ学習、柔軟な学習環境、自己主導の学習

支援事例:専門商社(400名)

【これまでの課題】

  • eラーニングを「必修」にしなければ学習しない
  • 流し見で「完了」することが目的になってしまっている
  • 業務が忙しくて受講することを忘れてしまう  ・・・など

⇒【CK-Connectによるパーソナライズ学習を導入】

【受講率100%を実現】

  • 「必修」「受講期限」の設定がない中で、受講率100%を実現
  • 診断結果を基に自動でリコメンドされるコースを自主的に受講
  • 1人平均5.7コースの受講(多い人は16コースの受講)

★今回のポイント

  • パーソナライズ学習:パーソナル診断結果を基にした個々人に合わせた学習コンテンツを自動配信
  • いつでも学べる環境:学習者が必要なときに必要な学習にアクセスできる環境
  • 学習データの蓄積:学習者の学習状況をトラッキングするための学習行動のデータ取得

★お客さまの声

  • 社内ではeラーニングは結局導入しても、やってくれないのではないかという疑問視する声が出ていました。これまでは「必修」にしないとやってくれなかったことからもそのように捉えられていました。同じことを繰り返していても効果は上がらないと思い、パーソナライズ学習を取り入れたところ、受講率が100%になったので正直驚きました。
  • また、これまではコンテンツ数にも限りがあり、自社のオリジナルコンテンツの搭載ができなかったのですが、自社オリジナルコンテンツの搭載もできるようになったことで、学習してもらう幅が広がりました。
  • また、診断結果のレポートには、自身の強みや課題の啓発だけではなく、他の職場メンバーとの関係性の中で起こりうることや周囲が必要なことについてもアドバイスがあり、そのレポートを基に、他メンバーと対話することで、職場の中でのコミュニケーションが取りやすくなり、仕事がスムーズに進むようになりました。

まとめ:LMSプラットフォームで人材育成の質と効率を高めよう

LMS・プラットフォームの選び方とは?目的ごとに比較してポイントを紹介!についてご案内してきました。

  • LMSとは学習プラットフォームの1つ
  • LMS以外のプラットフォームの種類
  • 自社に最適なLMS(プラットフォーム)の選定ポイント
  • LMS(プラットフォーム)導入のコスト
  • LMS(プラットフォーム)導入の実践ステップ
  • パーソナライズ学習で受講率100%を達成した事例

ここでは、ポイントを整理し、今後の人材育成戦略への生かし方を考えていきましょう。
LMSは単なるeラーニングのツールではなく、組織全体の学習を効率的に管理・促進する包括的な基盤です。教育の自動化と学習履歴の可視化により、人材育成の質と効率を大きく向上させる可能性を秘めています。

人材育成プラットフォームには、目的に応じて多様なタイプが存在します。LMS型、パフォーマンスラーニング型、タレントマネジメント型、ナレッジマネジメント型、動画配信型など、それぞれに強みと特性があります。自社の課題や目的を明確にし、最適なタイプを選択することが成功の鍵となります。

導入にあたっては、初期費用と運用コストを正確に把握し、適切な予算設定を行うことが重要です。また、段階的な導入アプローチや標準機能の最大活用など、コスト最適化の工夫も欠かせません。

LMS導入を成功させるためには、課題の洗い出しから始まり、明確な目標設定、適切なシステム選定、社内体制の整備、効果的な運用体制の構築という一連のステップを丁寧に進めることが大切です。特に、導入後の継続的な改善サイクルの確立は、長期的な効果を高めるために不可欠です。

昨今の人手不足の深刻化、従業員のキャリア意識の変化、人的資本経営への注目など、人材育成を取り巻く環境は大きく変化しています。LMSプラットフォームは、こうした変化に対応し、組織と個人の双方に価値をもたらす重要なツールとなるでしょう。

適切に選定・導入・運用されたLMSプラットフォームは、単なる研修管理の効率化にとどまらず、組織の学習文化の醸成や、データドリブンな人材育成の実現、ひいては企業競争力の強化にもつながります。自社の状況と目標に合わせた最適なプラットフォームを選び、人材育成の質と効率を高めていきましょう。

株式会社LDcubeはCrossKnowledgeの日本国内の公式パートナーとしてLMSやeラーニング・マイクロラーニングなどの提供などを行っています。

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企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
企画・作成・編集:代表取締役 新井澄人
株式会社ビジネスコンサルタントで、講師派遣型の人材育成支援から始まり、社内トレーナーの養成による人材育成支援、デジタルツールを活用した人材育成のDX化の支援まで、中小企業から大企業まで20年にわたり幅広いコンサルティングに従事。 新入社員研修からOJTリーダー研修、若手社員研修、管理職研修、幹部研修、営業研修、デジタル学習環境づくりのコンサルテーションなどに自らもコンサルタントとして登壇しながらも、人材育成・組織活性化・営業強化において講師派遣型の枠を超えた支援を実現するため、ビジネスコンサルタントの子会社である株式会社LDcubeの設立と同時に代表取締役に就任。 資格: ・全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC2023002) ・LIFOプログラムライセンス(LIFO-MSSプログラム開発者)

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