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eラーニングとLMSの違いとは?最適な人材育成体制を構築するポイントを解説

「eラーニングを導入したいけれど、LMSとの違いがよくわかりません……。どちらを選べば良いのでしょうか?」

このような質問を受ける機会が、多くなりました。

近年、企業や教育機関でeラーニングの導入が加速しています。一方で、eラーニングを支えるプラットフォームであるLMS(学習管理システム)との違いに戸惑う方も少なくありません。

おおまかに結論からいえば、eラーニングはコンテンツを指し、LMSはプラットフォームを指す” と捉えておくと、イメージしやすいはずです。

eラーニングLMS①

どちらか1つを選ぶのではなく、どちらも選ぶ必要があり、重要です。選択を誤ると、せっかくの教育投資が無駄になりかねません。

本記事では、eラーニングとLMSの基礎知識から、両者の関係性、選定のポイントまでを体系的に解説します。

ご一読いただくと、自社に最適な体制を構築し、教育効果を最大限に引き出す知見が身に付きます。

▼ LMSやeラーニングについてテーマに合わせて下記で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。


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目次[非表示]

  1. 1.eラーニングとLMSの違いとは? 
    1. 1.1.eラーニングとは?
    2. 1.2.LMSとは?
    3. 1.3.LMSとeラーニングの関係性
    4. 1.4.eラーニングプラットフォームなど類義語との違い
    5. 1.5.LMSとLXPの違い
  2. 2.LMSで展開するeラーニングの3つの選択肢
    1. 2.1.LMSと連携して提供されるコンテンツ
    2. 2.2.互換性のある他社コンテンツ
    3. 2.3.自社で制作したコンテンツ
  3. 3.eラーニングを展開するLMSの選定で注意したいチェックポイント
    1. 3.1.コンテンツ互換性
    2. 3.2.提供コンテンツの質と更新頻度
    3. 3.3.ユーザーエクスペリエンス(UX)
    4. 3.4.多言語対応
    5. 3.5.システム連携
    6. 3.6.スケーラビリティ(拡張性)
    7. 3.7.セキュリティ
    8. 3.8.データのポータビリティ
    9. 3.9.コストパフォーマンス
    10. 3.10.ユーザーサポート
  4. 4.まとめ

eラーニングとLMSの違いとは? 

eラーニングLMS②

eラーニングとLMSは密接に関係していますが、まずは、それぞれの基本的な概念を、正しく理解することが大切です。

最初に、eラーニングとLMSの定義や特徴を解説するとともに、両者の関係性やeラーニングにLMSが必要な理由についても説明します。

  1.  eラーニングとは?
  2. LMSとは?
  3. LMSとeラーニングの関係性
  4. eラーニングプラットフォームなど類義語との違い
  5. LMSとLXPの違い


eラーニングとは?

eラーニングとは、デジタル技術を用いて行う、学習形態の総称です。

より具体的には、インターネットやイントラネットなどのネットワークを利用し、デジタルコンテンツを介して、知識やスキルを習得する学習法を意味します。

eラーニングLMS③

【eラーニングの特徴】

  • デジタルコンテンツの活用
    eラーニングでは、デジタル化された学習コンテンツが中核をなします。テキストや静止画だけでなく、動画・音声・アニメーションなどを用いて、より理解度の高い学習を実現します。

  • ネットワークを介した配信
    デジタルコンテンツは、インターネットなどのネットワークを通じて、学習者に配信されます。時間と場所の制約を超えて、学習の機会を提供できます。

  • 双方向性のインタラクション(相互作用)
    eラーニングでは、学習者とコンテンツの間の双方向的なやりとりを重視します。クイズやシミュレーションなどの要素を取り入れて能動的な学習を促し、知識の定着を図ります。

以上のように、eラーニングとは、デジタル技術を駆使して学習コンテンツを提供し、双方向性確保しながら学習者の主体的な知識習得支援する学習形態だといえるでしょう。

従来の教室型学習とは一線を画す、新たな教育の形として浸透しています。

LMSとは?

続いてLMSは、「Learning Management System:ラーニングマネジメントシステム」の略称で、学習プログラムの運営に必要な機能を統合的に提供するシステム基盤を指します。「学習管理システム」とも呼ばれます。

企業の従業員研修から大学などの高等教育、各種学校の講座など、幅広い学習プログラムの運営管理に活用されています。

eラーニングLMS④

【LMSの3大機能】

  • コンテンツ管理
    各種の講座や教材を一元的に管理するデータベースとして機能します。コンテンツの登録・更新・削除などの業務を効率化し、ナレッジの共有と再利用を促進します。

  • 運営管理
    学習プログラムの運用に必要な各種の管理業務をサポートします。受講者の登録・削除、講座の割り当て、スケジュール管理、成績管理、修了証明書発行などの一連の運営タスクを効率化します。

  • レポートと分析
    各学習者の履修状況や進捗、習得度などの学習データを一元管理します。学習者の行動履歴を自動的に記録し、学習成果の可視化を実現する基盤となります。

これらの機能を通じ、LMSは教育研修プログラムの運用効率と質の向上に寄与します。

別の表現をすると、学習プログラムのデジタルトランスフォーメーション(DX)を総合的に推進できるツールとして、さまざまな組織でLMSの導入が進んでいます。

LMSとeラーニングの関係性

LMSは、eラーニングを下支えし、その効果を最大限に引き出すための基盤システムという関係にあります。

eラーニングLMS⑤

【LMSとeラーニングの関係】

  • コンテンツ配信の土台
    LMSは、eラーニングの学習コンテンツを一括管理し、学習者に届けるプラットフォームとして機能します。適切なコンテンツ配信は、eラーニングの要であり、LMSがそれを支えます。

  • 学習進捗の管理ツール
    LMSは、一人一人の学習者の学習状況を詳しく記録し、その進み具合を管理する基盤を提供します。学習者の理解度に合わせて最適な教材を提供するなど、eラーニングのオーダーメイド化にLMSは欠かせません。

  • 学習成果の評価基盤
    LMSは、eラーニングの理解度テストや到達度チェックなど、学習効果の測定を行うための機能を持っています。適切な評価とフィードバックは、eラーニングの学習効果アップに不可欠の要素です。

  • 学習行動の分析ツール
    LMSは、eラーニングの学習履歴データを蓄積し、その分析を可能にするプラットフォームでもあります。学習行動の分析から、eラーニングの教育設計を改善する基盤を、LMSが提供するのです。

eラーニングの効果的な運用は、LMSの性能と使いやすさに大きく左右されるといっても過言ではありません。

eラーニングとLMSを別々のものと考えるのではなく、一体のものとして設計し活用していく視点が非常に大切です。

eラーニングプラットフォームなど類義語との違い

ここで補足として、類義語を整理しておきましょう。

eラーニングおよびLMSの導入を検討してリサーチを始めると、以下の類義語との違いに戸惑うかもしれません。

  • eラーニングプラットフォーム
  • eラーニングシステム
  • 多機能ラーニングシステム

文脈や発信者によっても異なりますが、基本的には、上記はLMSと同じ意味として捉えて問題ないでしょう。

いずれも、eラーニングの運用管理に必要な諸機能を統合的に提供するシステム基盤を指す用語だと理解しておけば、実務上は混乱なく使い分けられるはずです。

LMSとLXPの違い

もう一点、今後、見かける機会が増えていくと考えられるのが「LXP」です。

「LXP(Learning Experience Platform:学習体験プラットフォーム)」は、LMSの発展形として近年登場してきた、新しい学習基盤の呼称です。

LMSが「学習管理」に重点を置くのに対し、LXPは学習者の個別最適化された「学習体験」の創出に主眼を置いているのが特徴です。

具体的には、以下のような機能面での差異が挙げられます。

eラーニングLMS⑥

【LMSとLXPの違い】

  • コンテンツ提供方式
    LMSが管理者主導の「プッシュ型」であるのに対し、LXPは学習者主導の「プル型」を志向します。LXPの特徴は、学習者が自らのニーズに応じて積極的にコンテンツを探索・活用できる点にあります。

  • 学習履歴の活用目的
    LMSが学習履歴の管理に重点を置くのに対し、LXPは蓄積された履歴の分析を重視します。AIなどを活用し、学習者の行動分析を通じて、一人一人に最適化された学習体験の提供を目指します。

  • 学習者同士の交流
    LMSが学習管理を主眼とするのに対し、LXPは学習者間の共創的な学びを大切にします。充実したソーシャル機能により、ナレッジシェアリング(学習者同士の知識共有)を促します。

  • 拡張性と柔軟性
    LMSが自己完結的なシステムであるのに対し、LXPは外部サービスとの連携を重視します。新たな学習ツールやコンテンツとのシームレスな統合により、より多彩な学習体験の提供が可能となります。

LXPの具体例としては、AIを活⽤したデジタル学習プラットフォーム「UMU」が挙げられます。

UMU資料

注意点として、現時点では、日本国内におけるLXPという用語の浸透度は、まだ限定的です。

そのため、LXPと同等の機能を備えていても、よりなじみのある「LMS」の名称で提供されているケースもあります。

名称ではなく機能面で見極めることが重要です。不明な点があれば、ベンダー(提供元)に確認することをおすすめします。

LMSで展開するeラーニングの3つの選択肢

eラーニングLMS⑦

ここまでのお話で、冒頭で述べた “eラーニングはコンテンツを指し、LMSはプラットフォームを指す” ということが、つかめたかと思います。

続いて、LMS上で展開する「eラーニング」について、見ていきましょう。どのようなeラーニングのコンテンツを導入するか、大きく分けて3つの選択肢があります。

  1. LMSと連携して提供されるコンテンツ
  2. 互換性のある他社コンテンツ
  3. 自社で制作したコンテンツ


LMSと連携して提供されるコンテンツ

1つめの選択肢は「LMSと連携して提供されるコンテンツ」です。

LMSベンダーの多くが、LMSとセットでeラーニングコンテンツを提供しています。

これらのコンテンツは、LMSとのスムーズな連携が保証されているため、導入の手間やコストを大幅に削減できるのが大きな利点です。

【LMSとセット提供されるコンテンツの特徴】

  • LMSとの互換性が完全に保証されている
    コンテンツがLMSの仕様に完全に準拠しているため、動作の不具合などのトラブルは基本的に起きません。

  • 導入の手間とコストを大幅に削減できる
    コンテンツとLMSを別々に選定する必要がないため、導入プロセスをシンプル化できます。初期投資の抑制にもつながります。

  • ベンダーによる一貫したサポートが受けられる
    コンテンツに関する技術的な問い合わせやトラブルシューティングを、LMSベンダーに一元的に依頼できます。問題解決までのスピードアップが期待できるでしょう。

  • カスタマイズの自由度は限定的
    基本的にはベンダーが用意したコンテンツの利用が前提となるため、自社独自の要件に基づくカスタマイズの余地は限られます。柔軟性を求める場合は不向きなケースもあります。

LMSとセットのコンテンツは、eラーニング導入のハードルを下げ、スピーディな立ち上げを可能にする選択肢だといえます。

ただし、自社に最適なコンテンツがラインナップされているかどうかは、十分に見極める必要があります。

たとえば、以下はLMS・eラーニング「CrossKnowledge」にて提供なコンテンツの一例です。

eラーニングLMS⑧

eラーニングLMS⑨

eラーニングLMS⑩

詳しくは、以下の資料にてご確認ください。

LMS資料

互換性のある他社コンテンツ

2つめの選択肢は「互換性のある他社コンテンツ」です。

「どんなeラーニングを展開するのかは、どのLMSを選ぶかで決まってしまうのでは?」
と不安に感じる方もいるかもしれません。

しかし、導入したLMSとセットではない、外部のeラーニングコンテンツを活用する選択肢もあります。

eラーニングには国際的な標準規格があり、規格を満たした互換性のあるeラーニングとLMSなら、異なるベンダー同士でも連携が可能なのです。

【主要なeラーニング標準規格】

  • SCORM(Sharable Content Object Reference Model)
    米国で開発された、eラーニングコンテンツの共有や再利用を促進するための標準規格です。

  • xAPI(Experience API)

    SCORMに代わる次世代の学習データ記録・分析の標準規格として開発されました。学習者の行動履歴を詳細に記録し、LMS外の学習活動データも統合管理できる点が特徴です。

  • cmi5
    xAPIをベースに、よりeラーニングに特化した形で発展した新しい規格です。xAPIの柔軟性を維持しつつ、eラーニングに必要な機能要件を厳密に規定しているのが特徴です。今後の普及が期待されています。

すでに特定のeラーニングの導入を決めている場合には、そのコンテンツと互換性のあるLMSを選定することが大切です。

自社で制作したコンテンツ

3つめの選択肢は「自社で制作したコンテンツ」です。

PowerPointやPDF、動画など、自社で作成した各種コンテンツを、LMSを通じてeラーニング化するアプローチは、自社の教育ノウハウを最大限に生かせる選択肢です。

多くのLMSは、そうした一般的な形式のコンテンツをアップロードし、eラーニング教材として配信する機能を標準で備えています。

【自社制作コンテンツのLMS搭載のメリット】

  • 自社の教育資産の有効活用
    すでに社内で利用しているマニュアルや教材のeラーニング化によって、教育資産を有効活用できます。

  • 教育内容のカスタマイズ性
    自社の業務や商品・サービスに特化したコンテンツを、自由にカスタマイズできます。汎用的な市販コンテンツでは得られない、自社色の強い教育を展開できます。

  • 集合研修のオンライン化
    従来の集合研修で使用していた教材をデジタル化し、LMSに展開すれば、場所や時間の制約を受けない効率的な研修環境を構築できます。

このように、自社制作コンテンツのLMS搭載は、自社のナレッジを集約し、効率的に社内展開するための有力な方法といえるでしょう。

コンテンツ作成については、以下の記事もあわせてご覧ください。

  社内学習を変える!動画コンテンツ作成4つのコツ 学習に動画を活用することで、忙しい中でも隙間時間で学習を進めることができる、資料を見るだけよりも記憶に定着しやすいなど、様々なメリットがあります。社内研修用の動画コンテンツを作成する際のコツを紹介します。 株式会社LDcube


eラーニングを展開するLMSの選定で注意したいチェックポイント

eラーニングLMS⑪

次に、「LMS」の選定について見ていきましょう。

数多くのLMS製品が市場に存在するなかで、自社に最適なLMSを選ぶために、どのような評価軸を持つべきでしょうか。

とくに注意が必要なチェックポイントを、以下で解説します。

  1. コンテンツ互換性
  2. 提供コンテンツの質と更新頻度
  3. ユーザーエクスペリエンス(UX)
  4. 多言語対応
  5. システム連携
  6. スケーラビリティ(拡張性)
  7. セキュリティ
  8. データのポータビリティ
  9. コストパフォーマンス
  10. ユーザーサポート


コンテンツ互換性

1つめのポイントは「コンテンツ互換性」です。

先ほど述べたとおり、LMSにeラーニングコンテンツを搭載する際には、コンテンツの互換性が重要なポイントとなります。

とくに、既存コンテンツを多数保有する場合や利用したいeラーニングがすでに定まっている場合は、互換性確保の優先順位が高くなります。

【コンテンツ互換性の確認ポイント】

  • LMSの標準対応規格を確認する
    SCORM、xAPI、cmi5など、LMSがサポートしている規格を確認し、自社のコンテンツの対応状況と照らし合わせます。

  • 実際のコンテンツを用いた動作検証を行う
    デモ環境などで、自社のコンテンツを実際にアップロードし、問題なく再生や記録ができるかをチェックします。

  • 規格のバージョンにも注意を払う
    たとえば、同じSCORMでも、1.2と2004では仕様が異なります。コンテンツとLMSで、対応バージョンにズレがないことを確認しましょう。

  • 将来の規格改訂への対応姿勢を確認する
    規格は年月の経過とともに変化していきます。将来の変更にスムーズに対応できるよう、ベンダーの方針を確認しておきましょう。

提供コンテンツの質と更新頻度

2つめのポイントは「提供コンテンツの質と更新頻度」です。

LMSと連携して提供されるeラーニングコンテンツの質と更新頻度も、LMS選定の重要な評価軸となります。

【コンテンツ品質の評価ポイント】

  • コンテンツのラインナップを精査する
    自社の教育ニーズに合致した充実度があるか、網羅性と深さの両面から確認します。

  • コンテンツの作成者を確認する
    学習コンテンツは誰が作成しているか、監修しているかなどから内容が確かなものであるかを確認します。 

  • サンプルでコンテンツの完成度をチェックする
    実際のコンテンツを試し、内容や構成、学習意欲を高める工夫などを評価します。

  • 更新頻度とメンテナンス体制を確認する
    コンテンツの更新サイクルや、最新動向への対応スピードについて、実績を確認します。

  • 品質保証の仕組みを確認する
    コンテンツの品質管理プロセスや、監査体制について、ベンダーの方針を確認しましょう。  

魅力的なコンテンツがLMSにそろっていなければ、eラーニングの多くを外部と連携する必要があり、運用の負担が増します。

網羅性や更新頻度など、定量的な指標を軸としつつ、実際のコンテンツに目を通して、質的な評価を加えることが重要です。

ユーザーエクスペリエンス(UX)

3つめのポイントは「ユーザーエクスペリエンス(UX)」です。

LMSのユーザーインターフェース(UI:利用者が直接触る操作画面)の使いやすさをはじめとする、UX(ユーザー体験)の質は、学習者の学習意欲に直結する重要な要素です。

【UXの評価ポイント】

  • LMSの操作デモで直感的に使えるかを確認する
    メニュー構造やナビゲーションのわかりやすさ、アイコンのデザインなど、使い方を調べなくても直感的に操作できるか確認します。

  • モバイルデバイスでの表示や操作性をチェックする
    スマートフォンの小さな画面でもストレスなく学習できることは、利用促進において欠かせません。

  • 検索機能や学習履歴へのアクセスのしやすさを評価する
    学習者がよく使う機能へのアクセスに、無駄なステップが要求されていないかを確認します。

  • 動作のパフォーマンスを確認する
    サンプルコンテンツを実際に読み込み、ページ切り替えのスムーズさや動画の読み込み速度をチェックします。

優れたUXは、学習者のLMS活用を促進し、ひいては学習効果の向上につながります。

操作マニュアルを読まずとも直感的に使いこなせる、シンプルで洗練されたデザインや操作の快適さは、LMS選択の重要な判断材料です。

多言語対応

4つめのポイントは「多言語対応」です。

グローバル企業はもちろんですが、外国人従業員の採用可能性がある企業にとっては、LMSの多言語対応は見逃せないポイントとなります。

母語が日本語以外の従業員が在籍している場合、ユーザーインターフェース(UI)の言語切り替えは必須の機能です。加えて、コンテンツ自体の多言語化対応も、重要な選定基準となります。

【多言語対応の評価ポイント】

  • UIの言語切り替え機能を確認する
    管理画面、学習者画面それぞれについて、必要な言語への切り替えが可能かを確認します。

  • コンテンツの言語バージョン管理機能を確認する
    同一コンテンツの多言語版を一元管理できる仕組みは、グローバルなeラーニング展開に欠かせません。

  • 言語切り替え時の表示崩れをチェックする
    特殊文字の表示など、言語特性に起因する表示トラブルがないかを確認しましょう。

  • 多言語コンテンツ提供の実績を確認する
    グローバルなeラーニングの導入事例の有無や、提供言語の幅について情報を集めることが重要です。

日本語・英語だけではなく、多国籍な従業員が母語で学べる環境の整備は、グローバル人材育成の成否を分ける鍵となります。

システム連携

5つめのポイントは「システム連携」です。

LMSと社内の各種システムとの連携も、運用効率を大きく左右する要素です。とくに、人事システムとのスムーズなデータ連携は、LMS運用の効率化に直接影響します。


【システム連携の評価ポイント】

  • 連携APIの柔軟性と拡張性を評価する
    柔軟なデータ連携を実現するためには、LMS側のAPI仕様の充実度が鍵を握ります。

  • 認証基盤との連携を確認する
    シングルサインオン(SSO)など、社内の認証基盤との親和性の高さは、利便性と運用負荷の両面で重要なポイントです。

  • 実績と事例から連携の難易度を推し量る
    同様の連携事例の有無は、技術的なハードルの高さを測るひとつの目安となります。

  • セキュリティ面の対策を確認する
    機密情報を扱うシステム連携だけに、情報漏洩リスクへの対策は入念に確認しておく必要があります。

社内のシステム部門とも協力して、しっかりと検討を重ねることが大切です。

スケーラビリティ(拡張性)

6つめのポイントは「スケーラビリティ(拡張性)」です。

eラーニングの対象者が拡大した際に、LMSも柔軟に拡大できることは、重要な要件です。

【スケーラビリティの評価ポイント】

  • 同時接続ユーザー数の上限を確認する
    現在の想定数だけでなく、将来の最大値を念頭に、十分な余裕があるかを見定めます。

  • システム拡張の容易性を探る
    ユーザー数増加に伴うシステム増強が、柔軟かつ迅速に行えるかを確かめておきます。

  • サポート体制の拡張性を確認する
    ユーザー数の増加に応じて、サポート要員の拡充や多言語対応など、サポート面での柔軟な拡張が可能かをチェックします。

ユーザー数の増加は、eラーニング施策の成功の証ともいえます。

その成長を、機能面・インフラ面の両方から支えるスケーラビリティを備えていることが、持続的なeラーニング運営には不可欠の条件となります。

セキュリティ

7つめのポイントは「セキュリティ」です。

現代では、多くのLMSがクラウド型です。クラウド上に学習者の個人情報や、機密性の高い学習データが蓄積されるため、セキュリティ面の評価は選定において不可欠です。

【セキュリティの評価ポイント】

  • 情報セキュリティ方針・体制を確認する
    情報資産の取り扱いや、安全管理措置の方針について、具体的な説明を求めましょう。

  • 第三者認証の取得状況を確認する
    ISO27001(情報セキュリティマネジメントの国際規格)などの認証は、客観的なセキュリティ品質の指標として重要な判断材料となります。

  • 脆弱性対策の実施状況をチェックする
    定期的な脆弱性検査の実施や、発見された脆弱性への迅速な対処など、脆弱性対策の実効性を評価しましょう。

  • インシデント対応力を評価する
    万が一の際の連絡体制や、対応手順の明文化など、インシデント(セキュリティ事故)対応の備えの充実度をチェックすることが肝心です。

LMSの運用では、機能や利便性と同様に、セキュリティの信頼性が問われます。

データのポータビリティ

8つめのポイントは「データのポータビリティ」です。

LMSへ蓄積された学習データは、企業にとって貴重な知的資産です。

ベンダーロックイン(特定ベンダーのシステムに過度に依存してしまうこと)のリスクを回避し、データポータビリティ(移行性)を担保できるかどうかは、長期的な視点でのLMS選定に欠かせない観点だといえます。

【データポータビリティの評価ポイント】

  • エクスポートできる学習データの種類を確認する
    学習履歴や成績データなど、必要なデータが過不足なく出力できるかを確認します。

  • エクスポートファイルのフォーマットを確認する
    CSV、XMLなど、他システムとのデータ連携に適した形式をサポートしているかを確認します。

  • 大容量データへの対応力を評価する
    ユーザー数の多い組織では、データ容量も膨大になります。スムーズなエクスポート・インポートが可能かを確認しましょう。

  • 移行時のサポート体制を確認する
    データ移行を自社で管理できる仕組みがあるか、必要に応じてベンダーサポートを受けられるかを確かめることが重要です。

LMSの選定は、長期的な展望に立った意思決定が求められます。

現時点だけでなく、将来のLMS移行も見据えたデータ戦略を描き、そのうえでデータポータビリティを評価することが大切です。

コストパフォーマンス

9つめのポイントは「コストパフォーマンス」です。

LMSの選定では、機能や品質とのバランスを見据えたコストパフォーマンスの評価が欠かせません。

初期費用だけでなく、ランニングコストや追加費用など、トータルコストを多角的に検証する必要があります。

【コストパフォーマンスの評価ポイント】

  • eラーニングコンテンツの課金形態を比較する
    コンテンツ利用が従量制か、定額制か、利用形態に応じた最適な選択肢を検討しましょう。

  • ライセンス体系を精査する
    ユーザー数無制限を謳うプランでも、想定を超える利用で追加料金が発生するケースがあります。料金体系の詳細を確認しましょう。

  • カスタマイズの費用感を把握する
    機能追加や画面変更など、カスタマイズに関わる費用の目安を具体的に確認しておくことが重要です。

  • バージョンアップ費用を見積もる
    バージョンアップがどの程度の頻度で行われ、それにどの程度の費用がかかるのかを見通しておく必要があります。

安価な初期費用に惹かれて導入しても、ランニングコストが想定外に膨らむようでは本末転倒です。

短期的なイニシャルコストだけでなく、中長期にわたるトータルコストを見据えて検討しましょう。

ユーザーサポート

10番めのポイントは「ユーザーサポート」です。

LMSを円滑に運用していく上で、ベンダーの手厚いユーザーサポートは欠かせない要素です。

とくに導入初期の問い合わせ対応や、運用中のトラブルシューティングは、LMS活用の成否を分ける重要なポイントとなります。

【ユーザーサポートの評価ポイント】

  • サポートの提供時間帯と対応言語を確認する
    自社の従業員の言語や勤務時間帯、LMSの利用頻度などを考慮し、必要なサポート体制が提供されているかを確認します。

  • サポートチャネルの多様性を評価する
    メールだけでなく、電話やチャットでの対応など、緊急度に応じて最適な手段が選べる環境が整っているかがポイントです。
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  • オンラインヘルプやFAQの網羅性を吟味する
    よくある質問や操作手順がわかりやすくまとめられていると、問い合わせの手間を大幅に削減できます。

トラブル発生時の頼れるサポート体制があるのと無いのとでは、運用担当者の心理的負担が大きく異なります。

導入後も伴走してくれるベンダーを選ぶことが、円滑なLMS運用への第一歩となるでしょう。

以上、10のポイントを解説しました。

eラーニングLMS⑫

LMSの具体的な選択肢は、以下の記事で幅広く取り上げています。

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とくにおすすめのLMSの資料を以下にご紹介しますので、ぜひ検討してみてください。

LMS資料

まとめ

本記事では「eラーニングとLMS」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

  • eラーニングとは、インターネットなどのデジタル技術を活用した学習形態のこと

  • LMSとは、eラーニングの運営に必要な機能を統合したシステム基盤のこと

  • LMSは、eラーニングを下支えし、その効果を最大限に引き出すための不可欠のプラットフォーム

LMSで展開するeラーニングの3つの選択肢として、以下を解説しました。

  1. LMSと連携して提供されるコンテンツ
  2. 互換性のある他社コンテンツ
  3. 自社で制作したコンテンツ

eラーニングを展開するLMSの選定で注意したいチェックポイントは以下のとおりです。

  1. コンテンツ互換性
  2. 提供コンテンツの質と更新頻度
  3. ユーザーエクスペリエンス(UX)
  4. 多言語対応
  5. システム連携
  6. スケーラビリティ(拡張性)
  7. セキュリティ
  8. データのポータビリティ
  9. コストパフォーマンス
  10. ユーザーサポート


eラーニングの導入検討に際しては、LMSという基盤システムの選択が極めて重要な意思決定となります。本記事を参考に、最善の選択をしていただければ幸いです。

株式会社LDcubeでは世界で著名なMBA教授陣が登壇、監修している高品質なCrossKnowledge のeラーニングコンテンツLMSの提供を行っています。多言語対応もしており、グローバル展開している組織や外国人社員を多く抱える組織ではとても重宝します。

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  全社員向けeラーニングならCrossKnowledge(LMS)がおすすめ! スキルアップは全ての社員にとって重要ですが、個々人の求める情報やスキル、学習スタイルはさまざまです。そのため、全社員向けには多言語対応のeラーニングコースの導入が有効です。本記事ではパーソナライズ学習が実現可能なCrossKnowledgeのeラーニングについて解説します。 株式会社LDcube
  eラーニング受け放題(定額制)ならCrossKnowledge(LMS)! 本コラムでは、世界的に著名なMBA教授によって監修されたeラーニングであるCrossKnowledge(LMS)について紹介します。法人・個人問わず全てのコースを学べる受け放題プラン(定額制)もあります。プランの選び方や活用法、導入の流れについても詳しく解説します。 株式会社LDcube
  eラーニング導入事例6選|導入に成功する企業に共通する特徴を解説 eラーニングの導入で重要なのは、複数事例の共通点から「自社での活用は向いていそう・向いていない」といった方向性を導き出すことです。本記事では導入事例はもちろんのこと、事例の共通点からわかるeラーニング導入に適した組織の特徴について、詳しく解説します。 株式会社LDcube
  eラーニング導入を成功させる3つのフェーズと5つのプロセスを解説 eラーニング導入の全体像や各ステップを把握することで、経営計画にどう組み込むのか、自社でどのように活用するのが現実的なのかを判断できます。本記事では、eラーニング導入を成功へ導くロードマップや具体的なステップだけでなく、課題・リスクとその解決策についても解説します。 株式会社LDcube
  eラーニングで得られる効果とは?目的別に見る効果性を徹底解説! eラーニングへの期待は「社員全体のスキル底上げによる企業力向上」です。ただし、導入すれば期待する成果が得られるというものではありません。本記事では「自社の希望・条件にマッチするコンテンツやシステムを選ぶための確認事項」「eラーニング導入で効果を得ている企業組織の特徴」を解説します。 株式会社LDcube
  eラーニングで学習成果を最大限高めるポイントとは?導入前後から解説! 企業内のeラーニングの成果について確認し、最大限の学習成果を得るためのポイントや、成果につなげる上での課題、導入検討時の留意点や導入後の工夫などついて概要を解説します。効果の高いeラーニング体験を提供し、学習者の成功につなげるための秘訣を紹介します。 株式会社LDcube
  eラーニングでコンプライアンス研修を行うメリットとは?ポイントを解説 eラーニングを用いたコンプライアンス研修のメリット・デメリットについて解説し、具体的な研修内容からコンプライアンス教育設計のポイントまで説明します。法令違反や不祥事リスクを低減するための対策や、今後の研修実施方法についても紹介します。 株式会社LDcube


LDcube編集部
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株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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