LMSのメリットとは?導入判断に役立つそれぞれの立場から見た利点

「LMSを導入して、本当にメリットはあるのだろうか」
こんな疑問をお持ちではないでしょうか。

結論からお伝えすると、立場によってさまざまな利点が存在します。

LMSのメリット一覧表

LMSは、教育現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)として、大きな注目が集まっているため、導入検討中の方も多いでしょう。

とはいえ、LMSを導入しただけで、どの組織でもすぐに成果が上がるわけではありません。

まずは、管理者・教育担当者・システム部門・学習者のそれぞれの立場で、LMSがもたらすメリットを正しく理解することが重要です。

何ができるのかを具体的に把握すれば、自社にとっての意義や導入要否の判断が、的確にできるようになります。

本記事では、LMSを導入するとできることや立場別のメリットを体系立てて解説します。LMS導入の検討材料として、お役立てください。

▼LMSの全体像については下記で詳しく解説しています。

  LMSのすべて!機能から導入メリットまでポイントを網羅的に解説 社員の自律的な学習を目指す際、有効なのがLMS(Learning Management System:学習管理システム)です。研修実施や学習の進捗状況、eラーニングの受講状況を可視化し、パーソナライズ学習を実現します。LMSの機能から導入メリット、サービスの選定ポイントなど解説します。 株式会社LDcube

▼LMSについての資料は下記からダウンロードできます。

LMS選定資料

LMS資料

目次[非表示]

  1. 1.LMSとは何か?導入するとできること
    1. 1.1.教材配信や進捗管理を一元化できる
    2. 1.2.学習履歴データを蓄積して分析できる
  2. 2.LMSのメリット①管理者の視点
    1. 2.1.研修の運用や新入社員のオンボーディングの業務を効率化できる
    2. 2.2.全従業員のスキルマップをリアルタイムで把握できる
    3. 2.3.組織全体の学習文化醸成がイノベーションにつながる
    4. 2.4.投資対効果(ROI)を明確化しやすい
  3. 3.LMSのメリット②教育担当者の視点
    1. 3.1.多様な形式のコンテンツを効率的に作成・管理できる
    2. 3.2.直接自分の時間を割かなくても高品質な教育を提供できる
    3. 3.3.教育をめぐるコンフリクトを回避できる
  4. 4.LMSのメリット③システム部門の視点
    1. 4.1.クラウド型で初期投資とメンテナンス負担を軽減できる
    2. 4.2.既存の人事システムとのスムーズな連携を実現しやすい
    3. 4.3.将来の拡張や変更に対応しやすい
  5. 5.LMSのメリット④学習者の視点
    1. 5.1.いつでもどこでも快適に学習ができる
    2. 5.2.対人ではないので何度でも気兼ねなく繰り返し学習できる
    3. 5.3.質の高い学びを得られ自身の成長につながる
  6. 6.まとめ

LMSとは何か?導入するとできること

LMSメリットのイメージ画像

最初に、「LMSを導入すると何ができるのか?」という基礎部分を概観しておきましょう。ここでは、以下のポイントを解説します。

  1. 教材配信や進捗管理を一元化できる
  2. 学習履歴データを蓄積して分析できる


教材配信や進捗管理を一元化できる

そもそもLMSとは何かといえば、Learning Management System(ラーニングマネジメントシステム)の略で、日本語訳は「学習管理システム」です。.

LMS説明図

LMSの最も主要な特徴は、教材の配信や学習者の進捗管理を、1つのシステムで一元的に行えることです。

たとえば、現状、バラバラに管理されている社内の教材をLMSに集約するだけでも、大幅な効率アップにつながります。

加えて、外部機関が提供しているeラーニング教材の配信や、資格取得のための学習コースの提供なども、1つのシステム内で可能になります。

【LMSで一元管理できる教育コンテンツの例】

  • オンライン学習教材
    eラーニング教材・動画教材・ウェビナーなど、あらゆる学習コンテンツをアップロードして配信できます。
  • 集合研修資料
    座学形式の研修で使うスライド・ワークシート・レジュメなども、LMSにまとめて管理できます。
  • 資格・法令の学習教材
    会社が推奨する資格の対策教材や、コンプライアンス研修の教材なども一か所に集約できます。
  • 自作教材データ
    教育担当者や知見豊富なベテラン社員が自作したPowerPoint教材なども、アップロードして活用できます。
  • 外部機関提供のeラーニング教材
    外部の教育機関が開発したeラーニングコンテンツを、自社のLMSに取り込んで提供できます。


学習履歴データを蓄積して分析できる

LMSは、教材を管理できるだけでなく、従業員一人一人の学習履歴を自動的に記録し、そのデータを蓄積できるシステムでもあります。

【LMSで蓄積されるおもな学習履歴データ】

  • 学習教材の受講状況
    誰がいつ、どの教材を受講したのかを記録します。進捗率や修了率などのデータも取得できます。
  • 小テストやアンケートの回答結果
    各コンテンツに設定された理解度チェックテストの得点や、アンケートの回答内容も保存されます。
  • 学習に費やした時間
    教材の受講にかかった時間や、学習管理画面へのログイン時間など、学習に要した時間も計測できます。
  • 従業員情報との関連付け
    従業員の所属部署や役職、過去の研修受講歴など、人事データベースの情報と連携することも可能です。

LMSに蓄積された学習ログデータは、ダッシュボードやレポート機能を使って可視化できます。

個人の学習状況の把握だけでなく、部署別・職種別などのセグメント分析や、教育施策の効果測定にも役立ちます。

以上が、“LMSの基本機能により実現できること” の概要です。導入するLMSの種類により、ほかにも多様な機能がありますが、ここではコアとなる2点に絞ってご紹介しました。

LMSでできること説明図

続いて以下では、立場ごとに異なる視点(管理者・教育担当者・システム部門・学習者)から、LMSのメリットを深掘りしていきましょう。

LMSのメリット①管理者の視点

LMS活用イメージ図

最初に見ていくのは、企業の経営陣や人事部門の管理者にとってのメリットです。4つのポイントを解説します。

  1. 研修の運用や新入社員のオンボーディングの業務を効率化できる
  2. 全従業員のスキルマップをリアルタイムで把握できる
  3. 組織全体の学習文化醸成がイノベーションにつながる
  4. 投資対効果(ROI)を明確化しやすい



研修の運用や新入社員のオンボーディングの業務を効率化できる

管理者視点の1つ目のメリットは「研修の運用や新入社員のオンボーディングの業務を効率化できる」です。

LMSを導入すると、研修関連の事務作業を大幅に効率化できます。

【LMSで効率化できる研修運用業務】

  • 研修スケジュールの調整と通知
    研修プログラムをLMSに登録すれば、日程調整や参加者への通知をシステムが自動で行います。
  • 受講者の出欠管理
    研修の出欠情報もLMSで一元管理できるため、紙の出席票などを手作業で集計する手間が省けます。
  • 資料の印刷・配布
    テキストや補足資料は、LMSにPDFなどの電子ファイルをアップロードすれば、自動的に受講者に配信されます。
  • 成績管理と習得状況の把握
    個人の受講履歴や理解度テストの結果もLMSで記録されるので、手作業での成績管理が不要になります。
  • アンケートの実施と集計:研修の評価アンケートもLMS上で作成・実施・集計ができ、研修終了後の事務処理が楽になります。


こうしたLMSの自動化機能により、現場の教育担当者は事務作業から解放され、より戦略的な人材開発の施策に注力できるようになります。

まさに、働き方改革に直結するLMSのメリットだといえるでしょう。
 
▼研修業務の効率化については下記で詳しく解説しています。

  研修を効率化するには?コスト削減とパフォーマンス向上の両立 急速なデジタル化や市場環境の変化により、業績向上に直結する人材育成の重要性が高まる一方、研修コストの削減と生産性の向上を同時に実現することが求められ、従来の集合研修のあり方が問い直されています。本記事では、研修を効率化する6つのステップやポイントを紹介します。 株式会社LDcube


全従業員のスキルマップをリアルタイムで把握できる

管理者視点の2つ目のメリットは「全従業員のスキルマップをリアルタイムで把握できる」です。
 
ここでいうスキルマップとは、従業員一人一人がどのようなスキルをどの程度習得しているかを可視化したものを指します。
 
LMSを使えば、従業員一人一人のスキル習得状況をリアルタイムで把握できるようになります。


【LMSで把握できるスキル習得データの例】

  • 専門分野の知識レベル
    営業やマーケティング、財務など、職種に応じた専門知識の理解度を測定できます。
  • 語学力の状況
    社内の語学eラーニングの受講進捗を管理したり、TOEICなどの外部試験の結果を記録したりできます。
  • 資格取得状況
    簿記検定や衛生管理者資格など、各職種に関連する資格の取得状況をトータルに管理できます。
  • DX推進のスキル
    AI、データサイエンス、クラウド、サイバーセキュリティなど、DXに必要なスキルを棚卸しするための活用も可能です。

こうした従業員のスキルデータを一元化し、スキルマップを作成できるのがLMSの強みです。

単に研修を受講させるだけでなく、スキル習得の状況をモニタリングし、充足していない部分を的確にフォローできるようになります。

各部署の強みと弱みを定量的に分析し、戦略的な人材配置の判断に活用できます。
 

組織全体の学習文化醸成がイノベーションにつながる

管理者視点の3つ目のメリットは「組織全体の学習文化醸成がイノベーションにつながる」です。

LMSは、企業の学習文化を醸成し、従業員のイノベーション創出力を高めるためのインフラとしても注目されています。

【LMSで醸成できる組織の学習文化】

  • 自律的な学びの習慣化
    興味関心に応じて必要な学習プログラムをオンデマンドで受講でき、主体的に学ぶ姿勢が身に付きます。
  • 学習モチベーションの維持
    ポイントやバッジなどのゲーミフィケーション要素を活用し、学習意欲を高め、モチベーションを維持しやすくします。
  • 学びの共有と双方向の交流
    学習の成果物をLMS上で共有したり、掲示板で意見交換したりして、知識の共有と交流が促進されます。
  • 他者の学びから刺激を受ける
    推奨コースや人気コースのランキングを参考に、ほかの従業員の学習状況を意識すると、互いに良い刺激となります。

従業員の自発的な学び合いが促進され、組織全体に学習文化が根付いていくと、新しいアイデアの創出や変化への適応力が高まります。

変化の激しい時代を生き抜く企業にとって、LMSは組織文化を変革していく原動力となるでしょう。
 

投資対効果(ROI)を明確化しやすい

管理者視点の4つ目のメリットは「投資対効果(ROI)を明確化しやすい」です。

LMSを導入すると、「何を実施して・その結果どのような成果得られたか」が可視化されるため、ROIを測定しやすくなります。

【LMSによるROI可視化のおもな指標】

  • 受講率
    LMS上で提供されているコンテンツの受講率を調べられます。受講率が芳しくない場合は、社内での周知徹底やコンテンツ自体の魅力度向上につなげていきます。
  • 学習時間
    従業員が学習に費やした総時間や、1人あたりの平均学習時間を把握できます。この指標から、学習に対する従業員のエンゲージメントレベルを推し量ることが可能です。
  • 学習到達度
    コースごとの平均点や合格率、習得済みスキルの数など、学習の到達度合いを示す指標を確認できます。到達度が低い場合は、コンテンツの改善や追加サポートの必要性が明らかになります。
  • 行動変容
    学習前後での業務パフォーマンスの変化を追跡し、研修が実務にどう生かされているかを定量的に評価するためにも活用できます。売上増加率や生産性向上率など、業績に直結するKPIと学習との相関関係を分析するのに役立ちます。
  • 定着度
    テスト機能を活用し、一定期間経過後に学習内容がどの程度定着しているかを確認できます。効果が持続していない場合は、復習の機会を設けたり、フォローアップ研修を企画したりするきっかけになります。

こうしてLMSは、教育投資の効果を多角的に可視化します。明確になったデータをもとに、PDCAサイクルを回して教育施策を改善すれば、投資対効果の最適化につながります。

▼LMSの費用については下記で詳しく解説しています。

  LMSの費用とは?3つの代表相場と形態・種類・機能による違いを徹底解説 LMSは形態や機能によっても費用は大きく変わるため、どれが妥当かどうかを判断するのも容易ではないでしょう。本記事では代表的な導入費用の3つのパターンを紹介しながら、料金の種類、相場、変動のポイントなどを解説します。貴社に最適な選択の参考にしてください。 株式会社LDcube


LMSのメリット②教育担当者の視点

LMS活用シーンイメージズ

LMSは、現場の教育担当者にとっても、心強い味方になります。効率的な教材作成と運用、高品質な学習体験の提供に役立つからです。

「教える側の視点」から見た、以下のメリットを見ていきましょう。

  1. 多様な形式のコンテンツを効率的に作成・管理できる
  2. 直接自分の時間を割かなくても高品質な教育を提供できる
  3. 教育をめぐるコンフリクトを回避できる


多様な形式のコンテンツを効率的に作成・管理できる

教育担当者視点の1つ目のメリットは「多様な形式のコンテンツを効率的に作成・管理できる」です。

LMSには、さまざまな形式の教材を効率よく作成・管理するための機能が備わっています。

【LMSで作成・管理できるコンテンツの例】

  • ドキュメント・テキスト教材
    WordやPDFなどの文書ファイルを教材として配信できます。業務マニュアルや規定集の共有などを効率化できます。
  • スライド型の講義動画
    PowerPointなどのスライド資料に教育担当者の音声を吹き込めば、オンデマンド教材を手軽に作成できます。
  • 外部コンテンツの登録
    LMSと外部の教育サービスを連携させ、サードパーティーが提供するeラーニングコンテンツを展開することも可能です。


こうした多様な教材をLMS上で一元管理すれば、属人的になりがちだった社内ナレッジの共有を進められます。
 
自社の状況に合わせて、最適な学習コンテンツをタイムリーに提供することも可能です。
 
▼eラーニングのコンテンツについては下記で詳しく解説しています。

  eラーニングコンテンツの全てがわかる!形式・対象・テーマ別に解説 eラーニングは自社に役立ちそうな教材をただ選ぶだけでは意味がありません。この記事では、eラーニングの内容を種類別に紹介するだけでなく、企業が最適なeラーニングコンテンツを選ぶ際にやるべきことや導入時の失敗例と対策を解説します。 株式会社LDcube


直接自分の時間を割かなくても高品質な教育を提供できる

教育担当者視点の2つ目のメリットは「直接自分の時間を割かなくても高品質な教育を提供できる」です。
 
直接対面で行っていたレクチャーやトレーニングをLMSに代替させ、かつ質も落とさない(むしろ向上させる)のは、LMSならではの利点です。

【LMSで教育担当者から学習者への負担をシフトできる例】

  • 座学の講義動画配信
    対面の集合研修の代わりに動画による講義を配信すれば、講師として登壇する必要はなくなり、常に一定品質の講義を提供できます。
  • 教材の反復学習
    基礎知識を身に付ける反復学習はeラーニングに委ね、教育対象者(学習者)の自律性に任せる運用が可能です。
  • 学習状況の自動把握
    受講状況は、LMSの管理画面で受講状況を常にチェックできます。一人一人の進捗を確認するための面談を減らせます。
  • 質問対応の効率化
    教育対象者からのよくある質問はFAQを整備しておきます。質問対応の手間を最小限に抑えられます。
  • 反転学習(*1)の導入
    集合研修を行う場合でも、当日までに予習としてeラーニングを活用すれば、集合研修の時間を実践演習に充てられ、時間を有意義に使えます。

*1:反転学習とは、集合研修(授業)と自己学習(復習)の役割を逆転させる学習方法です。基礎知識の講義は集合研修では行わず、各自予習します。そのうえで集合研修ではディスカッションやワークショップなどの実践的な学習を行います。

こうしたLMSの機能を使えば、教育担当者の時間を割かずとも、高品質な学習体験提供し続けられます。

限られた人的リソースを有効活用しながら、より戦略的な研修プログラムの企画に注力できるでしょう。

▼反転学習を活用した学び方の進め方については下記もご覧ください。

  研修を成功に導くライブ・ファシリテーターという新たな役割 集合研修やオンライン会議システムを使ったオンライン研修は、企業内学習において多くの割合を占めています。しかし、どちらも、研修だけでは社員の学びを効果的にすることができません。効果的な学習の実現には、ファシリテート・ラーニングが必要です。ライブ・ファシリテーターという新たな役割の発揮により、研修のレベルが向上します。本記事ではライブ・ファシリテーターの役割や従来のインストラクターやコーチとの違いについても解説します。 株式会社LDcube

▼コンプライアンス研修を題材に反転学習の進め方について解説しています。

  コンプライアンス研修で不祥事防止!?ネタ切れを乗り越えるアイデアを紹介! コンプライアンス研修に、社内外の事例活用や社会的情勢の取り入れ、効果的な学びを生み出すためのアイデアを解説しています。不祥事を未然に防ぐという目的に向け心理的安全性を高めるアプローチなど、企業のコンプライアンス研修を一歩進ませる方法について紹介しています。 株式会社LDcube


教育をめぐるコンフリクトを回避できる

教育担当者視点の3つ目のメリットは「教育をめぐるコンフリクトを回避できる」です。

教育担当者と教育対象者の間では、さまざまなコンフリクト(対立や衝突)が生じるリスクがあります。

【現場で起こりがちなコンフリクトの例】

  • 世代間ギャップ
    ベテラン教育担当者の紙ベースの講義スタイルや「仕事は見て盗め」といったスタンスに、デジタルネイティブの若手社員がついていけない。
  • 期待値のズレ
    教育担当者が求める努力量と、教育対象者の取り組み姿勢にギャップがあると、教育担当者は不満を募らせてしまう。
  • 人によって異なる対応
    教育担当者が、相性の良い対象者には丁寧に接するが、相性の悪い対象者にはそっけない態度を取るなど、態度にばらつきがある。
  • 文化的背景の違い
    グローバル企業の研修で、教育担当者と教育対象者のコミュニケーションスタイルが噛み合わず、誤解や反発を生んでしまう。


こうした教育をめぐるコンフリクトは、LMSの活用によって緩和できるケースが多々あります。

【LMSで教育担当者と教育対象者の関係性を円滑にできる例】

  • 教材のデジタル化
    講義資料や演習問題をLMS上に用意し、教育対象者が自分のペースで学習を進められるようにします。紙の資料とは違い、いつでも好きなだけアクセスできるのもメリットです。
  • 学習計画の見える化
    LMS上で各回の学習テーマや到達目標を事前に明示しておけば、教育対象者も見通しを持って臨めます。教育担当者との期待値のズレを防ぐ効果が期待できます。
  • 公平な学習機会の提供
    LMS上では、教育担当者の感情に左右されず、全員が平等に学べる環境が整います。教育担当者と相性の良し悪しに影響されない、フェアな学習機会を提供できます。
  • 異文化コミュニケーションの円滑化
    対面では講師の話し方の癖などから誤解を生むことがありますが、LMSなら入念に準備されたコンテンツを提供できます。多言語で教材を展開すれば、各従業員が母語で学ぶことも可能です。
  • 学習状況の定量的な把握
    LMSの学習履歴や達成度データを活用すると、教育対象者の取り組み姿勢を数値化して評価できます。主観に頼らず、客観的な事実に基づいてコミュニケーションできます。


教育担当者と教育対象者の間に、LMSという緩衝材があると、程よい距離感冷静さをキープしやすくなります。お互いの立場や事情を思いやれる、成熟した関係を築けるでしょう。

結果として教育の質が高まり、組織全体の学びの成果を最大化することにつながるはずです。

LMSのメリット③システム部門の視点

LMSk圧用シーンイメージ図②

LMSは、企業のシステム部門にとっても魅力的なソリューションとなります。以下のポイントを見ていきましょう。

  1. クラウド型で初期投資とメンテナンス負担を軽減できる
  2. 既存の人事システムとのスムーズな連携を実現しやすい
  3. 将来の拡張や変更に対応しやすい


クラウド型で初期投資とメンテナンス負担を軽減できる

システム部門視点の1つ目のメリットは「クラウド型で初期投資とメンテナンス負担を軽減できる」です。

近年、クラウドサービスとして提供されるLMSが増えています。クラウドサービスは、自社でサーバーを構築する必要がないため、初期投資とランニングコストを大幅に軽減できます。

【クラウド型LMSのメリット】

  • サーバー構築コストが不要
    サーバー機器の購入費や設置スペースの確保、ネットワーク敷設などの初期投資が必要ありません。
  • ソフトウェアライセンス費用の削減
    LMSをサービス(SaaS)として利用すれば、高額なパッケージソフトのライセンス費用がかかりません。
  • バージョンアップへの対応が不要
    バージョンアップや新機能へのアップデートは、すべてクラウドベンダー側で対応してくれます。
  • 運用監視の工数削減
    サーバーの監視やセキュリティ対策、バックアップなども、クラウドベンダーに任せられるので手間が省けます。

このように、自社のシステム部門の工数を大幅に削減しながら、最新のLMS環境を利用し続けられます。

本業の業務システムの刷新など、限られたIT予算をより戦略的に活用することも可能になるでしょう。

なお、クラウド型を避けたい事情がある企業の場合には、オンプレミス(自社運用)のLMSを導入する選択肢もあります。

▼クラウド・オンプレミスの違いについては、以下の記事にて解説しています。

  LMS4種類を徹底解説!自社に合った学習管理システムが分かる 自社にマッチしたLMSを導入できれば、今よりも社内研修を効率的に進められたり、管理にかかっていた手間の削減につながります。本記事ではLMS各種類の特徴や機能を紹介し、パターン分けし、パターンごとにおすすめの学習管理システム選定ポイントを紹介します。 株式会社LDcube


既存の人事システムとのスムーズな連携を実現しやすい

システム部門視点の2つ目のメリットは「既存の人事システムとのスムーズな連携を実現しやすい」です。

LMSの導入を検討する際は、既存の人事システムや業務システムとの連携が重要なポイントとなります。

【LMSと連携させる既存システムの例】

  • 人事管理システム
    従業員情報や組織情報と、LMS上の学習者アカウントを連携すれば、二重管理の手間を省けます。
  • スキル管理システム
    人事考課の仕組みと、LMSの学習履歴データをリンクさせ、戦略的な人材育成を行うことも可能です。 
    ※最近では、人事管理システムとスキル管理システムなどを兼ね備えたタレントマネジメントシステムも登場しています。タレントマネジメントシステムとLMSを連携させるケースも増えて来ています。
  • 社内ポータル
    LMSに掲載する研修情報を社内ポータルに表示したり、ポータルからLMSへのシングルサインオン(*2)を実装したりしている企業もあります。


*2:シングルサインオンは、1度の認証処理で複数のシステムやアプリケーションにアクセスできる仕組みです。ユーザーは1つのIDとパスワードを使うだけで、シームレスに企業内サービスを利用できます。

LMSの側でAPIを公開していたり、特定の人事システムとの連携機能を標準で備えていたりすると、導入時の連携開発がスムーズに運びます。

自社の既存システムの特性をふまえて、最適なLMSを選定すれば、組織全体のフローを効率化できます。
 

将来の拡張や変更に対応しやすい

システム部門視点の3つ目のメリットは「将来の拡張や変更に対応しやすい」です。

事業の成長や組織変更に伴って、教育研修のニーズは常に変化していきます。

そうした変化に柔軟に適応できるシステム基盤を備えたLMSは、システム部門にとって心強い味方といえるでしょう。

【将来を見据えたLMSのポイント】

  • ユーザー数の増加に合わせたシステム拡張
    利用者が増えた場合も、処理能力を柔軟に拡張し、サービス品質を一定に保てます。
  • クラウドならではの柔軟なリソース運用
    サーバー増強にかかるコストを最適化し、費用対効果の高いシステム拡張が可能です。
  • 外部システムとの連携を見据えた設計
    疎結合アーキテクチャ(複数のシステムが独立性を保ちつつ連携する設計思想)が採用されているLMSであれば、将来的な他システムとのデータ連携やAIなどの新技術の取り込みもスムーズです。
  • モバイルフレンドリーなユーザーインターフェース(UI)
    スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末に最適化されたUIを提供するLMSが増えています。時代とともに変化する利用形態に合わせて、柔軟に対応できる設計になっています。

こうした特性を備えたLMSを活用すれば、システム部門はシステム環境の変化に柔軟に対応しながら、長期的に安定稼働を実現できます。

事業の成長や組織変更に伴うシステム面での要件の変化にも、的確に対処できるでしょう。

LMSのメリット④学習者の視点

LMS活用シーンイメージ図③

最後に、LMSの学習者である従業員にとってのメリットを見ていきましょう。

LMSは、学習意欲を高めて自己成長を促し、キャリア形成にプラスにはたらく強力なツールです。


  1. いつでもどこでも快適に学習ができる
  2. 対人ではないので何度でも気兼ねなく繰り返し学習できる
  3. 質の高い学びを得られ自身の成長につながる



いつでもどこでも快適に学習ができる

学習者視点の1つ目のメリットは「いつでもどこでも快適に学習ができる」です。

LMSの最大の魅力は、自分の都合に合わせて、どこからでも学習できる点にあります。時間の制約から解放され、自由に学べる環境は、学習者の負担を大幅に軽減します。


【LMSで実現できる柔軟な学習環境】

  • 通勤電車の車内でのモバイル学習
    スマートフォンやタブレットから、通勤時間を使って手軽に学習できます。
  • 自宅のリビングでのオンデマンド受講
    仕事の合間に自宅のPCから、eラーニング教材をいつでも好きなだけ視聴できます。
  • 休日のカフェでの自主学習
    教材をダウンロードしておけば、休日にカフェなどの外出先でもオフラインで学習を進められます。
  • 海外出張中のホテルからの受講
    海外からでも、インターネット環境さえあれば、オンライン研修に参加できます。
  • 育児休暇中の在宅学習
    育児をしながら自宅で学習を継続することも、LMSを使えば無理なく実現できます。


このように、LMSを導入すれば、一人一人のライフスタイルに合わせた最適な学習環境を整えられます。

従業員のワークライフバランスを尊重しつつ、最新のスキルを身に付けてもらうことが可能です。
 

対人ではないので何度でも気兼ねなく繰り返し学習できる

学習者視点の2つめ目のメリットは「対人ではないので何度でも気兼ねなく繰り返し学習できる」です。

LMSで配信されるeラーニングを使えば、対面の講師やほかの従業員を気にすることなく、思う存分繰り返し学習を重ねられます。

自分のペースでじっくりと知識を定着させていけるのは、オンライン学習ならではのメリットだといえるでしょう。


【LMSで実現する反復学習の例】

  • 動画や音声の繰り返し視聴
    理解が不十分な箇所は、納得がいくまで何度でも繰り返し再生できます。
  • 章末テストなどによる知識の確認
    各章の最後の練習問題で、知識の定着度を確認しながら学習を進められます。
  • 学習履歴の記録と振り返り
    学習の進捗状況や成果が自動的に記録されるので、後から振り返って弱点を把握し、反復学習に生かせます。
  • シミュレーション教材での実践的な反復練習
    実際の業務を想定したシミュレーション教材で、何度も練習を繰り返して、スキルを確実に身に付けられます。


こうした学習者目線に立った反復学習の仕組みを提供できるのが、LMSの大きな強みだといえます。自分なりのペースで反復学習し、着実にスキルを身に付けられます。
 

質の高い学びを得られ自身の成長につながる

学習者視点の3目のメリットは「質の高い学びを得られ自身の成長につながる」です。

LMSは、従業員のキャリア形成を力強くサポートしてくれるツールです。従業員は社内外の多様な学習リソースに触れながら、自身のキャリアアップに必要なスキルを効果的に習得できます。

【LMSが実現する質の高い学び】

  • 一流講師陣によるハイクオリティなコンテンツ(3)
    業界の第一人者や著名な専門家による質の高い講義を、LMSで配信できます。最先端の知見に触れる機会が、従業員の成長を加速させます。
  • 実践的なスキルを身に付ける演習教材の提供
    座学だけでなく、実際の業務を想定したケーススタディやシミュレーション教材などで、即戦力となるスキルを体得できます。机上の学びを実践に移す訓練が、本物の成長を促します。
  • 個人のニーズに合わせたパーソナライズ学習
    AIを活用(4)して一人一人の習熟度や関心に合わせた学習コンテンツを推奨できるLMSもあります。自分に最適な学習プランで、効率的に成長できます。

*3:たとえば、LMS・eラーニング「CrossKnowledge」では、世界有数のビジネススクール教授陣による、MBAレベルの講義を動画で受講できます。

詳しくは以下のページにてご確認ください。
CrossKnowledge ビジネススクール教授陣によるマイクロラーニングコンテンツ

CrossKnowledgeの資料は、以下のページよりダウンロードできます。

LMS資料

*4:AIを活用した学習プラットフォームとしては、「UMU」があります。詳しくは以下の資料にてご確認ください。

UMU資料

このように、LMSを使って継続的に学ぶことは、従業員の自己効力感を高め、前向きな学習意欲を引き出します。

キャリアアップのための自己投資を習慣づけ、生涯学び続ける従業員を増やしていくための基盤となるでしょう。

まとめ

本記事では「LMSのメリット」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

管理者(経営・人事部門)の視点のメリットは以下のとおりです。

  1. 研修の運用や新入社員のオンボーディングの業務を効率化できる
  2. 全従業員のスキルマップをリアルタイムで把握できる
  3. 組織全体の学習文化醸成がイノベーションにつながる
  4. 投資対効果(ROI)を明確化しやすい

教育担当者の視点のメリットは以下のとおりです。


  1. 多様な形式のコンテンツを効率的に作成・管理できる
  2. 直接自分の時間を割かなくても高品質な教育を提供できる
  3. 教育をめぐるコンフリクトを回避できる


システム部門の視点のメリットは以下のとおりです。

  1. ​​​​​​​クラウド型で初期投資とメンテナンス負担を軽減できる
  2. 既存の人事システムとのスムーズな連携を実現しやすい
  3. 将来の拡張や変更に対応しやすい

学習者(従業員)の視点のメリットは以下のとおりです。


  1. いつでもどこでも快適に学習ができる
  2. 対人ではないので何度でも気兼ねなく繰り返し学習できる
  3. 質の高い学びを得られ自身の成長につながる


従業員一人一人の可能性を最大限に引き出すツールとして、LMSは大きな役割を果たします。LMSの持つメリットを十分に活用し、持続的な成長を実現しましょう。

株式会社LDcubeでは世界で著名なMBA教授陣が登壇、監修している高品質なCrossKnowledge のeラーニングコンテンツLMSの提供を行っています。多言語対応もしており、グローバル展開している組織や外国人社員を多く抱える組織ではとても重宝します。

また、営業職や技術職の現場教育に強いラーニングプラットフォームUMUの提供も行っています。これらのシステムは使う目的に応じて最適なものを選択するとよいでしょう。

eラーニングやLMS・プラットフォームのの導入で迷ったらLDcubeにご相談ください。これまで、組織規模の大小、国内外への事業展開、コンテンツの要否などに関わらず、さまざまな状況での学習環境構築の支援を行ってきています。無料のデモIDの発行なども行っています。お気軽にご相談ください。 

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LDcube編集部
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株式会社ビジネスコンサルタント時代から約60年、人材開発・組織開発に携わってきた知見をもとに、現代求められる新たな学びについて、ノウハウや知見をお届けします。

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